説明

エレベーターの視覚障害者誘導装置

【課題】 視覚障害者が発信機の携帯を不要とすると共に、簡易なエレベーターの視覚障害者誘導装置を得る。
【解決手段】乗場に設けられた指向性スピーカー36からの音声が届く範囲内で、乗場の戸8からの第1位置、第2位置に来た人を検出する少なくとも二つの第1センサ,第2センサと、第1センサが人を検出すると、音声により1停止階に行きたい場合、範囲内の第1領域で停止することを指示すると共に、第2センサが人を検出すると、音声により第2停止階に行きたい場合、前記範囲内の第2領域で停止することを指示する音声案内手段と、第1センサが人を所定時間検出することにより第1停止階の呼びを登録し、第2センサが人を所定時間検出することにより第2停止階の呼びを登録する呼び登録部とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターの視覚障害者誘導装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベーターの視覚障害者誘導装置は下記特許文献1に記載のように、視覚障害者をエレベーターに誘導する視覚障害者誘導装置において、エレベーターの設けられた建物に、その通路に沿って複数箇所に設けられた受信部と、これら受信部にそれぞれ対応して設けられ、視覚障害者が所有する発信機から発せられる信号を受信部が受信すると、視覚障害者に対しエレベーターの乗場に誘導する誘導信号を発信する発信部とを備えたたものである。
かかる視覚障害者誘導装置によれば、エレベーターを利用する視覚障害者を、エレベーターの乗場まで、誘導案内することができる為、視覚障害者は他人の手助けなく、曲がった通路があっても容易にエレベーターの乗場に到着することができ、エレベーターを利用することができる。
【特許文献1】特開2001−139238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記エレベーターの視覚障害者誘導装置では、視覚障害者が発信機を所有しており、該発信機から発せられる信号に基づいて視覚障害者を乗場に誘導する信号を発生していた。このため、視覚障害者は発信機を必ず携帯した上で、エレベーターに乗り込まなければならないので、発信機の携帯が煩雑であるという課題があった。
【0004】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、視覚障害者が発信機の携帯を不要とすると共に、簡易なエレベーターの視覚障害者誘導装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明に係るエレベーターの視覚障害者誘導装置は、エレベーターの乗場に設けられると共に、前記乗場から一定方向に前記エレベーターへの案内を音声により成す指向性スピーカーと、該指向性スピーカーからの音声が届く範囲内で、前記乗場の戸からの第1位置、第2位置に来た人を検出する少なくとも二つの第1センサ,第2センサと、前記第1センサが人を検出すると、前記音声により第1停止階に行きたい場合、前記範囲内の第1領域で停止することを指示すると共に、前記第2センサが人を検出すると、前記音声により第2停止階に行きたい場合、前記範囲内の第2領域で停止することを指示する音声案内手段と、前記第1センサが前記人を所定時間の間検出することにより前記第1停止階の呼びを登録し、前記第2センサが前記人を所定時間の間検出することにより前記第2停止階の呼びを登録する呼び登録手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0006】
第2の発明に係るエレベーターの視覚障害者誘導装置における音声案内手段は、呼び登録手段にかごの呼びが登録されると、指向性スピーカーから乗場に向かって進むようにと音声を発声する、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
第1の発明によれば、視覚障害者が発信機の携帯を不要とすると共に、簡易なエレベーターの視覚障害者誘導装置を得ることができるという効果がある。
【0008】
第2の発明によれば、視覚障害者を乗場まで簡易に案内できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
本発明の一実施の形態を図1乃至図3によって説明する。図1は本発明の一実施の形態を示すエレベーターの乗場の正面図(a)、エレベーターの乗場付近の側面図(b)、図2は一実施の形態を示すエレベーターの乗場付近の平面図、図3は一実施の形態によるエレベーターの視覚障害者誘導装置のフロック図である。
図1(a)において、乗場床4には、扉2から離れて設けられた昇降路を仕切る側壁5が立設されている。この側壁5には乗場出入口6が形成されており、三方枠7が取り付けられている。この三方枠7で仕切られた乗場出入口6には、乗場戸8が設けられており、人3が近くに立っている。
【0010】
図1(a)において、三方枠7を構成する一側の縦枠には、かご呼び釦21と、かごの到着を知らせるホールランタン23とが設けられている。乗場出入口6の上部には、乗場インジケータ25と、乗場出入口6から一定方向としての前面方向にエレベーターへの案内を音声により成す指向性を有するスピーカー36とが設けられている。
【0011】
図1(b)において、通路の天井11には、扉2から乗場出入口6までの間に、等間隔に離れて設けられ、人3を検出する進入センサ50、第1センサ51〜第3センサ53が設けられている。
図2おいて、スピーカー36は、所定の音声領域36aで前進方向に音声を発声するように形成されており、その音声領域36a内に人3が乗場から離れた順に進入領域(進入位置)50a、第1領域(第1位置)51a〜第3領域(第3位置)53aを有している。
【0012】
図3において、視覚障害者誘導装置30は、進入センサ50、第1センサ51〜第3センサ53が人を検出した進入信号、第1人検出信号〜第3人検出信号を受ける制御部32と、制御部32からの第1センサ51が人3を検出すると、第1人検出信号を発生して音声により第1停止階としての2階に行く場合、音声領域51aの範囲で第1領域51aで停止することを音声により指示し、第2センサ52が人3を検出すると、第2人検出信号を発生して音声により第2停止階としての3階に行く場合、音声領域51aの範囲で第2領域52aで停止することを音声により指示し、第3センサ53が人3を検出すると、第3人検出信号を発生して音声により第3停止階としての4階に行く場合、音声領域51aの範囲で第3領域53aで停止することを音声により指示する音声案内部34と、音声案内部34の出力に指向性を有するスピーカー36とが設けられている。
【0013】
図3において、視覚障害者誘導装置30は、制御部32の出力に接続されると共に、第1センサ51が人3を所定時間の間検出することにより2階の呼びを登録し、第2センサ52が人3を所定時間の間検出することにより3階の呼びを登録し、第3センサ53が人3を所定時間の間検出することにより4階の呼びを登録する呼び登録部40が設けられている。
音声案内部34には、呼び登録部40にかごの呼びが登録されると、スピーカー36から乗場に向かって進むようにと音声を発声するように形成されている。
呼び登録部40には、呼び釦21と、乗場インジケータ25と、ホールランタン23と、モータ制御部60とが接続されている。
【0014】
上記のように構成されたエレベーターの視覚障害者誘導装置の動作を、図1乃至図4を参照して説明する。図4はエレベーターの視覚障害者誘導装置の動作を示すフローチャートである。いま、扉2から人3が進入して進入領域50aに来ると、進入センサ50が人3を検出して進入信号を発生して制御部32に入力する(ステップS101)。制御部32からの制御信号により音声案内部34は、「手前がエレベーターの乗場です。」という案内をスピーカー36から発生する(ステップS103)。
【0015】
乗場の方向に向かって進行すると、人3が第1領域51aに来ると、第1センサ51が人3を検出して第1人検出信号を発生して制御部32に入力する(ステップS105)。制御部32からの制御信号により音声案内部34は、「一旦停止すると、かごの2階の呼びが登録されます。」という案内をスピーカー36から発生する(ステップS107)。
制御部32は第1センサ51からの第1人検出信号により人3が一旦停止したか否かを判断し(ステップS109)、一旦停止すると、呼び登録部40が2階への呼びを登録する(ステップS111)。一方、人3が一旦停止しないと、乗場の方向に向かってさらに人3が進行し、人3が第2領域52aに来ると、第2センサ52が人3を検出して第2人検出信号を発生して制御部32に入力する(ステップS113)。
制御部32からの制御信号により音声案内部34は、「一旦停止すると、かごの3階の呼びが登録されます。」という案内をスピーカー36から発生する(ステップS115)。
制御部32は第2センサ52からの第2人検出信号により人3が一旦停止したか否かを判断し(ステップS117)、一旦停止すると、呼び登録部40が3階への呼びを登録する(ステップS119)。かごを1階に移動し、上記呼び登録部40に登録された運転を成す。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は、エレベーターに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態を示すエレベーターの乗場の正面図(a)、エレベーターの乗場付近の側面図(b)である。
【図2】本発明の一実施の形態を示すエレベーターの乗場付近の平面図である。
【図3】本発明の一実施の形態によるエレベーターの視覚障害者誘導装置のフロック図である。
【図4】エレベーターの視覚障害者誘導装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0018】
3 人、30 視覚障害者誘導装置、34 音声案内部、36 スピーカー、40 呼び登録部、50 進入センサ、51 第1センサ、52 第2センサ、51a 第1位置、52a 第2位置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの乗場に設けられると共に、前記乗場から一定方向に前記エレベーターへの案内を音声により成す指向性スピーカーと、
該指向性スピーカーからの音声が届く範囲内で、前記乗場の戸からの第1位置、第2位置に来た人を検出する少なくとも二つの第1センサ,第2センサと、
前記第1センサが人を検出すると、前記音声により第1停止階に行きたい場合、前記範囲内の第1領域で停止することを指示すると共に、前記第2センサが人を検出すると、前記音声により第2停止階に行きたい場合、前記範囲内の第2領域で停止することを指示する音声案内手段と、
前記第1センサが前記人を所定時間の間検出することにより前記第1停止階の呼びを登録し、前記第2センサが前記人を所定時間の間検出することにより前記第2停止階の呼びを登録する呼び登録手段と、
を備えたことを特徴とするエレベーターの視覚障害者誘導装置。
【請求項2】
前記音声案内手段は、前記呼び登録手段に前記かごの呼びが登録されると、前記指向性スピーカーから前記乗場に向かって進むようにと音声を発声する、
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベーターの視覚障害者誘導装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−230742(P2007−230742A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−56181(P2006−56181)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】