説明

オーディオデータ中継装置

【課題】
テレビから音声を出力するのに最適なダウンミックス処理ができるようなオーディオ中継装置を実現する。
【解決手段】
AVアンプ500が音声出力状態ではない場合、AVアンプ500はHDMI送信部506とHDMI受信部601を使用してテレビ600のEDID605を読み取り、テレビ600が音声出力状態かどうかを判断する。テレビ600が音声出力状態ではない場合、AVアンプ500のEDID505にAVアンプ500の音声再生能力を書き込む。AVアンプ500は、DVDプレーヤ400からオーディオデータを受信するが音声の出力はしない。テレビ600が音声出力状態である場合、AVアンプ500はAVアンプ500のEDID505の情報をテレビのEDID605の情報に書き換えることにより最適なダウンミックス処理ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルオーディオデータを受信して音声出力するか又は他の機器に転送するオーディオデータ中継装置に関し、特にHDMIで接続されたAVシステムのオーディオデータを中継する中継装置に再に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりDVDプレーヤから出力されるオーディオデータをTVモニタに設けられたスピーカではなく、AVアンプを介して外付けのスピーカに音声出力するようなAVシステムを構築することが行われている。。このような利用形態において、近年HDMI規格に基づいてHDMI形式でオーディオデータを送受信することで、AVアンプやTVの仕様に応じて最適なオーディオデータの転送制御が実現できるようになっている。以下に従来の具体的なAVシステムの構成について説明する。
【0003】
まず従来のAVシステムの構成として、DVDプレーヤから出力された音声データをAVアンプまたはTVのスピーカから出力する形態を想定し、このシステムの中でDVDプレーヤは5.1チャンネルまで出力可能、AVアンプは5.1チャンネルまで出力可能、テレビは2チャンネルのみ出力可能とする。そしてDVDプレーヤで再生されるコンテンツはビデオデータと、5.1チャンネルのオーディオデータと、5.1チャンネルから2チャンネルへダウンミックス処理をする際のダウンミックス係数情報を持つものとする。
【0004】
このような形態のAVシステムの中で、DVDプレーヤがデコードした5.1チャンネルのオーディオデータを、テレビのスピーカのみから出力する場合について説明する。コンテンツに記録されているコンテンツ情報は、ビデオデータ、オーディオデータに分離される。オーディオデータはデコード部でデコードされ、デコードされたオーディオデータを送信するために、DVDプレーヤはHDMI送信部1とHDMI受信部を使用してAVアンプのEDIDを読み取る。AVアンプは5.1チャンネルの音声が出力可能なので、DVDプレーヤは5.1チャンネルのオーディオデータをAVアンプに送信することとなる。
【特許文献1】特開2006−287364 号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このとき、HDMI形式でデータを送受信するので、5.1チャンネルから2チャンネルにダウンミックスする際のダウンミックス係数情報は送信されない。5.1チャンネルのオーディオデータを受信したAVアンプは、テレビにオーディオデータを送信するために、HDMI送信部とHDMI受信部を使用してテレビのEDIDを読み取る。テレビは2チャンネルの音声出力のみ可能である。AVアンプからテレビにオーディオデータを送信するには、ダウンミックス処理部でオーディオデータを5.1チャンネルから2チャンネルにダウンミックス処理しなければならない。しかしAVアンプはコンテンツが指定するダウンミックス係数情報を持たないので、AVアンプ独自のダウンミックス係数を使用して処理をする。このため、上述したような従来のAVシステムではコンテンツが指定する最適なダウンミックス処理がなされないという問題があった。
【0006】
そこで本発明はこのような課題を解決するため、オーディオデータをシステム構成に基づいて最適にダウンミックス処理ができるオーディオデータ中継装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上述したような課題を解決するため、オーディオコンテンツ再生装置からオーディオデータを受信して、他の音声出力装置にオーディオデータを転送するオーディオデータ中継装置において、
前記オーディオデータの音声出力を、前記他の音声出力装置で出力しているか、またはオーディオ中継装置内の音声出力部で出力しているか判定する判定手段と、前記他の音声出力装置にて音声が出力されている場合、オーディオ中継装置内の記録されている仕様データを前記他の音声出力装置の仕様データに書き換える書き換え手段とを具備したものである。
また本発明は上述した課題を解決するため、前記他の音声出力装置はデジタルテレビであることを特徴とするものである。
【0008】
また本発明は上述した課題を解決するため、前記テレビの仕様データは、HDMI形式で受信する受信手段を有するものである。
【発明の効果】
【0009】
オーディオデータをシステム構成に基づいて最適にダウンミックス処理ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明における実施形態について図面を用いて説明する。
【0011】
図1は本発明によるAVシステムの構成例である。DVDプレーヤ400、AVアンプ500、テレビ600はそれぞれHDMI形式のデータ処理部を備える。各装置の音声の出力能力について、例として、DVDプレーヤ400は5.1チャンネルまで出力可能、AVアンプ500は5.1チャンネルまで出力可能、テレビ600は2チャンネルのみ出力可能とする。コンテンツ401はビデオデータと、5.1チャンネルのオーディオデータと、5.1チャンネルから2チャンネルへダウンミックス処理をする際のダウンミックス係数情報を持つものとする。
【0012】
コンテンツ401に記録されているコンテンツ情報は、データ入力部402に入力され、ビデオデータ、オーディオデータに分離される。オーディオデータはデータはデコード部403でデコードされる。デコードされたオーディオデータはダウンミックス処理部405で音声を出力する装置に最適なダウンミックス処理をされる。
【0013】
ここで、DVDプレーヤ400が最適なダウンミックス処理をするためのAVアンプ500の動作について説明する。AVアンプ500はまず、AVアンプ500が音声出力状態であるかどうかを判断する。音声出力状態である場合、AVアンプ500のEDID505にはAVアンプ500の音声再生能力が書き込まれる。DVDプレーヤ400はHDMI送信部406とHDMI受信部501を使用してAVアンプ500のEDID505を読み取り、AVアンプ500が再生できる5.1チャンネルのオーディオデータをAVアンプ500に送信する。AVアンプ500は受信した5.1チャンネルのオーディオデータを音声処理部503で処理し、スピーカ507から音声を出力する。
【0014】
AVアンプ500が音声出力状態ではない場合、AVアンプ500はHDMI送信部506とHDMI受信部601を使用してテレビ600のEDID605を読み取り、テレビ600が音声出力状態かどうかを判断する。テレビ600が音声出力状態ではない場合、AVアンプ500のEDID505にAVアンプ500の音声再生能力を書き込む。AVアンプ500は、DVDプレーヤ400からオーディオデータを受信するが音声の出力はしない。テレビ600が音声出力状態である場合、AVアンプ500はAVアンプ500のEDID505の情報をテレビのEDID605の情報に書き換える。DVDプレーヤ400はAVアンプ500の書き換えられたEDID505を読み取り、テレビ600が再生できる2チャンネルのオーディオデータを送信する。このためには、ダウンミックス処理部405で5.1チャンネルのオーディオデータを2チャンネルのオーディオデータにダウンミックス処理する。このとき、DVDプレーヤ400はコンテンツが指定するダウンミックス係数情報を持っているので、最適なダウンミックス処理ができる。2チャンネルにダウンミックス処理されたオーディオデータはAVアンプ500のHDMI受信部501、HDMI送信部506を経由してテレビ600に伝送される。オーディオデータを受信したテレビ600はテレビ600に接続されたスピーカ607から音声を出力する。
【0015】
以上により、図1のAVシステムでテレビ600のみ音声を出力する場合、AVアンプ500のEDID505の情報をテレビ600のEDID605の情報に書き換えることで、DVDプレーヤ400はテレビ600から音声を出力するのに最適なダウンミックス処理ができる。
【0016】
次に、本実施形態の動作遷移について、図2のフローチャートを用いて説明する。
【0017】
図2に示すように、本実施形態のAVシステムの中で、AVアンプ500の音声出力状態をアンプ制御部502が監視する。そしてAVアンプ504の音声が出力されている場合(S301のY)、AVアンプ504のEDIDにAVアンプの再生能力を示すデータを書き込み(S302)。その後、DVDプレーヤ400は、AVアンプ500のEDIDを参照し(S303)、参照したEDIDに基づいてAVアンプの音声出力部504から音声データを出力しスピーカ507より音声が出力される(S304)。
【0018】
一方で、S301において、AVアンプ500の音声が出力状態でない場合には、テレビ600の音声が出力状態であるか否かを判定する(S305)。そしてテレビ600の音声が出力状態であると判定された場合(S305のY)、AVアンプ500のEDID505にテレビ400の再生能力データを書き込む(S306)。次に、DVDプレーヤ400は、AVアンプ500のEDIDを参照し、EDIDのデータに基づいてオーディオデータをHDMI送信部よりAVアンプに送信する(S307)。そして、AVアンプ500は、DVDプレーヤより受信したオーディオデータをTV600に送出する。このときAVアンプ自身のスピーカ507からは音声出力しない。そして、オーディオデータを受信したTV600が音声出力部より音声データを出力し、スピーカ607から音声を出力することとなる(S309)。
【0019】
最後に、S305において、テレビの音声が出力状態でないと判定された場合には、AVアンプ500のEDIDにAVアンプの再生能力を書き込み(S310)、DVDプレーヤがAVアンプのEDIDを読んでオーディオデータを送信する(S311)が、AVアンプ500は、送信されたオーディオデータを受信はするが、音声出力はしないように制御する(S312)。
【0020】
上述した実施形態では1つの中継装置を含むAVシステムについて説明したが、2つ以上の中継装置を含む場合は、音声が出力されている装置が1つであるとき、DVDプレーヤが接続されている中継装置のEDIDを音声が出力されている装置のEDIDに書き換える。音声が出力されている装置が2つ以上であるとき、DVDプレーヤが接続されている中継装置のEDIDを、より多くのチャンネル数を出力することができる装置、または、より高ビットレートの音声を処理することができる装置のEDIDに書き換えることにより実現できる。
【0021】
以上説明したように、本実施形態によれば、AVアンプを経由してDVDプレーヤの音声をテレビから出力させる場合、テレビの音声出力状態に応じてAVアンプのEDIDをテレビのEDIDに書き換える。これにより、テレビから音声を出力するのに最適なダウンミックス処理ができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態である音声中継装置を含むAVシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】同実施の形態によるAVアンプのEDIDの書き換え方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0023】
400…DVDプレーヤ、401…コンテンツ、402…データ入力部、403…デコード部、404…DVD制御部、405…ダウンミックス処理部、406…HDMI総受信部。500…AVアンプ、505…EDID、504…音声出力部、507…スピーカ、600…テレビ、601…HDMI送受信部、602…TV制御部、603…音声処理部、605…EDID、604…音声出力部、607…スピーカ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオコンテンツ再生装置からオーディオデータを受信して、他の音声出力装置にオーディオデータを転送するオーディオデータ中継装置において、
前記オーディオデータの音声出力を、前記他の音声出力装置で出力しているか、またはオーディオ中継装置内の音声出力部で出力しているか判定する判定手段と、
前記他の音声出力装置にて音声が出力されている場合、オーディオ中継装置内の記録されている仕様データを前記他の音声出力装置の仕様データに書き換える書き換え手段と、
を具備したことを特徴とするオーディオデータ中継装置。
【請求項2】
前記他の音声出力装置はデジタルテレビであることを特徴とする請求項1記載のオーディオ中継装置。
【請求項3】
前記テレビの仕様データは、HDMI形式で受信する受信手段を有することを特徴とする請求項2記載のオーディオ中継装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−301454(P2008−301454A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−148655(P2007−148655)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】