説明

エンジンオイル消費量測定装置及びエンジンオイル消費量測定方法

【課題】小型で、エンジンオイル消費量を簡易且つ正確に測定することができるエンジンオイル測定装置を提供する。
【解決手段】測定装置1は、エンジンオイルによって潤滑されたエンジン2のエンジンオイル消費量を測定するための装置である。測定装置1は、排気ガス中の水分を除去する除湿管72が配置される除湿管フォルダ71と、二酸化硫黄を検知する二酸化硫黄検知管22が配置される検知管フォルダ21と、エンジン2の排気ガスを除湿管フォルダ71に導入する排気ガス導入経路3と、二酸化硫黄検知管22を流れる排気ガスの流量を測定する流量測定器30とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンオイル消費量測定装置及びエンジンオイル消費量測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジンにおけるエンジンオイルの消費量の測定方法として、例えば、重量法や抜き取り法等が知られている。しかしながら、重量法や抜き取り法といった従来のエンジンオイル消費量測定方法には、測定に長時間を要するという問題がある。また、測定中に、燃料や水がエンジンオイルに混入してエンジンオイルが希釈化(ダイリューション)されるため、エンジンオイル消費量が少なめに測定され、エンジンオイル消費量を正確に測定することが困難であるといった問題もある。
【0003】
このような問題に鑑み、短時間で、比較的正確にエンジンオイル消費量を測定可能な方法として、所謂Sトレース法が提案されている(例えば、特許文献1等を参照)。Sトレース法とは、具体的には、エンジンからの排気ガスに含まれる硫黄分の単位時間あたりの量を測定することで、燃料と共に消費されたエンジンオイルの単位時間あたりの量を算出する方法である。
【特許文献1】特開平6−93822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、エンジンオイルに含まれる硫黄分は、二酸化硫黄(SO)、一酸化硫黄(SO)や硫化水素(HS)など、種々の化合物となって排気ガスに含まれ、排出される。このため、Sトレース法では、炎光光度法(FPD)などにより、硫黄特有の炎光を光学的に測定し、排気ガス中に含まれる硫黄化合物の量を二酸化硫黄濃度として求める必要がある。
【0005】
このため、Sトレース法を行おうとすると、排気ガス中の硫黄分を発光させるための装置や、その発光を光学的に測定するための測定装置が必要となる。これらの測定装置は、大型の装置で、操作も煩雑であり、高価である。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エンジンオイル消費量を簡易に測定することを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るエンジンオイル消費量測定装置は、エンジンオイルによって潤滑されたエンジンのエンジンオイル消費量測定装置であって、前記エンジンからの排気ガスを導く排気ガス導入経路と、前記排気ガス導入経路の途中または下流に設けられた除湿手段もしくは前記除湿手段が配置される除湿手段用フォルダと、前記除湿手段によって除湿された排気ガスが導入され且つ二酸化硫黄を検知する二酸化硫黄検知管が配置される検知管フォルダと、前記二酸化硫黄検知管を流れる排気ガスの流量を測定する流量測定器と、を備えたものである。
【0008】
本発明に係るエンジンオイル消費量測定方法は、エンジンオイルによって潤滑されたエンジンのエンジンオイル消費量測定方法であって、前記エンジンの排気ガスを除湿する除湿工程と、二酸化硫黄を検知する二酸化硫黄検知管を用いて、除湿された前記排気ガスに含まれる二酸化硫黄の濃度を測定する測定工程と、前記測定された二酸化硫黄の濃度に基づいて前記エンジンのエンジンオイル消費量を算出する算出工程と、を備えた方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、エンジンオイル消費量を簡易に測定することが可能となる。また、排気ガスに含まれる水分の影響による測定誤差を小さく抑えることができ、測定精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
《実施形態1》
(測定装置1の構成)
まず、図1を参照しながら、本発明を実施した一例であるエンジンオイル消費量の測定装置1の構成について説明する。尚、図1では、エンジン2単体を描画しているが、エンジン2は、例えば、自動二輪車などの車両に搭載されていてもよい。また、エンジン2は、据え置き型装置に組み込まれていてもよい。
【0011】
エンジン2は、どのような燃料を使用するものであってもよいが、例えば、ガソリン等の硫黄成分含有量が比較的少ない燃料を使用するものであることが好ましい。
【0012】
測定装置1は、検知管フォルダ21と、排気ガス導入経路3と、流量測定器としての流量積算計30を含むポンプユニット27とを備えている。排気ガス導入経路3の途中には、除湿手段の一部としても機能するチャンバ15が配置されている。検知管フォルダ21には、二酸化硫黄(SO)を検知する二酸化硫黄検知管22が配置可能となっている。以下、測定装置1の各部の構成について、図1を参照しながら、さらに詳細に説明する。
【0013】
排気ガス導入経路3は、検知管フォルダ21にセットされた二酸化硫黄検知管22にエンジン2の排気ガスを導入するための経路である。排気ガス導入経路3は、配管10と、フィルタ11と、配管12と、流量変化抑制機構13と、配管17と、サブチャンバ18と、配管19と、絞り機構20とを備えている。
【0014】
配管10の一端は、エンジン2に接続されている。尚、図1では、配管10がエンジン2に直接接続されている例を描画しているが、例えば、エンジン2にマフラー等が取り付けられている場合は、そのマフラーの先端に配管10を接続してもよい。つまり、配管10は、エンジン2に直接、又はマフラー等を介して間接的に接続されている。
【0015】
配管10の他端は、フィルタ11を介して配管12に接続されている。このフィルタ11によって、エンジン2の排気ガスに含まれる煤(すす)等が除去される。これにより、フィルタ11よりも下流側において煤等が付着したり堆積したりすることが抑制される。フィルタ11は、配管10及び12に対して着脱自在になっている。よって、フィルタ11は、容易に交換可能になっている。後述するチャンバ15や、各配管及び各絞り機構なども容易に交換可能となっている。尚、フィルタ11の種類や構成は、特に限定されるものではなく、例えば、排気ガスに対して一般的に使用されるフィルタを使用することができる。
【0016】
また、フィルタ11は、二酸化硫黄検知管22の妨害ガス(干渉ガスともいう。)を吸収するものであってもよい。例えば、フィルタ11は、妨害ガスと反応して、妨害ガスが二酸化硫黄検知管22に到達することを抑制するものであってもよい。また、フィルタ11は、妨害ガスを吸着して、妨害ガスが二酸化硫黄検知管22に到達することを抑制するものであってもよい。
【0017】
尚、配管10及び12の構成や材料等は、特に限定されるものではない。配管10及び12は、例えば熱伝導率の高い材料により形成されていることが好ましい。例えば、配管10及び12は、金属製であることが好ましい。なかでも、配管10及び12は、銅製であることが好ましい。本実施形態1では、配管10及び12が銅製である例について説明する。
【0018】
配管12には、流量変化抑制機構13が取り付けられている。流量変化抑制機構13は、所謂整流機構の一種である。具体的には、流量変化抑制機構13は、排気ガスの流量変化を抑制するものである。より具体的には、流量変化抑制機構13は、排気ガスの脈動を抑制して、排気ガスの流れを整流させる機構である。本実施形態1では、配管12の途中部に取り付けられた絞り機構14と、配管12の先端に取り付けられたチャンバ15により流量変化抑制機構13が構成されている例について説明する。詳細に、チャンバ15は、内部が観察できる透明チャンバである。チャンバ15には、チャンバ15内の圧力を測定する圧力計16が取り付けられている。
【0019】
但し、流量変化抑制機構13は、この構成に限定されない。流量変化抑制機構13は、例えば、絞り機構14のみによって構成されていてもよい。また、流量変化抑制機構13は、チャンバ15のみによって構成されていてもよい。流量変化抑制機構13は、例えば、ラミナフロー形成装置やキャピラリーによって構成されていてもよい。
【0020】
チャンバ15には、配管17が接続されている。配管17の先端には、サブチャンバ18が接続されており、チャンバ15からの排気ガスは、サブチャンバ18に導かれる。サブチャンバ18には、配管19が接続されている。この配管19は、検知管フォルダ21にセットされた二酸化硫黄検知管22に排気ガスを供給する配管である。配管19の先端部は、二酸化硫黄検知管22の先端部が挿入可能となっている。具体的には、配管19の先端部は、例えば、シリコンチューブなど、可撓性のあるチューブにより構成されている。
【0021】
配管19の途中部には、絞り機構20が配置されている。この絞り機構20を閉じることで二酸化硫黄検知管22への排気ガスの供給が規制される。一方、絞り機構20を開けることで、二酸化硫黄検知管22へ排気ガスが供給される。また、絞り機構20によって配管19の流路面積を調節することで、二酸化硫黄検知管22に供給される排気ガスの流量が調整される。
【0022】
検知管フォルダ21は、本実施形態1では、相互に対向して配置された一対の当接板21a及び21bにより構成されている。二酸化硫黄検知管22は、これら当接板21a及び21bによって挟持されることで固定される。但し、本発明において、検知管フォルダ21は、二酸化硫黄検知管22を固定できるものであれば、特に限定されるものではない。
【0023】
測定装置1には、検知管フォルダ21に配置された二酸化硫黄検知管22からの排気ガスを排出する排気ガス排出経路4が配置されている。排気ガス排出経路4は、配管24と、ポンプユニット27と、配管31と、排気管25とを備えている。配管24は、検知管フォルダ21に配置された二酸化硫黄検知管22の他端部に接続される。配管24の二酸化硫黄検知管22取り付け側端部も、配管19の先端部と同様に、二酸化硫黄検知管22の先端部が挿入可能となっている。具体的には、配管24の先端部は、例えば、シリコンチューブなど、可撓性のあるチューブにより構成されている。
【0024】
配管24の途中部には、絞り機構23が配置されている。この絞り機構23を閉じることで二酸化硫黄検知管22への排気ガスの供給が規制される。一方、絞り機構23を開けることで、二酸化硫黄検知管22へ排気ガスが供給される。また、絞り機構23によって配管24の流路面積を調節することで、二酸化硫黄検知管22に供給される排気ガスの流量が調整される。つまり、本実施形態1では、絞り機構20及び23により二酸化硫黄検知管22に供給される排気ガスの流量が調整される。
【0025】
配管24の下流端はポンプユニット27に接続されている。ポンプユニット27は、流量積算計30と、ポンプ28と、絞り機構29とを備えている。流量積算計30は、配管24に接続されている。流量積算計30は、配管24を流れた排気ガスの流量を積算する。流量積算計30の下流側には、ポンプ28が接続されている。ポンプ28の下流側には、絞り機構29が接続されている。絞り機構29には、配管31が接続されている。この配管31は、サブチャンバ18から延びる排気管25に接続されている。測定装置1に導入された排気ガスは、この排気管25から測定装置1外へ排出される。尚、排気管25の途中部には、絞り機構26が配置されている。この絞り機構26によって、排気管25を流れる排気ガスの流量を調節することができる。
【0026】
(二酸化硫黄検知管22)
図2は、未使用の二酸化硫黄検知管22の平面図である。図2に示すように、二酸化硫黄検知管22は、両端が溶封されたアンプルである。二酸化硫黄検知管22内には、封入材22d及び22e間に検知剤22fが封入されている。検知剤22fは、検知しようとするガス(二酸化硫黄)と接触すると、反応して変色する。検知剤22fが封入されている部分には、目盛り22gが印刷されている。
【0027】
この二酸化硫黄検知管22を使用する際には、まず、両端の溶封部22cをガラスカッターなどを用いて切除する。その後、ガス導入口22aからガスを導入する。導入されたガスに二酸化硫黄が含まれていると、封入された検知剤22fが変色する。検知剤22fの変色は、ガス導入口22a側から始まる。二酸化硫黄検知管22に導入されたガス中の二酸化硫黄の量が少ない場合は、ガス導入口22a寄りの検知剤22fが変色する。二酸化硫黄検知管22に導入されたガス中の二酸化硫黄の量が多いほど、排出口22b寄りの検知剤22fまで変色する。
【0028】
一般的に、検知管には、測定時に導入するガスの量が予め設定されている。例えば、図2に示す二酸化硫黄検知管22では、測定時に導入するガスの量は500mlと設定されている。検知管に対して設定された導入ガス量のガスを二酸化硫黄検知管22に導入し、その際に変色した検知剤22fの長さを、二酸化硫黄検知管22に印刷された目盛り22gを用いて目視測定することで、二酸化硫黄検知管22に導入されたガス内に含まれる二酸化硫黄の量を判断する。例えば、図2及び図3に示す二酸化硫黄検知管22に500mlのガスを導入した場合に、図3に示すように、変色した検知剤22f1が1.8という目盛りが印刷された箇所まで達している場合は、導入されたガスに含まれる二酸化硫黄は1.8ppmであると判断される。
【0029】
検知剤22fは、検知しようとするガスのみによって変色するものであることが好ましい。しかし、検知剤22fは、検出しようとするガスのみによって変色するものであるとは必ずしも限らない。例えば、検知剤22fは、検知しようとするガス(二酸化硫黄)以外のガスと接触することでも変色する場合がある。この検知しようとするガス以外であって、検知剤22fを変色させるガスを妨害ガス(干渉ガス)という。検知剤22fに妨害ガスがある場合は、妨害ガスが極力少ない環境にて測定を行うことが好ましい。
【0030】
尚、検知剤22fの種類は特に限定されない。検知剤22fは、ヨウ素デンプン反応を基本反応原理とするものであってもよい。検知剤22fは、例えば、ヨウ素酸カリウムの還元反応、アルカリとの反応又は重クロム酸塩の還元反応を基本反応原理とするものであってもよい。なかでも、検知剤22fは、ヨウ素デンプン反応を基本反応原理とするものであることが好ましい。具体的に、下記反応式(2)を基本反応原理とするものであることが好ましい。以下、ここでは、検知剤22fが、下記反応式(2)を基本反応原理とするものである場合を例に挙げて説明する。
SO+I(青紫色)+2HO → 2HI(白色)+HSO ・・・・・(2)
【0031】
上記反応式(2)を基本反応原理とする検知剤22fでは、デンプンにより青紫色を呈しているヨウ素が二酸化硫黄によって還元され、白色のヨウ化水素となる。これにより、検知剤22fは、青紫色から白色となる。尚、上記反応式(2)を基本反応原理とする検知剤22fは、二酸化窒素により、青紫色から褐色に変色する。二酸化窒素は、デンプンにより青紫色を呈しているヨウ素を、デンプンから遊離させて褐色とするからである。一方、一酸化窒素では、上記デンプンからのヨウ素の遊離は起こらない。このため、上記反応式(2)を基本反応原理とする検知剤22fは、一酸化窒素によっては変色しない。つまり、上記反応式(2)を基本反応原理とする検知剤22fは、二酸化窒素を妨害ガスとする一方、一酸化窒素を妨害ガスとはしない。
【0032】
(測定装置1を用いたエンジンオイル消費量の測定方法)
次に、図4を参照しながら、測定装置1を用いたエンジンオイル消費量の測定方法について説明する。
【0033】
図4に示すように、ステップS1において、まず、エンジン2の準備を行う。エンジン2が車載されたものである場合には、車両のセッティングや運転者の配置も、ステップS1において同時に行う。
【0034】
次に、ステップS2において、測定装置1の準備を行う。具体的には、測定装置1とエンジン2との接続、二酸化硫黄検知管22の準備及び配置、絞り機構14、26などの調節による測定装置1内の圧力調整、絞り機構14の調節による流量変化抑制、測定しようとするエンジンオイル中の硫黄分濃度測定、測定装置1への吸入空気量設定、二酸化硫黄検知管22への吸入流量設定などを行う。尚、排気ガスの流量変化の抑制は、チャンバ15に取り付けられた圧力計16のふれが小さくなるように、絞り機構14を調節することにより行うことができる。吸入空気量の設定は、測定するエンジン回転速度において実測することにより行ってもよい。また、エンジン2が吸入空気量センサを有する場合は、吸入空気量センサをモニタすることで吸入空気量を随時検出するようにしてもよい。
【0035】
尚、ステップS1とステップS2は平行して行ってもよい。また、ステップS2を先に行い、ステップS2の完了後にステップS1を行うようにしてもよい。つまり、ステップS1とステップS2との先後は特に限定されない。
【0036】
次に、ステップS3において、エンジン2を駆動させてエンジンオイル消費量の測定を行う。具体的には、エンジン2を所定の回転速度で回転させた状態で、ポンプ28を駆動させると共に、絞り機構20、23及び29を開けて二酸化硫黄検知管22への排気ガスの導入を開始する。二酸化硫黄検知管22に吸入された排気ガスの総量は、流量積算計30によりモニタする。流量積算計30により、二酸化硫黄検知管22を流れた排気ガスの量が、二酸化硫黄検知管22に対して予め定められた吸入量に達したときに、絞り機構20等を閉じることで、ステップS3を終了する。
【0037】
尚、ステップS3におけるエンジン2の回転速度は、特に限定されない。但し、検知剤22fが、例えばヨウ素デンプン反応を基本反応原理とするものに代表されるように、二酸化窒素を妨害ガスとするものである場合は、ステップS3におけるエンジン2の回転速度は、実質的に最高回転速度であることが好ましい。言い換えれば、エンジン2を実質的に最高速で回転させた状態でステップS3を行うことが好ましい。
【0038】
次に、ステップS4において、ステップS3の測定結果に基づいて、エンジンオイル消費量を算出する。具体的には、まず、測定装置1から二酸化硫黄検知管22を取り外す。取り外した二酸化硫黄検知管22を目視観察することで、測定された二酸化硫黄の濃度を得る。次に、得られた二酸化硫黄の濃度より、下記式(3)に基づいて、エンジン2のエンジンオイル消費量(LOC)を算出する。
LOC=[C×(32.06/22.4)×{273/(273+T)}×Q]×10−4/S ・・・・・(3)
但し、
LOC:エンジンオイル消費量(g/h)、
C:測定された二酸化硫黄濃度(ppm)、
:測定温度(℃)、
Q:二酸化硫黄検知管22に吸入された排気ガスの量(L/h)、
S:エンジンオイルに含まれる硫黄分の濃度(wt%)、
である。
【0039】
例えば、
C=1.25 ppm、
Q=31680(L/h)、
=20℃、
S=0.73wt%、
とすると、上記式(3)により、エンジンオイル消費量(LOC)は、7.234g/hと算出される。
【0040】
ここで、エンジン2が、例えば、自動二輪車に搭載されたものである場合、
車速(s):80km/h、
温度Tにおけるオイルの比重(γ):0.8775、
とすると、
LOC=7.234g/h=s×γ/7.234×1000≒9704km/L
と換算することができる。
【0041】
つまり、上記の場合、ステップS3における回転速度でエンジン2を運転した場合、1時間あたり約7.234gのエンジンオイルが消費されるものと算出される。また、エンジン2の回転速度をステップS3における回転速度に固定して、自動二輪車を80km/hで9704km走行させると、約1リットル(L)のエンジンオイルが消費されるものと算出される。
【0042】
(作用及び効果)
以上説明したように、二酸化硫黄検知管22を用いた測定装置1によれば、二酸化硫黄検知管22を用いることで、エンジンオイル消費量を簡易に測定することができる。特に、測定装置1では、従来のSトレース装置のように、測定前のガス校正などの比較的煩雑な測定準備作業が不要である。測定装置1では、排気ガスの流量を調整するという簡単な測定準備作業のみを行うことで、エンジンオイル消費量の測定をすぐに開始することができる。
【0043】
また、測定装置1では、エンジンオイル中に含まれる硫黄分を利用してエンジンオイル消費量が測定される。このため、測定装置1を用いてエンジンオイル消費量を測定する場合は、重量法や抜き取り法などのように、水やガソリンによるエンジンオイルのダイリューション(希釈化)の影響を受けない。よって、測定装置1を用いることで、エンジンオイルの消費量を比較的正確に測定することができる。
【0044】
さらに、測定装置1では、重量法や抜き取り法のように、例えば数時間〜数十時間というような比較的長い測定時間は要さない。測定装置1では、二酸化硫黄検知管22に所定の排気ガスを吸入させることで、例えば、数分〜数十分という比較的短期間の間にエンジンオイル消費量測定を行うことができる。
【0045】
測定装置1は、従来のSトレース装置と比較して、構成部材が少なく、小型である。具体的には、測定装置1では、例えば、1m四方以下の大きさにすることができる。このため、従来のSトレース装置では困難であった持ち運びも比較的容易である。よって、測定装置1を用いることで、例えば、据え置き型のエンジンが配置されている現場でのエンジンオイル消費量測定を比較的容易に実施することができる。また、例えば、自動二輪車などの比較的小型な車両においても、測定装置1を車両に搭載して、車両を走行させながらエンジンオイル消費量を測定することも可能となる。
【0046】
また、測定装置1は、従来のSトレース装置と比較して、比較的安価である。測定装置1では、エンジンオイル消費量測定に、水素ガスなどの測定用ガスを供給するためのガス供給手段も不要となる。かつ、二酸化硫黄検知管22も比較的安価である。このため、測定装置1を用いることで、エンジンオイル消費量測定のための設備投資額を低減することが可能である。かつ、エンジンオイル消費量測定のランニングコストも低減することができる。
【0047】
さらに、測定装置1では、チャンバ15、18や絞り機構14などの交換を容易に行うことができる。このため、排気ガスにより測定装置1の構成部材が汚れた場合は、容易にチャンバ15などを交換することができる。つまり、測定装置1は、メンテナンス性に優れている。
【0048】
ところで、測定装置1を用いてエンジンオイル消費量を測定する場合、二酸化硫黄検知管22を流れた排気ガスの量を正確に測定することが重要となる。二酸化硫黄検知管22を流れた排気ガスの量に基づいてエンジンオイル消費量を算出するためである。ここで、エンジン2の排気ガスには、通常、脈動が存在する。つまり、エンジン2から排出される排気ガスの流量が常に一定ではない。このため、エンジン2に二酸化硫黄検知管22を直接つないだのでは、流量積算計30によって、二酸化硫黄検知管22を流れる排気ガスの量を正確に測定することが困難な場合がある。その結果、エンジンオイルの消費量を正確に算出することが困難となる場合がある。
【0049】
それに対して、測定装置1では、流量変化抑制機構13により、脈動などの排気ガスの流量変化が抑制されている。このため、二酸化硫黄検知管22を流れる排気ガスの量を比較的正確に測定することができる。よって、測定装置1によれば、エンジンオイルの消費量を比較的正確に算出することが可能となる。
【0050】
尚、流量変化を効果的に抑制する観点からは、流量変化抑制機構13を二酸化硫黄検知管22よりも上流側に配置することが好ましい。但し、流量変化抑制機構13の配置位置は、特に限定されない。例えば、流量変化抑制機構13を二酸化硫黄検知管22よりも下流側に配置してもよい。
【0051】
流量変化抑制機構13の構成も特に限定されない。但し、流量変化抑制機構13は、本実施形態1のように、絞り機構14及びチャンバ15により構成されていることが好ましい。これによれば、流量変化抑制機構13を低コスト化することができる。また、流量変化抑制機構13の交換が容易となるため、メンテナンス性が向上する。
【0052】
また、測定装置1には、二酸化硫黄検知管22よりも下流側にポンプ28が配置されている。このポンプ28により、二酸化硫黄濃度を測定するステップS3において、二酸化硫黄検知管22を流れる排気ガスが吸引されている。これにより、二酸化硫黄検知管22を流れる排気ガスの流量がより安定化されている。その結果、二酸化硫黄検知管22を流れる排気ガスの量を比較的正確に測定することが可能となる。よって、測定装置1によれば、エンジンオイルの消費量のより正確な算出が可能となる。
【0053】
尚、排気ガス中の二酸化硫黄を測定するステップS3は、エンジン2を実質的に最高速で回転させた状態で行うことが好ましい。そうすることで、エンジン2に供給される混合ガス中の燃料の量を比較的多くすることができる。よって、エンジン2の燃焼室内の酸素濃度を比較的低くすることができる。その結果、ヨウ素デンプン反応を基本反応原理とする二酸化硫黄検知管22の妨害ガスである二酸化窒素(NO)の発生を抑制することができる。従って、排気ガス中の二酸化硫黄の濃度をより正確に測定することが可能となる。
【0054】
ところで、二酸化硫黄検知管22に排気ガスを通気する際に、この二酸化硫黄検知管22の内部において排気ガス中の水分が結露すると、測定精度が低下するおそれがある。そこで、排気ガスが二酸化硫黄検知管22に導入される前に、排気ガス中の水分をできるだけ除去しておくことが好ましい。そこで、本実施形態に係る測定装置1では、排気ガス導入経路3の途中に、排気ガスを除湿する除湿手段を設けることとした。
【0055】
詳しくは、本実施形態1では、配管10及び12が比較的熱伝導率の高い材料により形成されている。具体的には、配管10及び12は、銅製である。このため、エンジン2からの排気ガスを配管10及び12で効果的に冷却させることができる。それにより、二酸化硫黄検知管22に導入される前の段階にて、排気ガス中の水分をある程度結露させることができる。すなわち、二酸化硫黄検知管22に導入される排気ガスの水分含有量を抑制することができる。また、結露した水分は、チャンバ15によりトラップされるため、二酸化硫黄検知管22へ水分が侵入することが抑制される。このように、本実施形態1においては、排気ガスを冷却する配管10及び12と、水分をトラップするチャンバ15とにより、除湿手段が構成されている。なお、本実施形態1では、チャンバ15が透明であるため、結露した水分を確認することができる。ただし、チャンバ15は透明なものに限られず、不透明なものであってもよい。
【0056】
以上のように、本実施形態によれば、二酸化硫黄検知管22の内部における結露を抑制することができる。そのため、二酸化硫黄検知管22の測定精度を向上させることができ、ひいては、エンジンオイル消費量の測定精度を向上させることができる。
【0057】
《実施形態2》
実施形態1は、除湿手段として、排気ガスを冷却する配管10及び12と、水分をトラップするチャンバ15とを用いたものであった。これに対し、図5に示すように、実施形態2は、他の除湿手段として、二酸化硫黄検知管22の上流側に除湿管72をさらに加えたものである。なお、以下の説明においては、実施形態1と同様の要素には同様の符号を付し、それらの説明は省略する。
【0058】
図5では、便宜上、二酸化硫黄検知管22を短めに図示しているが、二酸化硫黄検知管22の実際の長さは、図1に示す実施形態1と同様である。除湿管72の長さも、二酸化硫黄検知管22とほぼ同等である。ただし、二酸化硫黄検知管22及び除湿管72のそれぞれの長さは特に限定されず、互いに同等であってもよいし、異なっていてもよい。
【0059】
(測定装置1の構成)
図5に示すように、実施形態2に係る測定装置1は、二酸化硫黄検知管22を固定するための検知管フォルダ21に加え、除湿管72を固定するための除湿管フォルダ71を備えている。本実施形態では、除湿管フォルダ71は、相互に対向して配置された一対の当接板71a及び71bにより構成されている。除湿管72は、これら当接板71a及び71bに狭持されることによって固定される。但し、除湿管フォルダ71は、除湿管72を固定できるものであれば足り、その構成は特に限定されるものではない。
【0060】
また、本実施形態では、除湿管72を固定するために、検知管フォルダ21とは別に、除湿管フォルダ71を備えている。つまり、除湿管72用の専用のフォルダを備えている。しかし、検知管22及び除湿管72の両方を固定する共通のフォルダを設けるようにしてもよい。言い換えると、除湿管フォルダ71と検知管フォルダ21とは一体となっていてもよい。検知管フォルダ21によって、検知管22及び除湿管72の両方を固定するようにしてもよい。
【0061】
(除湿管72)
図6は、未使用の除湿管72の平面図である。図6に示すように、除湿管72は、両端が溶封されたアンプルである。除湿管72の内部には、除湿剤72fが封入されている。
【0062】
ところで、一般に、除湿剤として各種のものが知られている。例えば、除湿剤として、水酸化カリウム(KOH)や水酸化ナトリウム(NaOH)などのアルカリ試薬が知られている。また、硫酸(HSO)等の酸性の除湿剤も知られている。また、除湿剤として、シリカゲル(SiO・xHO)もよく用いられている。ところが、本願発明者は、鋭意研究の結果、以下のことを見出した。
【0063】
すなわち、アルカリ性の除湿剤を用いると、排気ガス中の二酸化硫黄が除湿剤と中和反応を起こしてしまい、エンジン2から排出される排気ガスの二酸化硫黄濃度と、二酸化硫黄検知管22に導入される排気ガスの二酸化硫黄濃度との間に、ずれが生じる場合があることを見出した。言い換えると、エンジン2から排出された排気ガスに含まれる二酸化硫黄の一部が除湿剤によって吸着され、二酸化硫黄検知管22で検出される二酸化硫黄濃度が真の値よりも小さめに検出される場合があることが分かった。また、除湿剤としてシリカゲルを用いた場合にも、同様の現象が発生することが分かった。
【0064】
一方、除湿剤として硫酸を用いた場合、一部の硫酸が高温の排気ガスによって分解されてしまい、二酸化硫黄或いは三酸化硫黄となって二酸化硫黄検知管22に流れ込む場合があることが分かった。そのため、二酸化硫黄検知管22で検出される二酸化硫黄濃度が、真の値よりも大きめに検出される場合があることが分かった。
【0065】
そこで、本実施形態では、除湿剤72fとして、酸性であってかつ硫黄を主成分としない除湿剤を用いることとした。なお、ここで「硫黄を主成分としない」とは、例えば、不純物として硫黄成分を含んでいてもよいことを意味する。具体的には、本実施形態では、そのような除湿剤の一例として、リン酸(HPO)を用いることとした。さらに、このリン酸は、JIS規格(JISK9005)を満足するものである。すなわち、本実施形態で用いるリン酸は、硫黄(例えばSO(硫酸塩))の含有率が質量分率%で0.002以下のものである。本実施形態に係る除湿管72の内部には、リン酸を含浸させた珪藻土が充填されている。
【0066】
この除湿管72を使用する際には、まず、両端の溶封部72cをガラスカッターなどを用いて切除する。次に、排出口72b側の部分と二酸化硫黄検知管22のガス導入口22a(図3参照)の部分とを、チューブ75等を介して接続する。なお、チューブ75としては、例えばシリコンチューブ等の可撓性のあるチューブを好適に用いることができる。これにより、除湿管72と二酸化硫黄検知管22とが連通される。排気ガスは、ガス導入口72aから除湿管72の内部に導入され、除湿剤72fによって除湿される。除湿後の排気ガスは、排出口72bから排出され、ガス導入口22aを通じて二酸化硫黄検知管22の内部に導入される。二酸化硫黄検知管22に導入された排気ガスは、検知剤22fを通過した後、排出口22bから排出される。
【0067】
エンジンオイル消費量の測定方法は、実施形態1と同様である。そのため、測定方法についての説明は省略する。なお、本実施形態では、測定装置1の準備の際に、二酸化硫黄検知管22と除湿管72とをチューブ75等を介して接続する。そして、除湿管72を除湿管フォルダ71に固定し、二酸化硫黄検知管22を検知管フォルダ21に固定する。
【0068】
(作用及び効果)
以上のように、実施形態2に係る測定装置1によれば、除湿管72を用いることによって、二酸化硫黄検知管22に導入される排気ガスをさらに除湿することができる。そのため、二酸化硫黄検知管22の測定精度をさらに向上させることができ、ひいては、エンジンオイル消費量をより一層精度良く測定することが可能となる。
【0069】
また、本実施形態に係る除湿管72によれば、酸性であってかつ硫黄を主成分としない除湿剤26f、具体的にはリン酸を有しているので、排気ガスに含まれる二酸化硫黄が除湿剤26fに吸着されてしまうことを防止できるとともに、除湿剤26fから二酸化硫黄が発生してしまうことを防止することができる。したがって、除湿剤26fに起因する測定誤差を抑制することができ、エンジンオイル消費量を精度良く測定することができる。
【0070】
また、本実施形態によれば、除湿手段として除湿管72を用いることにより、小型、安価、かつ簡単な構成によって、排気ガスを除湿することができる。
【0071】
なお、本実施形態では、密封された除湿管72及び二酸化硫黄検知管22を準備し、エンジンオイル消費量の測定の直前に、それらを開封し、互いに連通させることとしている。すなわち、エンジンオイル消費量の測定の直前に、除湿管72及び二酸化硫黄検知管22を非連通状態から連通状態にする。ここで、予め同一の管内に除湿剤72fと検知剤22fとが充填された検知管を準備しておくことも可能である。しかし、同一の管内に除湿剤72fと検知剤22fとが長時間混在すると、検知剤22fに含まれている水分が除湿剤72fによって除湿され、検知剤22fの特性が変化するおそれがある。それに対し、本実施形態によれば、エンジンオイル消費量の測定の直前に、除湿管72と二酸化硫黄検知管22とを初めて連通させるので、除湿剤72fによって検知剤22fの特性が大きく変化してしまうおそれはない。
【0072】
なお、実施形態2は、実施形態1と同様の除湿手段、すなわち、排気ガスを冷却する配管10及び12と水分をトラップするチャンバ15とを用いつつ、他の除湿手段として除湿管72を追加したものであった。しかし、除湿管72のみでも、十分な除湿効果を得ることができる。そのため、実施形態2において、配管10または12を冷却性の低い配管に変更することも可能である。また、チャンバ15を省略することも可能である。
【0073】
《実施形態3》
図8は、実施形態3に係るエンジンオイル消費量測定を表すフローチャートである。以下、主として図8を参照しながら、実施形態3におけるエンジンオイル消費量の測定方法について説明する。尚、本実施形態3の説明において、図5は実施形態2と共通に参照する。また、実質的に同じ機能を有する構成要素を実施形態2と共通の参照符号で説明し、説明を省略する。
【0074】
図8に示すように、本実施形態3では、ステップS2に続いて、ステップS10が行われる。具体的には、ステップS10において、エンジン2に供給される燃料にエンジン2のエンジンオイルを所定の割合で混合した混合燃料等の準備が行われる。このステップS10は、後述するステップS3−2が行われるまでに行われるのであれば、いずれの段階において行ってもよい。例えば、ステップS10を後述するステップS3−1の後に行ってもよい。尚、混合燃料に対するエンジンオイルの混合割合は特に限定されない。燃料に対するエンジンオイルの混合割合は、例えば、0.01〜20%程度にすることができる。
【0075】
ステップS10に続いて、ステップS3−1が行われる。ステップS3−1では、エンジンオイルを混合していない通常の燃料を供給した状態でエンジン2を駆動して、排気ガスの二酸化硫黄濃度を測定する。このステップS3−1における二酸化硫黄濃度の測定は、前記実施形態1において詳述した方法と同様である。
【0076】
次に、ステップS3−2において、ステップS10において調製した混合燃料をエンジン2に対して供給した状態でエンジン2を駆動して、排気ガスの二酸化硫黄濃度を測定する。このステップS3−2における二酸化硫黄濃度の測定も、前記実施形態1において詳述した方法と同様である。
【0077】
次に、ステップS11において、ステップS3−1で測定された二酸化硫黄濃度と、ステップS3−2で測定された二酸化硫黄濃度とに基づいてエンジンオイル消費量が算出される。詳細に、ステップS11では、下記式(1)に基づいてエンジンオイル消費量が算出される。尚、ステップS3−2において使用された混合燃料の量(G)は、例えば、エンジン2の単位時間あたりの燃料消費量を予め測定しておき、その単位時間あたりの燃料消費量から算出することができる。
LOC={C/(C−C)}・G・R ・・・・・(1)
但し、
LOC:エンジンオイル消費量(g/h)、
:ステップS3−2において検出された二酸化硫黄の濃度(ppm)、
:ステップS3−1において検出された二酸化硫黄の濃度(ppm)、
G:ステップS3−2において使用された混合燃料の量(g/h)、
R:混合燃料に対する前記エンジンオイルの混合率、
である。
【0078】
例えば、
ステップS3−1において測定された二酸化硫黄濃度(C):0.5ppm、
ステップS3−2において測定された二酸化硫黄濃度(C):1.5ppm、
ステップS3−2において使用された混合燃料の量(G):100g/h、
混合燃料に対する前記エンジンオイルの混合率(R):0.01(=1%)、
とすると、上記式(1)より、エンジンオイル消費量(LOC)は、0.5g/hと算出される。
【0079】
(作用及び効果)
実施形態3では、通常の燃料を供給したときのエンジン2の運転時と、混合燃料を供給したときのエンジン2の運転時とにおいて比較測定が行われる。このため、エンジンオイル消費量測定に対する外乱の影響が低減される。その結果、エンジンオイル消費量をより正確に測定することが可能となる。
【0080】
また、実施形態3では、エンジンオイル消費量の測定に先立って、エンジンオイル中の硫黄分含有率などを明確にしておく必要がない。従って、実施形態3に係る測定方法によれば、エンジンオイルの硫黄分含有率が不明である場合でも、エンジンオイル消費量を容易に測定することができる。
【0081】
《実施形態4》
前記実施形態2では、除湿管72及び二酸化硫黄検知管22をそれぞれ一本のみセット可能な測定装置1について説明した。但し、本発明はこの構成に限定されない。例えば、測定装置は、複数の除湿管及び複数の検知管がセット可能なものであってもよい。具体的には、測定装置は、それぞれ2本〜5本程度の数の除湿管及び検知管がセット可能なものであってもよい。本実施形態4では、それぞれ3本の除湿管及び検知管がセット可能な測定装置1aについて、図9を参照しながら詳細に説明する。尚、実施形態4の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素を実施形態2と共通の参照符号で説明し、説明を省略する。
【0082】
図9に示すように、本実施形態に係る測定装置1aには、検知管フォルダ21と共に、検知管フォルダ41及び検知管フォルダ61が配置されている。また、除湿管フォルダ71と共に、除湿管フォルダ81及び除湿管フォルダ91が配置されている。サブチャンバ18には、配管19a、19b及び19cが配置されている。配管19aは、除湿管フォルダ71にセットされた除湿管72に接続される。配管19bは、除湿管フォルダ81にセットされた除湿管82に接続される。配管19cは、除湿管フォルダ91にセットされる除湿管に接続される。さらに、測定装置1aには、検知管フォルダ21にセットされた検知管22、検知管フォルダ41にセットされた検知管42、及び検知管フォルダ61にセットされる検知管のそれぞれとポンプユニット27とを接続する配管24a、24b及び24cが設けられている。配管19a、19b、19c、24a、24b及び24cのそれぞれには、絞り機構20a、20b、20c、23a、23b及び23cが配置されている。
【0083】
例えば、除湿管フォルダ71に除湿管72をセットし、検知管フォルダ21に二酸化硫黄検知管22をセットし、他の除湿管フォルダ81,91及び検知管フォルダ41,61を使用せずにエンジンオイル消費量測定を行う場合は、絞り機構20b、20c、23b及び23cを閉じた状態で二酸化硫黄濃度の測定を行うようにすればよい。また、除湿管フォルダ71、81、91のすべてに除湿管をセットするとともに、検知管フォルダ21、41、61のすべてに検知管をセットしてエンジンオイル消費量測定を行う場合は、絞り機構20a、20b、20c、23a、23b及び23cをすべて開いた状態で二酸化硫黄濃度の測定を行うようにすればよい。
【0084】
検知管フォルダ41、61は、例えば、二酸化硫黄検知管22と共に、二酸化硫黄検知管22の妨害ガスを検知するための妨害ガス検知管42がセット可能なものであってもよい。具体的には、二酸化硫黄検知管22がヨウ素デンプン反応を基本反応原理とするものである場合、検知管フォルダ41、61は、例えば、二酸化窒素を検知する妨害ガス検知管42がセット可能なものであってもよい。以下、本実施形態4では、検知管フォルダ41が、妨害ガス検知管42がセット可能なものである場合を例に挙げて説明する。
【0085】
なお、検知管フォルダ41、61にセットされる検知管が、導入される排気ガスの除湿が特に不要な検知管である場合には、除湿管フォルダ81、91に除湿管をセットしなくてもよい。そのような場合には、検知管フォルダ41、61にセットされる検知管と配管19b、19cとを、それぞれチューブ等を介して接続するようにしてもよい。
【0086】
(測定装置1aを用いたエンジンオイル消費量の測定方法)
次に、本実施形態におけるエンジンオイル消費量の測定方法について、主として図10を参照しながら詳細に説明する。
【0087】
まず、本実施形態においても、前記実施形態1及び2と同様に、ステップS1及びステップS2を行い、エンジン2及び測定装置1aの準備を行う。
【0088】
次に、ステップS20において、二酸化硫黄濃度及び妨害ガス濃度の測定を同時に行う。具体的には、まず、絞り機構20a、20b及び20c並びに絞り機構23a、23b及び23cを閉じた状態で、検知管フォルダ21と検知管フォルダ41とに、それぞれ、二酸化硫黄検知管22と妨害ガス検知管42とをセットする。また、除湿管フォルダ71に除湿管72をセットし、除湿管フォルダ81には除湿管をセットせず、チューブを介して配管19bと妨害ガス検知管42を接続する。その後、エンジン2を所定の回転速度で運転した状態で、絞り機構20a及び20b並びに絞り機構23a及び23bを開け、二酸化硫黄検知管22と妨害ガス検知管42とに排気ガスを導入する。流量積算計30により、二酸化硫黄検知管22及び妨害ガス検知管42を流れた排気ガスの量が、それぞれの検知管に対して予め定められた吸入量に達したときに、絞り機構20a、20b等を閉じることで、ステップS20を終了する。
【0089】
尚、この際に、二酸化硫黄検知管22における排気ガスの流量と、妨害ガス検知管42における排気ガスの流量との比は特に限定されない。例えば、二酸化硫黄検知管22における排気ガスの流量と、妨害ガス検知管42における排気ガスの流量との比は、二酸化硫黄検知管22に対して予め設定された吸入ガス量と、妨害ガス検知管42に対して予め設定された吸入ガス量との比と等しくなるように設定してもよい。そうすることで、流量積算計30により、二酸化硫黄検知管22と妨害ガス検知管42とのそれぞれを流れた排気ガスの積算流量を得ることができる。
【0090】
尚、本実施形態のように、一度の測定において、複数の検知管をセットするような場合には、各検知管に対して別個の流量積算計を配置してもよい。また、ステップS20において、二酸化硫黄濃度及び妨害ガス濃度の測定を順次行ってもよい。具体的には、例えば、絞り機構20a及び23aのみを開いて二酸化硫黄濃度の測定を行った後に、絞り機構20a及び23aを閉じると共に、絞り機構20b及び23bを開いて妨害ガス濃度の測定を行ってもよい。
【0091】
本実施形態では、図10に示すように、ステップS20に続いてステップS21が行われる。具体的に、ステップS21では、ステップS20において妨害ガス検知管42により検知された妨害ガス濃度が所定の濃度以下であるか否かが判断される。詳細には、ステップS21では、ステップS20において妨害ガス検知管42により検知された妨害ガス濃度が、二酸化硫黄検知管22に対して予め設定された妨害ガスの最大濃度以下であるか否かが判断される。言い換えれば、排気ガス中に含まれる妨害ガスの濃度が、二酸化硫黄検知管22が使用可能な範囲内にあるか否かが判断される。
【0092】
ステップS21において、妨害ガス検知管42により検知された妨害ガス濃度が、二酸化硫黄検知管22に対して予め設定された妨害ガスの最大濃度以下であると判断された場合は、ステップS4に進む。ステップS4では、前記実施形態1と同様に、エンジンオイル消費量の算出が行われる。
【0093】
一方、ステップS21において、妨害ガス検知管42により検知された妨害ガス濃度が、二酸化硫黄検知管22に対して予め設定された妨害ガスの最大濃度より高いと判断された場合は、ステップS4が行われずに終了する。つまり、この場合は、エンジンオイル消費量の算出が中止される。
【0094】
図10に示すように、本実施形態では、ステップS4に続いて、ステップS22が行われる。具体的に、ステップS22では、ステップS20において測定された妨害ガス濃度に基づいて、ステップS4において算出されたエンジンオイル消費量の補正が行われる。この補正は、予め与えられた妨害ガスの濃度と補正値との相関関係に基づいて行われる。これにより、妨害ガスの濃度が考慮されたエンジンオイル消費量の算出が可能となる。
【0095】
尚、妨害ガスの濃度と補正値との相関関係は、例えば、妨害ガスと検知しようとするガスとを意図的に所定の混合比で混合したガスを二酸化硫黄検知管22に流す実験を予め行うことで決定することができる。
【0096】
(作用及び効果)
本実施形態に係る測定装置1aでは、複数の除湿管フォルダ71、81、91と複数の検知管フォルダ21、41、61とが設けられている。このため、測定装置1aに対して複数の除湿管及び複数の検知管を一度にセットして、測定を行うことができる。よって、必要に応じて複数種類のガスの濃度を一度に測定することができる。その結果、測定装置1aによれば、エンジンオイル消費量の算出と共に、排気ガスの他の成分測定も同時に行うことができる。例えば、測定装置1aによれば、二酸化硫黄の濃度測定と共に妨害ガスの濃度測定も同時に行うことができる。
【0097】
また、例えば、二酸化硫黄検知管22を複数本セットして二酸化硫黄濃度の測定をすることもできる。そうすることで、エンジンオイル消費量の算出精度をより向上することができる。
【0098】
本実施形態におけるエンジンオイル消費量の測定では、ステップS22において、ステップS4で算出されたエンジンオイル消費量が、ステップS20で測定された妨害ガス濃度に基づいて補正される。このため、妨害ガスに基づくエンジンオイル消費量の測定精度の低下を抑制することができる。言い換えれば、エンジンオイル消費量をより正確に測定することができる。
【0099】
また、ステップS21において、排気ガス中に含まれる妨害ガス濃度が所定の濃度より高いと判断された場合は、エンジンオイル消費量の算出が中止される。よって、算出されるエンジンオイル消費量の信頼性を向上させることができる。尚、本実施形態では、ステップS21において、排気ガス中に含まれる妨害ガス濃度が所定の濃度以下である場合は、エンジンオイル消費量の算出を行うようにしたが、より正確なエンジンオイル消費量が求められる場合には、ステップS20において妨害ガスが検知されたときに、エンジンオイル消費量の算出を中止するようにしてもよい。
【0100】
《実施形態5》
前記実施形態1〜4では、測定装置を操作する人が、自ら、又は測定装置とは別の演算装置を用いて、エンジンオイル消費量を算出する例について説明した。但し、本発明は、これに限定されない。例えば、測定装置は、エンジンオイル消費量の算出を行う演算部(算出部)を有していてもよい。本実施形態では、図11に示す、演算部50を有する測定装置1bを例に挙げて説明する。尚、本実施形態の説明において、図10を上記実施形態4と共通に参照する。また、本実施形態の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素には前記各実施形態と共通の参照符号を付し、説明を省略する。
【0101】
図11に示すように、本実施形態に係る測定装置1bは、演算部50と、ディスプレイ51と、入力部52と、駆動部53とを備えている。演算部50は、流量積算計30と、ディスプレイ51と、入力部52と、駆動部53とに接続されている。入力部52は、演算部50に対して種々のデータの入力を行う。ディスプレイ51は、入力されたデータや演算部50における算出結果などを表示する。駆動部53は、演算部50からの指示に基づいて、絞り機構20a、20b及び20cのそれぞれを開閉する。つまり、本実施形態4では、絞り機構20a、20b及び20cは、駆動部53により自動的に開閉される。
【0102】
本実施形態では、ステップS2において、測定装置1bの操作者は、入力部52を操作することで各種設定を演算部50に対して入力する。具体的には、式(3)の測定温度(T)、エンジンオイルに含まれる硫黄分の濃度(S)、ステップS20において二酸化硫黄検知管22に吸入させる排気ガスの量(Q)、二酸化硫黄検知管22に吸入させる排気ガスの積算流量、妨害ガスの濃度と補正値との相関関係などを入力する。
【0103】
次に、ステップS20では、測定装置1bの操作者が入力部52を操作することで、演算部50に、絞り機構開放信号を駆動部53に対して出力させる。これにより、絞り機構20a及び20bが開けられ、二酸化硫黄濃度の測定が開始される。ステップS20において、演算部50は、流量積算計30をモニタしている。流量積算計30が二酸化硫黄検知管22に吸入させる排気ガスの積算流量を検出すると、演算部50は、駆動部53に対して絞り機構閉鎖信号を出力する。これにより、絞り機構20a及び20bが閉じられ、二酸化硫黄の濃度測定が終了する。
【0104】
ステップS20の終了後、測定装置1bの操作者が、二酸化硫黄検知管22及び妨害ガス検知管42を目視観察することで、排気ガス中の二酸化硫黄濃度及び妨害ガス濃度を得る。操作者は、入力部52を操作することで、得られた二酸化硫黄濃度と妨害ガス濃度とを演算部50に対して入力する。これによりステップS21、ステップS4及びステップS22が演算部50によって自動的に行われる。具体的には、まず、ステップS21において、ステップS20で妨害ガス濃度が所定の濃度以下であるか否かが、演算部50によって判断される。ステップS20で妨害ガス濃度が所定の濃度より高いと判断された場合は、ディスプレイ51にエンジンオイル消費量測定ができない旨(NG)が表示され、ステップS4が中止される。一方、ステップS21において、ステップS20で妨害ガス濃度が所定の濃度以下であると判断された場合は、ステップS4に進み、演算部50によって、式(2)に基づいて、エンジンオイル消費量が算出される。その後、さらにステップS22において、演算部50によって、予め入力された妨害ガスの濃度と補正値との相関関係に基づいて、ステップS4において算出されたエンジンオイル消費量が補正される。そして、補正後のエンジンオイル消費量がディスプレイ51に表示される。
【0105】
《その他の変形例》
前記実施形態1では、ステップS2において、測定装置1の準備を行った後に、二酸化硫黄検知管22を用いてエンジンオイル消費量の測定をすぐに行う例について説明した。但し、本発明はこれに限定されない。例えば、ステップS2において、測定装置1の準備を行った後に、二酸化窒素を検知する二酸化窒素検知管を用いて、二酸化窒素の濃度が所定の濃度以下であることを確認してから、ステップS3において、エンジンオイル消費量の測定を行うようにしてもよい。
【0106】
図1では、エンジン2単体を描画しているが、エンジン2は、例えば、自動二輪車などの車両に搭載されていてもよい。また、エンジン2は、据え置き型装置に組み込まれていてもよい。また、図1では、配管10は、エンジン2に直接接続されている例を描画しているが、例えば、エンジン2にマフラー等が取り付けられている場合は、そのマフラーの先端に配管10を接続してもよい。つまり、配管10は、マフラー等を介してエンジン2に間接的に接続されていてもよい。
【0107】
前記実施形態では、流量変化抑制機構13を絞り機構14とチャンバ15とにより構成する例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。流量変化抑制機構13は、例えば、絞り機構14のみによって構成されていてもよい。また、流量変化抑制機構13は、チャンバ15のみによって構成されていてもよい。流量変化抑制機構13は、例えば、ラミナフロー形成装置やキャピラリーによって構成されていてもよい。
【0108】
前記実施形態1では、二酸化硫黄検知管22を一本のみセット可能な測定装置1について説明した。但し、本発明はこの構成に限定されない。例えば、測定装置は、複数の検知管がセット可能なものであってもよい。具体的には、測定装置は、2本〜5本程度の数の検知管がセット可能なものであってもよい。また、検知管フォルダ21は、二酸化硫黄検知管22と共に、二酸化硫黄検知管22とは別の管状体が直列に配置可能なものであってもよい。例えば、検知管フォルダ21は、二酸化硫黄検知管22の妨害ガスを吸着又は吸収して低減する前処理管を二酸化硫黄検知管22よりも上流側に、二酸化硫黄検知管22に対して直列に配置可能なものであってもよい。
【0109】
前記実施形態4では、二酸化硫黄検知管22の妨害ガスが1種であり、妨害ガス検知管42を1本のみセットする例につい説明した。但し、セットする妨害ガス検知管42の数量は特に限定されない。例えば、二酸化硫黄検知管22の妨害ガスが複数種類である場合は、複数種類の妨害ガス検知管42をセットしてもよい。
【0110】
《本明細書における用語等の定義》
本明細書において、「除湿剤」とは、水分を吸収するものと、水分を吸収しないがその進行を一時的に遅らせるものとの両方が含まれる。すなわち、「除湿剤」は、二酸化硫黄検知管に導入される排気ガスを、本来よりも水分の少ない状態で導入させるものであれば足り、必ずしも水分を吸収するものに限られるわけではない。
【0111】
本明細書において、検知管の「妨害ガス」とは、検知管が検知しようとするガスの検知を妨げるガスをいう。言い換えれば、「妨害ガス」とは、そのガスが存在することで、検知管が検知しようとするガスの測定値が不正確となるガスをいう。妨害ガスとしては、例えば、検知管の試薬に反応し、検知管を変色させるガスなどが挙げられる。尚、「妨害ガス」は「干渉ガス」とも呼ばれることがある。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、エンジンオイル消費量測定に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】実施形態1に係る測定装置の構成を表す概略構成図である。
【図2】使用前の検知管の正面図である。
【図3】使用後の状態を表す検知管の正面図である。
【図4】実施形態1におけるエンジンオイル消費量測定を表すフローチャートである。
【図5】実施形態2に係る測定装置の構成を表す概略構成図である。
【図6】使用前の除湿管の正面図である。
【図7】使用後の状態を表す除湿管の正面図である。
【図8】実施形態3におけるエンジンオイル消費量測定を表すフローチャートである。
【図9】実施形態4に係る測定装置1aの構成を表す概略構成図である。
【図10】実施形態4におけるエンジンオイル消費量測定を表すフローチャートである。
【図11】実施形態5に係る測定装置1aの構成を表す概略構成図である。
【符号の説明】
【0114】
1、1a、1b 測定装置
2 エンジン
3 排気ガス導入経路
4 排気ガス排出経路
13 流量変化抑制機構
14 絞り機構
15 チャンバ
21、41、61 検知管フォルダ
22 二酸化硫黄検知管
28 ポンプ
30 流量積算計(流量測定器)
42 妨害ガス検知管(複数本の検知管:二酸化硫黄検知管22+妨害ガス検知管42)
71、81、91 除湿管フォルダ(除湿手段用フォルダ)
72、82 除湿管
72f 除湿剤
75 チューブ
S3、S3−1、S20 測定工程
S3−2 別の測定工程
S4、S11 算出工程
S22 補正工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンオイルによって潤滑されたエンジンのエンジンオイル消費量測定装置であって、
前記エンジンからの排気ガスを導く排気ガス導入経路と、
前記排気ガス導入経路の途中または下流に設けられた除湿手段もしくは前記除湿手段が配置される除湿手段用フォルダと、
前記除湿手段によって除湿された排気ガスが導入され且つ二酸化硫黄を検知する二酸化硫黄検知管が配置される検知管フォルダと、
前記二酸化硫黄検知管を流れる排気ガスの流量を測定する流量測定器と、
を備えたエンジンオイル消費量測定装置。
【請求項2】
前記除湿手段は、酸性であってかつ硫黄を主成分としない除湿剤を備えている、
請求項1に記載のエンジンオイル消費量測定装置。
【請求項3】
前記除湿剤は、リン酸であってJIS規格(JISK9005)を満足するものである、
請求項2に記載のエンジンオイル消費量測定装置。
【請求項4】
前記除湿手段は、前記除湿剤を含んだ除湿管である、
請求項2に記載のエンジンオイル消費量測定装置。
【請求項5】
エンジンオイルによって潤滑されたエンジンのエンジンオイル消費量測定方法であって、
前記エンジンの排気ガスを除湿する除湿工程と、
二酸化硫黄を検知する二酸化硫黄検知管を用いて、除湿された前記排気ガスに含まれる二酸化硫黄の濃度を測定する測定工程と、
前記測定された二酸化硫黄の濃度に基づいて前記エンジンのエンジンオイル消費量を算出する算出工程と、
を備えたエンジンオイル消費量測定方法。
【請求項6】
前記測定工程において前記エンジンに供給された燃料に前記エンジンオイルを混合した混合燃料を前記エンジンに供給した状態で、前記エンジンの排気ガスを除湿する別の除湿工程と、
二酸化硫黄検知管を用いて、前記別の除湿工程によって除湿された前記排気ガスに含まれる二酸化硫黄の濃度を測定する別の測定工程とをさらに備え、
前記算出工程は、下記条件式(1)によって前記エンジンのエンジンオイル消費量を算出する、請求項5に記載のエンジンオイル消費量測定方法;
{C/(C−C)}・G・R ・・・・・(1)
但し、
:前記別の測定工程において検出された二酸化硫黄の濃度、
:前記測定工程において検出された二酸化硫黄の濃度、
G:前記別の測定工程において使用された混合燃料の量、
R:前記混合燃料に対する前記エンジンオイルの混合率、
である。
【請求項7】
前記除湿工程は、酸性であってかつ硫黄を主成分としない除湿剤を用いて前記排気ガスを除湿する工程である、
請求項5に記載のエンジンオイル消費量測定方法。
【請求項8】
前記除湿剤は、リン酸であってJIS規格(JISK9005)を満足するものである、
請求項7に記載のエンジンオイル消費量測定方法。
【請求項9】
前記除湿工程は、酸性であってかつ硫黄を主成分としない除湿剤を有する除湿管を用いて前記排気ガスを除湿する工程であり、
エンジンオイル消費量の測定を開始する前に、前記除湿管と前記二酸化硫黄検知管とを非連通状態から連通状態にする準備工程をさらに備えた、
請求項5に記載のエンジンオイル消費量測定方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2008−280997(P2008−280997A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−85476(P2008−85476)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【出願人】(390010364)光明理化学工業株式会社 (18)
【Fターム(参考)】