説明

オメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム四水和物塩を調製するための前駆体相およびその使用

【課題】経済的であり、容易に行うことができ、純度が医薬の使用に許容され、特にカリウムの低い含有量を有する化合物を、再現性よく、少なくとも50%の収率で導くオメプラゾール四水和物のエナンチオマーのマグネシウム塩を調製するための新規な方法を利用可能にすること。
【解決手段】本発明は、オメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム四水和物塩の前駆体相、およびそれを調製するための方法、ならびに前記マグネシウム四水和物塩の調製のためのその使用に関する。本発明はまた、このようにして得られたマグネシウム四水和物塩の結晶、および、特に前期エナンチオマーのマグネシウム塩の二水和物の形態Aの合成において、または薬剤としてのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム四水和物塩の前駆体相、ならびにそれを調製するための方法および前記マグネシウム四水和物塩の調製のためのその使用に関する。本発明は、得られるマグネシウム四水和物塩の結晶、および特に前記エナンチオマーのマグネシウム塩の二水和物の形態Aの調製における、その使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
オメプラゾールおよびそのエナンチオマーのアルカリ金属およびアルカリ土類金属塩は、胃液分泌阻害剤および抗潰瘍剤としてよく知られている。これらの中で、オメプラゾール、またはエソメプラゾールもしくは5-メトキシ-2-[(S)-[4-メトキシ-3,5-ジメチル-2-ピリジニル)メチル]スルフィニル]-1H-ベンズイミダゾールのエナンチオマーのマグネシウム塩は、純粋なエナンチオマーの形態で開発され販売されている、最初のプロトンポンプ阻害剤(PPI)である。したがって、Astra Zeneca社が、Inexium(登録商標)の商標名で、三水和物の形態でこの化合物を市販している。他の会社は、二水和物の形態のエソメプラゾールのマグネシウム塩を開発している。
【0003】
これらの化合物を調製するための方法が、文献に記載されている。
【0004】
特許出願WO 2004/002982には、アセトン中で配位剤ジエチル-D-タートレート/Ti(iso-Pr)4と接触させたラセミ体のオメプラゾールのナトリウム塩からのジアステレオマーの塩の形成、およびL-マンデル酸を使用する錯体形成による、純粋なエナンチオマーへのラセミ体のオメプラゾールの分離が記載されている。エソメプラゾールを含むジアステレオマーの選択的な結晶化、続けて塩基性加水分解は、99%eeのエソメプラゾール三水和物のマグネシウム塩を与える。対応する二水和物の形成は、制御された乾燥によって得られる。
【0005】
特許出願WO 2004/046134には、同じ塩の非晶形からの結晶形IIの、エソメプラゾール三水和物のマグネシウム塩の調製が記載されており、これはメタノール中に溶解して溶液を形成する。濾過、溶媒の除去および水からの析出の後、固体が得られ、これは水とアセトンの混合物で洗浄され、その後乾燥される。
【0006】
特許出願WO 2004/089935には、H1として知られており、その粉末X線回折図によって特徴付けられる、エソメプラゾール三水和物のマグネシウム塩の新規な結晶形の調製が記載されている。
【0007】
特許出願WO 2007/031845には、エソメプラゾールのナトリウム塩を硫酸マグネシウム水溶液と反応させることによる、2つの多形結晶形G1およびG2の、エソメプラゾール三水和物のマグネシウム塩の調製が記載されている。
【0008】
一方、特許出願WO 98/54171には、オメプラゾール三水和物のエナンチオマー、および結晶形AおよびBの二水和物の、マグネシウム塩の形成が記載されている。エソメプラゾールのマグネシウム塩の三水和物は、文書WO 96/01623に記載された通り、つまりアセトン中のエソメプラゾールおよびマグネシウムメトキシドから得られる、結晶形Iのエソメプラゾールのマグネシウム塩の水和によって調製されてもよいことが示されている。変形例として、三水和物は、エソメプラゾールのカリウム塩を硫酸マグネシウムと水中で反応させることによって調製されてもよい。二水和物の形態Aを得るために、硫酸マグネシウムをメタノール中に溶解し、その後水とアセトンの混合物を反応生成物に加える。
【0009】
文書WO 2008/102145は、二水和物の形態Aの結晶化のための代わりの方法を教示し、これは、乾燥により三水和物または非晶系に転換されがちである不安定な化合物を導くと言われる、WO 98/54171に記載された方法の不足分を克服すると推量される。WO 2008/102145の実施例7から9には、以下の工程:
(a) アルコール媒体中(特にメタノール中)でエソメプラゾールのカリウム塩をマグネシウム塩(例えば塩化マグネシウム六水和物)と反応させる工程、
(b) 不溶性物質を濾過する工程、
(c) 水/アセトンの混合物を不溶性物質に加える工程、
(d) 濾過し、酢酸エチルで洗浄し、乾燥する工程
を含む方法が開示されている。
【0010】
このような方法は、様々な有機溶媒の使用を必要とし、そのうちのいくつか、例えばメタノールは毒性の問題を引き起こす可能性があり、いずれの場合にもプロセス中に除去されて、できるだけ純粋な生成物を得なければならない。
【0011】
より最近、特許出願FR2920428は、エソメプラゾール四水和物のマグネシウム塩を導くとして記載された方法を提案した。この方法は前記出願の実施例10に例示されており、エソメプラゾールのカリウム塩を水酸化カリウム水溶液中に溶解させる工程、その後この塩を水とアセトンの混合物中に溶解させた塩化マグネシウムと反応させる工程を含む。四水和物は、35%の最適化されていない収率で得られることが示される。しかしながら、本発明者らは、数多くの試みの後、この方法は再現可能ではなく、ほとんどいつもエソメプラゾールのマグネシウム塩の三水和物を導くことに気付いた。
【0012】
前記文書の一般的な記載は、さらなる詳細はないが、カリウム塩から出発するカチオン交換によって、四水和物を合成するための他の方法を示唆する。ここで、前に挙げた先行技術の教示は、マグネシウム塩とエソメプラゾールの同じカリウム塩との反応が、特に使用される溶媒の関数として、結晶形および/または水和物の形態の多様性を導くことを示す。さらに、水酸化カリウムの存在下において反応を行う必要性は、残留カリウムイオンと一緒に得られた生成物の汚染を誘起し、これはこの生成物の純度に影響を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】WO 2004/002982
【特許文献2】WO 2004/046134
【特許文献3】WO 2004/089935
【特許文献4】WO 2007/031845
【特許文献5】WO 98/54171
【特許文献6】WO 96/01623
【特許文献7】WO 2008/102145
【特許文献8】FR2920428
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、経済的であり、容易に行うことができ、再現性よく、純度が医薬の使用に許容される少なくとも50%の収率である、特にカリウムの低い含有量を有する化合物を導くオメプラゾール四水和物のエナンチオマーのマグネシウム塩を調製するための新規な方法を利用可能にすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この文脈において、本発明者らは、この要求を満たす、(S)オメプラゾール四水和物のマグネシウム塩を調製するための方法を開発した。この方法は、対応するジアステレオマーの調製に、容易に置き換えることができる。全体的に驚くべき方法において、アセトンはむしろその脱水効果が知られており、この塩の三水和物または二水和物が得られると予想されたが、このような方法はこの塩の四水和物を再現性よく導く。
【0016】
本発明者らは、この調製方法において、この四水和物を製造する条件とし、本発明者らの知る限りでは過去には実証されなかった、エナンチオマーのマグネシウム四水和物塩の前駆体相(precursor phase)の形成をさらに実証した。
【0017】
したがって、本発明の1つの目的は、オメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム四水和物塩の前駆体相(本明細書の以下では「前駆体相」と表す)であり、これはそのX線回折図(diffractogram)が以下の特徴的なピークを有することを特徴とする。
【0018】
【表1】

【0019】
本発明の目的は、前記前駆体相を調製するための3つの方法でもある。
【0020】
これらの方法のうちの第一は、溶媒/水の混合物中で、非晶形の前記エナンチオマーのマグネシウム塩を再スラリー化する工程を含み、前記溶媒が水混和性の非アルコール有機溶媒から選択され、水に対する溶媒の体積比が95/5から30/70の間である。
【0021】
第二の方法は、
- 溶媒/水の混合物中で、前記オメプラゾールのエナンチオマーの、場合によって溶媒和されてもよいアルカリ金属塩を溶解させる工程であって、前記溶媒が水混和性の非アルコール有機溶媒から選択され、水に対する溶媒の体積比が90/10から50/50の間である工程、
- アルカリ金属塩の前記溶液を、有機溶媒を含まないマグネシウム塩の水溶液と混合して懸濁液を形成する工程
を含む。
【0022】
第三の方法は、
- 他のいかなる溶媒を含まない、少なくとも1つの水混和性の非アルコール有機溶媒中で、非晶形または結晶形の、場合によって水和または溶媒和されてもよいオメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム塩を再スラリー化する工程、
- 得られた生成物に水を加える工程
を含む。
【0023】
本発明の目的は、濾過およびその後の前述の前駆体相を含む懸濁液を乾燥する工程を含む、または上記で記載した方法のうちの1つによって得られる、オメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム四水和物塩を調製するための方法である。
【0024】
本発明は、オメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム四水和物塩の結晶にも関し、これは本方法によって得られてもよい。
【0025】
本発明の目的は、さらに、特に胃潰瘍および/または十二指腸潰瘍の予防または治療における、薬剤としての使用のためのこれらの結晶である。
【0026】
最後に、本発明の主題は、二水和物の形態Aの、オメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム塩の調製のための、これらの結晶の使用であり、また、二水和物の形態Aの、オメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム塩を調製するための方法であり、これはオメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム四水和物塩の結晶の、制御された脱水の工程を含むことを特徴とする。
【0027】
上記で示した通り、本発明は、それ自体が簡潔かつ再現性よく四水和物の形態のオメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム塩(時として、本明細書の以下ではより簡潔のために「四水和物」と表す)を生じさせる、新規な前駆体相の形成を達成するための方法を提案することを意図しており、これは、それ自体が直接的に二水和物の形態Aのエナンチオマーのマグネシウム塩(時として、本明細書の以下ではより簡潔のために「二水和物」と表す)を直接的に導いてもよい。
【0028】
したがって、X線粉末回折図によって特徴付けられるこの前駆体相は、結晶形または非晶形の、場合によって水和および/または溶媒和されてもよい形態のオメプラゾールのエナンチオマーから、四水和物だけでなく二水和物Aも利用する新規な経路を構成する。この方法の収率は、一般的には50%より高く、特には60%より高く、さらには70%より高く、この収率は、使用されたエナンチオマーに対する単離されたマグネシウム塩(四水和物または二水和物A)のモル比として計算される。
【0029】
この前駆体相を利用する経路は、ここに記載される。
【0030】
この記載において、用語「の間」は、述べられた限界値を含むものとして理解されるべきである。さらに、この記載において示された全ての2θ回折角の値は0.2°以内であり、銅の対電極のチューブを使用した、X線粉末回折によって測定されたものとして理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、非晶質のエソメプラゾールのマグネシウム塩の回折図を示す。
【図2】図2は、エソメプラゾールのマグネシウム四水和物塩の回折図を示す。
【図3】図3は、エソメプラゾールのマグネシウム四水和物塩のTGA-DSCを示す。
【図4】図4は、四水和物の前駆体相の回折図を示す。
【図5】図5は、エソメプラゾールのマグネシウム塩の二水和物の形態Aの回折図を示す。
【図6】図6は、四水和物の前駆体相を導く風化相の回折図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(非晶形の化合物からの前駆体の調製)
本発明の第一の実施形態において、前述の前駆体相は、非晶質の形態のオメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム塩から得られる。
【0033】
このエナンチオマーのマグネシウム塩は、
a) 前記エナンチオマーの、場合によって溶媒和されてもよいアルカリ金属塩を、有機溶媒を含まないマグネシウム塩の水溶液と反応させて沈殿物を得る工程、
b) 前記沈殿物を濾過する工程、
c) 場合によって、工程b)から得られた残渣を水中で再スラリー化し、続けて濾過する工程、
d) 場合によって、得られた懸濁液を乾燥する工程
を含む方法によって、特に調製されてもよい。
【0034】
工程(a)において使用されるエナンチオマーのアルカリ金属塩は、有利には、以下:
(a1) 過剰の無機塩基(例えば水酸化カリウム)および溶媒(例えばエタノールおよび/またはエチレングリコール)を加えることによって、ラセミ体のオメプラゾールを溶媒和形態のそのカリウム塩に変換して、集合体(conglomerate)を得る工程、
(a2) 前記集合体の結晶、第一のオメプラゾールのエナンチオマーおよび溶媒の混合物を調製する工程、
(a3) 特定の温度速度論によって、激しく攪拌しながら混合物を冷却して、他のエナンチオマーの核化を防ぎながら、前記エナンチオマーの成長を促進する工程、
(a4) 第一のエナンチオマーの結晶を回収する工程
を含む選択的な結晶化方法によって得られる。その後、集合体を採取された量と等しい質量で母液に加えられて二相の混合物を得て、それから次に第二のエナンチオマーが冷却によって結晶化される。AS3PC(自動シード化されたプログラム化多温度優先結晶化)として知られるこの方法は、特許出願FR2920428に記載されており、その教示を参照により本明細書に援用する。
【0035】
好ましくは、前記エナンチオマーのアルカリ金属塩は、場合によってエタノールまたはエチレングリコールで溶媒和されてもよい、(S)オメプラゾールのカリウム塩である。より優先的には、エタノールで溶媒和された(S)オメプラゾールのカリウム塩である。
【0036】
このアルカリ金属塩は、有利には、例えば0.1から0.5g/ml、さらには0.2から0.3g/mlの速度で水中(一般的には、いずれの他の溶媒または塩は存在しない)に溶解し、その後有機溶媒を含まないマグネシウム塩の水溶液と反応して沈殿物を得る。水溶液のマグネシウム濃度は、例えば、0.05から0.5g/ml、特には0.1から0.2g/mlの範囲であってもよい。オメプラゾールのエナンチオマーのアルカリ金属塩に対するマグネシウム塩の、0.1から1.5等量、より優先的には0.5から1等量、さらにより好ましくは0.51から0.55等量(モル)を使用することがさらに好ましい。
【0037】
使用してもよいマグネシウム塩の例は、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウムおよび硫酸マグネシウムである。マグネシウム塩の溶液は、逆ではなく、この段階において、オメプラゾールのエナンチオマーの塩の溶液に加えられることが好ましい。
【0038】
さらに、反応は、一般的には、攪拌しながら、30秒から30分の間、0から30℃の範囲、好ましくは5から20℃の範囲、さらに好ましくは約10℃の温度で行われる。
【0039】
得られる化合物は、特に含まれる残留カリウムの含有量を減らすことが望ましい場合、水中で再スラリー化されてもよく、1000ppm未満、好ましくは500ppm以下(フレーム発光分光法)となる。穏やかな条件下の任意の乾燥後、非晶形のオメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム塩が得られる。
【0040】
変形例として、この非晶質の塩は、以下の工程:
(a) 好適な溶媒中に前記塩を溶解させる工程、
(b) 結晶化シードを除去できる条件下、例えば0.23μmの膜で濾過する工程、
(c) 急速乾燥または凍結乾燥して、非晶形の塩を含む沈殿物を得る工程
を含む方法によって、任意の水和物の形態のオメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム塩から調製されてもよい。
【0041】
非晶形のオメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム塩を調製するための他の方法は、文書WO 2006/096709に記載されており、当業者によって行われている。これはオメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム塩を含む溶液からの溶媒の急速な除去(特に急速な蒸発)を含む。この塩は、メタノールなどの溶媒中のマグネシウムを、ジクロロメタンなどの塩素化された炭化水素と反応させて、その後オメプラゾールのエナンチオマーと反応するマグネシウムアルコキシドを得ることによって、特に得られてもよい。
【0042】
変形例として、非晶形のエナンチオマーのマグネシウム塩は、その任意の水和物の形態の前記エナンチオマーのマグネシウム塩のアルコール溶液の噴霧化によって得られてもよい。
【0043】
非晶形のオメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム塩を、非晶質の化合物を溶媒/水の混合物中で再スラリー化する第一の工程を含む方法によって、所望の前駆体相に転換してもよく、ただし、非アルコールの極性有機溶媒を選択し、水に対する溶媒の正確な体積割合に従う。溶媒は水混和性であり、つまり少なくとも部分的に水と混和性であり、好ましくは全ての割合で水と混和性である。この溶媒は、好ましくは、アセトンなどのケトンである。しかしながら、変形例として、アセトニトリル、THF、メチルエチルケトンまたはこれらの溶媒のお互いとのおよび/またはアセトンとの全ての割合の混合物を使用することが可能である。
【0044】
実際、所定の温度において、過剰に高い割合の水の使用は、続けて濾過を迅速に行っても、三水和物の形態のオメプラゾールのエナンチオマーの塩を導くことが実証された。逆に、過剰に高い割合の溶媒は、続けて得られる二水和物の形態Aの収率および純度に悪影響を与える。水に対するアセトンの体積割合は、当業者によって、作用温度および溶媒混合物(水とアセトン)に対する溶質(非晶質の塩)の質量比に応じて、95/5から30/70の間に調整されてもよい。水に対するアセトンの体積比は、特に再スラリー化する工程が室温(23℃)で行われる場合、75/25から40/60の間、より優先的には70/30から50/50の間が好ましい。水に対する溶媒の体積比を計算するため、場合によって非晶質の塩と組み合わされた水の量を、前記塩が乾燥工程に曝されていない場合、考慮するべきである。いずれの場合においても、この工程で上記のもの以外の溶媒または塩を使用しないことが好ましい。
【0045】
再スラリー化する工程は、一般的には攪拌で行われる。攪拌時間は、30分から15時間の間、例えば1時間から12時間の間、特には4時間から12時間の間であってもよい。この時間は、プロセスパラメータ(溶媒/水の体積比および作用温度)およびプロセスの所望の特性(特に生成効率)ならびに/または生成物(特にその結晶化度)に応じて変化してもよい。
【0046】
再スラリー化が行われる温度は、一般的には、-10から25℃の間、好ましくは0から15℃の間、より優先的には約10℃に維持される。より低い温度は、アセトン/水の比を下げることを可能にし、したがって四水和物の収率を上げることが認められた。
【0047】
この再スラリー化する工程は、前に記載した前駆体相を導く。
【0048】
(エナンチオマーのアルカリ金属塩からの前駆体の調製)
本発明の第二の実施形態において、所望の前駆体相を、カチオン交換および前に記載した再スラリー化する工程を逆にすることによって、対応するオメプラゾールのエナンチオマーの、場合によって溶媒和されてもよいアルカリ金属塩から得てもよい。
【0049】
この方法の第一の工程は、前記オメプラゾールのエナンチオマーの、場合によって溶媒和されてもよいアルカリ金属塩の、溶媒/水の混合物中の溶解を含む。溶媒の性質およびこの工程の操作条件は、本発明の第一の実施形態と同じ範囲で選択され、変化してもよい。しかしながら、この実施形態において、水に対する溶媒の体積比は、90/10から50/50の間、例えば80/20から60/40の間が好ましい。さらに、使用するアルカリ金属塩1キログラムあたり、3から10リットルの溶媒混合物、有利には5から7リットルの溶媒混合物を使用することが好ましい。いずれの場合においても、この工程で上記のもの以外の溶媒または塩を使用しないことが好ましい。
【0050】
本発明の第二の実施形態による方法の第二の工程において、上記のアルカリ金属塩の溶液を、有機溶媒を含まないマグネシウム塩の水溶液と混合して、所望の前駆体相を含む懸濁液を形成する。この工程において、マグネシウム塩は、アルカリ金属塩の溶液に導入されることが好ましいが、逆が想定されてもよい。
【0051】
この場合において、マグネシウム塩の性質および量、ならびにこの工程のプロセスパラメータは、本発明の第一の実施形態に関して前に記載したものと同じであってもよい。しかしながら、アルカリ金属塩とマグネシウム塩との間の反応の時間は、限界値を含んで、30秒から4時間の間、例えば2から3時間の間が好ましい。その後、得られた懸濁液を数時間、例えば最大4時間攪拌し続けることが可能である。
【0052】
本発明の第三の実施形態において、所望の前駆体相は、オメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム塩から得てもよい。このエナンチオマーは、非晶質または結晶質のいずれの形態であってもよく、場合によって水和物の形態(二水和物AまたはB、三水和物など)または溶媒和の形態であってもよい。
【0053】
この方法の第一の工程は、いずれの他の溶媒を除く、少なくとも1つの水混和性有機溶媒(つまり、少なくとも部分的に水と混和性であり、好ましくは全ての割合で水と混和性である極性有機溶媒)中の、エナンチオマーのマグネシウム塩の再スラリー化からなる。このような溶媒の例には、アセトン、THF、メチルエチルケトン、およびこれらの混合物が含まれる。この工程は、同時に、前記塩を溶解し、生成物を風化相(efflorescent phase)の形態で結晶化することができる。溶媒がアセトンである場合、この相は、X線回折図が以下の特徴的なピークを有することを特徴とする。
【0054】
【表2】

【0055】
再スラリー化が行われる温度は、一般的に、-10から30℃の間、好ましくは15から25℃の間、より優先的には室温に維持される。より低い温度は、転化速度を下げることが認められている。さらに、アセトンに対するエナンチオマーの塩の質量/体積比は、一般的には、1/7から1/20(g/ml)の間、例えば約1/10(g/ml)である。
【0056】
この方法の第二の工程の本質は、前記生成物を、水を加えることにより四水和物の前駆体相に転化することにある。この工程は、一般的には、-10から30℃の間、好ましくは0から10℃の間の温度で行われる。さらに、第二の工程において使用される、有機溶媒(好ましくはアセトン)に対する水の体積比は、一般的には、10℃辺りの温度では5/95から60/40の間であり、0℃に近い温度では3/97から70/30の間である。
【0057】
(四水和物の調製および使用)
本発明の上述の実施形態のうちの1つによって得られた前駆体相は、驚くべきことに、それに含まれる媒体の単純な濾過によって、四水和物の形態のオメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム塩を生じさせることが認められた。
【0058】
この懸濁液の濾過の工程は、オープン濾過器(open filter)、クローズド濾過器(closed filter)、乾燥濾過器、または真空濾過器を使用して行われてもよい。焼結漏斗でまたは遠心分離によって行われることが好ましい。濾過工程は、場合によって、穏やかな条件下の生成物または得られた「ケーキ(cake)」の洗浄および乾燥が続く。
【0059】
洗浄は、水またはアセトンなどの極性有機溶媒で行われてもよい。溶媒の選択は、プロセスの収率および得られる生成物の結晶化度に影響を与える。この結晶化度は、収率を犠牲にして、アセトンを使用する場合に改善され、これは水を使用する場合よりも優れている。変形例として、四水和物を、連続的に、水で洗浄し、その後アセトンまたはアセトン/水の混合物で洗浄することが可能である。特に、アセトンで最後に洗浄することにより、続けてより高い純度の二水和物Aが得られることが示された。洗浄は、四水和物を通したこれらの溶媒のパーコレーションによって、またはこれらの溶媒中の四水和物の急速なスラリー化、続けて最後の濾過工程によって行われてもよい。
【0060】
乾燥工程は、それ自体一般的には、穏やかな条件(20から25℃の温度、大気圧、非乾燥空気の流れ下)で行われ、準安定な相を構成する四水和物の分解を防ぐ。
【0061】
しかしながら、得られる四水和物は、周囲の温度、圧力および相対湿度の条件下で、不安定ではない。これは、以下の実施例3において示される粉末X線回折図によって特徴付けられる。
【0062】
この化合物は、特に胃潰瘍および/または十二指腸潰瘍の予防または治療において、薬剤として使用されてもよい。この点において、これは任意の種類の固体組成物で、例えばゲルカプセル、タブレット、ソフトカプセル、顆粒またはパウダーの形態で運ばれてもよく、すぐに希釈され、薬剤を経口投与に好適なものにする。これらの組成物は、医薬的に許容される賦形剤を含んでもよく、これは当業者が適したガレヌス形態、および場合によって1つまたは複数の他の治療用活性剤に応じて、容易に選択することができる。これらの組成物に含まれる四水和物の量は、投与される毎日の用量に依存し、これは例えば5から300mgの間の範囲であってもよく、また、想定される毎日の用量の数に依存する。
【0063】
変形例として、これは、二水和物の形態Aのオメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム塩の調製のために使用されてもよい。
【0064】
したがって、本発明は、これらの使用、特に二水和物の形態Aのオメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム塩の調製のための方法に関し、これは前に記載された通りに得られてもよい、オメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム四水和物塩の結晶の制御された脱水の工程を含むことを特徴とする。
【0065】
この制御された脱水の工程は、以下:
- 40から65℃の間の温度で、1barの圧力下、または有利には真空下で、場合によって0%の相対湿度で、あるいは
- 20から40℃の間の温度、例えば室温(23℃)で、真空下および/または0%の相対湿度で(例えばP2O5下または乾燥窒素の流れ下)
乾燥する工程を含んでもよい。
【0066】
より純度の高い生成物を得るために、真空下(1から100ミリバールの間、優先的には20から80ミリバールの間、さらに好ましくは40から60ミリバールの間)で、20から40℃の間(有利には30℃辺り)で、10時間から3日間の範囲で、場合によって窒素の緩やかな流れの存在下で生成物を乾燥することが、本発明によると好ましい。
【0067】
本発明の他の利点および特徴は、以下の実施例から現れ、かつ添付した図によって参照される。
【実施例】
【0068】
(使用した分析方法)
エナンチオマー過剰率(%ee)の決定
エナンチオマー過剰率を、ChiralPAK ADカラム(寸法 250mm×4.6mm)を使用して、キラルHPLCクロマトグラフィーによって決定する。実験条件は以下である:
- 溶媒: 100%アブソルートエタノール
- 流速: 1ml・min-1
- 検出器: λ = 302nm
- 注入: 20μL
- 濃度: エタノール中の約0.4g・l-1
【0069】
粉末X線回折による分析
粉末X線回折(XRPD)分析を、Lynx Eye検出器を備えたBruker D8回折計を使用して、以下の条件下で行った:
- 銅の対カソード、電圧40kV、電流40mA
- 周囲温度
- 測定範囲: 3°から30°
- それぞれの測定間の増分: 0.04°
- 1工程ごとの測定時間: 1.5秒。
【0070】
熱量測定および熱重量測定
TGA-DSC分析を、Netzsch STA 449C TGA-DSC装置を使用して行った。測定を、アルミニウムのるつぼ中で、2℃・min-1の加熱速度で0℃から200℃の間で、60ml・min-1のヘリウムでフラッシングしながら行った。
【0071】
(実施例1: 非晶質のエソメプラゾールのマグネシウム塩の調製)
特許WO 2009/027614で記載された方法によって得られた、エタノールで溶媒和されたエソメプラゾールのカリウム塩を、水(40ml)中に溶解(10g)する。酢酸マグネシウム水溶液(10ml、Mg2+の37g・l-1)を、前の溶液に滴下で攪拌しながら加える。得られた白色の沈殿物を30分間攪拌し、その後No.3焼結体上で濾過する。回収された白色の沈殿物を、40mLの水中で30分間再スラリー化し、No.3焼結体上で濾過し、その後乾燥する。この白色沈殿物は、非晶質のエソメプラゾールのマグネシウム塩である。
【0072】
この化合物の回折図(XRPD)を図1に示す。
【0073】
(実施例2: 非晶質の(S)オメプラゾールのマグネシウム塩の調製)
特許WO 2009/027614で記載された方法によって得られた、エタノールで溶媒和された(S)オメプラゾールのカリウム塩を、水(40ml)中に溶解(10g)する。酢酸マグネシウム水溶液(20ml、Mg2+の19g・l-1)を、前の溶液に滴下で攪拌しながら加える。得られた白色の沈殿物を20分間攪拌し、その後No.3焼結体を通して濾過し、その後乾燥する。この白色沈殿物は、非晶質の(S)オメプラゾールのマグネシウム塩である。
【0074】
(実施例3: (S)オメプラゾール四水和物のマグネシウム塩の調製(経路1))
実施例1で調製された非晶質の(S)オメプラゾールのマグネシウム塩を、アセトン(45ml)/水(15ml)の混合物中で再スラリー化する。懸濁液を2時間攪拌し、濾過し、その後乾燥する(周囲の温度および圧力で)。得られた白色の固体は、(S)オメプラゾールのマグネシウム四水和物塩である。この化合物は、62%の収率で得られた。
【0075】
この化合物の回折図(XRPD)を図2に、そのTGA-DSCを図3に示す。
【0076】
以下の表Iは、エナンチオマー的に純粋なエソメプラゾール(つまりe.e.純度>99%を有する)のマグネシウム四水和物塩の特徴的なピークの位置および相対強度を示す。
【0077】
【表3】

【0078】
(実施例4: (S)オメプラゾールのマグネシウム四水和物塩の調製(経路1))
実施例2で得られた白色の固体を、120mlのアセトン/水の混合物(75/25 V/V%)中で2時間、その後60mlのアセトン/水の混合物(85/15 V/V%)中で1時間、連続的に再スラリー化する。濾過および乾燥後、(S)オメプラゾールのマグネシウム四水和物塩を、55%の収率で回収した。
【0079】
(実施例5: (S)オメプラゾールのマグネシウム四水和物塩の調製(経路1))
実施例2で得られた白色の固体を、120mlのアセトン/水の混合物(75/25 V/V%)中で2時間、その後60mlのアセトン/水の混合物(85/15 V/V%)中で1時間、連続的に再スラリー化する。濾過および乾燥後、(S)オメプラゾールのマグネシウム四水和物塩を、52%の収率で回収した。
【0080】
(実施例6: (S)オメプラゾールのマグネシウム四水和物塩の調製(経路1))
この実施例は、形成した非晶質の中間体生成物を乾燥する工程を含まない、1つの調製方法を例示する。
【0081】
20gの特許WO 2009/027614で記載された方法によって得られた、エタノールで溶媒和されたエソメプラゾールのカリウム塩を、80mlの水中、室温で溶解した。4.96gの、10mlの脱塩水中の酢酸マグネシウム四水和物をこの溶液に攪拌しながら加え、続けてさらに30mlの水を加えた。数分間の攪拌後、媒体を焼結体上の真空によって濾過した。得られた白色のケーキを、55mLのアセトンおよび5mlの水を含むアセトン/水の混合物(つまり、ケーキ内に含まれる水(40ml)の量を考慮すると、50/50体積%の混合物)中で再スラリー化した。懸濁液中の四水和物の前駆体相が現れた後、攪拌を1時間続けた。これはをXRDによって特徴付けた。その回折図を添付した図4に示す。
【0082】
その後、ケーキを焼結体上で濾過し、20mlの水で洗浄した。(S)オメプラゾールのマグネシウム四水和物塩を単離した。
【0083】
(実施例7: (S)オメプラゾールのマグネシウム四水和物塩の調製(経路2))
312.5gの特許WO 2009/027614で記載された方法によって得られた、エタノールで溶媒和されたエソメプラゾールのカリウム塩を、625mlの水中に溶解し、続けて1250mlのアセトンを加えた。その後、媒体を攪拌し10℃まで冷却し、71.85gの、625mlの脱塩水中の酢酸マグネシウム四水和物を、3時間の間にわたって導入した。10℃で終夜攪拌した後、媒体中の前駆体相の存在が明らかになった。
【0084】
その後、この媒体を焼結体上の真空によって濾過し、その後、ケーキを脱塩水で2回洗浄し(2×625ml)、その後、アセトンで2回洗浄(2×625ml)した。単離されたおよび乾燥された生成物は、エソメプラゾールの四水和物のマグネシウム塩に対応する。
【0085】
(実施例8: (S)オメプラゾールのマグネシウム四水和物塩の調製(経路3))
1gのマグネシウム三水和物塩を、10mLのアセトン中、室温で終夜再スラリー化した。その後、懸濁液を10℃まで冷却し、その後10mLの水を加えた。3時間、10℃で攪拌した後、媒体を焼結体上で濾過し、20mLのアセトンで洗浄した。マグネシウム四水和物塩に対応する生成物を、収率77%で単離した。
【0086】
(実施例9: (S)オメプラゾールのマグネシウム四水和物塩の調製(経路3))
1gのマグネシウム三水和物塩を、10mLのアセトン中、室温で1時間再スラリー化した。その後、懸濁液を10℃まで冷却し、その後0.8mLの水を加えた。3時間、10℃で攪拌した後、媒体を焼結体上で濾過し、20mLのアセトンで洗浄した。マグネシウム四水和物塩に対応する生成物を、収率84%で単離した。
【0087】
(比較例10)
エソメプラゾールのカリウム塩(7g)を、過剰の水酸化カリウム(0.8g、つまり0.2モル等量)と一緒に、水中に溶解する。過剰の塩化マグネシウムを加え(22.8g、つまり約5モル等量)、水/アセトンの溶液(50ml/100ml)中に前溶解する。この溶液を滴下で攪拌しながら加える。固体をBuchner漏斗上の濾過によって回収し、その後蒸留水で全体的に洗浄する。
【0088】
この固体は、(S)オメプラゾールのマグネシウム四水和物塩に対応しない。これはおそらく、より安定な三水和物に対応する。
【0089】
(実施例11: (S)オメプラゾール二水和物の形態Aのマグネシウム塩の調製)
実施例2で得られた四水和物を、0%の相対湿度下、40℃で乾燥する。回収された固体は、99%より高い収率の(S)オメプラゾール二水和物の形態Aである。
【0090】
この相の粉末X線回折図(XRPD)を図5に示す。
【0091】
以下の表IIは、エナンチオマー的に純粋なエソメプラゾール(つまりe.e.純度>99%を有する)のマグネシウム塩の二水和物の形態Aの特徴的なピークの位置および相対強度を示す。
【0092】
【表4】

【0093】
(実施例12: (S)オメプラゾール二水和物の形態Aのマグネシウム塩の調製)
実施例2で得られた四水和物を、60℃(好ましくは0%の相対湿度下)で乾燥する。回収された固体は、99%より高い収率の(S)オメプラゾール二水和物の形態Aである。
【0094】
(実施例13: (S)オメプラゾール二水和物の形態Aのマグネシウム塩の調製)
実施例2で得られた四水和物を、20℃で0%の相対湿度下、100mbarの圧力下で乾燥する。回収された固体は、99%より高い収率の(S)オメプラゾール二水和物の形態Aである。
【0095】
(実施例14: (S)オメプラゾール二水和物の形態Aのマグネシウム塩の調製)
実施例7で得られた生成物を、真空下、30℃で、窒素でフラッシングしながら乾燥した。二水和物Aを、実施例7の間に使用したオメプラゾールのエナンチオマーのアルカリ金属塩に対して、80.9%の収率で得た。
【0096】
(比較例15)
実施例1で調製した非晶質の(S)オメプラゾールのマグネシウム塩(0.5g)を、アセトン(10mL)中で2時間再スラリー化し、濾過し、その後乾燥(周囲の温度および圧力で)した。得られた白色の固体は、この相の回折図(XRPD)によって示される通り、(S)オメプラゾールのマグネシウム塩の二水和物の形態Bである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
そのX線回折図が、以下の特徴的なピークを有することを特徴とする、オメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム四水和物塩の前駆体相。
【表1】

【請求項2】
溶媒/水の混合物中の非晶形の前記エナンチオマーのマグネシウム塩を再スラリー化する工程を含み、前記溶媒が水混和性の非アルコール有機溶媒から選択され、水に対する溶媒の体積比が95/5から30/70の間であることを特徴とする、請求項1に記載の前駆体相を調製するための方法。
【請求項3】
非晶形の前記エナンチオマーのマグネシウム塩が、以下の工程:
a) 前記オメプラゾールのエナンチオマーの、場合によって溶媒和されてもよいアルカリ金属塩を、有機溶媒を含まないマグネシウム塩の水溶液と反応させて、沈殿物を得る工程、
b) 前記沈殿物を濾過する工程、
c) 場合によって、工程b)から得られた残渣を水中で再スラリー化し、続けて濾過する工程、
d) 場合によって、得られた懸濁液を乾燥する工程
を含む方法によって得られることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
- 溶媒/水の混合物中で、前記オメプラゾールのエナンチオマーの、場合によって溶媒和されてもよいアルカリ金属塩を溶解させる工程であって、前記溶媒が水混和性の非アルコール有機溶媒から選択され、水に対する溶媒の体積比が90/10から50/50の間である工程、および
- 前記溶液を、有機溶媒を含まないマグネシウム塩の水溶液と混合して懸濁液を形成する工程
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の前駆体相を調製するための方法。
【請求項5】
- 他のいかなる溶媒を含まない、少なくとも1つの水混和性の非アルコール有機溶媒中で、非晶質または結晶質の、場合によって水和または溶媒和されてもよいオメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム塩を再スラリー化する工程、
- 得られた生成物に水を加える工程
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の前駆体相を調製するための方法。
【請求項6】
前記有機溶媒が、アセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトン、アセトニトリル、THF、ならびにこれらの混合物から選択され、好ましくはアセトンであることを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記エナンチオマーの塩が、場合によってエタノールまたはエチレングリコールで溶媒和されてもよい(S)オメプラゾールのカリウム塩、好ましくはエタノールで溶媒和された(S)オメプラゾールのカリウム塩であることを特徴とする、請求項3または4に記載の方法。
【請求項8】
前記マグネシウム塩が、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、臭化マグネシウムおよび塩化マグネシウムから選択されることを特徴とする、請求項3または4に記載の方法。
【請求項9】
請求項1に記載の、または請求項2から8のいずれか一項によって得られた前駆体相を含む、懸濁液の濾過およびその後の乾燥を含む、オメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム四水和物塩を調製するための方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法によって得られる、オメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム四水和物塩の結晶。
【請求項11】
特に胃潰瘍および/または十二指腸潰瘍の予防または治療における、薬剤としての使用のための、請求項10に記載の結晶。
【請求項12】
二水和物の形態Aの、オメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム塩の調製のための、請求項10に記載の結晶の使用。
【請求項13】
請求項10に記載の、オメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム四水和物塩の結晶の制御された脱水の工程を含むことを特徴とする、二水和物の形態Aの、オメプラゾールのエナンチオマーのマグネシウム塩を調製するための方法。
【請求項14】
前記制御された脱水が、以下:
- 40から65℃の間の温度で、1barの圧力下、有利には真空下で、場合によって0%の相対湿度で、あるいは
- 20から40℃の間の温度、例えば室温で、真空下および/または0%の相対湿度で
乾燥する工程を含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−236210(P2011−236210A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−93921(P2011−93921)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(596096191)
【出願人】(509017435)ユニヴェルシテ・ドゥ・ルーアン (5)
【Fターム(参考)】