エレベータ
【課題】 乗り場敷居とかご敷居との間の隙間を小さく維持しつつバフ音の発生を防止できるエレベータを提供する。
【解決手段】 エレベータ11は、昇降路12と、昇降路12内を昇降する乗りかご13と、昇降路12と、第1の乗り場25との間を仕切っている第1の乗り場ドア26A〜26Dと、昇降路12内で第1の乗り場ドア26A〜26Dの上方に設けられるとともに、天板52を有するヘッダーケース46と、を具備する。天板52には、複数の通気孔51が設けられる。
【解決手段】 エレベータ11は、昇降路12と、昇降路12内を昇降する乗りかご13と、昇降路12と、第1の乗り場25との間を仕切っている第1の乗り場ドア26A〜26Dと、昇降路12内で第1の乗り場ドア26A〜26Dの上方に設けられるとともに、天板52を有するヘッダーケース46と、を具備する。天板52には、複数の通気孔51が設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り場ドアの上方にヘッダーケースを備えたエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
乗り場敷居とかご敷居との間に追加敷居を設置したエレベータが開示されている。このエレベータの追加敷居は、乗り場敷居に固定された乗り場側追加敷居と、かご敷居に固定されたかご側追加敷居と、を含んでいる。乗り場側追加敷居と、かご側追加敷居とは、互い違いに配置されている。
【0003】
このエレベータでは、乗り場側追加敷居と、かご側追加敷居とを用いて、乗り場敷居とかご敷居との間の隙間を小さくしている。これによって、例えば、隙間内に物を落としたり、車椅子や台車などの車輪が挟まったりする不具合を生ずることを防止している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−347728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、エレベータの乗り場ドア装置には、ドアパネルがぶら下げられるハンガーと、ハンガーに取り付けられたハンガーローラと、ハンガーローラの移動を案内するハンガーレールと、ドアパネルの戸閉を検出するスイッチなどの電装品と、これらの上部を覆うとともにハンガーレールを支持する屋根状のヘッダーケースと、が含まれる。ところで、上記従来型のエレベータのように、乗り場敷居とかご敷居との間の隙間が小さくなると、かごが高速で上昇する際に押し上げられた空気がヘッダーケースの内側に溜まっていわゆるバフ音を生ずることとなる。
【0006】
本発明の目的は、乗り場敷居とかご敷居との間の隙間を小さく維持しつつバフ音の発生を防止できるエレベータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係るエレベータは、昇降路と、昇降路内を昇降する乗りかごと、昇降路と、第1の乗り場との間を仕切っている第1の乗り場ドアと、昇降路内で第1の乗り場ドアの上方に設けられるとともに、天板を有するヘッダーケースと、を具備し、天板には、複数の通気孔が設けられる。
【0008】
このとき、前記天板は、前記複数の通気孔の上部を覆うカバーを含むことが好ましい。また、前記天板は、堤部を有し、この堤部は、前記通気孔の周囲を規定する縁部の位置で周辺よりも高くなるように設けられていてもよい。
【0009】
さらに、エレベータは、前記第1の乗り場の上の階にある第2の乗り場と、前記昇降路との間を仕切っている第2の乗り場ドアと、前記昇降路内で前記第2の乗り場ドアの下方に設けられるとともに、複数のゴミ落とし孔が設けられた乗り場敷居と、をさらに具備し、前記天板の複数の通気孔は、前記複数のゴミ落とし孔から外れた領域に設けられていてもよい。
【0010】
また、エレベータは、前記天板の下側に設けられる電装品をさらに具備し、前記天板の複数の通気孔は、前記電装品から外れた領域に設けられることが好ましい。さらに、前記天板は、前記昇降路の壁面から斜め上方に向けて延びていてもよい。この天板は、前記複数の通気孔の上部を覆うカバーを含んでいてもよい。
【0011】
前記目的を達成するため、本発明の他の形態に係るエレベータは、昇降路と、前記昇降路内を昇降する乗りかごと、前記昇降路と、第1の乗り場との間を仕切っている第1の乗り場ドアと、前記昇降路内で前記第1の乗り場ドアの上方に設けられるとともに、天板を有するヘッダーケースと、を具備し、前記天板は、前記昇降路の壁面から斜め上方に向けて延びている。
【発明の効果】
【0012】
上記の構成によれば、乗り場敷居とかご敷居との間の隙間を小さく維持しつつバフ音の発生を防止できるエレベータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態に係るエレベータの全体構造を模式的に示した断面図。
【図2】図1に示すエレベータのヘッダーケース周りを拡大して示した斜視図。
【図3】図1に示すエレベータの乗り場敷居およびかご敷居を示した模式図。
【図4】第2の実施形態にかかるエレベータのヘッダーケース周辺を示した斜視図。
【図5】第3の実施形態にかかるエレベータのヘッダーケース周辺を示した斜視図。
【図6】第4の実施形態にかかるエレベータのヘッダーケース周辺を示した斜視図。
【図7】第5の実施形態にかかるエレベータのヘッダーケース周辺を示した斜視図。
【図8】第6の実施形態にかかるエレベータのヘッダーケースおよび乗り場敷居の周辺を示した正面図。
【図9】第7の実施形態にかかるエレベータのヘッダーケース周辺を示した斜視図。
【図10】第8の実施形態にかかるエレベータのヘッダーユニットの縦方向沿った断面図。
【図11】第9の実施形態にかかるエレベータのヘッダーユニットの縦方向に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1から図3を参照して、エレベータの第1の実施形態について説明する。
【0015】
図1に示すように、第1の実施形態のエレベータ11は、昇降路12と、昇降路12内を昇降する乗りかご13と、昇降路12の上方に設けられた機械室14と、一端で乗りかご13に固定されるメインロープ15と、メインロープ15が巻きかけられる巻上機16と、メインロープ15の他端に固定されるつり合い重り17と、を備えている。
【0016】
図1に示すように、エレベータ11は、つり合い重り17の上方で巻上機16に隣接して設けられたそらせシーブ18と、乗りかご13の昇降をガイドするメインレール21と、つり合い重り17の昇降をガイドするカウンターレール22と、乗りかご13に制御信号および電力を供給するテールコード23と、乗りかご13とつり合い重り17とを接続するコンペンセーティングロープ24、などを備えている。エレベータ11は、昇降路12の底部に設けられる図示しない乗りかご用バッファおよびつり合い重り用バッファを備えている。エレベータ11の昇降路12に隣接して、建物の各階には第1から第4の乗り場25A〜25Dが設けられている。
【0017】
図1と図2に示すように、エレベータ11は、さらに、昇降路12と第1から第4の乗り場25A〜25Dとの間を仕切る位置に設けられる第1から第4の乗り場ドア26A〜26Dと、第1から第4の乗り場ドア26A〜26Dの上方にそれぞれ設けられたヘッダーユニット27と、第1から第4の乗り場ドア26A〜26Dの下方にそれぞれ設けられた乗り場敷居28と、上階の乗り場敷居28と下階のヘッダーユニット27とをつなぐフェッシャープレート31と、をそれぞれ有している。
【0018】
図1に示すように、コンペンセーティングロープ24は、メインロープ15とは独立に設けられている。コンペンセーティングロープ24は、乗りかご13の下部と、つり合い重り17の下部とを連結している。
【0019】
乗りかご13は、箱形状のかご本体32と、かご本体32に設けられるかごドア33と、かごドア33の下方に設けられるかご敷居34と、を有している。図3に示すように、エレベータ11は、乗り場敷居28に取り付けられた乗り場追加敷居35と、かご敷居34に取り付けられたかご追加敷居36と、を備えている。乗り場追加敷居35は、例えばねじ止めで乗り場敷居28に固定されている。また、かご追加敷居36も同様に、例えばねじ止めでかご敷居34に固定されている。乗り場追加敷居35およびかご追加敷居36は、概ね間口寸法Mに対応する位置に取り付けられている。
【0020】
乗りかご13が乗り場25に対向した状態において、かご敷居34と、乗り場敷居28との間の隙間寸法D1は、例えば20mmに設定されている。また、かご追加敷居36と乗り場敷居28との間の隙間寸法D2およびかご敷居34と乗り場追加敷居35との間の隙間寸法D3は、それぞれ例えば、10mmに設定されている。
【0021】
図2に示すように、第1から第4の乗り場ドア26A〜26Dは、それぞれ片開き2枚扉で構成され、高速ドア37と、低速ドア38とを含んでいる。
【0022】
ヘッダーユニット27は、乗り場ドア26A〜26Dの高速ドア37および低速ドア38が吊り下げられるハンガー41と、ハンガー41に取り付けられたハンガーローラ42と、ハンガーローラ42の移動を案内するハンガーレール43と、乗り場ドア26A〜26Dを戸閉状態で保持するインターロック44と、乗り場ドア26A〜26Dの戸閉を検出するスイッチ45と、これらの側部および上部を覆うヘッダーケース46と、ヘッダーケース46を昇降路12の壁面12Aに固定するためのヘッダー固定ブラケット47と、を有している。ハンガーレール43は、ヘッダーケース46の後述するベース53に固定されている。
【0023】
ヘッダーケース46は、上階の乗り場敷居28から雨水や掃除の水、埃やゴミなどが落下してきた場合でも、ヘッダーケース46内部に配置されたハンガー41、ハンガーローラ42、ハンガーレール43、インターロック44、スイッチ45等の部品に直接これらが触れないようにしている。ヘッダーケース46は、例えば金属板を断面略「L」字形に曲げ加工して形成されており、複数の通気孔51を有する天板52と、昇降路12の壁面12Aと平行に延びているベース53と、ベース53の先端部に設けられるとともにフェッシャープレート31が取り付けられる取付部54と、を有している。
【0024】
各通気孔51は、ヘッダーケース46の延びる方向(間口方向)に沿って長くなった長円形に形成されている。複数の通気孔51は、例えば、ヘッダーケース46の延びる方向に沿って、一列に並んで配置されている。複数の通気孔51は、間口寸法Mの範囲内で均一なピッチで配置されている。
【0025】
第1の実施形態によれば、エレベータ11は、昇降路12と、昇降路12内を昇降する乗りかご13と、昇降路12と、第1の乗り場25との間を仕切っている第1の乗り場ドア26A〜26Dと、昇降路12内で第1の乗り場ドア26A〜26Dの上方に設けられるとともに、天板52を有するヘッダーケース46と、を具備し、天板52には、複数の通気孔51が設けられる。
【0026】
この構成によれば、ヘッダーケース46の天板52に通気孔51が設けられるため、乗りかご13の上昇時にヘッダーケース46内に溜まった圧縮空気を通気孔からヘッダーケース46外に逃がすことができる。これによって、乗りかご13が高速で上昇する際にヘッダーケース46内でバフ音を生ずることを防止できる。
【0027】
続いて図4を参照して、エレベータの第2の実施形態について説明する。第2の実施形態のエレベータ11は、通気孔51の周囲の構造が異なる点で第1の実施形態のものと異なっているが、他の部分は第1の実施形態と共通している。このため、主として異なる部分について説明し、共通する部分については共通の符号を付して説明を省略する。第2の実施形態のエレベータ11は、図1に示すエレベータ11と同様の構成を有する。
【0028】
第2の実施形態では、ヘッダーケース46は、複数の通気孔51を有する天板52と、昇降路12の壁面12Aと平行に延びているベース53と、天板52に設けられ通気孔51の上部を覆うカバー61と、を有している。
【0029】
各通気孔51は、ヘッダーケース46の延びる方向(間口方向)に沿って長くなった長方形に形成されている。複数の通気孔51は、例えば、ヘッダーケース46の延びる方向に沿って、一列に並んで配置されている。カバー61は、通気孔51に相当する箇所の金属板を斜め上方に折り曲げて形成されている。
【0030】
第2の実施形態によれば、天板52は、複数の通気孔51の上部を覆うカバー61を含んでいる。この構成によれば、上階の乗り場敷居28から雨水や掃除の水、埃やゴミなどが落下してきた場合でも、これらの落下物が直接通気孔51の内部に入ってしまうことを防止することができる。
【0031】
続いて図5を参照して、エレベータの第3の実施形態について説明する。第3の実施形態のエレベータ11は、通気孔51の周囲の構造が異なる点で第1の実施形態のものと異なっているが、他の部分は第1の実施形態と共通している。このため、主として異なる部分について説明し、共通する部分については共通の符号を付して説明を省略する。第3の実施形態のエレベータ11は、図1に示すエレベータ11と同様の構成を有する。
【0032】
図5に示すように、ヘッダーケース46は、複数の通気孔51を有する天板52と、昇降路12の壁面12Aと平行に延びているベース53と、天板52に設けられ通気孔51の上部を覆うカバー61と、を有している。
【0033】
各通気孔51は、ヘッダーケース46の延びる方向(間口方向)に沿って長くなった長円形に形成されている。複数の通気孔51は、例えば、ヘッダーケース46の延びる方向に沿って、一列に並んで配置されている。カバー61は、階段形状に折れ曲がった小片であり、この小片を例えば天板52の本体に溶接して天板52と一体になるように固定される。本実施形態のカバー61は、例えば、2個の通気孔51に対応しており、2個の通気孔51の上側を覆っている。
【0034】
第3の実施形態によれば、天板52は、複数の通気孔51の上部を覆うカバー61を含むため、上階の乗り場敷居28から雨水や掃除の水、埃やゴミなどが落下してきた場合でも、これらの落下物が直接通気孔51の内部に入ってしまうことを防止できる。
【0035】
続いて図6を参照して、エレベータの第4の実施形態について説明する。第4の実施形態のエレベータ11は、通気孔51の周囲の構造が異なる点で第1の実施形態のものと異なっているが、他の部分は第1の実施形態と共通している。このため、主として異なる部分について説明し、共通する部分については共通の符号を付して説明を省略する。第4の実施形態のエレベータ11は、図1に示すエレベータ11と同様の構成を有する。
【0036】
図6に示すように、ヘッダーケース46は、複数の通気孔51を有する天板52と、昇降路12の壁面12Aと平行に延びているベース53と、天板52に設けられるとともに通気孔51の周囲を規定する縁部71と、天板52の縁部71の位置で周辺よりも高くなるように設けられた堤部72と、を有している。
【0037】
各通気孔51は、ヘッダーケース46の延びる方向(間口方向)に沿って長くなった長円形に形成されている。複数の通気孔51は、例えば、ヘッダーケース46の延びる方向に沿って、一列に並んで配置されている。堤部72は、例えば天板52の縁部71に対して絞り加工を施して周辺よりも高くなるように形成されている。
【0038】
第4の実施形態によれば、周辺よりも高くなった堤部72が設けられるため、上階の乗り場敷居28から落下した雨水や掃除の水、埃やゴミなどが天板52の上面に溜まったとしても、この上面に溜まった雨水等が通気孔の内側に浸入してしまうことを防止することができる。
【0039】
続いて図7を参照して、エレベータの第5の実施形態について説明する。第5の実施形態のエレベータ11は、通気孔51の周囲の構造が異なる点で第1の実施形態のものと異なっているが、他の部分は第1の実施形態と共通している。このため、主として異なる部分について説明し、共通する部分については共通の符号を付して説明を省略する。第5の実施形態のエレベータ11は、図1に示すエレベータ11と同様の構成を有する。
【0040】
図7に示すように、ヘッダーケース46は、複数の通気孔51を有する天板52と、昇降路12の壁面12Aと平行に延びているベース53と、天板52に設けられるとともに通気孔51の周囲を規定する縁部71と、天板52の縁部71の位置で周辺よりも高くなるように設けられた堤部72と、を有している。
【0041】
各通気孔51は、ヘッダーケース46の延びる方向(間口方向)に沿って長くなった長円形に形成されている。複数の通気孔51は、例えば、ヘッダーケース46の延びる方向に沿って、一列に並んで配置されている。堤部72は、例えば、天板52の縁部71に対してリング形状をなした合成樹脂製のシートを接着して形成される。
【0042】
第4の実施形態によれば、周辺よりも高くなった堤部72が設けられるため、上階の乗り場敷居28から落下した雨水や掃除の水、埃やゴミなどが天板の上面に溜まったとしても、この上面に溜まった雨水等が通気孔51の内側に浸入してしまうことを防止することができる。
【0043】
続いて図8を参照して、エレベータの第6の実施形態について説明する。第6の実施形態のエレベータ11は、通気孔51の配置が異なる点で第1の実施形態のものと異なっているが、他の部分は第1の実施形態と共通している。このため、主として異なる部分について説明し、共通する部分については共通の符号を付して説明を省略する。第6の実施形態のエレベータ11は、図1に示すエレベータ11と同様の構成を有する。
【0044】
図8に示すように、上階にある乗り場敷居28には、複数のゴミ落とし孔81が設けられている。また、ヘッダーケース46は、複数の通気孔51を有する天板52と、昇降路12の壁面12Aと平行に延びているベース53と、を有している。
【0045】
複数の通気孔51は、上階にある乗り場敷居28のゴミ落とし孔81から外れた領域82に設けられている。より具体的には、複数の通気孔51は、上方からみて、ゴミ落とし孔81と重ならない位置に配置されている。複数の通気孔51は、例えば、ヘッダーケース46の延びる方向に沿って、一列に並んで配置されている。
【0046】
第5の実施形態によれば、複数の通気孔51が複数のゴミ落とし孔81から外れた領域82に設けられるため、上階のゴミ落とし孔81から雨水や掃除の水、埃やゴミなどが落下してきた場合でも、これら雨水等はヘッダーケース46の天板52の上面に溜まることになり、雨水等が通気孔51内に直接落下することを防止することができる。
【0047】
続いて図9を参照して、エレベータの第7の実施形態について説明する。第7の実施形態のエレベータ11は、通気孔51の配置が異なる点で第1の実施形態のものと異なっているが、他の部分は第1の実施形態と共通している。このため、主として異なる部分について説明し、共通する部分については共通の符号を付して説明を省略する。第7の実施形態のエレベータ11は、図1に示すエレベータ11と同様の構成を有する。
【0048】
ヘッダーユニット27は、乗り場ドア26A〜26Dが吊り下げられるハンガー41と、ハンガー41に取り付けられたハンガーローラ42と、ハンガーローラ42の移動を案内するハンガーレール43と、乗り場ドア26A〜26Dを戸閉状態で保持するインターロック44と、乗り場ドア26A〜26Dの戸閉を検出するスイッチ45と、これらの側部および上部を覆うヘッダーケース46と、ヘッダーケース46を昇降路12の壁面12Aに固定するためのヘッダー固定ブラケット47と、を有している。
【0049】
ヘッダーケース46は、複数の通気孔51を有する天板52と、昇降路12の壁面12Aと平行に延びているベース53と、を有している。
【0050】
複数の通気孔51は、電装品の一例であるスイッチ45等が設けられる領域Sから外れた領域に設けられている。より具体的には、複数の通気孔51は、上方から見てスイッチ45等とは重ならない位置に配置されている。複数の通気孔51は、例えば、ヘッダーケース46の延びる方向に沿って、一列に並んで配置されている。複数の通気孔51は、図3に示すような間口寸法Mの範囲内で、且つ、領域Sから外れた領域内で均一なピッチで配置されている。
【0051】
また、本実施形態において、複数の通気孔51は、上方から見て、インターロック44やハンガーローラ42からも外れた領域に配置されており、これらの機能が雨水等によって損なわれないようにしている。
【0052】
第7の実施形態によれば、複数の通気孔51が電装品から外れた領域に設けられるため、もし仮に通気孔51の内部に雨水や掃除の水、埃やゴミなどが浸入することがあっても、雨水等が電装品等にかかることがなく、電装品に故障を生じてしまうことを防止することができる。
【0053】
続いて図10を参照して、エレベータの第8の実施形態について説明する。第8の実施形態のエレベータ11は、ヘッダーケース46の構成が異なる点で第1の実施形態のものと異なっているが、他の部分は第1の実施形態と共通している。このため、主として異なる部分について説明し、共通する部分については共通の符号を付して説明を省略する。第8の実施形態のエレベータ11は、図1に示すエレベータ11と同様の構成を有する。
【0054】
ヘッダーユニット27は、乗り場ドア26A〜26Dが吊り下げられるハンガー41と、ハンガー41に取り付けられたハンガーローラ42と、ハンガーローラ42の移動を案内するハンガーレール43と、乗り場ドア26A〜26Dを戸閉状態で保持するインターロック44と、乗り場ドア26A〜26Dの戸閉を検出するスイッチ45と、これらの側部および上部を覆うヘッダーケース46と、ヘッダーケース46を昇降路12の壁面12Aに固定するためのヘッダー固定ブラケット47と、を有している。
【0055】
ヘッダーケース46は、天板52と、昇降路12の壁面12Aと平行に延びているベース53と、を有している。天板52は、上記各実施形態とは異なり、ベース53に対して直交する方向ではなく、ベース53に対して斜めになっている。言い換えると、天板52は、昇降路12の壁面12Aから斜め上方に向けて延びている。
【0056】
第8の実施形態によれば、天板52が昇降路12の壁面12Aから斜め上方に向けて延びているため、ヘッダーケース46内から外部に向けて空気の抜けを良好にすることができる。これによって、乗りかご13が高速で上昇する際にヘッダーケース46内でバフ音を生ずることを防止することができる。なお、本実施形態では、ヘッダーケース46の天板52が昇降路12の壁面12Aから斜め上方に向けて延びるようにしているが、これに限定されるものではなく、例えば天板52をベース53に対して直交する方向に配置し、天板52のうち一部を昇降路12の壁面12Aから斜め上方に向けて延びるように形成してもよい。また、図10では参考のために、第1の実施形態の天板52を破線で示している。
【0057】
続いて図11を参照して、エレベータの第9の実施形態について説明する。第9の実施形態のエレベータ11は、ヘッダーケース46の構成が異なる点で第8の実施形態のものと異なっているが、他の部分は第8の実施形態と共通している。このため、主として異なる部分について説明し、共通する部分については共通の符号を付して説明を省略する。第9の実施形態のエレベータ11は、図1に示すエレベータ11と同様の構成を有する。
【0058】
ヘッダーケース46は、複数の通気孔51を有する天板52と、昇降路12の壁面12Aと平行に延びているベース53と、天板52に設けられ通気孔51の上部を覆うカバー61と、を有している。天板52は、上記各実施形態とは異なり、ベース53に対して直交する方向ではなく、ベース53に対して斜めになっている。言い換えると、天板52は、昇降路12の壁面12Aから斜め上方に向けて延びている。カバー61は、通気孔51に相当する箇所の金属板を斜め上方に折り曲げて形成されている。また、図11では参考のために、第1の実施形態の天板52を破線で示している。
【0059】
第9の実施形態によれば、天板52が昇降路12の壁面12Aから斜め上方に向けて延びているため、ヘッダーケース46内から外部に向けて空気の抜けを良好にして、ヘッダーケース46内でバフ音の発生を防止できる。また、天板52には複数の通気孔51が設けられるため、ヘッダーケース46からの空気の抜けをより一層良好にすることができる。さらに、通気孔51の上部にカバー61が設けられるため、上階の乗り場敷居28から雨水等が落下してきた場合でも、これらの落下物が直接通気孔51の内部に入ってしまうことを防止できる。
【0060】
本発明のエレベータ11は、前記実施の形態に限定されるものではない。このほか、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0061】
11…エレベータ、12…昇降路、12A…壁面、25A〜25D…乗り場、26A〜26D…乗り場ドア、27…ヘッダーユニット、45…スイッチ、46…ヘッダーケース、51…通気孔、52…天板、61…カバー、71…縁部、72…堤部、81…ゴミ落とし孔、82…外れた領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り場ドアの上方にヘッダーケースを備えたエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
乗り場敷居とかご敷居との間に追加敷居を設置したエレベータが開示されている。このエレベータの追加敷居は、乗り場敷居に固定された乗り場側追加敷居と、かご敷居に固定されたかご側追加敷居と、を含んでいる。乗り場側追加敷居と、かご側追加敷居とは、互い違いに配置されている。
【0003】
このエレベータでは、乗り場側追加敷居と、かご側追加敷居とを用いて、乗り場敷居とかご敷居との間の隙間を小さくしている。これによって、例えば、隙間内に物を落としたり、車椅子や台車などの車輪が挟まったりする不具合を生ずることを防止している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−347728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、エレベータの乗り場ドア装置には、ドアパネルがぶら下げられるハンガーと、ハンガーに取り付けられたハンガーローラと、ハンガーローラの移動を案内するハンガーレールと、ドアパネルの戸閉を検出するスイッチなどの電装品と、これらの上部を覆うとともにハンガーレールを支持する屋根状のヘッダーケースと、が含まれる。ところで、上記従来型のエレベータのように、乗り場敷居とかご敷居との間の隙間が小さくなると、かごが高速で上昇する際に押し上げられた空気がヘッダーケースの内側に溜まっていわゆるバフ音を生ずることとなる。
【0006】
本発明の目的は、乗り場敷居とかご敷居との間の隙間を小さく維持しつつバフ音の発生を防止できるエレベータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係るエレベータは、昇降路と、昇降路内を昇降する乗りかごと、昇降路と、第1の乗り場との間を仕切っている第1の乗り場ドアと、昇降路内で第1の乗り場ドアの上方に設けられるとともに、天板を有するヘッダーケースと、を具備し、天板には、複数の通気孔が設けられる。
【0008】
このとき、前記天板は、前記複数の通気孔の上部を覆うカバーを含むことが好ましい。また、前記天板は、堤部を有し、この堤部は、前記通気孔の周囲を規定する縁部の位置で周辺よりも高くなるように設けられていてもよい。
【0009】
さらに、エレベータは、前記第1の乗り場の上の階にある第2の乗り場と、前記昇降路との間を仕切っている第2の乗り場ドアと、前記昇降路内で前記第2の乗り場ドアの下方に設けられるとともに、複数のゴミ落とし孔が設けられた乗り場敷居と、をさらに具備し、前記天板の複数の通気孔は、前記複数のゴミ落とし孔から外れた領域に設けられていてもよい。
【0010】
また、エレベータは、前記天板の下側に設けられる電装品をさらに具備し、前記天板の複数の通気孔は、前記電装品から外れた領域に設けられることが好ましい。さらに、前記天板は、前記昇降路の壁面から斜め上方に向けて延びていてもよい。この天板は、前記複数の通気孔の上部を覆うカバーを含んでいてもよい。
【0011】
前記目的を達成するため、本発明の他の形態に係るエレベータは、昇降路と、前記昇降路内を昇降する乗りかごと、前記昇降路と、第1の乗り場との間を仕切っている第1の乗り場ドアと、前記昇降路内で前記第1の乗り場ドアの上方に設けられるとともに、天板を有するヘッダーケースと、を具備し、前記天板は、前記昇降路の壁面から斜め上方に向けて延びている。
【発明の効果】
【0012】
上記の構成によれば、乗り場敷居とかご敷居との間の隙間を小さく維持しつつバフ音の発生を防止できるエレベータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態に係るエレベータの全体構造を模式的に示した断面図。
【図2】図1に示すエレベータのヘッダーケース周りを拡大して示した斜視図。
【図3】図1に示すエレベータの乗り場敷居およびかご敷居を示した模式図。
【図4】第2の実施形態にかかるエレベータのヘッダーケース周辺を示した斜視図。
【図5】第3の実施形態にかかるエレベータのヘッダーケース周辺を示した斜視図。
【図6】第4の実施形態にかかるエレベータのヘッダーケース周辺を示した斜視図。
【図7】第5の実施形態にかかるエレベータのヘッダーケース周辺を示した斜視図。
【図8】第6の実施形態にかかるエレベータのヘッダーケースおよび乗り場敷居の周辺を示した正面図。
【図9】第7の実施形態にかかるエレベータのヘッダーケース周辺を示した斜視図。
【図10】第8の実施形態にかかるエレベータのヘッダーユニットの縦方向沿った断面図。
【図11】第9の実施形態にかかるエレベータのヘッダーユニットの縦方向に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1から図3を参照して、エレベータの第1の実施形態について説明する。
【0015】
図1に示すように、第1の実施形態のエレベータ11は、昇降路12と、昇降路12内を昇降する乗りかご13と、昇降路12の上方に設けられた機械室14と、一端で乗りかご13に固定されるメインロープ15と、メインロープ15が巻きかけられる巻上機16と、メインロープ15の他端に固定されるつり合い重り17と、を備えている。
【0016】
図1に示すように、エレベータ11は、つり合い重り17の上方で巻上機16に隣接して設けられたそらせシーブ18と、乗りかご13の昇降をガイドするメインレール21と、つり合い重り17の昇降をガイドするカウンターレール22と、乗りかご13に制御信号および電力を供給するテールコード23と、乗りかご13とつり合い重り17とを接続するコンペンセーティングロープ24、などを備えている。エレベータ11は、昇降路12の底部に設けられる図示しない乗りかご用バッファおよびつり合い重り用バッファを備えている。エレベータ11の昇降路12に隣接して、建物の各階には第1から第4の乗り場25A〜25Dが設けられている。
【0017】
図1と図2に示すように、エレベータ11は、さらに、昇降路12と第1から第4の乗り場25A〜25Dとの間を仕切る位置に設けられる第1から第4の乗り場ドア26A〜26Dと、第1から第4の乗り場ドア26A〜26Dの上方にそれぞれ設けられたヘッダーユニット27と、第1から第4の乗り場ドア26A〜26Dの下方にそれぞれ設けられた乗り場敷居28と、上階の乗り場敷居28と下階のヘッダーユニット27とをつなぐフェッシャープレート31と、をそれぞれ有している。
【0018】
図1に示すように、コンペンセーティングロープ24は、メインロープ15とは独立に設けられている。コンペンセーティングロープ24は、乗りかご13の下部と、つり合い重り17の下部とを連結している。
【0019】
乗りかご13は、箱形状のかご本体32と、かご本体32に設けられるかごドア33と、かごドア33の下方に設けられるかご敷居34と、を有している。図3に示すように、エレベータ11は、乗り場敷居28に取り付けられた乗り場追加敷居35と、かご敷居34に取り付けられたかご追加敷居36と、を備えている。乗り場追加敷居35は、例えばねじ止めで乗り場敷居28に固定されている。また、かご追加敷居36も同様に、例えばねじ止めでかご敷居34に固定されている。乗り場追加敷居35およびかご追加敷居36は、概ね間口寸法Mに対応する位置に取り付けられている。
【0020】
乗りかご13が乗り場25に対向した状態において、かご敷居34と、乗り場敷居28との間の隙間寸法D1は、例えば20mmに設定されている。また、かご追加敷居36と乗り場敷居28との間の隙間寸法D2およびかご敷居34と乗り場追加敷居35との間の隙間寸法D3は、それぞれ例えば、10mmに設定されている。
【0021】
図2に示すように、第1から第4の乗り場ドア26A〜26Dは、それぞれ片開き2枚扉で構成され、高速ドア37と、低速ドア38とを含んでいる。
【0022】
ヘッダーユニット27は、乗り場ドア26A〜26Dの高速ドア37および低速ドア38が吊り下げられるハンガー41と、ハンガー41に取り付けられたハンガーローラ42と、ハンガーローラ42の移動を案内するハンガーレール43と、乗り場ドア26A〜26Dを戸閉状態で保持するインターロック44と、乗り場ドア26A〜26Dの戸閉を検出するスイッチ45と、これらの側部および上部を覆うヘッダーケース46と、ヘッダーケース46を昇降路12の壁面12Aに固定するためのヘッダー固定ブラケット47と、を有している。ハンガーレール43は、ヘッダーケース46の後述するベース53に固定されている。
【0023】
ヘッダーケース46は、上階の乗り場敷居28から雨水や掃除の水、埃やゴミなどが落下してきた場合でも、ヘッダーケース46内部に配置されたハンガー41、ハンガーローラ42、ハンガーレール43、インターロック44、スイッチ45等の部品に直接これらが触れないようにしている。ヘッダーケース46は、例えば金属板を断面略「L」字形に曲げ加工して形成されており、複数の通気孔51を有する天板52と、昇降路12の壁面12Aと平行に延びているベース53と、ベース53の先端部に設けられるとともにフェッシャープレート31が取り付けられる取付部54と、を有している。
【0024】
各通気孔51は、ヘッダーケース46の延びる方向(間口方向)に沿って長くなった長円形に形成されている。複数の通気孔51は、例えば、ヘッダーケース46の延びる方向に沿って、一列に並んで配置されている。複数の通気孔51は、間口寸法Mの範囲内で均一なピッチで配置されている。
【0025】
第1の実施形態によれば、エレベータ11は、昇降路12と、昇降路12内を昇降する乗りかご13と、昇降路12と、第1の乗り場25との間を仕切っている第1の乗り場ドア26A〜26Dと、昇降路12内で第1の乗り場ドア26A〜26Dの上方に設けられるとともに、天板52を有するヘッダーケース46と、を具備し、天板52には、複数の通気孔51が設けられる。
【0026】
この構成によれば、ヘッダーケース46の天板52に通気孔51が設けられるため、乗りかご13の上昇時にヘッダーケース46内に溜まった圧縮空気を通気孔からヘッダーケース46外に逃がすことができる。これによって、乗りかご13が高速で上昇する際にヘッダーケース46内でバフ音を生ずることを防止できる。
【0027】
続いて図4を参照して、エレベータの第2の実施形態について説明する。第2の実施形態のエレベータ11は、通気孔51の周囲の構造が異なる点で第1の実施形態のものと異なっているが、他の部分は第1の実施形態と共通している。このため、主として異なる部分について説明し、共通する部分については共通の符号を付して説明を省略する。第2の実施形態のエレベータ11は、図1に示すエレベータ11と同様の構成を有する。
【0028】
第2の実施形態では、ヘッダーケース46は、複数の通気孔51を有する天板52と、昇降路12の壁面12Aと平行に延びているベース53と、天板52に設けられ通気孔51の上部を覆うカバー61と、を有している。
【0029】
各通気孔51は、ヘッダーケース46の延びる方向(間口方向)に沿って長くなった長方形に形成されている。複数の通気孔51は、例えば、ヘッダーケース46の延びる方向に沿って、一列に並んで配置されている。カバー61は、通気孔51に相当する箇所の金属板を斜め上方に折り曲げて形成されている。
【0030】
第2の実施形態によれば、天板52は、複数の通気孔51の上部を覆うカバー61を含んでいる。この構成によれば、上階の乗り場敷居28から雨水や掃除の水、埃やゴミなどが落下してきた場合でも、これらの落下物が直接通気孔51の内部に入ってしまうことを防止することができる。
【0031】
続いて図5を参照して、エレベータの第3の実施形態について説明する。第3の実施形態のエレベータ11は、通気孔51の周囲の構造が異なる点で第1の実施形態のものと異なっているが、他の部分は第1の実施形態と共通している。このため、主として異なる部分について説明し、共通する部分については共通の符号を付して説明を省略する。第3の実施形態のエレベータ11は、図1に示すエレベータ11と同様の構成を有する。
【0032】
図5に示すように、ヘッダーケース46は、複数の通気孔51を有する天板52と、昇降路12の壁面12Aと平行に延びているベース53と、天板52に設けられ通気孔51の上部を覆うカバー61と、を有している。
【0033】
各通気孔51は、ヘッダーケース46の延びる方向(間口方向)に沿って長くなった長円形に形成されている。複数の通気孔51は、例えば、ヘッダーケース46の延びる方向に沿って、一列に並んで配置されている。カバー61は、階段形状に折れ曲がった小片であり、この小片を例えば天板52の本体に溶接して天板52と一体になるように固定される。本実施形態のカバー61は、例えば、2個の通気孔51に対応しており、2個の通気孔51の上側を覆っている。
【0034】
第3の実施形態によれば、天板52は、複数の通気孔51の上部を覆うカバー61を含むため、上階の乗り場敷居28から雨水や掃除の水、埃やゴミなどが落下してきた場合でも、これらの落下物が直接通気孔51の内部に入ってしまうことを防止できる。
【0035】
続いて図6を参照して、エレベータの第4の実施形態について説明する。第4の実施形態のエレベータ11は、通気孔51の周囲の構造が異なる点で第1の実施形態のものと異なっているが、他の部分は第1の実施形態と共通している。このため、主として異なる部分について説明し、共通する部分については共通の符号を付して説明を省略する。第4の実施形態のエレベータ11は、図1に示すエレベータ11と同様の構成を有する。
【0036】
図6に示すように、ヘッダーケース46は、複数の通気孔51を有する天板52と、昇降路12の壁面12Aと平行に延びているベース53と、天板52に設けられるとともに通気孔51の周囲を規定する縁部71と、天板52の縁部71の位置で周辺よりも高くなるように設けられた堤部72と、を有している。
【0037】
各通気孔51は、ヘッダーケース46の延びる方向(間口方向)に沿って長くなった長円形に形成されている。複数の通気孔51は、例えば、ヘッダーケース46の延びる方向に沿って、一列に並んで配置されている。堤部72は、例えば天板52の縁部71に対して絞り加工を施して周辺よりも高くなるように形成されている。
【0038】
第4の実施形態によれば、周辺よりも高くなった堤部72が設けられるため、上階の乗り場敷居28から落下した雨水や掃除の水、埃やゴミなどが天板52の上面に溜まったとしても、この上面に溜まった雨水等が通気孔の内側に浸入してしまうことを防止することができる。
【0039】
続いて図7を参照して、エレベータの第5の実施形態について説明する。第5の実施形態のエレベータ11は、通気孔51の周囲の構造が異なる点で第1の実施形態のものと異なっているが、他の部分は第1の実施形態と共通している。このため、主として異なる部分について説明し、共通する部分については共通の符号を付して説明を省略する。第5の実施形態のエレベータ11は、図1に示すエレベータ11と同様の構成を有する。
【0040】
図7に示すように、ヘッダーケース46は、複数の通気孔51を有する天板52と、昇降路12の壁面12Aと平行に延びているベース53と、天板52に設けられるとともに通気孔51の周囲を規定する縁部71と、天板52の縁部71の位置で周辺よりも高くなるように設けられた堤部72と、を有している。
【0041】
各通気孔51は、ヘッダーケース46の延びる方向(間口方向)に沿って長くなった長円形に形成されている。複数の通気孔51は、例えば、ヘッダーケース46の延びる方向に沿って、一列に並んで配置されている。堤部72は、例えば、天板52の縁部71に対してリング形状をなした合成樹脂製のシートを接着して形成される。
【0042】
第4の実施形態によれば、周辺よりも高くなった堤部72が設けられるため、上階の乗り場敷居28から落下した雨水や掃除の水、埃やゴミなどが天板の上面に溜まったとしても、この上面に溜まった雨水等が通気孔51の内側に浸入してしまうことを防止することができる。
【0043】
続いて図8を参照して、エレベータの第6の実施形態について説明する。第6の実施形態のエレベータ11は、通気孔51の配置が異なる点で第1の実施形態のものと異なっているが、他の部分は第1の実施形態と共通している。このため、主として異なる部分について説明し、共通する部分については共通の符号を付して説明を省略する。第6の実施形態のエレベータ11は、図1に示すエレベータ11と同様の構成を有する。
【0044】
図8に示すように、上階にある乗り場敷居28には、複数のゴミ落とし孔81が設けられている。また、ヘッダーケース46は、複数の通気孔51を有する天板52と、昇降路12の壁面12Aと平行に延びているベース53と、を有している。
【0045】
複数の通気孔51は、上階にある乗り場敷居28のゴミ落とし孔81から外れた領域82に設けられている。より具体的には、複数の通気孔51は、上方からみて、ゴミ落とし孔81と重ならない位置に配置されている。複数の通気孔51は、例えば、ヘッダーケース46の延びる方向に沿って、一列に並んで配置されている。
【0046】
第5の実施形態によれば、複数の通気孔51が複数のゴミ落とし孔81から外れた領域82に設けられるため、上階のゴミ落とし孔81から雨水や掃除の水、埃やゴミなどが落下してきた場合でも、これら雨水等はヘッダーケース46の天板52の上面に溜まることになり、雨水等が通気孔51内に直接落下することを防止することができる。
【0047】
続いて図9を参照して、エレベータの第7の実施形態について説明する。第7の実施形態のエレベータ11は、通気孔51の配置が異なる点で第1の実施形態のものと異なっているが、他の部分は第1の実施形態と共通している。このため、主として異なる部分について説明し、共通する部分については共通の符号を付して説明を省略する。第7の実施形態のエレベータ11は、図1に示すエレベータ11と同様の構成を有する。
【0048】
ヘッダーユニット27は、乗り場ドア26A〜26Dが吊り下げられるハンガー41と、ハンガー41に取り付けられたハンガーローラ42と、ハンガーローラ42の移動を案内するハンガーレール43と、乗り場ドア26A〜26Dを戸閉状態で保持するインターロック44と、乗り場ドア26A〜26Dの戸閉を検出するスイッチ45と、これらの側部および上部を覆うヘッダーケース46と、ヘッダーケース46を昇降路12の壁面12Aに固定するためのヘッダー固定ブラケット47と、を有している。
【0049】
ヘッダーケース46は、複数の通気孔51を有する天板52と、昇降路12の壁面12Aと平行に延びているベース53と、を有している。
【0050】
複数の通気孔51は、電装品の一例であるスイッチ45等が設けられる領域Sから外れた領域に設けられている。より具体的には、複数の通気孔51は、上方から見てスイッチ45等とは重ならない位置に配置されている。複数の通気孔51は、例えば、ヘッダーケース46の延びる方向に沿って、一列に並んで配置されている。複数の通気孔51は、図3に示すような間口寸法Mの範囲内で、且つ、領域Sから外れた領域内で均一なピッチで配置されている。
【0051】
また、本実施形態において、複数の通気孔51は、上方から見て、インターロック44やハンガーローラ42からも外れた領域に配置されており、これらの機能が雨水等によって損なわれないようにしている。
【0052】
第7の実施形態によれば、複数の通気孔51が電装品から外れた領域に設けられるため、もし仮に通気孔51の内部に雨水や掃除の水、埃やゴミなどが浸入することがあっても、雨水等が電装品等にかかることがなく、電装品に故障を生じてしまうことを防止することができる。
【0053】
続いて図10を参照して、エレベータの第8の実施形態について説明する。第8の実施形態のエレベータ11は、ヘッダーケース46の構成が異なる点で第1の実施形態のものと異なっているが、他の部分は第1の実施形態と共通している。このため、主として異なる部分について説明し、共通する部分については共通の符号を付して説明を省略する。第8の実施形態のエレベータ11は、図1に示すエレベータ11と同様の構成を有する。
【0054】
ヘッダーユニット27は、乗り場ドア26A〜26Dが吊り下げられるハンガー41と、ハンガー41に取り付けられたハンガーローラ42と、ハンガーローラ42の移動を案内するハンガーレール43と、乗り場ドア26A〜26Dを戸閉状態で保持するインターロック44と、乗り場ドア26A〜26Dの戸閉を検出するスイッチ45と、これらの側部および上部を覆うヘッダーケース46と、ヘッダーケース46を昇降路12の壁面12Aに固定するためのヘッダー固定ブラケット47と、を有している。
【0055】
ヘッダーケース46は、天板52と、昇降路12の壁面12Aと平行に延びているベース53と、を有している。天板52は、上記各実施形態とは異なり、ベース53に対して直交する方向ではなく、ベース53に対して斜めになっている。言い換えると、天板52は、昇降路12の壁面12Aから斜め上方に向けて延びている。
【0056】
第8の実施形態によれば、天板52が昇降路12の壁面12Aから斜め上方に向けて延びているため、ヘッダーケース46内から外部に向けて空気の抜けを良好にすることができる。これによって、乗りかご13が高速で上昇する際にヘッダーケース46内でバフ音を生ずることを防止することができる。なお、本実施形態では、ヘッダーケース46の天板52が昇降路12の壁面12Aから斜め上方に向けて延びるようにしているが、これに限定されるものではなく、例えば天板52をベース53に対して直交する方向に配置し、天板52のうち一部を昇降路12の壁面12Aから斜め上方に向けて延びるように形成してもよい。また、図10では参考のために、第1の実施形態の天板52を破線で示している。
【0057】
続いて図11を参照して、エレベータの第9の実施形態について説明する。第9の実施形態のエレベータ11は、ヘッダーケース46の構成が異なる点で第8の実施形態のものと異なっているが、他の部分は第8の実施形態と共通している。このため、主として異なる部分について説明し、共通する部分については共通の符号を付して説明を省略する。第9の実施形態のエレベータ11は、図1に示すエレベータ11と同様の構成を有する。
【0058】
ヘッダーケース46は、複数の通気孔51を有する天板52と、昇降路12の壁面12Aと平行に延びているベース53と、天板52に設けられ通気孔51の上部を覆うカバー61と、を有している。天板52は、上記各実施形態とは異なり、ベース53に対して直交する方向ではなく、ベース53に対して斜めになっている。言い換えると、天板52は、昇降路12の壁面12Aから斜め上方に向けて延びている。カバー61は、通気孔51に相当する箇所の金属板を斜め上方に折り曲げて形成されている。また、図11では参考のために、第1の実施形態の天板52を破線で示している。
【0059】
第9の実施形態によれば、天板52が昇降路12の壁面12Aから斜め上方に向けて延びているため、ヘッダーケース46内から外部に向けて空気の抜けを良好にして、ヘッダーケース46内でバフ音の発生を防止できる。また、天板52には複数の通気孔51が設けられるため、ヘッダーケース46からの空気の抜けをより一層良好にすることができる。さらに、通気孔51の上部にカバー61が設けられるため、上階の乗り場敷居28から雨水等が落下してきた場合でも、これらの落下物が直接通気孔51の内部に入ってしまうことを防止できる。
【0060】
本発明のエレベータ11は、前記実施の形態に限定されるものではない。このほか、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0061】
11…エレベータ、12…昇降路、12A…壁面、25A〜25D…乗り場、26A〜26D…乗り場ドア、27…ヘッダーユニット、45…スイッチ、46…ヘッダーケース、51…通気孔、52…天板、61…カバー、71…縁部、72…堤部、81…ゴミ落とし孔、82…外れた領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路と、
前記昇降路内を昇降する乗りかごと、
前記昇降路と、第1の乗り場との間を仕切っている第1の乗り場ドアと、
前記昇降路内で前記第1の乗り場ドアの上方に設けられるとともに、天板を有するヘッダーケースと、
を具備し、
前記天板には、複数の通気孔が設けられることを特徴とするエレベータ。
【請求項2】
前記天板は、前記複数の通気孔の上部を覆うカバーを含むことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記天板は、堤部を有し、この堤部は、前記通気孔の周囲を規定する縁部の位置で周辺よりも高くなるように設けられたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記第1の乗り場の上の階にある第2の乗り場と、前記昇降路との間を仕切っている第2の乗り場ドアと、
前記昇降路内で前記第2の乗り場ドアの下方に設けられるとともに、複数のゴミ落とし孔が設けられた乗り場敷居と、
をさらに具備し、
前記天板の複数の通気孔は、前記複数のゴミ落とし孔から外れた領域に設けられることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項5】
前記天板の下側に設けられる電装品をさらに具備し、
前記天板の複数の通気孔は、前記電装品から外れた領域に設けられることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項6】
前記天板は、前記昇降路の壁面から斜め上方に向けて延びたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項7】
前記天板は、前記複数の通気孔の上部を覆うカバーを含むことを特徴とする請求項6に記載のエレベータ。
【請求項8】
昇降路と、
前記昇降路内を昇降する乗りかごと、
前記昇降路と、第1の乗り場との間を仕切っている第1の乗り場ドアと、
前記昇降路内で前記第1の乗り場ドアの上方に設けられるとともに、天板を有するヘッダーケースと、
を具備し、
前記天板は、前記昇降路の壁面から斜め上方に向けて延びたことを特徴とするエレベータ。
【請求項1】
昇降路と、
前記昇降路内を昇降する乗りかごと、
前記昇降路と、第1の乗り場との間を仕切っている第1の乗り場ドアと、
前記昇降路内で前記第1の乗り場ドアの上方に設けられるとともに、天板を有するヘッダーケースと、
を具備し、
前記天板には、複数の通気孔が設けられることを特徴とするエレベータ。
【請求項2】
前記天板は、前記複数の通気孔の上部を覆うカバーを含むことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記天板は、堤部を有し、この堤部は、前記通気孔の周囲を規定する縁部の位置で周辺よりも高くなるように設けられたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記第1の乗り場の上の階にある第2の乗り場と、前記昇降路との間を仕切っている第2の乗り場ドアと、
前記昇降路内で前記第2の乗り場ドアの下方に設けられるとともに、複数のゴミ落とし孔が設けられた乗り場敷居と、
をさらに具備し、
前記天板の複数の通気孔は、前記複数のゴミ落とし孔から外れた領域に設けられることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項5】
前記天板の下側に設けられる電装品をさらに具備し、
前記天板の複数の通気孔は、前記電装品から外れた領域に設けられることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項6】
前記天板は、前記昇降路の壁面から斜め上方に向けて延びたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項7】
前記天板は、前記複数の通気孔の上部を覆うカバーを含むことを特徴とする請求項6に記載のエレベータ。
【請求項8】
昇降路と、
前記昇降路内を昇降する乗りかごと、
前記昇降路と、第1の乗り場との間を仕切っている第1の乗り場ドアと、
前記昇降路内で前記第1の乗り場ドアの上方に設けられるとともに、天板を有するヘッダーケースと、
を具備し、
前記天板は、前記昇降路の壁面から斜め上方に向けて延びたことを特徴とするエレベータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−152996(P2011−152996A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15933(P2010−15933)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
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