説明

オーバーヒート抑制装置

【課題】通風口近傍にある物体によって機器内部の冷却が妨げられるのを防止する。
【解決手段】画像形成装置の通風口2には冷却ファンユニット3が設けられており、さらに、この通風口2には赤外線LED4および赤外線センサが設けられている。画像形成装置のオーバーヒート時には、冷却ファンユニット3により画像形成装置内を冷却する前に、赤外線LED4および赤外線センサにより通風口2近傍に存在する障害物を検知し、利用者に障害物の除去を求めるメッセージなどを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複写機、プリンタ、複合機などの画像形成装置をはじめとする種々の機器におけるオーバーヒートを抑制するオーバーヒート抑制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば複写機、プリンタ、複合機などの画像形成装置の内部には、動作に伴い熱を発する部品が含まれている。これらの部品の発熱により画像形成装置内の温度が上昇すると、画像形成装置に、性能の大幅な低下、故障などの不具合が生じるおそれがある。
【0003】
このような不具合が生じるのを防止するために、多くの画像形成装置は、画像形成装置内の温度が正常な温度範囲を超えて上昇し、オーバーヒートとなったときに、このことを検知し、冷却ファンを稼働し、画像形成装置内を冷却する。すなわち、冷却ファンを稼働して、画像形成装置に設けられた通風口から外気を取り入れ、あるいは内部の熱気を排出する。これにより、画像形成装置内の温度を下げる。
【0004】
ところが、画像形成装置の通風口の前に、壁、戸棚、積み重なった段ボール箱などの障害物があると、この障害物により、通風口の全部または一部が遮断され、外部から画像形成装置内への外気の流入、あるいは画像形成装置内から外部への熱気の流出が妨げられる。このような場合には、冷却ファンによる冷却効果が十分に発揮されず、画像形成装置内の温度を十分に下げることができない。
【0005】
特開平11−54975号公報(特許文献1)には、排風口近傍に障害物の温度を検知するセンサを設け、このセンサが所定の基準レベルよりも高い温度を検知したときに、ファンの回転数を定常時よりも高める装置が記載されている。また、この公報には、センサが所定の基準レベルよりも高い温度を検知したときに、排風口の開口面積を定常時よりも大きくする装置が記載されている。さらに、この公報には、センサが所定の基準レベルよりも高い温度を検知したときに、排風口に設けられたルーバの角度または位置を変化させ、排風抵抗を定常時よりも小さくする装置が記載されている。
【特許文献1】特開平11−54975号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特開平11−54975号公報記載の装置では、排風口近傍に障害物があるとファンの回転数が高まり、定常時よりも多くの電力が消費され、または、ファンの回転により発する騒音が大きくなるという問題がある。
【0007】
また、上述した特開平11−54975号公報記載の装置のように、排風口の開口面積を変化させる機構またはルーバを設けることは、装置の製造コストの上昇を招くという問題がある。
【0008】
また、排風口近傍に、この排風口を完全に塞いでしまうような大きな障害物がある場合には、ファンの回転数を高めても、あるいは排風口の開口面積を大きくしても、あるいはルーバの角度または位置を変化させても、装置の内部と外部との間の空気の流入・流出は依然としてその大きな障害物に妨げられたままである。このため、ファンによる冷却効果を十分に発揮させることができず、装置内の温度を十分に下げることが困難であり、あるいは、通風口と障害物との間のわずかな隙間を介して空気が流れ、僅かな冷却効果が得られたとしても、装置内の温度を十分に下げるのに長い時間がかかってしまうという問題がある。
【0009】
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、通風口近傍にある物体によって機器内部の冷却が妨げられるのを防止することができるオーバーヒート抑制装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、機器のオーバーヒートを抑制するオーバーヒート抑制装置であって、前記機器のオーバーヒートを検知するオーバーヒート検知手段と、前記オーバーヒート検知手段により前記機器のオーバーヒートが検知された場合に、前記機器の内部と外部とを接続する通風口を介して前記機器の内部と外部との間で空気を流通させることにより、前記機器の内部を冷却する冷却手段と、前記通風口に設けられ、前記機器の外部であって通風口近傍に存在する物体を検知する物体検知手段と、前記オーバーヒート検知手段により前記機器のオーバーヒートが検知され、かつ前記物体検知手段により前記物体が検知されたときに、利用者に対し合図またはメッセージを出力する報知手段とを備えている。
【0011】
上述した本発明において、前記機器は、画像の読み取り、画像の複写または画像の印刷を行う画像形成装置であることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
上述した本発明によれば、通風口近傍にある物体によって機器内部の冷却が妨げられるのを防止することができ、オーバーヒートにより機器に性能の大幅な低下、故障などの悪影響が及ぶことを回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
(画像形成装置・オーバーヒート抑制装置)
図1は画像形成装置などを示している。図1において、画像形成装置1は、例えば複写機能、プリンタ機能およびファクシミリ送受信機能などを備えた複合機である。画像形成装置1には、後述する冷却ファンユニット3、赤外線LED4、赤外線センサ5、温度センサ6、ディスプレイユニット7および制御ユニット8を備え、画像形成装置1のオーバーヒートを抑制する、本発明の実施形態であるオーバーヒート抑制装置10(図4参照)が搭載されている。また、画像形成装置1の横には、段ボール箱50、50が積まれており、上側の段ボール箱50が、画像形成装置1の通風口2近傍に存在し、通風口2から排出される空気の流れを妨げる障害物となっている。
【0015】
図2は図1中の画像形成装置1の通風口2、冷却ファンユニット3などを拡大して示している。図3は図2中の冷却ファンユニット3などを矢示III−III方向から見た断面図である。
【0016】
図2に示すように、画像形成装置1には、画像形成装置1の内部と外部とを接続する通風口2が設けられている。
【0017】
また、通風口2には、通風口2を介して画像形成装置1の内部から外部へ空気を排出することにより、画像形成装置1の内部を冷却する冷却ファンユニット3が設けられている。冷却ファンユニット3は、回転することにより画像形成装置1内の空気を外部に排出する冷却ファン3Aと、冷却ファン3Aを回転させるモータ3Bとを備えている。
【0018】
さらに、図3に示すように、通風口2には、画像形成装置1の外部であって通風口2近傍に存在する物体を検知するための赤外線LED(赤外線発光ダイオード)4および赤外線センサ5が設けられている。本実施形態のおける赤外線LED4および赤外線センサ5は、通風口2の内側の壁面に取り付けられている。赤外線LED4は、図2中の点線で示すように、通風口2の内側から画像形成装置1の外部に向かって水平方向に赤外線を照射する。通風口2近傍に、段ボール箱50などの物体(障害物)がある場合には、赤外線LED4から照射された赤外線は、その物体に反射する。赤外線センサ5は、この物体に反射した赤外線を受け取り、この受け取った赤外線の光量を示す検知信号を出力する。
【0019】
図4は画像形成装置1の電気的構成を示している。図4に示すように、画像形成装置1において、冷却ファンユニット3の冷却ファン3Aを回転させるモータ3B、赤外線LED4および赤外線センサ5は、制御ユニット8に電気的に接続されている。また、画像形成装置1の内部に設けられ、画像形成装置1の内部の温度を測定する温度センサ6、および画像形成装置1のフロンパネルに取り付けられた小型の液晶ディスプレイを有するディスプレイユニット7(図1も参照)も制御ユニット8に電気的に接続されている。さらに、画像形成装置1には、原稿画像を読み取るための原稿画像読取機構11、読み取った原稿画像または画像形成装置1に接続されたパーソナルコンピュータなどの端末装置から送信された原稿画像データを用紙に印刷するための印刷機構12、画像形成装置1と端末装置とを相互に通信可能に接続するための通信インタフェース13、および利用者が画像形成装置1に指示や数値などを入力するための操作入力ユニット14を備えている。これら原稿画像読取機構11、印刷機構12、通信インタフェース13および操作入力ユニット14も、制御ユニットに電気的に接続されている。また、画像形成装置1は、主にファクシミリ通信を行うときに画像形成装置1を電話回線に接続するための電話回線接続インタフェース(図示せず)を備え、この電話回線接続インタフェースも制御ユニット8に電気的に接続されている。
【0020】
そして、冷却ファンユニット3、赤外線LED4、赤外線センサ5、温度センサ6、ディスプレイユニット7および制御ユニット8などによりオーバーヒート抑制装置10が構成される。なお、温度センサ6が画像形成装置1のオーバーヒートを検知するオーバーヒート検知手段の具体例であり、冷却ファンユニット3が冷却手段の具体例であり、赤外線LED4および赤外線センサ5が、画像形成装置1の外部であって通風口2近傍に存在する物体を検知する物体検知手段の具体例であり、ディスプレイユニット7が報知手段の具体例である。
【0021】
制御ユニット8は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を備え、ROMに記憶されたプログラムをCPUに実行させることにより、後述するオーバーヒート抑制処理を行う。RAMは上記プログラムの実行時に作業メモリとして用いられる。
【0022】
オーバーヒート抑制処理において、制御ユニット8は、冷却ファンユニット3のモータ3Bの回転を制御する。また、制御ユニット8は、温度センサ6により測定された画像形成装置1の内部の温度に基づいて画像形成装置1がオーバーヒートになったこと、またはオーバーヒートが解消したことを判断する。また、制御ユニット8は、赤外線LED4における赤外線の照射の開始・停止を制御する。さらに、制御ユニット8は、赤外線センサ5から出力された検知信号を受け取り、これに基づいて、画像形成装置1の外部であって通風口2近傍に存在する物体の有無を判断する。さらに、制御ユニット8は、ディスプレイユニット7が有するディスプレイの画面にメッセージを表示する。
【0023】
また、制御ユニット8は、画像形成装置1の複写機能、プリント機能、ファクシミリ送受信機能などを実現するために、複写処理、プリント処理またはファクシミリ送受信処理などを行う。複写処理、プリント処理またはファクシミリ送受信処理などにおいて、制御ユニット8は、原稿画像機構11、印刷機構12などを制御して複写、プリント、ファクシミリ送受信などを行う。
【0024】
(オーバーヒート抑制処理)
図5はオーバーヒート抑制処理を示している。オーバーヒート抑制処理は、少なくとも画像形成装置1の稼働中において、制御ユニット8の制御の下、常時実行される。図5に示すように、オーバーヒート抑制処理において、まず、制御ユニット8は、温度センサ6により測定された画像形成装置1の内部の温度に基づいて画像形成装置1がオーバーヒートになったか否かを判断する(ステップS1)。具体的には、制御ユニット8は、温度センサ6から出力された温度測定信号を受け取り、この温度測定信号が示す画像形成装置1の内部の温度値が所定の基準値を超えたときに、画像形成装置1がオーバーヒートになったと判断する。
【0025】
画像形成装置1がオーバーヒートになったと判断したとき(ステップS1:YES)、制御ユニット8は、複写処理、プリント処理およびファクシミリ送信処理を停止し、あるいは利用禁止にする。続いて、制御ユニット8は、赤外線LED4による赤外線の照射を開始させる(ステップS2)。
【0026】
続いて、制御ユニット8は、赤外線センサ5から出力される検知信号に基づいて、画像形成装置1の外部であって通風口2近傍に存在する物体(例えば段ボール箱50)の有無を判断する(ステップS3)。具体的には、制御ユニット8は、赤外線センサ5から出力された検知信号が示す赤外線の光量値が所定の基準値を超えたときに、通風口2近傍に物体が存在すると判断する。
【0027】
通風口2近傍に物体が存在すると判断したとき(ステップS3:YES)、制御ユニット8は、ディスプレイユニット7が有するディスプレイの画面に例えば「通風口前の物を撤去してください。」といったメッセージを表示する(ステップS4)。具体的には、制御ユニット8は、「通風口前の物を撤去してください。」というテキストデータをディスプレイユニット7に出力する。これにより、ディスプレイユニット7が有するディスプレイの画面には、図6に示すように、「通風口前の物を撤去してください。」と表示される。
【0028】
制御ユニット8は、通風口2近傍に物体が存在する間、ステップS3およびS4を繰り返し実行する。
【0029】
そして、利用者が通風口2近傍の物体を撤去したことにより、通風口2近傍に物体が存在しなくなったとき、制御ユニット8は、ステップS3において、通風口2近傍に物体が存在しないと判断する(ステップS3:NO)。続いて、制御ユニット8は、オーバーヒートが解消するまで、複写処理、プリント処理およびファクシミリ送信処理を停止させたまま画像形成装置1の冷却を行うことを利用者に告げるために、「お待ちください」といったメッセージをディスプレイユニット7が有するディスプレイの画面に表示する(ステップS5)。
【0030】
続いて、制御ユニット8は、赤外線LED4における赤外線の照射を停止させ(ステップS6)、続いて、冷却ファンユニット3のモータ3Bの回転数を通常時の回転数よりも上げる(ステップS7)。これにより、通風口2から排出される単位時間当たりの空気量が増加する。なお、ステップ7以前の段階でモータ3Bが停止していた場合には、モータ3Bを駆動させ、通風口2からの空気の排出を開始させる。
【0031】
続いて、制御ユニット8は、温度センサ6により測定された画像形成装置1の内部の温度に基づいて画像形成装置1におけるオーバーヒートが解消したか否かを判断する(ステップS8)。具体的には、制御ユニット8は、温度センサ6から出力された温度測定信号を受け取り、この温度測定信号が示す画像形成装置1の内部の温度値が所定の基準値以下になったときに、画像形成装置1におけるオーバーヒートが解消したと判断する。
【0032】
画像形成装置1におけるオーバーヒートが解消したと判断したとき(ステップS8:YES)、制御ユニット8は、冷却ファンユニット3のモータ3Bの回転数を下げ、この回転数を通常時の回転数に戻し、あるいは、モータ3Bの駆動を停止する(ステップS9)。続いて、制御ユニット8は、複写処理、プリント処理およびファクシミリ送信処理を再開し、あるいは利用を許可する。
【0033】
以上説明した通り、オーバーヒート抑制装置10によれば、ディスプレイ画面にメッセージを表示することにより、通風口2近傍に段ボール箱50などの物体が存在していることを利用者に知らせ、通風口2近傍に存在する物体を利用者に移動または除去させることができる。これにより、通風口2近傍にある物体によって、冷却ファンユニット3の冷却効果が十分に発揮されないために画像形成装置1内部の冷却が妨げられるのを防止することができ、オーバーヒートにより画像形成装置1に性能の大幅な低下、故障などの悪影響が及ぶことを回避することができる。
【0034】
また、オーバーヒート抑制装置10によれば、通風口2近傍に存在し、通風口2を通じた空気の流れを妨げる物体を、物体の形状や大きさ、重さを問わず、利用者の行動次第で移動または除去することができ、通風口2の空気の流れを良好な状態に回復することができる。例えば、通風口2近傍に存在する物体が段ボール箱50の場合には、利用者がその段ボール箱50を他の場所に移動すれば、通風口2の空気の流れを良好な状態に回復することができる。また、通風口2近傍に存在する物体が、大きく背の高い戸棚である場合には、利用者が、その戸棚を他の場所に移動するか、画像形成装置1と戸棚との間隔が大きくなるように画像形成装置1を移動すれば、通風口2の空気の流れを良好な状態に回復することができる。また、通風口2近傍に存在する物体が、不動の壁である場合には、利用者が、画像形成装置1と壁との間隔が大きくなるように画像形成装置1を移動すれば、通風口2の空気の流れを良好な状態に回復することができる。
【0035】
また、通風口2近傍に存在する物体が、大きく背の高い戸棚や壁などの場合には、このような物体により通風口2全体が塞がれてしまう場合があり得る。このような場合でも、オーバーヒート抑制装置10によれば、利用者にその旨を報知することにより、通風口2を開放することができ、冷却ファンユニット3による良好な冷却効果を確保することができる。
【0036】
また、オーバーヒート抑制装置10によれば、通風口2近傍に存在する物体を利用者に移動または除去させることにより、通風口2の空気の流れを良好な状態に回復させるので、冷却ファンユニット3による冷却効果を得るために、冷却ファンの回転数を大幅に(特別なレベルにまで)高める必要がない。これにより、冷却ファンユニット3のモータ3Bが消費する電力を削減することができ、また、冷却ファン3Aが高速回転するときに冷却ファン3Aまたはモータ3Bから発生する騒音を低下させることができる。
【0037】
また、オーバーヒート抑制装置10によれば、通風口2近傍に存在する物体を利用者に移動または除去させることにより、通風口2の空気の流れを良好な状態に回復させるので、オーバーヒート解消のための冷却時間を短くすることができる。
【0038】
また、オーバーヒート抑制装置10によれば、通風口2近傍に存在する物体を利用者に移動または除去させることにより、通風口2の空気の流れを良好な状態に回復させるので、通風口2の開口面積を大きくする機構を追加したり、通風口2に流出入する空気の方向を変えるためのルーバを追加したりする必要がない。したがって、オーバーヒート装置10または画像形成装置1の製造コストの上昇を抑えることができる。
【0039】
なお、上述した画像形成装置1では、冷却ファン3Aの回転により画像形成装置1内の空気が通風口2から排出される場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。冷却ファン3Aの回転により外部の空気を画像形成装置1内に取り込む場合にも本発明を適用することができる。
【0040】
また、上述した画像形成装置1では、赤外線LED4および赤外線センサ5を通風口2の内側の壁面に取り付ける場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。例えば図7に示すように、赤外線LED21および赤外線センサ22を通風口2外側の通風口2近傍に位置する画像形成装置1の側面に取り付けてもよい。
【0041】
また、上述した画像形成装置1では、通風口2近傍に物体が存在することを赤外線LED4および赤外線センサ5により検知する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。赤外線を照射し、物体から反射された赤外線を受け取り、これに基づいて物体の存在の有無を検知する他の手段を用いてもよい。また、LEDなどの発光手段および受光素子などを備えた光センサなどを利用し、赤外線以外の光線により物体の存在の有無を検知してもよい。また、撮像手段を用いて物体の存在の有無を検知してもよい。また、赤外線LED4および赤外線センサ5に代えて流量センサを設け、流量センサにより通風口2近傍に物体が存在することを検知してもよい。この場合には、流量センサにより、通風口2を流れる空気の流量を測定し、流量が所定量よりも少ないときには、通風口2近傍に物体が存在すると判断する。
【0042】
また、上述した画像形成装置1では、通風口2近傍に存在する物体を撤去する旨を利用者に報知する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。通風口2近傍に物体が存在することを報知してもよいし、冷却効果が十分に発揮されない状態であることを報知してもよい。また、報知の方法は、メッセージを表示する方法に限らず、LEDランプなどを用いて合図を出す方法でもよい。また、報知手段は、ディスプレイといった表示手段に限らず、スピーカまたはブザーなどの音声手段でもよい。
【0043】
また、上述した実施形態では、オーバーヒート管理の対象となる機器として画像形成装置(より具体的には複合機)を例にあげたが、本発明はこれに限らない。本発明は、複写専用機やプリント専用機などの他の画像形成装置、あるいは他の電気、電子、制御機器にも適用することができる。もっとも、発熱部品を多く搭載する画像形成装置に本発明を適用することにより、画像形成装置にオーバーヒートによる悪影響が及ぶのを効果的に防止することができる。
【0044】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うオーバーヒート抑制装置もまた本発明の技術思想に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態であるオーバーヒート抑制装置が搭載された画像形成装置(通風口、冷却ファンユニットおよびその周辺部分のみそれらの断面を示す)および画像形成装置の横に積まれた段ボール箱を示す説明図である。
【図2】図1中の通風口、冷却ファンユニットなどの拡大図である。
【図3】図2中の矢示III−III方向断面図である。
【図4】画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】オーバーヒート抑制処理を示すフローチャートである。
【図6】ディスプレイの画面にメッセージが表示された状態を示す説明図である。
【図7】通風口外側の通風口近傍に赤外線LEDおよび赤外線センサが配置された画像形成装置の側面を示す正面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 画像形成装置
2 通風口
3 冷却ファンユニット
4 赤外線LED
5 赤外線センサ
6 温度センサ
7 ディスプレイユニット
8 制御ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器のオーバーヒートを抑制するオーバーヒート抑制装置であって、
前記機器のオーバーヒートを検知するオーバーヒート検知手段と、
前記オーバーヒート検知手段により前記機器のオーバーヒートが検知された場合に、前記機器の内部と外部とを接続する通風口を介して前記機器の内部と外部との間で空気を流通させることにより、前記機器の内部を冷却する冷却手段と、
前記通風口に設けられ、前記機器の外部であって通風口近傍に存在する物体を検知する物体検知手段と、
前記オーバーヒート検知手段により前記機器のオーバーヒートが検知され、かつ前記物体検知手段により前記物体が検知されたときに、利用者に対し合図またはメッセージを出力する報知手段とを備えていることを特徴とするオーバーヒート抑制装置。
【請求項2】
前記機器は、画像の読み取り、画像の複写または画像の印刷を行う画像形成装置であることを特徴とする請求項1に記載のオーバーヒート抑制装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−32949(P2010−32949A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197374(P2008−197374)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】