説明

オイルポンプ装置

【課題】小型エンジンへのオイルサーモスタット(切替機構)搭載、オイルポンプからエンジンへと至る油路のシンプル化及び短縮化、部品点数減を可能とする。
【解決手段】オイルをエンジン1に供給するオイルポンプ11を備えたオイルポンプ装置10において、オイルポンプ11のポンプ本体12に、オイルの温度に応じて吐出口を切り替えることが可能な切替機構16を介して、高温時吐出口14及び低温時吐出口15を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルクーラー搭載エンジン全般において使用されるオイルポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オイルサーモ(オイルサーモスタット)は、コールドスタート時(冷間始動時)にオイル(潤滑油)がオイルクーラーをバイパス(迂回)してオイルクーラーへ流れないようにすることにより、エンジンとオイルポンプとの間を循環するオイルの温度(油温)を早期に昇温させ、省燃費を狙うものである。一般に、オイルクーラーのケース部やオイルフィルターのブラケットや専用のブラケットなどオイルポンプ以外に、オイルサーモスタットを収容するオイルサーモハウジングと油路を形成し、エンジンへサーモスタットを搭載していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−299472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
小型エンジンにおいては、オイルクーラーやオイルフィルターなどの各部品が小さいことや、エンジン搭載スペースの制約から、オイルサーモハウジングと油路の設定が困難であるため、オイルサーモスタット搭載が困難な場合が多い。
【0005】
また、オイルサーモスタットが搭載可能な場合でも、オイルクーラーのケース部やオイルフィルターのブラケットや専用のブラケットなどにオイルサーモハウジングと油路を形成すると、オイルポンプからエンジンへと至る油路が非常に複雑且つ長くなり、油路圧損増や部品点数増と好ましくない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、小型エンジンへのオイルサーモスタット(切替機構)搭載、オイルポンプからエンジンへと至る油路のシンプル化及び短縮化、部品点数減を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、オイルをエンジンに供給するオイルポンプを備えたオイルポンプ装置において、前記オイルポンプのポンプ本体に、オイルの温度に応じて吐出口を切り替えることが可能な切替機構を介して、高温時吐出口及び低温時吐出口を設けたものである。
【0008】
前記切替機構が、オイルサーモスタット或いはバイメタルであっても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、小型エンジンへのオイルサーモスタット(切替機構)搭載、オイルポンプからエンジンへと至る油路のシンプル化及び短縮化、部品点数減を可能とすることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るオイルポンプ装置を搭載したエンジンのオイル回路図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係るオイルポンプ装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0012】
図1及び図2において、1はエンジン、2はエンジン1へ供給するオイルを濾過するオイルフィルター、3はエンジン1へ供給するオイルを冷却するオイルクーラー、4は後述するオイルポンプ11とエンジン1とを繋ぐ供給油路である。本実施形態では、供給油路4の上流側から順に、オイルクーラー3、オイルフィルター2を配置している。なお、エンジン1は、オイルクーラー搭載エンジンであれば良く、ディーゼルエンジンであっても良く、ガソリンエンジンであっても良い。
【0013】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るオイルポンプ装置10は、オイルをエンジン1に供給するオイルポンプ11を備えている。オイルポンプ11は、ポンプ本体12を有し、ポンプ本体12に、オイルの吸込口(図示せず)と吐出口(後述する高温時吐出口14及び低温時吐出口15)とが設けられている。なお、オイルポンプ11は、ギヤ式オイルポンプ(外接ギヤポンプ或いは内接ギヤポンプ)であっても良く、トロコイド式オイルポンプであっても良い。
【0014】
本実施形態に係るオイルポンプ装置10では、オイルポンプ11のポンプ本体12に、オイルの温度(以下、油温ともいう)に応じて吐出口を切り替えることが可能な切替機構16を介して、高温時吐出口14及び低温時吐出口15を設けている。
【0015】
つまり、本実施形態に係るオイルポンプ装置10では、オイルポンプ11のポンプ本体12に、油温高温時及び油温低温時それぞれ別の吐出口(高温時吐出口14、低温時吐出口15)を設けると共に、オイルの温度に応じて、高温時吐出口14からオイルを吐出する高温時吐出と、低温時吐出口15からオイルを吐出する低温時吐出とを切り替える切替機構16を設けている。
【0016】
本実施形態の切替機構16は、オイルサーモスタット17である。本実施形態に係るオイルポンプ装置10では、オイルポンプ11のポンプ本体12にオイルサーモハウジング18を形成し、そのオイルサーモハウジング18内にオイルサーモスタット17を収容することで、オイルポンプ11へオイルサーモスタット17を一体化するようにしている。なお、切替機構16は、オイルサーモスタット17には限定はされず、バイメタルなどであっても良い。
【0017】
また、本実施形態に係るオイルポンプ装置10では、オイルポンプ11のポンプ本体12に、オイルサーモスタット17の一方の出口17aから高温時吐出口14に至る高温時油路19と、オイルサーモスタット17の他方の出口17bから低温時吐出口15に至る低温時油路20とを形成している(図2参照)。
【0018】
本実施形態に係るオイルポンプ装置10では、高温時吐出口14が供給油路4を介してオイルクーラー3のオイル入口3aに接続され、低温時吐出口15がオイルクーラー3のオイル出口3bとオイルフィルター2のオイル入口2aとの間の供給油路4に接続されている。
【0019】
次に、本実施形態に係るオイルポンプ装置10の作動を説明する。
【0020】
図1に示すように、油温高温時(暖機完了後など)には、オイルサーモスタット17は、オイルが高温時吐出口14より吐出されるように吐出口を切り替える。そのため、油温高温時には、オイルはオイルポンプ11(ポンプ本体12)の高温時吐出口14より吐出され、オイルクーラー3とオイルフィルター2とを経てエンジン1の各部に供給される。
【0021】
一方、油温低温時(コールドスタート時など)には、オイルサーモスタット17は、オイルが低温時吐出口15より吐出されるように吐出口を切り替える。そのため、油温低温時には、オイルはオイルポンプ11(ポンプ本体12)の低温時吐出口15より吐出され、オイルクーラー3をバイパスし、オイルフィルター2を経てエンジン1の各部に供給される。
【0022】
ここで、本実施形態に係るオイルポンプ装置10によれば、オイルポンプ11へオイルサーモスタット17を一体化し、且つ、油温高温時及び油温低温時それぞれ別の吐出口(高温時吐出口14、低温時吐出口15)を持ったオイルポンプ11とすることにより、小型エンジンへのオイルサーモスタット17(切替機構16)の搭載、オイルポンプ11からエンジン1に至る油路のシンプル化及び短縮化、部品点数減が可能となる。
【0023】
つまり、本実施形態に係るオイルポンプ装置10によれば、オイルポンプ11へオイルサーモスタット17を一体化したことにより、オイルポンプ11からエンジン1に至る油路が従来と比較してシンプル且つ短くなるので、小型エンジンへのオイルサーモスタット搭載レイアウト成立性が向上する。また、エンジン1へのサーモスタット17の搭載に際して、オイルクーラー3のケース部やオイルフィルター2のブラケットや専用のブラケットなどにオイルサーモハウジング18と油路(高温時油路19や低温時油路20など)を形成することが不要となり、部品点数減が可能となる。
【0024】
また、本実施形態に係るオイルポンプ装置10によれば、特に油圧立ち上がりが問題となる場合が多い油温低温時において、オイルポンプ11からエンジン1に至る油路を従来と比較してシンプル且つ短くすることができ、油温低温時の油路圧損増を抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0025】
1 エンジン
10 オイルポンプ装置
11 オイルポンプ
12 ポンプ本体
14 高温時吐出口
15 低温時吐出口
16 切替機構
17 オイルサーモスタット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルをエンジンに供給するオイルポンプを備えたオイルポンプ装置において、前記オイルポンプのポンプ本体に、オイルの温度に応じて吐出口を切り替えることが可能な切替機構を介して、高温時吐出口及び低温時吐出口を設けたことを特徴とするオイルポンプ装置。
【請求項2】
前記切替機構が、オイルサーモスタット或いはバイメタルである請求項1に記載のオイルポンプ装置。

【図1】
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【図2】
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