説明

エレベータの防犯カメラ用伝送ケーブルの敷設構造

【課題】かご枠や昇降路内の機材類との接触の恐れがなく、また吊りに関する管理が容易となるエレベータの防犯カメラ用伝送ケーブルの敷設構造を提供することにある。
【解決手段】昇降路1内で昇降する乗りかご6内に防犯カメラ12が設けられ、この防犯カメラ12と機械室2内のビデオデッキ13とが撮影画像伝送用の伝送ケーブル20で接続される。乗りかご6と昇降路1の側壁のターミナル部15との間にはテールコード16が掛け渡され、このテールコード16を介して乗りかご6と機械室2内の制御盤10とが接続されている。そして前記伝送ケーブル20が前記テールコード16内に内蔵されて一体化されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータの乗りかごに設置される防犯カメラの伝送ケーブルを所定の区間に敷設するための敷設構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、防犯上の観点から乗りかご内に防犯カメラを設置して乗りかご内の様子を撮影することが一般に行なわれている。この場合、乗りかご内の防犯カメラは、例えば昇降路内上部の機械室に設置されたビデオデッキと撮影画像伝送用の伝送ケーブルで接続される。伝送ケーブルとしては同軸ケーブルが用いられる。
【0003】
また、昇降路上部の機械室には、エレベータ制御回路が組み込まれた制御盤が設けられ、この制御盤と乗りかごとがテールコードで接続され、このテールコードを介して乗りかごへの電力の供給や乗りかごと制御盤との間での各種の信号の送受信が行なわれる。このテールコードは、昇降路内にU字状に屈曲して垂れ下がるように乗りかごの下端部と昇降路側壁のターミナル部との間に掛け渡されている。
【0004】
そして、特開2000−1277公報に見られるように、防犯カメラの伝送ケーブルをテールコートに沿うように隣接させ、その双方を結束バンドで結束して伝送ケーブルを昇降路内に敷設する技術が提案されている。結束バンドとしては、インシュロックと呼ばれる、環状に回したバンドを一方向に引っ張ることで伝送ケーブルとテールコードとを結束することが可能な合成樹脂製の締め具が用いられることがある。
【特許文献1】特開2000−1277公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、伝送ケーブルをテールコードに沿うように隣接させ、その双方を結束バンドで結束して伝送ケーブルを昇降路内に敷設する構造では、結束バンドの一部が伝送ケーブルやテールコードの外周側に突出するため、乗りかごが昇降移動する際にその突出部が乗りかごのかご枠や昇降路内の機材類に接触し、その衝撃で伝送ケーブルやテールコードを損傷させてしまう恐れがある。また、テールコードに伝送ケーブルを沿わせて結束バンドで結束する構造では、伝送ケーブルの吊りの調整が難しくなったりテールコードの吊りバランスが崩れやすくなったりして吊りに関する管理が面倒となる。
【0006】
この発明はこのような点に着目してなされたもので、その目的とするところは、かご枠や昇降路内の機材類との接触の恐れがなく、また吊りに関する管理を容易に行なえるエレベータの防犯カメラ用伝送ケーブルの敷設構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、乗りかご内の防犯カメラに接続される撮影画像伝送用の伝送ケーブルと、前記乗りかごとターミナル部との間に掛け渡されるテールコードとを具備し、前記伝送ケーブルが前記テールコード内に内蔵されていることを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、前記テールコードの断面が円形であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、かご枠や昇降路内の機材類との接触の恐れがなく、また吊りに関する管理が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1にはエレベータの全体の構成を示してあり、建屋の昇降路1の上部には機械室2が設けられ、この機械室2内に駆動装置としての巻上機3が設置されている。巻上機3にはメインロープ5が巻き掛けられ、このメインロープ5の両端側が昇降路1内に導出され、その一端側の端部に乗りかご6が、他端側の端部にカウンターウエイト7がそれぞれ取り付けられ、これら乗りかご6とカウンターウエイト7とが互いに重量的にほぼ平衡するように昇降路1内に吊下げられている。
【0012】
機械室2には、エレベータ制御回路が組み込まれた制御盤10が設置され、この制御盤10による制御で巻上機3が駆動され、乗りかご6とカウンターウエイト7とが互いに逆方向に昇降移動する。
【0013】
乗りかご6内には防犯カメラ12が設置され、また機械室2内にはその防犯カメラ12の撮影画像を録画するビデオデッキ13が設置されている。昇降路1の側壁にはターミナル部15が設けられ、このターミナル部15と乗りかご6の下端部との間に断面円形のテールコード16が掛け渡されている。ターミナル部15と制御盤10との間には接続線17が配線され、この接続線17を介してテールコード16が制御盤10に接続されている。そして制御盤10と乗りかご6との間での電力の供給や各種の信号の送受信がテールコード16を通して行なわれる。
【0014】
乗りかご6内の防犯カメラ12と機械室2内のビデオデッキ13は撮影画像伝送用の伝送ケーブル20で接続されている。この伝送ケーブル20は例えば同軸ケーブルからなり、図2に示すようにテールコード16内に内蔵されている。すなわち、テールコード16は麻芯22を中心としてその周囲に複数本の導体23を均等的に配し、これら麻芯22と導体23を可撓性を有する絶縁材料からなるシース24で覆って全体の断面が円形となるように一体化してなる。そして前記シース24の内部に伝送ケーブル20が埋め込まれてテールコード16に一体化されている。
【0015】
伝送ケーブル20は麻芯22及び導体23と平行に延びるとともにその両端側がそれぞれシース24から突出し、その突出した一端側の端部が防犯カメラ12に接続され、他端側の端部がビデオデッキ13に接続されている。
【0016】
このように伝送ケーブル20をテールコード16の内部に内蔵する構造によれば、従来のような結束バンドが不要であり、したがって結束バンドが乗りかご6のかご枠や昇降路1内の機材類に接触し、その接触の衝撃で伝送ケーブル20やテールコード16が損傷するというようなことがなく、伝送ケーブル20やテールコード16の損傷を防止することができる。
【0017】
また、テールコード16内に伝送ケーブル20が内蔵されているから、伝送ケーブル20の吊り調整を別個に行なう必要がなく、またテールコード16の吊りのバランスが崩れることもなく、その吊りに関する管理が容易となる。
【0018】
なお、前記実施形態では、昇降路1の上部に機械室2を設け、この機械室2内に巻上機3、制御盤10及びビデオデッキ13を設置する構造としたが、機械室を設けずに、昇降路1内の適宜な個所に巻上機3、制御盤10及びビデオデッキ13を設置するような構造とする場合であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の一実施形態に係るエレベータの全体の構成を示す説明図。
【図2】そのエレベータのテールコードの構造を示す断面図。
【符号の説明】
【0020】
1…昇降路
2…機械室
3…巻上機
5…メインロープ
6…乗りかご
7…カウンターウエイト
10…制御盤
12…防犯カメラ
13…ビデオデッキ
15…ターミナル部
16…テールコード
17…接続線
20…伝送ケーブル
22…麻芯
23…導体
24…シース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかご内の防犯カメラに接続される撮影画像伝送用の伝送ケーブルと、
前記乗りかごとターミナル部との間に掛け渡されるテールコードとを具備し、
前記伝送ケーブルが前記テールコード内に内蔵されていることを特徴とするエレベータの防犯カメラ用伝送ケーブルの敷設構造。
【請求項2】
前記テールコードは断面が円形であることを特徴とすることを請求項1に記載のエレベータの防犯カメラ用伝送ケーブルの敷設構造。

【図1】
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【図2】
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