説明

オレフィンのエポキシ化触媒用幾何学的サイズの固体状担体

【課題】オレフィンを酸化オレフィンにエポキシ化するためのオレフィンのエポキシ化触媒の性能と有効性を改善する幾何学形状固体担体を提供する。
【解決手段】特に、壁厚の少なくとも一方が2.5mm未満である幾何学形状の耐熱性固体担体を使用することで、オレフィンのエポキシ化触媒の性能と有効性を改善を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒の成分、特にエポキシ化触媒の成分として有用な担体に関する。特に、本発明は、幾何学的サイズの固体状担体、幾何学的サイズの固体状担体を含むエポキシ化触媒、及び、本発明のエポキシ化触媒を用いたオレフィンのエポキシ化工程に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィンのエポキシ化においては、銀成分と、通常担体上に沈着した1つ以上の要素とからなる触媒を用い、オレフィンと酸素とを反応させて、エポキシ化オレフィンを形成する。触媒性能は、選択性、活性及び安定性に基づいて特徴付けられる。更に、反応管内での性能は、管の体積における触媒の充填密度と圧力降下により特徴付けられる。
【0003】
選択性は、所望の酸化オレフィンを作り出す変換オレフィンのモル分率である。プロセス効率という意味においては、非常に僅かな選択性の向上と長期にわたる選択性の維持が多大な利益をもたらす。
【0004】
反応管への触媒の充填は、触媒を沈着する担体の幾何学的サイズと形状に左右される。通常、高充填密度、即ち、体積中の触媒が多いほど有利であると考えられる。
【0005】
アルミナは、オレフィンのエポキシ化触媒用の担体として有用であるとして知られている。アルミナを始めとする担体材料は、通常、シリカと共に、又は、無しで高純度酸化アルミニウムを溶解することで作られる。このために、担体材料の多くは、90重量%以上のα−アルミナと、1〜6重量%のシリカを含んでいる。担体は、担体の用途に応じて非常に多孔性のものであっても無孔性であってもよく、表面積が大きくても小さくてもよい。担体は、それを使用した触媒反応に悪影響を及ぼすことのない、いかなる多孔質材を含んでもよい。
【0006】
担体製造の工程においては、高純度酸化アルミニウム、好ましくはα−アルミナが、一時的及び持続性結合剤と十分に混ぜ合わされる。一時的結合剤は、分解で担体の所望の多孔質構造を作り出す、中程度から高分子量の熱分解性有機化合物である。持続性結合剤は、溶融温度がアルミナよりも低い粘土状無機物であり、完成した担体に機械的強度を付与するものである。十分な乾燥混合の後、十分な水又は別の溶剤が集合体に加えられ、ペースト状の物質を形成する。触媒を作るための担体粒子は、例えば、高圧押出、造粒又はその他のセラミック形成工程などの従来手段により、ペーストから形成される。そして粒子を乾燥し、その後、高温で焼成する。
【0007】
焼成工程では、担体の集合体中にボイドを残し、一時的結合剤が熱分解及び揮発する。これらボイドが、完成した担体の多孔質構造の元となる。焼成が続くにつれ、温度は、持続性結合剤が無機粘土に変化する点に達する。そして触媒担体は冷却され、冷却中に持続性結合剤が固まり、担体粒子に作用して結合させ、これにより、担体に機械的強度を付与し、多孔質構造を確実に維持する。
【0008】
所望の特性を持つ触媒担体は、前述の手順により容易に生成できる。細孔径、細孔分布及び細孔率は、スタート時のアルミナ粒子径と、混合物中の一時的及び/又は持続性結合剤の粒子径及び濃度の適切な調節により、容易に制御できる。スタート時のアルミナ粒子径が大きいほど、完成した触媒の細孔率は高い。アルミナ粒子が均一であるほど、多孔質構造がより均一となる。同様に、一時的結合剤の増加はまた、完成した触媒担体の全体的細孔率を増大させる。
【0009】
特定の物理的特性のアルミナ担体の生成と、エチレンのエポキシ化触媒性能を高めるための多孔質構造が、例えば、米国特許第4,226,782号、第4,242,235号、第5,266,548号、第5,380,697号、第5,597,773号、第5,831,037号及び第6,831,037号、且つ、米国特許出願公開第2004/0110973 A1号及び第2005/0096219 A1号に記載されている。
【0010】
アルミナ担体の生成に加え、従来技術には、異なる目的で様々な形状の触媒を適用したアルミナ状担体の生成が記載されている。例えば、米国特許第2,950,169号には、高粉砕強度のピルの生成方法が記載されている。多様な利用においては、例えば、円筒形ピル、球体、多面体、管円筒状ピルなどを含む、均一な粒子径と形状のアルミナが好ましい。
【0011】
米国特許第3,222,129号は、摩耗、剥離及び粉砕への耐性が改善された活性アルミナ生成物に関する。アルミナは、球体などに形成した小塊又は小粒状に製造してもよく、均一な径と形状であることが好ましい。形成した小塊は、粒状或いは粒子材料より簡単に取り扱うことができることから、特に望ましい。
【0012】
例えば、米国特許第3,172,866号に記載されるような、球状、顆粒状、リング状などの様々な形状のエチレンのエポキシ化用アルミナ担体が知られているが、形状及び性能関係に関してはあまり知られていない。このような例のうち、米国特許出願公開第2004/0260103 A1号及び第2004/0225138 A1号には、酸化エチレン製造のための触媒及び反応器系が記載されている。先行技術の触媒は、特定の幾何学形状の担体に形成するものであった。中空円筒の幾何学的寸法を適切に選択することで、許容範囲内の反応器内の圧力降下で充填密度が増加したことが報告されている。特に、有利な支持材は、呼び外径と呼び内径との比率により定義される中空円筒状の幾何学形状を有することが確認された。従来の内径より小さいことが、凝集体の平均粉砕強度を向上させ、同じ体積により多くの銀の充填を可能としながら、同じ体積により多くの支持材を充填させている。
【0013】
上述のように、エチレンのエポキシ化用触媒には、特定の物理的特性を有する担体が必要であり、それらの担体は異なるサイズの様々な形状に形成できる。担体の特性と形状は、触媒的に活性な銀を反応管に充填するのに重要である。担体の物理的特性と幾何学形状の改善により、反応管内で使用される触媒の性能と有効性を改善することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、特にオレフィンのエポキシ化に用いられる触媒に有用な、触媒用の幾何学的サイズの固体状担体を提供する。特に、本発明は、薄壁を有する様々な幾何学的形状に形成された耐熱性固体担体を提供する。本発明において使用される「薄壁」という用語は、特定の幾何学形状の対向する壁(即ち、中空円筒の内壁面及び外壁面)の間の壁厚を表わしており、好ましくは2.5mm未満、更に好ましくは2.0mm未満、更により好ましくは1.5mm未満である。
【0015】
本発明が提供する幾何学的サイズの固体状担体は、中空円筒状、3つの穴状、ワゴン車輪状、十字分割された中空円筒状、ハチの巣状などの形状であってもよい。幾何学形状は、上述のような薄壁をそれぞれ有するということになる。
【0016】
更に、本発明は、反応管内で使用される触媒の性能と有効性を改善する、幾何学的サイズの固体状担体の壁厚の特定値を提供する。特に、そして担体が中空円筒状に形成される場合の、壁厚が2.5mm未満では、担体は、低下した圧力降下で触媒をより効率的に機能させ、触媒と、銀や促進剤である材料といった、生成に使用される材料の量を低減する。
【0017】
一形態において、本発明は、少なくとも1つの壁厚が2.5mm未満である幾何学形状の耐熱性固体担体からなる、少なくとも1つの沈着した触媒活性金属を含む触媒系用の担体を提供する。
【0018】
本発明の一実施形態においては、本発明の担体は、全ての壁が薄い、即ち、2.5mm未満である幾何学形状を有している。
【0019】
本発明の別の実施形態においては、本発明の担体は、全細孔容積(PV)が約0.2ml/gから約0.6ml/gであり、以下の追加的特性のうち少なくとも1つを任意に有している。(i)表面積が約0.3〜約3.0m/g、好ましくは約0.6〜約2.5m/g、最も好ましくは約0.9〜約2.0m/gであること、(ii)細孔容積が少なくとも40%が1から5μmの間の直径を有する細孔であり、好ましくは少なくとも60%、最も好ましくは少なくとも80%であること、(iii)細孔径分布は、1から5μmの間であり、好ましくは1から4.5μmの間であり、最も好ましくは1から4μmの間であること、(iv)直径が5μmを超える細孔による細孔容積は0.20ml/g未満であり、好ましくは0.10ml/g未満であり、最も好ましくは0.05ml/g未満であること、及び、(v)直径1μm未満の細孔による細孔容積は0.20ml/g未満であり、好ましくは0.16ml/g未満であり、最も好ましくは0.12ml/g未満であること。
【0020】
本発明の更なる実施形態においては、本発明の担体は、上述の壁厚を有する中空円筒状、3つの穴状、ワゴン車輪状、十字分割された中空円筒状、及び、ハチの巣状を含む。
【0021】
本発明の更に別の実施形態においては、担体は、少なくとも壁厚の1つが2.5mm未満である幾何学形状の耐熱性固体担体を有して提供され、前記担体は、全細孔容積が約0.2ml/g〜約0.6ml/g、表面積が約0.3〜約3.0m/g、1から5μmの間の直径を有する細孔による細孔容積が少なくとも40%、細孔径分布が1から5μmの間、直径が5μmを超える細孔による細孔容積が0.20ml/g未満、かつ、直径1μm未満の細孔による細孔容積が0.20ml/g未満である酸化アルミニウムからなる。
【0022】
本発明の別の形態において、オレフィンのエポキシ化に有用な触媒は、少なくとも壁厚の1つが2.5mm未満である幾何学形状の耐熱性固体担体と、その上に沈着される触媒作用に効果的な量の銀を有して提供される。
【0023】
幾つかの実施形態においては、本発明の触媒は、その上に促進量の促進剤を更に含む。本発明のこの実施形態においては、促進剤は、1つ以上のアルカリ金属含有化合物、1つ以上の遷移金属含有化合物、1つ以上の硫黄成分、1つ以上のフッ素含有化合物、又は、その組み合わせからなる。
【0024】
本発明の触媒の更なる実施形態においては、促進剤は、元素周期表のVB, VIB, VIIB及びVIII族から選ばれる元素、及び、その組み合わせからなる遷移金属である。好適な一実施形態においては、遷移金属は、レニウム、モリブデン、タングステン、又はその組み合わせからなる。
【0025】
本発明の触媒の更に別の実施形態においては、促進剤は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム又はその組み合わせからなるアルカリ金属含有化合物である。
【0026】
本発明の好適な一実施形態においては、本発明の触媒は、少なくとも壁厚の1つが2.5mm未満である幾何学形状の耐熱性固体担体からなり、前記担体は、全細孔容積が約0.2ml/g〜約0.6ml/g、表面積が約0.3〜約3.0m/g、1から5μmの間の直径を有する細孔による細孔容積が少なくとも40%、細孔径分布が1から5μmの間、直径が5μmを超える細孔による細孔容積が0.20ml/g未満、かつ、直径1μm未満の細孔による細孔容積が0.20ml/g未満である酸化アルミニウムと、前記担体上に沈着した効果的な量の銀と、促進量のリチウム、セシウム、硫黄及びタングステンからなる。
【0027】
本発明の更に別の形態において、上述の本発明の触媒の存在下で、固定床管型反応器における、オレフィン(例えば、エチレン)と分子酸素の気相酸化法を含む、特にエチレンに限定しないオレフィンから、特に酸化エチレンに限定しない酸化オレフィンへの酸化処理を提供する。
【0028】
本発明の触媒は、特に本願の銀系のオレフィン酸化触媒として記載及び説明しているが、本発明の担体は、例えば、元素周期表のCAS版に基づく専門用語であるところの活性金属が元素周期表のIVB, VB, VIB, VIIB,VIII, IB及び/又はIIB族から選ばれる金属であることを特徴とする触媒系を含むその他の触媒系にも使用できることに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0029】
ここで、担体、担体を含む触媒、及び、触媒を使った酸化オレフィン生成工程を提供する本発明を、更に詳しく説明する。
【0030】
上述のように、本発明は、少なくとも壁厚の1つが2.5mm未満である幾何学形状を有する耐熱性固体担体からなる、少なくとも1つの沈着した触媒活性金属を含む触媒系を提供する。
【0031】
本発明で用いられる担体は、市販されている数々の固体耐熱性担体から生成するか、選択することができる。担体は、エポキシ化原材料、製品、及び、例えばエチレンと分子酸素の気相酸化法によるエチレンから酸化エチレンへの酸化といったオレフィンのエポキシ化用などの使用目的の反応条件に対して、比較的不活性である。担体は、α−アルミナなどの酸化アルミニウム、炭、軽石、マグネシア、ジルコニア、チタニア、珪藻土、酸性白土、炭化ケイ素、シリカ、炭化ケイ素、二酸化ケイ素、粘土、人口ゼオライト、天然ゼオライト、セラミック又はその組み合わせから成ってもよい。好ましい担体はα−アルミナ粒子であり、多くは結合剤により共に接合され、非常に高純度、即ち、約95%以上、好ましくは98重量%以上のα−アルミナである。残る成分は、他の位相のアルミナ、シリカ、アルカリ金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム)、及び、微量の他の金属含有及び/又は金属非含有添加剤又は不純物であってもよい。
【0032】
多種多様のこのような担体が市販されている。適切なアルミナ担体は、日本の名古屋に所在のあるNoritake社、及び、Ohio のAkronに所在のあるNorPro Company社で製造され、一般に市販されている。
【0033】
特定の種類のα−アルミナ含有担体が特に好ましい。これらのα−アルミナ担体は、約0.3m/gから約3m/g、好ましくは約0.6m/gから約2.5m/g、更に好ましくは約0.9m/gから約2.0m/gのBET表面積と、約0.10cc/gから約0.80cc/g、好ましくは約0.20cc/gから約0.60cc/gの水孔容積を有することを特徴としている。好ましい担体においては、細孔容積の少なくとも40%が直径1〜5μmの間の細孔であり、好ましくは少なくとも60%であり、更に好ましくは少なくとも80%である。本発明で用いられる担体の中間孔径は、通常1から5μmの間であり、好ましくは1から4.5μmの間であり、最も好ましくは1から4μmの間である。直径が5μmを超える細孔による細孔容積は0.20ml/g未満であり、好ましくは0.10ml/g未満であり、最も好ましくは0.05ml/g未満である。直径1μm未満の細孔による細孔容積は0.20ml/g未満であり、好ましくは0.16ml/g未満であり、最も好ましくは0.12ml/g未満である。
【0034】
特定の表面積を測定するBET法は、Brunauer, S., Emmet, P.H. and Teller, E., J. Am. Chem, Soc., 60, 309-316 (1938)で詳細に記載している。細孔容量及び細孔径分布は、従来の水銀ポロシメーター法により測定される。Drake and Ritter, "Ind. Eng. Chem. Anal. Ed.," 17, 787 (1945)参照。
【0035】
使用される担体の性質に関わらず、通常、固定床反応器での使用に適した寸法の、例えば、小粒状、リング状、球体状、3つの穴状、ワゴン車輪状、十字分割された中空円筒状などの幾何学形状に形成される。
【0036】
担体粒子は、約3mmから約10mmの範囲、好ましくは約4mmから約9mmの範囲の「相当直径」を有し、通常触媒が設置される管型反応器の内径に適合することが望ましい。「相当直径」とは、体積比に対して使用される担体粒子と同じ外部表面(即ち、粒子の細孔内の表面を無視した)を有する球体の直径である。
【0037】
酸化オレフィンがより高収率となることから、高い触媒有効性が望ましい。触媒有効性は担体/触媒の形状及び厚さの関数であり、有効係数ηで表わされ、Perry, R.H. and Green, D.W. “Perry’s Chemical Engineering Handbook,” Sixth Edition, McGraw-Hill, 1984, pg. 4-40では、
【数1】

と定義している。
【0038】
次に、有効係数は係数mの逆関数で、
【数2】

であり、この場合のlは固有長であり、触媒壁幅の半分及びその他の要素が、細孔の形状、拡散及び運動に関係している。長さlが大きいほど、係数mが大きく有効係数が小さい。
【0039】
担体が中空円筒状に形成される場合、2.5mm未満、より好ましくは2.0mm未満、最も好ましくは1.5mm未満の薄壁を有することが好ましい。壁厚が薄いことは本発明の重要な一面である一方、触媒は、反応器に充填される担体の粉砕強度が十分でなければならない。例えば、米国特許5,380,697号では、酸化エチレン触媒用担体の粉砕強度は少なくとも約5ポンドであると記載している。
【0040】
一般に、本発明の適切な触媒担体は、アルミナなどの耐熱材料と、水などの溶剤と、一時的結合剤又は燃焼材料と、持続性結合剤及び/又は細孔率制御剤を混合して生成することができる。一時的結合剤又は燃焼材料としては、セルロース、例えばメチルセルロース、エチルセルロース及びカルボキシエチルセルロースなどの置換セルロース類、例えばステアリン酸メチル又はエチルなどの有機ステアリン酸エステルなどのステアリン酸塩類、ワックス類、粒状ポリオレフィン類、特にポリエチレン及びポリプロピレン、クルミ殻粉などの、使用する温度で分解可能なものが挙げられる。結合剤は、担体材料の細孔率のもととなる。燃焼材料は、混合物が成形又は押出過程により粒子に加工される未熟又は未焼成段階の際に多孔質構造を確実に保護するため、最初に使用される。それは、完成した担体を生成する焼成の際、基本的に全て除去される。本発明の担体は、結晶性シリカ化合物の形成を実質的に防止するに十分な量のアルカリ金属化合物を有する、シリカなどの結合材を含んで製造されるのが好ましい。持続性結合剤類としては、例えば、粘土状無機物が挙げられる。アルミナ粒子に含まれてもよい便利な結合材料は、ベーマイト、アンモニア安定化シリカゾル及び可溶性ナトリウム塩の混合物である。形成されたペーストは、所望の形状に押出又は成形され、約1200℃から約1600℃の温度で焼成して担体を形成する。粒子が押出で形成される場合、従来の押出助剤を含むことが望ましい場合がある。使用される化合物の量は、ある程度相互依存的であり、使用される設備に関わる要素の数によって決まる。しかし、これらの事項は、セラミック材料を押出する分野の当業者にとっては、十分な一般知識である。米国特許出願公開第2006/0252643 A1号に記載されるように、担体を水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ溶液、又は、HNO3などの酸に浸して処理をすると、担体の性能は高まる。処理後、担体を水などで洗浄して未反応の溶解物質を除去し、溶液で処理し、任意で乾燥することが好ましい。
【0041】
そこで、オレフィンから酸化オレフィンへの酸化用触媒を生成するため、上述の特性を有する担体が、その上に沈着する触媒作用に効果的な量の銀と共に供給される。触媒は、担体上に銀前駆体化合物を沈着させるのに十分である適切な溶剤中に溶解した銀イオン、化合物、錯体及び/又は塩と、担体を含浸することにより生成される。そして、含浸担体は溶液から除去され、沈着した銀化合物は、高温焼成により金属銀に還元される。
【0042】
また、好適には、銀の沈着の前、同時又は後に、担体上には、適切な溶剤に溶解したアルカリ金属のイオン、化合物及び/又は塩の形の適切な促進剤が沈着される。
【0043】
また、銀又はアルカリ金属の沈着の前、同時又は後に、担体上には、適切な溶剤に溶解した適切な遷移金属イオン、化合物、錯体及び/又は塩が沈着される。
【0044】
上述されるような元の又は処理された担体は、銀含浸液、好ましくは銀水溶液に含浸される。また、担体は、同時又は別の工程で、様々な触媒促進剤に含浸される。本発明により生成される好適な触媒は、表面上と多孔質耐熱担体の細孔にわたって沈着された、金属として表わされる銀を約45重量%まで含む。金属として表わされる銀の含有量は、全触媒の重量に対して約1から約40%が好ましいが、約8から約35%の銀含有量が更に好ましい。支持体上に沈着された又は担体上に存在する銀の量は、触媒作用に効果的な量の銀、即ち、エチレンと酸素の反応を経済的に触媒し酸化エチレンを生成する量である。本明細書で使用される用語「触媒作用に効果的な量の銀」とは、エチレンと酸素から酸化エチレンへの測定可能な変換率及び触媒寿命内での選択性、活性及び安定性を提供する銀の量を言う。有用な銀含有化合物には、シュウ酸銀、硝酸銀、酸化銀、炭酸銀、カルボン酸銀、クエン酸銀、フタル酸銀、乳酸銀、プロピオン酸銀、酪酸銀及び高脂肪酸塩と、その組み合わせが含まれるが、他を排除するものではない。
【0045】
この触媒は、多孔質耐熱性担体上に支持された触媒作用に効果的な量の銀と、促進量のアルカリ金属と、促進量の遷移金属を含む。本明細書で使用される触媒の特定の成分の「促進量」という用語は、その成分を含まない触媒と比較した場合に、触媒の1つ以上の触媒特性を向上させるために有効に作用する成分の量を言う。使用される正確な濃度は、もちろん、その他の要因のうち、所望の銀含有量、担体の性質、液体の粘度、及び、銀化合物の溶解性によって決まる。
【0046】
触媒は、銀の他に、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム又はその組み合わせからから選ばれたアルカリ金属促進剤を含んでもよく、セシウムが好ましい。担体又は触媒上に沈着される、或いは、担体又は触媒上に存在するアルカリ金属の量は、促進量となる。好適には、量の範囲は、金属として測定された場合の全触媒の重量に対して、約10ppmから約3000ppmであり、更に好ましくは約15ppmから約2000ppmであり、更により好ましくは約20ppmから約1500ppmであり、更により好ましくは約50ppmから約1000ppmである。
【0047】
また好適には、触媒は、元素周期表のVB, VIB, VIIB及びVIII族からの元素及びその組み合わせからなる遷移金属促進剤含んでもよい。遷移金属が元素周期表のVIIB族から選ばれた元素からなるのが好ましい。より好ましい遷移金属はレニウム、モリブデン及びタングステンであり、モリブデン及びレニウムが最も好ましい。担体又は触媒上に沈着される、或いは、担体又は触媒上に存在する遷移金属促進剤の量は、促進量となる。遷移金属促進剤は、金属として表わされる全触媒のグラム当たり約0.1ミクロモルからグラム当たり約10ミクロモルの量で存在してもよく、好ましくはグラム当たり約0.2ミクロモルからグラム当たり約5ミクロモルであり、更に好ましくはグラム当たり約0.5ミクロモルからグラム当たり約4ミクロモルである。触媒は、促進量である1つ以上の硫黄化合物、1つ以上のフッ素含有成分又はその組み合わせを更に含んでもよい。
【0048】
担体を含浸するために使用される銀溶液は、本分野で知られるような任意の溶剤又は錯化/可溶化剤も含んでよい。多種多様な溶剤又は錯化/可溶化剤は、含浸媒体中で所望の濃度になるよう銀を可溶化するために用いることができる。有用な錯化/可溶化成分としては、アミン類、アンモニア、乳酸及びその組み合わせが挙げられる。アミン類としては、1から5つの炭素原子を有するアルキレンジアミンが挙げられる。好適な一実施形態においては、溶液は、シュウ酸銀及びエチレンジアミンの水溶液からなる。錯化/可溶化剤は、銀1モルにつき約0.1から約5.0モルのエチレンジアミンの量で含浸溶液中に存在してもよく、好ましくは約0.2から約4.0モル、更に好ましくは銀1モルにつき約0.3から約3.0モルのエチレンジアミンである。
【0049】
溶剤が使用される場合は、水系でも有機系でもよく、極性であっても略又は完全に非極性であってもよい。一般に溶液は、溶液成分を可溶化するために十分な溶媒和力を有するべきである。同時に、溶剤は溶媒和促進剤への不適切な影響又は相互作用を避けるよう選ばれるのが好ましい。有機系溶剤の例として、アルコールでは特にアルカノール類、グリコールでは特にアルキルグリコール類、ケトン類、アルデヒド類、アミン類、テトラヒドロフラン、ニトロベンゼン、ニトロトルエンなどが挙げられるが、これに限定されない。分子あたり1から約8つの炭素原子を有する有機系溶剤が好ましい。混合溶剤が本明細書で所望する機能を果たす限り、有機溶剤又は水と、1つ以上の有機溶剤の混合物が用いられても良い。
【0050】
溶液中の銀塩の濃度は、約0.1重量%から、使用される特定の塩/可溶化剤の組み合わせが溶解可能な最大限までの範囲である。通常、0.5%から約45重量%の銀を含む銀塩溶液の使用が非常に適しており、5から30重量%の銀塩濃度が好ましい。
【0051】
選択された担体の含浸は、過剰溶液含浸法、初期湿潤含浸法などの従来の方法で行われる。通常、担体の材料は、十分な量の溶液が担体に吸収されるまで、銀溶液中に留置される。好適には、多孔質担体を含浸するために使用される銀溶液の量は、担体の細孔充填の必要分未満である。銀含有液は、吸収、毛管現象及び/又は真空により、担体の細孔内へ浸透する。中間での乾燥が有る又は無い1回の含浸又は一連の含浸は、溶液中の銀塩の濃度に部分的に応じて使用されてもよい。含浸工程は、本明細書の一部として援用する米国特許第4,761,394号、第4,766,105号、第4,908,343号、第5,057,481号、第5,187,140号、第5,102,848号、第5,011,807号、第5,099,041号及び第5,407,888号に記載されている。様々な促進剤の前蒸着、共蒸着及び後蒸着といった周知の先行技術の工程が使用できる。
【0052】
触媒特性の例として、とりわけ、実現性(暴走への耐性)、選択性、活性、変換率、安定性及び収率が挙げられる。1つ以上の個々の触媒特性は「促進量」により高められても、他の触媒特性が高められる又は高められない場合があり、また更には低下する場合があることは、当業者であれば理解する。更に、異なる触媒特性が異なる処理条件で高められることも理解される。例えば、ある処理条件で高選択性を有する触媒は、選択性よりは活性において向上が見られる異なる条件で処理されてもよく、原料費、エネルギー費、副生成物除去費などを考慮した条件と結果を最適化するため、たとえ他の触媒特性を犠牲にしても特定の触媒特性の利点が得られるよう、エチレン酸化プラントのオペレータが意図的に処理条件を変更するものとする。本発明の銀、担体、アルカリ金属促進剤及び遷移金属促進剤の特定の組み合わせは、銀と担体と促進剤無し又は1つのみの同じ組み合わせにより、1つ以上の触媒特性を向上させる。
【0053】
含浸後、銀前駆体化合物及び促進剤に含浸された担体は、銀化合物を金属銀に還元し、銀含有支持体から揮発性分解生成物を除去するのに十分な時間で、焼成、或いは、活性化される。焼成は、0.5から35バールの範囲の反応圧力で、含まれている銀を金属銀に変換し、存在する全て又はほぼ全ての有機物を分解し、揮発性物質としてのそれらを除去するのに十分な時間で、好ましくは緩やかな速度で、約200℃から約600℃、好ましくは約250℃から約500℃、更に好ましくは約300℃から約450℃の範囲の温度まで、含浸担体を加熱することにより行われる。一般に、温度が高いほど、要する還元時間は短い。本分野においては、含浸支持体を加熱処理する広範囲の加熱時間が提案されてきている(例えば、米国特許第3,563,914号は300秒未満の加熱を提案し、米国特許第3,702,259号は、通常約0.5から約8時間であるところ、100℃から375℃の温度での2から8時間の加熱で銀塩を還元することを開示しているが、しかし、重要なのは、銀塩から触媒活性金属への還元が略完全に行われるような温度と相関する還元時間のみである)。この目的のためには、連続的又は段階的加熱プログラムを使用することができる。
【0054】
上述の処理に使った銀触媒の製造後、触媒は酸化エチレンの生成に使用される。一般に、商業的に実践される酸化エチレン製造工程は、本発明の触媒の存在下で、約180℃から約330℃、好ましくは約200℃から約325℃、更に好ましくは約225℃から約270℃の範囲の温度で、質量速度と所望の生産性に応じておよそ大気圧から約30気圧まで変化させてもよい圧力で、酸素含有ガスとエチレンとを連続的に接触させることにより行われる。およそ大気圧から500psiの範囲の圧力が一般的に用いられる。しかし、本発明の範囲内では、より高い圧力が用いられてもよい。大規模な反応器内での滞留時間は、通常、およそ0.1から約5秒である。純酸素、或いは、空気などの酸素含有流としての酸素が反応器に供給されてもよい。生成された酸化エチレンは、従来の方法を用いて反応生成物から分離され、再生される。しかし、本発明においてエチレン酸化工程は、通常濃度、例えば、約0.5から6体積%での二酸化炭素の再利用を含む通常ガスの再利用を想定している。エチレンから酸化エチレンへ酸化する通常の工程は、本発明の触媒の存在下で、固定床管型反応器における、エチレンと分子酸素の気相酸化法を含む。従来市販の固定床エチレン酸化反応器は、通常、外径およそ0.7から2.7インチ、内径0.5から2.5インチ、長さ15〜45フィートの、触媒が充填された複数の平行な細い管(適切な外殻内)の形状をなしている。
【0055】
本発明の触媒を、エチレンと分子酸素から酸化エチレンへの酸化において、特に選択的な触媒として示してきた。本発明の触媒の存在下でのそのような酸化反応を行う条件は、先行技術に記載されたものを広く含む。これは、例えば、適切な温度、圧力、滞留時間、窒素、二酸化炭素、蒸気、アルゴン、メタン又は他の飽和炭化水素類などの希釈剤、例えば1, 2‐ジクロロエタン、塩化ビニール又は塩化エチルといった触媒作用を制御する緩和剤の有無、酸化エチレンの収率を増大させるべくリサイクル操作を用いる、或いは、異なる反応器にて順次に変換を行う所望性、並びに酸化エチレンの処理工程に選択されうる他の特殊条件を適用している。反応体として使用する分子酸素は慣用の供給源から得ることができる。適切な酸素供給源は、比較的に純粋な酸素、多量の酸素と少量の1種もしくはそれ以上の窒素もしくはアルゴンなどの希釈剤とからなる濃厚酸素流、又は、空気などの別の酸素含有流であってもよい。エチレン酸化反応における本発明の触媒の使用は、有効であることが知られたもののうちの特定条件の使用に限定されないことが明らかである。
【0056】
生成された酸化エチレンは、本分野で知られ使用される従来の方法により反応生成物から分離され、再生される。酸化エチレン製造工程における本発明の銀触媒の使用で、既定のエチレン変換率における酸化エチレンへのエチレン酸化選択性が、従来の触媒での可能範囲より全体的に高くなる。
【0057】
酸化エチレンの生成においては、反応体供給混合物は、窒素、二酸化炭素、メタン、エタン、アルゴンなどの物質を含む比較的不活性な材料を含んだバランスで、約0.5から約45%のエチレンと約3から約15%の酸素を含んでもよい。通常、エチレンの一部のみが触媒を通過するごとに反応し、所望の酸化エチレン生成物を分離し、不活性成分及び/又は副生成物の無制御な形成を防止するため適当なパージ流と二酸化酸素を除去した後、未反応の材料が酸化反応器に戻される。目的は例示のみであるが、以下に、現行で市販されている酸化エチレン反応器ユニットで頻繁に用いられる条件を示す。気体時空間速度―1500〜10000、入口圧力―150〜400psig、導入供給物:エチレン―1〜40%、O―3〜12%、CO―0.5〜40%、エタン―0〜3%、全希釈塩化炭化水素減速材0.3〜20ppmv、アルゴン及び/又はメタン及び/又は窒素の残り、冷却温度―180〜315℃、O変換レベル―10〜60%、酸化エチレン生産率(作業速度)―触媒1立方メートルにつき毎時100〜300kgの酸化エチレン。
【0058】
酸化エチレン製造工程の別の説明においては、供給物に酸素含有ガスを加えることで効率が増している。例えば米国特許第5,112,795号は、酸素8体積%、エチレン30体積%、塩化エチル約5ppmw及び残りの窒素という一般的成分を有するガス供給物に対する酸化窒素5ppmの添加を開示している。
【0059】
下記の限定されない実施例により、本発明を説明する。
【実施例】
【0060】
触媒生成と試験
1.銀貯蔵液の生成
【0061】
銀溶液は、以下の成分を用いて生成された(注釈が無い限り、部は、重量部)。
1.酸化銀―834部
2.シュウ酸―444部
3.エチレンジアミン―566部
4.脱イオン水―744部
【0062】
撹拌の際、最初のシュウ酸の添加に続き、エチレンジアミンが水に加えられた。これらを添加する際の温度は50℃以下に保たれた。それぞれを添加した後、次の添加工程の前に、溶液を20℃まで冷却した。最後に、42℃以下に保たれた温度で酸化銀を添加した。最終的な溶液を、濾過する前に30℃まで冷却した。透明な濾液が、触媒生成用の銀/アミン貯蔵液として使用された。
【0063】
2.触媒生成と試験
a.担体
【0064】
表Iは比較研究で使用する担体A及びBである。各担体は、1.5時間80℃で0.025MのNaOH溶液で処理され、続いて大気温度で3回の脱イオン水洗浄工程を行いNaOHを除去した。担体と水との重量配分比は1:1.3に保たれた。処理後、150℃で担体を乾燥させた。
【0065】
b.促進剤の添加
【0066】
触媒作用的に活性量の銀及びセシウムを含む触媒を生成するため、上記溶液に水酸化セシウムを添加した。
【0067】
c.担体含浸
【0068】
含浸のため、40kgの担体Aをステンレス鋼容器内に設置した。3.1kgの比較用担体Bをガラス容器内に設置した。そして含浸容器を、その都度圧力が50mmHgを下回るまで真空に晒した。まだ真空であるうちに、担体を完全に覆う量の銀/促進剤溶液をフラスコに導入した。容器の圧力は大気圧まで上昇できた。触媒は溶液から分離され、焼成の準備が整った。
【0069】
d.担体焼成
【0070】
焼成、即ち、金属銀の沈着は、銀塩の分解温度まで触媒を加熱して行われた。これは、幾つかの加熱区間を有する加熱炉内で、調整された雰囲気にて加熱することにより行われた。触媒は、大気温度で加熱炉に入る移動ベルト上に積まれた。触媒が1つの区間から次へと進むにつれ、徐々に温度を上げていった。温度は、最も熱い区間の400℃まで上昇させた。加熱区間の後、ベルトは、大気温度近くまで触媒を徐々に冷却する冷却区間を通過した。加熱炉内の雰囲気は、加熱区間における窒素流の使用により制御された。
【0071】
e.触媒の試験
【0072】
表Iに試験結果を示す。担体Aからなる触媒3.20kg及び担体Bからなる触媒2.43kgを、同じ反応炉内に詰め、触媒1立方メートルにつき毎時160÷180 kgの酸化エチレンと同等の体積仕事率で、同じ反応条件で試験を行った。
【0073】
表Iは、担体Bの触媒の有効性がより高いことを示している。薄壁を有する担体からなる触媒では、それほど触媒を詰める必要がなく、低い圧力降下で作用しており、厚壁を有し高負荷である担体からなる触媒より高い選択性を示している。
【0074】
表I:担体及び触媒の比較
【表1】

【0075】
本発明を、特に好適な実施形態を参照して明らかにし、説明してきたが、本発明の精神と範囲とから逸脱することなしに上述及びその他の変更が、その構成と細部においてなされてもよいことは、当業者に容易に理解されるであろう。従って、本発明は、記載及び説明された正確な構成と細部には限定されず、添付の請求項の範囲内に入ることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの沈着した触媒活性金属を含む触媒系用の担体であって、
幾何学形状の耐熱性固体担体からなり、前記幾何学形状の耐熱性固体担体の少なくとも1つの壁厚が2.5mm未満であることを特徴とする担体。
【請求項2】
前記少なくとも1つの壁厚が2.0mm未満であることを特徴とする請求項1記載の担体。
【請求項3】
前記少なくとも1つの壁厚が1.5mm未満であることを特徴とする請求項1記載の担体。
【請求項4】
前記幾何学形状の耐熱性固体担体は、中空円筒、3の穴、ワゴン車輪、十字分割された中空円筒、又は、ハチの巣の形状を有することを特徴とする請求項1記載の担体。
【請求項5】
前記幾何学形状の耐熱性固体担体は、酸化アルミニウム、炭、軽石、マグネシア、ジルコニア、チタニア、珪藻土、酸性白土、炭化ケイ素、シリカ、二酸化ケイ素、マグネシア、粘土、人口ゼオライト、天然ゼオライト、セラミック又はその組み合わせからなることを特徴とする請求項1記載の担体。
【請求項6】
前記幾何学形状の耐熱性固体担体は、純度が約90%以上の酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項1記載の担体。
【請求項7】
前記幾何学形状の耐熱性固体担体は、全細孔容積が約0.2ml/gから約0.6ml/gであることを特徴とする請求項1記載の担体。
【請求項8】
前記幾何学形状の耐熱性固体担体は、(i)表面積が約0.3〜約3.0m/g、(ii)細孔容積が少なくとも40%が1から5μmの間の直径を有する細孔、(iii)1から5μmの間の細孔径分布、(iv)直径が5μmを超える細孔による細孔容積が0.20ml/g未満、及び、(v)直径1μm未満の細孔による細孔容積が0.20ml/g未満、の特性のうち少なくとも1つを更に含むことを特徴とする請求項7記載の担体。
【請求項9】
少なくとも1つの沈着した触媒活性金属を含む触媒系用の担体であって、
幾何学形状の耐熱性固体担体からなり、前記幾何学形状の耐熱性固体担体の少なくとも1つの壁厚が2.5mm未満であり、
全細孔容積が約0.2ml/g〜約0.6ml/g、表面積が約0.3〜約3.0m/g、1から5μmの間の直径を有する細孔による細孔容積が少なくとも40%、細孔径分布が1から5μmの間、直径が5μmを超える細孔による細孔容積が0.20ml/g未満、かつ、直径1μm未満の細孔による細孔容積が0.20ml/g未満である酸化アルミニウムからなることを特徴とする担体。
【請求項10】
オレフィンのエポキシ化に有用な触媒であって、
少なくとも1つの壁厚が2.5mm未満である幾何学形状の耐熱性固体担体と、
その上に沈着される触媒作用に効果的な量の銀からなる触媒。
【請求項11】
前記少なくとも1つの壁厚が2.0mm未満であることを特徴とする請求項10記載の触媒。
【請求項12】
前記少なくとも1つの壁厚が1.5mm未満であることを特徴とする請求項10記載の触媒。
【請求項13】
前記幾何学形状の耐熱性固体担体は、中空円筒、3つの穴、ワゴン車輪、十字分割された中空円筒、又は、ハチの巣の形状を有することを特徴とする請求項1記載の触媒。
【請求項14】
前記幾何学形状の耐熱性固体担体は、酸化アルミニウム、炭、軽石、マグネシア、ジルコニア、チタニア、珪藻土、酸性白土、炭化ケイ素、シリカ、二酸化ケイ素、マグネシア、粘土、人口ゼオライト、天然ゼオライト、セラミック又はその組み合わせからなることを特徴とする請求項10記載の触媒。
【請求項15】
前記幾何学形状の耐熱性固体担体は、純度が約90%以上の酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項10記載の触媒。
【請求項16】
前記幾何学形状の耐熱性固体担体は、全細孔容積が約0.2ml/gから約0.6ml/gであることを特徴とする請求項10記載の触媒。
【請求項17】
前記幾何学形状の耐熱性固体担体は、(i)表面積が約0.3〜約3.0m/g、(ii)細孔容積が少なくとも40%が1から5μmの間の直径を有する細孔、(iii)1から5μmの間の細孔径分布、(iv)直径が5μmを超える細孔による細孔容積が0.20ml/g未満、及び、(v)直径1μm未満の細孔による細孔容積が0.20ml/g未満、の特性のうち少なくとも1つを更に含むことを特徴とする請求項16記載の触媒。
【請求項18】
促進量の促進剤を更に含み、
前記促進剤は、1つ以上のアルカリ金属含有化合物、1つ以上の遷移金属含有化合物、1つ以上の硫黄成分、1つ以上のフッ素含有成分又はその組み合わせからなることを特徴とする請求項10記載の触媒。
【請求項19】
前記促進剤は、元素周期表のVB, VIB, VIIB及VIII族から選ばれる少なくとも1つの元素からなる遷移金属であることを特徴とする請求項18記載の触媒。
【請求項20】
前記遷移金属は、レニウム、モリブデン、タングステン又はその組み合わせからなることを特徴とする請求項18記載の触媒。
【請求項21】
前記促進剤は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム又はその組み合わせからなるアルカリ金属含有化合物であることを特徴とする請求項18記載の触媒。
【請求項22】
前記担体上に沈着した促進量のレニウム、リチウム、セシウム、硫黄及び任意のタングステンを更に含む請求項10記載の触媒。
【請求項23】
オレフィンのエポキシ化に有用な触媒であって、
幾何学形状の耐熱性固体担体からなり、前記幾何学形状の耐熱性固体担体の少なくとも1つの壁厚が2.5mm未満であり、
前記担体は、全細孔容積が約0.2ml/g〜約0.6ml/g、表面積が約0.3〜約3.0m/g、1から5μmの間の直径を有する細孔による細孔容積が少なくとも40%、細孔径分布が1から5μmの間、直径が5μmを超える細孔による細孔容積が0.20ml/g未満、かつ、直径1μm未満の細孔による細孔容積が0.20ml/g未満である酸化アルミニウムと、前記担体上に沈着した効果的な量の銀と、促進量のレニウム、リチウム、セシウム、硫黄及びタングステンからなることを特徴とする触媒。
【請求項24】
オレフィン酸化触媒の存在下で、固定床管型{こてい しょう はんのう}反応器内で少なくとも1つのオレフィンと分子酸素を接触させる工程を含み、
前記オレフィン酸化触媒は、少なくとも1つの壁厚が2.5mm未満である幾何学形状の耐熱性固体担体と、その上に沈着した触媒作用に効果的な量の銀からなることを特徴とするオレフィンから酸化オレフィンへの酸化工程。
【請求項25】
前記少なくとも1つのオレフィンがエチレンであることを特徴とする請求項24記載の工程。
【請求項26】
前記接触は、気相内で行うことを特徴とする請求項24記載の工程。

【公表番号】特表2011−514845(P2011−514845A)
【公表日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550784(P2010−550784)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/036307
【国際公開番号】WO2009/114411
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(507273035)エスデー リ−ツェンスフェルヴェールトゥングスゲゼルシャフト エムベーハー ウント コー. カーゲー (13)
【氏名又は名称原語表記】SD LIZENZVERWERTUNGSGESELLSCHAFT MBH & CO.KG
【Fターム(参考)】