説明

オーバレイ画像合成装置

【課題】重ね合わせ画像合成における動作の同期が容易になる。
【解決手段】透過率情報を付した複数の画像信号入力による画像をそれぞれ所望の大きさに拡大又は縮小し、その拡大又は縮小した画像の表示画面上の位置をそれぞれ指定すると共に、拡大又は縮小された画像の枠外の透過率情報をそれぞれ設定し、画像信号とそれに付された透過率情報を出力する複数の拡縮部12、複数の拡縮部からの複数の画像信号とそれに付された透過率情報に対して、表示画面への表示の優先順位を指定するプライオリティスイッチャ14、及び、プライオリティスイッチャからの複数の画像信号の優先順位と各画像信号の透過率情報に従って、複数の画像信号を重ね合わせて合成画像信号を出力する重ね合わせ部15を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の画像信号を重ね合わせて画像を合成するオーバレイ画像合成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は従来のオーバレイ画像合成装置の構成を示すブロック図である。図8は表示装置の画面に表示される合成画像を説明する図である。オーバレイ画像合成装置は4つの画像信号の拡縮部1と、オーバレイ部2とで構成される。オーバレイ部2は4つのオーバレイ枠生成部3と、4つの合成部4と、プライオリティスイッチャ5と、重ね合わせ回路6とで構成される。第1〜第4画像信号は、コンピュータやビデオレコーダ等の画像供給装置から供給される画像信号である。拡縮部1は入力される複数の画像信号の表す画像をそれぞれ拡大または縮小して希望する大きさの画像に変換する。
【0003】
オーバレイ枠生成部3では、拡縮部1で形成される大きさの画像に合う大きさの窓(枠)を希望する画面上の位置に設定する。つまり第1〜第4画像信号からそれぞれ形成される大きさの画像に合う大きさの窓(枠)を希望する画面上の位置にそれぞれ設定する。合成部4では、拡縮部で形成された大きさの画像を、オーバレイ枠生成部3で生成した画面上の特定位置に生成した窓(枠)に合致(位置合わせ)させて、第1〜第4合成画像信号を形成する。
【0004】
プライオリティスイッチャ5で、第1〜第4合成画像信号の優先順位を決め、重ね合わせ回路6で優先順に、優先順位の低い画像を下にして、優先順位の高い画像を上にして、重ね合わせで合成画像信号を出力する。オーバレイ画像合成装置から出力される合成画像信号により、その画像が発光ダイオード等で構成される画像表示装置(図示せず)に形成される。図2では、優先順位が第1画像>第2画像>第3画像>第4画像である場合に画面に表示される合成画像を示している。なお、同分野のオーバレイ画像合成装置としては、特許文献1がある。
【0005】
【特許文献1】特開2001−255862号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のオーバレイ画像合成装置では、拡縮部で生成される画像とオーバレイ枠生成部の位置指定された生成枠(生成矩形)との同期が取り辛いという問題点があった。つまり、拡縮された画像をオーバレイ枠生成部の位置指定された生成枠に精度よく位置合わせすることがむつかしい問題点があった。
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、拡大又は縮小された画像の枠外の透過率情報を設定し、1画面に複数のチャンネル画像を透過率情報と優先順位に基づいてオーバレイして表示するオーバレイ画像合成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係わるオーバレイ画像合成装置は、透過率情報を付した複数の画像信号入力による画像をそれぞれ所望の大きさに拡大又は縮小し、その拡大又は縮小した画像の表示画面上の位置をそれぞれ指定すると共に、拡大又は縮小された画像の枠外の透過率情報をそれぞれ設定し、画像信号とそれに付された透過率情報を出力する複数の拡縮部、前記複数の拡縮部からの複数の画像信号とそれに付された透過率情報に対して、表示画面への表示の優先順位を指定するプライオリティスイッチャ、及び、前記プライオリティスイッチャからの複数の画像信号の優先順位と各画像信号の透過率情報に従って、複数の画像信号を重ね合わせて合成画像信号を出力する重ね合わせ部を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明のオーバレイ画像合成装置によれば、透過率情報を付した複数の画像信号入力による画像をそれぞれ所望の大きさに拡大又は縮小し、その拡大又は縮小した画像の表示画面上の位置をそれぞれ指定すると共に、拡大又は縮小された画像の枠外の透過率情報をそれぞれ設定し、画像信号とそれに付された透過率情報を出力する複数の拡縮部、前記複数の拡縮部からの複数の画像信号とそれに付された透過率情報に対して、表示画面への表示の優先順位を指定するプライオリティスイッチャ、及び、前記プライオリティスイッチャからの複数の画像信号の優先順位と各画像信号の透過率情報に従って、複数の画像信号を重ね合わせて合成画像信号を出力する重ね合わせ部を備えたので、透過率情報と優先順位に基づいて複数の画像信号を重ね合わせて、合成画像信号を得ることができ、拡縮部で生成される拡大又は縮小された画像の枠外の透過率情報を設定することにより、動作の同期が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1であるオーバレイ画像合成装置の構成を示すブロック図である。図1は4つの第1〜第4画像信号を例にして、これらの画像信号に対して重ね合わせた合成画像信号を得る構成を示している。オーバレイ画像合成装置は4つの透過率設定部11と4つの拡縮部12と、オーバレイ部13で構成される。オーバレイ部13はプライオリティスイッチャ14と重ね合わせ回路15とで構成される。これらのオーバレイ画像合成装置の各部は制御回路(マイクロプロセッサ)で予め定めた制御信号を所定のタイミングで送ることで制御される。第1〜第4画像信号は、コンピュータやビデオレコーダ等の画像供給装置から供給される画像信号である。第1〜第4画像信号には、画素ごとにRGBごとの輝度値を表す色データを有している。
【0010】
図2は実施の形態1における透過率設定部の構成を示すブロック図である。21はマイクロプロセッサで、1〜n個の色設定レジスタ22にはそれぞれ所望の色データが設定でき、1〜n個の透過率設定レジスタ23には所望の透過率情報が設定でき、ooh24には、所望の透過率情報で例えば1.0(透過率100%)が設定できる。つまり、この例では、特定のn個の色データに対して特定の透過率情報を設定できる。25はコンパレータで1〜n個有している。26はセレクタで1〜n個有している。27はセレクタである。1〜nのセレクタ26は、コンパレータ25からH信号が入力されると、H側に接続され、H信号が入力されないときは、L側に接続されている。また、セレクタ27はマイクロプロセッサ21の制御により透過率情報を内部生成するときは、H側に接続され、透過率情報を外部設定するときはL側に接続される。
【0011】
図2の動作を説明する。画素ごとに色データを有する画像信号が1〜nの各コンパレータ25に入力され、また、1〜nのコンパレータ25には、1〜nの色設定レジスタ22からの信号がそれぞれ入力される。各コンパレータ25では画像信号の画素ごとの色データと色設定レジスタ22の色コードが比較され、一致するコンパレータ25が1つもないときは、各セレクタ26はL側に接続されたままであるので、ooh24で設定された透過率情報がセレクタ27を経由して出力され、画像信号のその画素に対して同期して透過率情報が与えられる。一致するコンパレータ25があるときは、そのコンパレータ25からH信号が出力され、該当するセレクタ26がH側に接続されるので、そのセレクタ26に接続されている透過率設定レジスタ23に設定されている透過率情報がセレクタ27を経由して出力され、画像信号のその画素に対して同期して透過率情報が与えられる。このようにして、画像信号の各画素ごとに透過率情報を付与して、透過率設定部11から画像信号とともに透過率情報が出力される。
【0012】
一方、外部で設定される透過率情報を用いるときは、セレクタ27をL側に接続し、外部の透過率情報(図1の第1透過率情報)をセレクタ27を経由して出力し、画像信号の画素ごとに同期して透過率情報を与える。このようにして、第1〜第4画像信号には、それぞれ前述した透過率設定部11が設けられており、各画像信号の各画素ごとに透過率情報が付与され、第1〜第4画像信号が透過率情報と共に、拡縮部12に入力される。
【0013】
図3は実施の形態1における拡縮部の構成と動作を説明する図である。透過率設定部11から入力された画像信号と透過率情報による画像は、制御回路(図示せず)からの制御により所望の大きさに拡大縮小され、その拡大又は縮小された画像の画面上の位置が指定される。図3(a)は、表示画面31に拡大縮小された画像32が指定された位置に配置されていることを示している。図3(c)では、画像信号がRGBごとに拡縮ブロック33で拡大縮小され、拡大縮小された画像信号が出力される。同様に透過率情報もそのアドレスが拡縮ブロック34で拡大縮小され、拡縮された画像信号の画素ごとに透過率情報も対応して出力される。なお、透過率設定部11から入力された画像信号と透過率情報による画像は、その一部が拡大縮小され、その拡大又は縮小された画像の画面上の位置が指定されてもよい。
【0014】
図3(b)は、拡大又は縮小された画像の表示画面上の位置に基づいて出力される信号を説明する図である。波形(b−1)はH(水平)同期信号を示す。波形(b−2)は画像が存在する場合で、波形によりH同期信号のスタートからHs後のHw期間に画像が存在することをH画像期間で示している。波形(b−3)は画像が存在する場合で、波形により、画像が存在しない期間(枠外期間)をH枠外信号で示している。波形(b−4)はV(垂直)同期信号を示す。波形(b−5)は画像が存在する場合で、波形によりV同期信号のスタートからVs後のVw期間に画像が存在することをV画像期間で示している。波形(b−6)は画像が存在する場合で、波形により、画像が存在しない期間(枠外期間)をV枠外信号で示している。
【0015】
図3(c)で、35はオア回路で、H枠外信号かV枠外信号が存在するときH出力を出す。するとセレクタ36より、画像の枠外に付す透過率情報が出力される。この例では画像の枠外に付す透過率情報として、透過率1.0(透過率100%)が出力される。逆にオア回路35よりH出力が出ないときは、枠内で画像が存在するときであり、セレクタ36は、画像信号に付されている透過率情報がそのまま出力される。このようにして透過率設定部11から出力された第1〜第4画像信号とそれに付された透過率情報に対して、それぞれRGBごとに拡大縮小され、透過率情報も拡大縮小され、枠内枠外を含む画面全体の画像信号とそれに付された枠内枠外の透過率情報が出力される。
【0016】
図4は実施の形態1におけるプライオリティスイッチャの構成とプライオリティコードを示す図である。図4(a)はプライオリティスイッチャ14の構成を示し、第1画像信号と第1透過率情報にはスイッチa〜dが、第2画像信号と第2透過率情報にはスイッチe〜hが、第3画像信号と第3透過率情報にはスイッチi〜lが、第4画像信号と第4透過率情報にはスイッチm〜pがそれぞれ接続されている。41はマイクロプロセッサで、デコーダ42のコードを設定できる。デコーダ42では、図4(b)に示すように、プライオリティコード0〜23が設定でき、いずれかが設定されることにより、第1画像信号と第1透過率情報、第2画像信号と第2透過率情報、第3画像信号と第3透過率情報、第4画像信号と第4透過率情報の間の優先順位である、第1出力>第2出力>第3出力>第4出力が決定される。
【0017】
例えば、プライオリティコード0がデコーダ42で設定されると、第1出力としてスイッチd、第2出力としてスイッチg、第3出力としてスイッチj、第4出力としてスイッチmが接続され、優先順位として、第1画像信号と第1透過率情報>第2画像信号と第2透過率情報>第3画像信号と第3透過率情報>第4画像信号と第4透過率情報となる。なお、ここで、第1画像信号に付与されている第1透過率情報を第1画像信号fに付与されている透過率情報Aとして、第2画像信号に付与されている第2透過率情報を第2画像信号fに付与されている透過率情報Bとして、第3画像信号に付与されている第3透過率情報を第3画像信号fに付与されている透過率情報Cとして、第4画像信号に付与されている第4透過率情報を第4画像信号fに付与されている透過率情報Dとする。このようにして、第1画像信号fと透過率情報A>第2画像信号fと透過率情報B>第3画像信号fと透過率情報C、第4画像信号fと透過率情報Dと優先順位が付けられた画像信号とこれに付した透過率情報が、重ね合わせ回路15にそれぞれ入力される。
【0018】
図5は実施の形態1における重ね合わせ回路の構成を示すブロック図である。RGBごとにそれぞれ設けられる。R回路について構成と動作を説明するが、G回路、B回路についても同様に構成され、動作するので、その説明は省略する。51は演算回路で、P端子に入力される信号からQ端子に入力される信号を減算(P−Q)するものである。なお、FFh端子には、1.0(透過率100%)が入力される。52は演算回路で、P端子に入力される信号とQ端子に入力される信号を乗算(P×Q)するものである。53は演算回路で、P端子に入力される信号とQ端子に入力される信号を加算(P+Q)するものである。なお、演算回路51,演算回路52,演算回路53の符号にアルファベット小文字を付けて、その演算回路を特定する。重ね合わせ回路での画像信号の演算と合成は、画素ごとにRGBごとに、演算され、合成される。図6は重ね合わせ回路の各部の画像信号を画面に表示したときの画像を示す図である。
【0019】
次に重ね合わせ回路の動作について説明する。演算回路51dでは、P端子に1が入力され、Q端子に透過率情報Dが入力されるので、1−D信号が出力される。演算回路52gでは、P端子に第4画像信号fが入力され、Q他端子に1−D信号が入力されるので、画像信号(1−D)f=f41が出力される。これを画面に表示すると、画像としては図6(a)に示す図となる。
【0020】
次に第4画像信号に基づく画像信号f41と第3画像信号fの重ね合わせを説明する。演算回路52fでは、P端子に透過率情報Cが入力され、Q他端子に画像信号f41が入力されるので、画像信号Cf41が出力される。演算回路51cでは、同様にして、1−C信号が出力される。演算回路52eでは、P端子に第3画像信号fが入力され、Q端子に1−C信号が入力されるので、画像信号(1−C)fが出力される。演算回路53cでは、P端子に画像信号(1−C)fが入力され、Q端子に画像信号Cf41が入力されるので、第3合成画像信号fm=(1−C)f+Cf41が出力される。これを画面に表示すると、画像としては図6(b)に示す図となる。つまり第3画像信号が優先されて表示され、この例では第3画像信号の枠外で第4画像信号に基づく画像が透過されて表示される。このようにして、RGBごとに画素ごとに演算され、合成されて、第3画像信号が優先されて表示される。
【0021】
同様にして、演算回路53bから第2画像信号fと第3合成画像信号とが合成された第2合成画像信号が出力される。これを画面に表示すると、画像としては図6(c)に示す図となり、第2画像信号fが優先されて表示される。さらに、演算回路53aから第1画像信号fと第2合成画像信号とが合成された第1合成画像信号が出力される。これを画面に表示すると、画像としては図6(d)に示す図となり、第1画像信号fが優先されて表示される。このようにして、第1画像信号fと透過率情報A>第2画像信号fと透過率情報B>第3画像信号fと透過率情報C>第4画像信号fと透過率情報Dと優先順位が付けられた画像信号とこれに付した透過率情報が、RGBごとに画素ごとに演算され、合成されて、最終の合成画像信号が出力され表示される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施の形態1であるオーバレイ画像合成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1における透過率設定部の構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1における拡縮部の構成と動作を説明する図である。
【図4】実施の形態1におけるプライオリティスイッチャの構成とプライオリティコードを示す図である。
【図5】実施の形態1における重ね合わせ回路の構成を示すブロック図である。
【図6】実施の形態1における重ね合わせ回路の各部の画像信号を画面に表示したときの画像を示す図である。
【図7】従来のオーバレイ画像合成装置の構成を示すブロック図である。
【図8】表示画面に表示される合成画像を説明する図である。
【符号の説明】
【0023】
11 透過率設定部 12 拡縮部
13 オーバレイ部 14 プライオリティスイッチャ
15 重ね合わせ回路 21 マイクロプロセッサ
22 色設定レジスタ 23 透過率設定レジスタ
24 ooh 25 コンパレータ
26 セレクタ 27 セレクタ
31 表示画面 32 画像
33 拡縮ブロック 34 拡縮ブロック
35 オア回路 36 セレクタ
41 マイクロプロセッサ 42 デコーダ
51 演算回路 52 演算回路
53 演算回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過率情報を付した複数の画像信号入力による画像をそれぞれ所望の大きさに拡大又は縮小し、その拡大又は縮小した画像の表示画面上の位置をそれぞれ指定すると共に、拡大又は縮小された画像の枠外の透過率情報をそれぞれ設定し、画像信号とそれに付された透過率情報を出力する複数の拡縮部、
前記複数の拡縮部からの複数の画像信号とそれに付された透過率情報に対して、表示画面への表示の優先順位を指定するプライオリティスイッチャ、及び、
前記プライオリティスイッチャからの複数の画像信号の優先順位と各画像信号の透過率情報に従って、複数の画像信号を重ね合わせて合成画像信号を出力する重ね合わせ部を備えたオーバレイ画像合成装置。
【請求項2】
画像信号に対して透過率情報を付与して前記拡縮部に入力させる透過率設定部を備えた請求項1記載のオーバレイ画像合成装置。
【請求項3】
前記透過率設定部は画像信号の特定の色データを検出して、その特定の色データに特定の透過率情報を付与するよう構成された請求項2記載のオーバレイ画像合成装置。
【請求項4】
前記拡縮部で設定する画像の枠外の透過率情報は透過率が100%である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のオーバレイ画像合成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−262102(P2008−262102A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−105950(P2007−105950)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】