説明

エンドシール装置

【課題】 エンドシーラに設けられるカッター刃等を挿入するための溝部が広がることがなく、所望の位置を確実にカットすることができるエンドシール装置を提供すること
【解決手段】 一対の回転軸31,31′と、その一対の回転軸にそれぞれ接続されたエンドシーラ32,32′を備える。エンドシーラの先端のシール面32a,32a′の中央部位に、横方向に横断する溝部32b,32b′を設けるとともに、その溝部によりエンドシーラの先端側は、第1ブロック32c,32c′と第2ブロック32d,32d′に分離される。溝部内には、カッター刃35あるいは受け刃36が挿入される。第1ブロックから止めネジ41を挿入し、その止めネジの先端をカッター刃あるいは受け刃に接触させることで当該カッター刃あるいは受け刃が固定される。そして、第1ブロックと第2ブロックは、連結ボルト43により連結され、溝部が広がるのが抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンドシール装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動包装機や製袋装置等においては、その搬出側にエンドシール装置を配置し、筒状に形成されたフィルムを進行方向を横切る方向にシールするとともにカットし、個々の包装体(空の袋体)を製造するようになっている。
【0003】
このエンドシール装置の一種として回転式のエンドシール装置がある。このタイプは、図1に示すように搬送されるフィルム1の上下に対向配置された回転軸2にそれぞれエンドシーラ3を取り付ける。このとき、エンドシーラ3の先端の相互に噛合する周面がシール面3aとなり、上下に配したエンドシーラ3のシール面3a同士が接触し、フィルム1を挟持するようになっている。そして、エンドシーラ3内にはヒーターが内蔵されているので、そのフィルム1を挟持することにより係るフィルム1を加熱溶融させ、これにより熱融着させてシールするようになっている。
【0004】
さらに、両エンドシーラ3の対向面にはカッター刃4あるいは受け刃5が内蔵されており、そのカッター刃4,受け刃5でフィルム1を挟むことによりフィルム1を同時に横方向にカットするようになっている。
【0005】
このカッター刃4(受け刃5)は、図2に示すように、エンドシーラ3の中央に軸方向に延びるように形成された溝部3b内に挿入される。その状態で、ネジ7を用いて当て止めして固定する。すなわち、エンドシーラ3のシール面3a側は、溝部3bにより2つのブロック3c,3dに分離される。第1ブロック3cは、搬送方向に貫通するネジ孔3eが設けられている。そして、溝部3b内にカッター刃4(受け刃5)を挿入すると、そのカッター刃4(受け刃5)は、第1,第2ブロック3c,3d間に配置される。この状態で、ネジ孔3eにネジ7を挿入するとともに、そのネジ7を締め付ける。すると、ネジ7の先端がカッター刃4(受け刃5)に接触し、第2ブロック3dとの間で所定の圧力で挟み付けて固定される。なお、このようなカッター刃4,受け刃5の固定構造までは図示された先行文献は見つからなかったが、この種の回転式のエンドシール装置としては、例えば特許文献1,2,3などがある。
【0006】
【特許文献1】特開2000−85723号公報
【特許文献2】特開2000−177715号公報
【特許文献3】特開平10−316114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば特許文献2,3に示すように、従来のエンドシール装置についての改良・発明は、シール面に対する改良が中心であり、カッター刃4,受け刃5の固定構造に対して行なわれるのは見受けられない。そして、従来のように、ネジ7の締め付け力を利用してネジ7と第2ブロック3dとの間で固定する構造を取ると以下に示す問題を生じる。
【0008】
すなわち、カッター刃4等を複数のネジ7で固定するが、この固定するための力は、ネジ7が第2ブロック3dに向けて押さえつける力であり、その力に対抗する第2ブロック3dからの反力である。従って、ネジ7の締め付け力を強くするほど、カッター刃4等は確実に固定されるものの、第1ブロック3cと第2ブロック3dとが離反する方向(溝部3bが広がる方向)に発生する力も大きくなる。また、エンドシーラ3は、稼働時にはヒーターにより加熱されるため、エンドシーラ3は熱膨張をする。
【0009】
これらの要因が相まって、溝部3bが広がってしまう。このとき、溝部3bが広がることにより、図3(a)から(c)に示すように、第1ブロック3cと第2ブロック3dの一方あるいは両方が変位する場合があるが、いずれの状態になるかは不定である。カッター刃4等は、第2ブロック3dと面接触しているため、図3(b),(c)に示すように、第2ブロック3d側が変位すると、図4に示すようにカッター刃4等は傾斜してしまい、カッター刃4と受け刃5が噛み合った際に、縦方向に見てカッター刃4と受け刃5が一直線上に配置されず、斜めに当たることになり、カット不良等を生じるおそれがあるばかりか、目的のフィルム位置をカットすることができない。
【0010】
また、仮に図3(a)に示すように第1ブロック3cのみが変位した場合には、カッター刃4等は傾斜しないものの、第1ブロック3cとの離反距離が長くなり、不安定となる。
【0011】
さらに、第1ブロック3cと第2ブロック3dの変形のパターンとしては、上記のもの以外に、例えば図5に示すように、エンドシーラ3の回転方向と直交する方向(軸方向)に見た場合に、両端で変形するブロックが異なる場合もある。つまり、一方の端部では第1ブロック3cが変位し、他方の端部では第2ブロック3dが変位する。すると、溝部3bは、回転方向と直交する方向(軸方向)に対して平行にならず、傾斜してしまい、さらには湾曲することもある。係る場合、カッター刃4等も溝部3bの第2ブロック3dの内面に沿った形状に変形・変位することから、係る回転方向と直交する方向、つまり、フィルム1の搬送方向と直交する方向に対して所定角度傾斜してしまうことになり、目的のフィルム位置をカットすることができない。しかも、上下のエンドシーラ3における変位はそれぞれ独立して生じることから、カッター刃4と受け刃5の傾斜角度が異なることが多々あり、カット不良を生じるおそれがある。特に逆方向に傾斜した場合には、そのおそれが高くなる。
【0012】
さらにまた、上述したいずれの場合も、正しい状態でカッター刃4と受け刃5とが接触しないため、耐久性が低下するという問題も生じる。
【0013】
本発明は、上記した背景に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、エンドシーラに設けられるカッター刃等を挿入するための溝部が広がったり、変形したりすることがなく、所望の位置を確実にカットすることができると共に、耐久性が良好で長期に使用可能なエンドシール装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記した目的を達成するために、本発明に係るエンドシール装置は、一対の回転軸と、その一対の回転軸にそれぞれ接続されたエンドシーラを備えたエンドシール装置において、前記エンドシーラの先端のシール面の中央部位に、横方向に横断する溝部を設けるとともに、その溝部により前記エンドシーラの先端側は、第1ブロックと第2ブロックに分離されるように形成され、前記溝部内には、カッター刃あるいは受け刃が挿入され、前記第1ブロックと前記第2ブロックの少なくとも一方から止めネジを挿入し、その止めネジの先端を前記カッター刃あるいは受け刃に接触させることで当該カッター刃あるいは受け刃が固定され、前記第1ブロックと前記第2ブロックは、ネジ、ボルト等の締結部材により連結されるように構成した。そして、前記カッター刃あるいは受け刃の前記締結部材に対向する部位は、貫通孔あるいは切り欠き部が形成され、前記締結部材を挿入可能とすることができる。
【0015】
本発明によれば、第1ブロックと第2ブロックとが締結部材で連結されているため、溝部が広がる方向にブロックが変位することが抑制される。これにより、カッター刃あるいは受け刃は、止めネジによりしっかりと溝部内で固定された状態が保持されると共に、噛み合った際には一直線上に配置された状態を維持する。よって、カッターの切れが向上すると共に、耐久性も向上する。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、エンドシーラに設けられるカッター刃等を挿入するための溝部が広がったり、変形したりすることがなく、所望の位置を確実にカットすることができると共に、耐久性が良好で長期に使用可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図6は、本発明が適用されるピロー包装機の一実施の形態を示している。ピロー包装機10は、上流側から順に被包装物搬送供給装置11,包装機本体12,搬出コンベア装置13を配置している。
【0018】
被包装物搬送供給装置11は、被包装物14を一定間隔毎に搬送するとともに、次段の包装機本体12に順次供給するものでフィンガーコンベア装置から形成されている。すなわち、前後に配置されたスプロケット15,15間に掛け渡されたエンドレスチェーン16に対し、一定間隔で押送フィンガー17を取り付けて構成される。そして、前後の押送フィンガー17間に被包装物14を供給することにより、被包装物14を押送フィンガー17のフィンガーピッチで搬送する。
【0019】
包装機本体12は、原反ロール20から連続して引き出された帯状フィルム21を各種のローラ22に掛け渡しながら製袋器24に導くように構成し、その帯状フィルム21を製袋器24に通過させることにより、筒状に製袋する。なお、上記した被包装物搬送供給装置11の搬出端は、製袋器24に位置しており、これにより、被包装物搬送供給装置11から所定間隔毎に搬出される被包装物14は、製袋器24ひいては筒状に製袋された筒状フィルム25内に所定間隔毎に供給される。
【0020】
製袋器24の下流側には、係る被包装物14を内包する筒状フィルム25の搬送路が構成され、その搬送路の下方所定位置にセンターシール装置27を配置し、さらにその進行方向前方にエンドシール装置30を配置している。センターシール装置27は、筒状フィルム25のフィルム重合端、つまり、帯状フィルム21における両側縁を重ね合わせた部位をシールするものである。
【0021】
エンドシール装置30は、上下に配置された回転軸31,31′にエンドシーラ32,32′を取り付けて構成され、その一対のエンドシーラ32,32′が同期して回転することにより、筒状フィルム25の所定部位を上下から挟み込み、シール・カットする。これにより、筒状フィルム25の所定位置(被包装物14の存在しない部分)がエンドシール装置30で正しくシール・カットされ、筒状フィルム25の先端部分(先頭の被包装物14を内包する部分)が分離されて包装体29が製造される。そして、この包装体29が搬出コンベア装置13上を搬送される。
【0022】
つぎに、本発明に係るエンドシール装置の好適な一実施の形態を説明する。回転式のエンドシール装置30は、上述したようにピロー包装機の下流側所定位置に設置され、筒状フィルム25の所定位置をシールカットするものである。そして、図7,図8に示すように、上下一対の回転軸31,31′には、その一端にそれぞれギア34が連結され、そのギア34同士がかみ合うようになっている。これにより、一対の回転軸31,31′は、同期して回転し、両エンドシーラ32,32′同士が一回転するごとに互いに接触し、筒状フィルム25を挟み込むようになる。図示省略するが、一方のギア34は、動力伝達機構を介して駆動モータに連携され、所定のタイミングで回転駆動する。
【0023】
一対のエンドシーラ32,32′には、その先端のシール面32a,32a′が円弧に形成されるとともに、そのシール面32a,32a′の中央部位は、横方向に横断する溝部32b,32b′が形成される。そして、上方のエンドシーラ32の溝部32b内にカッター刃35が装着され、下方のエンドシーラ32′の溝部32b′内に受け刃36が装着される。
【0024】
この溝部32b,32b′を設けたことにより、エンドシーラ32のシール面32a側は、第1ブロック32c,32c′と第2ブロック32d,32d′に分離される。フィルムの搬送方向の前側が第1ブロック32c,32cとし、フィルムの搬送方向の後側が第2ブロック32d,32d′とする。
【0025】
また、本実施の形態では、図9,図10に示すように、従来と同様に、第1ブロック32c,32c′に、フィルム搬送方向に貫通する第1ネジ孔40を複数(この例では4個)設け、この第1ネジ孔40に止めネジ41を装着する。この止めネジ41は、その先端がカッター刃35,受け刃36に接触し、所定の力で第2ブロック32d,32d′側に押し付けることでカッター刃35,受け刃36を固定する。
【0026】
ここで本発明では、第1ブロック32c,32c′と第2ブロック32d,32d′とに、一直線上に位置する第2ネジ孔42を複数(この例では2個)設け、この第2ネジ孔42に連結ボルト43を装着する。本実施の形態では、第1ブロック32c,32c′側から連結ボルト43を挿入し、連結ボルト43の先端側が第2ブロック32d,32d′に設けた第2ネジ孔42に嵌め合う。これにより、連結ボルト43によって第1ブロック32c,32c′と第2ブロック32d,32d′とが連結され、溝部32b,32b′が広がらないようになる。
【0027】
また、カッター刃35,受け刃36の連結ボルト43に対向する部位は、貫通孔45を設けた。これにより、連結ボルト43は、その貫通孔45内を貫通することで、両ブロック間を連結することができる。なお、本実施の形態では、貫通孔45としたが、切り欠きとしても良い。要は、連結ボルト43に対向する部位にはカッター刃35等が存在せず、連結ボルト43が通過できるようになっていればよい。
【0028】
本実施の形態によれば、溝部32bが広がらないため、第1ブロック32c,32c′並びに第2ブロック32d,32d′は、変位しない。その結果、カッター刃35と受け刃36とは、互いに噛み合ったときに一直線上に位置することができ、筒状フィルムを所望の位置で確実にカットすることができる。さらに、溝部が広がる方向にブロックが変位するのが抑制されるため、シール面32a,32a′の相対位置関係もずれることがなく、シール不良も生じない。
【0029】
なおまた、本実施の形態では、第1ブロック32c,32cと第2ブロック32d,32d′に設けた第2ネジ孔42は、共に各ブロックを貫通するように形成したが、本発明はこれに限ることはなく、連結ボルト43の先端側のブロック(本実施の形態では、第2ブロック32d,32d′)側は必ずしも貫通していなくても良い。さらにまた、本実施の形態では、止めネジ41と連結ボルト43とが、共に第1ブロック32c,32c′側から挿入するようにしたが、本発明は必ずしも同一のブロックから挿入する必要はなく、それぞれの挿入ブロックを異ならせても良い。
【0030】
また、本実施の形態では、第1ブロック32c,32′cと第2ブロック32d,32d′にそれぞれ第2ネジ孔42を設けたが、連結ボルト43を挿入する側のブロック(本実施の形態では、第1ブロック32c,32c)は貫通孔(雌ネジなしで一回り大きい内径)とし、反対側のブロックとのみ締結するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】従来例を示す図である。
【図2】従来例を示す図である。
【図3】従来例の問題を示す図である。
【図4】従来例の問題を示す図である。
【図5】従来例の問題を示す図である。
【図6】本発明のエンドシール装置が適用される包装機の一例であるピロー包装機の一形態を示す図である。
【図7】エンドシール装置の一実施の形態を示す斜視図である。
【図8】エンドシール装置の一実施の形態を示す側面図である。
【図9】(a)は、正面図であり(b)は、平面図である。
【図10】(a)は図9におけるa−a断面図であり、(b)は図9におけるb−b断面図である。
【符号の説明】
【0032】
30 エンドシール装置
31,31′ 回転軸
32,32′ エンドシーラ
32a,32a′ シール面
32b,32b′ 溝部
32c,32c′ 第1ブロック
32d,32d 第2ブロック
34 ギア
35 カッター刃
36 受け刃
40 第1ネジ孔
41 止めネジ
42 第2ネジ孔
43 連結ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の回転軸と、その一対の回転軸にそれぞれ接続されたエンドシーラを備えたエンドシール装置において、
前記エンドシーラの先端のシール面の中央部位に、横方向に横断する溝部を設けるとともに、その溝部により前記エンドシーラの先端側は、第1ブロックと第2ブロックに分離されるように形成され、
前記溝部内には、カッター刃あるいは受け刃が挿入され、
前記第1ブロックと前記第2ブロックの少なくとも一方から止めネジを挿入し、その止めネジの先端を前記カッター刃あるいは受け刃に接触させることで当該カッター刃あるいは受け刃が固定され、
前記第1ブロックと前記第2ブロックは、ネジ、ボルト等の締結部材により連結されるように構成されたことを特徴とするエンドシール装置。
【請求項2】
前記カッター刃あるいは受け刃の前記締結部材に対向する部位は、貫通孔あるいは切り欠き部が形成され、前記締結部材を挿入可能としたことを特徴とする請求項1に記載のエンドシール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−106487(P2007−106487A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−302147(P2005−302147)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(000206093)大森機械工業株式会社 (138)
【Fターム(参考)】