説明

エレベータの運行オペレーションシステム

【課題】 災害時にエレベータが非常運転を開始した場合に、エレベータ乗場へ来た避難者が持つ携帯通信機器へ適切なエレベータ運行情報や避難指示情報などを伝達することができ、エレベータを利用した避難な有効性の向上をはかる。
【解決手段】 地震や火災などの非常時の際に、避難者へエレベータ運行情報や避難指示情報を伝えるためのエレベータの避難時運行オペレーションシステムであって、エレベータの運行を制御する制御盤10と、エレベータの各停止階のエレベータ乗場20にそれぞれ設置された表示装置30と、表示装置30にそれぞれ内蔵若しくは併設された通信装置32とを具備している。そして、通信装置32は、エレベータが非常運転に切り替わった際に、制御盤10から伝送されるエレベータ情報を、避難するために各階のエレベータ乗場20へ来た避難者6が持つ携帯通信機器7に対して、無線通信によって送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、地震や火災などの非常時の際に、避難者へエレベータ運行情報や避難指示情報を伝えるためのエレベータの運行オペレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
地震や火災などの災害が起きた時に、建物内の避難方法としては、避難効率を上げるためにエレベータを活用することが有効である。エレベータを利用する避難者は、最寄りのフロアにあるエレベータ乗場へ行き、エレベータが運行しているか否かを確認するという行動を取ると予想される。もし、エレベータが複数台設置されているような広い建物や高層ビルでの避難を考えると、その行動はほぼ必然となり得る。
【0003】
しかし、従来の技術では、避難者がエレベータのオペレーションを知る情報は、辿り着いた1台のエレベータに対して乗場呼びボタンを押し、ボタンが光るか否か、乗場インジケータやホールランタンが正常に点灯しているか否かだけである。即ち、避難者がエレベータ乗場へ来ても、せいぜいその号機のみの運行情報しか知り得ることができない。さらに、エレベータが正常に動いていたとしても、どのくらい待つのかも不明であり、正確な情報が無いため、エレベータが最良の避難方法か判断することもできず、結局他の避難手段を考えなければならなくなる。
【0004】
つまり、エレベータを利用した避難方法にあっては、避難者が具体的なエレベータ運行情報を得ることはできず、エレベータは避難方法としての役割を十分に果たしていないと言わざるを得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−247553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように従来の技術では、地震や火災などの災害が起きた時に、避難者に対して具体的なエレベータ運行情報や避難指示情報を提供するエレベータの運行オペレーションシステムがなく、避難者はエレベータ以外の避難手段を考えなければならない問題があった。
【0007】
本発明の実施形態は、災害時にエレベータが非常運転を開始した場合に、エレベータ乗場へ来た避難者が持つ携帯通信機器へ適切なエレベータ運行情報や避難指示情報などを伝達することができ、エレベータを利用した避難に有用なエレベータの避難時運行オペレーションシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、地震や火災などの非常時の際に、避難者へエレベータ運行情報や避難指示情報を伝えるためのエレベータの運行オペレーションシステムであって、エレベータの運行を制御する制御盤と、前記エレベータの各停止階のエレベータ乗場にそれぞれ設置された表示装置と、前記表示装置にそれぞれ内蔵若しくは併設された通信装置と、を具備している。そして、前記通信装置は、前記エレベータが非常運転に切り替わった際に、前記制御盤から伝送されるエレベータ情報を、避難するために各階のエレベータ乗場へ来た避難者が持つ携帯通信機器に対して、無線通信によって送信することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係わるエレベータの運行オペレーションシステムの全体構成を示す図。
【図2】第1の実施形態に係わるオペレーションシステムにおける制御盤及び表示装置の機能ブロック構成を示す図。
【図3】第1の実施形態に係わるオペレーションシステムにおいて、制御盤から避難者ヘアドホック通信される情報のフローの一例を示す図。
【図4】第2の実施形態に係わるエレベータの運行オペレーションシステムを説明するためのもので、エレベータが複数台設置された建物の場合の監視盤と制御盤との関係を示す図。
【図5】第3の実施形態に係わるエレベータの運行オペレーションシステムを説明するためのもので、避難者が持つ携帯電話が受信する画面の一例を示す図。
【図6】第4の実施形態に係わるエレベータの運行オペレーションシステムを説明するためのもので、各乗場とアドホック通信部との関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1(a)(b)は、第1の実施形態に係わるエレベータの運行オペレーションシステムを説明するためのもので、(a)は全体構成を示す図、(b)は各階の乗場及び表示装置を抽出して示す図である。
【0012】
巻上機1,カゴ2,つなぎ箱3,及びおもり4などからエレベータの基本構造部が構成されている。1台のエレベータに対してm箇所の乗場20(201 ,〜,20m )があり、例えば乗場201 には表示装置301 が設置されている。表示装置301 は、ホールランタンや乗り場インジケータなどを備えたものであり、エレベータの通常の運行状況を表示するようになっている。その他の乗場202 ,〜,20m においても、表示装置302 ,〜,30m が同様に設置されている。制御盤10は、つなぎ箱3と電気的に接続され、更に各乗場20に設置されている表示装置30(301 ,〜,30m )にも電気的に接続されている。
【0013】
地震や火災などの災害発生時に、カゴ2からの情報はつなぎ箱3を中継して、制御盤10へ伝送される。制御盤10では、カゴ2からの情報及びエレベータに付随する他の装置(例えば、地震感知器や監視カメラの映像など)からの情報を、各乗場20に設置されている表示装置30へ伝送するようになっている。乗場201 の表示装置301 には、避難者6(61 ,〜,6n )が持つ携帯通信機器としての携帯電話7(71 ,〜,7n )にアドホック通信を行うための通信装置が備えつけられている。乗場202 ,〜,20m の表示装置302 〜30m おいても同様である。そして、避難者6は、表示装置30からアドホック通信により各自所有する携帯電話7で受信した情報に従って、最適な避難方法を得ることが可能となっている。
【0014】
次に、本実施形態におけるエレベータの通信システムの各構成及び動作について具体的に説明する。
【0015】
図2は、第1の実施形態に係わるオペレーションシステムの要部構成を説明するためのもので、特に制御盤10及び乗場20内の表示装置30の回路構成を示している。図2では、乗場201 内の表示装置301 の例を示しているが、他の乗場202 〜20m 内の表示装置302 〜30m の構成も表示装置301 と同様である。
【0016】
制御盤10には、情報記憶部11,運行情報検出部12,及び送信情報判定部13が設けられている。情報記憶部11は、エレベータにおける不変情報(例えばエレベータの号機番号)や、建物の情報(例えば、建物の階床毎の地図や、避難経路、エレベータの配置、避難場所など)、そしてエレベータの運転方法(例えば、地震時運転、火災運転等)のモード別に記憶されている情報を記憶するものであり、例えば不揮発性半導体装置で形成されている。
【0017】
運行情報検出部12は、エレベータの運行状況によって変化する情報を検出し、一時記憶するものである。例えば、閉じ込め発生信号の有無、故障発生信号の有無、カゴ内人数、ドアゾーン信号の有無、カゴ位置などの各種情報を検出し、それらの情報を一時記憶する。なお、カゴ内人数は、例えば、カゴに設けられた秤装置から算出することが可能であり、カゴ位置は、巻上機に設けられたパルスエンコーダの出力値から算出することが可能である。また、ドアゾーン信号は、カゴがドアゾーン(例えば、カゴドアと乗場ドアとが連動して開閉される範囲)内にある場合に出力される。
【0018】
送信情報判定部13は、情報記憶部11に記憶された各種情報と運行情報検出部12によって検出され一時記憶された各種情報との中から、表示装置30に出力する必要がある情報を目的に応じて判定し、その必要な情報をエレベータ情報として表示装置30に対して出力する。なお、送信情報判定部13による上記判定は、例えば表示装置30に常に出力する必要がある情報と必要時に出力する方法とを予め設定しておくことによって実施しても良い。さらに、何らかの条件と比較してその条件に該当する情報のみを、表示装置30に出力する必要がある情報と判定するようにしても良い。また、送信情報判定部13は、必ずしも制御盤10内に備える必要はなく、例えば表示装置30内に備えられていても良い。
【0019】
乗場201 に設置されている表示装置301 は、制御盤10から送信されるエレベータ情報を受信する情報受信部31と、その受信情報をアドホック通信するためのアドホック通信部(通信装置)32を備えている。アドホック通信部32としては、例えばBluetooth(登録商標)又は無線LANを利用してサーバー等を介することなく、乗場20近辺の携帯電話に直に通信できるものであればよい。その他の乗場202 ,〜,20m に設置された表示装置302 ,〜,30m の構成においても、表示装置301 と同様である。なお、図には示さないが各々の表示装置30には、ホールランタンや乗場インジケータなどの駆動回路も設けられている。
【0020】
このような構成であれば、災害時に乗り場20に来た避難者6は、表示部30に表示されるエレベータの簡易な運行状況だけではなく、アドホック通信部32から各自が所有する携帯電話7で受信した詳細な運行情報及び避難情報に従って、最適な避難方法を得ることができる。
【0021】
また、図2では表示装置30内に情報受信部31とアドホック通信部32を内蔵させた場合の構成を説明したが、表示装置30と併設させて情報受信部31とアドホック通信部32を設置させても良い。
【0022】
図3は、第1の実施形態に係わるオペレーションシステムにおいて、制御盤から避難者ヘアドホック通信される情報のフローの一例を示す図である。
【0023】
制御盤10に設けられた情報記憶部11には、例えば、(1)号機番号、(2)送信階番号、(3)避難方式、(4)フロアマップ、(5)カゴ速度、(6)戸開方式の情報があり、更に制御盤10に設けられた運行情報検出部12には、例えば、<1>故障発生信号、<2>エレベータ発着階・帰着階、<3>カゴ位置、<4>エレベータ運行方向、<5>かご内人数の情報があると仮定する。これらの合計11個の情報は、送信情報判定部13へ出力され、そこでアドホック通信部32へ送信すべきかの可否を決定する。
【0024】
図3の内容で説明すれば、例えば情報記憶部11での情報(5)と(6)が送信不要と判断され、(1)〜(4)の情報のみ送信必要と判断される。そして、(1)〜(4) 及び <1>〜<5> のエレベータ情報は、アドホック通信部32に伝送され、避難者6がそれぞれ所有する携帯電話7に送信される。
【0025】
また、制御盤10内の情報記憶部11及び運行情報検出部12に、各階毎に異なる情報(例えば、階床番号や避難経路情報など)を記憶させ、制御盤10内の送信情報判定部13によって階毎にエレベータ情報を選別させて伝送する。そして、各乗場30にあるアドホック通信部32からアドホック通信により避難者6の持つ携帯電話7へ配信させるようにしてもよい。
【0026】
この場合、地震や火災などの災害時に避難するためにエレベータ乗場20へ来た避難者6に対して、階毎に避難指示を変えられることで、避難者6により最適な避難情報を提供することができる。
【0027】
このように本実施形態によれば、エレベータが災害時に避難モードとなると、制御盤10から各乗場20の表示装置30に避難に必要なエレベータ情報が伝送され、このエレベータ情報はアドホック通信部32により配信される。従って、地震や火災などの災害時に避難するためにエレベータ乗場へ来た避難者6に対して、各階に設置されている表示装置30からアドホック通信により避難者6の持つ携帯電話7へ最適な避難情報を提供することができる。このため、避難者6は提供されたエレベータ運行情報や避難指示情報などを基にエレベータを利用した避難が最良の方法かを判断することができ、これにより災害時における避難のためのエレベータの有効利用をはかることができる。
【0028】
なお、災害時の避難者のためのエレベータ運行オペレーションに関する技術ではないが、アドホック通信を利用した公知例として前述した(特許文献1)がある。この(特許文献1)は、監視センターから公衆回線網で繋がっている複数の建物に設置されたエレベータの制御盤に対して、公衆回線網が正常で無い場合には、所定の範囲内にある建物同士でアドホックネットワークを形成し、自己の制御盤からの所定のエレベータ情報を、アドホック通信によって救出者が持つ救出用携帯端末装置へ送信するという発明である。
【0029】
(特許文献1)と本実施形態との相違点は、(特許文献1)は、アドホック通信を用いた救出活動を迅速に行うために発明された救助者用の技術であるのに対し、本実施形態は、アドホック通信を用いて地震や火災などの災害時にエレベータ乗場へ来た避難者に対して、最適な避難情報を提供するために避難者用の技術であり、用途が全く異なっている。さらに、本実施形態は乗場20の表示装置30に設けられた通信部32と避難者6が持つ一般用の携帯電話7との間でのアドホック通信であるのに対し、(特許文献1)はビル単位で設けられた通信装置と救出者が持つ特殊な救出用携帯端末装置とのアドホック通信であり、この点も大きく異なっている。
【0030】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係わるエレベータの避難時運行オペレーションシステムを説明するためのもので、特にエレベータが複数台設置された建物の場合の監視盤と制御盤との関係を示す図である。なお、図1〜図3と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0031】
エレベータがk台であるとすると、各々のエレベータに制御盤が必要であることから、k個の制御盤10(101 ,〜,10k )が設けられている。そして、これらの制御盤10と通信可能な監視盤100が設けられている。
【0032】
監視盤100には、情報記憶部111,情報受信部112,及び送信情報判定部113が設けられている。各制御盤10から送信される各エレベータ情報は、情報受信部112にて受信される。情報受信部112で受信した情報は、情報記憶部111によって記憶される。情報記憶部111に記憶された情報は、送信情報判定部113によって、各制御盤10に出力する必要があるかが目的に応じて判定され、その必要な情報が各制御盤10に対して出力される。つまり、監視盤100は、各制御盤10に他号機のエレベータ情報を伝送する中継器として機能する。
【0033】
なお、情報判定部113での判定方法については、第1の実施形態において、制御盤10と表示装置30と同様の方法のため、その説明を省略する。また、各制御盤10からそれぞれの乗場20への構成は、第1の実施形態での構成と同様のため、その説明を省略する。
【0034】
本実施形態の動作は、監視盤100が各制御盤10から集められる情報を、情報記憶部111にて記憶(一定時間保持したのち消去)し、地震や火災などの災害時に何れかのエレベータが非常運転に切り替わった際に、送信情報判定部113より各制御盤10に各それぞれのエレベータ情報を送信する。各制御盤10からは、各乗場20の表示装置30に設置されているアドホック通信部32へ自号機と共に他号機のエレベータ情報が配信され、アドホック通信が開始される。そして、各乗場20へ避難するために来た避難者6は、各自の携帯電話7からアドホック通信によって、建物に設置されているエレベータの詳細な運行情報や、最適な避難情報を得ることができる。
【0035】
このように本実施形態によれば、エレベータが複数台設置されている建物において、地震や火災などの災害時に避難するためにエレベータ乗場20へ来た被災者6に対して、各階に設置されている表示装置30からのアドホック通信により、被災者6の持つ携帯電話7へ他号機のエレベータ運行情報も含めた最適な避難情報を提供することができる。従って、先の第1の実施形態と同様の効果が得られるのは勿論のこと、エレベータを利用した避難の更なる有用性の向上をはかることができる。
【0036】
(第3の実施形態)
図5(a)(b)は、第3の実施形態に係わるエレベータの避難時運行オペレーションシステムを説明するためのもので、避難者が持つ携帯電話が受信する画面の一例を示す図である。なお、本システムにおけるエレベータ側の構成は第1及び第2の実施形態と同様であるため、ここでは省略する。
【0037】
図5(a)は、最初に開く携帯電話受信画面(画面1)であり、避難者が避難するために辿り着いた号機の運行情報を示している。この受信画面内には、別のページヘアクセスするためのボタンがあり、これをクリックすると、図5(b)に示す次の携帯電話受信画面(画面2)を表示する。画面2では、避難者6がいる場所から最適な避難経路を指示する情報を表示する。
【0038】
図5(a)(b)は、例として、エレベータが複数台設置された建物の場合で、最寄りのエレベータの運行情報を掲示させている図である。エレベータが1台しか無い場合の建物であれば、非常階段の位置を示す地図や、避難場所を指示することもできる。また、図5(a)(b)は例として2段階の場合での説明だが、避難経路や建物のフロアマップを続きでアクセスできるようにするなど、更なる複数段階で提供しても良い。
【0039】
このように本実施形態によれば、地震や火災などの災害時に避難するためにエレベータ乗場へ来た避難者6に対して、アドホック通信によって各自が持つ携帯電話7に受信した情報を、2段階又はそれ以上に分けて提供することにより、避難者6が効率的にエレベータの運行情報や避難方法を得ることができる。従って、エレベータを利用した避難の有効化をはかることができる。
【0040】
(第4の実施形態)
図6(a)(b)は、第4の実施形態に係わるエレベータの避難時運行オペレーションシステムを説明するためのもので、各乗場とアドホック通信部との関係を示す図である。図6(a)は上面図、図6(b)は側面図である。本実施形態は、アドホック通信部が指向性を持っていることが特徴であり、その他の基本的な構成は第1及び第2の実施形態と同様であるため、ここでは省略する。
【0041】
本実施形態では、2台併設されたエレベータ乗場20i ,20i+1 において、各号機毎にそれぞれの表示装置30i ,30i+1 には異なるエレベータ情報が送られる。表示装置30のアドホック通信部32から避難者6の携帯電話7にエレベータ情報を提供する際に、同一階の他のエレベータ乗場との干渉を避けるために、アドホック通信を横方向の範囲では限定を持たせている。つまり、通信部32にある特定の指向性を持たせることで、それぞれの号機に近い避難者6が持つ携帯電話7に、必要なエレベータ情報を正確に送信することを可能にしている。
【0042】
その他の場合としては、エレベータで避難者が居る階と、その上下階とでエレベータ情報を区別させるために、アドホック通信を縦方向の範囲で限定を持たせることが考えられる。
【0043】
このように本実施形態によれば、地震や火災などの災害時に避難するためにエレベータ乗場20へ来た避難者6に対して、アドホック通信できる範囲を限定させることで、近接するアドホック通信部との不要な通信を無くし、避難者6に正確な避難情報を提供することができる。
【0044】
(変形例)
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。実施形態では、乗り場での通信部から避難者の携帯通信機器への伝送方式としてアドホック通信を用いたが、これに限らず無線通信であればよい。例えば、携帯通信機器がGPSを備えていれば、携帯通信機器への直接伝送ではなく、サーバーを介して携帯通信機器へメール等により伝送することも可能である。また、実施形態では、表示装置内に通信装置を設けたが、通信装置は必ずしも表示装置に内蔵されている必要はなく、表示装置に併設、即ち乗り場近傍に設けられたものであればよい。
【0045】
また、エレベータの構造には何ら限定されず、各種のエレベータに同様に適用することができる。さらに、表示装置の構造や回路構成等も実施形態に何ら限定されるものではなく、仕様に応じて適宜変更可能である。また、利用者が持つ携帯通信機器は必ずしも携帯電話に限るものではなく、エレベータ乗場で送信されるエレベータ情報を受信できるものであればよい。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1…巻上機
2…カゴ
3…つなぎ箱
4…おもり
6(61 ,〜,6n )…避難者
7(71 ,〜,7n )…携帯電話(携帯通信機器)
10(101 ,〜,10k )…制御盤
11…情報記憶部
12…運行情報検出部
13…送信情報判定部
20(201 ,〜,20m )…乗場
30(301 ,〜,30m )…表示装置
31…情報受信部
32…アドホック通信部
100…監視盤
111…情報記憶部
112…情報受信部
113…送信情報判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの運行を制御する制御盤と、
前記エレベータの各停止階のエレベータ乗場にそれぞれ設置され、前記エレベータの運行状況を表示する表示装置と、
前記表示装置にそれぞれ内蔵若しくは併設された通信装置と、
を具備し、
前記通信装置は、前記エレベータが非常運転に切り替わった際に、前記制御盤から伝送されるエレベータ情報を、避難するために各階のエレベータ乗場へ来た避難者が持つ携帯通信機器に対して、無線通信によって送信することを特徴とする、エレベータの運行オペレーションシステム。
【請求項2】
複数台のエレベータの運行をそれぞれ制御する複数の制御盤と、
前記複数の制御盤に接続され、各々の制御盤からのエレベータ情報を中継する監視盤と、
前記エレベータ毎に、前記エレベータの各停止階のエレベータ乗場にそれぞれ設置され、当該エレベータの運行状況を表示する表示装置と、
前記表示装置にそれぞれ内蔵若しくは併設された通信装置と、
を具備し、
前記監視盤は、前記各制御盤に他号機のエレベータ情報を伝送し、
前記各制御盤は、自号機と共に他号機のエレベータ情報を自号機に対応する前記通信装置に伝送し、
前記通信装置は、前記エレベータが非常運転に切り替わった際に、前記制御盤から伝送されるエレベータ情報を、避難するために各階のエレベータ乗場へ来た避難者が持つ携帯通信機器に対して、無線通信によって送信することを特徴とする、エレベータの運行オペレーションシステム。
【請求項3】
前記通信装置が無線通信により送信する情報は、前記制御盤から伝送されるエレベータ情報を2段階又はそれ以上の段階に分割して提供されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のエレベータの運行オペレーションシステム。
【請求項4】
前記制御盤は、前記エレベータの各停止階に設けられた前記通信装置に対して、前記エレベータ情報を階毎に選別して伝送することを特徴とする、請求項1又は2に記載のエレベータの運行オペレーションシステム。
【請求項5】
前記制御盤は、前記エレベータにおける不変情報を記憶する情報記憶部と、前記エレベータの運行状況によって変化する情報を検出して一時記憶する運行情報検出部とを備え、前記情報記憶部に記憶された各情報及び前記運行情報検出部に一時記憶された各情報を選択して出力することを特徴とする請求項1又は2に記載のエレベータの運行オペレーションシステム。
【請求項6】
前記通信装置は、同一階の他のエレベータ乗場との干渉を避けるために、指向性を持った無線通信を行うことを特徴とする、請求項2に記載のエレベータの運行オペレーションシステム。
【請求項7】
前記通信装置は、Bluetooth(登録商標)又は無線LANを利用したアドホック通信を行うことを特徴とする、請求項1〜6の何れかに記載のエレベータの運行オペレーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−20824(P2012−20824A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159139(P2010−159139)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】