説明

オレフィンのヒドロホルミル化方法およびそれに用いられる装置

【課題】
【解決手段】本発明は、オレフィンを水素および一酸化炭素を含む合成ガスと反応させてアルデヒドを製造するための方法および装置に関し、より詳しくは、ノズルを介して、オキソ反応器の内部に、オレフィン、一酸化炭素および水素を含む合成ガス、および触媒組成物を噴射及び供給して反応させることを特徴とするアルデヒドの製造方法および装置に関する。本発明は、ヒドロホルミル化反応の効率を向上できるために目的とするアルデヒドを高収率で得ることができる効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィンのヒドロホルミル化によってアルデヒドを製造するための方法および装置に関する。
【0002】
本出願は2007年5月29日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2007−0051868号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
オレフィンと一酸化炭素および水素を触媒存在下で反応させ、C=C結合に水素とホルミル基(−CHO)が付加された構造の飽和アルデヒドを生成する方法はヒドロホルミル化反応またはオキソ反応として知られている。一般的に、生成されたアルデヒドを縮合した後に水素化してより長い鎖のアルコールを合成する。
【0004】
プロピレンからロジウム系触媒を用いてオクタノール(2−エチルヘキサノール)を製造するのがヒドロホルミル化の代表的な例である。
【0005】
オクタノールはDOPなどのPVC可塑剤原料として主に用いられ、その他に合成潤滑剤、界面活性剤などの中間原料として用いられる。プロピレンは合成ガス(H2+CO)と共に触媒を用いるオキソ反応器に投入され、n−ブチルアルデヒドおよびiso−ブチルアルデヒドを生成するようになる。生成されたアルデヒド混合物は触媒混合物と共に分離系に送られて炭化水素と触媒混合物に分離された後、触媒混合物は反応器に循環され、炭化水素成分はストリッパーに移送される。ストリッパーの炭化水素はFRESH合成ガスによってストリッピングされ、未反応プロピレンおよび合成ガスはオキソ反応器に回収され、ブチルアルデヒドは分留塔に移送されて、n−およびiso−ブチルアルデヒドに各々分離される。分留塔底のn−ブチルアルデヒドはアルドール縮合反応器に導入され、縮合、脱水反応によって2−エチルヘキセナールを生成した後に水添反応器に移送され、水素添加によってオクタノール(2−エチルヘキサノール)が生成される。水添反応器出口の反応物は分留塔に移送され、LIGHT/HEAVY ENDを分離した後、オクタノール製品を生産する。
【0006】
ヒドロホルミル化反応は連続、半連続またはバッチ式で行われてもよく、典型的なヒドロホルミル化反応工程は気体または液体再循環システムである。一方、ヒドロホルミル化反応は、液相および気相からなる出発物質が円滑に接触するようにして反応効率を上げることが重要である。そのために、従来には反応器内で液相および気相成分が円滑に接触するように攪拌する連続攪拌式反応器(continuous stirred tank reactor、CSTR)が主に用いられた。また、米国特許第5,763,678号(特許文献1)には、一連のloop形態の反応器を適用し、循環を通じて攪拌を代替するヒドロホルミル化方法が開示されている。しかし、前記方法はヒドロホルミル化反応の効率を向上させるのに限界があり、単一反応器だけでは満足できるほどのアルデヒド製品を得ることができないため、一般的に反応滞留時間を大きくするか、二つ以上の反応器を直列に連結することにより、所望するレベルの製品を生産することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,763,678号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記問題点を解決するために、本発明は、オレフィンを一酸化炭素および水素と反応させてアルデヒドを製造する方法であって、ヒドロホルミル化反応の効率を向上させることにより、目的とするアルデヒドを高収率で得ることができるオレフィンのヒドロホルミル化方法およびそれに用いられる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明においては、ノズルが備えられているオキソ反応器の内部に、前記ノズルを介して、オレフィンと、水素および一酸化炭素を含む合成ガスを噴射及び供給して反応させるステップを含むオレフィンのヒドロホルミル化方法を提供する。
【0010】
前記オレフィンのヒドロホルミル化方法において、前記オレフィンおよび合成ガスは95:5〜5:95のモル比で噴射及び供給することができる。
【0011】
前記オレフィンのヒドロホルミル化方法において、前記オレフィンおよび合成ガスは、各々、5〜200barの供給圧力で、ノズルを介してオキソ反応器に噴射及び供給することができる。
【0012】
前記オレフィンのヒドロホルミル化方法において、前記ノズルにはベンチュリが結合されてもよい。
【0013】
前記オレフィンのヒドロホルミル化方法において、前記オキソ反応器はベンチュリ−ループ反応器であってもよい。
【0014】
前記オレフィンのヒドロホルミル化方法において、前記ノズルの直径は0.1mm〜100cmであり得る。
【0015】
前記オレフィンのヒドロホルミル化方法において、ポンプによって循環される反応液体の流量は分当たり反応器装入容量の0.01倍〜20倍であり得る。
【0016】
前記オレフィンのヒドロホルミル化方法において、前記オキソ反応器は、温度50〜200℃、圧力5〜50barに維持することができる。
【0017】
前記オレフィンのヒドロホルミル化方法において、前記オレフィンはプロピレンであり、前記アルデヒドはブチルアルデヒドであり、前記触媒溶液はロジウム触媒溶液であってもよい。
【0018】
前記オレフィンのヒドロホルミル化方法は、前記オキソ反応器から反応混合物を回収するステップをさらに含むことができる。
【0019】
前記オレフィンのヒドロホルミル化方法は、反応混合物からアルデヒドを分離するステップをさらに含むことができる。
【0020】
前記オレフィンのヒドロホルミル化方法は、前記反応混合物からアルデヒドが分離された触媒混合物を、前記オキソ反応器に備えられているノズルを介して再び供給するステップをさらに含むことができる。
【0021】
また、本発明においては、ノズルが備えられているオキソ反応器と;前記ノズルに各々連結されるオレフィン供給配管と水素および一酸化炭素を含む合成ガスを供給するための合成ガス供給配管と;前記オキソ反応器から反応混合物を回収して、前記オキソ反応器に備えられたノズルに供給するための再循環配管と;前記再循環配管のいずれか1ヶ所から分岐される分離配管と;前記分離配管と連結された触媒/アルデヒド分離装置と;前記触媒/アルデヒド分離装置と再循環配管のいずれか1ヶ所を連結する触媒溶液供給配管;および前記触媒/アルデヒド分離装置に連結されるアルデヒド回収配管を含むオレフィンのヒドロホルミル化装置を提供する。
【0022】
前記オレフィンのヒドロホルミル化装置において、前記ノズルはオキソ反応器内部の上端に備えられてもよい。
【0023】
前記オレフィンのヒドロホルミル化装置において、前記ノズルにはベンチュリが結合されてもよい。
【0024】
前記オレフィンのヒドロホルミル化装置において、前記オキソ反応器はベンチュリ−ループ反応器であってもよい。
【0025】
前記オレフィンのヒドロホルミル化装置において、前記ノズルの直径は0.1mm〜100cmであり得る。
【0026】
前記オレフィンのヒドロホルミル化方法において、ポンプによって循環される反応液体の流量は、分当たり反応器装入容量の0.01倍から20倍であり得る。
【0027】
前記オレフィンのヒドロホルミル化装置において、前記オキソ反応器の下部と前記ノズルを連結する再循環配管のいずれか1ヶ所には循環ポンプが備えられてもよい。
【0028】
前記オレフィンのヒドロホルミル化装置において、前記オキソ反応器の下部と前記ノズルを連結する再循環配管のいずれか1ヶ所には熱交換器が備えられてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、オレフィンをヒドロホルミル化してアルデヒドを製造する方法であって、反応効率を向上させ、目的とするアルデヒドを高収率で得ることができる優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態によるオレフィンのヒドロホルミル化過程を示す概略工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0032】
本発明に用いられる好ましいオレフィンの例としては、エチレン、プロピレン、ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、2−ブテン、2−メチルプロペン、2−ペンテン、2−ヘキセン、2−ヘプテン、2−エチルヘキセン、2−オクテン、スチレン、3−フェニル−1−プロペン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、3−シクロヘキシル−1−ブテン、アリルアセテート、アリルブチレート、メチルメタクリレート、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルエチルエーテル、n−プロピル−7−オクテノエート、3−ブテンニトリル、5−ヘキセンアミド、4−メチルスチレン、4−イソプロピルスチレンなどが挙げられる。
【0033】
本発明による典型的な工程は、プロピレンを、ロジウム触媒を用いて、n−およびiso−ブチルアルデヒドにヒドロホルミル化する反応を含む。
【0034】
本発明により製造されたアルデヒドは水素添加され、溶媒および可塑剤製造用などとして用いることができる相応するアルコールに転換されることができる。
【0035】
オレフィンのヒドロホルミル化反応にはロジウム(Rh)、コバルト(Co)、イリジウム(Ir)などのVIII族遷移金属を主成分にした均一触媒を用いることができ、配位子としてはヒドロド(H-)、カルボニル(CO)、トリフェニルホスフィン(TPP)などを用いことができるが、これらに限定されず、当技術分野に知られているものを用いることができる。ロジウム触媒は高価ではあるが、コバルトやイリジウム触媒よりヒドロホルミル化工程に安定した反応条件を提供し、優れた触媒活性および高い選択度を有するため、大半の商業化された工程がこれを採択している。
【0036】
出発物質として用いられるオレフィンは、一酸化炭素および水素を含む合成ガス(syn gas)と共にオキソ反応器に備えられているノズルを介して噴射及び供給される。前記ノズルはオキソ反応器内部の上端に備えられることが好ましい。オキソ反応器に備えられる前記ノズルの好ましい直径は反応器の大きさによって異なり得るが、0.1mm〜100cmであってもよく、好ましくは1mm〜50cmである。ノズルは2つ以上の複数で構成されてもよい。
【0037】
オレフィンおよび合成ガスは、各々、1〜200barの供給圧力で、ノズルを介してオキソ反応器に噴射及び供給される。オキソ反応器に供給されるオレフィン:合成ガスのモル比は約95:5〜5:95であり、好ましくは75:25〜25:75である。前記ヒドロホルミル化反応の温度は50〜200℃、好ましくは50〜150℃、圧力は5〜100bar、好ましくは5〜50barである。
【0038】
従来の連続攪拌式反応器(CSTR)を用いたヒドロホルミル化工程とは異なり、ノズルまたはノズルおよびベンチュリを備えた連続反応器を用いる本発明は、ヒドロホルミル化反応において、気体−液体の接触を円滑にすることによって反応効率をより増大させることができる。
【0039】
特に、ノズルおよびベンチュリを備えた連続反応器(ベンチュリ−ループ反応器)を使用する場合、ノズルを介して、出発物質であるオレフィンと合成ガス(CO+H2)をベンチュリ内に噴射し、気体−液体の接触をより円滑にして反応効率を極大化することができる。
【0040】
ヒドロホルミル化反応は、循環式反応器を利用して生成物(反応混合物)の一部を反応物(出発物質)として再使用することができる。オキソ反応器の下部から回収される反応混合物は、アルデヒド、未転換されたオレフィンおよび触媒溶液などを含有する。前記反応混合物から、分離装置を利用して目的物質であるアルデヒドを分離することができる。分離したアルデヒドは回収され、反応混合物からアルデヒドが分離された触媒混合物はオキソ反応器に備えられたノズルを介してオキソ反応器の内部に再び噴射及び供給される。
【0041】
本発明を明確に理解し容易に遂行できるようにするために、本発明の方法を利用する好ましい形態の工程を添付した概略図によって説明する。図1には、当業者であれば容易に認識できるバルブ、温度測定装置、圧力調節装置などのように、工場で実際に用いられる色々な標準項目の装置が省略されている。
【0042】
図1は、本発明の一実施形態によるオレフィンのヒドロホルミル化過程を図式的に示す。オレフィン(例えば、プロピレン)と合成ガス(一酸化炭素+水素)は、各々、オレフィン供給配管10および合成ガス供給配管11を介し、内部に触媒溶液が装入されているオキソ反応器100の上部に備えられているノズル20に供給される。
【0043】
気体−液体反応の効率を増大させるために、オキソ反応器100の内部にはノズル20および前記ノズルに結合されたベンチュリ30が設けられており、供給されたオレフィンおよび合成ガスはノズル20を介してベンチュリ30内に連続的に噴射及び供給される。このように、オキソ反応器100は、内部に気体−液体反応の効率を上げるために、ノズルまたはノズルおよびベンチュリが備えられた反応器であってもよく、好ましくは、ベンチュリ−ループ(venturi−loop)反応器である。オキソ反応器の内部に噴射されたオレフィンおよび合成ガスは、触媒存在下で、ヒドロホルミル化反応をして反応混合物を生成する。反応混合物は、目的物質であるアルデヒド(例えば、n−およびiso−ブチルアルデヒド)の他に、未転換されたオレフィン、反応副産物および触媒溶液などを含む。
【0044】
アルデヒドが含まれた反応混合物は、循環ポンプ40を使って再循環配管12を介して回収された後、再循環配管13を介して、反応器に備えられたノズル20に循環されるが、循環される反応混合物の一部は、アルデヒドを分離するために、再循環配管13から分岐される分離配管17を介して触媒/アルデヒド分離装置50に誘導されてもよい。
【0045】
アルデヒドを分離するための触媒/アルデヒド分離装置50は、反応混合物からアルデヒドを分離できる手段であればその種類に特に制限されない。回収されたアルデヒドはアルデヒド回収配管18を介して分離回収装置など(図示せず)に送られ、通常の蒸留装置などによって処理して様々なアルデヒドおよび縮合生成物を分離、回収することができる。例えば、プロピレンからブチルアルデヒドを生成するヒドロホルミル化工程においては、オキソ反応器から回収されたブチルアルデヒドは分留塔に移送され、n−およびiso−ブチルアルデヒドに各々分離される。分留塔底のn−ブチルアルデヒドはアルドール縮合反応器と水素化反応を経てオクタノール(2−エチルヘキサノール)が生成される。
【0046】
反応混合物から目的物質であるアルデヒドが回収され、残った触媒混合物は触媒溶液再循環配管19を経てオキソ反応器100の再循環配管15に供給される。
【0047】
このように再循環された触媒混合物と合流した反応器の反応混合物は、熱交換器60を経て、オレフィン供給配管10および合成ガス供給配管11を介して供給されるオレフィンおよび合成ガスと共に、オキソ反応器100に備えられているノズル20を介してオキソ反応器100の内部に噴射及び供給される。
【0048】
目的物質が分離された触媒混合物の再循環は連続的に行われてもよい。場合によっては、再循環される反応混合物の一部を排出して触媒を再生させるか、新しい触媒溶液または再活性化された触媒溶液を反応混合物の再循環ストリームに付加することができる。図1は、触媒溶液再循環配管19を再循環配管14および15の間に連結して、アルデヒドを除去して残った触媒溶液または再活性化された触媒溶液を反応器システムに導入する例を示している。
【0049】
再循環配管(15および16)の間には熱交換器60が備えられてもよいが、その位置は循環サイクル上の特定の位置に限定されない。熱交換器60は、オキソ反応器100に再循環される反応混合物をヒドロホルミル化反応条件に好適な温度に維持させる役割をする。
【実施例】
【0050】
以下、好ましい実施例を通して本発明をより詳細に説明する。但し、下記実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲が下記実施例に限定されるものではない。
【0051】
[実施例1]
図1のように、3リットル容量のベンチュリ−ループ反応器を製作して設置した。反応器は、外部熱交換器の代わりに熱媒体油をジャケットに流して反応器の内部温度を一定に維持するようにした。ベンチュリ−ループ反応器に取り付けられたノズルの直径は1.7mm、拡管の直径は8.0mm、長さは200mmであった。精製されたn−ブチルアルデヒド800gにトリフェニルホスフィン(TPP)48g、ロジウムトリフェニルホスフィンアセチルアセトネートカルボニル(ROPAC)0.8g(重さ)を溶かしてn−ブチルアルデヒド触媒溶液を製造した。このように製造された触媒溶液を反応器に投入し、循環ポンプを稼動して、触媒溶液を分当たり2リットルの速度で徐々に循環させながら、反応器上部のノズルを介して、精製された窒素ガスで全体システムを3回パージ(purging)した。外部循環ポンプを分当たり2リットルの速度に維持し続けると同時に、ベンチュリ−ループ反応器外部のジャケットに熱媒体油を流して反応器の内部温度を90℃に昇温して維持した。温度が90℃に安定化されれば、プロピレンを12g/minの流速で、反応器の内部圧力が16.2bargになるまでに供給した。供給後5分間ベンチュリ−ループ反応器の内部温度が90℃に維持されるのを確認し、18.8bargの供給圧力に予め設定された合成ガス(一酸化炭素と水素のモル比が50:50である混合気体)を反応器のノズルの首部分(図面1の10)に供給すると同時に反応を開始した。反応器と連結された自動温度制御装置によってベンチュリ−ループ反応器の内部温度を90℃に維持しつつ、時間に応じて反応器に供給される合成ガスの流量を測定した。2時間反応させた後、混合ガスを遮断した後、循環ポンプの稼動を直ちに中断し、反応器の温度を常温に下げた後に圧力を解除し、全体触媒溶液と生成物の混合物を分離配管で回収して重さを測定した結果、反応後全体溶液の重さは1,265gであり、その結果、反応によって作られたブチルアルデヒドの重さは465gであった。また、混合ガス供給配管に設けられた積算流量計により、消耗した全体混合ガス量を測定した結果、反応中合成ガスの最大消耗速度は分当たり5.4リットルであった。
【0052】
[実施例2]
循環ポンプの循環流量を分当たり1.0リットルに減らし、他の条件と方法は実施例1と同様に実験を行った。2時間反応後収得した触媒溶液と生成物の混合物総重さは1,225gであり、反応によって作られたブチルアルデヒドの重さは420gであった。反応中合成ガスの最大消耗速度は分当たり4.1リットルであった。
【0053】
[実施例3]
ベンチュリ−ループ反応器に取り付けられたノズルを4mmに変更し、他の条件と方法は実施例1と同様に実験を行った。2時間反応後収得した触媒溶液と生成物の混合物総重さは1,240gであり、反応によって作られたブチルアルデヒドの重さは440gであった。反応中合成ガスの最大消耗速度は分当たり4.6リットルであった。
【0054】
[比較例1]
実施例1のように、合成ガスをベンチュリ−ループ反応器のノズル首(図面1の10)に供給する代わりに、ノズル上部の循環管(図面1の16)に供給することを除いては、実施例1と同じ方法と手続きにより実験を行った。反応によって作られたブチルアルデヒドの重さは412gであり、反応中合成ガスの最大消耗速度は分当たり4.0リットルであった。
【0055】
[比較例2]
実施例1のベンチュリ−ループ反応器の代わりに、同一の容量を有する3リットルのオートクレーブ反応器を利用することを除いては、実施例1と同じ方法と手続きにより合成ガスを供給しつつ、攪拌装置のrpmを1000に維持して2時間反応を行った。反応によって作られたブチルアルデヒドの重さは403gであり、反応中合成ガスの最大消耗速度は分当たり3.9リットルであった。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、オレフィンをヒドロホルミル化してアルデヒドを製造する方法であって、反応効率を向上させ、目的とするアルデヒドを高収率で得ることができるようにする。
【符号の説明】
【0057】
10:オレフィン供給配管
11:合成ガス供給配管
12、13、14、15、16:再循環配管
17:分離配管
18:アルデヒド回収配管
19:触媒溶液供給配管
20:ノズル
30:ベンチュリ
40:循環ポンプ
50:触媒/アルデヒド分離装置
60:熱交換器
100:オキソ反応器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベンチュリが結合されたノズルおよび再循環配管が備えられているオキソ反応器の内部に、前記ノズルを介して、オレフィンと、水素および一酸化炭素を含む合成ガスを噴射及び供給して反応させるステップを含むオレフィンのヒドロホルミル化方法。
【請求項2】
前記オレフィンおよび合成ガスは95:5〜5:95のモル比で噴射及び供給される、請求項1に記載のオレフィンのヒドロホルミル化方法。
【請求項3】
前記オレフィンおよび合成ガスは、各々、1〜200barの供給圧力で、ノズルを介してオキソ反応器に噴射及び供給される、請求項1に記載のオレフィンのヒドロホルミル化方法。
【請求項4】
前記オキソ反応器はベンチュリ−ループ反応器である、請求項1に記載のオレフィンのヒドロホルミル化方法。
【請求項5】
前記ノズルの直径は0.1mm〜100cmである、請求項1に記載のオレフィンのヒドロホルミル化方法。
【請求項6】
前記再循環配管を通して循環される流体の流量が分当たり反応器装入容量の0.01倍〜20倍である、請求項1に記載のヒドロホルミル化方法。
【請求項7】
前記オキソ反応器を、温度50〜200℃及び圧力5〜50barに維持する、請求項1に記載のオレフィンのヒドロホルミル化方法。
【請求項8】
前記オレフィンはプロピレンであり、前記アルデヒドはブチルアルデヒドである、請求項1に記載のオレフィンのヒドロホルミル化方法。
【請求項9】
前記触媒溶液はロジウム触媒溶液である、請求項8に記載のオレフィンのヒドロホルミル化方法。
【請求項10】
前記オキソ反応器から反応混合物を回収するステップをさらに含む、請求項1に記載のオレフィンのヒドロホルミル化方法。
【請求項11】
前記反応混合物からアルデヒドを分離するステップをさらに含む、請求項10に記載のオレフィンのヒドロホルミル化方法。
【請求項12】
前記反応混合物からアルデヒドが分離された触媒混合物を、前記オキソ反応器に備えられているノズルを介して再び供給するステップをさらに含む、請求項11に記載のオレフィンのヒドロホルミル化方法。
【請求項13】
ベンチュリが結合されたノズルが備えられているオキソ反応器と;前記ノズルに各々連結されるオレフィン供給配管と水素および一酸化炭素を含む合成ガスを供給するための合成ガス供給配管と;前記オキソ反応器から反応混合物を回収して、前記オキソ反応器に備えられたノズルに供給するための再循環配管と;前記再循環配管のいずれか1ヶ所から分岐される分離配管と;前記分離配管と連結された触媒/アルデヒド分離装置と;前記触媒/アルデヒド分離装置と再循環配管のいずれか1ヶ所を連結する触媒溶液供給配管;および前記触媒/アルデヒド分離装置に連結されるアルデヒド回収配管を含むオレフィンのヒドロホルミル化装置。
【請求項14】
前記ノズルはオキソ反応器内部の上端に備えられる、請求項13に記載のオレフィンのヒドロホルミル化装置。
【請求項15】
前記オキソ反応器はベンチュリ−ループ反応器である、請求項13に記載のオレフィンのヒドロホルミル化装置。
【請求項16】
前記ノズルの直径は0.1mm〜100cmである、請求項12に記載のオレフィンのヒドロホルミル化装置。
【請求項17】
前記再循環配管のいずれか1ヶ所には循環ポンプが備えられる、請求項13に記載のオレフィンのヒドロホルミル化装置。
【請求項18】
前記再循環配管のいずれか1ヶ所には熱交換器が備えられる、請求項13に記載のオレフィンのヒドロホルミル化装置。

【図1】
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【公表番号】特表2010−529013(P2010−529013A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510218(P2010−510218)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際出願番号】PCT/KR2008/003029
【国際公開番号】WO2008/147129
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】