説明

カウルトップカバー

【課題】雨水等がエンジンルーム内へ浸入することを確実に防止できるとともに、高温下で使用しても外観品質の低下や亀裂の発生を防止することができるカウルトップカバーを提供する。
【解決手段】本発明により、車両の車幅方向に分割した複数の分割体を連結して構成されるカウルトップカバーであって、隣接する前記分割体同士の連結部において、一方の前記分割体には、他方の前記分割体の端縁側下面に当接する延設部が形成され、前記連結部における各端縁部の車幅方向に対向する端面間が離間して配設され、前記離間した端面間と前記延設部とによって溝部が形成され、前記溝部を長手方向において遮断する遮断部が形成されてなることを特徴とするカウルトップカバーが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等に取り付けられるカウルトップカバーに関し、特に、車両の車幅方向に分割した複数の分割体を連結して構成されるカウルトップカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両において、カウルトップカバーは、フロントウィンドシールド(フロントガラス)とエンジンフード(ボンネット)との間の部分で、カウルトップを覆うように配設されている。このカウルトップカバーは、車幅方向に長い部材であり、ワイパー機構やフロントウィンドシールド端縁部を覆うことによって車両における外観の向上を図っている。
【0003】
また、カウルトップカバーの上面には、シール材がカウルトップカバーの左右両端間に渡って配設されており、このシール材の隆起した部分がエンジンフードの下面と接している。これによって、外部に露出しているカウルトップカバーの上面に雨水や塵芥等が溜まったとしても、この雨水や塵芥等をシール材が堰き止めて、雨水や塵芥等がエンジンルーム内に侵入することを防ぐことができる。また、エンジンルーム内に発生した熱気や臭気が、カウルトップカバーを介して外部に排出されることも防止することができる。
【0004】
このようなカウルトップカバーは、一般にポリプロピレン等の合成樹脂材料を射出成形することによって作製されている。しかしながら、カウルトップカバーは前記のように車両の車幅方向に長尺な部材である。このため、長尺なカウルトップカバーを射出成形にて一度に成形する場合、大型の射出成形機が必要となる。そのため、コストアップを招いたり、また複雑な形状のカウルトップカバーを成形することが難しくなるといった不具合があった。
【0005】
これらのことから、従来において、カウルトップカバーは、車両の車幅方向において複数の部品(分割体)に分割されてそれぞれ別々に成形されている。そして、得られた複数の部品を互いに連結することによりカウルトップカバーを製造していた。従って、各分割体は、比較的小さな射出成形機を用いて成形することができるため、設備費や製造コストの低減を図ることができる。さらに、個々の分割体における成形作業が容易となるため、複雑な形状のカウルトップカバーを得ることが可能となる。
【0006】
このような車幅方向に分割した複数の分割体を連結して構成されるカウルトップカバーの一例が、例えば特開平10−211853号公報(特許文献1)等に開示されている。
この特許文献1に記載されているカウルトップカバー50は、図11に示したように、右半部51と左半部52の2つの分割体に分割されている。右半部51は、左半部52との連結側の端縁下面に延設部51aが延設されており、この延設部51aの中央には係着凹部51bが形成されている。一方、左半部52は、右半部51の係着凹部51bに対応する位置に係着凸部52aが形成されている。そして、延設部51aの上面に左半部52の連結側端縁を載置し、係着凹部51bに係着凸部52aを嵌着することによって、右半部51と左半部52とを連結することができる。
【0007】
このとき、右半部51と左半部52とを連結している連結部において、右半部51の端面と左半部52の端面との間は離間して配設されている。これにより、右半部51の端面と左半部52の端面との間には溝部が形成される。このような溝部を設けることにより、以下で詳しく説明するように、右半部51及び左半部52の熱膨張による伸びを吸収することが可能となる。
【0008】
この特許文献1におけるカウルトップカバー50には、通気用のメッシュ状開口部51c、ワイパー駆動軸を挿通するための円孔51d、カウルトップカバー50を車体に取り付けるためにクリップを挿入する取付孔51e等が配設されている。また、このようなカウルトップカバー50の上面には、雨水等がエンジンルームへ侵入するのを防ぐために、シール材(不図示)がカウルトップカバー50の左右両端間に渡って配設されている。
【0009】
一般的に、特許文献1のような2つの分割体を連結したカウルトップカバーにおいては、高温下でカウルトップカバーを使用したときに生じる熱膨張を考慮して、分割体同士の連結部において前記のような所定間隔の溝部が形成されている。
【0010】
ここで、カウルトップカバーに形成される溝部について図10を参照しながら説明する。図10に示したカウルトップカバー41は、車幅方向に分割される右側分割体42と左側分割体43とを有し、右側分割体42に形成した延設部44上に左側分割体43が載置されている。また、このカウルトップカバー41の上面には、左右両端間に渡ってシール材45が配設されている。更に、右側分割体42には、ワイパー駆動軸を挿通するための円孔46が形成されており、左側分割体43には、不図示のメッシュ状開口部等を形成することができる。
【0011】
この図10に示したカウルトップカバー41は、右側分割体42と左側分割体43との連結部において各分割体42,43の対向する端面間が所定の間隔で離間するように構成されている。このため、右側分割体42と左側分割体43との間には溝部47が形成されている。この溝部47は、以下のように膨張代として作用する。
【0012】
具体的に説明すると、例えばこのような溝部がカウルトップカバーに設けられていない場合、即ち、右側分割体と左側分割体とが連結部において互いに密着して連結している場合では、カウルトップカバーを高温下で使用したときに、各分割体が熱膨張することによって分割体同士が密着している連結部に大きな応力が発生してしまう。連結部にこのような応力が生じると、例えば、左側分割体が右側分割体に乗り上がってカウルトップカバーの外観品質を損ねたり、また場合によっては、分割体に亀裂を発生させるといった問題が生じる恐れがあった。
【0013】
一方、図10に示したカウルトップカバー41のように、右側分割体42と左側分割体43の連結部に溝部47を設けることによって、この溝部47が膨張代として作用する。このため、各分割体42,43が熱膨張しても、その熱膨張量を溝部47によって吸収することができる。従って、カウルトップカバー41を高温下で使用しても、例えば前記のようなカウルトップカバーにおける外観品質の低下や亀裂の発生を防ぐことができる。
【特許文献1】特開平10−211853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、例えば前記図10に示したようなカウルトップカバー41においては、カウルトップカバー41の上面にシール材45を配設したときに、シール材45の下に位置する溝部47が雨水等を流す樋として作用してしまう。従って、カウルトップカバーの上面に雨水や塵芥等が溜まったときに、その雨水等が溝部47を通ることによってシール材45の下を通過し、カウルトップカバー41からエンジンルーム内へと侵入してしまうという問題があった。
【0015】
本発明は、かかる従来の課題を解消すべくなされたものであり、その具体的な目的は、
車両の車幅方向に分割した複数の分割体を連結して構成されるカウルトップカバーにおいて、雨水等がエンジンルーム内へ浸入することを確実に防止できるとともに、高温下で使用しても外観品質の低下や亀裂の発生を防止することができるカウルトップカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明により提供されるカウルトップカバーは、車両の車幅方向に分割した複数の分割体を連結して構成されるカウルトップカバーであって、隣接する前記分割体同士の連結部において、一方の前記分割体には、他方の前記分割体の端縁側下面に当接する延設部が形成され、前記連結部における各端縁部の車幅方向に対向する端面間が離間して配設され、前記離間した端面間と前記延設部とによって溝部が形成され、前記溝部を車幅方向において遮断する遮断部が形成されてなることを最も主要な特徴とするものである。
【0017】
また、本発明に係るカウルトップカバーは、前記遮断部の構成に特徴を有している。即ち、前記遮断部が、前記連結部において対向する一方の分割体の端縁部から車幅方向に突出した第1突出部と、他方の分割体の端縁部から車幅方向に突出して前記第1突出部の側面に当接する第2突出部とにより形成されてなることを主要な特徴となしている。
【0018】
この場合、互いに当接する前記第1突出部の側面と前記第2突出部の側面との間に、第2シール材が介在されてなることを主要な特徴となしている。
【0019】
更に、本発明においては、前記遮断部が、前記連結部において対向する一方の分割体の端面から突出した第3突出部と、前記連結部において対向する他方の分割体の端面に形成され、前記第3突出部と嵌合する係合部とから形成されてなることを主要な特徴となしている。
【0020】
また、本発明に係るカウルトップカバーは、前記カウルトップカバーの上面に、隆起した第1シール材が、カウルトップカバーの車幅方向に渡って配設され、前記第1シール材は、前記連結部において前記第1突出部の側面と前記第2突出部の側面とが互いに当接した当接部を上面から被覆し、且つ、前記第1シール材の隆起部において前記車両が有するエンジンフードと第1シール材全長に渡って接してなることを主要な特徴となしている。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るカウルトップカバーは、分割体同士の連結部において、各分割体の対向する端面間が離間しており、各分割体の端縁部間に膨張代として作用する所定の間隔(溝部)が形成されている。これにより、カウルトップカバーを高温下で使用しても、各分割体の熱膨張を各分割体の端縁部間に形成した溝部で吸収することができる。従って、連結部に応力が発生することを防いで、外観品質の低下や亀裂の発生を防止することができる。
【0022】
また、離間した端面間と延設部とによって形成された溝部が、溝部の長手方向において遮断部によって車幅方向が遮断されている。これにより、カウルトップカバーの上面に雨水や塵芥等が溜まったときに、雨水等が連結部に形成された間隔(溝部)を流れて来ても、前記遮断部によって雨水等の流れを止めることができ、エンジンルーム内への雨水等の侵入を防ぐことができる。更に、エンジンルーム内で発生した熱気や臭気が、カウルトップカバーを介して外部に排出されることも防ぐことが可能となる。
【0023】
遮断部としては、第1突出部の側面と前記第2突出部の側面とを当接させた構成とすることができる。また、このとき当接部における当接面積は小さいものとしておくことができる。これによって、カウルトップカバーを高温下で使用しても、この当接部において発生する滑り応力や圧縮圧力等を非常に小さなものにすることができる。従って、外観品質の低下や亀裂の発生が生じることはない。遮断部としては、突出部と突出部に嵌合する係合部、又は、対向する分割対のそれぞれ端面に形成した凹部に嵌合する中間体として構成することもできる。
【0024】
また、本発明においては、カウルトップカバーの上面に車幅方向に渡って配設した第1シール材が、第1突出部と第2突出部との当接部を上面から被覆するとともに、隆起部でエンジンフードと接している。これにより、雨水等が当接部から溢れ出しても、この溢れ出した雨水等が第1シール材によってエンジンルーム内へ浸入するのを確実に防止することができる。
【0025】
更に、本発明のカウルトップカバーにおいては、互いに当接する第1突出部側面と第2突出部側面との間に、第2シール材を介在させることができる。これにより、雨水等が連結部に形成された溝部を流れてきても、第2シール材によって雨水をより確実に堰き止めることができ、エンジンルーム内への雨水の浸入を完全に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、本発明に係るカウルトップカバーの好適な実施の形態について、実施例を挙げて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、下記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載した構成と実質的に同一な構成を有する範囲において、多様な変更が可能である。例えば、以下の実施例では、カウルトップカバーが2つの分割体から構成されている場合について説明しているが、本発明では3つ以上の分割体を連結して1つのカウルトップカバーを構成することもできる。
【実施例1】
【0027】
先ず、本発明の実施例1に係るカウルトップカバーについて説明する。ここで、図1は、本発明のカウルトップカバーが取り付けられた車体の斜視図であり、図2は同カウルトップカバーの斜視図である。
図1に示すように、カウルトップカバー2は、車体1のフロントウィンドシールド3とエンジンルーム5を覆うエンジンフード4との間に配設されている。このカウルトップカバー2は、フロントウィンドシールド3の前端縁部を覆い、またエンジンフード4の下面側にカウルトップカバー2の一部が入り込むようにして取り付けられている。
【0028】
さらに、カウルトップカバー2の上面には、第1シール材6がカウルトップカバー2の車幅方向に渡って配設されている。この第1シール材6は、横断面の形状が略半円形状又は略半楕円形状を有しており、第1シール材6の隆起部6aとエンジンフード4とが第1シール材全長に渡って接するように構成されている。この第1シール材の材質としては、例えば塩化ビニル、熱可塑性エラストマー等の軟質の合成樹脂材料を用いることができる。
【0029】
カウルトップカバー2は、図2に示すように、車体1の車幅方向に右側カバー分割体7と左側カバー分割体8とに2分割されて構成されている。また、右側カバー分割体7の連結側端縁部には、左側カバー分割体の端縁側下面に当接する延設部9が形成されている。
【0030】
このとき、右側カバー分割体7に形成した延設部9には、係着凹部10が形成されている。一方、左側カバー分割体8の連結側端縁部下面には、この係着凹部10に対応する位置に係着凸部(不図示)が形成されている。この左側カバー分割体8の係着凸部を、延設部9に形成した係着凹部10に嵌着することにより、右側カバー分割体7と左側カバー分割体8とを互いに連結すると同時に、両カバー分割体7,8の位置決めを行うことができる。
【0031】
また、右側カバー分割体7と左側カバー分割体8との連結は、係着凸部と係着凹部10との嵌合による連結に限定されるものではなく、他の連結構造とすることもできる。例えば、右側カバー分割体7と左側カバー分割体8とがそれぞれ車体に固定され、右側カバー分割体7がエンジンルーム側に付勢された構成となり、左側カバー分割体8がフロントウィンドシール側に付勢された構成とすることもできる。この構成では、右側カバー分割体7と左側カバー分割体8とは間接的な連結構造となる。本願発明では、このような間接的な連結構造も包含するものである。
【0032】
カウルトップカバー2において、車両前方側(エンジンルーム側)端縁の近傍には、カウルトップカバー2を車体1に取り付けるための複数の取付孔11が設けられている。また、カウルトップカバー2における第1シール材6の取付位置12には、第1シール材6の裏面に設けた係止ピンを係止するための複数の係止孔13が設けられている。
【0033】
このカウルトップカバー2には、ワイパー駆動軸を挿通するための2つの円孔14と、ワイパーを停止しているときにワイパーを収容するワイパー収容部15が配設されている。また、左側カバー分割体8には、吸気口となるメッシュ状開口部16が配設されている。更に、カウルトップカバー2のフロントウィンドシールド3側端縁部の下面には、フロントウィンドシールド3を支持するための係合爪(不図示)が配設されている。このような右側及び左側カバー分割体7,8は、例えばポリプロピレン等の硬質の合成樹脂材料を射出成形することによりそれぞれを作製することができる。
【0034】
ここで、本実施例1のカウルトップカバー2の特徴を解りやすく説明するために、図3に本実施例1のカウルトップカバー2を模式的に表す上面図を示す。また、図4には、同カウルトップカバー2における図3のIV−IV断面図を示し、図5には、同カウルトップカバー2において、右側カバー分割体と左側カバー分割体とが互いに当接している当接部の部分拡大図を示す。
【0035】
図3に示すように、本実施例1のカウルトップカバー2において、右側カバー分割体7は、左側カバー分割体8に対向する連結側端縁部に、車幅方向に突出する第1突出部17が形成されている。一方、左側カバー分割体8は、右側カバー分割体7に対向する連結側端縁部において、車幅方向に突出する第2突出部18が形成されている。即ち、右側及び左側カバー分割体7,8の連結側端縁部は、それぞれいわゆるクランク形状を有しており、第1突出部17は、車両前後方向においてフロントウィンドシールド側端縁まで形成されており、第2突出部18は、エンジンルーム側端縁まで形成されている。
【0036】
このような右側カバー分割体7の第1突出部17と左側カバー分割体8の第2突出部18とは、分割体同士を連結したときに、その連結部19において第1及び第2突出部17,18の側面の一部が互いに当接して当接部20を形成するように構成されている。この第1突出部17の側面と第2突出部18の側面とが互いに当接した当接部20は、図3〜5に示したように、前記第1シール材6によって上面から被覆される。言い換えると、第1シール材6は、この当接部20を被覆するようにカウルトップカバー2の左右両端部間に渡って配設される。
【0037】
また、本実施例1のカウルトップカバー2は、右側カバー分割体7と左側カバー分割体8とを連結したときに、各分割体7,8における連結側端縁部の互いに対向する端面21,22間が車幅方向に離間している。このため、右側カバー分割体7の連結側端縁部と左側カバー分割体8の連結側端縁部との間には所定の間隔を有する溝部23が形成されている。このとき、第1及び第2突出部17,18の側面を互いに当接した当接部20は、溝部23を長手方向において遮断する遮断部を構成している。
【0038】
このような本実施例1のカウルトップカバー2は、以下のようにして車体1におけるフロントウィンドシールド3とエンジンフード4との間の部分に取り付けることができる。
先ず、カウルトップカバー2の右側カバー分割体7を、車体1のカウルトップ(不図示)に設けられたカバー取付部の所定位置に固定する。このとき、カウルトップのカバー取付部においては、カウルトップカバー2のエンジンルーム5側に設けた複数の取付孔11に対応するそれぞれの位置に、クリップを係止するための係止孔が設けられている。
【0039】
この右側カバー分割体7をカウルトップのカバー取付部に固定した後、フロントウィンドシールド3を右側カバー分割体7の下面に配設した係合爪に挿入する。続いて、右側カバー分割体7の取付孔11にクリップを挿入して、同クリップをカバー取付部に係止することによって、右側カバー分割体7を固着する。
【0040】
次に、左側カバー分割体8をエンジンルーム5側から導入して、左側カバー分割体8の係合爪にフロントウィンドシールド3を収容する。また同時に、左側カバー分割体8の連結側端縁部下面に形成した係着凸部を、右側カバー分割体7の延設部9に形成した係着凹部10に嵌合して、右側カバー分割体7の延設部9に左側カバー分割体8の端縁側下面を当接させる。これにより、右側カバー分割体7と左側カバー分割体8とを連結させることができる。
【0041】
このとき、右側カバー分割体7と左側カバー分割体8との連結部19において、各連結側端縁部の対向する端面21,22間が離間するとともに、右側カバー分割体7における第1突出部17の側面の一部に、左側カバー分割体8における第2突出部18の側面の一部が当接した当接部20を形成することができる。
【0042】
その後、左側カバー分割体8の取付孔11にクリップを挿入して、同クリップをカバー取付部に係止することによって、左側カバー分割体8を固着する。右側及び左側カバー分割体7,8を車体に取り付けた後、第1シール材6を、前記当接部20を被覆するように、カウルトップカバー2の上面に取り付ける。このとき、第1シール材6の底面には複数の係止ピンが接着剤で固着されており、この係止ピンをカウルトップカバー2に設けた複数の係止孔13にそれぞれ挿入して係止する。これによって、第1シール材6をカウルトップカバー2の上面に固着させることができる。
【0043】
なお、第1シール材6の固着を行う場合、本実施例1のように第1シール材6の底面に係止ピンを固着させて、係止孔13に係止する方法の他に、例えば第1シール材6の底面に両面テープを貼り付けておき、同両面テープを介してカウルトップカバー2の上面に第1シール材6を固着させることもできる。
【0044】
そして、エンジンフード4を、第1シール材6の隆起部に接するようにして車体1に取り付ける。以上のような取付作業を行うことによって、カウルトップカバー2を、図1に示すようにして車体1に取り付けることができる。
【0045】
以上のようにして車体1に取り付けられた本実施例1のカウルトップカバー2は、右側カバー分割体7の連結側端縁部と左側カバー分割体8の連結側端縁部との間に溝部23が形成されている。このため、カウルトップカバー2を高温下で使用しても、連結部19に大きな応力が発生することがなく、カウルトップカバー2における外観品質の低下や亀裂の発生を防止することができる。
【0046】
また、本実施例1のカウルトップカバー2は、連結部19において当接部20が形成されており、更にこの当接部20の上面を第1シール材6が被覆している。これにより、カウルトップカバー2の上面に雨水や塵芥等が溜まっても、この当接部20と第1シール材6とで雨水や塵芥等を堰き止めることができる。従って、雨水や塵芥等がカウルトップカバー2からエンジンルーム5内へ侵入することを確実に防ぐことができる。また同時に、エンジンルーム5内で発生した熱気や臭気が、カウルトップカバー2を介して外部に排出されることも防止することができる。
【0047】
なお、本実施例1のカウルトップカバー2においては、右側カバー分割体7における第1突出部17の側面と左側カバー分割体8における第2突出部18の側面との間に、図7に示すような、塩化ビニル等の軟質合成樹脂材料からなる第2シール材24を介在させることもできる。
【0048】
例えば、右側カバー分割体7の第1突出部17の側面に軟質合成樹脂材料からなる第2シール材24を一体成形したり、或いは、第2シール材24を接着剤により第1突出部17の側面に固着することにより、第1突出部17の側面に第2シール材24を一体に配設しておくことができる。これにより、右側カバー分割体7と左側カバー分割体8とを車体に取り付けたときに、第1突出部17に設けた第2シール材を介して第1突出部17の側面と第2突出部18の側面とを間接的に当接することができる。
【0049】
このように第1突出部17と第2突出部18との間に第2シール材24を配設して第1突出部17の側面と第2突出部18の側面とを間接的に当接することにより、雨水等が連結部19に形成された溝部23を流れたとしても、第2シール材24によって雨水等を確実に堰き止めることができ、エンジンルーム5内への雨水の浸入を完全に防止することが可能となる。
【実施例2】
【0050】
次に、実施例2に係るカウルトップカバーについて説明する。ここで、図6は、本実施例2のカウルトップカバーを模式的に表す上面図である。なお、以下の説明において、前記実施例1で説明した部材と同様の構成を有する部材については、同じ符号を用いることによってその説明を省略する。
【0051】
この図6に示したカウルトップカバー31において、右側カバー分割体32には、連結側端縁部に車幅方向に突出する第1突出部33が形成されており、また左側カバー分割体34には、連結側端縁部に車幅方向に突出する第2突出部35,35’が形成されている。この実施例2のカウルトップカバー31に形成されている第1及び第2突出部は、前記実施例1における第1及び第2突出部とその構成が異なる。
【0052】
即ち、前記実施例1において、右側カバー分割体7に形成した第1突出部17及び左側カバー分割体8に形成した第2突出部18は、それぞれ車両前後方向において連結側端縁部の途中からフロントウィンドシールド側端縁又はエンジンルーム側端縁まで形成されている(図3を参照)。
【0053】
一方、本実施例2において右側カバー分割体32に形成した第1突出部33は、図6に示したように、連結側端縁部の途中において突出した形状に形成されている。また、左側カバー分割体34に形成した第2突出部は、第1突出部33と互い違いに突出する2つの突出部35,35’で構成されており、第1突出部33を収容する凹部を形成している。
【0054】
そして、右側及び左側カバー分割体32,34同士を連結したときには、右側カバー分割体32の第1突出部33が左側カバー分割体34の2つの第2突出部35,35’との間に挿入されるとともに、右側カバー分割体32と左側カバー分割体34との間には所定の間隔を有する溝部36が形成される。
【0055】
このとき、第1突出部33の一側面が、第2突出部35、35’のいずれかの側面に当接した構成とすることも、第1突出部33の両側面が、第2突出部35、35’のそれぞれの側面に当接した構成とすることもできる。このとき、第1突出部33と第2突出部35、35’とが互いに当接している当接部は、溝部36を長手方向において遮断する遮断部を構成している。
【0056】
また、本実施例2のカウルトップカバー31においては、2つの当接部のうちの後方側(フロントウィンドシールド側)に形成した当接部が第1シール材6によって上面から被覆されている。なお、本発明は、これに限定されず、前方側(エンジンルーム側)に形成した当接部のみや、前方側及び後方側に形成した2つの当接部の両方を第1シール材によって被覆することもできる。
【0057】
このような本実施例2のカウルトップカバー31を車体1に取り付けることによって、前記実施例1と同様の効果を得ることができる。更に、右側カバー分割体32と左側カバー分割体34とは、連結時に2箇所の当接部で当接しているため、車両前後方向における位置決めを容易に行うことができ、カウルトップカバー31の車体1への取り付けを安定して行うことができる。
【0058】
なお、前記実施例1及び2の説明において、右側カバー分割体に形成した突出部を第1突出部とし、左側カバー分割体に形成した突出部を第2突出部として記載しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば右側カバー分割体に形成した突出部を第2突出部と定義しても良い。
【0059】
また、前記実施例1では、右側カバー分割体7の第1突出部17が後方側(フロントウィンドシールド側)に形成されており、左側カバー分割体8の第2突出部18が前方側(エンジンルーム側)に形成されているが、これら第1及び第2突出部17,18の形成位置を前後反対に構成することもできる。すなわち、右側カバー分割体の第1突出部を前方側に、左側カバー分割体の第2突出部を後方側に形成することができる。
【0060】
更に、前記実施例2では、左側カバー分割体34の第2突出部を略コの字形状に形成し、右側カバー分割体32の第1突出部を、この第2突出部と互い違いに突出する2つの突出部で構成することもできる。
【実施例3】
【0061】
次に、実施例3に係るカウルトップカバーについて説明する。ここで、図8、図9は、本実施例3におけるカウルトップカバーを模式的に示した平面図である。なお、以下の説明において、前記実施例1、2で説明した部材と同様の構成を有する部材については、同じ符号を用いることによってその説明を省略する。
【0062】
図8に示したように、カウルトップカバー31において、右側カバー分割体32には、車幅方向に突出する第3突出部32aが形成され、溝部23内に突出して構成されている。左側カバー分割体34には、第3突出部と嵌合する係合体34aが形成されている。係合体34aは弾性体により構成することができる。第3突出部32aと係合体34aとが嵌合することにより、溝部36における通路を遮断することができる。
【0063】
図9は、遮断部として中間体を用いた例を示している。中間体37は右側カバー分割体32と左側カバー分割体34とにそれぞれ形成した凹部にそれぞれ嵌合する左右の突出部を有している。この中間体37に形成した突出部を、右側及び左側カバー分割体32,34における各凹部に嵌合させることによって、溝部36の通路を遮断することができる。中間体37としては、シリコンゴム等の合成樹脂材等を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明に係るカウルトップカバーは、自動車等の車両に対して好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明のカウルトップカバーが取り付けられた車体の斜視図である。
【図2】同カウルトップカバーの斜視図である。
【図3】同カウルトップカバーを模式的に示した上面図である。
【図4】同カウルトップカバーにおける図3のIV−IV断面図である。
【図5】右側カバー分割体と左側カバー分割体とが当接している当接部の部分拡大図である。
【図6】本発明のカウルトップカバーの別の例を模式的に示した上面図である。
【図7】右側カバー分割体と左側カバー分割体とが第2シール材を介して当接している当接部の部分拡大図である。
【図8】右側カバー分割体の第3突出部と左側カバー分割体の係合体とが嵌合している部分の部分拡大図である。
【図9】右側及び左側カバー分割体に形成した凹部と、中間体とを示す部分拡大平面図である。
【図10】従来のカウルトップカバーを模式的に示す斜視図である。
【図11】従来のカウルトップカバーを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0066】
1 車体
2 カウルトップカバー
3 フロントウィンドシールド
4 エンジンフード
5 エンジンルーム
6 第1シール材
6a 隆起部
7 右側カバー分割体
8 左側カバー分割体
9 延設部
10 係着凹部
11 取付孔
12 第1シール材の取付位置
13 係止孔
14 円孔
15 ワイパー収容部
16 メッシュ状開口部
17 第1突出部
18 第2突出部
19 連結部
20 当接部
21 右側カバー分割体の端面
22 左側カバー分割体の端面
23 溝部
24 第2シール材
31 カウルトップカバー
32 右側カバー分割体
32a 第3突出部
33 第1突出部
34 左側カバー分割体
34a 係合体
35 第2突出部
36 溝部
37 中間体
41 カウルトップカバー
42 右側分割体
43 左側分割体
44 延設部
45 シール材
46 円孔
47 溝部
50 カウルトップカバー
51 右半部
51a 延設部
51b 係着凹部
51c メッシュ状開口部
51d 円孔
51e 取付孔
52 左半部
52a 係着凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車幅方向に分割した複数の分割体を連結して構成されるカウルトップカバーであって、
隣接する前記分割体同士の連結部において、一方の前記分割体には、他方の前記分割体の端縁側下面に当接する延設部が形成され、
前記連結部における各端縁部の車幅方向に対向する端面間が離間して配設され、
前記離間した端面間と前記延設部とによって溝部が形成され、
前記溝部を車幅方向において遮断する遮断部が形成されてなることを特徴とするカウルトップカバー。
【請求項2】
前記遮断部が、前記連結部において対向する一方の分割体の端縁部から車幅方向に突出した第1突出部と、他方の分割体の端縁部から車幅方向に突出して前記第1突出部の側面に当接する第2突出部とにより形成されてなることを特徴とする請求項1記載のカウルトップカバー。
【請求項3】
互いに当接する前記第1突出部の側面と前記第2突出部の側面との間に、第2シール材が介在されてなることを特徴とする請求項2に記載のカウルトップカバー。
【請求項4】
前記遮断部が、前記連結部において対向する一方の分割体の端面から突出した第3突出部と、前記連結部において対向する他方の分割体の端面に形成され、前記第3突出部と嵌合する係合部とから形成されてなることを特徴とする請求項1記載のカウルトップカバー。
【請求項5】
前記カウルトップカバーの上面に、隆起した第1シール材が、カウルトップカバーの車幅方向に渡って配設され、
前記第1シール材は、
前記連結部において前記遮断部を上面から被覆し、且つ、前記第1シール材の隆起部において前記車両が有するエンジンフードと第1シール材全長に渡って接してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカウルトップカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−327553(P2006−327553A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−158111(P2005−158111)
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】