説明

エレベーター装置

【課題】昇降路を広くすることなく調速機に速度検出手段を設けることのできるエレベータ装置を提供する。
【解決手段】昇降路100内を昇降するかご8と、このかご8に搭載した非常止め装置13,14と連結されて、かご8の昇降とともに移動する無端体の調速機ロープ11と、この調速機ロープ11に張力を与えるテンションプーリ12と、前記かご8が規定速度を超えた時に調速機ロープ11を把持し、非常止め装置13,14を作動させる調速機9を備えたエレベーター装置において、前記テンションプーリ12を、前記かご8がピット40に設けられた緩衝器20に接触した位置より下方になるように設け、かつ、前記テンションプーリ12と同軸上に、前記かご8の位置あるいは速度を検出する手段を備えた構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にかごの位置あるいは速度を検出する手段を備えたエレベーター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベーター装置においては、調速機プーリに接触させたローラを介して、かごの位置あるいは速度を検出する手段を備えたもの(例えば、特許文献1参照)あるいは、調速機プーリの同軸上にかごの位置あるいは速度を検出する手段を備えたもの(例えば、特許文献2参照)がある。
【特許文献1】特開平6−144734号公報
【特許文献2】実開昭61−154267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、機械室のない、いわゆる機械室レスエレベーターが増大してきた。この機械室レスエレベーターにおいては、かご外法サイズに対して、昇降路サイズを極力押さえ、昇降路を狭くすることがその特長を最大限活かすことになる。そして、機械室レスエレベーターでは、調速機を昇降路内のかごとすれ違う位置に配置するのが一般的である。
【0004】
このため、上記従来技術のように、調速機に速度検出手段を設けるものでは、昇降路が狭く、昇降するかごとのすき間や、他の塔内機器とのすき間が十分に取れない場合があり、昇降路を広くせざるをえなかった。
【0005】
本発明の目的は、昇降路を広くすることなく調速機に速度検出手段を設けることのできるエレベータ装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、上記目的を達成するため、昇降路内を昇降するかごと、このかごに搭載した非常止め装置と連結されて、前記かごの昇降とともに移動する無端体の調速機ロープと、この調速機ロープに張力を与えるテンションプーリと、前記かごが規定速度を超えた時に調速機ロープを把持し、非常止め装置を作動させる調速機を備えたエレベーター装置において、前記テンションプーリを、前記かごがピットに設けられた緩衝器に接触した位置より下方になるように設け、かつ、前記テンションプーリと同軸上に、前記かごの位置あるいは速度を検出する手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
このように、テンションプーリを、かごがピットに設けられた緩衝器に接触した位置より下方になるように設け、かつ、このテンションプーリと同軸上に、かごの位置あるいは速度を検出する手段を備えたため、昇降路内の他の機器との干渉を生じることがなく、昇降路を広くする等の問題を解決することができる。
【発明の効果】
【0008】
テンションプーリを、かごがピットに設けられた緩衝器に接触した位置より下方になるように設け、かつ、このテンションプーリと同軸上に、かごの位置あるいは速度を検出する手段を備えたため、昇降路内の他の機器との干渉を生じることがなく、昇降路を広くする等の問題を解決することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施形態を図面に基き説明する。
【0010】
図1は本発明の対象となるエレベータ装置を示す全体構成図、図2は図1の調速機とかごの位置関係を示す昇降路縦断面図である。
【0011】
図において、エレベーター装置は、巻上機の駆動シーブ1に主ロープ2を巻き掛け、プーリ3〜7を介して、主ロープ2の両端部にかご8とつり合おもり9とをつるべ式に連結している。そして、前記駆動シーブ1を回転させることにより、巻き掛けた主ロープ2を移動してかご8をガイドレール(図示せず)に沿って昇降させる。20は緩衝器、9は調速機である。この調速機9のプーリ10にはエンドレス状の調速機ロープ11が巻き掛けられており、この調速機ロープ11の下端には、前記かご8がピット40に設けられた緩衝器20に接触した位置より下方になるようにテンションプーリ12が設けられている。
【0012】
前記かご8と前記調速機ロープ11の一部は、非常止め装置13、14を引上げるためのレバー(図示せず)を介して連結されており、平常運転では、前記かご8の速度で前記調速機9のプーリ10を回転駆動し、何らかの原因により、規定の過速を検出した場合には、前記調速機ロープ11によりレバーを動作させて非常止め装置13、14を作動させ、かご8を非常停止させるように構成してある。
【0013】
前記テンションプーリ12の同軸上には、かごの位置あるいは速度を検出する手段であるロータリーエンコーダ15を備えている。
【0014】
図2に示すように、昇降路100において、テンションプーリ12が配置される位置まで、かご8は下降しないので、テンションプーリ12の同軸上にかごの位置あるいは速度を検出するロータリーエンコーダ15を備えても他の機器との干渉はない。
【0015】
なお、テンションプーリ12の同軸上に設けたロータリーエンコーダ15によりかごの位置、速度を検出することができるので、終端階強制減速装置にも適用できる。
【0016】
また、前記調速機9を昇降路頂部30に配置した例を示したが、調速機9の配置はこれに限定するものではなく、例えばピット40に配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の対象となるエレベータ装置を示す全体構成図である。
【図2】図1の調速機とかごの位置関係を示す昇降路縦断面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 巻上機の駆動シーブ
2 主ロープ
3〜7 プーリ
8 かご
9 調速機
10 プーリ
11 調速機ロープ
12 テンションプーリ
13、14 非常止め装置
15 ロータリエンコーダ
20 緩衝器、
30 降路頂部
40 ピット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内を昇降するかごと、このかごに搭載した非常止め装置と連結されて、前記かごの昇降とともに移動する無端体の調速機ロープと、この調速機ロープに張力を与えるテンションプーリと、前記かごが規定速度を超えた時に調速機ロープを把持し、非常止め装置を作動させる調速機を備えたエレベーター装置において、
前記テンションプーリを、前記かごがピットに設けられた緩衝器に接触した位置より下方になるように設け、かつ、前記テンションプーリと同軸上に、前記かごの位置あるいは速度を検出する手段を備えたことを特徴とするエレベーター装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−107809(P2009−107809A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283913(P2007−283913)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000232944)日立水戸エンジニアリング株式会社 (227)
【Fターム(参考)】