説明

オレフィン重合用触媒およびオレフィン重合体の製造方法

【課題】オレフィン重合体を高活性で製造し得るオレフィン重合用触媒を提供する。
【解決手段】下記一般式[1]で表される化合物、及び一般式[2]で表される亜鉛化合物と1,1−ジ(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノールとを接触させて得られる亜鉛含有化合物を接触させて形成されるオレフィン重合用触媒。


下記(B)Zn(L[2]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン重合体を高活性で製造し得るオレフィン重合用触媒および前記オレフィン重合用触媒を用いるオレフィン重合体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オレフィン重合体は、機械的性質等に優れ、また、安価で経済的であることから各種成形分野で広く用いられている。
従来から、オレフィン重合体の製造方法としては、遷移金属化合物(例えば、メタロセン錯体や非メタロセン化合物)からなる遷移金属成分とアルミノキサン等からなる有機金属成分とを組み合わせた触媒を用いる方法が知られており、例えば、特許文献1には、ビス(ペンタフルオロフェノキシ)亜鉛、第3〜13族もしくはランタノイド系列金属化合物、および有機アルミニウム化合物を接触させてなるオレフィン重合用触媒を用いる方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−181327
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オレフィンの重合においては、製造コストの改善や製造されるオレフィン重合体に含まれる触媒成分に由来する灰分比率を減少させるという観点から、オレフィン重合用触媒の更なる高活性化が求められている。
本発明が解決しようとする課題、即ち本発明の目的は、オレフィン重合体を高活性で製造し得るオレフィン重合用触媒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち、本発明は、下記一般式[1]で表される化合物(A)、および下記亜鉛含有化合物(B)を接触させて形成されるオレフィン重合用触媒にかかるものである。

[1]

(式中、Mは元素の周期律表の第4族の遷移金属原子を示し、Aは元素の周期律表の第16族の原子を示し、Jは元素の周期律表の第14族の原子を示す。Cpはシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を示す。X、X、R、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、置換シリル基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基または2置換アミノ基を示す。X、X、R、R、R、R、R、Rはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。)

下記一般式[2]で表される亜鉛化合物と、該亜鉛化合物1モル当たり、2モル以上の1,1−ジ(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノールとを接触させて形成される亜鉛含有化合物(B)
Zn(L [2]
(式中、Lは、炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基を表し、2つのLは、互いに同じであっても異なっていてもよい。)
【0006】
さらに、本発明は、化合物(A)と、下記亜鉛含有化合物(B)と、(C)無機粒子担体とを接触させて形成されるオレフィン重合用触媒にかかるものである。
また、本発明は、化合物(A)と、下記亜鉛含有化合物(B)と、有機アルミニウム化合物(D)を接触させて形成されるオレフィン重合用触媒にかかるものである。また、本発明は、上記オレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンを重合する、オレフィン重合体の製造方法にかかるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高活性でオレフィン重合体を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
化合物(A)は、下記一般式(1)で表される。


[1]

(式中、Mは元素の周期律表の第4族の遷移金属原子を示し、Aは元素の周期律表の第16族の原子を示し、Jは元素の周期律表の第14族の原子を示す。Cpはシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を示す。X、X、R、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、置換シリル基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基または2置換アミノ基を示す。X、X、R、R、R、R、R、Rはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
【0009】
シクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基としては、例えばη5−シクロぺンタジエニル基、η5 −メチルシクロペンタジエニル基、η5 −ジメチルシクロペンタジエニル基、η5 −トリメチルシクロペンタジエニル基、η5 −テトラメチルシクロペンタジエニル基、η5 −エチルシクロぺンタジエニル基、η5 −n−プロピルシクロペンタジエニル基、η5 −イソプロピルシクロペンタジエニル基、η5 −n−ブチルシクロペンタジエニル基、η5 −sec−ブチルシクロペンタジエニル基、η5 −tert−ブチルシクロぺンタジエニル基、η5 −n−ペンチルシクロぺンタジエニル基、η5 −ネオペンチルシクロぺンタジエニル基、η5 −n−ヘキシルシクロぺンタジエニル基、η5 −n−オクチルシクロぺンタジエニル基、η5 −フェニルシクロぺンタジエニル基、η5 −ナフチルシクロぺンタジエニル基、η5 −トリメチルシリルシクロぺンタジエニル基、η5 −トリエチルシリルシクロぺンタジエニル基、η5 −tert−ブチルジメチルシリルシクロぺンタジエニル基、η5 −インデニル基、η5 −メチルインデニル基、η5 −ジメチルインデニル基、η5 −エチルインデニル基、η5 −n−プロピルインデニル基、η5 −イソプロピルインデニル基、η5 −n−ブチルインデニル基、η5 −sec−ブチルインデニル基、η5 −tert−ブチルインデニル基、η5 −n−ペンチルインデニル基、η5 −ネオペンチルインデニル基、η5 −n−ヘキシルインデニル基、η5 −n−オクチルインデニル基、η5 −n−デシルインデニル基、η5 −フェニルインデニル基、η5 −メチルフェニルインデニル基、η5 −ナフチルインデニル基、η5−トリメチルシリルインデニル基、η5 −トリエチルシリルインデニル基、η5 −tert−ブチルジメチルシリルインデニル基、η5 −テトラヒドロインデニル基、η5 −フルオレニル基、η5 −メチルフルオレニル基、η5 −ジメチルフルオレニル基、η5 −エチルフルオレニル基、η5 −ジエチルフルオレニル基、η5 −n−プロピルフルオレニル基、η5 −ジ−n−プロピルフルオレニル基、η5 −イソプロピルフルオレニル基、η5 −ジイソプロピルフルオレニル基、η5 −n−ブチルフルオレニル基、η5 −sec−ブチルフルオレニル基、η5 −tert−ブチルフルオレニル基、η5 −ジ−n−ブチルフルオレニル基、η5 −ジ−sec−ブチルフルオレニル基、η5 −ジ−tert−ブチルフルオレニル基、η5 −n−ペンチルフルオレニル基、η5 −ネオペンチルフルオレニル基、η5−n−ヘキシルフルオレニル基、η5 −n−オクチルフルオレニル基、η5 −n−デシルフルオレニル基、η5 −n−ドデシルフルオレニル基、η5 −フェニルフルオレニル基、η5 −ジ−フェニルフルオレニル基、η5 −メチルフェニルフルオレニル基、η5 −ナフチルフルオレニル基、η5 −トリメチルシリルフルオレニル基、η5 −ビス−トリメチルシリルフルオレニル基、η5 −トリエチルシリルフルオレニル基、η5 −tert−ブチルジメチルシリルフルオレニル基などが挙げられ、好ましくはη5 −シクロペンタジエニル基、η5 −メチルシクロペンタジエニル基、η5 −tert−ブチルシクロペンタジエニル基、η5 −テトラメチルシクロペンタジエニル基、η5 −インデニル基、η5 −フルオレニル基などである。
【0010】
置換基X1 、X2 、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 におけるハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが例示される。
【0011】
置換基X1 、X2 、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 における炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、n−エイコシル基などが挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、アミル基である。
【0012】
これらのアルキル基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えばフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、トリヨードメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、クロロエチル基、ジクロロエチル基、トリクロロエチル基、テトラクロロエチル基、ペンタクロロエチル基、ブロモエチル基、ジブロモエチル基、トリブロモエチル基、テトラブロモエチル基、ペンタブロモエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロペンタデシル基、パーフルオロエイコシル基、パークロロプロピル基、パークロロブチル基、パークロロペンチル基、パークロロヘキシル基、パークロロクチル基、パークロロドデシル基、パークロロペンタデシル基、パークロロエイコシル基、パーブロモプロピル基、パーブロモブチル基、パーブロモペンチル基、パーブロモヘキシル基、パーブロモクチル基、パーブロモドデシル基、パーブロモペンタデシル基、パーブロモエイコシル基などが挙げられる。
【0013】
置換基X1 、X2 、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6における炭素原子数7〜20のアラルキル基としては、例えばベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(4,6−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−テトラデシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基などが挙げられ、好ましくはベンジル基である。これらのアラルキル基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0014】
置換基X1 、X2 、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6における炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えばフェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが挙げられ、好ましはフェニル基である。これらのアリール基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0015】
置換基X1 、X2 、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 における置換シリル基とは炭化水素基で置換されたシリル基であって、ここで炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などの炭素原子数1〜10のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが挙げられる。かかる炭素原子数1〜20の置換シリル基としては、例えばメチルシリル基、エチルシリル基、フェニルシリル基などの炭素原子数1〜20の1置換シリル基、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジフェニルシリル基などの炭素原子数2〜20の2置換シリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基などの炭素原子数3〜20の3置換シリル基などが挙げられ、好ましくはトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基である。これらの置換シリル基はいずれもその炭化水素基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0016】
置換基X1 、X2 、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 における炭素原子数1〜20のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、ネオペントキシ基、n−ヘキソキシ基、n−オクトキシ基、n−ドデソキシ基、n−ペンタデソキシ基、n−イコソキシ基などが挙げられ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基である。これらのアルコキシ基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0017】
置換基X1 、X2 、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 における炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基としては、例えばベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メ
トキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、(n−テトラデシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基などが挙げられ、好ましくはベンジルオキシ基である。これらのアラルキルオキシ基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0018】
置換基X1 、X2 、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6におけるアリールオキシ基としては、例えばフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、
2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセノキシ基などの炭素数6〜20のアリールオキシ基などが挙げられる。これらのアリールオキシ基はいずれもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0019】
置換基X1 、X2 、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 における炭素原子数2〜20の2置換アミノ基とは2つの炭化水素基で置換されたアミノ基であって、ここで炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などの炭素原子数2〜20のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが挙げられる。かかる炭素原子数1〜10の2置換アミノ基としては、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジ−イソブチルアミノ基、tert−ブチルイソプロピルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビストリメチルシリルアミノ基、ビス−tert−ブチルジメチルシリルアミノ基などが挙げられ、好ましくはジメチルアミノ基、 ジエチルアミノ基である。
【0020】
置換基X1 、X2 、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6は任意に結合して環を形成していてもよい。
【0021】
置換基X1 、X2として好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基であり、さらに好ましくはハロゲン原子である。R1 として好ましくはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜20の置換シリル基である。
【0022】
具体的には、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジメトキサイド等が挙げられる。これらの遷移金属化合物の製造方法としては、特開平9−87313公報、特開2000−26480公報に記載の方法をあげることができる。
【0023】
一般式(B)は下記一般式[2]で表される亜鉛化合物と、
Zn(L [2]
該亜鉛含有化合物1モル当たり、2モル以上の1,1−ジ(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(「パーフルオロ(トリメチル)カルビノール」とも称され、また、「パーフルオロ−tert−ブチルアルコール」とも称される。)とを接触させて形成される。
【0024】
上記一般式[2]において、Lは、炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基を表し、2つのLは、互いに同じであっても異なっていてもよい。
1の炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基としては、例えば、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基等が挙げられる。
【0025】
上記式[2]のL1として好ましくは、炭素原子数1〜20のアルキル基または炭素原子数6〜20のアリール基であり、より好ましくは、炭素原子数1〜20のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基であり、特に好ましくは、エチル基である。
【0026】
一般式[2]で表される亜鉛化合物としては、例えば、ジアルキル亜鉛等が挙げられる。ジアルキル亜鉛としては、例えば、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジ−n−プロピル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ジ−n−ヘキシル亜鉛等が挙げられる。
【0027】
一般式[2]で表される亜鉛化合物として好ましくは、ジアルキル亜鉛であり、より好ましくは、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジ−n−プロピル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛またはジ−n−ヘキシル亜鉛であり、更に好ましくは、ジメチル亜鉛またはジエチル亜鉛であり、特に好ましくは、ジエチル亜鉛である。
【0028】
上記一般式[2]で表される亜鉛化合物と、1,1−ジ(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノールとの接触は、不活性気体雰囲気下で行うことが好ましい。接触させる際の温度は、通常、−100〜300℃であり、好ましくは、−80〜200℃である。
【0029】
接触させる際の時間は、通常、1分間〜200時間であり、好ましくは、10分間〜100時間である。また、このような処理は溶媒を用いてもよく、または溶媒を用いることなくこれらの化合物を直接接触させてもよい。
【0030】
溶媒としては、上記一般式[2]で表される亜鉛化合物、1,1−ジ(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノール、およびそれらの接触物に対して不活性な溶媒が用いられる。該溶媒としては、例えば、非極性溶媒、極性溶媒が挙げられる。
【0031】
非極性溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素溶媒、脂環式炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒等が挙げられる。極性溶媒としては、例えば、ハロゲン化物溶媒、エーテル系溶媒等が挙げられる。
【0032】
脂肪族炭化水素溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等が挙げられる。脂環式炭化水素溶媒としては、例えば、シクロヘキサン等が挙げられる。芳香族炭化水素溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。ハロゲン化物溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0033】
溶媒として好ましくは、上記の脂肪族炭化水素溶媒、脂環式炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒またはエーテル系溶媒である。
【0034】
接触させる際の上記一般式[2]で表される亜鉛化合物、1,1−ジ(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノールとの使用量は、一般式[2]で表される亜鉛化合物1モル当たり1,1−ジ(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノールが2モル以上であり、好ましくは、1,1−ジ(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノールが2モル以上20モル以下であり、更に好ましくは、1,1−ジ(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノールが2モル以上10モル以下であり、最も好ましくは、1,1−ジ(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノールが2モル以上4モル以下である。
【0035】
上記一般式[2]で表される亜鉛化合物と、1,1−ジ(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノールとの接触の結果、原料である亜鉛化合物、化合物の少なくとも1種が未反応物として残存していてもよい。しかし、予め未反応物を除去する洗浄処理を行った方が好ましい。その際の溶媒は、接触時の溶媒と同じでも異なっていてもよい。このような洗浄処理は不活性気体雰囲気下で実施するのが好ましい。洗浄処理を行う際の温度は通常−100〜300℃であり、好ましくは−80〜200℃である。洗浄処理を行う際の時間は通常1分間〜200時間であり、好ましくは10分間〜100時間である。
【0036】
また、上記一般式[2]で表される亜鉛化合物と、1,1−ジ(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノールとの接触や未反応物を除去する洗浄処理の後、生成物から溶媒を留去し、その後0℃以上の温度で減圧下1時間〜24時間乾燥を行うことが好ましい。より好ましくは0℃〜200℃の温度で1時間〜24時間であり、更に好ましくは10℃〜200℃の温度で1時間〜24時間であり、特に好ましくは10℃〜160℃の温度で1時間〜18時間であり、最も好ましくは15℃〜160℃の温度で1時間〜18時間である。
【0037】
成分(B)の亜鉛含有化合物の製造方法の具体例を、亜鉛化合物がジエチル亜鉛である場合についてさらに詳細に以下に示す。
トルエンを溶媒とし、ジエチル亜鉛のヘキサン溶液を加え、0℃に冷却し、そこへジエチル亜鉛に対して2モル〜4モル量の1,1−ジ(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノールを滴下した後に、90℃〜120℃で10分間〜24時間攪拌する。減圧下、揮発性物質を留去した後に、室温で減圧下1〜20時間乾燥を行う。かくして成分(B)の亜鉛含有化合物を製造することができる。
【0038】
また、成分(B)は、無機粒子担体(C)に担持させてもよい。担体としては、粒径の整った、多孔性の物質が好ましく、無機物質が好適に使用される。
【0039】
担体に用いられ得る無機物質の例としては、無機酸化物やマグネシウム化合物等が挙げられ、粘土や粘土鉱物等も支障無ければ使用可能である。これらは混合して用いてもかまわない。
無機酸化物の具体例としては、SiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2等、およびこれらの混合物、例えば、SiO2−MgO、SiO2−Al23、SiO2−TiO2、SiO2−V25、SiO2−Cr23、SiO2−TiO2−MgOなどを例示することができる。これらの無機酸化物の中では、SiO2および/またはAl23が好ましい。なお、上記無機酸化物には少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO43、BaSO4、KNO3、Mg(NO32、Al(NO33、Na2O、K2O、Li2O等の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有してもかまわない。
【0040】
マグネシウム化合物としては、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、フッ化マグネシウムなどのハロゲン化マグネシウム;メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マグネシウムなどのアルコキシマグネシウムハライド;フェノキシ塩化マグネシウム、メチルフェノキシ塩化マグネシウムなどのアリロキシマグネシウムハライド;エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム、n−オクトキシマグネシウム、2−エチルヘキソキシマグネシウムなどのアルコキシマグネシウム;フェノキシマグネシウム、ジメチルフェノキシマグネシウムなどのアリロキシマグネシウム;ラウリン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウムなどのマグネシウムのカルボン酸塩などを例示することができる。
これらの中で好ましくは、ハロゲン化マグネシウムまたはアルコキシマグネシウムであり、さらに好ましくは塩化マグネシウムまたはブトキシマグネシウムである。
【0041】
粘土または粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、バイロフィライト、タルク、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイト等が挙げられる。
これらの中で好ましくは、スメクタイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ラポナイト、サポナイトであり、さらに好ましくはモンモリロナイト、ヘクトライトである。
【0042】
これらの無機物質は使用にあたって水分を除去する必要はないが、好ましくは加熱処理により乾燥させたものが用いられる。加熱処理は通常、温度100〜1,500℃で、好ましくは100〜1,000℃で、さらに好ましくは200〜800℃で実施される。加熱した上で、例えば、乾燥された不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン等)を一定の流速で数時間以上流通させる方法、あるいは、数時間減圧する方法等が挙げられるが、その方法は限定されることはない。
【0043】
無機物質は表面の水酸基の一部をヘキサメチルジシラザンなどによって表面処理することも出来る。表面水酸基の置換として、トリメチルシリル化して使用しても良く、必要に応じてシリル基/水酸基の量を調整することもできる。
【0044】
無機物質の平均粒子径として好ましくは、5〜1000μmであり、より好ましくは10〜500μm、さらに好ましくは10〜100μmである。細孔容量として好ましくは0.1ml/g以上、より好ましくは0.3〜10ml/gである。比表面積として好ましくは、10〜1000m2/g、より好ましくは100〜500m2/gである。
【0045】
亜鉛化合物(B)と無機粒子担体(C)を接触させる際の温度、接触時間、溶媒は一般式(B)の接触方法と同様に種々選択できる。
【0046】
また、成分(B)と無機粒子担体(C)の担体に周期律表第4族の遷移金属化合物(A)」を担持させてもよく、接触させる際の温度、接触時間、溶媒は一般式(B)の接触方法と同様に種々選択できる。
【0047】
また、担持の際に、必要に応じて有機アルミニウム成分(D)を加えてもよい。
【0048】
本発明のオレフィン重合用触媒に用いる有機アルミニウム化合物(D)は、公知の有機アルミニウム化合物が使用できる。好ましくは、下記一般式[3]で表される有機アルミニウム化合物である。
(RAl(X3−d [3]
(式中、R7は、炭素原子数1〜10のヒドロカルビル基を表し、Xは、水素原子、ハロゲン原子を表し、dは3の整数を表す。複数のRまたはXは、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
【0049】
上記一般式[3]におけるRの炭素原子数1〜10のヒドロカルビル基として、好ましくは、炭素原子数1〜10のアルキル基である。炭素原子数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルヘキシル基、n−オクチル基等が挙げられ、好ましくは、エチル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基またはn−オクチル基である。
【0050】
上記一般式[3]におけるXのハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくは、塩素原子である。
【0051】
上記一般式[3]で表される有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムクロライド、アルキルアルミニウムジクロライド、ジアルキルアルミニウムハイドライド等が挙げられる。
【0052】
トリアルキルアルミニウムとしては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム等が挙げられる。
【0053】
これらの有機アルミニウム化合物は、単独で用いても、少なくとも二種類を併用してもよい。
【0054】
有機アルミニウム化合物として好ましくは、トリアルキルアルミニウムであり、より好ましくは、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウムまたはトリ−n−オクチルアルミニウムであり、更に好ましくは、トリイソブチルアルミニウムまたはトリ−n−オクチルアルミニウムである。
【0055】
また、本発明のオレフィン重合体の製造方法は、上記本発明のオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンを重合する、オレフィン重合体の製造方法である。
重合方法としては、例えば、ガス状のモノマー中での気相重合方法、溶媒を使用する溶液重合方法、溶媒を使用するスラリー重合方法等が挙げられる。溶液重合方法、またはスラリー重合方法に用いる溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素溶媒、またはメチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素溶媒が挙げられ、あるいはオレフィン自身を溶媒に用いる(バルク重合)ことも可能である。また、重合は、回分式重合、連続式重合のいずれでも可能であり、さらに重合を反応条件の異なる2段階以上に分けて行ってもよい。重合時間は、一般に、目的とするオレフィン重合体の種類、反応装置により適宜決定されるが、1分間〜20時間の範囲を取ることができる。
【0056】
スラリー重合方法は、公知のスラリー重合方法、重合条件に従って行えばよいが、それらに限定される事はない。スラリー重合方法における好ましい重合方法として、モノマー(およびコモノマー)、供給物、稀釈剤などを必要に応じて連続的に添加し、かつ、ポリマー生成物を連続的または少なくとも周期的に取出す連続式反応器を用いる重合方法である。反応器としては、ループ反応器、反応器が異なったり、反応条件が異なったりする複数の攪拌反応器を直列または並列に組み合わせた反応器等が挙げられる。
【0057】
稀釈剤としては、例えばパラフィン、シクロパラフィンまたは芳香族炭化水素等の不活性稀釈剤(媒質)を用いることができる。重合反応器または反応帯域の温度は、通常約0℃〜約150℃、好ましくは30℃〜100℃の範囲をとることができる。圧力は通常約0.1MPa〜約10MPaに変化させることができ、好ましくは0.5MPa〜5MPaである。触媒を懸濁状態に保持し、媒質および少なくとも一部のモノマーおよびコモノマーを液相に維持し、モノマーおよびコモノマーを接触させることができる圧力をとることができる。従って、媒質、温度、および圧力は、付加重合体が固体粒子として生成され、その形態で回収されるように選択すればよい。
【0058】
この際に製造されるオレフィン重合体の分子量は反応帯域の温度の調節、水素の導入等、公知の各種の手段によって制御することができる。
各触媒成分、モノマー(およびコモノマー)は、公知の任意の方法によって、任意の順序で反応器、または反応帯域に添加できる。例えば、各触媒成分、モノマー(およびコモノマー)を反応帯域に同時に添加する方法、逐次に添加する方法等を用いることができる。所望ならば、各触媒成分はモノマー(およびコモノマー)と接触させる前に、不活性雰囲気中において予備接触させることができる。
【0059】
気相重合方法は、公知の気相重合方法、重合条件に従って行えばよいが、それらに限定されることはない。気相重合方法に用いる気相重合反応装置としては、例えば、流動層型反応槽を有する気相重合反応装置等が挙げられ、好ましくは、拡大部を有する流動層型反応槽を有する気相重合反応装置である。また、反応槽内に攪拌翼が設置されていてもよい。
各成分を重合槽に供給する方法としては通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス、水素、エチレン等を用いて、水分のない状態で供給する、あるいは溶媒に溶解または稀釈して、溶液またはスラリー状態で供給する等の方法を用いることができる。各触媒成分は個別に供給してもよいし、任意の成分を任意の順序にあらかじめ接触させて供給してもよい。
【0060】
重合条件として、重合温度は好ましくは0℃〜300℃、更にこのましくは10℃〜200℃、特に好ましくは30℃〜100℃の範囲である。さらに最終製品の溶融流動性を調節する目的で、水素を分子量調節剤として添加しても構わない。また、重合に際して、混合ガス中に不活性ガスを共存させてもよい。
【0061】
本発明においては、このような重合(本重合)の実施前に予備重合を行ってもよい。
【0062】
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、上記本発明のオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィンを重合することによって行われる。
重合に使用するオレフィンとしては、例えば、エチレン、炭素原子数3〜20のα−オレフィン、ジオレフィン、環状オレフィン、アルケニル脂環式化合物等が挙げられ、同時に2種以上のオレフィンを用いることもできる。
【0063】
炭素原子数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられ、ジオレフィンとしては、例えば、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,5−シクロオクタジエン等が挙げられ、環状オレフィンとしては、例えば、ノルボルネン、テトラシクロドデセン等が挙げられる。
【0064】
本発明は、これらのオレフィンの単独重合または共重合に適用される。共重合体を構成するオレフィンの具体例としては、エチレンとプロピレン、エチレンと1−ブテン、エチレンと1−ヘキセン、エチレンと1−オクテン等が挙げられる。
【0065】
本発明のオレフィン重合体の製造方法によって製造されるオレフィン重合体として、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、1−ブテン単独重合体、1−ヘキセン単独重合体、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンと炭素原子数4〜20のα−オレフィンとの共重合体、エチレンとプロピレンと炭素原子数4〜20のα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。炭素原子数3〜20のα−オレフィンとしては、上記に例示したものと同じものを挙げることができる。
【実施例】
【0066】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。実施例中の各項目の測定値は、下記の方法で測定した。
【0067】
(1)分子量および分子量分布
(数平均分子鎖長及び分子量分布)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、下記の条件で測定した。検量線は標準ポリスチレンを用いて作成した。分子量分布は重量平均分子鎖長(Aw)と数平均分子鎖長(An)との比(Aw/An)で評価した。重量平均分子鎖長(Aw)は、ポリスチレン換算の重量平均分子量をポリスチレンの分子量104で除し、2.52オングストローム(炭素−炭素の連鎖軸における炭素1つおきの連鎖軸の長さ)で掛けた値であり、数平均分子鎖長(An)は、ポリスチレン換算の数平均分子量をポリスチレンの分子量104で除し、2.52オングストローム(炭素−炭素の連鎖軸における炭素1つおきの連鎖軸の長さ)で掛けた値である。
機種: ミリポアウオーターズ社製 150C型
カラム: TSK−GEL GMH−HT 7.5×600×2本
測定温度:152℃
溶媒: オルトジクロロベンゼン
測定濃度:5mg/5ml
分子量標準物質:ポリスチレン
【0068】
(2)13C NMR
核磁気共鳴装置(日本電子社製、JNM−AL400)を用いて下記の条件により測定した。THF−d8の炭素原子の化学シフト値を基準にした。
測定溶媒:THF−d8
測定温度:室温
【0069】
(3)19F NMR
13C NMRと同様の機器、条件で測定を行った。ヘキサフルオロベンゼンを溶封したガラスキャピラリをNMRサンプル管中に投入し、外部標準とした。
【0070】
(4)エチレン/1−ブテン共重合体中の1−ブテン単位含有量(SCB、単位:1/1000C)
共重合体におけるα−オレフィンから誘導される繰り返し単位の含有量は、赤外分
光光度計(日本分光工業社製 FT−IR7300)を用い、エチレンとα−オレフィン
の特性吸収より検量線を用いて求め、炭素原子1000個当たりの短鎖分岐数(SCB)
として表した。
【0071】
(5)固有粘度([η])
ウベローデ型粘度計を用い、測定温度135℃にて溶媒にテトラリンを用いて測定した。
【0072】
(6)融点
熱分析装置 示差走査熱量計(Diamond DSC Perkin Elmer社製)を用いて下記の方法で測定した。
1)サンプル約10mgを窒素雰囲気下、150℃ 5分間保持
2)冷却 150℃〜20℃(5℃/分)2分間保持
3)測定 20℃〜150℃(5℃/分)
【0073】
[参考例1]
ビス(1,1−ジ(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)亜鉛「成分(B)」の合成
窒素置換した300 mLフラスコにトルエン50mL、ジエチル亜鉛 (2.06mmol/mL、トルエン溶液)20mL(41.2mmol)を入れ、1,1−ジ(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(「パーフルオロ(トリメチル)カルビノール」とも称され、また、「パーフルオロ−tert−ブチルアルコール」とも称される。)16.7mL(120mmol)を氷浴下で滴下した後、5時間還流攪拌を行った。室温まで放冷した後、揮発成分を減圧溜去することにより、ビス(1,1−ジ(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)亜鉛(以下、「成分(B)」と記載することがある。)20.7g(38.7mmol、95%)を白色固体として得た。13C−NMR(THF−d8 ):δ122.2(q,JC-F =292Hz),81.1(q,JC-F =28.9Hz)
19F NMR(THF-d8):δ−73.2(s)
【0074】
[参考例2]
無機粒子担体「成分(BC1)」の合成
100mlフラスコを窒素置換し、溶媒としてトルエン50ml、窒素流通下で300℃において加熱処理後1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンと予め接触処理したシリカ(デビソン社製 Sylopol948;平均粒子径=55μm;細孔容量=1.67ml/g;比表面積=325m2/g)5.0gを入れた。参考例1記載の成分(B)を2.67g投入し、95度にて1時間攪拌した。その後、室温まで冷却した後0℃まで冷却し攪拌状態を2時間保持した。攪拌停止後静置し、ガラスフィルター(G3)を用いて上澄み液を抜き出した。トルエン50mlで1回、ヘキサン50mlで2回洗浄後、得られた固体成分を減圧下で1時間乾燥を行うことにより固体成分6.61g(以下、「成分(BC1)」と記載することがある。)を得た。
【0075】
[参考例3]
無機粒子担体「成分(BC2)」の合成
窒素流通下で600℃に加熱処理したシリカ(デビソン社製 Sylopol948;平均粒子径=55μm;細孔容量=1.67ml/g;比表面積=325m2/g)を使用した以外は参考例2と同様に操作を行った。得られた固体成分を減圧下で1時間乾燥を行うことにより固体成分6.43g(以下、「成分(BC2)」と記載することがある。)を得た。
【0076】
[実施例1]
内容積3000mlの撹拌機付きオートクレーブを真空乾燥して水素を100KPa導入した。続いて1−ブテンを15g、1−ブテンを735g導入した。反応器を70℃まで昇温した後、エチレン分圧を1.6MPa分導入した。系内が安定した後、1mmol/mlに調整されたトリイソブチルアルミニウム(D)のヘキサン溶液0.3ml(0.3mmol)と1μmol/mlに調整されたジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド(A)のヘキサン溶液を1.0ml(1.0μmol)導入した。さらに上記参考例2で得た成分(BC1)151mgを投入して重合を開始し60分間重合を行った。
重合の結果2.2gのエチレン/1−ブテン共重合体が得られた。重合活性2.2×10g/mol−Ti・h、SCB=15.3であった。
【0077】
[実施例2]
内容積3000mlの撹拌機付きオートクレーブを真空乾燥して水素を100KPa導入した。続いて1−ブテンを15g、1−ブテンを735g導入した。反応器を70℃まで昇温した後、エチレン分圧を1.6MPa分導入した。系内が安定した後、1mmol/mlに調整されたトリイソブチルアルミニウム(D)のヘキサン溶液0.3ml(0.3mmol)と1μmol/mlに調整されたジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド(A)のヘキサン溶液を1.0ml(1.0μmol)導入した。さらに上記参考例3で得た成分(BC2)149mgを投入して重合を開始し60分間重合を行った。
重合の結果6.1gのエチレン/1−ブテン共重合体が得られた。重合活性6.1×10g/mol−Ti・h、SCB=24.7であった。
【0078】
[実施例3]
内容積3000mlの撹拌機付きオートクレーブを真空乾燥して水素を100KPa導入した。続いて1−ブテンを15g、1−ブテンを735g導入した。反応器を70℃まで昇温した後、エチレン分圧を1.6MPa分導入した。系内が安定した後、1mmol/mlに調整されたトリイソブチルアルミニウム(D)のヘキサン溶液0.3ml(0.3mmol)と1μmol/mlに調整されたジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド(A)のヘキサン溶液を1.0ml(1.0μmol)導入した。さらに上記参考例1で得た成分(B)150mgを投入して重合を開始し60分間重合を行った。
重合の結果0.4gのエチレン/1−ブテン共重合体が得られた。重合活性0.4×10g/mol−Ti・h、SCB=14.1、融点=89.5℃、[η]=2.5dl/g、Aw=11700、Aw/An=3.3であった。
【0079】
[実施例4]
内容積400mlの撹拌機付きオートクレーブに1−ヘキセン3.8ml、トルエン133mlを導入して70℃に昇温した。エチレン分圧を1.0MPa分導入し、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム(D)のトルエン溶液0.9ml(0.75mmol)、0.5μmol/mlに調整されたジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド(A)のトルエン溶液を1.0ml(0.5μmol)導入した。さらに上記参考例1で得た成分(B)16mgをトルエン6mlでスラリーとして投入して重合を開始し5分間重合を行った。5分後エタノールを導入し重合を停止した。ポリマー溶液を塩酸水溶液で脱灰後アセトンに投入することにより、1.1gのエチレン/1−ヘキセン共重合体が得られた。重合活性2.6×10g/mol−Ti・h、融点=66.2℃、[η]=3.15dl/g、Aw=17600、Aw/An=1.9であった。
【0080】
[実施例5]
内容積400mlの撹拌機付きオートクレーブに1−ヘキセン5.0ml、トルエン195mlを導入して70℃に昇温した。エチレン分圧を0.6MPa分導入し、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム(D)のトルエン溶液0.25ml(0.25mmol)、0.1μmol/mlに調整されたジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド(A)のトルエン溶液を0.1ml(0.01μmol)導入した。さらに上記参考例1で得た成分(B)48.1mgをトルエンmlでスラリーとして投入して重合を開始し30分間重合を行った。30分後エタノールを導入し重合を停止した。ポリマー溶液を塩酸エタノール溶液で脱灰するにより、2.4gのエチレン/1−ヘキセン共重合体が得られた。重合活性4.8×10g/mol−Ti・h、融点=48.3℃、[η]=2.88dl/g、Aw=13700、Aw/An=2.5であった。
【0081】
[実施例6]
内容積400mlの撹拌機付きオートクレーブに1−ヘキセン8ml、トルエン192mlを導入して70℃に昇温した。エチレン分圧を0.6MPa分導入し、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム(D)のトルエン溶液0.25ml(0.25mmol)、1.0μmol/mlに調整されたジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド(A)のトルエン溶液を5μl(0.005μmol)導入した。さらに上記参考例1で得た成分(B)58mgをトルエン1.0mlでスラリーとして投入して重合を開始し30分間重合を行った。30分後エタノールを導入し重合を停止した。ポリマー溶液を塩酸エタノール溶液で脱灰することにより、1.5gのエチレン/1−ヘキセン共重合体が得られた。重合活性6.0×10g/mol−Ti・h、融点=18.0℃、[η]=2.21dl/g、Aw=10500、Aw/An=2.4であった。
【0082】
[実施例7]
内容積400mlの撹拌機付きオートクレーブに1−ヘキセン16ml、トルエン184mlを導入して70℃に昇温した。エチレン分圧を0.6MPa分導入し、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム(D)のトルエン溶液0.25ml(0.25mmol)、0.1μmol/mlに調整されたジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド(A)のトルエン溶液を0.1ml(0.01μmol)導入した。さらに上記参考例1で得た成分(B)51mgをトルエン1.0mlでスラリーとして投入して重合を開始し30分間重合を行った。30分後エタノールを導入し重合を停止した。ポリマー溶液を塩酸エタノール溶液で脱灰することにより、3.1gのエチレン/1−ヘキセン共重合体が得られた。重合活性6.2×10g/mol−Ti・h、融点は観測されず、[η]=1.49dl/g、Aw=7180、Aw/An=2.3であった。
【0083】
[実施例8]
内容積400mlの撹拌機付きオートクレーブに1−ヘキセン2ml、ヘキサン198mlを導入して50℃に昇温した。エチレン分圧を0.6MPa分導入し、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム(D)のヘキサン溶液0.25ml(0.25mmol)、0.1μmol/mlに調整されたジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド(A)のトルエン溶液を0.4ml(0.04μmol)導入した。さらに上記参考例1で得た成分(B)53mgをヘキサン1.0mlでスラリーとして投入して重合を開始し30分間重合を行った。30分後エタノールを導入し重合を停止した。ポリマー溶液を塩酸エタノール溶液で脱灰することにより、0.9gのエチレン/1−ヘキセン共重合体が得られた。重合活性4.5×10g/mol/h、融点=82.6℃、[η]=5.57dl/g、Aw=27600、Aw/An=2.1であった。
【0084】
[実施例9]
内容積400mlの撹拌機付きオートクレーブに1−ヘキセン4ml、ヘキサン196mlを導入して50℃に昇温した。エチレン分圧を0.6MPa分導入し、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム(D)のヘキサン溶液0.25ml(0.25mmol)、1.0μmol/mlに調整されたジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド(A)のトルエン溶液を0.1ml(0.1μmol)導入した。さらに上記参考例1で得た成分(B)53mgをヘキサン1.0mlでスラリーとして投入して重合を開始し30分間重合を行った。30分後エタノールを導入し重合を停止した。ポリマー溶液を塩酸エタノール溶液で脱灰することにより、0.9gのエチレン/1−ヘキセン共重合体が得られた。重合活性4.5×10g/mol/h、融点=51.2℃、[η]=3.77dl/g、Aw=16400、Aw/An=2.0であった。
【0085】
[実施例10]
内容積400mlの撹拌機付きオートクレーブに1−ヘキセン8ml、ヘキサン192mlを導入して50℃に昇温した。エチレン分圧を0.6MPa分導入し、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム(D)のヘキサン溶液0.25ml(0.25mmol)、1.0μmol/mlに調整されたジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド(A)のトルエン溶液を0.1ml(0.1μmol)導入した。さらに上記参考例1で得た成分(B)55mgをヘキサン1.0mlでスラリーとして投入して重合を開始し30分間重合を行った。30分後エタノールを導入し重合を停止した。ポリマー溶液を塩酸エタノール溶液で脱灰することにより、0.9gのエチレン/1−ヘキセン共重合体が得られた。重合活性4.5×10g/mol/h、融点=22.3℃、[η]=2.69dl/g、Aw=12200、Aw/An=2.0であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式[1]で表される化合物(A)、および下記亜鉛含有化合物(B)を接触させて形成されるオレフィン重合用触媒。

[1]

(式中、Mは元素の周期律表の第4族の遷移金属原子を示し、Aは元素の周期律表の第16族の原子を示し、Jは元素の周期律表の第14族の原子を示す。Cpはシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を示す。X、X、R、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、置換シリル基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基または2置換アミノ基を示す。X、X、R、R、R、R、R、Rはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
下記一般式[2]で表される亜鉛化合物と、該亜鉛化合物1モル当たり、2モル以上の1,1−ジ(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノールとを接触させて形成される亜鉛含有化合物(B)
Zn(L [2]
(式中、Lは、炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基を表し、2つのLは、互いに同じであっても異なっていてもよい。)
【請求項2】
下記一般式[1]で表される化合物(A)、下記亜鉛含有化合物(B)、および無機粒子担体(C)を接触させて形成されるオレフィン重合用触媒。

[1]

(式中、Mは元素の周期律表の第4族の遷移金属原子を示し、Aは元素の周期律表の第16族の原子を示し、Jは元素の周期律表の第14族の原子を示す。Cpはシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を示す。X、X、R、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、置換シリル基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基または2置換アミノ基を示す。X、X、R、R、R、R、R、Rはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
下記一般式[2]で表される亜鉛化合物と、該亜鉛化合物1モル当たり、2モル以上の1,1−ジ(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノールとを接触させて形成される亜鉛含有化合物(B)
Zn(L [2]
(式中、Lは、炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基を表し、2つのLは、互いに同じであっても異なっていてもよい。)
【請求項3】
下記一般式[1]で表される化合物(A)、下記亜鉛含有化合物(B)、無機粒子担体(C)、および有機アルミニウム化合物(D)を接触させて形成されるオレフィン重合用触媒。

[1]

(式中、Mは元素の周期律表の第4族の遷移金属原子を示し、Aは元素の周期律表の第16族の原子を示し、Jは元素の周期律表の第14族の原子を示す。Cpはシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を示す。X、X、R、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、置換シリル基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基または2置換アミノ基を示す。X、X、R、R、R、R、R、Rはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
下記一般式[2]で表される亜鉛化合物と、該亜鉛化合物1モル当たり、2モル以上の1,1−ジ(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノールとを接触させて形成される亜鉛含有化合物(B)
Zn(L [2]
(式中、Lは、炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基を表し、2つのLは、互いに同じであっても異なっていてもよい。)
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンを重合する、オレフィン重合体の製造方法。

【公開番号】特開2013−6952(P2013−6952A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140334(P2011−140334)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】