説明

オフセット印刷用新聞用紙の製造方法

【課題】メタリングロールの表面性及び澱粉塗布液の表面張力を最適化することにより澱粉の塗布ムラ問題を解決し、印刷適正に優れたオフセット印刷用新聞用紙を生産し得る方法を提供する。
【解決手段】水平に並設され、互いに圧接されながら回転する一対のメタリングロール3a,3bと、一方のメタリングロールに圧接されて両メタリングロールの間をロールの回転により下方に通過した塗料を長尺の連続紙に塗布するアプリケーターロール2a,2bを備えるゲートロールコーターにおいて、JIS K 6768に規定される濡れ指数が40mN/m以上であるメタリングロールを使用して、40℃における表面張力がメタリングロールの濡れ指数以下である澱粉液を塗布する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲートロールコーターを用いて表面塗布した印刷用紙、特に新聞用紙の製造方法に関し、ゲートロールコーターにおける澱粉塗布時に発生する澱粉塗布ムラを改善した、印刷品質に優れたオフセット印刷用新聞用紙の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、商業印刷としてはオフセット印刷方式が主流となり、特に新聞印刷においても長い間凸版印刷方式により印刷されてきたが、1980年代にオフセット化が急速に進み、1980年代後半に新聞輪転機台数で凸版方式からオフセット印刷方式が逆転した後、現在ではほとんどの新聞がオフセット印刷方式により印刷されている。オフセット印刷とは、通常PS版と呼ばれる印版を作成し、印版に湿し水とインクを供給して印刷する方式である。印版は平版であり、印版上で画線部は親油性の表面となるように処理され、非画線部は親水性の表面になるように処理されている。この印版に浸し水とインクを供給すると、画線部にはインクが、非画線部には水が付着した状態となり、この印版よりブランケットを介して紙にインキを転移させて印刷が行われる。
【0003】
このオフセット印刷では、比較的タックの強いインキを使用するため、用紙には表面強度が強いことが要求される。また、浸し水で用紙表面を処理するために、表面強度の弱い、あるいは耐水性の弱い表面を持つ用紙を使用すると、紙粉がブランケットに堆積することにより所謂ブランケットパイリングが生じたり、さらに紙粉がインキに混入することなどにより、印刷面に所謂印面カスレを生じるといったトラブルが起こる。
【0004】
このようなブランケットパイリングや印面カスレのようなオフセット印刷時の表面強度低下に関する問題に対応する方法として、従来から印刷用紙の表面に澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド系樹脂等の接着剤を主成分とする表面処理剤をツーロールサイズプレスコーターや、メタリングサイズプレスコーター、ゲートロールコーターなどのロールコーターを用いて塗布することが行われている。
【0005】
また、近年オフセット印刷において多色刷り印刷が普及するようになり、この多色刷りオフセット印刷では、印刷ユニットを通過する毎に比画線部で紙に水が転移されるため、さらに強い用紙表面強度が要求されるようになり、さらなる表面処理剤の塗布状態の均一性が求められるようになってきている。塗布ムラが生じると、表面処理剤の未塗布部の表面強度が弱いために紙粉が発生し、ブランケットパイリングの原因となるなどのトラブルが発生しやすくなる。新聞印刷においては原稿校了後から新聞販売店への発送までの限られた時間の中で大量部数の印刷を行う必要があるため、印刷作業トラブルによる印刷工程の遅れは最終ユーザーである新聞購読者への配布時間が遅れる重大なクレームとなり非常に嫌われる。
【0006】
表面処理剤としてPVA、PAMを使用すると、表面強度は上がるもの、コスト高になるだけでなく、印刷時に紙表面が湿し水で湿った状態で起こる紙表面の粘着性(通称ネッパリ性と呼ばれる)が増大する傾向があった、それに比べて澱粉はコスト的にも有利でネッパリ性は低いがPVAやPAMに比べると表面強度が劣るため、塗布方法に工夫が必要であった。
【0007】
上記の如き課題を改善するために種々の提案がなされており、例えば特開平11−50392号公報(特許文献1)には、顔料と澱粉を特定の比率で配合した塗被液を、特定の直径を有するアプリケーターロールで塗布する際に、インナーゲートロール(メタリングロール)及びアウターゲートロール(ファウンテンロール)のアプリケーターロールに対する周速比を50〜80%とすることで、塗布面の面状を改善できる方法が提案されている。しかし、周速が規定されると塗工量の調節を濃度のみで行うことになる。この時、澱粉濃度が高いと澱粉塗布量が多くなり、ネッパリの原因となることや、澱粉濃度が低いと紙面への染み込みが起こり、強度低下の虞がある。さらに、周速だけでは塗工量の調節幅が狭く、塗布面の面状を改善するには限界があった。
【0008】
また、特開2002−105893号公報(特許文献2)では、塗工速度が1400m/分以上であって、且つファウンテンロールの周速を塗工速度の45%以下20%以上、メタリングロールの周速を塗工速度の85%以下60%以上、さらに、ファウンテンロールの硬度が70〜90度で、ファウンテンロールとメタリングロールのロール直径が500mm以上とすることで、塗工液のスプラッシュやミストの発生を抑制する技術を提案している。この技術を利用することで、塗工液のスプラッシュやミストは押さえられたが、塗工面の改善は十分ではなかった。
【0009】
他方で、特開平8−169063公報(特許文献3)では、インナーゲートロール(メタリングロール)用のセラミック被服ロールが開示されている。酸化クロムをセラミック被覆することで耐磨耗性、耐傷性を改善し、クロムメッキに比べて動摩擦係数、濡れ性をさらに改善し、濡れ性が良好で塗りムラのないロールが開示されているが満足を得られていないのが現状である。
【特許文献1】特開平11−50392号公報
【特許文献2】特開2002−105893号公報
【特許文献3】特開平8−169063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、メタリングロールの表面性及び澱粉塗布液の表面張力を最適化することにより澱粉の塗布ムラ問題を解決し、印刷適正に優れたオフセット印刷用新聞用紙を生産し得る方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、メタリングロールの表面性だけでなく、塗布する澱粉液の表面張力について検討を行い、最適化することにより澱粉の塗布ムラ問題を解決し、メタリングロール表面の濡れ指数以下である澱粉塗布液を塗布することにより、良好な澱粉塗布面を持ち、印刷適性に優れたオフセット印刷用新聞用紙を製造することを可能とした。
本発明は以下の発明を包含する。
【0012】
(1)水平に並設され、互いに圧接されながら回転する一対のメタリングロールと、一方のメタリングロールに圧接されて両メタリングロールの間をロールの回転により下方に通過した塗料を長尺の連続紙に塗布するアプリケーターロールを備えるゲートロールコーターにおける、JIS K 6768に規定される濡れ指数が40mN/m以上であるメタリングロールを使用して、40℃における表面張力がメタリングロールの濡れ指数以下である澱粉液を塗布するオフセット印刷用新聞用紙の製造方法。
【0013】
(2)前記メタリングロールのJIS B 0651触針式表面粗さ測定機で測定された最大表面粗さが3.0μm以上である(1)に記載のオフセット印刷用新聞用紙の製造方法。
【0014】
(3)前記メタリングロールのJIS R 2205準じて測定されたロール表層部の気孔率が8〜15%である(1)又は(2)に記載のオフセット印刷用新聞用紙の製造方法。
【0015】
前記(1)〜(3)に記載されたオフセット印刷用新聞用紙の製造方法で製造されたオフセット印刷用新聞用紙。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、澱粉の塗布ムラのない、表面強度に優れたオフセット印刷用新聞用紙を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
一般的には、表面処理剤の塗布装置には、例えば、2ロールサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ゲートロールコーター、ブレードコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、スプレーコーター等が適宜使用されるが、新聞原紙の場合には、1000m/分を超える高速塗布が可能で、しかも紙表面塗布剤を紙表面に効率よく被覆させなければならないため、本願ではゲートロールコーターで塗布する。
【0018】
ゲートロールコーターは、元々顔料等を塗布するためのプレコーターの一種として開発され発展してきたが、近年、市場の要求から新聞用紙を抄く抄紙機に新たに組み込んでオンマシンコーターとして紙質の改善が図られるようになり、急速に普及してきている。
【0019】
図1は、本発明で使用するゲートロールコーターの概念的な断面説明図である。図1に示すように、ゲートロールコーターは、原紙1を挟んでその両側にアプリケーターロール2a、2bがそれぞれ配置され、その外側にメタリングロール3a、3b、及びファウンテンロール4a、4bが各々配置された塗布装置で、紙の表裏両面に同時に塗布する装置である。そして塗布剤は図示していない塗布剤供給管からメタリングロールとファウンテンロールの間に供給され塗布剤ポンド5a、5bを形成する。ファウンテンロールとメタリングロールの間に供給された塗布剤はメタリングロール表面に薄い膜を形成し、アプリケーターロールを介して紙に転移される。メタリングロール2はアプリケーターロール1とファウンテンロール3に挟まれて設置されており、鉄鋼製ロールの防錆と耐磨耗性付与のために、当初からクロムめっき被覆されるのが一般的であった。近年、技術の進歩と共に様々な表面素材を持つロールが開発されており、タングステン溶射、セラミック溶射がその例である。そして、コーターによって、同じクロムメッキであっても、メッキ表面が平坦(プレーン)なものや粗面化して微細な凹凸を付けたものがある。
【0020】
本発明ではメタリングロールの濡れ指数(JIS K6768で規定)が40mN/m以上であるものを使用する。濡れ指数が40mN/m未満のものは、メタリングロール表面での澱粉塗布液が広がりにくく、澱粉塗布ムラの原因となるため好ましくない。JIS K 6768での濡れ指数の測定値上限は73mN/mであるが、メタリングロール表面の濡れ性に特に上限はない。ロール表面の濡れ性が高ければ高いほどロール表面への澱粉液のなじみが早く、高速マシンでの適用も可能となる。
また、メタリングロールの最大表面粗さ(JIS B0651触針式表面粗さ測定機で測定)が3.0μm以上であることが好ましい。最大表面粗さが3.0μm未満の場合メタリングロール表面で澱粉塗布液が広がりにくく、澱粉塗布ムラの原因となるため好ましくない。20μmを超えるとロールパターン、スプラッシュが出易くなり好ましくない。
【0021】
さらに、本発明で使用するメタリングロール表面の気孔率(JIS R2205で規定)は8〜15%、であることが好ましく、さらに好ましくは12〜13%であり、気孔率のムラが少ないことが好ましい。気孔率が8%に満たない場合は、メタリングロール表面で澱粉塗布液がひろがりにくく、澱粉塗布ムラの原因となるため好ましくない。15%を超えたものはロール表面が脆くなり、耐久性に劣るため好ましくない。
【0022】
本発明では、表面処理剤として、ネッパリを起こさず、比較的安価である酸化澱粉を使用する。本願で使用する澱粉は塗布液として調製する際に40℃における表面張力がメタリングロール表面の濡れ性以下になるように調製する。澱粉をクッキングし、希釈水で希釈したときのファイナルタンクでの澱粉液の温度は通常40℃〜50℃となる。澱粉塗布液の表面張力がメタリングロールの濡れ性以下になることでメタリングロール表面での澱粉塗布液のレベリングが良化し、塗布ムラが改善される。
【0023】
澱粉塗布液の表面張力がメタリング表面の濡れ性を超えると、ロール表面で澱粉塗布液がレべリングされにくくなり、スプリットパターンが消えにくくなる。ただし、25mN/m未満では、メタリングロールとファウンテンロールの間の二ップ出口側での塗工液のスプラッシュやミストの発生の原因になり、塗工剤の歩留まり低下やコーター周辺の塗工剤による汚れ発生など操業性の低下する虞がある。用いられる澱粉としては、酸化澱粉、酵素変性澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉等のエーテル化澱粉、アセチル化やリン酸エステル化澱粉等のエステル化澱粉、疎水性澱粉などがある。澱粉原料としては、とうもろこし、小麦、タピオカ、サゴ、米、じゃがいも等が用いられるが、タピオカ澱粉はアミロペクチン比率が高いため、湿潤時の粘着性が高くなり、塗工機での塗工性に問題が発生する場合がある。粘着性が低いとうもろこし澱粉が好適である。
【0024】
なお、本発明においては、塗工液の副成分として、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の合成水溶性高分子類、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の合成ラテックス類、消泡剤、スライムコントロール剤、染料、耐水化剤、表面サイズ剤、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースなどの水溶性セルロース類、アルギン酸、グアーガム、キサンタンガム、プルラン等の天然水溶性高分子誘導体類などを適宜配合しても差し支えない。
【0025】
本発明で用いるオフセット印刷用新聞用紙の原料パルプとして化学パルプ(NBKP、LBLP等)、機械パルプ(GP、CGP、RGP、PGW、TMP等)、脱墨古紙パルプ(DIP等)を単独または任意の比率で混合して使用される。また、ホワイトカーボン、クレー、無定形シリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの製紙用填料が抄紙時に添加される。また、必要に応じて、内添サイズ剤、定着剤、紙力増強剤、歩留まり剤、耐水化剤、紫外線吸収剤等の公知公用の抄紙用薬品が適宜添加され、公知公用の抄紙機にて抄紙される。原紙の抄紙方法としては、酸性抄紙、中性抄紙、弱アルカリ抄紙等のいずれの方式での良いが、特に填料が多く配合される中性抄紙によって得られるオフセット印刷用新聞用紙、または、ベッセルが多く含まれる古紙が多く配合されたオフセット印刷用新聞用紙には本発明の効果が大きい。
【0026】
原紙の抄造条件についても、特に限定はない。抄紙機としては、例えば、長網式抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等の商業規模の抄紙機が、目的に応じて適宜選択して使用できる。
本発明のオフセット印刷用新聞用紙に使用する原紙は、特に限定されるものではないが、一般的には、坪量が30〜70g/m程度の範囲にある原紙が、目的に応じて適宜選択して使用される。この新聞用原紙の物性は、オフセット印刷機で印刷可能である必要があり、通常新聞用紙程度の引張強度、引裂き強度、伸びなどの物性を有するものであれば良い。
【0027】
なお、澱粉液塗布後の湿潤塗布層を乾燥させる方法としては、例えば、蒸気乾燥、ガスヒーター乾燥、電気ヒーター乾燥、赤外線ヒーター乾燥等の各種方式が採用できる。
【0028】
本発明のオフセット印刷用新聞用紙の製造に際しては、塗料組成物の塗工層の形成後に、各種スーパーキャレンダー装置にて平滑化処理が施されるが、かかるキャレンダー装置としては、スーパーキャレンダー、ソフトキャレンダー、グロスキャレンダー、コンパクトキャレンダー、マットキャレンダー、マットスーパーキャレンダー等の一般に使用されているキャレンダー装置が適宜使用できる。キャレンダー仕上げ条件としては、剛性ロールの温度、キャレンダー圧、二ップ数、ロール速度、キャレンダー前の紙水分等が、要求される品質に応じて適宜選択される。さらに、キャレンダー装置は、コーターと別であるオフタイプとコーターと一体となっているオンタイプがあるが、どちらにおいても使用できる。使用するキャレンダー装置の材質は、剛性ロールでは金属もしくはその表面に硬質クロムメッキ等で鏡面処理したロールである。弾性ロールはウレタン樹脂等の樹脂ロール、コットン、ナイロン、アスベスト、アラミド繊維等を成型したロールが適宜使用される。なお、キャレンダーによる仕上げ後の塗工紙の調湿、加湿のための水塗り装置、静電加湿装置、蒸気加湿装置等を適宜組み合わせて使用することも勿論可能である。
【実施例】
【0029】
以下に実施例、比較例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、例中の部および%は特に断らない限り、それぞれ重量部及び重量%を現す。
【0030】
評価方法
(ブランケットパイリング)
各実施例および比較例で得たオフセット印刷用新聞用紙について、オフセット印刷機(三菱リソピアL−BT3−1100)を使用して、カラー4色刷りを行い、5000部印刷を行った後、ブランケット非画線部への紙粉の堆積度合いを目視にて判定した。評価は次の5段階評価であった。
5:紙粉の発生がほとんど認められない
4:紙粉の発生がわずかに認められる
3:紙粉の発生がやや認められるが、実用上問題のないレベル
2:紙粉の発生が明確に認められる
1:ブランケット上に紙粉が多く堆積
【0031】
(塗工ムラ)
各実施例および比較例で得たオフセット印刷用新聞用紙について、ヨウ素とヨウ化カリウムのエタノール溶液を刷毛で塗布し、水蒸気で発色させた後風乾し、評価サンプルを得た。18.06cm四方の評価サンプルに関し、周波数解析を行い、3cm以上の長波長領域(フロック地合い由来)および0.28cm以下の短波長領域の成分をカットした0.28cm〜3cmの波長領域で二値化を行い、白色部(澱粉無塗布部分)の面積率を求めた。
【0032】
・原紙の作製
針葉樹クラフトパルプ10部、サーモメカニカルパルプ25部、グラウンドウッドパルプ5部、脱墨古紙パルプ60部の割合で混合して離解し、レファイナーでフリーネス130mlC.S.F(カナダ標準フリーネス)に調製したパルプからなるパルプスラリー100部に、パルプスラリーの固形分に対してホワイトカーボンを填料として2部、硫酸アルミニウムを2%、ロジンサイズ剤(商品名;SPG、荒川化学工業製)を0.4%添加して紙料を調製した。得られた紙料をツインワイヤー型抄紙機で抄紙し、米坪42g/mの原紙を作製した。
【0033】
澱粉液(A)の調製
酸化澱粉(商品名;王子エースA、王子コーンスターチ製)100部を、90℃、15%で糊化させた後、60℃まで冷却した。その後、5%まで希釈したものに消泡剤(商品名;ビスマーS、日新化学研究所製)を50ppm、表面サイズ剤(商品名;ポリマロンGS25、荒川化学工業(株)製)10部を加え澱粉液(A)を作製した。
澱粉液(B)の調製
酸化澱粉(商品名;王子エースA、王子コーンスターチ製)100部を、90℃、15%で糊化させた後、60℃まで冷却した。その後、5%まで希釈したものに消泡剤(商品名;ビスマーS、日新化学研究所製)を50ppm加え澱粉液(B)を作製した。
【0034】
澱粉液(C)の調整
酸化澱粉(商品名;王子エースA、王子コーンスターチ製)100部を、90℃、15%で糊化させた後、60℃まで冷却し澱粉液(C)を作製した。
【0035】
塗工
前記で得た原紙の両面に、前記で得た澱粉液を、直径810mmのメタリングロール、直径860mmのファウンテンロール、及び、直径が1070mmのアプリケーターロールで構成されたゲートロールコーターを使用して、周速が2bアプリケーターロールを100%として、3aメタリングロール85%、3bメタリングロール75%、4aファウンテンロール55%、4bファウンテンロール40%で、表1の塗工条件にて塗工を行い新聞用紙を得た。
【0036】
実施例1
表面濡れ指数が65mN/mで、表面最大粗さが2.6μm、表面の気孔率が8〜15%であるセラミック溶剤メタリングロールを有するゲートロールコーターを用いて40℃での表面張力を33mN/mである前記澱粉液(A)を片面当たり0.2g/mとなるように塗布し、ソフトカレンダーで50kg/cmの圧力でカレンダー処理し、オフセット印刷用新聞用紙を得た。
【0037】
実施例2
表面最大粗さが4.6μmであるメタリングロールを用いた以外は、実施例1と同様にしてオフセット用新聞用紙を得た。
【0038】
実施例3
澱粉液の40℃での表面張力が40mN/mである澱粉液(B)を用いた以外は実施例1と同様にしてオフセット用新聞用紙を得た。
【0039】
比較例1
表面濡れ指数が30mN/mで、表面最大粗さが0.99μmであるクロムメッキ溶剤メタリングロールを有するゲートロールコーターを用いた以外は、実施例1と同様にしてオフセット用新聞用紙を得た。
【0040】
比較例2
表面濡れ指数が65mN/mで、表面最大粗さが2.6μm、表面の気孔率が8〜15%であるセラミック溶剤メタリングロールを有するゲートロールコーターを用いて40℃での表面張力が67mN/mである前記澱粉液(C)を片面当たり0.2g/mとなるように塗布し、ソフトカレンダーで50kg/cmの圧力でカレンダー処理し、オフセット印刷用新聞用紙を得た。
【0041】
比較例3
表面濡れ指数が35mN/mで、表面最大粗さが2.7μmであるタングステン溶剤メタリングロールを有するゲートロールコーターを用いた以外は実施例1と同様にしてオフセット用新聞用紙を得た。
【0042】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0043】
この発明は、製紙機械、特に紙を製造する抄紙機に組み込まれて澱粉塗布液を紙の表面に塗布するロールコーターの一種で、主として印刷用紙の製造に適したゲートロールコーターの表面性およびそれによって製造される印刷用紙に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に使用するゲートロールコーターの構成を概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 原紙
2a、2b アプリケーターロール
3a、3b メタリングロール
4a、4b ファウンテンロール
5a、5b 塗布剤ポンド







【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平に並設され、互いに圧接されながら回転する一対のメタリングロールと、一方のメタリングロールに圧接されて両メタリングロールの間をロールの回転により下方に通過した塗料を長尺の連続紙に塗布するアプリケーターロールを備えるゲートロールコーターにおける、JIS K 6768に規定される濡れ指数が40mN/m以上であるメタリングロールを使用して、40℃における表面張力がメタリングロールの濡れ指数以下である澱粉液を塗布することを特徴とするオフセット印刷用新聞用紙の製造方法。
【請求項2】
前記メタリングロールのJIS B 0651触針式表面粗さ測定機で測定された最大表面粗さが3.0μm以上であることを特徴とする請求項1に記載のオフセット印刷用新聞用紙の製造方法。
【請求項3】
前記メタリングロールのJIS R 2205準じて測定されたロール表層部の気孔率が8〜15%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のオフセット印刷用新聞用紙の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3に記載されたオフセット印刷用新聞用紙の製造方法で製造されたことを特徴とするオフセット印刷用新聞用紙。


【図1】
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【公開番号】特開2007−31917(P2007−31917A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−220905(P2005−220905)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】