エレベータ制振装置を備えるエレベータ
【課題】制振方向と直交する方向への重りの変位量を低減すると共にエレベータの各箇所から発生しうる振動を効率よく確実に制振力にて低減可能な場所に設置されたエレベータ制振装置を備えるエレベータを提供する。
【解決手段】乗りかご16と、巻上機11と、カウンタウエイトWと、乗りかご16を懸架するかご側シーブと、トラクションシーブに巻き付けられるとともに、その一端側がかご側シーブを介して乗りかごを懸架しその他端側がカウンタウエイトWを懸架する巻き上げロープ15と、制振対象物に取り付けられるケーシング内で少なくとも一部に磁性体を有する重りを制振方向のバネ定数が当該制振方向と直交する方向のバネ定数未満の大きさに設定され変位自在に支持する弾性体と、重りに対向配置された電磁石と、電磁石の電磁力の磁性体への作用により重りを制振方向に動かすことにより制振対象物に制振力を与えるエレベータ制振装置21とを備える。
【解決手段】乗りかご16と、巻上機11と、カウンタウエイトWと、乗りかご16を懸架するかご側シーブと、トラクションシーブに巻き付けられるとともに、その一端側がかご側シーブを介して乗りかごを懸架しその他端側がカウンタウエイトWを懸架する巻き上げロープ15と、制振対象物に取り付けられるケーシング内で少なくとも一部に磁性体を有する重りを制振方向のバネ定数が当該制振方向と直交する方向のバネ定数未満の大きさに設定され変位自在に支持する弾性体と、重りに対向配置された電磁石と、電磁石の電磁力の磁性体への作用により重りを制振方向に動かすことにより制振対象物に制振力を与えるエレベータ制振装置21とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの振動を低減するためのエレベータ制振装置を備えるエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建物の省スペース化に伴い、巻上機を小型化して昇降路内に設置したマシンルームレス型のエレベータが普及している。マシンルームレス型のエレベータでは、昇降路内で巻上機が駆動されることにより、巻上機のシーブに巻き掛けられたロープを介して乗りかごが昇降動作する。この際、巻上機の振動が梁等を介して建物側に伝わる。特に、ロープの強度向上により細径化が進むと、それに伴ってシーブの径も小さくなるため、シーブが高速回転することにより約10Hz以上の振動が発生する。この振動は建物側の住居の壁等に響いて騒音の原因となる。このような背景から、巻上機を支持する支持部材に振動センサと共に制振装置を設置し、制振装置を駆動することにより振動センサによって検出される振動と逆位相の力を制振力として支持部材に与えることにより、支持部材を介して建物へ伝わる振動を低減する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−297180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の制振装置は、支持部材に取り付けられるケーシングと、ケーシング内で少なくとも一部に磁性体を有する重りを制振方向(例えば上下方向)に変位自在に支持する弾性体と、ケーシング内で重りに対向配置された電磁石とを備え、電磁石が発生する電磁力の磁性体に対する作用により重りを制振方向に振動させることにより、ケーシングを介して支持部材に制振力を与えるように構成されている。しかしながら従来の制振装置では、重りは単に弾性体により支持されているだけの構造であるために、制振方向に対し直交する方向(例えば左右方向)の成分を有する振動が加わった場合、重りが制振方向に対し直交する方向に変位することにより、支持部材に制振力を効果的に与えることができなくなる可能性がある。またその変位量が大きい場合には、重りがケーシングの内壁面に接触し破損する可能性もある。
【0005】
また、レールブラケット等を介して建物側に伝わる振動をより確実に低減させるためには、制振装置が発生させる制振用の振動がその効果を最大限に発揮できる場所に設置する必要がある。すなわち、上述した特許文献1には巻上機を支持する支持部材に制振装置を設置した例が開示されているが、エレベータ装置の振動源として考えられるのは、巻上機がその原因となることは疑いないものの巻上機だけではない。従って、この制振装置を昇降路やエレベータの乗りかご等、エレベータのいずれに設置するか、その設置箇所についても検討の余地がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、制振方向と直交する方向への重りの変位量を低減するとともに、エレベータの各箇所から発生しうる振動を効率よく確実に制振力にて低減させることのできる場所に設置されたエレベータ制振装置を備えるエレベータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施の形態に係る特徴は、エレベータにおいて、かご側ガイドレールに案内されて昇降路内を昇降する乗りかごと、トラクションシーブを回転駆動する巻上機と、カウンタウエイトガイドレールにより案内されて昇降路内を昇降するカウンタウエイトと、乗りかごを懸架するかご側シーブと、トラクションシーブに巻き付けられるとともに、その一端側がかご側シーブを介して乗りかごを懸架し、かつその他端側がカウンタウエイトを懸架する巻き上げロープと、制振対象物に取り付けられるケーシングと、ケーシング内で少なくとも一部に磁性体を有する重りを制振方向に変位自在に支持する弾性体と、ケーシング内で重りに対向配置された電磁石とを備え、電磁石の電磁力の磁性体に対する作用により重りを制振方向に動かすことにより、ケーシングを介して制振対象物に制振力を与え、弾性体の制振方向のバネ定数が当該制振方向と直交する方向のバネ定数未満の大きさに設定されているエレベータ制振装置とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るエレベータによれば、制振方向と直交する方向への重りの変位量を低減するとともに、エレベータの各箇所から発生しうる振動を効率よく確実に制振力にて低減させることのできる場所に設置されたエレベータ制振装置を備えるエレベータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態となるマシンルームレス型のエレベータの構成を示す図である。
【図2】図1に示す制振装置の内部構成を示す図である。
【図3】図2に示す制振装置の制御系の構成を説明するための図である。
【図4】弾性体の制振方向のバネ定数と制振方向と直交する方向のバネ定数の関係を示す図である。
【図5】制振装置から出力される制振力及びその電磁力に対する位相ずれの周波数特性を示す図である。
【図6】重りと電磁石間のギャップ長の変化に対する制振装置から出力される制振力の変化を示す図である。
【図7】弾性体の減衰定数の変化に伴う制振装置から出力される制振力の周波数特性の変化を示す図である。
【図8】ヒッチ部に制振装置を設置した場合の一例を示す説明図である。
【図9】ヒッチ部に制振装置を設置した場合の一例を示す説明図である。
【図10】ロープに生ずる振動がかご枠を介して乗りかごに伝わることを防止する際の制振装置の設置位置についての説明図である。
【図11】ロープに生ずる振動がかご枠を介して乗りかごに伝わることを防止する際の制振装置の設置位置についての説明図である。
【図12】ロープに生ずる振動がかご枠を介して乗りかごに伝わることを防止する際の制振装置の設置位置についての説明図である。
【図13】レールブラケットに制振装置を設置した場合の一例を示す説明図である。
【図14】レールブラケットに制振装置を設置した場合の一例を示す説明図である。
【図15】レールブラケットに制振装置を設置した場合の一例を示す説明図である。
【図16】レールブラケットに制振装置を設置した場合の一例を示す説明図である。
【図17】図16に示す矢印方向にレールブラケット等を見た図である。
【図18】巻上機に制振装置を設置した場合の一例を示す説明図である。
【図19】巻上機に制振装置を設置した場合の一例を示す説明図である。
【図20】2つの乗りかごが隣り合って設置された昇降路を上から見て簡略化して示した図である。
【図21】建物梁及びビームとの位置関係を簡略化して示す斜視図である。
【図22】本発明の別の実施形態となるマシンルームレス型のエレベータの全体構成の概略を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
マシンルームレス型のエレベータ構成は、例えば、特開2004−115161号公報に開示されているように従来の機械室ではなく昇降路内の壁やレール上等に制御盤や巻上げ機等が配置されている。そしてこれらレール等はブラケット等により昇降路内壁に固定されており、巻上げ機の駆動、かごの昇降等によって生ずる振動が建物に伝わり騒音等の原因となっていた。以下、図面を参照して、本発明に係るエレベータ制振装置を適用したマシンルームレス型のエレベータの構成について説明する。
【0011】
〔エレベータの全体構成〕
始めに、図1を参照して、本発明の一実施形態となるマシンルームレス型のエレベータの全体構成について説明する。
【0012】
本発明の一実施形態となるマシンルームレス型のエレベータでは、図1に示すように、巻上機11等の機器類(図示しない制御盤を含む)が小型化されて昇降路10内に配置されている。巻上機11は、昇降路10の上部に水平方向に架設された支持部材12に受台13を介して設置されている。支持部材12は、例えば鉄製の強固な部材(建物の梁を利用することも可能)からなる。巻上機11の底部に取り付けられた受台13は、例えば防振ゴム等の吸音部材からなる。巻上機11の回転軸11aにはメインシーブ(トラクションシーブ。以下、「メインシーブ」と表わす)14が回転自在に取り付けられ、メインシーブ14には(巻き上げ)ロープ15が巻き掛けられている。
【0013】
ロープ15の両端部は昇降路10の所定の箇所に設けられたヒッチ部に固定されており、乗りかご16はかご下シーブ17a,17bを介して図示しないカウンタウェイトWと共に2:1ローピング方式で支えられている。なお図1にはロープ15が1本しか図示されていないが、実際には複数本のロープ15がメインシーブ14やかご下シーブ17a,17b等に巻き掛けられている。乗りかご16は、一対のガイドレール18a,18bに摺動自在に支持され、巻上機11の駆動に応じてロープ15を介して昇降動作する。ガイドレール18a,18bは支持部材12に連結され、支持部材12の端部は建物の側壁19に固定されている。
【0014】
このような構成を有するマシンルームレス型のエレベータでは、巻上機11の駆動に伴って振動が発生し、それが巻上機11の周囲に伝わる。特に、ロープ15の強度向上により細径化が進むと、それに伴ってメインシーブ14の径も小さくなるため、高速回転により約10Hz以上の振動が生じ易くなる。そしてこの振動は、支持部材12を介して建物の側壁19に伝わり、例えば住居の壁等に響いて騒音の原因となる。そこでこのマシンルームレス型のエレベータには、巻上機11から建物の側壁19に伝わる振動を低減するために、支持部材12に振動センサ20と制振装置21が設けられている。
【0015】
振動センサ20は、例えば加速度センサからなり、その設置箇所に生じている振動を検出する。制振装置21は、振動センサ20によって検出された振動信号に基づいて重り22を所定方向に動かすことにより、制振対象(この例では支持部材12)に制振力を与える。より具体的には、制振装置21は、支持部材12の裏側(すなわち巻上機11とは反対側の面)に振動センサ20と共に設けられている。巻上機11の駆動時に支持部材12に伝わる振動はその支持部材12上に設けられた振動センサ20により検出される。制振装置21は、振動センサ20によって検出された振動信号に基づいて内部の重り22を動かすことにより、支持部材12に伝わる振動とは逆位相の力を発生させる。これにより、支持部材12に制振力が与えられ、巻上機11からの振動が相殺される。この結果、巻上機11から支持部材12を介して建物の側壁19へ伝わる振動を低減できる。
【0016】
〔制振装置の内部構成〕
次に、図2を参照して、本発明の一実施形態となる制振装置21の内部構成について説明する。
【0017】
制振装置21は、少なくとも一部に磁性体を有する重り22を内部に収容する空間23を形成するケーシング24と、ケーシング24内側の底面24aに形成された凹部25と、重り22を挟むようにしてケーシング24内側の上面及び凹部25の底面25aに対向配置された電磁石26a,26bと、ケーシング24内側の底面24aに配設され、重り22を図中の矢印a,b方向(制振方向,上下方向)に変位自在に支持する弾性体27a,27bを備える。この制振装置21では、電磁石26a,26bが励磁されると、その時に発生する電磁力により少なくとも一部に磁性体を有する重り22が制振方向に動き、その反力がケーシング24に作用する。従って、ケーシング24に作用する反力が制振力となるように電磁石26a,26bを励磁制御すれば、巻上機11からの振動を相殺することができる。
【0018】
なおケーシング24は、電磁石26a,26が設けられている上下面を有するものであればよく、必ずしも4つの側面を有する必要はない。また電磁石26a,26bは、重り22と弾性体27a,27bにより構成される振動系の回転モードの節(振動時に変位しない点)に対応する位置(弾性体が2つである場合には重り22の重心位置)に配置することが望ましい。このような構成によれば、重り22の2次振動モード(例えば重り22の重心位置を中心とする揺動回転)が励振されることによって制振力を正確に制御できなくなることを防止できる。
【0019】
また電磁石26a,26bを構成するコアは積層鋼板,フェライト,パーマロイ等の電気抵抗が比較的大きい材料により形成されていることが望ましい。これは、鉄等の電気抵抗が比較的小さい材料によりコアを形成した場合、コイルに高周波電流を通電した場合、コア表面に渦電流が発生することにより、発生した電磁力が電磁石26a,26b内で打ち消され、制振力を正確に制御できなくなる可能性があるためである。
【0020】
〔制振装置の制御系の構成〕
次に、図3を参照して、制振装置21の動作を制御する本発明の一実施形態となる制御系の構成について説明する。
【0021】
制御装置40は、DSP(Digital Signal Processor)等の汎用のコンピュータにより構成され、A/D変換器41、ハイパスフィルタ42、積分器43、ゲイン調整器44、平方根演算器35、電磁力分配演算器45、及びD/A変換器46,47を備える。振動センサ20により検出された振動信号は、A/D変換器41によりA/D変換された後にハイパスフィルタ42に与えられ、ハイパスフィルタ42により抑止する周波数範囲(例えば約50〜300Hz)の振動成分が抽出される。ハイパスフィルタ42により抽出された振動成分は積分器43により数値積分された後、ゲイン調整器44にて所定のゲインを乗じることで制振信号が生成される。
【0022】
制振装置21に備えられた電磁石26a,26bは、それぞれ重り22を吸引する方向(制振方向)の電磁力しか発生できない。そこで、電磁力分配演算器45において、例えば重り22を上方向(矢印a方向)に動かす瞬間は一方の電磁石26aの電磁力による吸引作用を大きくし、他方の電磁石26bの電磁力による吸引作用を小さくするといったように、重り22を動かすタイミングに応じて電磁石26a,26bの電磁力を分配する。電磁力分配演算器45から出力される制振信号は、D/A変換器46,47によりD/A変換され、必要に応じてアンプ(AMP)48,49により増幅された後、電磁石26a,26bに与えられる。これにより、電磁石26a,26bが励磁駆動され、ケーシング24に反力が作用することにより、巻上機11からの振動を相殺することができる。
【0023】
なお電磁石26a,26bがU型の電磁石である場合、電磁石26a,26bが発生する電磁力Fは、磁路断面積をS,コイル巻数をN,コイル電流をI,電磁石コアの磁路長をL1,重り22の磁路長をL2,電磁石26a,26bと重り22間のギャップ長をL3,電磁石コアの透磁率をμ1,重り22の透磁率をμ2,空気の透磁率をμ0とすると、以下の数式1のように表される。
【数1】
【0024】
すなわち制振装置21が発生する制振力はコイル電流Iの2乗値に比例するので、制御装置40に制振力の大きさを制御信号として入力する場合には、制御装置40は制御信号を符号付きの平方根信号に変換することによりコイル電流Iを導出しなければならない。以上のことから、制御装置40に制振力の大きさを制御信号として入力する場合には、平方根演算器35が制御信号を符号付きの平方根信号に変換することが望ましい。
【0025】
このように本発明の実施形態となるマシンルームレス型のエレベータでは、エレベータの巻上機11を支持する部材(支持部材12やマシンベッド)に振動センサ20と共に制振装置21を設置しておき、振動センサ20によって検出される振動信号に基づいて制振装置21を駆動することにより、巻上機11から支持部材を介して建物の側壁19を伝わる振動を低減し、建物の隣室居室等への影響を軽減することができる。
【0026】
〔弾性体の構成〕
重り22が単に弾性体27a,27bにより支持されているだけである場合、制振方向に対し直交する方向の成分を有する振動が加わった場合、重り22が制振方向に対し直交する方向に変位することにより、制振方向の高周波の振動を効果的に低減することができなくなる可能性がある。またその変位量が大きい場合には、重り22がケーシング24の内壁面に接触し、破損する可能性もある。そこで本実施形態では、図4に示すように、弾性体27a,27bの制振方向のバネ定数k1は、制振方向と直交する方向のバネ定数k2未満の大きさに設定されている。
【0027】
このような構成によれば、制振方向と直交する方向への重り22の変位量を低減することができるので、制振方向の振動を効果的に低減することができると共に重り22がケーシング24の内壁面に接触することを防止できる。弾性体27a,27bの制振方向のバネ定数k1を制振方向と直交する方向のバネ定数k2未満の大きさに設定する方法としては、例えば、弾性体27a,27bの材料特性を制御する方法や制振方向と直交する方向への変位を規制する部材を弾性体27a,27bの側面に配置する方法が考えられる。
【0028】
本実施形態では、制振装置21の動特性は並進及び回転自由度を有する1つの重りを2つのバネで支持した2自由度振動系としてモデル化することができる。従って電磁石26a,26bで発生させた電磁力に対する制振装置21の出力(制振力)の周波数特性は一般的な2自由度振動系の強制加振動応答として計算することができる。この方法により電磁石26a,26bで発生させた電磁力に対する制振装置21の出力の周波数特性を計算した結果を図5(a),(b)に示す。なお本計算では重り22の質量と弾性体27a,27bのバネ定数k1により定まる1次共振周波数を25Hzに設定し、与える電磁力の振幅は120Nとしている。
【0029】
図5(a),(b)に示すように、本実施形態の制振装置21では、重り22の質量mと弾性体27a,27bのバネ定数k1とにより定まる一次共振周波数f1(以下の数式2参照)の2倍程度の周波数以上の周波数範囲で使用する場合、出力の大きさが与えた電磁力にほぼ一致し、且つ、出力の位相のずれも30°以内に収まり、制振装置21として望ましい出力特性を示すことがわかる。以上のことから、弾性体27a,27bのバネ定数k1は、重り22の質量と弾性体27a,27bのバネ定数k1とにより定まる一次共振周波数f1が抑止する周波数範囲の最小周波数(図5(a)に示す例では約50Hz)以下になるように設定することが望ましい。
【数2】
【0030】
本実施形態では、重り22の能動的な位置制御は行わずに弾性体27a,27bの復元力だけで重り22の位置を受動制御しているので、図6に示すように、重り22の変位量が大きくなることにより重り22と電磁石26a,26b間のギャップ長L3が短くなり、電磁石26a,26bの電磁力が大きくなることによって、重り22が電磁石26a,26bに吸着してしまう可能性がある。ここで電磁石26a,26bから吸引力Fを作用させた際の重り22の運動方程式は概略以下の数式3のように表される。なお式2中、パラメータm,c,k1,F,dx,αはそれぞれ、重り22の重量,弾性体27a,27bの減衰定数,弾性体27a,27bのバネ定数,重り22の微小変位,及びギャップ長の変化に伴う吸引力Fの変化率を示す。
【数3】
【0031】
すなわち吸引力Fの変化率αは重り22の変位dxに対し負のバネ力として働く。従って、重り22が電磁石26a,26bに吸着することを防止するためには、重り22の変位に対する実際のバネ定数(k1−α)が常に正でなければならない。一方、弾性体27a,27bのバネ定数k1が大きいと、電磁石26a,26bで発生した吸引力Fが弾性体27a,27bに内力として吸収され、性能が低下してしまう。このことから弾性体27a,27bの制振方向のバネ定数k1は吸引力Fの変化率αと略同値又吸引力Fの変化率α以上であることが望ましい。
【0032】
重り22に対し外部信号(例えばステップ状の電磁力)を与えた場合、制振装置21の出力は図7に示すように重り22の質量と弾性体のバネ定数とにより定まる振動系の共振周波数で発振(波形P1〜P3)する特性を示し、電磁石26a,26bと重り22が接触する可能性がある。従って弾性体27a,27bの減衰定数cは、重り22に対しステップ状の電磁力を与えた場合に電磁石26a,26bと重り22が接触しない値以上に設定することが望ましい。
【0033】
〔制振装置の設置位置〕
上述したように、梁等を介して建物側に伝わる振動をより確実に低減させるためには、制振装置が発生させる制振用の振動がその効果を最大限に発揮できる場所に制振装置を設置することが必要になる。図1では、制振対象が支持部材12であることから、制振装置21を振動センサ20とともに支持部材12の裏側に設けている。すなわち、エレベータ内において振動が発生する部分を制振対象とし、その部分に制振装置21を設置する。
【0034】
例えば、巻上機11が駆動しメインシーブ14が回転してロープ15を巻き上げると、ロープ15を介してヒッチ部Hに振動が伝わり、支持部材12を振動させる。そこでこの支持部材12の振動を止めるために、図8では支持部材12上であってヒッチ部Hを挟むように複数の制振装置21を設置する。この位置に制振装置21を設置することで上述した振動が相殺され低減される。また、支持部材12上に設置場所がない場合には、図9に示すようにヒッチ部Hの上方に制振装置21を設置することも可能である。この場合は、支持部材12に伝わった振動をさらに伝える台50をヒッチ部Hを挟むように支持部材12上に設置し、さらにその台50上にプレート51を差し渡してこのプレート51上に制振装置21を設置する。この位置に制振装置21を設置することで、振動を制振力にて低減させることができる。
【0035】
なお、設置される制振装置21の個数は発生する振動の大きさ等に合わせて任意に設定することができる。また、以下説明の際に用いる図面には、制振装置21のみを表示し、振動センサ20についてはその表示を省略する。
【0036】
次に、ロープ15が巻上機11によって巻き上げられる際にロープ15に生ずる振動がかご枠を介して乗りかごに伝わることを防止する際の制振装置21の設置位置について説明する。上述した図1に示すエレベータの乗りかご16は、かご下シーブ17a,17bを介してロープ15によって支えられている。図10はその状態を拡大して示す図である。
【0037】
かご下シーブ17a,17bは、シーブ支持体であるシーブ取付ビーム60に取り付けられ、乗りかご16の振動を吸収する防振ゴム等からなる受台61を介して乗りかご16の下梁16aが取り付けられている。かご下シーブ17a,17bにはロープ15が掛け渡されているため、例えば、巻上機11がロープ15を巻き上げると、かご下シーブ17a,17bが回転して乗りかご16を上昇させる。従って、巻上機11がロープ15を巻き上げる際の振動がかご下シーブ17a,17bを介して乗りかご16に伝わる。そこで、シーブ取付ビーム60に制振装置21を設置することで、受台61で吸収することのできない乗りかご16への振動を制振力にて低減させることができる。
【0038】
シーブに掛け渡されているロープ15の振動を相殺させ低減させるための制振装置21の設置位置については、図10に示した位置の他、例えば、図11、図12に示す位置に設置することも効果的である。
【0039】
図11は、乗りかご16のかご枠を構成する上梁62の部分に制振装置21を設置した例を示す図である。図11では、ロープ15が掛け回されたシーブ63を支持するシーブ支持体64が上梁62と連結部65を介して連結されている。巻上機11が駆動することによってロープ15が巻き上げられシーブ63が動くとその振動が連結部65を介して上梁62に伝わる。そこで、制振対象となる上梁62上に制振装置21を設置することで伝えられる振動を制振力にて低減させることができる。
【0040】
図12は、上梁62の下にシーブ63が設けられている例を示す図である。この場合、上梁62の乗りかご16側に受台61を介してシーブ取付ビーム60が設けられ、このシーブ取付ビーム60に取り付けられるシーブ63a,63bにロープ15が掛け渡されている。図12で示す例では、シーブ取付ビーム60と乗りかご16との間に制振装置21を設置している。この位置に制振装置21を設置することによってロープ15が巻き上げられる際に生ずる振動であって受台61で吸収することのできなかった振動を制振装置21で制振力にて低減させることができる。
【0041】
次に、乗りかご16が昇降路10内をガイドレール18に沿って昇降する際に生ずる振動を相殺する際の制振装置21の設置位置について説明する。ガイドレール18は、例えば図13に示すように、レールブラケット70を用いて昇降路10の側壁19に固定される。このレールブラケット70は例えばL字形の金属片で形成されており、例えば上述した支持部材12と比べて強度において落ちる場合がある。従って、乗りかご16がガイドレール18に沿って昇降路10内を昇降するとその振動がレールブラケット70を介して側壁19に伝わる。側壁19に振動が伝わると、例えば、住居の壁等に響いて騒音の原因となる。そこで、図13に示すように、ガイドレール18から側壁19に振動を伝えるレールブラケット70上に制振装置21を設置することで、建物の側壁19に伝わる振動を制振力にて低減させることができる。
【0042】
図14ないし図17は、ガイドレール18から側壁19に伝わる振動を相殺させ低減させるための制振装置21の設置位置の変形例である。図14は、ガイドレール18と側壁19との間が狭い場合の例を示している。この場合は、ガイドレール18側にレールブラケット70が例えば、ボルトとナットとで固定されており、このレールブラケット70と側壁19に固定されているブラケット71とが固定されることによって、ガイドレール18が側壁19に固定される。この場合は、図13の場合と異なりレールブラケット70を2つ組み合わせて固定しないので、このレールブラケット70上に設置される制振装置21もこれらガイドレール18と側壁19との間隔に合わせた幅の狭い制振装置21が選択される。なお、制振装置21としては、必要とされる電磁石の断面積が確保されている限り電磁石の厚さ方向の寸法は問わない。すなわち、図2で説明した制振装置21を左右方向に大きくすることでその分奥行き方向(厚さ方向)の厚みを薄くすることができる。
【0043】
図15は、制振装置21をレールブラケット70の替わりにガイドレール18に直接固定し、さらに側壁19に固定されているブラケット71とを連結することでガイドレール18を側壁19へ固定した例を示している。制振装置21をこのように使用することによって、振動の発生源であり制振対象となるガイドレール18からの振動をより良く相殺させ低減させることが可能となる。なお、図15では制振装置21をガイドレール18に直接固定した例を説明したが、制振装置21を側壁19に直接固定して発生した振動を制振力にて低減させるようにしても良い。
【0044】
図16は、側壁19からガイドレール18に向けて見た図であり、図17は、図16の矢印方向からレールブラケット70,制振装置21を見た図である。図14を用いて説明したように、ガイドレール18と側壁19との間が狭い場合には、幅の薄い制振装置21をレールブラケット70上に設置することで対処する。但し、以下に示す図16及び図17に表わされているような対処を行うことで特に幅の狭い制振装置21を設置する必要はなくなる。
【0045】
すなわち、図16に示すように、レールブラケット70の上に板状のアーム72を固定し、そのアーム72上に制振装置21を設置する。アーム72を設けてその上に制振装置21を設置することでガイドレール18と側壁19との間が狭い場合に、ガイドレール18,レールブラケット70,ブラケット71,側壁19とが直列につながる位置に制振装置21を設置することを避けることができ、特に幅の狭い制振装置21を用意する必要がなくなる。つまり、図17に示されているように、制振装置21を位置をずらして設置することにより、制振装置21の厚みをガイドレール18の厚みで吸収することができる。そのため、アーム72をレールブラケット70に固定してその上に制振装置21を設置することで制振装置21そのものの設計自由度が増す。もちろん、アーム72上への設置であってもレールブラケット70に伝わる振動は図示しない振動センサ20にも伝わることになるため、建物の側壁19に伝わる振動を制振力にて低減することができる。
【0046】
なお、図16及び図17では、レールブラケット70の片方にアーム72を伸ばしてその上に制振装置21を設置した例を示しているが、レールブラケット70を中央にしてその両側のアーム72上に制振装置21を設置するようにしても良い。また、アーム72の制振装置21を設置する側と反対側に重りを付加することによって発生する振動の周波数を制御し、その制御された周波数の振動を制振装置21を用いて制振力にて低減させる用にしても良い。
【0047】
これまではエレベータを構成し振動が発生するヒッチ部やシーブ、レールブラケットといった構成要素に制振装置21を設置した例を説明した。上述した図1では、巻上機11からの振動を支持部材12に制振装置21を設置することで相殺し低減していたが、直接巻上機11に制振装置21を設置することも考えられる。図18と図19は異なる巻上機80,90に制振装置21を設置した例を示している。
【0048】
まず図18は、巻上機80の一例を示す断面図である。この巻上機80は、例えば永久磁石式同期モータを採用する薄形の巻上機であり、向かって左側が背面となる。この巻上機80は、中央に固定子81が設けられ、固定子81の周囲を囲むようにベアリング82が設けられ、そのベアリング82の外側にはロープ15が掛け回されるトラクションシーブ83が回転自在に取り付けられている。トラクションシーブ83には回転子用のコイル84が設けられており、この回転子用コイル84と固定子用コイル85との間で発生する電磁力によってトラクションシーブ83が回転し、ロープ15が巻き取られることになる。トラクションシーブ83が回転する、すなわち巻上機80が駆動することによって図18に示す矢印方向に振動が発生する。そこで、この巻上機80の上部、或いは下部、或いは、図18に示すようにその両方に制振装置21を設置することで巻上機80から発生する振動を制振力にて低減させることができる。なお、図18においては制振装置21が固定子81とは離れているように示されているが図18は断面図であるためであり、制振装置21は巻上機80上に設置されている。
【0049】
図19は、上述した巻上機80とは異なる巻上機の一例を示す斜視図である。この巻上機90は、大きく直方体の形状を備えるモータ91とそのモータ91に接続されるトラクションシーブ92から構成される。この巻上機90は、支持梁に設置されてトラクションシーブ92がロープ15を巻き上げる。このロープ15を巻き上げる際に発生する振動は、例えば、モータ91上、或いはその横(巻上機90と同一平面上の支持梁上)に制振装置21を設置することで制振力にて低減させることができる。
【0050】
図20は、2つの乗りかご(図示せず)が隣り合って設置された昇降路を上から見て簡略化して示した図である。隣り合う2つの乗りかごが互いに対向する面においては、乗りかご用のガイドレール18を固定するレールブラケット70は、エレベータドア側に設けられている建物梁101と昇降路10内においてこの建物梁101と対向する位置に設けられている建物梁102とを繋ぐ1本のビーム103にまとめて接合されている。
【0051】
図21はこれら建物梁101及びビーム103との位置関係を簡略化して示す斜視図である。図21においては建物梁102は表われていない。レールブラケット70は、上述したように、ビーム103に2つの乗りかごの分がまとめて接合されている。さらに、ビーム103上には設置板104を介して制振装置21が設けられている。
【0052】
ビーム103には、昇降路10内を乗りかご16が昇降することによって発生する振動がガイドレール18,レールブラケット70を介して伝わる。この振動は、さらに建物梁101,102を介して建物にまで伝わる。そこで、この振動をより確実に低減させるために図21に示すようにビーム103上に設置板104を介して制振装置21を設置する。
【0053】
なお、このようにビーム103上に直接(設置板104を介して)制振装置21を設置しても良いが、建物梁101,建物梁102のいずれか、或いは、その両方に制振装置21を設置しても良い。
【0054】
図22は、本発明の別の実施形態となるマシンルームレス型のエレベータの全体構成の概略を示す斜視図である。また、図22では巻上機として上述した巻上機90を使用し(図19参照)、乗りかご16は図示していない。
【0055】
このエレベータ110では、上述したエレベータの構成にさらにロープ15のうち、メインシーブ(トラクションシーブ)14から延びたロープ15をカウンタウエイトW側へと案内するそらせシーブ111を備える。これは、エレベータ110はマシンルームレスのエレベータであり、省スペースのために図示しない昇降路10の形状に合わせて四角く組んだ支持部材12の上に斜めに設けた受台112上に巻上機90を設置したことに伴うものである。この場合、ロープ15は、図22に示すヒッチHaにその一端が止められる。そして、乗りかご16の下シーブ17(図22ではいずれも図示せず)、トラクションシーブ92、そらせシーブ111、上側そらせシーブ113、カウンタウエイト側シーブ114を順に巻き掛けてヒッチHbにその他端が止められる。
【0056】
このそらせシーブ111は、ブラケット115を介して水平部材116に固定されている。また、この水平部材116は、第1の縦部材117aと第2の縦部材117bとにそれぞれ、例えば防振ゴム118等を介して組み合わされている。なお、図22ではロープ15の掛かり具合を表わすため、第2の縦部材117bの記載を一部省略している。
【0057】
巻上機90が乗りかご16を昇降させることによってロープ15の巻き上げ、開放するが、そのロープ15の動きによってそらせシーブ111に振動が発生する。そらせシーブ111が設けられている水平部材116、第1及び第2の縦部材117には上述したように防振ゴム118等を用いてその振動が建物に伝わらないようにしているが、必ずしも完全にその振動を伝えないようにはできない。
【0058】
そこで、振動源となりうるそらせシーブ111に制振装置21を設置することによって発生した振動を制振力にて低減させることが可能になる。
【0059】
以上説明したように、本発明に係るエレベータによれば、制振方向と直交する方向への重りの変位量を低減するとともに、エレベータの各箇所から発生しうる振動を効率よく確実に制振力にて低減させることのできる場所に設置されたエレベータ制振装置を備えるエレベータを提供することができる。
【0060】
以上、本発明を適用した実施の形態について説明したが、この実施の形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。例えば本実施形態では、電磁石26a,26bの位置は固定されているが、電磁石26a,26bに可動機構を設けることにより重り22と電磁石26a,26b間のギャップ長を調整可能なようにしてもよい。また、本実施形態は制振装置をエレベータに設けたものであるが、本発明はこれに限られることはなく、電車や自動車等の車両にも適用することができる。また、上述したエレベータ内の各構成要素以外の振動が発生する位置に制振装置21を設置することができるのはもちろんである。このように、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。さらに、以上では図1に示すような2:1ローピング方式の場合のエレベータを例に挙げて説明を行っているが、例えば1:1ローピング方式の場合で同様の位置に制振装置を設置し、発生した振動を制振力にて低減させる効果を有することは言うまでもない。
【符号の説明】
【0061】
10:昇降路
11:巻上機
11a:回転軸
12:支持部材
13:受台
14:メインシーブ(トラクションシーブ)
15:ロープ
16:乗りかご
17a,17b:かご下シーブ
18a,18b:ガイドレール
19:建物の側壁
20:振動センサ
21:制振装置
22:重り
23:空間
24:ケーシング
25:凹部
26a,26b:電磁石
27a,27b:弾性体
35:平方根演算器
40:制御装置
41:A/D変換器
42:ハイパスフィルタ
43:積分器
44:ゲイン調整器
45:電磁力分配演算器
46,47:D/A変換器
48,49:AMP
60:シーブ取付支持体
61:受台
62:上梁
63:シーブ
64:シーブ支持体
65:連結部
70:レールブラケット
71:ブラケット
72:アーム
80:巻上機
81:固定子
82:ベアリング
83:トラクションシーブ
84:回転子用コイル
85:固定子用コイル
90:巻上機
91:モータ
92:トラクションシーブ
101:建物梁
102:建物梁
103:ビーム
104:設置板
110:エレベータ
111:そらせシーブ
112:受台
113:上側そらせシーブ
114:カウンタウエイト側シーブ
115:ブラケット
116:水平部材
117a:第1の縦部材
117b:第2の縦部材
118:防振ゴム
W:カウンタウエイト
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの振動を低減するためのエレベータ制振装置を備えるエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建物の省スペース化に伴い、巻上機を小型化して昇降路内に設置したマシンルームレス型のエレベータが普及している。マシンルームレス型のエレベータでは、昇降路内で巻上機が駆動されることにより、巻上機のシーブに巻き掛けられたロープを介して乗りかごが昇降動作する。この際、巻上機の振動が梁等を介して建物側に伝わる。特に、ロープの強度向上により細径化が進むと、それに伴ってシーブの径も小さくなるため、シーブが高速回転することにより約10Hz以上の振動が発生する。この振動は建物側の住居の壁等に響いて騒音の原因となる。このような背景から、巻上機を支持する支持部材に振動センサと共に制振装置を設置し、制振装置を駆動することにより振動センサによって検出される振動と逆位相の力を制振力として支持部材に与えることにより、支持部材を介して建物へ伝わる振動を低減する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−297180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の制振装置は、支持部材に取り付けられるケーシングと、ケーシング内で少なくとも一部に磁性体を有する重りを制振方向(例えば上下方向)に変位自在に支持する弾性体と、ケーシング内で重りに対向配置された電磁石とを備え、電磁石が発生する電磁力の磁性体に対する作用により重りを制振方向に振動させることにより、ケーシングを介して支持部材に制振力を与えるように構成されている。しかしながら従来の制振装置では、重りは単に弾性体により支持されているだけの構造であるために、制振方向に対し直交する方向(例えば左右方向)の成分を有する振動が加わった場合、重りが制振方向に対し直交する方向に変位することにより、支持部材に制振力を効果的に与えることができなくなる可能性がある。またその変位量が大きい場合には、重りがケーシングの内壁面に接触し破損する可能性もある。
【0005】
また、レールブラケット等を介して建物側に伝わる振動をより確実に低減させるためには、制振装置が発生させる制振用の振動がその効果を最大限に発揮できる場所に設置する必要がある。すなわち、上述した特許文献1には巻上機を支持する支持部材に制振装置を設置した例が開示されているが、エレベータ装置の振動源として考えられるのは、巻上機がその原因となることは疑いないものの巻上機だけではない。従って、この制振装置を昇降路やエレベータの乗りかご等、エレベータのいずれに設置するか、その設置箇所についても検討の余地がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、制振方向と直交する方向への重りの変位量を低減するとともに、エレベータの各箇所から発生しうる振動を効率よく確実に制振力にて低減させることのできる場所に設置されたエレベータ制振装置を備えるエレベータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施の形態に係る特徴は、エレベータにおいて、かご側ガイドレールに案内されて昇降路内を昇降する乗りかごと、トラクションシーブを回転駆動する巻上機と、カウンタウエイトガイドレールにより案内されて昇降路内を昇降するカウンタウエイトと、乗りかごを懸架するかご側シーブと、トラクションシーブに巻き付けられるとともに、その一端側がかご側シーブを介して乗りかごを懸架し、かつその他端側がカウンタウエイトを懸架する巻き上げロープと、制振対象物に取り付けられるケーシングと、ケーシング内で少なくとも一部に磁性体を有する重りを制振方向に変位自在に支持する弾性体と、ケーシング内で重りに対向配置された電磁石とを備え、電磁石の電磁力の磁性体に対する作用により重りを制振方向に動かすことにより、ケーシングを介して制振対象物に制振力を与え、弾性体の制振方向のバネ定数が当該制振方向と直交する方向のバネ定数未満の大きさに設定されているエレベータ制振装置とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るエレベータによれば、制振方向と直交する方向への重りの変位量を低減するとともに、エレベータの各箇所から発生しうる振動を効率よく確実に制振力にて低減させることのできる場所に設置されたエレベータ制振装置を備えるエレベータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態となるマシンルームレス型のエレベータの構成を示す図である。
【図2】図1に示す制振装置の内部構成を示す図である。
【図3】図2に示す制振装置の制御系の構成を説明するための図である。
【図4】弾性体の制振方向のバネ定数と制振方向と直交する方向のバネ定数の関係を示す図である。
【図5】制振装置から出力される制振力及びその電磁力に対する位相ずれの周波数特性を示す図である。
【図6】重りと電磁石間のギャップ長の変化に対する制振装置から出力される制振力の変化を示す図である。
【図7】弾性体の減衰定数の変化に伴う制振装置から出力される制振力の周波数特性の変化を示す図である。
【図8】ヒッチ部に制振装置を設置した場合の一例を示す説明図である。
【図9】ヒッチ部に制振装置を設置した場合の一例を示す説明図である。
【図10】ロープに生ずる振動がかご枠を介して乗りかごに伝わることを防止する際の制振装置の設置位置についての説明図である。
【図11】ロープに生ずる振動がかご枠を介して乗りかごに伝わることを防止する際の制振装置の設置位置についての説明図である。
【図12】ロープに生ずる振動がかご枠を介して乗りかごに伝わることを防止する際の制振装置の設置位置についての説明図である。
【図13】レールブラケットに制振装置を設置した場合の一例を示す説明図である。
【図14】レールブラケットに制振装置を設置した場合の一例を示す説明図である。
【図15】レールブラケットに制振装置を設置した場合の一例を示す説明図である。
【図16】レールブラケットに制振装置を設置した場合の一例を示す説明図である。
【図17】図16に示す矢印方向にレールブラケット等を見た図である。
【図18】巻上機に制振装置を設置した場合の一例を示す説明図である。
【図19】巻上機に制振装置を設置した場合の一例を示す説明図である。
【図20】2つの乗りかごが隣り合って設置された昇降路を上から見て簡略化して示した図である。
【図21】建物梁及びビームとの位置関係を簡略化して示す斜視図である。
【図22】本発明の別の実施形態となるマシンルームレス型のエレベータの全体構成の概略を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
マシンルームレス型のエレベータ構成は、例えば、特開2004−115161号公報に開示されているように従来の機械室ではなく昇降路内の壁やレール上等に制御盤や巻上げ機等が配置されている。そしてこれらレール等はブラケット等により昇降路内壁に固定されており、巻上げ機の駆動、かごの昇降等によって生ずる振動が建物に伝わり騒音等の原因となっていた。以下、図面を参照して、本発明に係るエレベータ制振装置を適用したマシンルームレス型のエレベータの構成について説明する。
【0011】
〔エレベータの全体構成〕
始めに、図1を参照して、本発明の一実施形態となるマシンルームレス型のエレベータの全体構成について説明する。
【0012】
本発明の一実施形態となるマシンルームレス型のエレベータでは、図1に示すように、巻上機11等の機器類(図示しない制御盤を含む)が小型化されて昇降路10内に配置されている。巻上機11は、昇降路10の上部に水平方向に架設された支持部材12に受台13を介して設置されている。支持部材12は、例えば鉄製の強固な部材(建物の梁を利用することも可能)からなる。巻上機11の底部に取り付けられた受台13は、例えば防振ゴム等の吸音部材からなる。巻上機11の回転軸11aにはメインシーブ(トラクションシーブ。以下、「メインシーブ」と表わす)14が回転自在に取り付けられ、メインシーブ14には(巻き上げ)ロープ15が巻き掛けられている。
【0013】
ロープ15の両端部は昇降路10の所定の箇所に設けられたヒッチ部に固定されており、乗りかご16はかご下シーブ17a,17bを介して図示しないカウンタウェイトWと共に2:1ローピング方式で支えられている。なお図1にはロープ15が1本しか図示されていないが、実際には複数本のロープ15がメインシーブ14やかご下シーブ17a,17b等に巻き掛けられている。乗りかご16は、一対のガイドレール18a,18bに摺動自在に支持され、巻上機11の駆動に応じてロープ15を介して昇降動作する。ガイドレール18a,18bは支持部材12に連結され、支持部材12の端部は建物の側壁19に固定されている。
【0014】
このような構成を有するマシンルームレス型のエレベータでは、巻上機11の駆動に伴って振動が発生し、それが巻上機11の周囲に伝わる。特に、ロープ15の強度向上により細径化が進むと、それに伴ってメインシーブ14の径も小さくなるため、高速回転により約10Hz以上の振動が生じ易くなる。そしてこの振動は、支持部材12を介して建物の側壁19に伝わり、例えば住居の壁等に響いて騒音の原因となる。そこでこのマシンルームレス型のエレベータには、巻上機11から建物の側壁19に伝わる振動を低減するために、支持部材12に振動センサ20と制振装置21が設けられている。
【0015】
振動センサ20は、例えば加速度センサからなり、その設置箇所に生じている振動を検出する。制振装置21は、振動センサ20によって検出された振動信号に基づいて重り22を所定方向に動かすことにより、制振対象(この例では支持部材12)に制振力を与える。より具体的には、制振装置21は、支持部材12の裏側(すなわち巻上機11とは反対側の面)に振動センサ20と共に設けられている。巻上機11の駆動時に支持部材12に伝わる振動はその支持部材12上に設けられた振動センサ20により検出される。制振装置21は、振動センサ20によって検出された振動信号に基づいて内部の重り22を動かすことにより、支持部材12に伝わる振動とは逆位相の力を発生させる。これにより、支持部材12に制振力が与えられ、巻上機11からの振動が相殺される。この結果、巻上機11から支持部材12を介して建物の側壁19へ伝わる振動を低減できる。
【0016】
〔制振装置の内部構成〕
次に、図2を参照して、本発明の一実施形態となる制振装置21の内部構成について説明する。
【0017】
制振装置21は、少なくとも一部に磁性体を有する重り22を内部に収容する空間23を形成するケーシング24と、ケーシング24内側の底面24aに形成された凹部25と、重り22を挟むようにしてケーシング24内側の上面及び凹部25の底面25aに対向配置された電磁石26a,26bと、ケーシング24内側の底面24aに配設され、重り22を図中の矢印a,b方向(制振方向,上下方向)に変位自在に支持する弾性体27a,27bを備える。この制振装置21では、電磁石26a,26bが励磁されると、その時に発生する電磁力により少なくとも一部に磁性体を有する重り22が制振方向に動き、その反力がケーシング24に作用する。従って、ケーシング24に作用する反力が制振力となるように電磁石26a,26bを励磁制御すれば、巻上機11からの振動を相殺することができる。
【0018】
なおケーシング24は、電磁石26a,26が設けられている上下面を有するものであればよく、必ずしも4つの側面を有する必要はない。また電磁石26a,26bは、重り22と弾性体27a,27bにより構成される振動系の回転モードの節(振動時に変位しない点)に対応する位置(弾性体が2つである場合には重り22の重心位置)に配置することが望ましい。このような構成によれば、重り22の2次振動モード(例えば重り22の重心位置を中心とする揺動回転)が励振されることによって制振力を正確に制御できなくなることを防止できる。
【0019】
また電磁石26a,26bを構成するコアは積層鋼板,フェライト,パーマロイ等の電気抵抗が比較的大きい材料により形成されていることが望ましい。これは、鉄等の電気抵抗が比較的小さい材料によりコアを形成した場合、コイルに高周波電流を通電した場合、コア表面に渦電流が発生することにより、発生した電磁力が電磁石26a,26b内で打ち消され、制振力を正確に制御できなくなる可能性があるためである。
【0020】
〔制振装置の制御系の構成〕
次に、図3を参照して、制振装置21の動作を制御する本発明の一実施形態となる制御系の構成について説明する。
【0021】
制御装置40は、DSP(Digital Signal Processor)等の汎用のコンピュータにより構成され、A/D変換器41、ハイパスフィルタ42、積分器43、ゲイン調整器44、平方根演算器35、電磁力分配演算器45、及びD/A変換器46,47を備える。振動センサ20により検出された振動信号は、A/D変換器41によりA/D変換された後にハイパスフィルタ42に与えられ、ハイパスフィルタ42により抑止する周波数範囲(例えば約50〜300Hz)の振動成分が抽出される。ハイパスフィルタ42により抽出された振動成分は積分器43により数値積分された後、ゲイン調整器44にて所定のゲインを乗じることで制振信号が生成される。
【0022】
制振装置21に備えられた電磁石26a,26bは、それぞれ重り22を吸引する方向(制振方向)の電磁力しか発生できない。そこで、電磁力分配演算器45において、例えば重り22を上方向(矢印a方向)に動かす瞬間は一方の電磁石26aの電磁力による吸引作用を大きくし、他方の電磁石26bの電磁力による吸引作用を小さくするといったように、重り22を動かすタイミングに応じて電磁石26a,26bの電磁力を分配する。電磁力分配演算器45から出力される制振信号は、D/A変換器46,47によりD/A変換され、必要に応じてアンプ(AMP)48,49により増幅された後、電磁石26a,26bに与えられる。これにより、電磁石26a,26bが励磁駆動され、ケーシング24に反力が作用することにより、巻上機11からの振動を相殺することができる。
【0023】
なお電磁石26a,26bがU型の電磁石である場合、電磁石26a,26bが発生する電磁力Fは、磁路断面積をS,コイル巻数をN,コイル電流をI,電磁石コアの磁路長をL1,重り22の磁路長をL2,電磁石26a,26bと重り22間のギャップ長をL3,電磁石コアの透磁率をμ1,重り22の透磁率をμ2,空気の透磁率をμ0とすると、以下の数式1のように表される。
【数1】
【0024】
すなわち制振装置21が発生する制振力はコイル電流Iの2乗値に比例するので、制御装置40に制振力の大きさを制御信号として入力する場合には、制御装置40は制御信号を符号付きの平方根信号に変換することによりコイル電流Iを導出しなければならない。以上のことから、制御装置40に制振力の大きさを制御信号として入力する場合には、平方根演算器35が制御信号を符号付きの平方根信号に変換することが望ましい。
【0025】
このように本発明の実施形態となるマシンルームレス型のエレベータでは、エレベータの巻上機11を支持する部材(支持部材12やマシンベッド)に振動センサ20と共に制振装置21を設置しておき、振動センサ20によって検出される振動信号に基づいて制振装置21を駆動することにより、巻上機11から支持部材を介して建物の側壁19を伝わる振動を低減し、建物の隣室居室等への影響を軽減することができる。
【0026】
〔弾性体の構成〕
重り22が単に弾性体27a,27bにより支持されているだけである場合、制振方向に対し直交する方向の成分を有する振動が加わった場合、重り22が制振方向に対し直交する方向に変位することにより、制振方向の高周波の振動を効果的に低減することができなくなる可能性がある。またその変位量が大きい場合には、重り22がケーシング24の内壁面に接触し、破損する可能性もある。そこで本実施形態では、図4に示すように、弾性体27a,27bの制振方向のバネ定数k1は、制振方向と直交する方向のバネ定数k2未満の大きさに設定されている。
【0027】
このような構成によれば、制振方向と直交する方向への重り22の変位量を低減することができるので、制振方向の振動を効果的に低減することができると共に重り22がケーシング24の内壁面に接触することを防止できる。弾性体27a,27bの制振方向のバネ定数k1を制振方向と直交する方向のバネ定数k2未満の大きさに設定する方法としては、例えば、弾性体27a,27bの材料特性を制御する方法や制振方向と直交する方向への変位を規制する部材を弾性体27a,27bの側面に配置する方法が考えられる。
【0028】
本実施形態では、制振装置21の動特性は並進及び回転自由度を有する1つの重りを2つのバネで支持した2自由度振動系としてモデル化することができる。従って電磁石26a,26bで発生させた電磁力に対する制振装置21の出力(制振力)の周波数特性は一般的な2自由度振動系の強制加振動応答として計算することができる。この方法により電磁石26a,26bで発生させた電磁力に対する制振装置21の出力の周波数特性を計算した結果を図5(a),(b)に示す。なお本計算では重り22の質量と弾性体27a,27bのバネ定数k1により定まる1次共振周波数を25Hzに設定し、与える電磁力の振幅は120Nとしている。
【0029】
図5(a),(b)に示すように、本実施形態の制振装置21では、重り22の質量mと弾性体27a,27bのバネ定数k1とにより定まる一次共振周波数f1(以下の数式2参照)の2倍程度の周波数以上の周波数範囲で使用する場合、出力の大きさが与えた電磁力にほぼ一致し、且つ、出力の位相のずれも30°以内に収まり、制振装置21として望ましい出力特性を示すことがわかる。以上のことから、弾性体27a,27bのバネ定数k1は、重り22の質量と弾性体27a,27bのバネ定数k1とにより定まる一次共振周波数f1が抑止する周波数範囲の最小周波数(図5(a)に示す例では約50Hz)以下になるように設定することが望ましい。
【数2】
【0030】
本実施形態では、重り22の能動的な位置制御は行わずに弾性体27a,27bの復元力だけで重り22の位置を受動制御しているので、図6に示すように、重り22の変位量が大きくなることにより重り22と電磁石26a,26b間のギャップ長L3が短くなり、電磁石26a,26bの電磁力が大きくなることによって、重り22が電磁石26a,26bに吸着してしまう可能性がある。ここで電磁石26a,26bから吸引力Fを作用させた際の重り22の運動方程式は概略以下の数式3のように表される。なお式2中、パラメータm,c,k1,F,dx,αはそれぞれ、重り22の重量,弾性体27a,27bの減衰定数,弾性体27a,27bのバネ定数,重り22の微小変位,及びギャップ長の変化に伴う吸引力Fの変化率を示す。
【数3】
【0031】
すなわち吸引力Fの変化率αは重り22の変位dxに対し負のバネ力として働く。従って、重り22が電磁石26a,26bに吸着することを防止するためには、重り22の変位に対する実際のバネ定数(k1−α)が常に正でなければならない。一方、弾性体27a,27bのバネ定数k1が大きいと、電磁石26a,26bで発生した吸引力Fが弾性体27a,27bに内力として吸収され、性能が低下してしまう。このことから弾性体27a,27bの制振方向のバネ定数k1は吸引力Fの変化率αと略同値又吸引力Fの変化率α以上であることが望ましい。
【0032】
重り22に対し外部信号(例えばステップ状の電磁力)を与えた場合、制振装置21の出力は図7に示すように重り22の質量と弾性体のバネ定数とにより定まる振動系の共振周波数で発振(波形P1〜P3)する特性を示し、電磁石26a,26bと重り22が接触する可能性がある。従って弾性体27a,27bの減衰定数cは、重り22に対しステップ状の電磁力を与えた場合に電磁石26a,26bと重り22が接触しない値以上に設定することが望ましい。
【0033】
〔制振装置の設置位置〕
上述したように、梁等を介して建物側に伝わる振動をより確実に低減させるためには、制振装置が発生させる制振用の振動がその効果を最大限に発揮できる場所に制振装置を設置することが必要になる。図1では、制振対象が支持部材12であることから、制振装置21を振動センサ20とともに支持部材12の裏側に設けている。すなわち、エレベータ内において振動が発生する部分を制振対象とし、その部分に制振装置21を設置する。
【0034】
例えば、巻上機11が駆動しメインシーブ14が回転してロープ15を巻き上げると、ロープ15を介してヒッチ部Hに振動が伝わり、支持部材12を振動させる。そこでこの支持部材12の振動を止めるために、図8では支持部材12上であってヒッチ部Hを挟むように複数の制振装置21を設置する。この位置に制振装置21を設置することで上述した振動が相殺され低減される。また、支持部材12上に設置場所がない場合には、図9に示すようにヒッチ部Hの上方に制振装置21を設置することも可能である。この場合は、支持部材12に伝わった振動をさらに伝える台50をヒッチ部Hを挟むように支持部材12上に設置し、さらにその台50上にプレート51を差し渡してこのプレート51上に制振装置21を設置する。この位置に制振装置21を設置することで、振動を制振力にて低減させることができる。
【0035】
なお、設置される制振装置21の個数は発生する振動の大きさ等に合わせて任意に設定することができる。また、以下説明の際に用いる図面には、制振装置21のみを表示し、振動センサ20についてはその表示を省略する。
【0036】
次に、ロープ15が巻上機11によって巻き上げられる際にロープ15に生ずる振動がかご枠を介して乗りかごに伝わることを防止する際の制振装置21の設置位置について説明する。上述した図1に示すエレベータの乗りかご16は、かご下シーブ17a,17bを介してロープ15によって支えられている。図10はその状態を拡大して示す図である。
【0037】
かご下シーブ17a,17bは、シーブ支持体であるシーブ取付ビーム60に取り付けられ、乗りかご16の振動を吸収する防振ゴム等からなる受台61を介して乗りかご16の下梁16aが取り付けられている。かご下シーブ17a,17bにはロープ15が掛け渡されているため、例えば、巻上機11がロープ15を巻き上げると、かご下シーブ17a,17bが回転して乗りかご16を上昇させる。従って、巻上機11がロープ15を巻き上げる際の振動がかご下シーブ17a,17bを介して乗りかご16に伝わる。そこで、シーブ取付ビーム60に制振装置21を設置することで、受台61で吸収することのできない乗りかご16への振動を制振力にて低減させることができる。
【0038】
シーブに掛け渡されているロープ15の振動を相殺させ低減させるための制振装置21の設置位置については、図10に示した位置の他、例えば、図11、図12に示す位置に設置することも効果的である。
【0039】
図11は、乗りかご16のかご枠を構成する上梁62の部分に制振装置21を設置した例を示す図である。図11では、ロープ15が掛け回されたシーブ63を支持するシーブ支持体64が上梁62と連結部65を介して連結されている。巻上機11が駆動することによってロープ15が巻き上げられシーブ63が動くとその振動が連結部65を介して上梁62に伝わる。そこで、制振対象となる上梁62上に制振装置21を設置することで伝えられる振動を制振力にて低減させることができる。
【0040】
図12は、上梁62の下にシーブ63が設けられている例を示す図である。この場合、上梁62の乗りかご16側に受台61を介してシーブ取付ビーム60が設けられ、このシーブ取付ビーム60に取り付けられるシーブ63a,63bにロープ15が掛け渡されている。図12で示す例では、シーブ取付ビーム60と乗りかご16との間に制振装置21を設置している。この位置に制振装置21を設置することによってロープ15が巻き上げられる際に生ずる振動であって受台61で吸収することのできなかった振動を制振装置21で制振力にて低減させることができる。
【0041】
次に、乗りかご16が昇降路10内をガイドレール18に沿って昇降する際に生ずる振動を相殺する際の制振装置21の設置位置について説明する。ガイドレール18は、例えば図13に示すように、レールブラケット70を用いて昇降路10の側壁19に固定される。このレールブラケット70は例えばL字形の金属片で形成されており、例えば上述した支持部材12と比べて強度において落ちる場合がある。従って、乗りかご16がガイドレール18に沿って昇降路10内を昇降するとその振動がレールブラケット70を介して側壁19に伝わる。側壁19に振動が伝わると、例えば、住居の壁等に響いて騒音の原因となる。そこで、図13に示すように、ガイドレール18から側壁19に振動を伝えるレールブラケット70上に制振装置21を設置することで、建物の側壁19に伝わる振動を制振力にて低減させることができる。
【0042】
図14ないし図17は、ガイドレール18から側壁19に伝わる振動を相殺させ低減させるための制振装置21の設置位置の変形例である。図14は、ガイドレール18と側壁19との間が狭い場合の例を示している。この場合は、ガイドレール18側にレールブラケット70が例えば、ボルトとナットとで固定されており、このレールブラケット70と側壁19に固定されているブラケット71とが固定されることによって、ガイドレール18が側壁19に固定される。この場合は、図13の場合と異なりレールブラケット70を2つ組み合わせて固定しないので、このレールブラケット70上に設置される制振装置21もこれらガイドレール18と側壁19との間隔に合わせた幅の狭い制振装置21が選択される。なお、制振装置21としては、必要とされる電磁石の断面積が確保されている限り電磁石の厚さ方向の寸法は問わない。すなわち、図2で説明した制振装置21を左右方向に大きくすることでその分奥行き方向(厚さ方向)の厚みを薄くすることができる。
【0043】
図15は、制振装置21をレールブラケット70の替わりにガイドレール18に直接固定し、さらに側壁19に固定されているブラケット71とを連結することでガイドレール18を側壁19へ固定した例を示している。制振装置21をこのように使用することによって、振動の発生源であり制振対象となるガイドレール18からの振動をより良く相殺させ低減させることが可能となる。なお、図15では制振装置21をガイドレール18に直接固定した例を説明したが、制振装置21を側壁19に直接固定して発生した振動を制振力にて低減させるようにしても良い。
【0044】
図16は、側壁19からガイドレール18に向けて見た図であり、図17は、図16の矢印方向からレールブラケット70,制振装置21を見た図である。図14を用いて説明したように、ガイドレール18と側壁19との間が狭い場合には、幅の薄い制振装置21をレールブラケット70上に設置することで対処する。但し、以下に示す図16及び図17に表わされているような対処を行うことで特に幅の狭い制振装置21を設置する必要はなくなる。
【0045】
すなわち、図16に示すように、レールブラケット70の上に板状のアーム72を固定し、そのアーム72上に制振装置21を設置する。アーム72を設けてその上に制振装置21を設置することでガイドレール18と側壁19との間が狭い場合に、ガイドレール18,レールブラケット70,ブラケット71,側壁19とが直列につながる位置に制振装置21を設置することを避けることができ、特に幅の狭い制振装置21を用意する必要がなくなる。つまり、図17に示されているように、制振装置21を位置をずらして設置することにより、制振装置21の厚みをガイドレール18の厚みで吸収することができる。そのため、アーム72をレールブラケット70に固定してその上に制振装置21を設置することで制振装置21そのものの設計自由度が増す。もちろん、アーム72上への設置であってもレールブラケット70に伝わる振動は図示しない振動センサ20にも伝わることになるため、建物の側壁19に伝わる振動を制振力にて低減することができる。
【0046】
なお、図16及び図17では、レールブラケット70の片方にアーム72を伸ばしてその上に制振装置21を設置した例を示しているが、レールブラケット70を中央にしてその両側のアーム72上に制振装置21を設置するようにしても良い。また、アーム72の制振装置21を設置する側と反対側に重りを付加することによって発生する振動の周波数を制御し、その制御された周波数の振動を制振装置21を用いて制振力にて低減させる用にしても良い。
【0047】
これまではエレベータを構成し振動が発生するヒッチ部やシーブ、レールブラケットといった構成要素に制振装置21を設置した例を説明した。上述した図1では、巻上機11からの振動を支持部材12に制振装置21を設置することで相殺し低減していたが、直接巻上機11に制振装置21を設置することも考えられる。図18と図19は異なる巻上機80,90に制振装置21を設置した例を示している。
【0048】
まず図18は、巻上機80の一例を示す断面図である。この巻上機80は、例えば永久磁石式同期モータを採用する薄形の巻上機であり、向かって左側が背面となる。この巻上機80は、中央に固定子81が設けられ、固定子81の周囲を囲むようにベアリング82が設けられ、そのベアリング82の外側にはロープ15が掛け回されるトラクションシーブ83が回転自在に取り付けられている。トラクションシーブ83には回転子用のコイル84が設けられており、この回転子用コイル84と固定子用コイル85との間で発生する電磁力によってトラクションシーブ83が回転し、ロープ15が巻き取られることになる。トラクションシーブ83が回転する、すなわち巻上機80が駆動することによって図18に示す矢印方向に振動が発生する。そこで、この巻上機80の上部、或いは下部、或いは、図18に示すようにその両方に制振装置21を設置することで巻上機80から発生する振動を制振力にて低減させることができる。なお、図18においては制振装置21が固定子81とは離れているように示されているが図18は断面図であるためであり、制振装置21は巻上機80上に設置されている。
【0049】
図19は、上述した巻上機80とは異なる巻上機の一例を示す斜視図である。この巻上機90は、大きく直方体の形状を備えるモータ91とそのモータ91に接続されるトラクションシーブ92から構成される。この巻上機90は、支持梁に設置されてトラクションシーブ92がロープ15を巻き上げる。このロープ15を巻き上げる際に発生する振動は、例えば、モータ91上、或いはその横(巻上機90と同一平面上の支持梁上)に制振装置21を設置することで制振力にて低減させることができる。
【0050】
図20は、2つの乗りかご(図示せず)が隣り合って設置された昇降路を上から見て簡略化して示した図である。隣り合う2つの乗りかごが互いに対向する面においては、乗りかご用のガイドレール18を固定するレールブラケット70は、エレベータドア側に設けられている建物梁101と昇降路10内においてこの建物梁101と対向する位置に設けられている建物梁102とを繋ぐ1本のビーム103にまとめて接合されている。
【0051】
図21はこれら建物梁101及びビーム103との位置関係を簡略化して示す斜視図である。図21においては建物梁102は表われていない。レールブラケット70は、上述したように、ビーム103に2つの乗りかごの分がまとめて接合されている。さらに、ビーム103上には設置板104を介して制振装置21が設けられている。
【0052】
ビーム103には、昇降路10内を乗りかご16が昇降することによって発生する振動がガイドレール18,レールブラケット70を介して伝わる。この振動は、さらに建物梁101,102を介して建物にまで伝わる。そこで、この振動をより確実に低減させるために図21に示すようにビーム103上に設置板104を介して制振装置21を設置する。
【0053】
なお、このようにビーム103上に直接(設置板104を介して)制振装置21を設置しても良いが、建物梁101,建物梁102のいずれか、或いは、その両方に制振装置21を設置しても良い。
【0054】
図22は、本発明の別の実施形態となるマシンルームレス型のエレベータの全体構成の概略を示す斜視図である。また、図22では巻上機として上述した巻上機90を使用し(図19参照)、乗りかご16は図示していない。
【0055】
このエレベータ110では、上述したエレベータの構成にさらにロープ15のうち、メインシーブ(トラクションシーブ)14から延びたロープ15をカウンタウエイトW側へと案内するそらせシーブ111を備える。これは、エレベータ110はマシンルームレスのエレベータであり、省スペースのために図示しない昇降路10の形状に合わせて四角く組んだ支持部材12の上に斜めに設けた受台112上に巻上機90を設置したことに伴うものである。この場合、ロープ15は、図22に示すヒッチHaにその一端が止められる。そして、乗りかご16の下シーブ17(図22ではいずれも図示せず)、トラクションシーブ92、そらせシーブ111、上側そらせシーブ113、カウンタウエイト側シーブ114を順に巻き掛けてヒッチHbにその他端が止められる。
【0056】
このそらせシーブ111は、ブラケット115を介して水平部材116に固定されている。また、この水平部材116は、第1の縦部材117aと第2の縦部材117bとにそれぞれ、例えば防振ゴム118等を介して組み合わされている。なお、図22ではロープ15の掛かり具合を表わすため、第2の縦部材117bの記載を一部省略している。
【0057】
巻上機90が乗りかご16を昇降させることによってロープ15の巻き上げ、開放するが、そのロープ15の動きによってそらせシーブ111に振動が発生する。そらせシーブ111が設けられている水平部材116、第1及び第2の縦部材117には上述したように防振ゴム118等を用いてその振動が建物に伝わらないようにしているが、必ずしも完全にその振動を伝えないようにはできない。
【0058】
そこで、振動源となりうるそらせシーブ111に制振装置21を設置することによって発生した振動を制振力にて低減させることが可能になる。
【0059】
以上説明したように、本発明に係るエレベータによれば、制振方向と直交する方向への重りの変位量を低減するとともに、エレベータの各箇所から発生しうる振動を効率よく確実に制振力にて低減させることのできる場所に設置されたエレベータ制振装置を備えるエレベータを提供することができる。
【0060】
以上、本発明を適用した実施の形態について説明したが、この実施の形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。例えば本実施形態では、電磁石26a,26bの位置は固定されているが、電磁石26a,26bに可動機構を設けることにより重り22と電磁石26a,26b間のギャップ長を調整可能なようにしてもよい。また、本実施形態は制振装置をエレベータに設けたものであるが、本発明はこれに限られることはなく、電車や自動車等の車両にも適用することができる。また、上述したエレベータ内の各構成要素以外の振動が発生する位置に制振装置21を設置することができるのはもちろんである。このように、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。さらに、以上では図1に示すような2:1ローピング方式の場合のエレベータを例に挙げて説明を行っているが、例えば1:1ローピング方式の場合で同様の位置に制振装置を設置し、発生した振動を制振力にて低減させる効果を有することは言うまでもない。
【符号の説明】
【0061】
10:昇降路
11:巻上機
11a:回転軸
12:支持部材
13:受台
14:メインシーブ(トラクションシーブ)
15:ロープ
16:乗りかご
17a,17b:かご下シーブ
18a,18b:ガイドレール
19:建物の側壁
20:振動センサ
21:制振装置
22:重り
23:空間
24:ケーシング
25:凹部
26a,26b:電磁石
27a,27b:弾性体
35:平方根演算器
40:制御装置
41:A/D変換器
42:ハイパスフィルタ
43:積分器
44:ゲイン調整器
45:電磁力分配演算器
46,47:D/A変換器
48,49:AMP
60:シーブ取付支持体
61:受台
62:上梁
63:シーブ
64:シーブ支持体
65:連結部
70:レールブラケット
71:ブラケット
72:アーム
80:巻上機
81:固定子
82:ベアリング
83:トラクションシーブ
84:回転子用コイル
85:固定子用コイル
90:巻上機
91:モータ
92:トラクションシーブ
101:建物梁
102:建物梁
103:ビーム
104:設置板
110:エレベータ
111:そらせシーブ
112:受台
113:上側そらせシーブ
114:カウンタウエイト側シーブ
115:ブラケット
116:水平部材
117a:第1の縦部材
117b:第2の縦部材
118:防振ゴム
W:カウンタウエイト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
かご側ガイドレールに案内されて昇降路内を昇降する乗りかごと、
トラクションシーブを回転駆動する巻上機と、
カウンタウエイトガイドレールにより案内されて前記昇降路内を昇降するカウンタウエイトと、
前記乗りかごを懸架するかご側シーブと、
前記トラクションシーブに巻き付けられるとともに、その一端側が前記かご側シーブを介して前記乗りかごを懸架し、かつその他端側が前記カウンタウエイトを懸架する巻き上げロープと、
制振対象物に取り付けられるケーシングと、前記ケーシング内で少なくとも一部に磁性体を有する重りを制振方向に変位自在に支持する弾性体と、前記ケーシング内で前記重りに対向配置された電磁石とを備え、前記電磁石の電磁力の前記磁性体に対する作用により前記重りを制振方向に動かすことにより、前記ケーシングを介して制振対象物に制振力を与え、前記弾性体の前記制振方向のバネ定数が当該制振方向と直交する方向のバネ定数未満の大きさに設定されているエレベータ制振装置と、
を備えることを特徴とするエレベータ。
【請求項2】
前記エレベータ制振装置は、前記ロープを固定するヒッチ部近傍に設置されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記エレベータ制振装置は、前記かごシーブ取付支持体に設置されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記エレベータ制振装置は、前記乗りかごが昇降するガイドレールを固定するレールブラケット上に設置されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項5】
前記エレベータ制振装置は、前記昇降路の壁面に設置されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項6】
前記エレベータ制振装置は、前記巻上機に直接設置されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項7】
前記エレベータ制振装置は、建物梁同士を繋ぎ前記レールブラケットを固定するビーム上に設置されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項8】
前記ロープのうち、前記トラクションシーブから延びた前記ロープを前記カウンタウエイト側へと案内するそらせシーブを有し、前記エレベータ制振装置は、前記そらせシーブに設置されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項1】
かご側ガイドレールに案内されて昇降路内を昇降する乗りかごと、
トラクションシーブを回転駆動する巻上機と、
カウンタウエイトガイドレールにより案内されて前記昇降路内を昇降するカウンタウエイトと、
前記乗りかごを懸架するかご側シーブと、
前記トラクションシーブに巻き付けられるとともに、その一端側が前記かご側シーブを介して前記乗りかごを懸架し、かつその他端側が前記カウンタウエイトを懸架する巻き上げロープと、
制振対象物に取り付けられるケーシングと、前記ケーシング内で少なくとも一部に磁性体を有する重りを制振方向に変位自在に支持する弾性体と、前記ケーシング内で前記重りに対向配置された電磁石とを備え、前記電磁石の電磁力の前記磁性体に対する作用により前記重りを制振方向に動かすことにより、前記ケーシングを介して制振対象物に制振力を与え、前記弾性体の前記制振方向のバネ定数が当該制振方向と直交する方向のバネ定数未満の大きさに設定されているエレベータ制振装置と、
を備えることを特徴とするエレベータ。
【請求項2】
前記エレベータ制振装置は、前記ロープを固定するヒッチ部近傍に設置されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記エレベータ制振装置は、前記かごシーブ取付支持体に設置されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記エレベータ制振装置は、前記乗りかごが昇降するガイドレールを固定するレールブラケット上に設置されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項5】
前記エレベータ制振装置は、前記昇降路の壁面に設置されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項6】
前記エレベータ制振装置は、前記巻上機に直接設置されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項7】
前記エレベータ制振装置は、建物梁同士を繋ぎ前記レールブラケットを固定するビーム上に設置されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項8】
前記ロープのうち、前記トラクションシーブから延びた前記ロープを前記カウンタウエイト側へと案内するそらせシーブを有し、前記エレベータ制振装置は、前記そらせシーブに設置されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−190900(P2009−190900A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7490(P2009−7490)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
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