説明

オープニングトリムウエザストリップ

【課題】カバーリップの表面に皺が発生せず、美観が優れ、容易に安価に製造することができるオープニングトリムウエザストリップを得る。
【解決手段】オープニングトリムウエザストリップ10は、トリム部20と中空シール部40とカバーリップ30を有する。トリム部20は、車外側側壁21、車内側側壁22及び底壁23からなる断面略U字形をなす。中空シール部40は、トリム部の底壁に一体的に形成され、カバーリップ30は、トリム部20の車内側側壁21の底壁23との連続部付近に連続して一体的に形成されるとともに、車内側に延設されて形成され、トリム部20とカバーリップ30の連続する部分の付近のカバーリップの根元部に長手方向に延びる合成樹脂製の長尺部材35を埋設したことを特徴とするオープニングトリムウエザストリップである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車体の車体開口部周縁に取付けられ、車体開口部周縁と開口部開閉部材の間をシールする、オープニングトリムウエザストリップに関するものであり、特に、トランクルームやバックドアに対向する車体開口部周縁に取付けられ、トリム部が上下左右に曲げられ、かつ、トリム部に車内側に延出するカバーリップが設けられているオープニングトリムウエザストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体の車体開口部周縁に取付けられるオープニングトリムウエザストリップ110は、押出成形により成形され、図4に示すように、トリム部120と、カバーリップ130と中空シール部140から構成されている。
トリム部120は、車体開口部周縁6に形成されたフランジ部9を把持して、オープニングトリムウエザストリップ110を車体開口部の全周に亘り保持する。トリム部120は、ソリッド材又は微発泡材で形成され、内部にインサート部材126が埋設され、断面略U字形の内面にはフランジ部を保持する車外側保持リップ124と車内側保持リップ125が形成され、車体のフランジ部を保持している。
【0003】
中空シール部140は、トリム部120の車外側に一体的に形成され、車体開閉部材であるバックドア2やトランクリッドが閉じられたときに、車体開閉部材の外周に当接して、車体開閉部材と車体開口部周縁6との間をシールしている。中空シール部140は、車体開閉部材の形状に合わせて柔軟に当接し、確実にシールするようにスポンジ材で形成されている。
【0004】
このオープニングトリムウエザストリップ110を車体開口部周縁6のコーナー部に沿って、図5に示すように、横方向に湾曲してフランジ部9に取付けると、オープニングトリムウエザストリップ110は、インサート部材126は分離されているので、トリム部120の車内側側壁を中心に曲がり、曲がりの中立軸よりも内周側に位置するカバーリップ30の曲がり部分に折れやしわが発生するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
そのため、カバーリップの根元部分の肉厚を厚く形成して、カバーリップの剛性を増加させてしわの発生を防止するものがある。この場合には、充分な剛性を得るためには、肉厚を十分に厚くする必要があり、オープニングトリムウエザストリップ210の重量が増加して、車輌の軽量化の要請に反することとなる。
【0006】
また、図6に示すように、内部にインサート部材226が埋設されたトリム部220と、カバーリップ230と中空シール部240から構成されているオープニングトリムウエザストリップ210において、車体開口部周縁6のコーナー部に沿って湾曲してフランジ部9に取付けるときに、中空シール部240のしわが発生するのを防止するために、トリム部220の底壁223の内部に線状部材127を埋設して、そのしわの発生を防止するものがある(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この場合には、線状部材127を埋設しても、カバーリップ230のしわや折れの防止は充分でなかった。これは、トリム部220が紙面の上下方向にしか湾曲されないタイプのものであり、図5に示すように、横方向に曲げた場合の曲がりの中立軸がトリム部の中央の線状部材127となり、カバーリップ230から離れているためである。
【特許文献1】実用新案登録第2591947号公報
【特許文献2】特開2000−326802号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このため、オープニングトリムウエザストリップをコーナー部で湾曲して取付けても、カバーリップの表面に皺が発生せず、美観が優れ、容易に安価に製造することができるオープニングトリムウエザストリップを得ることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車の車体の車体開口部周縁に取付けられ、車体開口部周縁と開口部開閉部材との間をシールするオープニングトリムウエザストリップにおいて、
オープニングトリムウエザストリップは、車体開口部周縁に取付けられオープニングトリムウエザストリップを保持するトリム部と、開口部開閉部材に当接してシールする中空シール部と、カバーリップを有し、
トリム部は、車外側側壁、車内側側壁及び底壁からなる断面略U字形をなし、
中空シール部は、トリム部の底壁に一体的に形成され、
カバーリップは、トリム部の車内側側壁の底壁との連続部付近に連続して一体的に形成されるとともに、車内側に延設されて形成され、トリム部とカバーリップの連続する部分の付近のカバーリップの根元部に長手方向に延びる合成樹脂製の長尺部材を埋設したことを特徴とするオープニングトリムウエザストリップである。
【0009】
請求項1の本発明では、オープニングトリムウエザストリップは、車体開口部周縁に取付けられオープニングトリムウエザストリップを保持するトリム部と、開口部開閉部材に当接してシールする中空シール部と、カバーリップを有する。このため、トリム部をフランジ部に取付けると、中空シール部が開口部開閉部材との間をシールして、カバーリップが他部品との間の隙間をカバーすることができる。
【0010】
トリム部は、車外側側壁、車内側側壁及び底壁からなる断面略U字形をなすため、断面略U字形のトリム部で車体開口部周縁のフランジ部に保持させることができる。
中空シール部は、トリム部の底壁に一体的に形成されたため、トリム部が車体開口部周縁のフランジ部に取付けられると、開口部開閉部材としてのドアの閉時にバックドア、トランクリッド等の開口部開閉部材の車内側面に当接して、ドアと車体開口部周縁との間をシールすることができる。
【0011】
カバーリップは、トリム部の車内側側壁の底壁との連続部付近に連続して一体的に形成されている。そのため、トリム部の車内側側壁をカバーリップで覆うことができるとともに、車内側に延設されたため、車内側に設けられたガーニッシュや内装部材の先端をカバーリップの先端が覆い、美観を向上させることができる。
【0012】
トリム部とカバーリップの連続する部分の付近のカバーリップの根元部に長手方向に延びる合成樹脂製の長尺部材を埋設した。このため、カバーリップの根元部とトリム部の底壁の剛性を大きくすることができる。そして、オープニングトリムウエザストリップを車体開口部周縁のコーナー部のフランジ部に取付けたときに、コーナー部の湾曲に応じて上下左右に湾曲させられるオープニングトリムウエザストリップの湾曲の中立軸が、合成樹脂製の長尺部材のところになるため、カバーリップの表面にしわや折れが発生することがなく、見栄えがよい。また、オープニングトリムウエザストリップの長手方向の伸縮を防止することもできる。
【0013】
請求項2の本発明は、請求項1の発明に加えて、トリム部の車外側側壁、車内側側壁及び底壁には芯材が埋設されて、芯材はトリム部の幅方向に短冊状に埋設されるとともに、長手方向には短冊状の芯材はそれぞれ分離しているオープニングトリムウエザストリップである。
【0014】
請求項2の本発明では、トリム部の車外側側壁、車内側側壁及び底壁には芯材が埋設されて、芯材はトリム部の幅方向に短冊状に埋設されているため、トリム部がフランジ部を把持する力を強化することができる。
長手方向には短冊状の芯材はそれぞれ分離しているため、トリム部の柔軟性が向上し、フランジ部のコーナー部に沿ってトリム部を上下左右に曲げて取付けることができる。
【0015】
請求項3の本発明は、長尺部材は、断面形状が長円形又は多角形のいずれかであるオープニングトリムウエザストリップである。
【0016】
請求項3の本発明では、長尺部材は、断面形状が長円形又は多角形のいずれかであるため、長尺部材は、カバーリップの根元部に埋設されたときに、カバーリップと強固に固着されて、カバーリップとずれることがない。
【0017】
請求項4の本発明は、長尺部材は、カバーリップと接着又は溶着されているオープニングトリムウエザストリップである。
【0018】
請求項4の本発明では、長尺部材は、カバーリップと接着又は溶着されているため、カバーリップと強固に固着されて、オープニングトリムウエザストリップの長手方向の伸縮を防止することができる。
【0019】
請求項5の本発明は、カバーリップは、カバーリップ本体をスポンジゴムで形成し、カバーリップ表皮層を熱可塑性エラストマーで形成したオープニングトリムウエザストリップである。
【0020】
請求項5の本発明では、カバーリップ本体を含むオープニングトリムウエザストリップを加硫し、発泡させた後に、熱可塑性エラストマーのカバーリップ表皮層を固着することができ、製造が容易である。スポンジゴムのため、柔軟性に富んで車体開口部周縁の凹凸や曲がりなどに対して追従することができ、カバーリップ表皮層は装飾性に優れて、カバーリップ本体の変形に対して一体的に変形して、美観に優れている。
【0021】
請求項6の本発明は、トリム部は、熱可塑性エラストマー又はソリッドゴムで形成され、中空シール部は、スポンジ材で形成されたオープニングトリムウエザストリップである。
【0022】
請求項6の本発明では、トリム部は、熱可塑性エラストマー又ソリッド材で形成されたため、トリム部を車体開口部周縁に取付けたときに、内部に芯材がない場合においても、強固に車体開口部周縁を把持することができ、オープニングトリムウエザストリップが車体開口部周縁から脱落することがない。中空シール部は、スポンジ材で形成されたため柔軟性が高く、開口部開閉部材であるドアの閉時に、ドアの外周の形状に合わせて当接し、シール性を確保することができる。
【発明の効果】
【0023】
カバーリップは、トリム部の車内側側壁の底壁との連続部付近に連続して一体的に形成され、トリム部の車内側側壁を覆うとともに、車内側に延設されたため、ガーニッシュや内装部材の先端を覆い、そのあたりの美観を向上させることができる。
トリム部とカバーリップの連続する部分の付近のカバーリップの根元部に長手方向に延びる合成樹脂製の長尺部材を埋設したため、カバーリップの根元部とトリム部の底壁の剛性を大きくすることができ、コーナー部の湾曲に応じて上下左右に湾曲させられるオープニングトリムウエザストリップの湾曲の中立軸が、合成樹脂製の長尺部材のところになるため、カバーリップの表面にしわや折れが発生することがなく、見栄えがよい。また、オープニングトリムウエザストリップの長手方向の伸縮を防止することもできる。なお、分離タイプの芯材を埋設させた場合であっても、トリム部の上下左右の湾曲させるときの柔軟性は良く、かつ、湾曲の中立軸は長尺部材のところになるため、カバーリップの表面にしわや折れが発生することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施の形態を図1〜図3に基づき説明する。
図1は、本発明の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップ10を車体の車体開口部周縁6に取付けた状態の断面図である。図2は、オープニングトリムウエザストリップ10を開口部開閉部材としてのバックドア2の対向する車体開口部周縁6に取付けた状態の自動車を後方から見た図である。図3は、本発明のオープニングトリムウエザストリップ10を押出成形により製造する工程を示す概念図である。
【0025】
図2に示すように、本発明のオープニングトリムウエザストリップ10は、バックドア2により開閉される車体の開口部の車体開口部周縁6に形成されたフランジ部9に、全周に亘り環状に取付けられている。
図1は、本発明の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップ10の断面図である。オープニングトリムウエザストリップ10は、トリム部20とカバーリップ30と中空シール部40からなる。
【0026】
トリム部20は、車外側側壁21と、車内側側壁22と、底壁23から形成される断面略U字形をなし、内部に芯材(インサート部材)26が埋設されており、後述するように、ソリッド材等で形成されている。なお、芯材(インサート部材)26は、必ずしも埋設される必要はない。
車内側側壁22の底壁23との連続部付近(図1において、車内側側壁22の上端)の外面から車室内側に延びるカバーリップ30が設けられている。図1に示すように、トリム部20の断面略U字形の内面には車外側保持リップ24と車内側保持リップ25が設けられている。
【0027】
トリム部20の断面略U字形の内側に車体開口部周縁6のフランジ部9が挿入され、車外側保持リップ24と車内側保持リップ25により保持されて、オープニングトリムウエザストリップ10が上記フランジ部9に装着される。フランジ部9は、ドアアウターパネル7とドアインナーパネル8の先端が溶接されて形成されている。
【0028】
本実施の形態では、車外側保持リップ24と車内側保持リップ25は、それぞれ2本ずつ形成されているが、車内側保持リップ25を長く1本形成し、車外側保持リップ24を短く2〜3本形成してもよい。この場合は、車内側保持リップ25は1本の長いリップであるため、フランジ部9の厚さにより変形することができ、フランジ部9の挿入力を下げ、フランジ部9の抜けを防止することができる。
【0029】
トリム部20は、ゴム、熱可塑性エラストマー又は合成樹脂のソリッド材又は微発泡材で形成されている。ゴムとしては、例えば合成ゴムであるEPDMゴム、熱可塑性エラストマーとしてはオレフィン系熱可塑性エラストマー、合成樹脂としては、軟質ポリ塩化ビニル等を使用することができる。
【0030】
トリム部20の内部に板金でできた芯材(インサート部材)26を埋設してもよい。この場合、インサート部材26は、トリム部20の車外側側壁21、車内側側壁22及び底壁23に連続して、幅方向に短冊状に並んで埋設される。このため、インサート部材26は、トリム部20がフランジ部9を把持する力を強化することができる。
また、幅方向に短冊状に並んだインサート部材26は、長手方向にはそれぞれ分離しているため、トリム部20の曲げ方向の柔軟性が向上し、上下左右殿方向にもコーナー部に沿ってトリム部20を曲げてフランジ部9に取付けることができる。
【0031】
トリム部20をソリッド材又は微発泡材で形成しており、トリム部20にインサート部材26が埋設されていない場合でも、フランジ部9の保持力を充分確保することができる。また、微発泡材の場合には、オープニングトリムウエザストリップ10の重量を軽減でき、車輌の軽量化に貢献することができる。
【0032】
上述のように、トリム部20の車内側側壁22の底壁23との連続部付近(図1において、車内側側壁22の上端)の外面から、円弧状にカバーリップ30が車内方向に連続して一体的に延設されている。カバーリップ30は、後述する中空シール部40よりも車内側に形成される。カバーリップ30の先端部分であるカバーリップ先端部32は、車内に取付けられたガーニッシュ50に当接して、ガーニッシュ50とオープニングトリムウエザストリップ10の間の隙間を覆い、見栄えを向上させている。ガーニッシュ50がない場合には、車内の内装部材等に当接している。
【0033】
トリム部20とカバーリップ30の連続する部分の付近のカバーリップ30の根元部34に長手方向に延びる合成樹脂製の長尺部材35が埋設されている。このため、インサート部材26が埋設された場合でも、短冊状のインサート部材26はそれぞれ連結されていないため、上下左右にトリム部20を曲げたときには、曲げ中立軸がそれぞれ異なり、しかも、それらの曲げ中立軸は、カバーリップ30の根元部34とは、ずれており、曲げたときに、しわが発生していたが、長尺部材35を埋設することによって、カバーリップ30の剛性を大きくすることができる。また、トリム部20にインサート部材26が埋設されていなくても、カバーリップ30の根元部34の剛性を大きくすることができるとともに、曲げ中立軸を長尺部材35の埋設位置にでき、しわが発生することを防止できる。なお、長尺部材35は、剛性が大きく連続しているため、カバーリップ30の全体の伸びを抑制してカバーリップ30の表面に皺が発生することを防止できる。
【0034】
そして、オープニングトリムウエザストリップ10を車体開口部周縁6のコーナー部に取付けたときに、コーナー部の湾曲に沿ってオープニングトリムウエザストリップ10が車外側側壁21と車内側側壁22に対して上下左右方向に湾曲するが、オープニングトリムウエザストリップ10の湾曲の中立軸が、合成樹脂製の長尺部材35のところになるため、カバーリップ30の変形や伸びが少なく、カバーリップ30の表面にしわや折れが発生することがなく、見栄えがよい。
また、合成樹脂製の長尺部材35により、オープニングトリムウエザストリップ10の長手方向の伸縮を防止することもできる。
【0035】
長尺部材35は、断面形状が長円形又は多角形のいずれかにすることが好ましい。長尺部材35が、長円形又は多角形の場合には、カバーリップ30の根元部34に長尺部材35が埋設されたときに、カバーリップ30と強固に固着されて、カバーリップ30と長尺部材35がずれることがない。
【0036】
長尺部材35は、断面形状が長円形又は多角形のいずれか場合には、長尺部材35は、オープニングトリムウエザストリップ10と同時に押出成形することが容易であり、この場合は、カバーリップ30の根元部34に埋設して、トリム部20の車内側側壁22に近接して押出成形することができる。
【0037】
長尺部材35は、カバーリップ30の根元部34と接着又は溶着されていることが好ましい。接着する場合は、長尺部材35を予め長尺状に形成し、その表面に接着剤を塗布し、オープニングトリムウエザストリップ10を押出成形するときにインサートとして同時押出する。
【0038】
溶着する場合は、長尺部材35をオープニングトリムウエザストリップ10を押出成形するときに同時に押出成形して、カバーリップ30の根元部34と溶融させる場合と、予め形成した長尺部材35をインサートとして同時押出するときの熱あるいは、加硫時の熱で長尺部材35の表面を溶融して溶着するものがある。
長尺部材35が、カバーリップ30と接着又は溶着されていると、長尺部材35が強固に固着されて、オープニングトリムウエザストリップ10の長手方向の伸縮を防止することができる。
【0039】
図1に示すように、カバーリップ30は、カバーリップ本体31とカバーリップ本体31を覆うカバーリップ表皮層33から形成されていることが好ましい。カバーリップ本体31は、トリム部20を形成するスポンジ材と同じ材料で一体的に形成されている。このため、カバーリップ30の重量を低減することができ、オープニングトリムウエザストリップ10の軽量化に貢献することができるとともに、カバーリップ30の柔軟性を増加させて、ガーニッシュ50形状に合わせて、ガーニッシュ50と隙間無く容易に当接させることができる。
【0040】
カバーリップ30の上面には、カバーリップ表皮層33が固着されている。カバーリップ30のカバーリップ表皮層33は車室内側から見ることができる。このため、このカバーリップ表皮層33は、デザイン的に自動車の内装の色彩や色艶に対応してその表面模様を変化させることができ、内装に調和した表面模様を有するカバーリップ表皮層33を使用することができる。
カバーリップ表皮層33は、カバーリップ本体31のカバーリップ先端部32を完全に覆って、カバーリップ本体31の内面側まで達していることが好ましい。
【0041】
カバーリップ表皮層33は、熱可塑性エラストマーのソリッド材で構成されていることが好ましい。この場合、表面に気泡等の凹凸を発生させない場合やガーニッシュ等の表面のシボ模様に調和させ、見栄えをよくするため、シボ模様の転写が確実なソリッド材を使用することができる。熱可塑性エラストマーを使用するため、オープニングトリムウエザストリップ10の他の部分をゴムで形成した場合でも、ゴムの加硫と発泡の終了後に、熱可塑性エラストマーのカバーリップ表皮層33を圧着させることができる。
【0042】
熱可塑性エラストマーとしては、カバーリップ本体31がEPDMゴムで形成される場合は、オレフィン系熱可塑性エラストマーを使用することができる。この場合、カバーリップ表皮層33がEPDMゴムと同じオレフィン系熱可塑性エラストマーのため、容易にカバーリップ本体31と溶融して、カバーリップ本体31とカバーリップ表皮層33との溶着が強くなるため好ましい。
【0043】
カバーリップ本体31のスポンジ材は、EPDMのスポンジゴムにした場合には、カバーリップ30がガーニッシュ50等に当接する充分な柔軟性とオープニングトリムウエザストリップ10の軽量化を達成することができる。
【0044】
中空シール部40は、トリム部20の底壁23の外面に一体的に形成されている。中空シール部40は、中空シール部内壁41と中空シール部表皮層42から構成することが好ましい。
中空シール部内壁41は、カバーリップ30を形成するスポンジ材と同じ材料で一体的に形成されている。このため、中空シール部40の重量を低減することができ、オープニングトリムウエザストリップ10の軽量化に貢献することができる。また、中空シール部40の柔軟性を増加させて、ドア閉時に中空シール部40がバックドア2に確実に当接しシールすることができるとともに、バックドア2の閉じ力を軽減することができる。
【0045】
中空シール部表皮層42は、EPDMソリッドゴム材で構成することが好ましい。これは、中空シール部40が小さな曲率の湾曲部を備えており、後工程での貼り合せが難しいからであり、小さな曲率の湾曲部等がなければ、カバーリップ表皮層33と同様に、熱可塑性エラストマーのソリッド材で構成したり、EPDM等のソリッドゴムで構成したりすることもできる。
熱可塑性エラストマーとしては、中空シール部内壁41がEPDMスポンジゴムで形成される場合は、オレフィン系熱可塑性エラストマーを使用することが好ましく中空シール部表皮層42が中空シール部内壁41と中空シール部表皮層42との溶着が強くなる。
【0046】
また、中空シール部40の中空シール部内壁41が車外側側壁21と連続する部分である中空シール部根元部43までトリム部20と一体にソリッド材又は微発泡材にした場合には、中空シール部40の根元部分が安定して、中空形状が変形することなく、ドア閉時に中空シール部40がバックドア2に確実に当接してシール性を確保することができる。
なお、中空シール部表皮層42は、上記の実施形態と同様にトリム部20と同じ材料のソリッドゴムを使用することもできる。
【0047】
次に、このオープニングトリムウエザストリップ10の製造方法を説明する。図3は、オープニングトリムウエザストリップ10の製造ラインの一部分を示す模式図である。
オープニングトリムウエザストリップ10は、まず、トリム部20、中空シール部40及びカバーリップ本体31が押出成形機61により成形される。トリム部20がソリッド材で、中空シール部40及びカバーリップ本体31がスポンジ材の場合は、ソリッド材とスポンジ材を押出成形する。
【0048】
長尺部材35が、軟質合成樹脂の場合は、インサート材として予め長尺物として成形し、インサート部材として供給して成形することができる。
その後、カバーリップ本体31の材料がスポンジゴムの場合は、高周波加熱炉62、熱風加熱炉63等に移送され、加熱して加硫されるとともに、発泡される。なお、このとき合成樹脂製の長尺部材35は、軟化又は溶融状態となるが、その周囲が覆われているので、流動することはなく、形状は保たれる。
【0049】
トリム部20、中空シール部40及びカバーリップ本体31は、カバーリップ表皮層33を押出成形する押出成形機64のノズルが取付けられた押出ダイスに送られる。ここでオープニングトリムウエザストリップ10のカバーリップ30の上面に車内の内装に対応した色を有するカバーリップ表皮層33がシート状に押出される。
【0050】
図3に示すように、押圧ローラー65に送られ押圧ローラー65により、カバーリップ表皮層33をカバーリップ本体31に押し付ける。さらに、曲げローラー66により、カバーリップ表皮層33の側部の端部をカバーリップ先端部32の裏面に回り込ませて、圧着する。
【0051】
カバーリップ表皮層33が固着されたオープニングトリムウエザストリップ10は、冷却槽(図示せず)に送られ、水または冷風により冷却される。
冷却槽(図示せず)から出たオープニングトリムウエザストリップ10は、引取機(図示せず)により引き取られて、トリム部20が断面略U字形に曲げられて、所定の寸法に裁断された後、必要な場合は端末部が接合されて製品となる。なお、オープニングトリムウエザストリップ10によっては両面接着テープやクリップ等が取付けられて製品となるものもある。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップの断面形状である。
【図2】バックドアの車体開口部周縁にオープニングトリムウエザストリップを取付けた状態で自動車を後方から見た図である。
【図3】本発明の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップを製造する工程の模式図である。
【図4】従来のオープニングトリムウエザストリップの断面形状である。
【図5】従来のオープニングトリムウエザストリップを曲げた状態の斜視図である。
【図6】従来の他のオープニングトリムウエザストリップの断面形状である。
【符号の説明】
【0053】
10 オープニングトリムウエザストリップ
20 トリム部
26 インサート部材
30 カバーリップ
34 根元部
35 長尺部材
40 中空シール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車体の車体開口部周縁に取付けられ、車体開口部周縁と開口部開閉部材との間をシールするオープニングトリムウエザストリップにおいて、
該オープニングトリムウエザストリップは、上記車体開口部周縁に取付けられオープニングトリムウエザストリップを保持するトリム部と、上記開口部開閉部材に当接してシールする中空シール部と、カバーリップを有し、
上記トリム部は、車外側側壁、車内側側壁及び底壁からなる断面略U字形をなし、
上記中空シール部は、上記トリム部の底壁に一体的に形成され、
上記カバーリップは、上記トリム部の車内側側壁の底壁との連続部付近に連続して一体的に形成されるとともに、車内側に延設されて形成され、上記トリム部とカバーリップの連続する部分の付近のカバーリップの根元部に長手方向に延びる合成樹脂製の長尺部材を埋設したことを特徴とするオープニングトリムウエザストリップ。
【請求項2】
上記トリム部の車外側側壁、車内側側壁及び底壁には芯材が埋設されて、該芯材は上記トリム部の幅方向に短冊状に埋設されるとともに、長手方向には短冊状の芯材はそれぞれ分離している請求項1に記載のオープニングトリムウエザストリップ。
【請求項3】
上記長尺部材は、断面形状が長円形又は多角形のいずれかである請求項1又は請求項2に記載のオープニングトリムウエザストリップ。
【請求項4】
上記長尺部材は、上記カバーリップと接着又は溶着されている請求項1乃至請求項3のいずれかに1項に記載のオープニングトリムウエザストリップ。
【請求項5】
上記カバーリップは、カバーリップ本体をスポンジゴムで形成し、記カバーリップ表皮層を熱可塑性エラストマーで形成した請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のオープニングトリムウエザストリップ。
【請求項6】
上記トリム部は、熱可塑性エラストマー又はソリッドゴムで形成され、中空シール部は、スポンジ材で形成された請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のオープニングトリムウエザストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−83163(P2010−83163A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−251074(P2008−251074)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】