説明

オンボード電源を備えたボード及びボードのリセット制御方法

【課題】本発明はオンボード電源を備えたボード及びボードのリセット制御方法に関し,リセット要因の発生または電源異常時の切断要求が発生しても,最大限のデータ保存を可能にすることを目的とする。
【解決手段】ボードのリセット動作と電源の制御行う電源制御部と,上位装置から保護の有効性と優先順位を含む情報が設定されるデータ保護情報設定部と,リセット要求の発生に応じてデータ保護情報設定部の情報を用いて保護データを保存するか判定するリセット要求対応判定部と,リセット要求対応判定部の判定により保護データの保存をすることが判定されると,その保護データの保存先を判定する保存先判定部と,保護データを保存する保護データ保存部とを備え,リセット要求が発生して必要なデータを保存して電源を切断するよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,上位装置と接続され,電源制御部と情報処理を行う処理装置を含むオンボード電源を備えたボード及びボードのリセット制御方法に関する。
【0002】
情報処理のサーバや移動通信システムの基地局を構成する多数のボードは,それぞれオンボード電源(OBP:On-Bord Power) を備え,ボード上の各電子回路で必要とする複数種の電圧を持つ電源をそれぞれに必要とするタイミングで発生し,決められた順序で切断をするよう制御される。また,各ボードはハード的に発生する割込みによるリセット要求や,上位装置からのリセット要求に対応したリセット制御を行っているが,実行中のデータについて考慮されてなく,その改善が望まれている。
【背景技術】
【0003】
図5は従来の複数ボードを備えるシステムの概略構成を示す。80は全体の制御を行う上位装置,81はLAN,82は多数のボードを搭載したシェルフ,83−0,83−1,…,83−nはそれぞれ電源や情報処理のための電子回路を搭載したカード(ボードと同義)であり,シェルフに搭載したカードの構成例を後述する図6に示す。
【0004】
図5ではシェルフ82は一つだけ示すが,実際は上位装置80はLAN81により接続された多数のシェルフ82を管理する。各カード83−0〜83−nは,それぞれLAN81と接続されるだけでなく,シリアルインタフェースとして周知のRS232Cにより外部の装置(例えば,管理者の端末装置)と接続することができる。
【0005】
シェルフに搭載したカードの構成例を図6に示す。図中,820はシェルフ82(図5)を構成するシャーシ,83−0,83−1,…,83−nはカード(Card) と表示されているが上記図5の同一符号のカードに対応する。84は複数のカードに対して外部からの電源(−48V)を供給するバックプレーン,85はクロック供給するカード(RTMで表示)である。カード83−0についてその内部構成が示され,830−0〜830−nは,それぞれ監視制御用OBP(DC−DC:直流−直流変換),デバイス1用OBP,デバイス2用OBP,…,デバイスn用OBP,831−0〜831−nは,それぞれ各OBP830−0〜830−nの出力を受け取って各デバイスへ電源を供給する際に電圧立ち上がり時間を調整する電源フィルタ,832は各OBP830−0〜830−nに対してそれぞれに適したタイミングでオン/オフの制御信号を発生する電源制御MPU(Micro Processor Unit) ,833は各デバイス1〜nに対応してそれぞれに適したリセット信号を発生するリセット制御デバイス,834はカード内の温度情報や電圧情報を含む監視情報が入力され,センサとして検出した情報を電源制御MPU832に出力する監視制御デバイス,835は不揮発性メモリ,836はバックプレーン84を通るLAN(図5の81)と接続するネットワーク制御デバイス,837は情報処理や通信処理を行うCPU(チップセットを含む),838はネットワーク制御デバイス836と接続してファームウェアによりCPU837と連携したデータ処理機能を備え,デバイスリセット信号によりリセットされるモジュールである。
【0006】
各カードのOBP830−0〜830−nは,−48Vの電源を元に必要とされる複数の各電圧(5V,3.3V,2.5V,1.8V等)を生成し,対応するデバイス(MPU832やモジュール838を含む)に供給する。電源制御MPU832は,IPMC(PICMG3.0 (PCI Industrial Computer Manufactures Group3.0:PCI ベースの産業用組み込みボードシステムの推進団体:PCI はPeripheral Component Interconnect)規格のIPMI(Intelligent Platform Management Interface) 制御により,オン/オフ制御を行う。また,電源制御MPU832はリセット制御デバイス833を介して各デバイスのリセット制御を行う。
【0007】
図7は従来のカード内の動作シーケンスである。図中,左側のS1〜S14は電源制御MPU(図6の832)主体のシーケンスであり,中央のS15〜S22はCPU(図6の837)主体のシーケンス,右側のS24〜S28はモジュール(図6の838)主体のシーケンスである。
【0008】
最初に−48Vの電源の投入をすると(図7のS1),監視制御用OBP(図6の830−0)からの電源がオンとなり(図7のS2),電源制御MPUに電源が供給されることでリセット解除の状態となり(同S3),各デバイス用のOBPに対して電源オンの指示が出される(同S4)。各OBPの電源電圧値を電圧制御MPUのIPMC監視機能で実行し(図7のS14),回路間を接続するバスに設けられたバススイッチ(図6では図示省略)を電源制御MPUの制御(BUSSW制御で表示)によりオンにする(同S5)。これによりモジュール(図6の838)をリセット状態にし(図7のS23),リセット制御デバイス(図6の833)をパワー・オン・リセットし(図7のS6),リセット制御デバイスはカードリセットを解除する(同S7)。CPUはこれにより,OSを起動して,カードのファームウェア(firm)を起動し,カードリセット解除の指示を出す(図7のS15〜S17)。この指示はリセット制御デバイス(図6の833)に与えられると,そこからモジュール(図6の838)にモジュールリセット解除が出力され,モジュール内の初期化処理が実行され,モジュール内のファームウェア(firm) が起動する(図7のS24〜S26)。これにより,正常起動通知がCPUに送られると,カード初期化が終了し,カード全体が正常起動する(同S18,S19)。
【0009】
このようにして,電源投入によりカードが正常に起動すると,正常運用状態では各電源電圧値及びリセット要因について電源制御MPUにより監視が行われ(図7のS8),リセット要因または電源断要因が検出されると(同S9),CPUに対し電源切断又はリセット処理開始を通知する。CPUでは電源切断またはリセット処理を開始し(図7のS20),電源切断またはリセット開始通知を発生し,モジュールに対し通知する(同S21)。これによりモジュールは電源切断待ちまたはリセットされ(図7のS28),CPUは電源切断またはリセット準備完了通知を電源制御MPUに送る(同S22)。電源制御MPUはこのリセット準備完了通知を受け取ると,バススイッチ(図示省略)をオフにする制御(BUSSW制御)を行い(図7のS10),各電源(OBP)を予め決められた順にオフとする指示を出し(同S11),MPU以外の電源断が完了すると(同S12),電源切断(−48Vオフ)の制御を行う(同S13)。なお,不揮発性メモリ(図6の835)はCPU837の制御で使用するデータを保持し,カードリセット動作実行中や電源断の動作時には他デバイスからアクセスされない。
【0010】
従来の複数の計算機が接続される複合計算機システムにおいてバックアップ元記憶装置及びバックアップ先記憶装置に通信回線を介して接続した構成において,ホスト計算機からの要求に応じてバックアップ対象データの重要度及び当該データを保持する記憶装置の信頼度を基に,バックアップスケジュール表を作成及び編集し,このバックアップスケジュール表記憶手段を有するバックアップ装置を備え,このバックアップスケジュール表のスケジュールに従って適切な頻度でバックアップ処理を実行する技術が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−297427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来のボードに搭載されるボードの制御は上記図6,図7に示すように,組み込みソフトウェア(ファームウェア)が,ハード設計の割り込みによるリセット要求または上位装置からのリセット要求をファームウェア内に保持し,制御を実行していたが,その際実行中のデータの保存に関してはリセット処理が優先されるため考慮されず,破棄されていた。そのため,リセットまたは電源断の制御が実行された時にどこまで正常であったかの解析が困難であり,システムの信頼性を低下させるという問題があった。
【0012】
また,データの有効性の確認が困難となり再送等をせざるを得なくなり,その分のコストが結果的に利用者が負担することになるという問題があった。
【0013】
一方上記特許文献1の技術は,計算機システムの記憶装置のバックアップに関する技術であり,情報処理システムを構成する複数のボード(カード)のOBPのリセットまたは電源断の要因が発生した場合の問題に対応することはできない。
【0014】
本発明はリセット要因の発生または電源異常時の切断要求が発生しても,最大限のデータ保存を可能とするオンボード電源を備えたボード及びボードのリセット制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
図1は本発明の原理構成を示す図である。図中,1はボード(カード),10はボード1内の電源制御及びリセットの制御処理を行う制御部,10aは電源のリセット動作及び電源状態を監視して制御を行う電源制御部,10bは保護有効性(有効・無効)と優先順位を含むデータ保護情報が設定されるデータ保護情報設定部,10cは上位装置からのリセット要求やボード内のハードウェア等から発生するリセット要因に基づいて発生するリセット要求を受け取るリセット要求受信部,10dはリセット要求に対して設定されたデータ保護情報に基づいて保護の要否等の対応を判定するリセット要求対応判定部,10eは保護すべきデータの保存先を判定する保存先判定部,10fは不揮発性メモリやユーザインタフェースへ保護データを保存する制御を行う保護データ保存部,10gは保護すべきデータを記憶する不揮発性メモリ,10hは表示機能や記憶機能を備えるユーザ装置3と接続するためのユーザインタフェース(IF)部である。2は上位装置,2aは上位装置2と各ボードと通信を行うための通信インタフェース(IF),2bはデータ保護情報指示部,3はユーザ装置である。
【0016】
この原理構成では,複数の電圧を発生する複数のオンボード電源の構成やボード1が備える情報処理(サーバまたは通信制御等)を行う処理装置は図示省略されている。また,ボード1は1つだけ示すが,実際には上位装置2に対して複数のボード1が接続されている。
【0017】
ボード1に対して基本の電源(−48V)が投入されると,制御部10の電源制御部10aは従来と同様の構成(図1では図示省略)により複数種類の異なる電圧を発生するよう各オンボード電源(図示省略)に指示が出力され,各電源電圧の出力を監視して,電源制御部10aがリセットと初期化を行ってオンボード電源が正常に起動すると,上位装置2にその状態(正常起動完了)が通知される。これにより,上位装置2は,データ保護をするか(有効),データ保護をしない(無効)かを指定するデータ保護有効性と,データ保護有効の場合に,複数存在するデータの中で保護の優先順位を表す情報とを含むデータ保護情報をデータ保護情報指示部2bからボード1の制御部10に出力する。この情報はボード1の制御部10内のデータ保護情報設定部10bに設定される。
【0018】
この後の通常運用中に,リセット要求が上位装置2の通信インタフェース2aまたはボード1内の電源制御部10aによる監視機能で異常を検出することによるリセット要因に基づいて発生すると,リセット要求がリセット要求受信部10cで受信される。リセット要求受信部10cはリセット要求をリセット要求対応判定部10dに供給すると,リセット要求対応判定部10dは上記データ保護情報設定部10bに設定された内容(保護有効性と優先順位)について判断することで,保護が有効である場合は優先順位で指定されたデータについての保護を実行し,その際に保存先判定部10eにおいて保存すべきデータ量(長)を識別し,不揮発性メモリ10gに格納できる程度であれば,不揮発性メモリ10gを保存先とする判断をして,保護データ保存部10fを駆動して不揮発性メモリ10gへ保護対象データ(処理装置等が保持するデータ等)を保存する。また,不揮発性メモリ10gの容量が,保護データを蓄積するのには不足する場合は保護データ保存部10fはユーザIF部10hを用いてユーザ装置3に対象データを転送し,ユーザ装置3の表示部に表示したり,ユーザ装置3内の記憶手段に保存する。なお,不揮発性メモリ10gへの保存と同時にユーザIF部10hへの転送を同時に行ってもよい。また,不揮発性メモリ10gに記憶された内容は,読み出してユーザIF部10hを介してユーザ装置3に転送することができる。
【0019】
保護データの保存(ユーザ装置への出力を含む)の後に,電源制御部10aによる電源切断のシーケンスが実行される。
【0020】
上記の動作では,上位装置2は,データ保護有効性とデータ保護有効の場合に,優先順位を表す情報とを含むデータ保護情報とを出力しているが,このデータ保護情報の中に保護データの保存先を含めるようにして,上位装置2から保存先を指定可能にすることができる。その場合,リセット要求が発生した時に保護データをデータ保護情報設定部10bの設定内容を取り出して保存先判定部10eで設定された保存先を識別して,保護データを保存することになる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によればOBPを搭載したボードにリセット要因の発生または電源異常時の切断要求が発生しても,最大限のデータ保存を可能とすることができる。また,データの保存先として不揮発性メモリへの保存及びユーザインタフェース部を介したユーザ装置への表示(及び/または保存)という2つのルートを持つことによりデータの保存率または確保率を高めることにより,システムの信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図2は実施例の基本構成を示す。図中,1はボード(カード),100はカード内の制御CPU,110は不揮発性メモリ,120は電源制御MPU,2は上位装置,3はLANまたはRS232Cによりボード1と接続されたパーソナルコンピュータ(PC)等のユーザ装置である。
【0023】
図2の構成では,ボード1内に電源制御を行うMPU120と,ボードが備える情報処理機能(例えば,サーバ機能や移動通信の基地局機能等)を実行する制御CPU100とを備える。
【0024】
制御CPU100内の101〜107は制御CPU100により実行されるファームウェアであり,101はデータ保護情報設定部(図1の10bに対応),102はリセット要求対応判定部(図1の10dに対応),103は保存先判断部(図1の10eに対応),104はリセット要因データ要求受信部,105はリセット要求受信部(図1の10cに対応),106は保護データ情報保存処理部(図1の10fに対応),107はデータ表示及び記録のためのユーザインタフェース(IF)(図1の10hに対応)である。また,電源制御MPU120内の121〜124は電源制御MPU120により実行されるファームウェアであり,121はデータ受信部,122はユーザインタフェース(IF),123はデータ格納先情報・保存可否情報受信部,124はリセット動作・電源制御部,125は保護情報受信部である。上位装置2内の20はデータ保護を有効にするか否の情報と,保護を行うデータの優先情報を表す保護優先指示部,21は保護優先情報がビット列により指示されるが,各ビット位置を定義するテーブルである保護優先テーブル情報保持部,22は当該上位装置から下位装置(各ボード)へのリセット要求を発生するリセット要求部,23は下位装置(各ボード)と通信を行う下位装置通信IFである。図2には複数のOBP(オンボード電源)の回路が従来例(上記図6)と同様に備えられているが図示省略されている。
【0025】
図3は実施例の処理フローであり,図2の上位装置2のファームウェア,制御CPU100のファームウェア,電源制御MPU120のファームウェア及び不揮発性メモリ110の各部における相互の処理を示す。
【0026】
システム起動時に,上位装置2の保護優先指示部20から保護情報(フラグとして表す)及び保護優先テーブル情報保持部21のテーブルの内容を下位装置通信IF23を通ってボード1に供給すると,ボード1のデータ保護情報設定部101に設定され,更に保護情報がデータ保護情報設定部101から電源制御MPU120に供給され,その中の保護情報受信部125でフラグが受信されて格納される(図2のa,b,c)。また,保護優先テーブル情報保持部21のテーブル情報は,ボード1の制御CPU100の中のリセット要求対応判定部102に送られて格納される(図3のS1,S20)。
【0027】
この後,上位装置2のリセット要求部22からのリセット要求が発生して,制御CPU100のリセット要求受信部105で受信し,リセット要求受信部105からリセット要求対応判定部102へ入力すると(図2のd,e,f),リセット要求受信が電源制御MPU120のリセット動作・電源制御部124に供給されると(図2のg),データ要求を制御CPU100に送信する(図2のh,図3のS2)。また,リセット要因がボード1内で発生すると,電源制御MPU120のリセット動作・電源制御部124で検出し(図2のi),リセット要因データ要求を制御CPU100に送信し(図3のS2),更にリセット要求対応判定部102へ送信される(図2のj,k)。
【0028】
リセット要求対応判定部102は,リセット要因に対して,データ保護情報設定部101に設定された内容を照合し,データ保護が「有効」であるか判別し(図3のS3),有効でない時(無効の時)は,電源切断/リセットシーケンスに移行し,データを破棄する処理に移行する(図3のS13)。図3のS3で保護が「有効」に設定されている場合,データの優先順位(プライオリティ)をチェックし(図3のS4),判別されたプライオリティ♯1,……,プライオリティ♯nに応じて,対応した対象データサイズを算出する(図3のS5)。この場合,データを保持するメモリ上の先頭アドレスと終端アドレスからデータのサイズを算出できる。また,優先順位n(♯n)の場合,ハード破壊回避優先(データ長が長い場合等)の時は,電源断/リセットシーケンスに移行する(図3のS6)。データのサイズが求められると,保存先判断部103で保存先を判断し(図2のl),データサイズが不揮発性メモリのサイズ内か判別し(図3のS7),サイズ内の場合は不揮発性メモリ(図2の110)に保護データ情報保存処理部106によりデータ保存処理を実行させ(図2のm,n,図3のS8),対象データのアドレス,サイズを電源制御MPU120に通知する(図2のo,図3のS9)。
【0029】
この後,ユーザインタフェース(図2の107)にも出力するか判断し(図3のS10),ユーザインタフェースにも出力するよう設定されている場合は保護データ(対象データ)をユーザインタフェースに出力し(図2のr),設定されてない場合は電源切断/リセットシーケンスに移行する(図3のS11)。また,上記ステップS7においてデータサイズが不揮発性メモリサイズを越えると判別された場合または,ユーザインタフェースを使用する指示が上位装置からのデータ保護設定情報により指定されていると,ユーザインタフェースにデータを出力する(図2のr,図3のS12)。
【0030】
電源制御MPU120は,制御CPU100から対象データのアドレスとサイズの通知を取得すると(図3のS22),不揮発性メモリ110よりデータを読み出し(図2のp,図3のS23),データ受信部(図2の121)で受信するとユーザインタフェースに出力するか判別し(同S24),ユーザインタフェースへ出力するよう設定されている場合はユーザインタフェース(図2の122)へ読み出しデータを出力し(図2のq,図3のS25),そうでない場合は,電源制御MPU120は電源切断/リセットシーケンスに移行する(同S26)。ユーザインタフェースに出力されたデータは,ユーザ端末(図2の3)に出力されて表示または記録される。
【0031】
なお,データ保護情報設定部により設定されるデータ保存最優先,対象データとしては,制御CPUにおいて処理される各種のデータであり,例えば,ボードが移動通信のための無線基地局の制御処理を行う場合,「課金情報」を対象データとすることができる。
【0032】
図4は本発明によるボード上の電源投入,通常運用,リセット時の動作シーケンスの例を示す。図4の動作シーケンスは,上記図2と同様の構成,すなわち上位装置2,電源制御MPU120,制御CPU100及びモジュール(図2では図示省略され,図6の838に対応)の各部により構成されたシステムにおいて実行され,図4にはその左側から上位装置主体,電源制御MPU主体,制御CPU主体及びモジュール主体のフローが示されている。
【0033】
図4の処理を概説すると,電源制御MPUにおいて−48Vをオンにして電源投入が行われ(図4のS1),DC/DC変換により3.3Vが発生すると(同S2),電源制御MPUが起動してリセットが解除され(同S3),各電源のオンが指示される(同S4)。この後,電源投入によりカードが正常に起動して電源制御MPUにより電圧等の監視を開始する処理(図4のS8)までは,上記図7のS1〜S8と同様であり説明を省略する。また,ステップS7により,制御CPUにおける,OS起動(図4のS10),カードファームウェア起動(同S11),…,カード全体正常起動(同S14)までの処理は,上記図7のステップS15〜S19の各処理内容と全く同じであり,モジュールにおける図4のステップS15〜S18の各処理内容は上記図7のステップS24〜S27の各処理と同じであるため説明を省略する。また,図4の制御CPUにおけるステップS13でのカード初期化が実行された時に上位装置へ正常起動完了の通知が送られると,上位装置でその通知が受信されて,ボードは通常運用状態となる(図4のS20)。この後,本発明による処理が実行される。
【0034】
すなわち,上位装置からデータ保護設定通知が制御CPUに送られると(図4のS21),これが制御CPUで受信され(同S22),データ保護が設定され,電源制御MPUに対して送信する(同S23)。これを受けた電源制御MPUではデータ保護の中の有効性が設定されていると保護フラグを設定する(図4のS24)。この状態でボードにおいて通常運用が実行される。
【0035】
通常運用中に,電源制御MPUにおいてリセット要因または電源断要因が検出されると(図4のS25),保護有効時(保護フラグが設定されている時)のデータ要求を制御CPUに送る(同S26)。これを受けた制御CPUは保護データを保存することを判断し(図4のS27),外部メモリである不揮発性メモリへDMA転送する動作を開始し(図4のS28),転送開始を電源制御MPUに通知する。この後,制御CPUが不揮発性メモリに記憶した保護データを読み出すと,電源制御MPUでその保護データの受信を開始する(図4のS31)。制御CPUで保護データのDMA転送が終了すると(図4のS29),転送終了通知が電源制御MPUに送られる。この不揮発メモリに保護データが転送されている時,ユーザインタフェースに保護データを出力することができる(図4のS30)。この不揮発性メモリに保護データの転送が開始すると,転送開始通知が電源制御MPUに送られ,電源制御MPUで不揮発メモリから保護データの受信を開始し(図4のS31),制御CPUで保護データのDMA転送が終了して,電源制御MPUに転送終了通知が送られてくると,保護データの受信を終了し(同S32),ユーザインタフェースに保護データを出力することができる(図4のS33)。これらの受信された保護データは電源制御MPUからからユーザインタフェースを介してユーザ端末に供給される。
【0036】
電源制御MPUでは,転送終了通知を受け取ると,不揮発性メモリからの保護データの受信を終了するが(同S32),これらの受信された保護データは電源制御MPUからユーザインタフェースへ出力される(同S33)。
【0037】
保護データの出力の後,電源切断又はリセット処理開始が電源制御MPUから制御CPUに送られると,従来のボードにおける処理(図7のS20〜S22,S28,及びS10〜S13)と同様の,制御CPUの処理(図4のS34〜S36),モジュールの処理(同S37)及び電源制御MPUの処理(同S38〜S41)が実行される。
【0038】
図4の動作シーケンスは,上位装置からボードの電源制御MPUに対して通知されたデータ保護設定(データ保護有効・無効及び保護すべきデータの優先順位)の内容が,「データ保護有効」に設定されている場合であるが,「データ保護無効」に設定されている場合を説明する。その場合,図4の制御CPUにおけるステップS21で「データ保護設定」を上位装置から受信して,「データ保護無効」が設定された場合,その後電源制御MPUのステップS25において,「リセット要因または電源断要因検出」が発生するとリセット要因通知が制御CPUへ通知される。これを受けた制御CPUは,データ保護無効が設定されているので,保護データ保存判断が不要と判断され,データ保存不要の通知が電源制御MPUに通知される。この場合,電源制御MPUは電源切断又はリセット処理開始通知を制御CPUに通知し,上記図4のステップS34以降の処理と同様の処理が実行される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の原理構成を示す図である。
【図2】実施例の基本構成を示す図である。
【図3】実施例の処理フローを示す図である。
【図4】本発明によるボード上の電源投入,通常運用,リセット時の動作シーケンスを示す図である。
【図5】従来の複数ボードを備えるシステムの概略構成を示す図である。
【図6】シェルフに搭載したカードの構成例を示す図である。
【図7】従来のカード内の動作シーケンスを示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1 ボード(カード)
10 制御部
10a 電源制御部
10b データ保護情報設定部
10c リセット要求受信部
10d リセット要求対応判定部
10e 保存先判定部
10f 保護データ保存部
10g 不揮発性メモリ
10h ユーザインタフェース(IF)部
2 上位装置
2a 通信インタフェース(IF)
2b データ保護情報指示部
3 ユーザ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位装置と接続され,オンボード電源の制御と監視を行う電源制御部とデータ処理を行う処理装置を搭載したオンボード電源を備えたボードにおいて,
ボードのリセット動作と電源の制御を行う電源制御部と,
上位装置から保護の有効性と優先順位を含む情報が設定されるデータ保護情報設定部と,
リセット要求の発生に応じて前記データ保護情報設定部の情報を用いて保護データを保存するか判定するリセット要求対応判定部と,
前記リセット要求対応判定部の判定により保護データの保存をすることが判定されると,その保護データの保存先を判定する保存先判定部と,
保護データを保存する保護データ保存部と,を備え,
リセット要求が発生すると必要なデータを保存して電源を切断することを特徴とするオンボード電源を備えたボード。
【請求項2】
請求項1において,
前記保護データ保存部は,保存先として不揮発性メモリとユーザ装置へ出力するユーザインタフェース部とを備え,
前記保存先判定部は,保護の対象となる保護データの量を判定し,所定量以下の場合は前記不揮発性メモリを保存先とし,所定量を越えると前記ユーザインタフェースを保存先とする判定を行うことを特徴とするオンボード電源を備えたボード。
【請求項3】
請求項1において,
前記上位装置からの前記データ保護情報設定部に設定される情報の中に保護情報の保存先を指定する情報を含めることを特徴とするオンボード電源を備えたボード。
【請求項4】
上位装置と接続されてオンボード電源の制御と監視を行う電源制御部とデータ処理を行う処理装置を備えたボードにおいて,
上位装置から保護の有効性と優先順位を含むデータ保護情報を設定し,
リセット要求が発生すると,前記データ保護情報を用いて保護データを保存するか判定し,
前記保護データを保存するかの判定で保存すると判定されると,その保護データの保存先を判定し,
判定された保存先に保護データを保存して前記オンボード電源の切断を行うことを特徴とするオンボード電源を備えたボードのリセット制御方法。
【請求項5】
請求項4において,
前記保護データの保存先の判定において,保護データのデータ量を判別して,所定のデータ量以下なら不揮発性メモリを保存先とし,所定のデータ量を越えるとユーザ装置と接続するユーザインタフェース部を保存先とすることを特徴とするオンボード電源を備えたボードのリセット制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−323103(P2007−323103A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−149144(P2006−149144)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】