説明

エンジンアッシのアンバランス修正方法及びアンバランス修正装置

【課題】エンジンアッシのクランク軸における修正狙い位置に対し、錘を取り付ける等してアンバランスを修正するに際し、エンジン停止後のコンプレッションによるクランク軸の逆回転に起因する修正狙い位置の誤差を低減し、アンバランスの修正精度を向上すること。
【解決手段】振動架台2上に載置したエンジンアッシ1を所定の回転数で回転させることにより振動ピックアップ3によって振動を検出し、検出した振動を用いて、予め設定されるアンバランスと振動との関係からエンジンアッシ1のアンバランスを測定し、測定したアンバランスに基づきクランク軸11における修正狙い位置を算出し、エンジンアッシ1の回転を停止させた後、修正狙い位置に相当する部位の重量を増加等させることにより、アンバランスを修正する方法であって、エンジンアッシ1の回転を停止させた後のクランク軸11の回転角を検出し、検出した回転角を用いて修正狙い位置を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンアッシのアンバランス修正方法及びアンバランス修正装置に関する。詳細には、エンジンアッシのアンバランスを測定し、その測定結果に基づいて、エンジンアッシにおける所定の部位の重量を増加または減少させることにより、アンバランスを修正する際に用いられるエンジンアッシのアンバランス修正方法及びアンバランス修正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等の車両における振動の低減や静粛性の向上等を目的として、タイヤやエンジンのクランク軸等の回転体となる部品のアンバランスの測定が行われている(例えば、特許文献1参照。)。すなわち、前記のような回転体が駆動装置等により回転され、これにより発生する振動が検出され、この振動に基づいてアンバランスが測定される。そして、前記回転体について測定されたアンバランスに基づいて、それが打ち消されるように、回転体の所定の位置に対して錘(ウエイト)が取り付けられられたり切削や研削が行われたりすることで、回転体の所定の部位の重量が増加または減少され、アンバランスの修正が行われる。
そして近年、エンジンのバランス精度をより高める等の観点から、エンジンアッシのアンバランスの測定及び修正が行われている。エンジンアッシとは、エンジンの組立ラインにおいて、少なくとも主要な部分が組み立てられた組立完了状態のエンジンであり、エンジンを構成するクランク軸等の個々の部品のアンバランス修正に加え、その組立完了状態でのアンバランスの測定及び修正が行われることにより、エンジン全体としてのアンバランスが低減される。かかるエンジンアッシのアンバランスの低減は、車両1次振動を抑制する上で重要である。
【0003】
エンジンアッシのアンバランスの測定及び修正は、概略的には次のようにして行われる。
アンバランスの測定及び修正が行われる装置構成としては、振動検出手段を有する振動架台上に載置されたエンジンアッシに対し、そのクランク軸にモータ等の回転駆動装置が外部から連結され、この回転駆動装置により、エンジンアッシ(のクランク軸)が回転される。
測定及び修正対象であるアンバランスは、その変化量が、エンジンアッシを回転させたときの振動の変化量との関係から導かれる。つまり、エンジンアッシにおけるアンバランスと振動との間には、所定の関係式が成り立つ。そこで、あるエンジンアッシが用いられ、既知のアンバランスの変化量に対する振動の変化量が測定されることにより、その装置におけるエンジンアッシのアンバランスと振動との関係(関係式における係数の値)が予め求められる。
【0004】
そして、アンバランスの測定及び修正が行われるエンジンアッシの回転にともなう振動が前記振動検出手段により検出され、その振動の値から、予め求められた関係式によってアンバランスが算出されることで、エンジンアッシのアンバランスの測定が行われる。この測定されたアンバランスの値に基づき、エンジンアッシのアンバランスの修正が行われる。
すなわち、測定されたアンバランスが打ち消されるように、クランク軸の所定の部位、例えばシリンダブロックから突出するクランク軸の端部に取り付けられるプーリの所定の部位の重量が増加または減少されることにより、エンジンアッシのアンバランスの修正が行われる。
【特許文献1】特許第3063503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したように、クランク軸の所定の部位に対する重量の増加または減少によってエンジンアッシのアンバランスが修正される場合、回転されるエンジンアッシの停止時の位相に応じて発生するエンジンコンプレッションに起因して、アンバランスの修正精度が低下するという問題がある。
【0006】
具体的には、例えば、クランク軸の前端部に取り付けられるフロントプーリの所定の位置に所定の重さの錘が取り付けられることによってアンバランスが修正される場合、その錘が取り付けられる所定の位置が、前述したようにエンジンアッシの振動の値に基づいて測定されるアンバランスの量・方向(位置)から算出される(以下、この算出される位置(錘が取り付けられる位置)を、「修正狙い位置」という。)。
そして、錘が取り付けられるためにアンバランスの測定のための回転が停止されたエンジンアッシにおいては、その停止時の位相によってコンプレッションによるクランク軸の逆戻り(逆回転)が生じる場合がある。このエンジン停止後のコンプレッションによる逆戻りが生じた場合、前記のとおり算出されたフロントプーリにおける修正狙い位置がずれることとなる。これにより、修正狙い位置に誤差が生じ、エンジンアッシのアンバランスの修正精度が低下することとなる。
【0007】
このようなエンジン停止後のコンプレッションによるクランク軸の逆戻りに起因する修正狙い位置の誤差を低減する手段として、コンプレッション自体を抑制する方法が考えられる。しかし、エンジンの製品特性上、エンジン停止後のコンプレッションを抑制することは困難である。また、エンジンを停止させる際、アンバランスの測定時における回転数から徐々に時間をかけて回転数を低下させることにより、コンプレッションを低減させることはできると考えられるものの、これは生産ラインにおけるサイクルタイムを短縮させる観点からは得策ではない。
また、修正狙い位置の誤差を低減する手段としては、エンジンの停止後に生じる逆戻りの回転量(ずれ量)が一定量であるとして、修正狙い位置に対してそのずれ量を定量補正する方法が考えられる。しかしこの場合、エンジン停止時の位相によりコンプレッションによる戻り量が異なるため、正確な補正を行うことは困難となる。つまり、エンジン停止後にコンプレッションにより生じる逆戻りは、エンジン停止時においてピストンに圧力が加わることで生じるところ、エンジン停止時におけるピストンの停止位置によってピストンにかかる圧力も異なり、戻り量にバラツキが生じることとなる。かかる戻り量のバラツキは、エンジンが複数気筒の場合、より顕著となる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、エンジンアッシのクランク軸における所定の位置(修正狙い位置)に対し、錘を取り付ける等してアンバランスを修正するに際し、エンジン停止後のコンプレッションによるクランク軸の逆戻りに起因する修正狙い位置の誤差を低減することができ、アンバランスの修正精度を向上することができるエンジンアッシのアンバランス修正方法及びアンバランス修正装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
すなわち、請求項1においては、振動検出手段を有する振動架台上に載置したエンジンアッシを所定の回転数で回転させることにより該エンジンアッシに生じる振動を前記振動検出手段によって検出し、検出した振動を用いて、予め設定されるエンジンアッシのアンバランスとエンジンアッシに生じる振動との関係からエンジンアッシのアンバランスを測定し、測定したアンバランスに基づきエンジンアッシのクランク軸における修正狙い位置を算出し、エンジンアッシの回転を停止させた後、前記修正狙い位置に相当する部位の重量を増加あるいは減少させることにより、エンジンアッシのアンバランスを修正するエンジンアッシのアンバランス修正方法であって、前記エンジンアッシの回転を停止させた後の前記クランク軸の回転角を検出し、検出した回転角に基づいて前記修正狙い位置を補正するものである。
【0011】
請求項2においては、前記クランク軸の回転角を、前記クランク軸に設けられ外周に沿って形成される被検出部を有する回転角検出ロータと、前記被検出部の通過を検出する回転角検出センサとを用いて検出するものである。
【0012】
請求項3においては、エンジンアッシを載置する振動架台と、前記振動架台に設けられエンジンアッシに生じる振動を検出する振動検出手段と、エンジンアッシのクランク軸に連結されエンジンアッシを所定の回転数で回転させる回転駆動手段と、前記振動検出手段によって検出される振動を用いて、予め設定されるエンジンアッシのアンバランスとエンジンアッシに生じる振動との関係からエンジンアッシのアンバランスを測定するアンバランス測定手段と、該アンバランス測定手段により測定されたアンバランスに基づき、エンジンアッシ回転停止後に前記クランク軸における重量が増加あるいは減少される部位に相当する修正狙い位置を算出する修正狙い位置算出手段と、を備えるエンジンアッシのアンバランス修正装置であって、エンジンアッシに設けられ前記クランク軸の回転角を検出する回転検出手段により検出される、前記エンジンアッシ回転停止後の前記クランク軸の回転角に基づいて前記修正狙い位置を補正する補正手段を設けたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
すなわち、本発明によれば、エンジンアッシのクランク軸における所定の位置(修正狙い位置)に対し、錘を取り付ける等してアンバランスを修正するに際し、エンジン停止後のコンプレッションによるクランク軸の逆戻り(逆回転)に起因する修正狙い位置の誤差を低減することができ、アンバランスの修正精度を向上することができる。
【0014】
また、エンジン停止後のコンプレッションによるクランク軸の逆戻りを検出するに際し、クランク軸に設けられ外周に沿って形成される被検出部を有する回転角検出ロータと、前記被検出部の通過を検出する回転角検出センサとを含む構成を用いることにより、エンジンに備えられる既存の装置構成を有効に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、発明の実施の形態を説明する。
まず、本実施形態に係るエンジンアッシのアンバランス修正装置(以下、単に「アンバランス修正装置」という。)の構成について、図1及び図2を用いて説明する。
本実施形態に係るアンバランス修正装置は、例えばエンジンの組立ラインの最終工程付近において、エンジンアッシ1のアンバランスを測定し、そのアンバランスを修正するために用いられるものであり、エンジンアッシ1を載置する振動架台2と、振動架台2に設けられエンジンアッシ1に生じる振動を検出する振動検出手段としての振動ピックアップ3と、エンジンアッシ1のクランク軸11に連結されエンジンアッシ1を所定の回転数で回転させる回転駆動手段としてのモータ(サーボモータ)4とを備える。
【0016】
アンバランス修正装置におけるアンバランスの測定及び修正の対象となるエンジンアッシ1は、エンジンの組立ラインにおいて、少なくとも主要な部分が組み立てられた組立完了状態のエンジンであり、エンジン本体10を構成するシリンダブロック内を貫通するとともに両端部がシリンダブロックから突出した状態で回転可能に支持されるクランク軸11を有する。
以下の説明においては、クランク軸11の回転軸線となる軸芯線C1の方向(図1における左右方向)をエンジンアッシ1の前後方向とし、図1における右をアンバランス修正装置における「前」、同じく図1における左を「後」とする。
【0017】
クランク軸11の、シリンダブロックから突出する前端部(図1における右端部)には、フロントプーリ12が固設される。フロントプーリ12には、エンジンに組み付けられるラジエータファンや発電機等の補機類に動力を伝達するためのベルトが、他の補機用プーリ等とともに巻回される。
また、クランク軸11の、シリンダブロックから突出する後端部(図1における左端部)には、ドライブプレート13が固設される。ドライブプレート13は、エンジンの回転動力をトランスミッションに伝達するための板状の部材である。図2に示すように、ドライブプレート13は、クランク軸11の後端部に軸支される取付板14に対して、ボルト等の締結具15が用いられて固定されることによりクランク軸11に対して固設される。
【0018】
振動架台2は、ベース(台座)5上の所定の高さ位置において、後端部がステー16に支持されるとともに、複数の(図1では二箇所図示)弾性支持部材としての振動バネ17・17・・・により振動可能に支持される。振動バネ17は、振動架台2上のエンジンアッシ1が回転することで発生する振動を減衰させる。本実施形態では、振動バネ17は、振動架台2上に載置されるエンジンアッシ1の前端部と後端部に対応する位置に配設されている。
また、振動架台2とベース5との間には、一または複数(本実施形態では二つ)のクランプ機構18が介装される。クランプ機構18は、振動バネ17による振動架台2の弾性支持をオン・オフするためのものである。すなわち、クランプ機構18は、振動架台2に対するエンジンアッシ1の搭載作業時等は、伸長すること等によって振動架台2を安定させるためその荷重を受けて振動架台2をクランプした状態で支持し、振動バネ17による振動架台2の弾性支持をオフとし、エンジンアッシ1のアンバランスが測定される際等は、収縮すること等によって振動架台2からの荷重を受けることなく振動バネ17による振動架台2の弾性支持をオンとする。
【0019】
エンジンアッシ1は、振動架台2上において複数の(図1では二箇所図示)支持部材19を介して載置固定される。支持部材19は、適宜シリンダ機構等により構成され、エンジンアッシ1の振動架台2上における高さ位置を調整可能にエンジンアッシ1を支持する。
また、振動架台2は、エンジンアッシ1の振動を検出するための振動ピックアップ3を有する。振動ピックアップ3は、例えば加速度センサ等により構成され、振動架台2において、その上に載置されるエンジンアッシ1の前後両端部付近に対応する位置にそれぞれ配設(内蔵)され、エンジンアッシ1のアンバランス測定の際におけるエンジンアッシ1の両端部(フロント部及びリア部)の振動を、振動架台2を介して検出(ピックアップ)できるように構成される。
【0020】
モータ4は、ベース5上において、振動架台2上に載置されるエンジンアッシ1の後方に載置支持され、その図示せぬ出力軸(駆動軸)が駆動装置20を介してエンジンアッシ1のクランク軸11に連結される。
駆動装置20は、その略筒状のハウジング22内に貫通支持される駆動軸21を有し、この駆動軸21がモータ4の出力軸と同心配置され連結された状態で設けられる。駆動装置20は、モータ4の回転数を所定の回転数に減速するとともに所定のトルクを得るための減速機(図示略)を備え、この減速機を介してモータ4の出力軸の回転駆動力を駆動軸21に受ける。
【0021】
駆動装置20は、そのハウジング22が、モータ4の振動架台2側の端面に固設されるとともにベース5上に立設される支持柱24や、この支持柱24とモータ4との間に架設される補強ステー24aや、振動架台2上に立設される支持部材25等の適宜配設される支持部材によって支持されることで、所定の姿勢で支持される。
駆動装置20の駆動軸21は、その軸芯線C2方向であってエンジンアッシ1が載置される側(モータ4と反対側)に延設されハウジング22外へと延出される。駆動軸21の延出側端部には、円板状の回り止め部材であるケレー26が固設される。また、駆動軸21は、ハウジング22に対して軸心線C2方向に移動可能に構成される。
【0022】
駆動装置20の駆動軸21のクランク軸11に対する連結は、次のような構成により行われる。
すなわち、図2に示すように、前記のとおりランク軸11の端部に設けられるドライブプレート13は、クランク軸11に軸支される取付板14に対して複数の締結具15により固定される。締結具15は、クランク軸11の軸心方向視で軸芯線C1を中心とする円状に等角度間隔で複数配設される。一方、駆動軸21の端部に取り付けられるケレー26側には、各締結具15に対応してその頭部15aが嵌合可能な孔部26aが形成されている。また、ケレー26における駆動軸21の先端側の面の中央部には突起部26bが形成される一方、クランク軸11の先端面の中央部には、前記突起部26bがインロー嵌合可能な凹部11aが形成されている。
かかる構成により、クランク軸11の軸芯線C1と駆動軸21の軸芯線C2とが一致している状態で、振動架台2上に載置されたエンジンアッシ1のクランク軸11に対して駆動装置20の駆動軸21が近接移動することにより、ケレー26の各孔部26aに各締結具15の頭部15aがそれぞれ嵌合するとともに、ケレー26の突起部26bがクランク軸11の凹部11aに嵌合することにより、駆動軸21とクランク軸11とが相対回転不能に連結される。なお、駆動装置20の駆動軸21とクランク軸11との連結に際しては、振動架台2がベース5上にて駆動装置20に対してキャスター等により水平方向に移動可能に構成されることにより、エンジンアッシ1側が駆動装置20側に移動する構成(クランク軸11が駆動軸21に対して近接移動する構成)であってもよい。
【0023】
このような構成を備えるアンバランス修正装置において、アンバランスの測定及び修正の対象であるエンジンアッシ1が、振動架台2上に載置されるとともに、クランク軸11の軸芯線C1が駆動装置20の駆動軸21の軸芯線C2と一致するようにセットされ、前記のとおり駆動軸21とクランク軸11とが連結され、モータ4の回転駆動によりエンジンアッシ1が所定の回転数(例えば、1600rpm)で回転される。
そして、エンジンアッシ1のアンバランスの測定及び修正が行われる。
【0024】
エンジンアッシ1のアンバランスの測定及び修正は、次のようにして行われる。すなわち、振動架台2上に載置されたエンジンアッシ1が所定の回転数で回転されることによりこのエンジンアッシ1に生じる振動が振動ピックアップ3によって検出され、検出された振動が用いられて、予め設定されるエンジンアッシのアンバランスとエンジンアッシに生じる振動との関係からエンジンアッシ1のアンバランスが測定される。
そして、測定されたアンバランスに基づきエンジンアッシ1のクランク軸11における修正狙い位置が算出され、エンジンアッシ1の回転が停止された後、前記修正狙い位置に相当する部位の重量が増加あるいは減少されることにより、エンジンアッシ1のアンバランスが修正される。
【0025】
かかるアンバランスの測定及び修正に際しての演算制御は、図3に示す構成により行われる。図3に示すように、本実施形態に係るアンバランス修正装置は、エンジンアッシ1のアンバランスの測定及び修正を行うための演算制御装置30を備える。
演算制御装置30は、振動ピックアップ3によって検出される振動を用いて、予め設定されるエンジンアッシのアンバランスとエンジンアッシに生じる振動との関係からエンジンアッシ1のアンバランスを測定するアンバランス測定部31と、このアンバランス測定部31により測定されたアンバランスに基づき、エンジンアッシ1回転停止後にクランク軸11における重量が増加または減少される部位に相当する修正狙い位置を算出する修正狙い位置算出部32とを備える。つまり、本実施形態では、演算制御装置30が、アンバランス測定手段及び修正狙い位置算出手段として機能する。また、演算制御装置30は、モータ4の駆動を制御する駆動制御部33を備える。
【0026】
アンバランス測定部31は、予め設定されるエンジンアッシのアンバランスとエンジンアッシに生じる振動との関係を一定の関係式として記憶する。すなわち、アンバランスの測定に際しては、予め前記関係式を導出するためのマスタリング(校正)が行われる。具体的には、ある一つのエンジンアッシが用いられ、このエンジンアッシについて既知のアンバランスの変化量に対する振動の変化量が、振動ピックアップ3が用いられて測定されることにより、その装置におけるエンジンアッシのアンバランスと振動との関係式(関係式における係数の値)が予め求められる。このマスタリングにより導出された関係式が、アンバランス測定部31に予め設定され記憶される。
アンバランス測定部31は、振動ピックアップ3により検出されるエンジンアッシ1の振動に基づき、エンジンアッシ1のアンバランスを予め設定される前記関係式から測定する。振動ピックアップ3により検出されるエンジンアッシ1の振動(検出値)は、アンプ等を介してアンバランス測定部31に入力される。
【0027】
ここで、エンジンアッシ1のアンバランスは、一般的には、エンジンアッシ1のクランク軸11の軸心方向視での軸芯線C1からのベクトル(アンバランスベクトル)により表され、そのアンバランスベクトルによりアンバランスの量と角度(方向)が表される。つまり、アンバランス測定部31により測定されるエンジンアッシ1のアンバランスはアンバランスベクトルとして表される。
【0028】
修正狙い位置算出部32により算出される修正狙い位置は、前記のとおりエンジンアッシ1のクランク軸11における重量が増加または減少される部位に相当し、本実施形態においては、修正狙い位置は、クランク軸11に固設されるフロントプーリ12における所定の位置となる。
そして、本実施形態では、フロントプーリ12の修正狙い位置に錘が取り付けられることによりクランク軸11における所定の部位の重量が増加され、エンジンアッシ1のアンバランスが修正される。また、本実施形態では、修正狙い位置は、フロントプーリ12における周縁端部のいずれかの位置となる。つまり、フロントプーリ12の周縁部には、前側に突出する周壁部12aが全周に亘って形成され、この周壁部12aのいずれかの位置が修正狙い位置として算出される。そして、周壁部12aの修正狙い位置に、アンバランス修正のための所定の重さの錘がかしめられること等により取り付けられる。したがって、フロントプーリ12における修正狙い位置は、フロントプーリ12の中心位置(軸芯線C1に対応する位置)から一定距離の位置となり、その中心位置からの方向(所定の基準位置からの角度)により定められる。
【0029】
本実施形態におけるアンバランス修正装置では、フロントプーリ12における修正狙い位置は、次のようにして算出される。
すなわち、図4に示すように、クランク軸11の前側からの軸心方向視でのフロントプーリ12において、その中心位置C3は軸芯線C1に対応する位置となり、アンバランスベクトルはフロントプーリ12の中心位置C3からのベクトルで表される。
そして、例えば図4に示すように、アンバランス測定部31により測定されたアンバランスベクトルがVubとして表される場合、修正狙い位置は、その位置に所定の重さの錘が取り付けられることにより、アンバランスベクトルVubの逆ベクトルVub´が生じる位置に算出される。
【0030】
例えば、あるアンバランスベクトルに対して算出される修正狙い位置が二箇所の場合、アンバランスベクトルVubに対する修正狙い位置は、図4に示すように、各位置に所定の錘が取り付けられることによるベクトル和が前記逆ベクトルVub´となる所定の位置となる修正狙い位置Ta1・Ta2となる。つまりこの場合、フロントプーリ12の二箇所に錘が取り付けられることにより、アンバランスが分力修正される。
なお、修正狙い位置算出部32により算出される修正狙い位置は、二箇所の場合に限定されるものではなく、一箇所あるいは三箇所以上であってもよい。
【0031】
また、本実施形態では、フロントプーリ12の修正狙い位置に錘が取り付けられてクランク軸11の所定の部位の重量が増加されることにより、エンジンアッシ1のアンバランスが修正されるが、クランク軸11の所定の部位の重量が減少されることでアンバランスの修正が行われてもよい。この場合、修正狙い位置は、その位置に相当する部位の重量が減少されることにより、アンバランス測定部31により測定されたアンバランスベクトルが打ち消されるように算出される。そして、重量の減少は、フロントプーリ12の修正狙い位置に相当する部位が切削または研削されること等により行われる。
【0032】
修正狙い位置算出部32により算出された修正狙い位置には、所定のマーキングが施される。このため、図1に示すように、アンバランス修正装置においては、マーキング装置27が備えられる。
マーキング装置27は、振動架台2上におけるフロントプーリ12の前面に対向する位置に設けられ、フロントプーリ12の前面に対して自動あるいは手動により進退可能に設けられるマーキングスタンプ部28を有する。つまり、マーキングスタンプ部28は、振動架台2上に載置された状態のエンジンアッシ1のフロントプーリ12に対して、錘が取り付けられる位置となる周壁部12aあるいはその近傍のいずれかの位置にスタンプすることで修正狙い位置をマーキングする。
本実施形態では、クランク軸11の前側からの軸心方向視でのフロントプーリ12において、周壁部12aの下端位置がマーキング位置Maとなる(図5参照)。なお、マーキング装置27の構成やフロントプーリ12におけるマーキング位置は本実施形態に限定されず、フロントプーリ12の所定の位置にマーキングが施される構成であればよい。
【0033】
このような構成により、アンバランス測定のために回転していたエンジンアッシ1の回転が停止された後、修正狙い位置算出部32によって算出された修正狙い位置(角度位置)が、前述したマーキング位置となるまで回転される。ここで、エンジンアッシ1の停止時における修正狙い位置からマーキング位置となるまでのフロントプーリ12の(クランク軸11の)回転角度を、マーキング位置割出し回転角度(以下、単に「割出し回転角度」という。)βとすると、エンジンアッシ1の停止時から、フロントプーリ12が割出し回転角度β回転されることとなる。
ここでのフロントプーリ12の回転は、モータ4の駆動を制御する駆動制御部33により行われる。つまり、演算制御装置30において、修正狙い位置算出部32の修正狙い位置の算出情報に基づいて割出し回転角度βが算出され、その割出し回転角度β分、フロントプーリ12が(クランク軸11が)エンジンアッシ1の回転方向に回転するように、駆動制御部33によってモータ4が制御される。
そして、エンジンアッシ1の停止後、割出し回転角度β回転されたフロントプーリ12に対し、マーキング装置27によって所定のマーキング位置にマーキングが行われる。マーキングが施されたフロントプーリ12に対し、そのマーキング位置に作業者等によって錘が取り付けられ、エンジンアッシ1のアンバランスの修正が行われる。なお、前述したように、複数の修正狙い位置が算出される場合は、各修正狙い位置に対してマーキングが行われる。
【0034】
かかる一連のアンバランス修正手順においては、アンバランスの測定のための回転が停止されたエンジンアッシ1においてその停止後のコンプレッションによる逆戻り(クランク軸11の逆回転)が生じた場合、修正狙い位置算出部32により算出されたフロントプーリにおける修正狙い位置がずれることとなる。これにより、マーキング装置27によりマーキングされる位置がずれ、エンジンアッシのアンバランスの修正精度が低下することとなる。
【0035】
エンジン停止後のコンプレッションによる逆戻りによって生じるマーキングのずれについて、図5を用いて説明する。
図5に示すように、例えば、エンジン停止後の修正狙い位置(複数ある場合はそのうちのある一つの修正狙い位置)がある任意の位置Taに算出された場合、この修正狙い位置Taの位置に基づいて割出し回転角度βが算出される。つまりこの場合、エンジンの回転方向に割出し回転角度β回転されることにより、修正狙い位置Taがマーキング位置Maに一致することとなる。
ここで、エンジンアッシ1の停止後、コンプレッションによる逆戻りによってクランク軸11がエンジン回転方向の逆方向に角度α(以下、「戻り角度α」とする。)回転したとする。これにより、算出された修正狙い位置Taは、エンジン回転方向の逆方向に戻り角度α分ずれることとなる(位置Ta´参照)。したがって、戻り角度αずれた後の修正狙い位置Ta´から、エンジンの回転方向に割出し回転角度β回転されたとしても、ずれた後の修正狙い位置Ta´は、マーキング位置Maから戻り角度α分手前に位置することとなる(位置Ma´参照)。
このように、エンジン停止後のコンプレッションによってクランク軸11が逆戻りした分、フロントプーリ12に算出される修正狙い位置とマーキング位置とがずれることとなる。このため、マーキング装置27によってマーキングされる位置が修正狙い位置からずれた位置となり、フロントプーリ12において錘が取り付けられる位置に誤差が生じ、アンバランスの修正精度が低下する。
【0036】
そこで、本実施形態に係るアンバランス修正装置においては、エンジンアッシ1に設けられクランク軸11の回転角を検出する回転検出手段により検出される、エンジンアッシ1回転停止後のクランク軸11の回転角(検出値)に基づいて修正狙い位置を補正する補正部34が設けられている。
これにより、フロントプーリ12に錘を取り付けるためにエンジンアッシ1の回転を停止させた後のクランク軸11の回転角が検出され、検出された回転角に基づいて修正狙い位置が補正される。
【0037】
クランク軸11の回転角を検出する回転検出手段としては、周知の構成を用いることができ種々の構成が考えられる。
例えば、クランク軸11と一体に回転する部材(フロントプーリ12やドライブプレート13等)の一部に反射板等の反射部材を取り付け、この反射部材に対してレーザ等の外部信号を用いてクランク軸11の回転角を光学的に検出することが考えられる。また、カメラ等の撮像手段を用いて画像処理等によってクランク軸11の回転角を検出したり、あるいはロータリエンコーダを用いてクランク軸11の回転角を検出したりすることが考えられる。
【0038】
ここで、クランク軸11の回転角は、クランク軸11に設けられ外周に沿って形成される被検出部を有する回転角検出ロータと、前記被検出部の通過を検出する回転角検出センサとを用いて検出することが好ましい。
このため、本実施形態では、図1、図2及び図6に示すように、前記回転検出手段として、クランク軸11に設けられ外周に沿って形成される被検出部を有する回転角検出ロータとしてのNEセンサプレート35と、前記被検出部の通過を検出する回転角検出センサとしてのNEセンサ36とを含む構成が用いられる。
【0039】
NEセンサプレート35とNEセンサ36とは、エンジンアッシ1の回転にともない回転するNEセンサプレート35に形成される被検出部の通過が、NEセンサ36によって検出されるいわゆるマグネットピックアップ式のセンサに構成される。
図2及び図6に示すように、NEセンサプレート35は、クランク軸11に設けられる金属製の円板状の部材であり、クランク軸11と一体的に回転する。NEセンサプレート35は、その外周に沿って形成される被検出部としての複数の被検歯35aを有する。NEセンサプレート35においては、被検歯35aが等しいクランクアングル間隔(等角度間隔)で形成されるとともに、NEセンサプレート35の回転位相が認識されるための欠切部35bが形成される。
【0040】
NEセンサ36は、例えば永久磁石などにより構成される芯材と、これに巻回されるコイルとを有し、NEセンサプレート35の回転による磁界の変化を検出する。つまり、NEセンサ36は、電磁誘導によって、その形成する磁界が、金属製のNEセンサプレート35の回転にともなう被検歯35aの通過により遮断される強さ(被検歯35aとNEセンサ36の間隔・スピード)に応じた電圧(起電力)を、センサ出力としてパルス信号により出力する。NEセンサ36により出力される信号がクランク角信号となり、このクランク角信号によりエンジンアッシ1(クランク軸11)の回転角や回転数が検知される。
図6に示すように、NEセンサ36は、例えば全体として略筒状に構成されその一端部が検出部となり、この検出部側がNEセンサプレート35の被検歯35aに対向するように、エンジンアッシ1のシリンダブロック等の所定の位置に所定の姿勢で組み付けられて設けられる。
【0041】
このように、クランク軸11の回転検出手段として、NEセンサプレート35とNEセンサ36とを用いることにより、クランク軸11の回転角を検出するに際し、エンジンに備えられる既存の装置構成を用いることができる。
すなわち、エンジンにおいては、例えばECU等の制御手段による運転制御に際し、エンジンの回転数が測定されるところ、このエンジン回転数を測定するため、NEセンサプレート35とNEセンサ36とを備えるものがある。そこで、これらNEセンサプレート35とNEセンサ36とにより検出されるエンジンの回転角(クランク軸11の回転角)を、前記補正部34による修正狙い位置の補正に用いることができる。
【0042】
図3に示すように、補正部34は、演算制御装置30に具備され、NEセンサ36により検出されるクランク角信号に基づき、修正狙い位置算出部32により算出される修正狙い位置を補正する。つまり、本実施形態では、演算制御装置30が、補正手段として機能する。具体的には、補正部34は、修正狙い位置算出部32における修正狙い位置の算出に際し、NEセンサ36により検出されるエンジンアッシ1の停止後のコンプレッションによる逆戻りの回転角度を補正値として出力する。
なお、本実施形態では、補正部34は、アンバランス測定部31等が備えられる演算制御装置30に具備される構成であるが、これに限定されず、例えば、市販のパソコンやワークステーション等が用いられることで、演算制御装置30とは独立した装置により補正手段が構成されてもよい。
【0043】
以上の構成を備えるアンバランス修正装置におけるアンバランス修正方法について、図7に示すフロー図を用いて説明する。
まず、振動架台2上に載置されたエンジンアッシ1がモータ4によって所定の回転数で回転され、振動ピックアップ3から検出される振動に基づいてエンジンアッシ1のアンバランスの測定が行われる(ステップ(以下「S」と略す)100)。
エンジンアッシ1のアンバランスの測定が行われた後、エンジンアッシ1の回転が停止される(S110)。
そして、測定されたエンジンアッシ1のアンバランスに基づき、エンジン停止時のフロントプーリ12における修正狙い位置が算出される(S120)。なお、修正狙い位置の算出は、エンジンアッシ1の回転中に行われてもよい。
算出された修正狙い位置に基づき、割出し回転角度βが算出される(S130)。つまり、本ステップでは、図5に示すように、算出されたエンジン停止時の修正狙い位置Taから、マーキング位置Maまでのエンジン回転方向の回転角度である割出し回転角度βが算出される。
【0044】
一方、エンジンアッシ1の回転停止後には、前述したようにコンプレッションによる逆戻り(クランク軸11の逆回転)が生じる。そこで、エンジンアッシ1の回転停止後であって、修正狙い位置が算出された後におけるクランク軸11の回転角度(戻り角度α)が、NEセンサ36からの検出信号に基づいて検出される(S125)。ここで検出された戻り角度αは、前記S130にて算出される割出し回転角度βに補正値として加えられる。つまり、補正後の割出し回転角度はα+βとなる。
これにより、算出される修正狙い位置に対して、コンプレッションによる逆戻りが加味されたマーキング位置までの割出し回転角度が導出されることとなる。
【0045】
続いて、補正後の割出し回転角度(α+β)分、エンジンアッシ1(クランク軸11)が回転される(S140)。ここでのエンジンアッシ1の回転は、演算制御装置30(駆動制御部33)により制御されるモータ4の回転により行われる。
前記S140でのエンジンアッシ1の回転により、修正狙い位置がマーキング位置に一致した状態となり、マーキング装置27によってフロントプーリ12における修正狙い位置へのマーキングが行われる(S150)。
そして、フロントプーリ12に施されたマーキング位置に対して、作業者等により錘が取り付けられ、エンジンアッシ1のアンバランスの修正が行われる。
【0046】
このように、エンジンアッシ1の回転を停止させた後のクランク軸11の回転角を検出し、検出した回転角を用いて修正狙い位置を補正することにより、エンジンアッシ1のクランク軸11における修正狙い位置に対し、錘を取り付けてアンバランスを修正するに際し、エンジン停止後のコンプレッションによるクランク軸11の逆戻りに起因する修正狙い位置の誤差を低減することができ、アンバランスの修正精度を向上することができる。
すなわち、エンジン停止後のコンプレッションによるクランク軸11の逆戻りに対し、逆戻りによる回転量(回転角度)を、修正狙い位置のマーキング位置への回転量(回転角度)に対して補正量として加えることにより、修正狙い位置のマーキング位置への移動を正確なものとすることができる。これにより、修正狙い位置へのマーキングの正確性の向上が図れ、アンバランスの修正精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態に係るアンバランス修正装置の全体構成を示す図。
【図2】駆動軸とクランク軸との連結部の構成を示す図。
【図3】アンバランス修正装置における制御構成の一例を示すブロック図。
【図4】フロントプーリにおける修正狙い位置の算出方法の一例を示す説明図。
【図5】コンプレッションによる逆戻りに起因するマーキングのずれを示す説明図。
【図6】NEセンサプレート及びNEセンサの構成を示す図。
【図7】本発明の一実施形態に係るアンバランス修正方法についてのフロー図。
【符号の説明】
【0048】
1 エンジンアッシ
2 振動架台
3 振動ピックアップ(振動検出手段)
4 モータ(回転駆動手段)
11 クランク軸
12 フロントプーリ
30 演算制御装置
31 アンバランス測定部
32 修正狙い位置算出部
34 補正部
35 NEセンサプレート(回転角検出ロータ)
36 NEセンサ(回転角検出センサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動検出手段を有する振動架台上に載置したエンジンアッシを所定の回転数で回転させることにより該エンジンアッシに生じる振動を前記振動検出手段によって検出し、検出した振動を用いて、予め設定されるエンジンアッシのアンバランスとエンジンアッシに生じる振動との関係からエンジンアッシのアンバランスを測定し、測定したアンバランスに基づきエンジンアッシのクランク軸における修正狙い位置を算出し、エンジンアッシの回転を停止させた後、前記修正狙い位置に相当する部位の重量を増加あるいは減少させることにより、エンジンアッシのアンバランスを修正するエンジンアッシのアンバランス修正方法であって、
前記エンジンアッシの回転を停止させた後の前記クランク軸の回転角を検出し、検出した回転角に基づいて前記修正狙い位置を補正することを特徴とするエンジンアッシのアンバランス修正方法。
【請求項2】
前記クランク軸の回転角を、前記クランク軸に設けられ外周に沿って形成される被検出部を有する回転角検出ロータと、前記被検出部の通過を検出する回転角検出センサとを用いて検出することを特徴とする請求項1に記載のエンジンアッシのアンバランス修正方法。
【請求項3】
エンジンアッシを載置する振動架台と、前記振動架台に設けられエンジンアッシに生じる振動を検出する振動検出手段と、エンジンアッシのクランク軸に連結されエンジンアッシを所定の回転数で回転させる回転駆動手段と、前記振動検出手段によって検出される振動を用いて、予め設定されるエンジンアッシのアンバランスとエンジンアッシに生じる振動との関係からエンジンアッシのアンバランスを測定するアンバランス測定手段と、該アンバランス測定手段により測定されたアンバランスに基づき、エンジンアッシ回転停止後に前記クランク軸における重量が増加あるいは減少される部位に相当する修正狙い位置を算出する修正狙い位置算出手段と、を備えるエンジンアッシのアンバランス修正装置であって、
エンジンアッシに設けられ前記クランク軸の回転角を検出する回転検出手段により検出される、前記エンジンアッシ回転停止後の前記クランク軸の回転角に基づいて前記修正狙い位置を補正する補正手段を設けたことを特徴とするエンジンアッシのアンバランス修正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−32573(P2008−32573A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−207210(P2006−207210)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】