説明

エンジン用シリンダヘッドの表面処理方法

【課題】高耐熱疲労強度、処理経路Rの短縮、および処理経路Rの端末処理に関する要請を同時に充足し、高品質のシリンダヘッド1を高い生産性で製造すること。
【解決手段】摩擦攪拌処理の処理経路Rは、所定のポート開口部11a〜11b間のバルブブリッジ11c〜11fに設定された往路と、往路と平行に延びて一部が幅方向において重複する復路と、往路と復路のうち、回転工具2が最後に往復する経路が、高い耐熱疲労強度が要求される高疲労強度要求部になるように気筒11内のエリアに設定される処理始点Sおよび処理終点Eとを有している。摩擦攪拌処理は、当該回転工具2が往路から復路に移行する過程で、シリンダヘッド1への回転工具2の押し込み量を増加しながら処理始点Sから往路および復路を経て処理終点Eに回転工具2を駆動する。仕上げ加工で処理終点Eの工具痕を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエンジン用シリンダヘッドの表面処理方法に関し、特に、先端に突起状のプローブを有する回転工具を用いて、アルミニウム(Al)若しくはその合金等の軽合金材料で形成されたシリンダヘッドに摩擦攪拌処理を施し、表面が改質された改質領域を形成するエンジン用シリンダヘッドの表面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Al又はその合金等の軽金属製ワークの表面処理方法として、高速で回転する回転工具をワークの表面に接触させ、当該表面への押圧状態を保ちながら回転工具をワークの表面に設定された線状の処理経路に沿って移動させることで、ワーク表面及びその近傍領域を改質し機械的特性の向上を図る、いわゆる摩擦撹拌処理が知られており、エンジンのシリンダヘッドにおいても、この摩擦攪拌処理が広く利用されている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
かかる摩擦攪拌処理を用いる場合、回転工具が引き抜かれる処理経路の終了端部には、工具先端形状が転写された工具痕(終端穴)がワークの表面に残存し得る。この工具痕がワークの表面に残存したまま仕上げ加工を終了すると、ワークの品質を損なう(例えば、エンジンのシリンダヘッドの場合、燃焼不良を来す)おそれがある。そのため、例えば特許文献1に開示されているように、摩擦攪拌処理をシリンダヘッドに用いる際には、本来は耐熱疲労強度の向上が不要な部位を処理して組み付けボルト穴加工部等、摩擦攪拌処理の後で仕上げ加工される際に除去される部位を終端とすることにより、工具痕がワークの完成時点では残存しない手法を用いることが知られている。
【0004】
他方、摩擦攪拌処理において、回転工具の処理経路が、平行に隣接する往路と復路とを有する場合、特許文献2にも開示されているように、往路に比べて復路の移動時における回転工具のワークへの押し込み量を増加し、微細空隙(または未充填欠陥)を除去することが一般的である。
【特許文献1】特許第3690389号公報
【特許文献2】特許第3346380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような摩擦攪拌処理をシリンダヘッドに適用する場合、いわゆるバルブブリッジ(シリンダヘッドのポート開口部の間部分)は、燃焼室の温度変化やバルブシートとの熱膨張係数の相違等から熱疲労によるクラックが発生しやすく、耐熱疲労強度が要求されている。特に、ディーゼルエンジン用のシリンダヘッドでは、混合気を加熱するグロープラグが採用されることから、このグロープラグが装着されるバルブブリッジには、高い耐熱疲労強度が要求される。
【0006】
他方、摩擦攪拌処理は、可及的に処理時間を短縮し、処理能力の向上やコストの低減等、生産性の向上が求められる。
【0007】
このように、摩擦攪拌処理をシリンダヘッドに適用する場合、高耐熱疲労強度、処理経路の短縮、および処理経路の端末処理等、種々の観点から、摩擦攪拌処理を施すことが要請されるが、特許文献1、2を初めとする従来の技術では、専ら、何れかの課題を解決するために開発されたものに留まり、全ての要請を同時に充足する方法には至らなかった。そのため、先行技術の枠内では、何れかの要請を断念するというトレードオフを回避することができなかった。
【0008】
本発明は上記不具合に鑑みてなされたものであり、少なくとも高耐熱疲労強度、処理経路の短縮、および処理経路の端末処理に関する要請を同時に充足し、高品質のシリンダヘッドを高い生産性で製造することのできるエンジン用シリンダヘッドの表面処理方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明は、複数のポート開口部が気筒毎に開口するエンジンの軽金属製シリンダヘッドの合わせ面に、所定の線状の処理経路を設定し、回転工具を前記処理経路に設定される処理始点から処理終点まで連続的に走行させて前記合わせ面に摩擦攪拌処理を施し、この摩擦攪拌処理の後に前記シリンダヘッドに最終仕様の開口を仕上げ加工で形成して前記処理終点に形成された工具痕を除去するエンジン用シリンダヘッドの表面処理方法において、前記摩擦攪拌処理の処理経路は、所定のポート開口部間のバルブブリッジに設定された往路と、前記往路と平行に延びて一部が幅方向において重複する復路と、前記往路と前記復路のうち、回転工具が最後に往復する経路が、高い耐熱疲労強度が要求される高疲労強度要求部になるように前記気筒内のエリアに設定される前記処理始点および前記処理終点とを有し、前記摩擦攪拌処理は、当該回転工具が往路から復路に移行する過程で、シリンダヘッドへの前記回転工具の押し込み量を増加しながら前記回転工具を駆動するものであることを特徴とするエンジン用シリンダヘッドの表面処理方法である。この態様では、摩擦攪拌処理において、処理経路の処理始点に回転工具を導入し、回転工具を回転しながら処理経路を辿らせると、そのときの摩擦熱によって塑性流動層がシリンダヘッドの処理経路に沿って形成され、その塑性流動層が回転工具の回転によって非溶融状態で攪拌されることで、その表面組織が微細化した改質領域が形成される。また、当該処理経路の往路と復路とに形成される改質領域は、互いに幅方向で一部が重複し、隣り合うポート開口部間に形成されるバルブブリッジを確実に処理することができる。ここで、往路から復路に経路が移行する過程では、回転工具をシリンダヘッドに押し込む押し込み量が増加されるので、復路では、必ず往路よりも押し込み深さが深くなる結果、重複した改質領域の近傍で、微細空隙(未充填欠陥)が生じるおそれもない。しかも、処理経路の処理始点と処理終点は、高疲労強度要求部を回転工具が最後に往復移動するように設定されていることから、グロープラグ(ディーゼルエンジン)が装着される部位等の高疲労強度要求部は、もっとも深い押し込み量で改質された領域となる。加えて、最後の往路と最後の復路とが平行に重複することになるので、往路と復路との段差も少なくなり、より好適な改質領域で高疲労強度要求部を改質することができる。さらに、処理経路の処理始点と処理終点は、前記気筒内のエリアに設定されるので、処理経路の全長を可及的に短く設定し、処理時間を短縮して生産性を高めることができる。また、処理終点に形成される工具痕は、仕上げ加工の過程で除去されるので、この工具痕に起因する燃焼不良のおそれもない。
【0010】
好ましい態様において、前記シリンダヘッドは、ポート開口部間のバルブブリッジにグロープラグが装着されるディーゼルエンジン用のものであり、前記処理経路は、前記バルブブリッジを前記高疲労強度要求部として最後に往復する経路が設定されている。この態様では、バルブブリッジの中でも最も熱疲労が生じやすいグロープラグが装着されているバルブブリッジが高疲労強度要求部として設定され、このバルブブリッジに最も深い改質領域が形成されるので、当該バルブブリッジの耐熱疲労強度を充分に確保することができる。
【0011】
好ましい態様において、前記処理経路は、平面視で略T字形のパターンに設定されている。
【0012】
別の態様において、前記処理経路は、平面視で略十字形のパターンに設定されている。
【0013】
好ましい態様において、前記仕上げ加工で除去される余肉部を前記シリンダヘッドの当該ポート開口部に形成し、前記余肉部に前記処理経路の処理終点を設定している。この態様では、処理後の工具痕を摩擦攪拌処理工程の後に除去するに当たり、ポート開口部に形成された余肉部に処理終点を配置することによって大幅に処理経路の短縮を図ることができる。
【0014】
好ましい態様において、前記余肉部は、最後の復路を挟む一対のポート開口部と反対側のポート開口部に設けられている。この態様では、最後の復路を移動してから余肉部に移動するまでの経路を可及的に直線状に設定することができるので、回転工具に過度な負荷を加えることなく、可及的に処理経路の短縮化を図り、生産性を高めることができる。
【0015】
別の好ましい態様において、前記余肉部は、最後の復路を挟む一対のポート開口部の何れかに形成されている。この態様では、最後の復路から処理終点まで極めて短縮することができ、生産性の向上に寄与することができる。
【0016】
好ましい態様において、前記気筒中央に穿設される燃料噴射弁装着穴に前記処理終点を設定している。この態様では、最後の復路から処理終点までを最も短縮することができ、生産性の向上に寄与することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明は、幅方向に重複する往路と復路を有する処理経路を設定するに当たり、最後の往路と復路とが高疲労強度要求部になるように処理始点と処理終点が設定されているので、確実な高耐熱疲労強度を確保することができるとともに、処理始点および処理終点が筒内のエリア内に設定されることにより処理経路を可及的に短縮し、生産性を向上することができ、さらに、仕上げ加工によって処理終点の工具痕が除去されるので、処理経路の端末処理を確実にし、シリンダヘッドの品質を損なうおそれもない。このように本発明によれば、高耐熱疲労強度、処理経路の短縮、および処理経路の端末処理に関する要請を同時に充足し、高品質のシリンダヘッドを高い生産性で製造することができるという顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態について説明する。なお、以下に説明する各実施形態並びに比較例において、同等の部材には同一の符号を付し、重複する説明を省略している。また、比較例は、本発明を理解するために示されたものであり、公知技術ではない。
[摩擦攪拌装置]
図1および図2は、本発明の各実施形態並びに各比較例に係る表面処理方法を実施するための摩擦攪拌装置を示している。
【0019】
図1および図2を参照して、摩擦攪拌装置は、表面処理の処理対象であるアルミニウム合金等のシリンダヘッド1を基台(図示せず)上に載置し固定した状態で、該シリンダヘッド1に摩擦攪拌処理を施すものである。シリンダヘッド1は、図略のシリンダブロックと組み合わされる合わせ面1aを底部に有しており、摩擦攪拌装置は、シリンダヘッドの合わせ面1aを、回転工具2を用いた摩擦攪拌処理により改質するものである。
【0020】
回転工具2は、上下方向に延びる円柱状の回転基体部2aと、この回転基体部2aの下端面に同心に突設された回転基体部2aよりも小径のプローブ部2bとを一体構成したものである。回転基体部2aとプローブ部2bとの間にはショルダ2cが形成されている。上記回転基体部2aは、図示しないホルダによって該回転基体部2aの中心軸回りに回転自在に支持され、このホルダは工具駆動手段3により回転駆動されるようになっている。すなわち、回転工具2(回転基体部2aおよびプローブ部2b)は、工具駆動手段3によって回転基体部2aの中心軸回りに回転するようになっている。
【0021】
回転工具2のプローブ部2bの先端面は、本実施形態では、球面状の丸みを有しているが、平面状のものであってもよい。
【0022】
図3は、回転工具のプローブ部の変形例を示す正面図である。図3に示すように、外周部に雄ネジ状のネジ溝が螺設されたものであってもよい。また、図では省略しているが、回転基体部2aの底面(ショルダ2c)に螺旋を施してもよい。その他、回転工具としては、種々の形態のものを用いることができる。
【0023】
図1を参照して、工具駆動手段3は、具体的な図示は省略するが、上記ホルダを介して回転工具2を高速で回転(例えば、回転数700〜1100rpm)させるための駆動モータと、回転工具2をシリンダヘッド1の合わせ面1aに対して略垂直な方向(上下方向)および該表面に略沿った方向(水平方向)とに移動させるための移動機構および駆動モータとを備えている。そして、工具駆動手段3を駆動することにより、高速回転状態にある回転工具2のプローブ部2bをシリンダヘッド1内に、該部材1表面と略垂直方向(シリンダヘッド1の深さ方向)に進入させ、この進入状態で回転工具2をシリンダヘッド1の合わせ面1aに略沿って例えば400〜550mm/minの速度で移動させるようになっている。また、工具駆動手段3は、回転工具2をシリンダヘッド1に対し、当該回転工具2の軸方向に1KN〜30KNの荷重で押圧可能に構成されている。これによって、所望の経路で所望の押し込み深さに改質領域1bを設定できるようになっている。
【0024】
摩擦攪拌装置による表面処理方法では、高速で回転する回転工具2の下部(回転基体部2aの下面およびプローブ部2b)をシリンダヘッド1の合わせ面1aに当接させ、所定の荷重で押し込みながら、そのシリンダヘッド1内にプローブ部2bを進入させ、その際に発生する摩擦熱により、合わせ面1aの回転工具2が当接している部分ないしその近傍領域を軟化させて塑性流動層(図2参照)を生じせしめ、その塑性流動層を回転工具2の攪拌作用により非溶融状態で攪拌する。そして、その後に塑性流動層が冷却することで改質された改質領域1bが形成される。この改質領域1bは、その周囲の部分に比して緻密な金属組織となる。そして、回転工具2をシリンダヘッド1の合わせ面1aに沿って移動させることで、その処理経路R上の表面が回転工具2のプローブ部2bの径と略同じ幅で改質されていくことになる。
【0025】
なお、詳しくは各実施形態で説明するように、摩擦攪拌処理において、改質領域1bの押し込み深さは、処理経路Rの部位(経路R1〜R5)によって異なっている。
【0026】
回転工具2の具体的な仕様として、ディーゼルエンジン用のシリンダヘッド1に適用されるものとしては、プローブ部2bは、外径7mm、長さ4.4mmとし、その先端に、半径6mmの球面状の丸みを形成したものが好適である。
【0027】
以下に、各実施形態並びに各比較例について説明する。
[第1実施形態]
図4は、本発明の第1実施形態に係るシリンダヘッドの底面図である。
【0028】
図4を参照して、このシリンダヘッド1は、ディーゼルエンジン用のものであって、アルミニウム合金鋳物AC4D(JIS H5202)等の軽合金(アルミニウム合金)からなっている。シリンダヘッド1の合わせ面1aには、当該シリンダブロックに形成される気筒11(図4に仮想線で図示)毎に、一対の吸気ポート開口部11a、11aと一対の排気ポート開口部11b、11bとを備えている。
【0029】
吸気ポート開口部11a、11aは、図略のインテークマニホールドが取り付けられる側(図4の下側)の長手方向に概ね沿って互いに間隔を隔てて対をなし、排気ポート開口部11b、11bは、図略のエキゾーストマニホールドが取り付ける側(図4の上側)の長手方向に概ね沿って互いに間隔を隔てて対をなしている。従って、各開口部11a〜11bは、吸気ポート開口部11a、11a同士の間に吸気側バルブブリッジ11cを、排気ポート開口部11b、11b間に排気側バルブブリッジ11dを、シリンダヘッド1の長手方向一端側の吸気ポート開口部11aと排気ポート開口部11bとの間に一端側バルブブリッジ11eを、他端側の吸気ポート開口部11aと排気ポート開口部11bとの間に他端側バルブブリッジ11fをそれぞれ区画している。吸気側バルブブリッジ11cの最小幅は、例えば12.8mmであり、排気側バルブブリッジ11dの最小幅は、例えば10.0mmであり、一端側バルブブリッジ11e、他端側バルブブリッジ11fの最小幅は、例えば11.0mmに設定される。なお、各ポート開口部11a〜11bの周縁部には、バルブが当接する鉄系のバルブシート(図示せず)が固定されるようになっている。
【0030】
本実施形態では、吸気側バルブブリッジ11cの最小幅部分の幅方向中央部には、グロープラグ装着用穴15が形成されている。このグロープラグ装着用穴15は、シリンダヘッド1表面と垂直な方向に対して斜め方向に延び、その開口形状は楕円形状をなしており、この楕円の長軸は、平面視で2つの吸気ポート開口部11a、11aの中心同士を結ぶ線と垂直な線に対して所定角度だけ斜め方向を向いている。また、各ポート開口部11a〜11bに囲まれた気筒11の中心部には、燃料噴射弁装着用穴16が形成されている。なお、図4中、12は、シリンダヘッド1とシリンダブロックとを結合するためのテンションボルト穴である。
【0031】
次に、摩擦攪拌処理の処理経路Rについて説明する。
【0032】
図5は、第1実施形態に係る仕上げ加工前のシリンダヘッド1の底面図であり、図6は、図5の要部を拡大して示す説明図である。なお、図5および図6に示すシリンダヘッド1は、摩擦攪拌処理が施されるシリンダヘッド1は、仕上げ加工が施される前の鋳造後の中間生成品であって、各ポート開口部11a〜11bの形状等は図4に示した完成品とは異なる(完成後の各ポート開口部11a〜11bおよびテンションボルト穴12を図5および図6に鎖線で示す)。
【0033】
図5および図6を参照して、各図に示す第1実施形態において、摩擦攪拌処理の処理経路Rは、気筒11毎に分割された有端の連続軌跡であって、全体としてT字形の経路パターンを呈している。
【0034】
ここで、処理経路Rを気筒11毎に分割しているのは、気筒11間の繋ぎ部分の不要な処理を回避して、摩擦撹拌処理の処理時間を大幅に短縮し、処理効率を大いに高めることができるからであり、全気筒を縦断する長い処理経路を設けた場合に比べて、気筒11間で表面処理の処理深さにバラツキが生じるおそれもないからである。
【0035】
各処理経路Rは、図6に示すように、燃料噴射弁装着用穴16の近傍に回転工具2が最初に挿入される処理始点Sが設定され、この処理始点Sから全体としてT字形のパターンを呈し、線状に連続する経路R1〜R4(図6では、説明の便宜上、後述する押し込み深さの変化する時点で各経路R1〜R4を分断して示している)を辿ることにより、一端側バルブブリッジ11e、他端側バルブブリッジ11f、吸気側バルブブリッジ11cの順に往路と復路が形成されている。
【0036】
第1実施形態では、経路R1の形成時の押し込み深さを所定の設定値A(例えば、A=5.1mm)とし、経路R2では0.05mm×1だけ押し込み深さを増加し、経路R3では、0.05mm×2、経路R4では0.05mm×3だけ押し込み深さを増加するように回転工具2の駆動動作が制御されるようになっている。この結果、吸気側バルブブリッジ11cの往路(R3)の深さは、A+0.1mm、復路(R4)の深さは、A+0.15mmとなり、処理経路Rが設定されたバルブブリッジ11c〜11fの中で最も処理深さが深くなり、しかも、往路と復路の差が0.05mmのみの極めて良好な改質領域を得ることが可能になる。周知の構成と同様に、経路R1〜R4は、往路と復路を構成する部位の中心線間隔は、回転工具2のプローブ部2bの外径7mmに対して、例えば6mmに設定され、これにより、各経路R1〜R4は、幅方向において往路と復路とを構成する部位が重なり合うように構成されている。この結果、往路よりも復路の押し込み深さが深くなるように回転工具2が駆動制御されることと相俟って、往路と復路との間にいわゆる微細空隙(または未充填欠陥)が生じるのを防止することができるようになっている。
【0037】
上述のような微細空隙を回避するため重複部分を往路と復路との間に形成するに当たり、本実施形態においては、吸気側バルブブリッジ11cを最後の往路(経路R3)と最後の復路(経路R4)とが通るように、処理始点Sと処理終点Eとが設定されている。図6から明らかなように、処理経路Rは、往路から復路に移行する度に押し込み深さが深くなり、その分、改質領域1bが深くなって、機械的強度や耐熱性が向上する。
【0038】
一方、吸気側バルブブリッジ11cには、グロープラグを装着するためのグロープラグ装着穴15が形成されることに相俟って、他のバルブブリッジ11d〜11fに比べ、吸気側バルブブリッジ11cは、バルブ間の壁部の幅が狭くなって耐疲労強度の要求が高く、しかも、発熱体であるグロープラグの熱影響を受けやすいため、熱疲労の耐性が特に必要とされる。
【0039】
そこで、本実施形態では、この吸気側バルブブリッジ11cを耐疲労強度必要部として吸気側バルブブリッジ11cを最後の往路(経路R3)と最後の復路(経路R4)とが通るように、処理始点Sと処理終点Eとを設定し、吸気側バルブブリッジ11cが最も高いレベルで改質されるように設定しているのである。
【0040】
上述したように摩擦攪拌処理は、各ポート開口部11a〜11bの周縁部のNC加工(仕上げ加工の一例)やテンションボルト穴12および燃料噴射弁装着用穴16の形成加工前に行われるが、この仕上げ加工前において、シリンダヘッド1の長手方向一端側に配置される排気ポート開口部11bには、余肉部14が設けられており、処理経路Rの処理終点Eは、この余肉部14の上に設定されている。従って、最終の復路(経路R4)から回転工具2は、燃料噴射弁装着用穴16の近傍を横切り、一端側の排気ポート開口部11bに設けられた余肉部14で引き抜かれる。この引き抜き動作で余肉部14には、回転工具2の工具痕(終端穴)が残ることになるが、仕上げ加工によって排気ポート開口部11bを図6の破線の形状に仕上げることにより、余肉部14とともに除去されるので、シリンダヘッド1には、工具痕が残らないことになる。
【0041】
次に、第1実施形態の工程について説明する。
【0042】
まず、図5に示した中間生成品を鋳造し、図略の冶具に固定する。
【0043】
次いで、図1に示した工具駆動手段3で回転工具2を駆動し、摩擦攪拌処理を施す。
【0044】
第1実施形態によれば、この摩擦攪拌処理において、処理経路Rの処理始点Sに回転工具2を導入し、回転工具2を回転しながら所定の押し付け深さで回転工具2をシリンダヘッド1に押し付けつつ処理経路Rを辿らせると、そのときの摩擦熱によって塑性流動層がシリンダヘッド1の処理経路Rに沿って形成され、その塑性流動層が回転工具2の回転によって非溶融状態で攪拌されることで、その表面組織が微細化した改質領域1b(図4参照)が形成される。また、当該処理経路Rの往路と復路とに形成される改質領域1bは、互いに幅方向で一部が重複し、バルブブリッジ11c、11e、11fを確実に処理することができる。ここで、往路から復路に経路が移行する過程では、図6に示したように、回転工具2をシリンダヘッド1に押し込む押し込み量が増加されるので、復路では、必ず往路よりも押し込み深さが深くなる結果、重複した改質領域1bの近傍で、微細空隙(未充填欠陥)が生じるおそれもない。しかも、処理経路Rの処理始点Sと処理終点Eは、高疲労強度要求部としてのグロープラグ装着穴15を回転工具2が最後に往復移動するように設定されていることから、グロープラグが装着される部位等の高疲労強度要求部は、もっとも深い押し込み量で改質された領域となる。加えて、最後の往路と最後の復路とが平行に重複することになるので、往路と復路との段差も少なくなり、より好適な改質領域1bでグロープラグ装着穴15を改質することができる。さらに、処理経路Rの処理始点Sと処理終点Eは、気筒11内のエリアに設定されるので、処理経路Rの全長を可及的に短く設定し、処理時間を短縮して生産性を高めることができる。また、処理終点Eに形成される工具痕(終端穴)は、仕上げ加工の過程で除去されるので、この工具痕に起因する燃焼不良のおそれもない。
【0045】
特に、第1実施形態では、シリンダヘッド1は、吸気用ポート開口部11a、11a間の吸気側バルブブリッジ11cにグロープラグが装着されるディーゼルエンジン用のものであり、摩擦攪拌処理は、当該グロープラグ装着穴15が形成される吸気側バルブブリッジ11cを高疲労強度要求部として最後に往復する経路が設定されている。このため本実施形態では、バルブブリッジ11c〜11fの中でも最も熱疲労が生じやすい吸気側バルブブリッジ11cが高疲労強度要求部として設定され、この吸気側バルブブリッジ11cに最も深い改質領域が形成されるので、当該吸気側バルブブリッジ11cの耐熱疲労強度を充分に確保することができる。
【0046】
また第1実施形態では、仕上げ加工で除去される余肉部14をシリンダヘッド1の当該ポート開口部11a〜11bに形成し、余肉部14に処理経路Rの処理終点Eを設定している。このため本実施形態では、処理後の工具痕(終端穴)を摩擦攪拌処理工程の後に除去するに当たり、ポート開口部11a〜11bに形成された余肉部14に処理終点Eを配置することによって大幅に処理経路Rの短縮を図ることができる。
【0047】
また第1実施形態では、余肉部14は、最後の復路を挟む一対の吸気ポート開口部11a、11aと反対側の排気ポート開口部11b、11bに設けられている。このため本実施形態では、最後の復路を移動してから余肉部14に移動するまでの経路R4を可及的に直線状に設定することができるので、回転工具2に過度な負荷を加えることなく、可及的に処理経路Rの短縮化を図り、生産性を高めることができる。
【0048】
摩擦攪拌処理を終了した後、周知のNC加工により、余肉部14等を切除し、最終仕様の開口を形成する。これにより、図4で示した改質領域1bを有するシリンダヘッド1を完成させることができる。
[第2実施形態]
図7は本発明の第2実施形態に係る仕上げ加工前のシリンダヘッド1の底面図であり、図8は図7の要部を拡大して示す説明図である。
【0049】
図7および図8を参照して、各図に示す第2実施形態では、余肉部14をシリンダヘッド1の長手方向一端側の吸気ポート開口部11aに形成し、処理経路Rの処理終点Eを吸気ポート開口部11aの余肉部14に設定した点が第1の実施形態と異なっている。
【0050】
第2実施形態においては、余肉部14は、最後の復路を挟む一対のポート開口部11a〜11bの何れかに形成されているので、最後の復路から処理終点Eまで極めて短縮することができ、生産性の向上に寄与することができる。
[第3実施形態]
図9は本発明の第3実施形態に係るシリンダヘッド1の底面図であり、図10は第3実施形態に係る仕上げ加工前のシリンダヘッドを示す底面図、図11は、図10の要部を拡大して示す説明図である。
【0051】
図9〜図11を参照して、各図に示す第3実施形態では、摩擦攪拌処理の仕様として、全てのバルブブリッジ11c〜11fを経由する平面視で略十字形のパターンに処理経路Rが設定されたものを示している。
【0052】
この態様では、図11に示すように、第1実施形態と同様に、燃料噴射弁装着用穴16の近傍に回転工具2が最初に挿入される処理始点Sが設定され、この処理始点Sから全体として十字のパターンを呈する経路R1〜R5を辿ることにより、一端側バルブブリッジ11e、排気側バルブブリッジ11d、他端側バルブブリッジ11f、吸気側バルブブリッジ11cの順に往路と復路が形成されている。
【0053】
第3実施形態では、経路R1の形成時の押し込み深さを所定の設定値Aとし、経路R2では0.05mm×1だけ押し込み深さを増加し、経路R3では、0.05mm×2、経路R4では0.05mm×3、経路R5では0.05mm×4だけ押し込み深さを増加するように回転工具2の駆動動作が制御されるようになっている。この結果、吸気側バルブブリッジ11cの往路(R4)の深さは、A+0.15mm、復路(R5)の深さは、A+0.20mmとなり、処理経路Rが設定されたバルブブリッジ11c〜11fの中で最も処理深さが深くなり、しかも、往路と復路の差が0.05mmのみの極めて良好な改質領域を得ることが可能になる。
【0054】
さらに第3実施形態においても、シリンダヘッド1の仕上げ加工前において、シリンダヘッド1の長手方向一端側に配置される排気ポート開口部11bには、余肉部14が設けられており、処理経路Rの処理終点Eは、この余肉部14の上に設定されている。従って、回転工具2の引き抜き動作で余肉部14に形成された工具痕は、仕上げ加工によって余肉部14とともに除去される。
[第4実施形態]
図12は本発明の第4実施形態に係る仕上げ加工前のシリンダヘッド1の底面図であり、図13は図12の要部を拡大して示す説明図である。
【0055】
図12および図13を参照して、各図に示す第4施形態では、余肉部14をシリンダヘッド1の長手方向一端側の吸気ポート開口部11aに形成し、処理経路Rの処理終点Eを吸気ポート開口部11aの余肉部14に設定した点が第3の実施形態と異なっている。
【0056】
第4実施形態においては、余肉部14は、最後の復路を挟む一対のポート開口部11a〜11bの何れかに形成されているので、最後の復路から処理終点Eまで極めて短縮することができ、生産性の向上に寄与することができる。
[第5実施形態]
図14は本発明の第5実施形態に係る仕上げ加工前のシリンダヘッド1の底面図であり、図15は図14の要部を拡大して示す説明図である。
【0057】
図14および図15を参照して、各図に示す第5実施形態では、処理経路Rの処理終点Eを気筒11中央に穿設される燃料噴射弁装着用穴16に設定した点が第3、第4実施形態と異なっている。
【0058】
第5実施形態においては、燃料噴射弁装着用穴16の径によっては熱膨張の影響に対する配慮が必要なものの、最後の復路から処理終点Eまでを最も短縮することができ、生産性の向上に寄与することができる。
[比較例1]
次に上述した各実施形態の効果を明らかにするための比較例について説明する。
【0059】
図16は、比較例1を示す仕上げ加工前におけるシリンダヘッドの底面図であり、図17は、図16の要部を拡大して示す説明図である。
【0060】
図16および図17を参照して、比較例1は、第1、第2実施形態と対比されるものであり、第1、第2実施形態との相違点は、処理経路Rの処理始点Sが、吸気側バルブブリッジ11cの外側(気筒11の径方向外方)に設定されている点、並びに処理終点Eが、気筒11から外れたテンションボルト穴12に設定されている点である。
【0061】
経路R1の形成時の押し込み深さを所定の設定値Aとした場合、比較例1の処理経路Rの押し込み深さは、経路R2では、0.05mm×1だけ押し込み深さを増加し、経路R3では、0.05mm×2だけ押し込み深さが増加することになる。そのため、例えば図6との対比から明らかなように、高疲労強度要求部となる吸気側バルブブリッジ11cでは、往路(R1)が最も浅くなり、しかも復路(R3)との差が0.1mmになってしまうことになる。
【0062】
このように、比較例1は、従来の製法と同様に、テンションボルト穴12を処理経路Rの処理終点Eに設定した関係上、経路長さをできるだけ短くするために、処理始点Sを吸気側バルブブリッジ11cの外側(気筒11の径方向外方)に設定しているものであるが、処理終点Eが気筒11のエリア外であるため、処理経路R全体が長くなってしまうばかりでなく、高疲労強度要求部となる吸気側バルブブリッジ11cを最初の往路(R1)とする必要があるため、この吸気側バルブブリッジ11cに形成される改質領域1bの層深さが浅くなり、所要の強度を得ることができなくなるという課題が残った。
[比較例2]
図18は、比較例2を示す仕上げ加工前におけるシリンダヘッドの底面図であり、図19は、図18の要部を拡大して示す説明図である。
【0063】
図18および図19を参照して、比較例2は、第3〜第5実施形態と対比されるものであり、第3〜第5実施形態との相違点は、処理経路Rの処理始点Sが、他端側バルブブリッジ11fの外側(気筒11の径方向外方)に設定されている点、並びに処理終点Eが、気筒11から外れたテンションボルト穴12に設定されている点である。
【0064】
経路R1の形成時の押し込み深さを所定の設定値Aとした場合、比較例2の処理経路Rの押し込み深さは、経路R2では、0.05mm×1だけ押し込み深さを増加し、経路R3では、0.05mm×2、経路R4では、0.05mm×3だけ押し込み深さが増加することになる。そのため、例えば図11との対比から明らかなように、高疲労強度要求部となる吸気側バルブブリッジ11cでは、往路(R1)が最も押し込み深さが浅くなり、しかも復路(R2)が次いで押し込み深さの浅い経路になってしまうことになる。
【0065】
このように、比較例2は、従来の製法と同様に、テンションボルト穴12を処理経路Rの処理終点Eに設定した関係上、経路長さをできるだけ短くするために、処理始点Sを吸気側バルブブリッジ11cの外側(気筒11の径方向外方)に設定しているものであるが、処理終点Eが気筒11のエリア外であるため、処理経路R全体が長くなってしまうばかりでなく、高疲労強度要求部となる吸気側バルブブリッジ11cを最初の往路(R1)および復路(R2)とする必要があるため、この吸気側バルブブリッジ11cに形成される改質領域1bの層深さが浅くなり、所要の強度を得ることができなくなるという課題が残った。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の各実施形態並びに各比較例に係る表面処理方法を実施するための摩擦攪拌装置の概略構成図である。
【図2】図1の回転工具のプローブ近傍の断面図である。
【図3】図1の摩擦攪拌装置に適用可能な別の回転工具を示す正面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るシリンダヘッドの底面図である。
【図5】第1実施形態に係る仕上げ加工前のシリンダヘッドの底面図である。
【図6】図5の要部を拡大して示す説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る仕上げ加工前のシリンダヘッドの底面図である。
【図8】図7の要部を拡大して示す説明図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係るシリンダヘッドの底面図である。
【図10】第3実施形態に係る仕上げ加工前のシリンダヘッドを示す底面図である。
【図11】図10の要部を拡大して示す説明図である。
【図12】本発明の第4実施形態に係る仕上げ加工前のシリンダヘッドの底面図である。
【図13】図12の要部を拡大して示す説明図である。
【図14】本発明の第5実施形態に係る仕上げ加工前のシリンダヘッドの底面図である。
【図15】図14の要部を拡大して示す説明図である。
【図16】比較例1を示す仕上げ加工前におけるシリンダヘッドの底面図である。
【図17】図16の要部を拡大して示す説明図である。
【図18】比較例2を示す仕上げ加工前におけるシリンダヘッドの底面図である。
【図19】図18の要部を拡大して示す説明図である。
【符号の説明】
【0067】
1 シリンダヘッド
1a 合わせ面
1b 改質領域
2 回転工具
2a 回転基体部
2b プローブ部
2c ショルダ
3 工具駆動手段
11 気筒
11a 吸気ポート開口部
11b 排気ポート開口部
11c 吸気側バルブブリッジ(高疲労強度要求部の一例)
11d 排気側バルブブリッジ
11e 一端側バルブブリッジ
11f 他端側バルブブリッジ
12 テンションボルト穴
14 余肉部
15 グロープラグ装着用穴
16 燃料噴射弁装着用穴
E 処理終点
R 処理経路
S 処理始点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポート開口部が気筒毎に開口するエンジンの軽金属製シリンダヘッドの合わせ面に、所定の線状の処理経路を設定し、回転工具を前記処理経路に設定される処理始点から処理終点まで連続的に走行させて前記合わせ面に摩擦攪拌処理を施し、この摩擦攪拌処理の後に前記シリンダヘッドに最終仕様の開口を仕上げ加工で形成して前記処理終点に形成された工具痕を除去するエンジン用シリンダヘッドの表面処理方法において、
前記摩擦攪拌処理の処理経路は、所定のポート開口部間のバルブブリッジに設定された往路と、前記往路と平行に延びて一部が幅方向において重複する復路と、前記往路と前記復路のうち、回転工具が最後に往復する経路が、高い耐熱疲労強度が要求される高疲労強度要求部になるように前記気筒内のエリアに設定される前記処理始点および前記処理終点とを有し、
前記摩擦攪拌処理は、当該回転工具が往路から復路に移行する過程で、シリンダヘッドへの前記回転工具の押し込み量を増加しながら前記回転工具を駆動するものである
ことを特徴とするエンジン用シリンダヘッドの表面処理方法。
【請求項2】
請求項1記載のエンジン用シリンダヘッドの表面処理方法において、
前記シリンダヘッドは、ポート開口部間のバルブブリッジにグロープラグが装着されるディーゼルエンジン用のものであり、
前記処理経路は、前記バルブブリッジを前記高疲労強度要求部として最後に往復する経路が設定されている
ことを特徴とするエンジン用シリンダヘッドの表面処理方法。
【請求項3】
請求項1または2記載のエンジン用シリンダヘッドの表面処理方法において、
前記処理経路は、平面視で略T字形のパターンに設定されている
ことを特徴とするエンジン用シリンダヘッドの表面処理方法。
【請求項4】
請求項1または2記載のエンジン用シリンダヘッドの表面処理方法において、
前記処理経路は、平面視で略十字形のパターンに設定されている
ことを特徴とするエンジン用シリンダヘッドの表面処理方法。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載のエンジン用シリンダヘッドの表面処理方法において、
前記仕上げ加工で除去される余肉部を前記シリンダヘッドの当該ポート開口部に形成し、
前記余肉部に前記処理経路の処理終点を設定している
ことを特徴とするエンジン用シリンダヘッドの表面処理方法。
【請求項6】
請求項5記載のエンジン用シリンダヘッドの表面処理方法において、
前記余肉部は、最後の復路を挟む一対のポート開口部と反対側のポート開口部に設けられている
ことを特徴とするエンジン用シリンダヘッドの表面処理方法。
【請求項7】
請求項5記載のエンジン用シリンダヘッドの表面処理方法において、
前記余肉部は、最後の復路を挟む一対のポート開口部の何れかに形成されている
ことを特徴とするエンジン用シリンダヘッドの表面処理方法。
【請求項8】
請求項1から4の何れか1項に記載のエンジン用シリンダヘッドの表面処理方法において、
前記気筒中央に穿設される燃料噴射弁装着穴に前記処理終点を設定している
ことを特徴とするエンジン用シリンダヘッドの表面処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−30527(P2009−30527A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−195423(P2007−195423)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】