説明

エレベーター群管理装置

【課題】利用者が携行する携帯端末によって行先階入力を行う場合における、割当かごの最適化を図り、エレベーターの運転効率を向上することができるエレベーター群管理装置を提供する。
【解決手段】エレベーター群管理装置に関し、利用者が携行する携帯端末3を用いて所望の行先階を入力するエレベーターにおいて、前記利用者が前記携帯端末3を操作して行先階入力を行った位置から、前記エレベーターの乗場があるエレベーターホールまで、前記利用者が移動するのにかかる移動時間を算出する移動時間制御手段1dと、前記移動時間制御手段1dにより算出された前記移動時間を考慮して、前記行先階の入力に対して割当てるエレベーターの乗りかごである割当かごを決定する割当かご決定手段1eと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベーター群管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来におけるエレベーターにおいては、利用者が携行する携帯端末(リモコン)によって乗場呼び登録及び行先階登録を行うものとして、利用者に携行され、利用者がいる乗場からの乗りかごの行先階を指定する操作信号を遠隔から送信する携帯端末と、この携帯端末からの前記操作信号を受信する受信機と、を備えたエレベーター操作装置において、前記携帯端末は、固有単一の操作信号を送出するものとし、この操作信号に対して登録を行う行先階を、前記操作信号及び前記操作信号が受信される階に基づいて決定する行先階決定手段を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、この行先階決定手段は、予め用意した変換テーブルを用いて、受信した操作信号に対応する携帯端末の所持者である利用者の交通動線に合致した行先階となるよう、行先階を決定するものである。
【0003】
また、従来の、複数台のエレベーターをグループ(群)として利用者の利用状況に応じて効率的に運動制御するエレベーター群管理装置において、特許文献1に記載のものと同じく利用者が携行する携帯端末によって乗場呼び登録及び行先階登録を行うものとして、利用者が携行する携帯端末によって遠隔から行先階を入力すると、これに応じて乗場呼び登録及び行先階登録を行うとともに、この乗場呼びに割当られたエレベーターを色彩による視覚表示によって利用者に知らせるものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−142861号公報
【特許文献2】国際公開2006/041466号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のような携帯端末を用いた行先階入力は、エレベーターの乗場があるエレベーターホールから離れた場所から行われるのが通常である。従って、行先階入力が行われた場所からエレベーターホールまで利用者が移動して、乗場でエレベーターに搭乗できるようになるまでには、行先階入力が行われた時点から、この移動時間分だけのタイムラグが発生することになる。
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に示されたいずれにおいても、この移動時間に伴って発生するタイムラグについて考慮することなく、行先階入力に応答する乗りかごの割当を行っていたため、行先階入力を行った当該利用者がエレベーターホールに到着する前に乗りかごが乗場に到着することが起こり得、そうすると、当該利用者がエレベーターホールに到着するまでの時間この乗りかごは乗場で待機することになり、エレベーターの運転効率が低下してしまうという課題がある。
【0007】
特に特許文献2に記載されたような群管理エレベーターにおいては、従来、利用者の待ち時間を最小にすべく、なるべく呼び登録階に近い乗りかごを割当てることが多いため、このような課題に伴う不利益が顕著である。
【0008】
この発明は、このような課題を解決するためになされたもので、利用者が携行する携帯端末によって乗場呼び登録及び行先階登録を行う場合における、割当かごの最適化を図り、エレベーターの運転効率を向上することができるエレベーター群管理装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係るエレベーター群管理装置に関しては、利用者が携行する携帯端末を用いて所望の行先階を入力するエレベーターにおいて、前記利用者が前記携帯端末を操作して行先階入力を行った位置から、前記エレベーターの乗場があるエレベーターホールまで、前記利用者が移動するのにかかる移動時間を算出する移動時間制御手段と、前記移動時間制御手段により算出された前記移動時間を考慮して、前記行先階の入力に対して割当てるエレベーターの乗りかごである割当かごを決定する割当かご決定手段と、を備えた構成とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係るエレベーター群管理装置においては、利用者が携行する携帯端末によって行先階入力を行う場合の割当かごの最適化を図り、エレベーターの運転効率を向上することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1から実施の形態5に係るエレベーター群管理装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るエレベーター群管理装置の動作を示すフロー図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係るエレベーター群管理装置の動作を示すフロー図である。
【図4】この発明の実施の形態3に係るエレベーター群管理装置の動作を示すフロー図である。
【図5】この発明の実施の形態4に係るエレベーター群管理装置の動作を示すフロー図である。
【図6】この発明の実施の形態5に係るエレベーター群管理装置の動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明を添付の図面に従い説明する。各図を通じて同符号は同一部分又は相当部分を示しており、その重複説明は適宜に簡略化又は省略する。
【0013】
実施の形態1.
図1及び図2は、この発明の実施の形態1に係るもので、図1はエレベーター群管理装置の全体構成を示すブロック図、図2はエレベーター群管理装置の動作を示すフロー図である。
図において1は複数台のエレベーターをグループ(群)として利用者の利用状況に応じて効率的に運動制御する群管理制御装置であり、各エレベーターの乗りかご(図示せず)の運行制御は、かご制御装置2により、群管理制御装置1の指令に従って行われている。
【0014】
当該エレベーターの利用者は、遠隔から所望の行先階を入力するための携帯端末3を携行しており、この携帯端末3は、文字、図形や画像等による情報を表示するための液晶ディスプレイ等からなる画像表示手段3a、後述するアンテナと無線通信にて信号の送受信を行うための無線通信手段3b、及び、0から9まで各数字ボタンと例えば決定ボタンや取消ボタン等の機能ボタンから構成されるテンキー3cを備えている。
【0015】
当該エレベーターの据付けられた建物内には、各々個別の通信対象エリアを持つ複数のアンテナが設置されている。ここでは、当該建物内におけるこれらそれぞれの通信対象エリアが、例えば、エリアA、エリアB及びエリアCの3つであるとし、これらの通信対象エリアに対応するアンテナをそれぞれエリアAのアンテナ4a、エリアBのアンテナ4b及びエリアCのアンテナ4cとする。
携帯端末3は、現在、携帯端末3が位置しているエリアを通信対象エリアとするアンテナとの間で無線通信を行い、例えば、携帯端末3の現在位置がエリアA内であれば、携帯端末3とエリアAのアンテナ4aとの間で無線通信がなされる。
【0016】
そして、これらのアンテナと携帯端末3との間の無線通信による信号の送受信は通信制御装置5によって制御されており、この通信制御装置5は、群管理制御装置1からの指令信号に基づいて、エリアAのアンテナ4a、エリアBのアンテナ4b及びエリアCのアンテナ4cのうち携帯端末3が現在位置しているエリアを通信対象エリアとするアンテナを介して携帯端末3へと信号を送信する。この信号を無線通信手段3bによって受けた携帯端末3は、受信した信号に基づいて、例えば、画像表示手段3aに文字情報を表示する等の動作を行う。
【0017】
また、利用者により携帯端末3が使用されてテンキー3cが操作等されると、この操作情報は、無線通信手段3bによって携帯端末3から信号として送信される。そして、この信号は、エリアAのアンテナ4a、エリアBのアンテナ4b及びエリアCのアンテナ4cのうち携帯端末3が現在位置しているエリアを通信対象エリアとするアンテナにより受信され、通信制御装置5を介して群管理制御装置1へと伝えられる。ここで、通信制御装置5から群管理制御装置1へと伝えられる情報には、当該信号がエリアAのアンテナ4a、エリアBのアンテナ4b及びエリアCのアンテナ4cのうちどのアンテナで受信されたものであるかについての情報(以下、アンテナ情報という。)が含まれている。
【0018】
群管理制御装置1には、エリア判別手段1a、エリア別移動距離記憶手段1b、移動速度記憶手段1c、移動時間制御手段1d及び割当かご決定手段1eが備えられている。
エリア判別手段1aは、通信制御装置5から伝えられるアンテナ情報に基づいて、携帯端末3が使用されアンテナと無線通信を行った時における携帯端末3の位置が属するエリアの判別を行い、これをエリア情報として設定する。エリア別移動距離記憶手段1bは、当該建物内の各エリアから当該エレベーターの乗場があるエレベーターホールまでの距離を予め記憶しておくものであり、移動速度記憶手段1cは、利用者の平均的な移動速度を予め記憶しておくものである。
【0019】
また、移動時間制御手段1dは、携帯端末3の使用エリアからエレベーターホールまで利用者が移動するのにかかる移動時間を算出するものであり、この移動時間は、具体的には、エリア判別手段1aにより設定されたエリア情報に基づいて、携帯端末3の使用エリアからエレベーターホールまでの距離をエリア別移動距離記憶手段1bから取得し、利用者の移動速度を移動速度記憶手段1cから取得した上で、この移動距離を移動速度で除することにより算出される。
そして、割当かご決定手段1eは、この移動時間制御手段1dにより算出された移動時間、利用者により入力された行先階、当該エレベーターの運行状況や既に登録されている呼び登録状況等に基づいて、利用者により入力された行先階呼びに応答するのに最適な乗りかごの割当てを行う。
【0020】
なお、図1中、GPS機能3d及び速度計測手段3eについては、後述する他の実施の形態において用いるものであり、ここで説明している実施の形態1の実施については、必ずしも設ける必要のないものである。
【0021】
この実施の形態にあっては、群管理装置は、図2に示す一連のフローに従って動作する。
まず、利用者により、携行する携帯端末3のテンキー3cが操作され、利用者の所望する行先階が入力されると、携帯端末3の無線通信手段3bは、この行先階情報を無線通信により送信する(ステップS1)。
そして、この行先階情報は、エリアAのアンテナ4a、エリアBのアンテナ4b及びエリアCのアンテナ4cのうち携帯端末3の現在エリアを担当するアンテナを介して通信制御装置5により受信され、通信制御装置5は受信した行先階情報及びアンテナ情報を群管理制御装置1へと出力する(ステップS2)。
【0022】
次のステップS3において、群管理制御装置1のエリア判別手段1aは、通信制御装置5からのアンテナ情報に基づいて、携帯端末3の操作時における携帯端末3の位置が属する操作エリアが、エリアA、エリアB及びエリアCのいずれであるかの判別を行う。
この判別において、携帯端末3が操作されたエリアがエリアAであると判別された場合にはステップS4aへと移行して、エリア判別手段1aはエリアAをエリア情報として設定する。そして、このステップS3の判別において、携帯端末3が操作されたエリアがエリアBであると判別された場合にはステップS4bへと移行してエリア判別手段1aはエリアBをエリア情報として設定し、携帯端末3が操作されたエリアがエリアCであると判別された場合にはステップS4cへと移行して、エリア判別手段1aはエリアCをエリア情報として設定する。
【0023】
続くステップS5において、群管理制御装置1の移動時間制御手段1dは、先のステップでエリア判別手段1aにより設定されたエリア情報に基づいて、携帯端末3が利用者により操作され行先階入力がなされたエリアからエレベーターホールまでの距離をエリア別移動距離記憶手段1bから取得する。そして、利用者の移動速度を移動速度記憶手段1cから取得し、移動距離を移動速度で除することにより、携帯端末3が操作され行先階入力がなされたエリアからエレベーターホールまで利用者が移動するのにかかる移動時間の推定値を算出した後、ステップS6へと進む。
【0024】
ステップS6においては、群管理制御装置1の割当かご決定手段1eは、ステップS5で移動時間制御手段1dにより算出された移動時間が、現時点から経過した後に当該行先階入力がなされた階床に到着し、かつ、携帯端末3から入力された行先階の方向へと運行することが可能な乗りかごの中から、最も運転効率の良い乗りかごを割当かごに決定し、この割当かごに関する情報である割当かご情報を作成する。
【0025】
そして、ステップS7へと移行して、群管理制御装置1は、割当かご決定手段1eにより作成された割当かご情報をかご制御装置2及び通信制御装置5へと出力する。
これを受けた通信制御装置5は、ステップS8において、エリアAのアンテナ4a、エリアBのアンテナ4b及びエリアCのアンテナ4cのうち携帯端末3が現在位置するエリアを担当しているアンテナを用いて、携帯端末3へと、この割当かご情報を無線通信により送信し、ステップS9へと移る。
【0026】
ステップS9では、携帯端末3の無線通信手段3bによりこの割当かご情報を受信して、携帯端末3の画像表示手段3aにこの割当かご情報表示を行い、当該携帯端末3を携行する利用者に対して行先階入力操作の結果を伝達する。この表示は、具体的には例えば、割当かごの号機を文字情報により表示したり、エレベーターホールの地図を表示したりすることにより行うことが考えられる。
【0027】
そして、ステップS10に進み、群管理制御装置1から出力された割当かご情報を受けたかご制御装置2は、この割当かご情報に従って、割当かごを当該行先階入力に応答させるべく運行制御を行う。
こうして、最終的にステップS11へと達し、一連の動作フローは終了する。
【0028】
以上のように構成されたエレベーター群管理装置においては、移動時間制御手段により、利用者が携帯端末を操作して行先階入力を行った位置から、エレベーターの乗場があるエレベーターホールまで、利用者が移動するのにかかる移動時間を算出し、割当かご決定手段により、移動時間制御手段により算出された移動時間を考慮して行先階の入力に対して割当てるエレベーターの乗りかごである割当かごを決定することで、利用者が携行する携帯端末によって行先階入力登録を行う場合の割当かごの最適化を図り、エレベーターの運転効率を向上することができる。
【0029】
特に、割当かご決定手段によって、移動時間制御手段により算出された移動時間の経過した後に乗場に到着し、かつ、入力された行先階の方向へと運行することが可能な乗りかごの中から割当かごを決定することで、行先階入力を行った当該利用者がエレベーターホールに到着する前に乗りかごが乗場に到着することがなくなり、乗りかごの待機時間を低減して運転効率が良好になる。
【0030】
実施の形態2.
図1及び図3は、この発明の実施の形態2に係るもので、図1はエレベーター群管理装置の全体構成を示すブロック図、図3はエレベーター群管理装置の動作を示すフロー図である。
ここで説明する実施の形態2は、前述した実施の形態1の構成におけるアンテナ情報に替えて、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)を用いて得られるGPS情報に基づいて、携帯端末の現在位置が属するエリアの判別を行うようにしたものである。
【0031】
すなわち、携帯端末3には、GPSを利用して携帯端末3の現在位置(緯度経度等)を測定するGPS機能3dが備えられており、このGPS機能3dにより得られたGPS情報は、無線通信手段3bにより、エリアAのアンテナ4a、エリアBのアンテナ4b及びエリアCのアンテナ4cのうち携帯端末3の現在位置が属するエリアを通信対象エリアとしているアンテナを介して、通信制御装置5へと無線通信で送信される。
【0032】
そして、通信制御装置5により受信されたGPS情報は群管理制御装置1へと伝えられ、群管理制御装置1のエリア判別手段1aは、このGPS情報に基づいて、携帯端末3が使用されアンテナと無線通信を行った時における携帯端末3の位置が属するエリア(が、エリアA、エリアB及びエリアCのいずれであるのか)の判別を行い、これをエリア情報として設定する。
従って、この実施の形態2においてはアンテナ情報は利用されないため、通信制御装置5は群管理制御装置1へとアンテナ情報を出力する必要はない。
なお、これ以外の他の構成については実施の形態1と同様である。
【0033】
この実施の形態にあっては、群管理装置は、図3に示す一連のフローに従って動作する。
まず、ステップS21において、利用者により携行する携帯端末3のテンキー3cが操作され利用者の所望する行先階が入力されると、携帯端末3の無線通信手段3bは、この行先階情報を無線通信により送信するとともに、同時に、GPS機能3dにより携帯端末3の現在位置に関するGPS情報を取得し、このGPS情報も無線通信手段3bによって無線通信で送信される。
【0034】
そして、これら行先階情報及びGPS情報は、エリアAのアンテナ4a、エリアBのアンテナ4b及びエリアCのアンテナ4cのうち携帯端末3の現在エリアを担当するアンテナを介して通信制御装置5により受信され、通信制御装置5は受信した行先階情報及びGPS情報を群管理制御装置1へと出力する(ステップS22)。
次のステップS23において、群管理制御装置1のエリア判別手段1aは、通信制御装置5からのGPS情報に基づいて、携帯端末3の操作時における携帯端末3の位置が属する操作エリアが、エリアA、エリアB及びエリアCのいずれであるかの判別を行う。
【0035】
このステップS23の次のステップであるステップS24a、S24b及びS24C以降の動作フローについては、前述した実施の形態1と同様である、
すなわち、ステップS23の判別において、携帯端末3が操作されたエリアがエリアAであると判別された場合にはステップS24aへと移行して、エリア判別手段1aはエリアAをエリア情報として設定する。そして、このステップS23の判別において、携帯端末3が操作されたエリアがエリアBであると判別された場合にはステップS24bへと移行してエリア判別手段1aはエリアBをエリア情報として設定し、携帯端末3が操作されたエリアがエリアCであると判別された場合にはステップS24cへと移行して、エリア判別手段1aはエリアCをエリア情報として設定する。
【0036】
続くステップS25において、群管理制御装置1の移動時間制御手段1dは、先のステップでエリア判別手段1aにより設定されたエリア情報に基づいて、携帯端末3が利用者により操作され行先階入力がなされたエリアからエレベーターホールまでの距離をエリア別移動距離記憶手段1bから取得する。そして、利用者の移動速度を移動速度記憶手段1cから取得し、移動距離を移動速度で除することにより、携帯端末3が操作され行先階入力がなされたエリアからエレベーターホールまで利用者が移動するのにかかる移動時間の推定値を算出した後、ステップS26へと進む。
【0037】
ステップS26においては、群管理制御装置1の割当かご決定手段1eは、ステップS25で移動時間制御手段1dにより算出された移動時間が、現時点から経過した後に当該行先階入力がなされた階床に到着し、かつ、携帯端末3から入力された行先階の方向へと運行することが可能な乗りかごの中から、最も運転効率の良い乗りかごを割当かごに決定し、この割当かごに関する情報である割当かご情報を作成する。
【0038】
そして、ステップS27へと移行して、群管理制御装置1は、割当かご決定手段1eにより作成された割当かご情報をかご制御装置2及び通信制御装置5へと出力する。
これを受けた通信制御装置5は、ステップS28において、エリアAのアンテナ4a、エリアBのアンテナ4b及びエリアCのアンテナ4cのうち携帯端末3が現在位置するエリアを担当しているアンテナを用いて、携帯端末3へと、この割当かご情報を無線通信により送信し、ステップS29へと移る。
【0039】
ステップS29では、携帯端末3の無線通信手段3bによりこの割当かご情報を受信して、携帯端末3の画像表示手段3aにこの割当かご情報表示を行い、当該携帯端末3を携行する利用者に対して行先階入力操作の結果を伝達する。
そして、ステップS30に進み、群管理制御装置1から出力された割当かご情報を受けたかご制御装置2は、この割当かご情報に従って、割当かごを当該行先階入力に応答させるべく運行制御を行う。
こうして、最終的にステップS31へと達し、一連の動作フローは終了する。
【0040】
なお、ここでは、GPS情報から携帯端末3の現在位置が属するエリアを判別し、このエリアとエレベーターホールとの距離を求めることにより移動距離を求めたが、GPS情報に含まれる緯度経度等の位置情報を用いて、エレベーターホールの代表地点の緯度経度とを比較すること等により直接的に移動距離を求めるようにしてもよい。
【0041】
以上のように構成されたエレベーター群管理装置においては、携帯端末に設けられたGPS機能により、携帯端末の現在位置に関する情報であるGPS情報を取得し、移動時間制御手段は、このGPS機能により取得されたGPS情報に基づいて移動距離を取得して移動時間を算出することで、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0042】
実施の形態3.
図1及び図4は、この発明の実施の形態3に係るもので、図1はエレベーター群管理装置の全体構成を示すブロック図、図4はエレベーター群管理装置の動作を示すフロー図である。
ここで説明する実施の形態3は、前述した実施の形態1又は実施の形態2において、移動速度記憶手段に予め記憶しておく移動速度を利用者の性別により区分し、利用者が携行する携帯端末に所望する行先階と自身の性別を入力することにより、利用者の性別に応じた移動速度を用いて移動時間の算出を行うようにしたものである。
【0043】
すなわち、群管理制御装置1の移動速度記憶手段1cには、性別ごとに区分された利用者の平均的な移動速度、換言すると、男性利用者の平均的な移動速度と女性利用者の平均的な移動速度とが、予め記憶されている。
また、利用者は、携行する携帯端末3を用いて、所望する行先階のみならず自身の性別も入力するようになっている。この性別の入力は、例えば、携帯端末3のテンキー3cを用いて、0が入力されたならば男性を、1が入力されたならば女性を表すといったようにすることが考えられる。この際、性別入力方法の案内を携帯端末3の画像表示手段3aに表示するようにしてもよい。この入力された性別は性別情報としてアンテナ及び通信制御装置5を介して群管理制御装置1に伝えられる。
【0044】
そして、移動時間制御手段1dは、移動時間算出の際に用いる利用者の移動速度として、携帯端末3から入力された前記性別情報の示す性別の移動速度を移動速度記憶手段1cから取得する。
なお、これ以外の他の構成は実施の形態1や実施の形態2と同様である。
【0045】
この実施の形態にあっては、群管理装置は、図4に示す一連のフローに従って動作する。なお、ここでは、実施の形態1を元にしてさらに性別情報を利用する場合、すなわち、携帯端末3の現在エリア判別はアンテナ情報を用いて行う場合について説明する。
まず、ステップS41において、利用者により、携行する携帯端末3のテンキー3cが操作され、利用者の所望する行先階及び利用者の性別が入力されると、携帯端末3の無線通信手段3bは、これら行先階情報及び性別情報を無線通信により送信する。
そして、これらの行先階情報及び性別情報は、エリアAのアンテナ4a、エリアBのアンテナ4b及びエリアCのアンテナ4cのうち携帯端末3の現在エリアを担当するアンテナを介して通信制御装置5により受信され、通信制御装置5は受信した行先階情報及び性別情報並びにアンテナ情報を群管理制御装置1へと出力する(ステップS42)。
【0046】
次のステップS43において、群管理制御装置1のエリア判別手段1aは、通信制御装置5からのアンテナ情報に基づいて、携帯端末3の操作時における携帯端末3の位置が属する操作エリアが、エリアA、エリアB及びエリアCのいずれであるかの判別を行う。
この判別において、携帯端末3が操作されたエリアがエリアAであると判別された場合にはステップS44aへと移行して、エリア判別手段1aはエリアAをエリア情報として設定する。そして、このステップS43の判別において、携帯端末3が操作されたエリアがエリアBであると判別された場合にはステップS44bへと移行してエリア判別手段1aはエリアBをエリア情報として設定し、携帯端末3が操作されたエリアがエリアCであると判別された場合にはステップS44cへと移行して、エリア判別手段1aはエリアCをエリア情報として設定する。
【0047】
続くステップS45において、群管理制御装置1の移動時間制御手段1dは、携帯端末3に入力された利用者の性別情報が、男性であるか女性であるかについて判断を行う。
この判断において性別情報が男性であった場合には、ステップS46aへと移行して、利用者が男性である場合の平均の移動速度を移動速度記憶手段1cから取得し、これを次のステップS47での移動時間算出に用いる移動速度として設定する。一方、ステップS45の判断において性別情報が女性であった場合には、ステップS46bへと移行して、利用者が女性である場合の平均の移動速度を移動速度記憶手段1cから取得し、これを次のステップS47での移動時間算出に用いる移動速度として設定する。
【0048】
そして、ステップS47において、群管理制御装置1の移動時間制御手段1dは、先のステップでエリア判別手段1aにより設定されたエリア情報に基づいて、携帯端末3が利用者により操作され行先階入力がなされたエリアからエレベーターホールまでの距離をエリア別移動距離記憶手段1bから取得する。そして、直前のステップで取得、設定した利用者の性別に応じた移動速度を用いて移動距離を移動速度で除することにより、携帯端末3が操作され行先階入力がなされたエリアからエレベーターホールまで利用者が移動するのにかかる移動時間の推定値を算出した後、ステップS48へと進む。
【0049】
ステップS48においては、群管理制御装置1の割当かご決定手段1eは、ステップS47で移動時間制御手段1dにより算出された移動時間が、現時点から経過した後に当該行先階入力がなされた階床に到着し、かつ、携帯端末3から入力された行先階の方向へと運行することが可能な乗りかごの中から、最も運転効率の良い乗りかごを割当かごに決定し、この割当かごに関する情報である割当かご情報を作成する。
【0050】
そして、ステップS49へと移行して、群管理制御装置1は、割当かご決定手段1eにより作成された割当かご情報をかご制御装置2及び通信制御装置5へと出力する。
これを受けた通信制御装置5は、ステップS50において、エリアAのアンテナ4a、エリアBのアンテナ4b及びエリアCのアンテナ4cのうち携帯端末3が現在位置するエリアを担当しているアンテナを用いて、携帯端末3へと、この割当かご情報を無線通信により送信し、ステップS51へと移る。
【0051】
ステップS51では、携帯端末3の無線通信手段3bによりこの割当かご情報を受信して、携帯端末3の画像表示手段3aにこの割当かご情報表示を行い、当該携帯端末3を携行する利用者に対して行先階入力操作の結果を伝達する。
そして、ステップS52に進み、群管理制御装置1から出力された割当かご情報を受けたかご制御装置2は、この割当かご情報に従って、割当かごを当該行先階入力に応答させるべく運行制御を行う。
こうして、最終的にステップS53へと達し、一連の動作フローは終了する。
【0052】
以上のように構成されたエレベーター群管理装置においては、実施の形態1又は実施の形態2と同様の効果を奏することができるのに加えて、移動速度記憶手段に利用者の性別ごとの平均的な移動速度を予め記憶しておき、移動時間制御手段は、この移動速度記憶手段から、利用者が携帯端末を用いて入力した性別に対応する移動速度を取得して移動時間を算出することで、より正確な移動速度に基づいてより正確に移動時間を求めることが可能である。
【0053】
実施の形態4.
図1及び図5は、この発明の実施の形態4に係るもので、図1はエレベーター群管理装置の全体構成を示すブロック図、図5はエレベーター群管理装置の動作を示すフロー図である。
ここで説明する実施の形態4は、前述した実施の形態1から実施の形態3において、移動速度記憶手段に予め記憶しておく移動速度を利用者の年齢により区分し、利用者が携行する携帯端末に所望する行先階と自身の年齢を入力することにより、利用者の年齢に応じた移動速度を用いて移動時間の算出を行うようにしたものである。
【0054】
すなわち、群管理制御装置1の移動速度記憶手段1cには、年齢ごとに区分された利用者の平均的な移動速度が予め記憶されている。ここでは、利用者の年齢区分は、例えば、20歳未満、20歳以上60歳未満及び60歳以上の3区分であるとする。
また、利用者は、携行する携帯端末3を用いて、所望する行先階のみならず自身の年齢も入力するようになっている。この年齢の入力は、例えば、携帯端末3のテンキー3cを用いて、利用者の年齢を直接数値で指定を行うようにすることや、0が入力されたならば20歳未満を、1が入力されたならば20歳以上60歳未満を、2が入力されたならば60歳以上を表すといったようにすることが考えられる。この際、年齢入力方法の案内を携帯端末3の画像表示手段3aに表示するようにしてもよい。この入力された年齢の区分は年齢情報としてアンテナ及び通信制御装置5を介して群管理制御装置1に伝えられる。
【0055】
そして、移動時間制御手段1dは、移動時間算出の際に用いる利用者の移動速度として、携帯端末3から入力された前記年齢情報の示す年齢区分の移動速度を移動速度記憶手段1cから取得する。
なお、これ以外の他の構成は実施の形態1から実施の形態3と同様である。
【0056】
この実施の形態にあっては、群管理装置は、図5に示す一連のフローに従って動作する。なお、ここでは、実施の形態1を元にしてさらに年齢情報を利用する場合、すなわち、携帯端末3の現在エリア判別はアンテナ情報を用いて行い、性別情報は利用しない場合について説明する。
まず、ステップS61において、利用者により、携行する携帯端末3のテンキー3cが操作され、利用者の所望する行先階及び利用者の年齢が入力されると、携帯端末3の無線通信手段3bは、これら行先階情報及び年齢情報を無線通信により送信する。
そして、これらの行先階情報及び年齢情報は、エリアAのアンテナ4a、エリアBのアンテナ4b及びエリアCのアンテナ4cのうち携帯端末3の現在エリアを担当するアンテナを介して通信制御装置5により受信され、通信制御装置5は受信した行先階情報及び年齢情報並びにアンテナ情報を群管理制御装置1へと出力する(ステップS62)。
【0057】
次のステップS63において、群管理制御装置1のエリア判別手段1aは、通信制御装置5からのアンテナ情報に基づいて、携帯端末3の操作時における携帯端末3の位置が属する操作エリアが、エリアA、エリアB及びエリアCのいずれであるかの判別を行う。
この判別において、携帯端末3が操作されたエリアがエリアAであると判別された場合にはステップS64aへと移行して、エリア判別手段1aはエリアAをエリア情報として設定する。そして、このステップS63の判別において、携帯端末3が操作されたエリアがエリアBであると判別された場合にはステップS64bへと移行してエリア判別手段1aはエリアBをエリア情報として設定し、携帯端末3が操作されたエリアがエリアCであると判別された場合にはステップS64cへと移行して、エリア判別手段1aはエリアCをエリア情報として設定する。
【0058】
続くステップS65において、群管理制御装置1の移動時間制御手段1dは、携帯端末3に入力された利用者の年齢情報が、何歳となっているかについて確認を行う。
この判断において年齢情報が20歳未満であった場合には、ステップS66aへと移行して、利用者が20歳未満である場合の平均の移動速度を移動速度記憶手段1cから取得し、これを次のステップS67での移動時間算出に用いる移動速度として設定する。一方、ステップS65の判断において年齢情報が20歳以上60歳未満であった場合には、ステップS66bへと移行して、利用者が20歳以上60歳未満である場合の平均の移動速度を移動速度記憶手段1cから取得し、これを次のステップS67での移動時間算出に用いる移動速度として設定する。そして、ステップS65の判断において年齢情報が60歳以上であった場合には、ステップS66cへと移行して、利用者が60歳以上である場合の平均の移動速度を移動速度記憶手段1cから取得し、これを次のステップS67での移動時間算出に用いる移動速度として設定する。
【0059】
そして、ステップS67において、群管理制御装置1の移動時間制御手段1dは、先のステップでエリア判別手段1aにより設定されたエリア情報に基づいて、携帯端末3が利用者により操作され行先階入力がなされたエリアからエレベーターホールまでの距離をエリア別移動距離記憶手段1bから取得する。そして、直前のステップで取得、設定した利用者の年齢に応じた移動速度を用いて移動距離を移動速度で除することにより、携帯端末3が操作され行先階入力がなされたエリアからエレベーターホールまで利用者が移動するのにかかる移動時間の推定値を算出した後、ステップS68へと進む。
【0060】
ステップS68においては、群管理制御装置1の割当かご決定手段1eは、ステップS67で移動時間制御手段1dにより算出された移動時間が、現時点から経過した後に当該行先階入力がなされた階床に到着し、かつ、携帯端末3から入力された行先階の方向へと運行することが可能な乗りかごの中から、最も運転効率の良い乗りかごを割当かごに決定し、この割当かごに関する情報である割当かご情報を作成する。
【0061】
そして、ステップS69へと移行して、群管理制御装置1は、割当かご決定手段1eにより作成された割当かご情報をかご制御装置2及び通信制御装置5へと出力する。
これを受けた通信制御装置5は、ステップS70において、エリアAのアンテナ4a、エリアBのアンテナ4b及びエリアCのアンテナ4cのうち携帯端末3が現在位置するエリアを担当しているアンテナを用いて、携帯端末3へと、この割当かご情報を無線通信により送信し、ステップS71へと移る。
【0062】
ステップS71では、携帯端末3の無線通信手段3bによりこの割当かご情報を受信して、携帯端末3の画像表示手段3aにこの割当かご情報表示を行い、当該携帯端末3を携行する利用者に対して行先階入力操作の結果を伝達する。
そして、ステップS72に進み、群管理制御装置1から出力された割当かご情報を受けたかご制御装置2は、この割当かご情報に従って、割当かごを当該行先階入力に応答させるべく運行制御を行う。
こうして、最終的にステップS73へと達し、一連の動作フローは終了する。
【0063】
なお、実施の形態3を元にここで説明した実施の形態4を併せて実施する場合には、性別及び年齢区分の組合せのそれぞれについて、平均的な移動速度を予め移動速度記憶手段1cに記憶させておくことになる。
【0064】
以上のように構成されたエレベーター群管理装置においては、実施の形態1から実施の形態3と同様の効果を奏することができるのに加えて、移動速度記憶手段に利用者の年齢ごとの平均的な移動速度を予め記憶しておき、移動時間制御手段は、この移動速度記憶手段から、利用者が携帯端末を用いて入力した年齢に対応する移動速度を取得して移動時間を算出することで、より正確な移動速度に基づいてより正確に移動時間を求めることが可能である。
【0065】
実施の形態5.
図1及び図6は、この発明の実施の形態5に係るもので、図1はエレベーター群管理装置の全体構成を示すブロック図、図6はエレベーター群管理装置の動作を示すフロー図である。
ここで説明する実施の形態5は、前述した実施の形態2の構成に加えて、GPS機能から得られる位置情報の所定の時間間隔における変化から利用者の移動速度を計測し、この計測した移動速度を用いて、エレベーターホールまでの移動時間の算出を行うようにしたものである。
【0066】
すなわち、携帯端末3には、GPS機能3dから得られる位置情報に基づいてこの携帯端末3の携行する利用者の移動速度を計測する速度計測手段3eが設けられている。
この速度計測手段3eは、GPS機能3dを用いて、所定の時間間隔をおいて2回、携帯端末3の位置を計測する。そして、位置の変化から所定の時間間隔における移動距離を求め、この移動距離を所定の時間間隔で除することにより、この携帯端末3を携行する利用者の移動速度を算出する。
【0067】
この速度計測手段3eにより得られた移動速度情報は、無線通信手段3bにより、エリアAのアンテナ4a、エリアBのアンテナ4b及びエリアCのアンテナ4cのうち携帯端末3の現在位置が属するエリアを通信対象エリアとしているアンテナを介して、通信制御装置5へと無線通信で送信される。
そして、通信制御装置5により受信された移動速度情報は群管理制御装置1へと伝えられ、群管理制御装置1の移動時間制御手段1dは、この移動速度情報を用いて、携帯端末3の使用エリアからエレベーターホールまで利用者が移動するのにかかる移動時間を算出する。
なお、これ以外の他の構成は実施の形態2と原則として同様であるが、移動速度の算出には速度計測手段3eにより計測された移動速度を用いるため、移動速度記憶手段1cを設ける必要はない。
【0068】
この実施の形態にあっては、群管理装置は、図6に示す一連のフローに従って動作する。
まず、ステップS81において、利用者により携行する携帯端末3のテンキー3cが操作され利用者の所望する行先階が入力されると、携帯端末3の無線通信手段3bは、この行先階情報を無線通信により送信するとともに、同時に、GPS機能3dにより携帯端末3の現在位置に関するGPS情報を、速度計測手段3eにより携帯端末3を携行する利用者の移動速度に関する移動速度情報を、それぞれ取得し、これらのGPS情報及び移動速度情報も無線通信手段3bによって無線通信で送信される。
【0069】
そして、これら行先階情報並びにGPS情報及び移動速度情報は、エリアAのアンテナ4a、エリアBのアンテナ4b及びエリアCのアンテナ4cのうち携帯端末3の現在エリアを担当するアンテナを介して通信制御装置5により受信され、通信制御装置5は受信した行先階情報並びにGPS情報及び移動速度情報を群管理制御装置1へと出力する(ステップS82)。
次のステップS83において、群管理制御装置1のエリア判別手段1aは、通信制御装置5からのGPS情報に基づいて、携帯端末3の操作時における携帯端末3の位置が属する操作エリアが、エリアA、エリアB及びエリアCのいずれであるかの判別を行う。
【0070】
この判別において、携帯端末3が操作されたエリアがエリアAであると判別された場合にはステップS84aへと移行して、エリア判別手段1aはエリアAをエリア情報として設定する。そして、このステップS83の判別において、携帯端末3が操作されたエリアがエリアBであると判別された場合にはステップS84bへと移行してエリア判別手段1aはエリアBをエリア情報として設定し、携帯端末3が操作されたエリアがエリアCであると判別された場合にはステップS84cへと移行して、エリア判別手段1aはエリアCをエリア情報として設定する。
【0071】
続くステップS85において、群管理制御装置1の移動時間制御手段1dは、先のステップでエリア判別手段1aにより設定されたエリア情報に基づいて、携帯端末3が利用者により操作され行先階入力がなされたエリアからエレベーターホールまでの距離をエリア別移動距離記憶手段1bから取得する。そして、この移動距離を、携帯端末3の速度計測手段3eにより取得された移動速度情報から得られる移動速度で除することにより、携帯端末3が操作され行先階入力がなされたエリアからエレベーターホールまで利用者が移動するのにかかる移動時間の推定値を算出した後、ステップS86へと進む。
【0072】
ステップS86においては、群管理制御装置1の割当かご決定手段1eは、ステップS85で移動時間制御手段1dにより算出された移動時間が、現時点から経過した後に当該行先階入力がなされた階床に到着し、かつ、携帯端末3から入力された行先階の方向へと運行することが可能な乗りかごの中から、最も運転効率の良い乗りかごを割当かごに決定し、この割当かごに関する情報である割当かご情報を作成する。
【0073】
そして、ステップS87へと移行して、群管理制御装置1は、割当かご決定手段1eにより作成された割当かご情報をかご制御装置2及び通信制御装置5へと出力する。
これを受けた通信制御装置5は、ステップS88において、エリアAのアンテナ4a、エリアBのアンテナ4b及びエリアCのアンテナ4cのうち携帯端末3が現在位置するエリアを担当しているアンテナを用いて、携帯端末3へと、この割当かご情報を無線通信により送信し、ステップS89へと移る。
【0074】
ステップS89では、携帯端末3の無線通信手段3bによりこの割当かご情報を受信して、携帯端末3の画像表示手段3aにこの割当かご情報表示を行い、当該携帯端末3を携行する利用者に対して行先階入力操作の結果を伝達する。
そして、ステップS90に進み、群管理制御装置1から出力された割当かご情報を受けたかご制御装置2は、この割当かご情報に従って、割当かごを当該行先階入力に応答させるべく運行制御を行う。
こうして、最終的にステップS91へと達し、一連の動作フローは終了する。
【0075】
以上のように構成されたエレベーター群管理装置においては、実施の形態2と同様の効果を奏することができるのに加えて、速度計測手段によりGPS情報に基づいて利用者の移動速度を計測して、移動時間制御手段は、この速度計測手段により計測された移動速度を取得して移動時間を算出することで、より正確な移動速度に基づいて、より正確に移動時間を求めることができる。
【符号の説明】
【0076】
1 群管理制御装置
1a エリア判別手段
1b エリア別移動距離記憶手段
1c 移動速度記憶手段
1d 移動時間制御手段
1e 割当かご決定手段
2 かご制御装置
3 携帯端末
3a 画像表示手段
3b 無線通信手段
3c テンキー
3d GPS機能
3e 速度計測手段
4a エリアAのアンテナ
4b エリアBのアンテナ
4c エリアCのアンテナ
5 通信制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が携行する携帯端末を用いて所望の行先階を入力するエレベーターにおいて、
前記利用者が前記携帯端末を操作して行先階入力を行った位置から、前記エレベーターの乗場があるエレベーターホールまで、前記利用者が移動するのにかかる移動時間を算出する移動時間制御手段と、
前記移動時間制御手段により算出された前記移動時間を考慮して、前記行先階の入力に対して割当てるエレベーターの乗りかごである割当かごを決定する割当かご決定手段と、を備えたことを特徴とするエレベーター群管理装置。
【請求項2】
前記割当かご決定手段は、前記移動時間制御手段により算出された前記移動時間の経過した後に前記乗場に到着し、かつ、入力された前記行先階の方向へと運行することが可能な前記乗りかごの中から、前記割当かごを決定することを特徴とする請求項1に記載のエレベーター群管理装置。
【請求項3】
前記移動時間制御手段は、前記利用者が前記携帯端末を操作して行先階入力を行った位置から、前記エレベーターホールまでの移動距離を取得するとともに、前記利用者の移動速度を取得し、前記移動距離と前記移動速度とから前記移動時間を算出することを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のエレベーター群管理装置。
【請求項4】
各々個別の通信対象エリアを持ち、前記携帯端末との間で無線通信を行う複数のアンテナと、
前記アンテナの前記通信対象エリア別に、前記通信対象エリアから前記エレベーターホールまでの距離を予め記憶するエリア別移動距離記憶手段と、を備え、
前記移動時間制御手段は、前記エリア別移動距離記憶手段から、前記利用者が前記携帯端末を操作して行先階入力を行った時に無線通信を行った前記アンテナの前記通信対象エリアに対応する距離を前記移動距離として取得して前記移動時間を算出することを特徴とする請求項3に記載のエレベーター群管理装置。
【請求項5】
前記携帯端末は、GPSにより携帯端末の現在位置に関する情報であるGPS情報を取得するGPS機能を有し、
前記移動時間制御手段は、前記GPS機能により取得された前記GPS情報に基づいて前記移動距離を取得して前記移動時間を算出することを特徴とする請求項3に記載のエレベーター群管理装置。
【請求項6】
前記GPS機能により取得された前記GPS情報に基づいて、前記利用者の移動速度を計測する速度計測手段を備え、
前記移動時間制御手段は、前記速度計測手段により計測された前記移動速度を取得して前記移動時間を算出することを特徴とする請求項5に記載のエレベーター群管理装置。
【請求項7】
前記利用者の平均的な移動速度を予め記憶する移動速度記憶手段を備え、
前記移動時間制御手段は、前記移動速度記憶手段から前記移動速度を取得して前記移動時間を算出することを特徴とする請求項3から請求項6のいずれかに記載のエレベーター群管理装置。
【請求項8】
前記移動速度記憶手段は、前記利用者の性別及び/又は年齢ごとの平均的な移動速度を予め記憶し、
前記移動時間制御手段は、前記移動速度記憶手段から、前記利用者が前記携帯端末を用いて入力した性別及び/又は年齢に対応する移動速度を取得して前記移動時間を算出することを特徴とする請求項7に記載のエレベーター群管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−215302(P2010−215302A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60679(P2009−60679)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】