説明

エンドシール装置及びそれを用いた包装機並びにピロー包装機

【課題】 上下のトップシーラの上下移動距離を過不足なく行うピロー包装機を提供すること
【解決手段】 連続して供給される帯状フィルムを筒状に形成する製袋器20と、筒状に形成された筒状フィルム21の重合端にシールを施すセンターシール装置24と、センターシール装置の下流側に配置され、筒状フィルムの幅方向にシール・カットするエンドシール装置30を備える。エンドシール装置は、筒状フィルムを挟んで上下に配置されるトップシーラ33a,33bと、そのトップシーラのシール面を対向させた状態を保持しながらそのトップシーラを所定の軌跡で移動させる駆動機構とを備える。この駆動機構は、両トップシーラを前後進移動させるための機構と、上側のトップシーラを上下移動させる機構と、下側のトップシーラを上下移動させるための機構を、それぞれ別々の駆動モータからの動力に基づいて動作するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンドシール装置及びそれを用いた包装機並びにピロー包装機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
包装機の一形態であるピロー包装機は、以下のような構成を備えている。まず、原反ロールに巻き取られた帯状フィルムを連続して製袋器に供給し、その製袋器を通過させる際に筒状に製袋された筒状フィルムを形成する。また、この製袋器の上流側には被包装物搬送供給装置を配置し、その被包装物搬送供給装置から所定間隔毎に搬送される被包装物が、製袋器内に供給される。これにより、被包装物が製袋器内を通過すると、筒状フィルム内に所定間隔毎に収納されることになり、その被包装物は筒状フィルムとともに搬送される。そして、その搬送方向に沿って、センターシール装置並びにエンドシール装置が配置されている。センターシール装置は、筒状フィルムのフィルム重合端をシールするものである。エンドシール装置は、筒状フィルムを進行方向横方向(前後の被包装物が存在していない部分)にシールするとともに、カットすることで、先端の被包装物が収納された筒状フィルムの部分を後続の筒状フィルムから分離し、包装体を製造するようになる。
【0003】
上記のエンドシール装置の一形態として、筒状フィルムを挟んで上下に配置される一対のトップシーラ(カッター刃が内蔵されている)と、そのトップシーラのシール面を対向させた状態を保持しながらそのトップシーラを所定の軌跡で移動させる駆動機構とを備えたものがある。そして、上下のトップシーラは、筒状フィルムの所定位置を上下から挟み込んだ状態で一定量だけ筒状フィルムとともに前進移動する。これにより、筒状フィルムの挟まれた部位が熱シールされるとともに、カットされる。この種のエンドシール装置のタイプは、ボックスモーションタイプとも称されている。
【0004】
係るボックスモーションタイプのエンドシール装置としては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に開示されたエンドシール装置は、トップシーラのシール面を対向させた状態を保持しながらそのトップシーラを所定の軌跡で移動させる駆動機構が、トップシーラを前後進移動させるための機構と、上下移動させるための機構を、それぞれ別々の駆動モータからの動力に基づいて動作するように構成している。
【0005】
また、一般に上下のトップシーラの上下移動は、駆動モータの回転出力を所定のリンク機構を介して上下方向の運動に変換することで行なっている。
【0006】
【特許文献1】特開2006−321513
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の装置では、以下に示す問題がある。すなわち、一つの包装機を、高さ寸法の異なる複数の種の製品(被包装物)に対応させたいという要求がある。エンドシール装置では、一対のトップシーラが互いに接近して筒状フィルムを挟み込んだ状態と、一対のトップシーラが互いに離反してそのトップシーラ間を被包装物が収納された筒状フィルムが通過する状態とをとる必要がある。そのため、被包装物の高さ寸法が大きくなるほど、トップシーラの離反距離を長くする必要がある。
【0008】
よって、両トップシーラの移動距離を一定にした場合、当該距離は包装機が対応する最大の被包装物の高さ寸法にあわせる必要がある。すると、高さ寸法の小さい被包装物に対して包装処理する場合、トップシーラは必要以上に長い距離を移動することになり、駆動機構(駆動源を含む)に過負荷を与えたり、生産性が低下したりする。
【0009】
また、被包装物の高さに合わせてトップシーラの移動距離を変更できるようにした場合、通常は、カムあるいはリンク機構を変更することになるので、その変更処理が煩雑である。
【0010】
さらに、被包装物の高さ寸法にあわせて上下のトップシーラの移動距離を調整するタイプでは、高さ寸法が大きいもの用に調整した場合、上下のトップシーラの移動距離はともに長くなり、高さ寸法が小さいもの用に調整した場合、上下のトップシーラの移動距離はともに短くなる。そのため、例えば高さ寸法が大きいものにあわせた場合、下側のトップシーラが必要以上に下側に大きく移動することになるという問題がある。
【0011】
また、トップシーラが離反した際に、エンドシール装置の前後に配置されたベルトコンベア間の隙間が狭くなり、被包装物の渡りを安定して行なうようにしたものがある。係る構成の装置では、下側のトップシーラの上下移動に合わせてベルト間の間隔が広狭変化するようになっている。その結果、被包装物の高さが低い場合に下側のトップシーラの移動距離が短くストロークが足りない場合には、ベルトコンベア間に隙間が生じてしまい、被包装物を安定して搬送することができないという問題を有する。
【0012】
さらに、エンドシール装置の清掃が煩雑である。すなわち、清掃などを行なう場合、上下のトップシーラは最も離反した基準位置(待機位置)で停止させると、下側のにトップシーラは最も下降位置に至り、エンドシール装置の前後に配置されたベルト等が邪魔をすることから下側のトップシーラの清掃作業がしにくくなる。また、下側のトップシーラを上昇させると、上下のトップシーラ間の隙間が狭くなるため、やはり掃除がしにくくなる。
【0013】
本発明は、被包装物の高さ寸法に応じてトップシーラの上下の移動距離を調整することができるタイプにおいて、上下のトップシーラの移動量を適切に制御し、必要以上に長い距離を移動することや、移動距離が不足することがなくなり、さらに、エンドシール装置(特に、トップシーラ部分)の清掃作業が容易に行なえるエンドシール装置及び包装機並びにピロー包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した目的を達成するために、本発明に係るエンドシール装置は、(1)被包装物を内包する包装フィルムを、その包装フィルムの進行方向横方向にシールするエンドシール装置であって、前記包装フィルムを挟んで上下に配置されるトップシーラと、そのトップシーラのシール面を対向させた状態を保持しながらそのトップシーラを上下方向に移動させる駆動機構とを備え、前記駆動機構は、前記上側のトップシーラを上下移動させるための機構と、前記下側のトップシーラを上下移動させるための機構を、それぞれ別々の駆動モータからの動力に基づいて動作するように構成した。
【0015】
上下のトップシーラの駆動源を別々にしたため、両トップシーラはそれぞれ相手側の位置に関係なく任意の上下移動をすることができる。よって、被包装物の高さ寸法に応じてトップシーラの上下の移動距離を調整することができるタイプにおいて、上下のトップシーラの移動量を適切に制御することができ、必要以上に長い距離を移動することや、移動距離が不足することがなくなる。さらに、上下のトップシーラをともに上昇移動させると、下側のトップシーラのシール面を搬送面近傍に位置させることができ、エンドシール装置(特に、トップシーラ部分)の清掃作業が容易に行なえる。
【0016】
(2)前記駆動機構は、前記駆動モータの正逆回転に応じて正逆回転するボールネジを含み、前記トップシーラを取付けるシーラ取付台は、そのボールネジの正逆回転に伴い上下移動するように構成するとよい。このようにすると、上下のトップシーラの上下移動を精度良く制御できる。
【0017】
(3)包装処理時における前記上側のトップシーラの最上方移動位置は、前記被包装物の高さに応じて設定され、包装処理時における前記下側のトップシーラの最下方移動位置は、前記被包装物の高さに関係なくエンドシール装置内の被包装物の搬送面の下側所定位置に設定されるようにするとよい。このようにすると、上側のトップシーラの上下の移動量は、被包装物の高さに合わせて必要十分な距離に設定できる。また、下側のトップシーラの移動量は、被包装物の高さに関係なく一定にすることで、必要以上に移動距離を長くすることが無く、モータの負荷が低減する。また、搬送面の下側所定位置とは、図7,図8に例示したように、前後のコンベアの隣接する端部同士が近接させるようにするのに十分な距離だけ下方にするものに限ることはなく、トップシーラのシール面が搬送面とほぼ同じか、少し下方に位置するようにすることができる。このようにすると、下側のトップシーラの移動距離を可及的に短くし、モータの負荷を抑制できる。
【0018】
(4)清掃モードのときは、前記上側のトップシーラと、前記下側のトップシーラとが共に上昇移動するように制御され、設定された上方所定位置で停止するように構成するとよい。一般的な上下のトップシーラは、一方が上昇移動すると他方は下降移動することにより、開閉動作を行なう。本発明では、上側と下側のトップシーラの駆動源を別々にしたため、両トップシーラを同一方向に移動させることができる。よって、両トップシーラを共に上昇移動させることで、下側のトップシーラのシール面は上昇して搬送面近傍に位置し、そのときの上側トップシーラは上昇しているので両トップシーラの間には空間が形成される。よって、その空間を利用して、トップシーラの清掃が容易に行なえる。
【0019】
(5)前記駆動機構は、前記トップシーラを上下移動させるための駆動モータとは別の駆動モータからの動力に基づいて、前記トップシーラを前後進移動させるための機構を備えるとよい。
【0020】
(6)上記(5)の発明を前提とし、包装処理時における前記上側,下側のトップシーラの前後方向の待機位置は、前記被包装物の前後方向の長さに関係なく上流側の定位置に設定されるようにすることができる。前後方向の待機位置とは、上側,下側のトップシーラが互いに上下方向に離反した状態で一時停止し、包装フィルムに対する次のシール処理を行なうために待機するための位置である。例えば、この待機位置で一時停止している両トップシーラ間に包装フィルムのエンドシールされるフィルム部位が至ると、上側,下側のトップシーラが互いに接近する方向に移動し、包装フィルムを挟み込む。このとき、少なくともトップシーラが包装フィルムに接触する際には、両トップシーラが前進移動するように制御する。トップシーラを上下移動させるための駆動モータと、前後移動させるための駆動モータを別々にし、相互に独立して駆動可能としたため、トップシーラの前後方向の待機位置を定位置で固定しても、包装フィルムのシール部位が所定位置に来たときに両トップシーラが互いに接近する方向に移動させることで両トップシーラにて所望のシール部位を挟み込み、シールすることができる。
【0021】
(7)上記の(5),(6)の発明を前提とし、包装フィルムのカット寸法が変更になった場合に、そのカット寸法に関係なく前記上下のトップシーラ同士が上下から包装フィルムを挟み込んで熱シール処理をする時間が一定になるように、前記トップシーラを上下移動させるための駆動モータと、前記トップシーラを前後進移動させるための前記別の駆動モータとを制御する制御手段を備えるとよい。
【0022】
カット寸法の長さに関係なく、包装フィルムに対して上下のトップシーラが噛み合っている時間は同一になるため、一度トップシーラをフィルム溶着してシールすることができる適当な温度に設定すると、製品変更などによるトップシーラの設定温度の変更をする必要がなく、簡単な制御で安定して包装処理をすることができる。さらに、温度変更は、ヒーターの設定を電気的に変更しても、実際のトップシーラの表面温度が設定に基づく適切な温度に変化するまである程度の時間がかかるため、製品変更の度に温度変更することは、包装工程、生産工程に時間的負荷をかけることとなる。しかし、本発明によれば、一度フィルムに対する適切なシーラ温度が設定されれば、そのあとの製品変更(カット寸法の変化)があっても温度変更をする必要がなく、結果として円滑な包装、生産を実施することができることとなる。
【0023】
(8)本発明の包装機は、上記の(1)から(7)のいずれかのエンドシール装置を備えて構成することである。この包装機には、ピロー包装機も当然含まれる。
【0024】
(9)また、本発明のピロー包装機は、連続して供給される帯状フィルムを筒状に形成する手段と、その筒状に形成された筒状フィルムの重合端にシールを施すセンターシール装置と、そのセンターシール装置の下流側に配置され、前記筒状フィルムの幅方向にシールするとともにカットするエンドシール装置と、前記エンドシール装置の前後に被包装物を収納した筒状フィルムの搬送面を構成するベルトコンベアとを備えたピロー包装機であって、そのベルトコンベアの隣接する端部同士は、下側のトップシーラが下降移動した際に離反し、下側のトップシーラが上昇移動した際に近接するように構成され、前記エンドシール装置は、上記の(1)から(7)のいずれかに記載のエンドシール装置とすることである。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、被包装物の高さ寸法に応じてトップシーラの上下の移動距離を調整することができるタイプにおいて、上下のトップシーラの移動量を適切に制御することができ、必要以上に長い距離を移動することや、移動距離が不足することがなくなり、さらに、エンドシール装置(特に、トップシーラ部分)の清掃作業が容易に行なえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1から図4は、本発明の好適な一実施の形態を示している。本実施の形態のピロー包装機10は、包装機本体11と、その包装機本体11に対して帯状の包装フィルムを連続して供給するフィルム供給装置12と、包装機本体11の上流側に配置され、その包装機本体11に対して被包装物13を所定間隔毎に供給する被包装物搬送供給装置14とを備えている。
【0027】
フィルム供給装置12は、帯状フィルム15をロール状に巻き取った原反ロール16に対し、図示省略する駆動モータ(サーボモータ等の速度制御可能なモータ)の出力を連係し、原反ロール16の回転速度を適宜制御しながら一定速度で包装機本体11に供給する。また、図示省略しているが、原反ロール16から包装機本体11に至る所定位置に各種のローラを配置し、原反ロール16から送り出された帯状フィルム15は、そのローラに掛け渡されることで、所定の経路を通って包装機本体11に導かれる。もちろん、本発明では、必ずしも原反ロール16に駆動モータを連係する必要はなく、包装フィルムの搬送経路上にフィードローラを設け、引き出すようにしても良い。
【0028】
被包装物搬送供給装置14は、前後に配置されたスプロケット17(図では、進行方向前方のみ記載)と、その複数のスプロケット17に掛け渡されたエンドレスチェーン18と、そのエンドレスチェーン18に所定ピッチ毎に取り付けられた複数の押送フィンガー19とにより構成される。これにより、被包装物13の後面に押送フィンガー19が突き当たると、押送フィンガー19の移動に伴い、被包装物13も前進移動する。
【0029】
包装機本体11は、供給される帯状フィルム15を筒状フィルム21に整袋する製袋器20と、その製袋器20の下流側に配置されたセンターシール装置24と、そのセンターシール装置24の下流側に配置され、筒状フィルム21を搬送するベルトコンベア23と、ベルトコンベア23の上方に配置された上側抑えベルト25と、ベルトコンベア23の下流側に配置されたエンドシール装置30と、エンドシール装置30の下流側に配置された搬出コンベア26と、を備えている。
【0030】
製袋器20は、フィルム供給装置12から連続して供給される帯状フィルム15を通過させることで、帯状フィルム15の両側端縁部15a同士を接触(重合)させるとともに、筒状となった筒状フィルム21に整袋するものである。また、被包装物搬送供給装置14から包装機本体11に対して順次供給される被包装物13は、製袋器20内に挿入される。これにより、製袋器20に供給された被包装物13は、筒状フィルム21内に所定間隔ごとに配置されることになる。
【0031】
センターシール装置24は、重合された帯状フィルム15の両側端縁部15aをシールする。このセンターシール装置24は、帯状フィルム15の両側端縁部15aを両側から挟み込みながら加熱することで熱シールする。
【0032】
上側抑えベルト25は、エンドシール装置30の上流側の直近に配置されており、筒状フィルム21内の被包装物13が上方に持ち上がるのを抑制し、水平状態を保持しながら搬送できるようにしている。
【0033】
エンドシール装置30は、筒状フィルム21に対し、進行方向と直交する方向、つまり、横断する方向にシールすると共にカットするものである。そのシール・カットするフィルム部位は、前後の被包装物13の間の所定位置である。これにより、エンドシール装置30を通過することで、筒状フィルム21の先頭部分は、後続から分離され、包装体27が製造される。
【0034】
以下、本発明の要部となるエンドシール装置30について説明する。エンドシール装置30は、筒状フィルム21を挟んで上下に対向配置されるトップシーラ33a,33bを備え、そのトップシーラ33a,33bのシール面33a′,33b′を対向させた状態を保持しながらそれぞれを所定の軌跡で公転移動させるようになっている。
【0035】
具体的には、図2〜図5に示すように、筒状フィルム21の搬送経路の周囲を囲むとともに、筒状フィルム21の搬送方向に沿って前後進移動可能に機枠35を配置する。機枠35の下方には、筒状フィルム21の進行方向に沿って、2本の第1ガイドレール34が設置されている。この第1ガイドレール34に符合するスライダ38が、機枠35の外周側の底面35cの所定位置に接続されている。これにより、スライダ38が第1ガイドレール34に沿って前後進移動することに伴い、機枠35も安定して前後進移動する。
【0036】
この前後進移動の駆動源は、流れ方向移動用モータ60を用いている。すなわち、筒状フィルム21の進行方向に沿って配置された流れ方向移動用ボールネジ64を、機枠35の底面35cの略中央部位に取り付けた連結板65に設けた雌ネジ部に挿入する。そして、流れ方向移動用モータ60の出力軸に装着した段付きプーリ62と、流れ方向移動用ボールネジ64の一端に装着した段付きプーリ63とに、タイミングベルト61を掛け渡す。これにより、流れ方向移動用モータ60を正逆回転することで、連結板65ひいては機枠35に取り付けられたトップシーラ33a,33bを前後進移動させることが出来る。そして、そのときの移動速度は、流れ方向移動用モータ60の回転速度に応じて変更できる。つまり、筒状フィルム21の搬送速度と同一速度で予備シーラ33a,33bを前進移動させることも出来るし、搬送速度よりも速い速度、或いは遅い速度で前進移動させることも出来る。また、本実施形態では、流れ方向移動用モータ60は、サーボモータ等の回転速度の制御可能なモータを用いている。
【0037】
一方、機枠35の天面35aと底面35cとの間をわたるようにして、上下方向に延びる4本のボールネジを設けた。このボールネジは、内側に配置された一対の第1ボールネジ40と、外側に配置された一対の第2ボールネジ41と、からなる。それら第1,第2ボールネジ40,41は、その両端において、それぞれ機枠35の天面35aと底面35cに軸受け支持されている。
【0038】
一対の第1ボールネジ40の上端の細棒状の回転軸51を機枠35の天面35aの上方に突出させ、その回転軸51の先端に段付プーリ52を取り付け、両段付プーリ52間にタイミングベルト53を掛け渡す。そして、一方の第1ボールネジ40の下端に上側シーラ開閉用モータ57を連係する。この上側シーラ開閉用モータ57は、サーボモータ等の回転速度の制御可能なモータを用いている。
【0039】
これにより、上側シーラ開閉用モータ57を正逆回転させると、一対の第1ボールネジ40も同期して同一方向に正逆回転する。この一対の第1ボールネジ40に対して、上側シーラ取付台45を連係する。つまり、帯板状の上側シーラ取付台45の両端に設けた貫通孔内に筒状の雌ネジ部42を挿入配置するとともに、その雌ネジ部42を第1ボールネジ40に連係する。そして、上側シーラ取付台45の下面に、上側のトップシーラ33aを取り付ける。よって、上側開閉用モータ57を正逆回転させると、その回転が第1ボールネジ40に伝達され、雌ネジ部42(上側シーラ取付台45)ひいては上側のトップシーラ33aが上下移動する。
【0040】
同様に、一対の第2ボールネジ41の上端の細棒状の回転軸56を機枠35の天面35aの上方に突出させ、その回転軸56の先端に段付プーリ54を取り付け、両段付プーリ54間にタイミングベルト55を掛け渡す。そして、一方の第2ボールネジ41の下端に下側シーラ開閉用モータ58を連係する。この下側シーラ開閉用モータ58は、サーボモータ等の回転速度の制御可能なモータを用いている。
【0041】
これにより、下側シーラ開閉用モータ58を正逆回転させると、一対の第2ボールネジ41も同期して同一方向に正逆回転する。この一対の第2ボールネジ41に対して、下側シーラ取付台46を連係する。つまり、帯板状の下側シーラ取付台46の両端に設けた貫通孔内に筒状の雌ネジ部43を挿入配置するとともに、その雌ネジ部43を第2ボールネジ41に連係する。そして、下側シーラ取付台46の上面に、下側のトップシーラ33bを取り付ける。よって、下側開閉用モータ58を正逆回転させると、その回転が第2ボールネジ41に伝達され、雌ネジ部43(上側シーラ取付台46)ひいては下側のトップシーラ33bが上下移動する。
【0042】
また、図5に示すように、下側シーラ開閉用モータ58と、第2ボールネジ41との連係は、それぞれに取り付けた歯車67,68を噛み合わせることにより行なっている。図示省略するが、上側シーラ開閉用モータ57と第1ボールネジ40との連係も同様の構成を採っている。
【0043】
さらに、この機枠35の背面35dには、上下方向に延びるように、ガイドレール80を設けている。そして、このガイドレール80に対して、スライダ81,82を軸方向に移動可能に連係する。このスライダ81は、上側シーラ取付台45に連結し、スライダ82は下側シーラ取付台46に連結している。これにより、横揺れも防止され、機枠35に対して両取付台45,46ひいては上下のトップシーラ33a,33bを安定して上下移動させることができる。
【0044】
なお、図2に示すように、上側シーラ取付台45の上面には、シリンダ59を設けており、このシリンダ59により、上側のトップシーラ33a内に内蔵するカッター刃を昇降させるようになっている。係る構成は従来のものと同様である。
【0045】
上記のように、そして、本発明では、トップシーラ33a,33bの前後進移動(水平移動)と、上下移動(垂直移動)の駆動源とを、それぞれ独立した別の駆動モータを用いていたため、トップシーラ33a,33b(機枠35)の前後移動と上下移動とを任意のタイミングで制御することができ、トップシーラ33a,33bの公転移動の軌跡を任意に設定・変更することが簡単に行なえる。
【0046】
その結果、包装処理時におけ上側,下側のトップシーラ33a,33bの前後方向の待機位置は、被包装物13の前後方向の長さやカット寸法に関係なく上流側の定位置に設定されるようにすることができる。そして、この待機位置で一時停止している両トップシーラ33a,33b間に包装フィルムのエンドシールされるフィルム部位が至ると、上側,下側のトップシーラ33a,33bが互いに接近する方向に移動し、筒状フィルム21を上下から挟み込む。このとき、少なくともトップシーラ33a,33bが筒状フィルム21に接触する際には、両トップシーラ33a,33bが前進移動するように制御する。もちろん、各駆動モータ60,57と58の制御を特許文献1に開示された発明の機能を持たせることで、同様の作用効果を奏することができる。
【0047】
さらに上側のトップシーラ33aを上下移動させるための駆動源(上側シーラ開閉用モータ57)と、下側のトップシーラ33bを上下移動させるための駆動源(下側シーラ開閉用モータ58)と、を別々のモータで形成したため、上下のトップシーラ33a,33bをそれぞれ独立して上下移動させることができる。これにより、高さの異なる被包装物(包装体)に対して、相手側の移動距離を気にすることなくそれぞれのトップシーラの移動距離を最適なものに設定することができる。
【0048】
これにより、例えば、被包装物の高さにあわせて、上側のトップシーラ33aの最上方移動位置を被包装物の上面位置から一定のマージンを採った位置に設定したり、下側のトップシーラ33bの最下方移動位置を被包装物の高さに関係なく両コンベア23,26の搬送面の下方所定位置に設定することなどができる。よって、必要以上に長い距離を移動することがなく、駆動モータへの負荷も少なくできる。また、上下のトップシーラ33a,33bが噛み合う位置を任意かつ簡単に変更できるので、被包装物の高さ方向の任意の位置に設定できる。
【0049】
図6〜図8は、別の実施形態の要部を示している。この実施形態では、エンドシール装置30の前後に配置するベルトコンベア23と搬出コンベア26のエンドシール装置30側の端部を前後方向に移動可能とし、下側のトップシーラ33bが上昇移動した際には両コンベア23,26の隣接する端部同士が離れ、下側のトップシーラ33bが下降移動した際には両コンベア23,26の隣接する端部同士が接近するように構成される。
【0050】
具体的には、両コンベア23,26の隣接する端部側に溝カム70を取付ける。この溝カム70は、図示するように、上方部位70aと下方部位70bとが垂直方向に延びた直線状となり、上方部位70a同士の間隔が下方部位70b同士の間隔よりも狭く設定されている。そして、各溝カム70の上方部位70aと下方部位70bとは、斜めに傾斜する中間部位70cにて接続されている。
【0051】
一方、この溝カム70に符合するカムフロア71は、下側のトップシーラ33bの下側シーラ取付台46に連結されている。これにより、図7(a),図8(a)に示すように、下側のトップシーラ33bが下降移動してそのシール面が搬送面から所定距離以上下方に位置すると、その下側シーラ取付台46に取付けられたカムフロア71もカム溝70内を下降移動してカム溝70の下方部位70bに至る。すると、下側シーラ取付台46に取付けた両カムフロア71間の間隔は固定であるのでも、両カム溝70は下側シーラ取付台46側に引き寄せられる。これにより、カム溝70が取付けられたそれぞれのコンベア23,26の隣接する端部同士も接近し、両端部間の隙間を可及的に減少させ、被包装物のスムーズな移動が行なえるようにする。
【0052】
逆に、図7(b),図8(b)に示すように、下側のトップシーラ33bが上昇移動してその上面のシール面32bが搬送面上に位置すると、その下側シーラ取付台46に取付けられたカムフロア71もカム溝70内を上昇移動してカム溝70の上方部位70aに至る。すると、下側シーラ取付台46に取付けた両カムフロア71間の間隔は固定であるのでも、両カム溝70は下側シーラ取付台46から互いに離反される。これにより、カム溝70が取付けられたそれぞれのコンベア23,26の隣接する端部同士も離反し、両端部間に一定の隙間が形成され、トップシーラ33bがその隙間を介して上方に突出可能となる。これにより、上側のトップシーラaとの間で筒状フィルムを挟み込んで熱シールすることができる。
【0053】
このように、下側のトップシーラ33bの上下移動に追従して、コンベア23,26の隣接する端部同士が接近離反するタイプのエンドシール装置30及びそれを備えたピロー包装機の場合、上下のトップシーラ33a,33bの上下移動の駆動源を別々のモータとしたことにより、以下に示す作用効果を奏する。
【0054】
すなわち、例えば、図7(a),図8(a)に示すように、被包装物の高さにあわせて、上側のトップシーラ33aの最上方移動位置を被包装物の上面位置から一定のマージンを採った位置に設定することで、上側のトップシーラ33aは、被包装物の高さに合わせた必要十分な移動距離となり、上側のトップシーラ33aが最上方移動位置に至った際には、確実に被包装物を内包する筒状フィルムが通過することができるとともに、必要以上に大きな移動ストロークを採ることがないので、モータへの過大な負荷も与えず高速処理も可能となる。
【0055】
また、例えば図7(b),図8(b)に示すように、下側のトップシーラ33bの最下方移動位置を被包装物の高さに関係なく両コンベア23,26の搬送面の下方所定位置(カムフロア71がカム溝70の下方部位70bに至る位置)に設定する。これにより、図7(b)に示すように被包装物の高さが低い場合であっても、上側のトップシーラ33aの移動ストロークに比べて下側のトップシーラ33bの移動ストロークを大きく採ることができ、下側のトップシーラ33bを十分に下方移動させて両コンベア23,26隣接する端部同士を接近させ、被包装物のスムーズな移動を確保できる。
【0056】
また、図8に示すように、被包装物の高さが高い場合は、下側のトップシーラ33bの移動ストロークを上側のトップシーラ33aの移動ストロークに比べて短くすることができ、下側シーラ開閉用モータ58の必要以上に負荷をあげることなく、下側のトップシーラ33bが下降移動した際にコンベア33,36の隣接する端部同士の間隔を狭くし、被包装物のスムーズな移動を確保できる。
【0057】
さらに、図6に示すように、上側のトップシーラ33aと下側のトップシーラ33bをともに上昇移動させることができる。このようにすると、上側のトップシーラ33aが上方移動することでトップシーラ33a,33b間の空間が確保でき、下側のトップシーラ33bが上昇移動することでコンベア33,36の隣接する端部同士の間隔が開くとともに下側トップシーラ33bのシール面がコンベア33,36の搬送面上あるいはそれよりも高い位置に位置させることができる。よって、トップシーラ33a,33bの清掃のための作業空間が広くとれるとともに、下側のトップシーラ33bのシール面が突出するため、清掃作業が容易に行なえる。係る作用効果は、図1から図5に示す実施形態でも同様である。
【0058】
さらに本実施形態では、トップシーラ33a,33bを上下移動させるための駆動モータとして上側シーラ開閉用モータ57と下側シーラ開閉用モータ58を設けるとともに、トップシーラ33a,33bを前後移動させるための駆動モータとして流れ方向移動用モータ60を別途設けた。これにより、トップシーラ33a,33bの移動軌跡の自由に設定することができる。
【0059】
つまり、たとえば、被包装物の長さが変更され、筒状フィルムに対するカット寸法(カット長)が変更された場合、包装機の回転数(単位時間当たりの製造個数)を同じにするためには、カット長が長い場合は筒状フィルムの進行スピードが早くなり、逆にカット長が短い場合は、筒状フィルムの進行スピードは遅くなる。上下のトップシーラ33a,33bは、上下から筒状フィルム21を挟んでいる間は、筒状フィルム21と同じ速度で前進移動する必要がある。そのため、従来のボックスモーションでは、構造上、前進移動速度(周速)が速いとシール時間が短くなり、前進移動速度(周速)が遅ければシール時間が長くなる。よって、適切なシール結果を得るためには、速度の変化(製品変更によるカット長の変化)により、トップシーラの温度も変更しなければならなかった。
【0060】
これに対し、本実施形態によれば、異なる製品を包装する場合に、カット長が変わって、筒状フィルムの進行方向の移動速度(周速)が変わっても、独立したサーボモーター制御により、トップシーラ33a,33b同士の噛み合い時間を一定にすることができる。よって、同じフィルムであれば、常に適切なシール時間に調整することで、シール温度を変更しなくても、対応することができる。
【0061】
つまり、本実施形態では、筒状フィルムの移動速度が変化しても、独立したサーボモータにより、トップシーラー装置自体の前進方向の移動時間と、上下のトップシーラの開閉タイミングを任意に設定して制御することができるので、周速が早い場合には適当なシール時間を得るために上下のトップシーラが筒状フィルムを挟み込んでシールしている状態での進行方向のスライド距離を長くするように制御する。逆に周速が遅い場合には、上下のトップシーラが筒状フィルムを挟み込んでシールしている状態での進行方向のスライド距離を短くする。このように制御すると、どちらの場合であっても、筒状フィルムに対してトップシーラが噛み合っている時間は同一になるため、一度トップシーラをフィルム溶着してシールすることができる適当な温度に設定すると、製品変更などによるトップシーラの設定温度の変更をする必要がない。
【0062】
さらに、温度変更は、ヒーターの設定を電気的に変更しても、実際のトップシーラの表面温度が設定に基づく適切な温度に変化するまである程度の時間がかかるため、製品変更の度に温度変更することは、包装工程、生産工程に時間的負荷をかけることとなる。しかし、本実施形態では、一度フィルムに対する適切なシーラ温度が設定されれば、そのあとの製品変更(カット長の変化による周速の変化)でも温度変更をする必要がなく、結果として円滑な包装、生産を実施することができることとなる。
【0063】
各駆動モータの動作は、図示省略する制御装置からの指令に従い、正逆回転,停止,回転速度等が制御される。
【0064】
上述した実施形態では、いずれもピロー包装機に適用した場合を示しているが、本発明はこれに限ることはなく、四方シール包装機,深絞り包装機その他の各種の包装機に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の好適な一実施の形態を示す図である。
【図2】エンドシール装置の一実施形態の正面図である。
【図3】図2におけるA−A線断面図である。
【図4】図2におけるB−B線断面図である。
【図5】図2におけるC−C線断面図である。
【図6】別の実施形態を示す図である。
【図7】別の実施形態における作用を説明する図である。
【図8】別の実施形態における作用を説明する図である。
【符号の説明】
【0066】
10 ピロー包装機
11 包装機本体
12 フィルム供給装置
13 被包装物
14 被包装物搬送供給装置
21 筒状フィルム
24 センターシール装置
30 エンドシール装置
33a,33b トップシーラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を内包する包装フィルムを、その包装フィルムの進行方向横方向にシールするエンドシール装置であって、
前記包装フィルムを挟んで上下に配置されるトップシーラと、
そのトップシーラのシール面を対向させた状態を保持しながらそのトップシーラを上下方向に移動させる駆動機構とを備え、
前記駆動機構は、前記上側のトップシーラを上下移動させるための機構と、前記下側のトップシーラを上下移動させるための機構を、それぞれ別々の駆動モータからの動力に基づいて動作するように構成したことを特徴とするエンドシール装置。
【請求項2】
前記駆動機構は、前記駆動モータの正逆回転に応じて正逆回転するボールネジを含み、
前記トップシーラを取付けるシーラ取付台は、そのボールネジの正逆回転に伴い上下移動するように構成したことを特徴とする請求項1に記載のエンドシール装置。
【請求項3】
包装処理時における前記上側のトップシーラの最上方移動位置は、前記被包装物の高さに応じて設定され、包装処理時における前記下側のトップシーラの最下方移動位置は、前記被包装物の高さに関係なくエンドシール装置内の被包装物の搬送面の下側所定位置に設定されることを特徴とする請求項1または2に記載のエンドシール装置。
【請求項4】
清掃モードのときは、前記上側のトップシーラと、前記下側のトップシーラとが共に上昇移動するように制御され、設定された上方所定位置で停止するように構成されたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のエンドシール装置。
【請求項5】
前記駆動機構は、前記トップシーラを上下移動させるための駆動モータとは別の駆動モータからの動力に基づいて、前記トップシーラを前後進移動させるための機構を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のエンドシール装置。
【請求項6】
包装処理時における前記上側,下側のトップシーラの前後方向の待機位置は、前記被包装物の前後方向の長さに関係なく上流側の定位置に設定されることを特徴とする請求項5に記載のエンドシール装置。
【請求項7】
包装フィルムのカット寸法が変更になった場合に、そのカット寸法に関係なく前記上下のトップシーラ同士が上下から包装フィルムを挟み込んで熱シール処理をする時間が一定になるように、前記トップシーラを上下移動させるための駆動モータと、前記トップシーラを前後進移動させるための前記別の駆動モータとを制御する制御手段を備えたことを特徴とする請求項5または6に記載のエンドシール装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のエンドシール装置を備えたことを特徴とする包装機。
【請求項9】
連続して供給される帯状フィルムを筒状に形成する手段と、
その筒状に形成された筒状フィルムの重合端にシールを施すセンターシール装置と、
そのセンターシール装置の下流側に配置され、前記筒状フィルムの幅方向にシールするとともにカットするエンドシール装置と、
前記エンドシール装置の前後に被包装物を収納した筒状フィルムの搬送面を構成するベルトコンベアとを備えたピロー包装機であって、
そのベルトコンベアの隣接する端部同士は、下側のトップシーラが下降移動した際に離反し、下側のトップシーラが上昇移動した際に近接するように構成され、
前記エンドシール装置は、請求項1から7のいずれか1項に記載のエンドシール装置であることを特徴とするピロー包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−308227(P2008−308227A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−193167(P2007−193167)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(000206093)大森機械工業株式会社 (138)
【Fターム(参考)】