説明

カウルトップカバー

【課題】分割したカウルトップカバーを容易かつ確実に連結する。
【解決手段】エンジンルームとフロントガラスとの間のカウル部を覆うカウルトップカバー11を、第1のカバー部材31と第2のカバー部材32とを組み合わせて構成する。第1のカバー部材31に係止受部53と係合受部55とを設ける。第2のカバー部材32に、係止部63と係合部65とを設ける。予め車体に取り付けた第1のカバー部材31に沿って、第2のカバー部材32を後方に押し込むだけで、第1のカバー部材31に第2のカバー部材32を安定して確実に取り付けできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車のフロントガラスとボンネットフードとの間に配置されるカウルトップカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のフロントガラスの前端部とボンネットフードの後側部との間のいわゆるカウル部に配置され、このカウル部を覆って外観を向上するカウルトップカバーが用いられている。そして、このようなカウルトップカバーとして、車体の車幅方向に長いカウルトップカバーを複数の部材に分割し、分割した部材をカウル部で組み合わせて用いる構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1の構成は、左右に2分割された部材を連結して、長尺なカウルトップカバーを形成するもので、各部材は、水平板状の基板部と、この基板部の前端部から立ち上げられた立壁と、この立壁の上端部からさらに前方に延設された平面部とを備えている。そして、各部材の基板部の後端部の下部には、フロントガラスの下端縁に係合する爪部が形成されているとともに、平面部の下面には、複数のピンが突設され、このピンがカウル部の部品の上部に設けた車幅方向を長手方向とする長孔状の取付孔に挿入される。そして、これら左右の部材の取り付け構造としては、右側の部材の端縁から、基板部及び立壁に沿った略L字状のフランジ部を突設するとともに、このフランジ部に車体の前後方向を長手方向とする長孔する。また、左側の部材の端縁の近傍からは、下方に向かって長孔に挿入される連結ピンが突設されている。そこで、この構成では、左右の部材の取り付け作業は、右側の部材を爪部とピンで車体に取り付けた後、左側の部材を縁部を右側の部材のフランジ部に重ねるとともに連結ピンを長孔に挿入し、さらに、この左側の部材を後側に押し込み爪部をフロントガラスに係合して、車体に取り付けている。
【0003】
しかしながら、この特許文献1の構成では、左側の部材の取り付け作業が2方向すなわち2動作となるとともに、車両へ取り付けた状態で、右側の部材の略L字状のフランジ部に左側の部材を密着させるためには、左側の部材の爪部をフロントガラスに係合する作業の際に各部材を大きく歪める必要があり、取り付け時の作業性が悪いとともに、メンテナンス時にカウルトップカバーを取り外すことも困難である。また、各部材は、車体の前後方向には位置決めされるものの、カウル部の部品の寸法のばらつきなどにより、右側の部材に対し連結ピンを軸として左側の部材が回転すると、合わせ目が開いて外観が悪化する。さらに、左側の部材は右側の部材のフランジ部上に載せられているだけであるため、左側の部品が浮き上がると、部材同士の合わせ目に段差が生じ外観が悪化するとともに部品のがたつきが生じる。また、別部材のクリップを用いて、部材同士を固定することも可能であるが、別部材を用いると、部品点数が増加し、製造コストが上昇する問題を有している。
【特許文献1】特開平5−96935号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、複数の部材に分割したカウルトップカバーについては、車体への取り付け作業が煩雑であるとともに、組み合わせた部材のみでの位置規制が難しく、がたつきの原因となる。特に、部材同士の連結部分については、車体側の部品の寸法のばらつきなどにより、取り付け後に段差が生じ、外観が悪化する問題を有している。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、容易かつ確実に取り付けできるカウルトップカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のカウルトップカバーは、車体のウインドシールドの縁部と前記車体に設けられた車体部材とに支持されて、これらウインドシールドと車体部材との間を覆うカウルトップカバーであって、端部同士を突き合わせて互いに連結されるとともにそれぞれ前記ウインドシールドの縁部に嵌着される嵌着部及び前記ウインドシールドと前記車体部材との間を覆う本体部を備えた第1のカバー部材及び第2のカバー部材を具備し、前記第1のカバー部材は、前記端部から突設され、所定方向に沿って相手部材を挿入可能な係止受部と、この係止受部より反前記所定方向に離間して位置し、弾性変形可能な係合片を備えた係合受部とを備え、前記第2のカバー部材は、前記係止受部に挿入して係止される係止部と、前記端部から突設され、前記係合片に弾性的に押圧されて前記係合受部に係合される係合部とを備えるものである。
【0007】
そして、この構成では、取り付け作業は、まず、第1のカバー部材について、嵌着部をウインドシールドの縁部に嵌着し、車体に取り付ける。次いで、第2のカバー部材について、端部を第1のカバー部材の端部に沿わせて、嵌着部をウインドシールドの縁部に所定方向に挿入して嵌着する。この挿入時に、係止部が、第1のカバー部材の端部から突設された係止受部に挿入して係止される。同時に、端部から突設された係合部が係合受部に係合され、係合片に弾性的に押圧される。このようにして、係止部が係止受部に係止されるとともに、係合部が係合受部に係合され、複数カ所で第1のカバー部材と第2のカバー部材とが強固に確実に連結され、外観が向上する。また、係合部と係合受部とは弾性的に係合するため、がたつくことなく安定して連結される。そして、所定方向に沿った一動作で第1のカバー部材と第2のカバー部材とが連結され、作業性が向上する。さらに、第1のカバー部材と第2のカバー部材とを連結する別体の部材が削減可能になり、製造コストが低減される。
【0008】
請求項2記載のカウルトップカバーは、請求項1記載のカウルトップカバーにおいて、第1のカバー部材は、所定方向に挿入してウインドシールドの縁部に嵌着する嵌着部を備え、第2のカバー部材は、前記第1のカバー部材の端部に沿って前記所定方向に挿入して、係止部が係止受部に係止され、係合部が係合受部に係合されるとともに、前記ウインドシールドの縁部に嵌着する嵌着部を備えたものである。
【0009】
そして、この構成では、取り付け作業は、第1のカバー部材について、嵌着部をウインドシールドの縁部に所定方向に挿入して嵌着し、車体に取り付ける。次いで、第2のカバー部材について、端部を第1のカバー部材の端部に沿わせて、嵌着部をウインドシールドの縁部に所定方向に挿入して嵌着する。この挿入時に、係止部が、第1のカバー部材の端部から突設された係止受部に挿入して係止される。同時に、端部から突設された係合部が係合受部に係合され、係合片に弾性的に押圧される。このようにして、第1のカバー部材と第2のカバー部材とが連結されると同時に、ウインドシールドの縁部にカウルトップカバーが装着される。ウインドシールドの縁部に嵌着部を嵌着する所定方向に沿った一動作で第1のカバー部材と第2のカバー部材とが連結され、作業性が向上する。
【0010】
請求項3記載のカウルトップカバーは、請求項1または2記載のカウルトップカバーにおいて、第1のカバー部材及び第2のカバー部材のいずれか一方には、第1のカバー部材及び第2のカバー部材のいずれか他方に当接して、弾性変形可能な係合片の外れ方向への移動を阻止する支持部を備えたものである。
【0011】
そして、この構成では、第1のカバー部材及び第2のカバー部材の一方に設けた支持部が、第1のカバー部材及び第2のカバー部材の他方に当接することにより、弾性変形可能な係合片の外れを防止し、第1のカバー部材と第2のカバー部材とが強固に確実に連結される。
【0012】
請求項4記載のカウルトップカバーは、請求項1ないし3いずれか一記載のカウルトップカバーにおいて、第1のカバー部材及び第2のカバー部材のいずれか一方は、端部から突設され、所定方向に沿って相手部材を挿入可能な第2の係止受部を備え、第1のカバー部材及び第2のカバー部材のいずれか他方は、前記第2の係止受部に挿入して係止される第2の係止部を備えたものである。
【0013】
そして、この構成では、複数カ所で第1のカバー部材と第2のカバー部材とが係止されるため、第1のカバー部材と第2のカバー部材とが強固に確実に連結される。
【0014】
請求項5記載のカウルトップカバーは、請求項1ないし4いずれか一記載のカウルトップカバーにおいて、係合片は、第1のカバー部材の端部に沿って形成されたものである。
【0015】
そして、この構成では、係合受部に係合する第2のカバー部材の係合部の突出寸法が比較的小さく設定される。
【0016】
請求項6記載のカウルトップカバーは、請求項1ないし5いずれか一記載のカウルトップカバーにおいて、係合片を操作可能な操作部が設けられたものである。
【0017】
そして、この構成では、操作部の操作により係合部と係合受部との係合が容易に解除され、カウルトップカバーが容易に取り外しされる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のカウルトップカバーによれば、係止部が係止受部に係止されるとともに、係合部が係合受部に係合され、複数カ所で第1のカバー部材と第2のカバー部材とを強固に確実に連結でき、外観を向上できる。また、係合部と係合受部とは弾性的に係合するため、がたつくことなく安定して連結できる。そして、第1のカバー部材と第2のカバー部材とを連結する別体の部材が削減可能になり、製造コストを低減できる。さらに、ウインドシールドの縁部に嵌着部を嵌着する所定方向に沿った一動作で第1のカバー部材と第2のカバー部材とが連結され、作業性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明のカウルトップカバーの一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0020】
図2及び図3において、1は車両である自動車の車体で、この車体1には、エンジンルーム2を覆う相手部材であるフードとしてのボンネットフード3と、車室4の前側に位置するウインドシールドとしてのフロントガラス5との間のカウル部6を覆い、車体1にカウルトップカバー11が取り付けられている。なお、以下、反所定方向としての前方(矢印F方向)、上方(矢印U方向)、及び左右方向である両側方向(矢印W方向)などの方向に付いては、車体1の直進方向を基準として説明する。すなわち、後方が所定方向となり、左右の方向は運転者など乗員を基準として説明する。
【0021】
そして、このカウル部6は、エアボックスなどとも呼ばれるもので、例えば鉄板にて形成されたカウルトップパネル12と、例えば鉄板にて形成され車体を構成する車体部材としての車体パネル14とにより、上側を開口した樋状に形成されている。そして、カウルトップパネル12の上側部には、フロントガラス受部15が設けられ、ホットメルトなどの液密に密着するゴム質の接着剤などのシール材16により、フロントガラス5がカウルトップパネル12に固定されている。また、車体パネル14は、エクステンションパネルなどとも呼ばれるもので、後側部がカウルトップパネル12に固着された図示しない底板部となり、この底板部の前側部が前側上方に立ち上げられた前板部19と、この前板部19の上端部が後側に略水平に延設された固定受部である支持板部20とが設けられている。そして、このカウル部6には、車室4内に外気を導入する図示しない空調装置の空気取入部が接続されているとともに、このカウル部6の一側である右側には、ワイパー21のワイパーアームを駆動するモータなどが配置され、このカウル部6の他側である左側には、バッテリなどの部品が配置されている。
【0022】
また、ボンネットフード3は、外側すなわち閉じた状態で上側に位置するフードアウタ部25と、このフードアウタ部25の内側すなわち閉じた状態で下側に若干の間隔を介して位置するフードインナ部26とが、一体あるいは別体に形成されている。
【0023】
そして、カウルトップカバー11は、図1ないし図9に示すように、フロントガラス5の前側下端の縁部5aとこのフロントガラス5の前方に位置するエンジンルーム2の後端との間を覆うもので、カウルカバーなどとも呼ばれ、第1のカバー部材31と第2のカバー部材32とを連結構造により組み合わせて構成されている。なお、以下の各図において、各カバー部材31,32は長尺であるため、連結構造の近傍の部分のみを図示している。そして、このカウルトップカバー11は、カウル部6すなわちカウルトップパネル12及び車体パネル14の上側を覆って外観を向上するように、全体としては、カウル部6に沿って車体1の両側方向Wすなわち車幅方向を長手方向とする長尺な略板状に形成されている。また、このカウルトップカバー11を構成する各カバー部材31,32は、例えば、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリアミド系合成樹脂などの熱可塑性樹脂を金型を用いて射出成形して形成されている。そして、これらカバー部材31,32の断面形状については、基本的には、カウル部6を覆う本体部33と、この本体部33の前端部に連続して支持板部20に支持される車体取付部35と、この車体取付部35近傍から上方に延設されたシール取付部36と、本体部33の後端部に設けられたクリップ状の嵌着部38とを備えている。
【0024】
また、本体部33は、被覆部とも呼び得るもので、板状の上壁部41及びこの上壁部41の前端部に沿って形成された雨水排水用の樋部42などを備えている。また、上壁部41には、カウル部6に外気を導入可能な格子状の空気取入口44が形成されている。さらに、第2のカバー部材32には、ワイパー21の形状などに応じて孔部45や凹部が形成されている。
【0025】
さらに、車体取付部35は、支持板部20上に載置される略水平な板状をなし、所定の位置に形成された複数の取付部46が、樹脂製のクリップやボルトなどの取付具を用いて、あるいは取付部46に一体成形したフック形状により、車体パネル14の支持板部20などに着脱可能に固定されている。
【0026】
また、シール取付部36は、ボンネットフード3の下方すなわち裏面に配置され、上側に向かって突設する板状に形成されている。そして、このシール取付部36の上部には、上側から嵌合して、弾性変形可能なシール部材としてのカウルトップシール47が配置され、そして、このカウルトップシール47は、例えばゴム製あるいは熱可塑性エラストマー製の筒状をなし、閉じた状態のボンネットフード3に液密に密着し、エンジンルーム2からの熱気や臭気を遮蔽するようになっている。
【0027】
そして、嵌着部38は、本体部33の上壁部41と一体をなす平板状の上部嵌着片48と、この上部嵌着片48の裏面側すなわち下側に沿って配置される下部嵌着片49とを備えている。そして、下部嵌着片49は、ガラス嵌合爪とも呼び得るもので、上部嵌着片48と略平行な平板状の嵌着片本体部49aと、この嵌着片本体部49aの前端部を上部嵌着片48と一体に連結する連結片49bと、嵌着片本体部49aの後端部から下側に延設された案内片49cとを備えている。また、連結片49bは、一部の厚さ寸法が小さく形成され、弾性的に変形可能になっている。そこで、この嵌着部38は、上部嵌着片48と下部嵌着片49との隙間をフロントガラス5の縁部5aにあてがって、カバー部材31,32を所定方向である後方に押し込むことにより、上下の嵌着片48,49がフロントガラス5を弾性的に挟持し、フロントガラス5の縁部5aに嵌着して取り付けられる。
【0028】
次に、第1のカバー部材31と第2のカバー部材32との端部31a,32aに設けられ、これらカバー部材31,32を連結する連結構造を説明する。
【0029】
すなわち、これらカバー部材31,32は、カウルトップカバー11を長手方向の略中央部で2分割した状態で形成され、端部31a,32aは、カウルトップカバー11の略中央部で互いに突き合わされている。
【0030】
まず、左側に位置する第1のカバー部材31については、連結側の端縁である右側の端部31aに略垂直で平板状の端板51が設けられ、この端板51の後側部である後端部近傍から他方のカバー部材32側である右方に突出して、係止受部53が形成されているとともに、端板51の前端部より前側左方のシール取付部36から車体取付部35の部分に位置して、すなわち係止受部53の前方に離間して、係合受部55が形成されている。
【0031】
そして、係止受部53は、弾性変形しない強固な固定形状として形成され、端板51と平行な板状で後側上方から前側下方に延びる側板部53aと、この側板部53aの後側の端部を端板51に連結する側板第1連結部53bと、側板部53aの前側の端部を端板51に連結する側板第2連結部53cとを有し、これら部材に囲まれた空間が、少なくとも前方から、本実施の形態では前側及び前側上方から相手部材を挿入可能な溝状の係止用挿入部53dとなっている。
【0032】
また、係合受部55は、シール取付部36から前方に向かい端部31aに沿って車体取付部35と平行な平板状に突設された係合片56が突設されているとともに、この係合片56の下方に対向する車体取付部35の部分が、パネル載せ面である対向面部57となっている。そして、この係合片56は、スナップフィットレバーとも呼び得るもので、上下方向すなわち対向面部57と接近あるいは離間する方向に弾性変形可能である。さらに、この係合片56は、平板状の係合片基部56aの前端部すなわち先端部に、下方に向かう係合段部56bが形成され、さらに、この係合段部56bから前方に、操作部56cが突設されている。さらに、対向面部57の側方に位置して、車体取付部35には、前端部が後方に向かって切り欠かれた支持受部であるフック受部58が形成されている。
【0033】
一方、右側に位置する第2のカバー部材32については、左側の端部32aに略垂直で平板状の端板61が設けられ、この端板61の後端部から、係止部63が突設されているとともに、端板61の前端部から他方のカバー部材31側である左方に突出して、係合部65が形成されている。
【0034】
そして、係止部63は、弾性変形しない強固な固定形状として形成され、全体としては前後方向に沿って配置された垂直な板状をなし、連結側の端縁である端部32aに沿って後方に突設され、先端側である後端部に向かって高さ寸法が小さくなるとともに、先端部は曲面状となっている。
【0035】
また、係合部65は、基本的には弾性変形しない強固な固定形状として形成され、連結側の端縁である端部32aの端板61から左側に突設されるとともに後面が尖って上下のテーパー面を有する矢尻状の突出部65aを備え、この突出部65aの前側上部に沿って、係合段受部65bが段状に凹設して形成されている。さらに、この突出部65aの先端部には、上下に突出する板状の側突部65cが形成されているとともに、この側突部65cに連続して、支持部としてのフック部65dが形成されている。また、このフック部65dは、両側方向に沿った垂直なフック端板部65eと、このフック端板部65eの下端から後側に水平に延びるフック底板部65fと、このフック底板部65fの後端部から後側下方に傾斜して延びるフック案内板部65gとを備えている。
【0036】
次に、これら第1のカバー部材31と第2のカバー部材32を車体1に組み付けるとともに、連結構造により互いに連結する動作、すなわち組立方法を説明する。
【0037】
まず、図10に示すように、第1のカバー部材31を車体1に取り付ける。この取り付け動作は、嵌着部38の上部嵌着片48と下部嵌着片49との隙間をフロントガラス5の縁部5aにあてがって、第1のカバー部材31を所定方向である後方に押し込み、上下の嵌着片48,49でフロントガラス5を弾性的に挟持して、フロントガラス5の縁部5aに嵌着して取り付ける。この状態で、車体パネル14の支持板部20上に車体取付部35が載置される。そして、取付具などを用いて車体取付部35の取付部46を支持板部20に固定する。
【0038】
次いで、図11及び図12に示すように、第2のカバー部材32を車体1に組み付けると同時に、連結構造により第1のカバー部材31に連結する。この取り付け動作は、第1のカバー部材31と同様に、第2のカバー部材32を第1のカバー部材31に沿って所定方向である後方に押し込み、嵌着部38をフロントガラス5の縁部5aに嵌着して取り付けると同時に、係止部63を係止受部53の係止用挿入部53dに挿入して係止し、さらに、同時に、係合部65を係合受部55に係合して完了し、第2のカバー部材32の第1のカバー部材31に対する上下左右前後の全方向への移動が規制される。
【0039】
すなわち、図11に示すように、係止部63を係止受部53の係止用挿入部53dに差し込みはじめ、さらに差し込むと、係合部65の矢尻状の突出部65aが係合片56と対向面部57とに接触する。さらに第2のカバー部材32を後方に押し込むと、突出部65aのテーパー面に押されて係合片56が上方にたわみ変形し、突出部65aをさらに押し込むことが可能になる。さらに、第2のカバー部材32を後方に押し込み、図12に示すように、係合片56の係合段部56bが係合部65の係合段受部65bを乗り越えると、係合片56が下方に復帰変形し、係合段部56bが係合段受部65bに係合して、第2のカバー部材32が前方すなわち外れ方向に移動することが阻止され、いわばワンタッチロック機能が実現されている。さらに、係合片56が弾性的に係合部65の突出部65aを対向面部57に押し付けて弾性的に挟持し、がたつくことなく上下方向の移動を規制する。さらに、この状態で、フック部65dがフック受部58に係合して上下から挟み込み、二重に上下方向の移動を規制する。すなわち、このフック部65dとフック受部58との係合により、第2のカバー部材32に、上方に向かう負荷が加わった場合にも、突出部65aに押されて係合片56が上方に撓み、第1のカバー部材31と第2のカバー部材32との分割面に段差(面差)が発生することを防止する。さらに、この状態で、係合部65の側突部65cの側面が係合片56の側部の端面と接触し、第2のカバー部材32の前部の左右の移動を規制する。さらに、この状態で、係止受部53の溝状の係止用挿入部53dに係止部63が係止され、第2のカバー部材32の後方への移動が規制されるとともに、上下方向への移動が規制され、さらに、係止部63の両側面が係止用挿入部53dの内壁すなわち側板部53aと端板51とに接触して、左右方向への移動が規制される。
【0040】
また、この状態で、第2のカバー部材32についても、必要に応じて、第1のカバー部材31と同様に、車体パネル14の支持板部20上に載置された車体取付部35の取付部46を、取付具などを用いて支持板部20に固定する。
【0041】
一方、この第2のカバー部材32を取り外す際は、第1のカバー部材31の係合片56を、操作部56cを摘むなどして上方に引き上げ、係合片56の係合段部56bと係合部65の係合段受部65bとの係合を解除した状態で、第2のカバー部材32を前方に引き抜くことにより、第2のカバー部材32を取り外すことができる。次いで、取付部46を外すことにより、第1のカバー部材31を前方に引き抜いて取り外すことができる。
【0042】
このように、本実施の形態によれば、複数のカバー部材31,32を組み合わせて構成するカウルトップカバー11であって、相隣する2個のカバー部材31,32を連結して車両に取り付けるための連結構造について、係止部63が係止受部53に係止されるとともに、係合部65が係合受部55に係合され、前後に互いに離間した複数カ所で第1のカバー部材31と第2のカバー部材32とを、前後、左右、上下の全方向に位置決め規制して強固に確実に連結でき、がたつきやカバー部材31,32同士の分割ラインの段差を抑制し、外観を向上できる。
【0043】
また、係合部65と係合受部55とは弾性的に係合するため、第1のカバー部材31と第2のカバー部材32とをがたつくことなく安定して連結できる。
【0044】
このようにして、車体側の部品の寸法のばらつきなどに左右されることなく、カウルトップカバー11のみで安定した面差、前後位置を規制できるとともに、この状態を維持し、高品質な外観を維持することができる。
【0045】
そして、フロントガラス5の縁部5aに嵌着部38を嵌着する所定方向に沿った、すなわち第1のカバー部材31に沿って前方から後方に押し込む一方向の円滑な作業軌跡のスライド動作で、予め車体1に取り付けた第1のカバー部材31に第2のカバー部材32を連結して確実に固定でき、作業性を向上できる。
【0046】
また、係合片56を操作可能な操作部56cを設けたため、この1カ所の操作部56cの操作により係合部65と係合受部55との係合を容易に解除可能であり、第1のカバー部材31及び第2のカバー部材32を容易に取り外しでき、着脱作業を単純化し、容易にして、車両のカウル部6などのメンテナンスの作業性を向上し、短時間での作業が可能になる。
【0047】
そして、この脱着作業の際に、各部の部品に無理な力が加わらないため、脱着作業時に各部の部品を保護し、破損や変形を防止できる。
【0048】
また、係合部65には、係合受部55あるいは係合受部55の近傍に当接して、弾性変形可能な係合片56の外れ方向への移動を阻止する支持部としてのフック部65dを備えたため、係合部65と係合受部55との外れを防止し、第1のカバー部材31と第2のカバー部材32とを強固に確実に連結できる。
【0049】
さらに、第1のカバー部材31と第2のカバー部材32とを連結する別体のクリップなどの部材が削減可能になり、部品点数を削減して製造コストを低減できる。
【0050】
また、係止受部53、係合受部55、係止部63、及び係合部65などの構成要素は、全て射出成形により第1のカバー部材31及び第2のカバー部材32に一体に形成されるため、構造を簡略化でき、また、軽量化が可能になる。
【0051】
また、係止受部53、係合受部55、係止部63、及び係合部65などの構成要素は、前後に並んで配置されているため、連結構造を小型化して、僅かなスペースに連結構造を配置でき、上下方向の寸法の小さいカウルトップカバー11にも適用できる。
【0052】
なお、上記の実施の形態では、係合部65について、矢尻状の突出部65aの側方に位置をずらしてフック部65dを形成したが、この構成に限られず、例えば図13に示すように、突出部65aの下方さらには真下にフック部65dを形成することもできる。
【0053】
なお、上記の実施の形態では、係止受部53及び係止部63と、係合受部55及び係合部65との組み合わせをそれぞれ1個ずつ設けたが、この構成に限られず、複数の係止受部53及び係止部63あるいは複数の係合受部55及び係合部65を設けることもできる。また、カウルトップカバー11の本体部33は適宜の形状を採ることができる。
【0054】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0055】
この実施の形態のカウルトップカバー11すなわち第1のカバー部材31および第2のカバー部材32は、図14ないし図21に示すように、第1の実施の形態に比べ、前後方向の寸法は小さく、上下方向の寸法は大きく形成されている。また、この構成では、本体部33に樋部42が形成されておらず、比較的単純な形状となっている。また、車体取付部35とシール取付部36との間に、前板部35aが形成され、係合受部55の係合片56は前板部35aから突設されている。
【0056】
そして、この実施の形態では、第1の実施の形態の構成に加え、一方のカバー部材、ここでは第2のカバー部材32から、第3の固定部とも言い得る支持板部71を突設し、この支持板部71を第1のカバー部材31に当接することにより、第1のカバー部材31と第2のカバー部材32とを安定して固定し、がたつきや分割ラインでの段差(面差)の発生を防止できる。
【0057】
すなわち、この支持板部71は、第2のカバー部材32の係合部65の上方に配置され、支持部を構成する略水平な上板部72と、この上板部72の後端部から下方に突設される後板部73とを備え、断面略L字状をなしているとともに、これら上板部72と後板部73とはリブ74により連結されている。また、後板部73には、少なくとも後方に開口して、矩形孔状の位置決め受部75が形成されている。一方、第1のカバー部材31には、係合片56の上方に位置して、支持受部となる面から前側に向かい、先端部を案内用の傾斜面とした四角柱状の位置決め部77が突設されている。また、この構成では、第2のカバー部材32の上板部72が支持部として機能し、第1のカバー部材31の本体部の面が支持受部として機能するため、係合部65にフック部65dは設けられず、構成が簡略化されている。
【0058】
そして、この構成においても、図22ないし図24に示すように、第1の実施の形態と同様に、第1のカバー部材31を車体1に取り付け、第2のカバー部材32を第1のカバー部材31に沿って所定方向である後方に押し込み、嵌着部38をフロントガラス5の縁部5aに嵌着して取り付けると同時に、係止部63を係止受部53の係止用挿入部53dに挿入して係止し、さらに、同時に、係合部65を係合受部55に係合して取付動作を完了でき、第2のカバー部材32の第1のカバー部材31に対する上下左右前後の全方向への移動が規制される。
【0059】
さらに、この構成では、第2のカバー部材32の上板部72及び後板部73が互いに異なる方向で、かつ、係合部65及び係止部63の上方に離間して第1のカバー部材31に面状に当接するとともに、位置決め部77が位置決め受部75に挿入され、カウルトップカバー11の上側の位置で上下左右及び後方に向かう位置を規制するため、上下方向の寸法の大きいカウルトップカバー11についても、安定して連結した形状を保持できる。
【0060】
このように、係合部65及び係止部63の上方あるいは下方に離間して位置決め部、あるいは係合部65または係止部63と同様の構成を設けることにより、上下方向の寸法の大きいカウルトップカバー11についても、がたつきを防止し安定して連結した形状を保持できる。
【0061】
なお、上記の実施の形態では、第1のカバー部材31に位置決め部77を突設し、第2のカバー部材32の支持板部71に孔状の位置決め受部75を設けたが、この構成に限られず、図25に示すように、第1のカバー部材31に孔状の位置決め受部75を設け、第2のカバー部材32の支持板部71に位置決め部77を突設することもできる。
【0062】
また、位置決め受部75及び位置決め部77の形状は、上記のようにピンと孔とのものに限られず、種々の構造を採ることができる。
【0063】
例えば、図26及び図27に示すように、第1のカバー部材31の端板51に沿って、前方に向かい板状の位置決め部77を突設するとともに、第2のカバー部材32の端板61などから、板状の位置決め部77に嵌合する断面略U状の位置決め受部75を突設することもできる。
【0064】
さらに、例えば、図28ないし図30に示すように、第1のカバー部材31の端板51に、前方から挿入可能な溝状の位置決め受部75を設けるとともに、第2のカバー部材32の端板61などから、位置決め受部75に挿入可能な板状の脚部77aと、この脚部77aの先端部に設けられ端板51の内面側に係合する頭部77bとを備えたいわばキノコ状フックである位置決め部77を設けることもできる。
【0065】
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。
【0066】
この実施の形態のカウルトップカバー11すなわち第1のカバー部材31および第2のカバー部材32は、図31ないし図39に示すように、第1の実施の形態に比べ、前後方向の寸法が大きく、全体として1枚の板状に形成することにより、衝撃吸収特性が良好で、非乗員である歩行者保護に適した形状とされている。また、シール取付部36は、車体取付部35の前端部から上方に延設され、このシール取付部36の上端部から前方に延設された前上板部36aに、カウルトップシール47が接着剤などを用いて固定されている。さらに、本体部33の前後方向の中間部には、樋部42の後側に連続し、前側上方に突出した部分から後側下方に向かって傾斜する傾斜面部81が形成されている。
【0067】
そして、この実施の形態では、第1の実施の形態の構成に加え、一方のカバー部材、ここでは第2のカバー部材32について、係止部63と係合部65との前後方向の間に位置して、第2の係止部83が形成されているとともに、他方のカバー部材、ここでは第1のカバー部材31について、係止受部53と係合受部55との前後方向の間に位置して、第2の係止受部84が形成されている。そして、第2の係止部83は、L字状フック部とも呼び得るもので、弾性変形しない強固な固定形状として形成され、第2のカバー部材32の端部32aの端面から突設された第2の係止部本体部83aと、この第2の係止部本体部83aの先端部に端板61と平行に形成された側板部83bと、この側板部83bの後側の端部を端板61に連結する側板連結部83cとが形成されている。また、第2の係止受部84は、第1のカバー部材31の本体部33及び端板51の一部を切り欠くようにして、前方を開口し、少なくとも前方から、相手部材を挿入可能なL形溝部である係止用挿入部84dとなっている。
【0068】
また、この実施の形態では、係止部63は、第2のカバー部材32の端部32aに沿って、本体部33とともにコの字状の係止部を構成している。
【0069】
また、第1のカバー部材31の係合受部55の係合片56は、対向面部57の下方に位置して水平状に配置され、前側に突設されているとともに、下方に向かって弾性変形可能に形成されている。すなわち、係合部65に対する係合受部55の係合片56の外れ方向は、下方に向かう方向となる。そして、係合部65には、矢尻状の突出部65a、係合段受部65b及び側突部65cは形成されているが、フック部65dは形成されていない。そして、支持部としてのフック部86が、第2のカバー部材32の前端部に位置する前上板部36aから左側に突設されているとともに、このフック部86に係合する支持受部としてのフック受部87が第1のカバー部材31の前端部に位置する前上板部36aに凹設して板状に形成されている。また、フック部86は、フック受部87の上面から前面を介して下面に当接するコの字状をなし、第2のカバー部材32すなわち係合部65の上下方向及び後方への移動を規制するとともに、フック部86に形成した切欠部86aが、フック受部87に形成した突条87aに係合して、左右方向の移動を規制している。
【0070】
そして、この構成においても、図40ないし図42に示すように、第1の実施の形態と同様に、第1のカバー部材31を車体1に取り付け、第2のカバー部材32を第1のカバー部材31に沿って所定方向である後方に押し込み、嵌着部38をフロントガラス5の縁部5aに嵌着して取り付けると同時に、係止部63を係止受部53の係止用挿入部53dに挿入して係止し、上下左右及び後方への移動を規制し、同時に、第2の係止部83の第2の係止部本体部83aを第2の係止受部84の係止用挿入部84dに挿入して係止し、上下左右及び後方への移動を規制し、さらに、同時に、係合部65を係合受部55に係合するとともにフック部86をフック受部87に係合して、上下左右及び前後方向への移動を規制して、取付動作を完了でき、第2のカバー部材32の第1のカバー部材31に対する上下左右前後の全方向への移動が規制される。
【0071】
また、この構成では、第1のカバー部材31の係合片56を操作部56cを摘むなどして下方に引き下げることにより、係合片56の係合段部56bと係合部65の係合段受部65bとの係合を解除した状態で、第2のカバー部材32を前方に引き抜くことにより、第2のカバー部材32を取り外すことができる。次いで、取付部46を外すことにより、第1のカバー部材31を前方に引き抜いて取り外すことができる。
【0072】
このように、本実施の形態によれば、上記の各実施の形態の効果に加え、係止部63と係合部65との前後方向の間、すなわち、カウルトップカバー11の前後方向の中央部近傍で、第2の係止部83と第2の係止受部84とが係止されるため、前後方向の寸法の大きいカウルトップカバー11についても、がたつきを防止し安定して連結した形状を保持できる。
【0073】
すなわち、係止部63と係合部65との前後方向の間、すなわち、カウルトップカバー11の前後方向の中央部近傍で、位置決め部、あるいは係合部65または係止部63と同様の構成を設け、すなわち、いずれかのカバー部材31,32から他方のカバー部材31,32に向かって突設する構造と、この突設した部分を受ける構造を設けることにより、歩行者保護に適した前後方向の寸法の大きいカウルトップカバー11についても、がたつきを防止し安定して連結した形状を保持できる。
【0074】
また、第1のカバー部材31の本体部33を切り欠いて形成した第2の係止受部84は、第2の係止部83で覆うことにより、外観を向上できる。
【0075】
なお、この第3の実施の形態の構成で、カウルトップカバー11の前後方向の寸法が小さい場合には、第2の係止部83と第2の係止受部84とを省略した構造とすることもできる。
【0076】
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。
【0077】
この実施の形態のカウルトップカバー11すなわち第1のカバー部材31および第2のカバー部材32は、図43ないし図51に示すように、第3の実施の形態と同様に、前後方向の寸法が大きく形成されている。一方、第3の実施の形態に比べ、第2の係止部83の前側下方に位置して、第3の係止部91が形成され、第2の係止受部84の前側下方に位置して、第3の係止受部93が形成されているとともに、係合受部55及び係合部65の形状が変更されている。
【0078】
すなわち、第3の係止部91は、係止部63と同様に、弾性変形しない強固な固定形状として形成され、第2のカバー部材32の端部32aに沿って、本体部33とともにコの字状の係止部を構成している。
【0079】
また、第3の係止受部93は、係止受部53と同様に、弾性変形しない強固な固定形状として形成され、端板51と平行な板状で後側上方から前側下方に延びる側板部93aと、この側板部93aの後側の端部を端板51に連結する側板第1連結部93bと、側板部93aの前側の端部を端板51に連結する側板第2連結部93cとを有し、これら部材に囲まれた空間が、少なくとも前方から、本実施の形態では前側及び前側上方から相手部材を挿入可能な溝状の係止用挿入部93dとなっている。
【0080】
一方、第1のカバー部材31の係合受部55の係合片56は、端部31aの端板51に沿って垂直状に配置され、前端部から前側に突設されているとともに、左側に向かって弾性変形可能に形成されている。また、第2のカバー部材32の係合部65は、端部32aの端板61に沿って、前端部から前側及び左側に若干突設されている。そして、この係合部65は、後側の面が端板61に連続する傾斜面となり、突出部65aとして機能するとともに、前側の面が係合段受部65bとなり、さらに、突出部65aの上端部には、水平板状の側突部65cが形成されているが、フック部65dは形成されていない。すなわち、係合部65に対する係合受部55の係合片56の外れ方向は、左方に向かう方向となる。また、対向面部57は設けておらず、構成が簡略化されている。
【0081】
そして、この構成においても、図52ないし図56に示すように、第3の実施の形態と同様に、第1のカバー部材31を車体1に取り付け、第2のカバー部材32を第1のカバー部材31に沿って所定方向である後方に押し込み、嵌着部38をフロントガラス5の縁部5aに嵌着して取り付けると同時に、係止部63を係止受部53の係止用挿入部53dに挿入して係止し、上下左右及び後方への移動を規制し、同時に、第2の係止部83の第2の係止部本体部83aを第2の係止受部84の係止用挿入部84dに挿入して係止し、上下左右及び後方への移動を規制し、同時に、第3の係止部91を第3の係止受部93の係止用挿入部93dに挿入して係止し、上下左右及び後方への移動を規制し、さらに、同時に、係合部65を係合受部55に係合するとともにフック部86をフック受部87に係合して、上下左右及び前後方向への移動を規制して、取付動作を完了でき、第2のカバー部材32の第1のカバー部材31に対する上下左右前後の全方向への移動が規制される。
【0082】
ここで、係合部65と係合受部55との係合動作は、図50に示す状態から、第2のカバー部材32を押し込むと、図51及び図52に示すように、係合部65の傾斜面の突出部65aが係合片56に接触する。さらに第2のカバー部材32を後方に押し込むと、突出部65aの傾斜面に押されて係合片56が左方にたわみ変形し、突出部65aをさらに押し込むことが可能になる。さらに、第2のカバー部材32を後方に押し込み、図53及び図54に示すように、係合片56の係合段部56bが係合部65の係合段受部65bを乗り越えると、係合片56が右方に復帰変形し、係合段部56bが係合段受部65bに係合して、第2のカバー部材32が前方すなわち外れ方向に移動することが阻止され、いわばワンタッチロック機能が実現されている。さらに、係合片56が弾性的に係合部65の突出部65aを左側に押圧し、がたつくことなく左右方向の移動を規制する。さらに、この状態で、突出部65aの上端部に設けた側突部65cの下面が係合片56の上端の端面に接触し、上下方向の移動を規制する。
【0083】
また、この構成では、第1のカバー部材31の係合片56を操作部56cを摘むなどして左方に押すことにより、係合片56の係合段部56bと係合部65の係合段受部65bとの係合を解除し、第2のカバー部材32を前方に引き抜くことにより、第2のカバー部材32を取り外すことができる。次いで、取付部46を外すことにより、第1のカバー部材31を前方に引き抜いて取り外すことができる。
【0084】
このように、本実施の形態によれば、係止部63と係止受部53との係止でカウルトップカバー11の後側部を位置決めし、係合部65と係合受部55との係合で前側部を位置決めし、第2の係止部83と第2の係止受部84との係止で前後方向の中央上部を位置決めし、第3の係止部91と第3の係止受部93との係止で前後方向の中央下部を位置決めして、歩行者保護に適した前後方向及び上下方向に比較的大きい寸法のカウルトップカバー11についても、分割面を協力に連結して、がたつきを防止し安定して連結した形状を保持できる。
【0085】
なお、この第4の実施の形態の構成で、カウルトップカバー11の寸法や形状に応じて、第3の係止部91と第3の係止受部93とを省略し、あるいは、第2の係止部83と第2の係止受部84とを省略した構造とすることもできる。
【0086】
なお、上記の各実施の形態において、カウルトップカバー11の構造は左右を逆に配置することもできる。
【0087】
また、各実施の形態においては、2個に分割したカウルトップカバー11について説明したが、3個以上の複数個に分割したカウルトップカバーに適用することもできる。
【0088】
また、各実施の形態において、第1のカバー部材31と第2のカバー部材32が突き合わされる部分、あるいは、互いに係合あるいは係止して接触する部分などには、寸法誤差の吸収のため、予め僅かな隙間を設定することもできる。
【0089】
また、各カウルトップカバー11は、車両に衝突した非乗員などの衝撃を吸収して保護するため、適宜の位置で破断可能とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、自動車のフロントガラスとボンネットフードとの間に配置されるカウルトップカバーに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明のカウルトップカバーの第1の実施の形態を示す分解状態の後方から見た一部の説明図である。
【図2】同上カウルトップカバーを備えた車両のボンネットフードを取り外した状態の一部の説明図である。
【図3】同上車両を示す図2のI−I相当位置の断面図である。
【図4】同上カウルトップカバーを示す分解状態の前方から見た一部の説明図である。
【図5】同上カウルトップカバーを示す組立状態の後側上方から見た一部の斜視図である。
【図6】同上カウルトップカバーを示す組立状態の後側下方から見た一部の斜視図である。
【図7】同上カウルトップカバーを示す組立状態の前側下方から見た一部の斜視図である。
【図8】同上カウルトップカバーを示す組立状態の前側上方から見た一部の斜視図である。
【図9】同上カウルトップカバーを示す組立状態の図5のII−II断面相当位置の説明図である。
【図10】同上カウルトップカバーを示す組み立て工程の説明図である。
【図11】同上カウルトップカバーを示す図10に続く組み立て工程の説明図である。
【図12】同上カウルトップカバーを示す図11に続く組み立て工程の説明図である。
【図13】同上カウルトップカバーの係合受部の他の形態を示す一部の斜視図である。
【図14】本発明のカウルトップカバーの第2の実施の形態を示す分解状態の後方から見た一部の説明図である。
【図15】同上カウルトップカバーを備えた車両のボンネットフードを取り外した状態の一部の説明図である。
【図16】同上車両を示す図15のIII−III相当位置の断面図である。
【図17】同上カウルトップカバーを示す分解状態の前方から見た一部の説明図である。
【図18】同上カウルトップカバーを示す組立状態の後側上方から見た一部の斜視図である。
【図19】同上カウルトップカバーを示す組立状態の後側下方から見た一部の斜視図である。
【図20】同上カウルトップカバーを示す組立状態の前側下方から見た一部の斜視図である。
【図21】同上カウルトップカバーを示す組立状態の前側上方から見た一部の斜視図である。
【図22】同上カウルトップカバーを示す組み立て工程の説明図である。
【図23】同上カウルトップカバーを示す図22に続く組み立て工程の説明図である。
【図24】同上カウルトップカバーを示す図23に続く組み立て工程の説明図である。
【図25】同上カウルトップカバーの係合部及び係合受部の他の形態を示す一部の斜視図である。
【図26】同上カウルトップカバーの係合部及び係合受部のさらに他の形態を示す一部の斜視図である。
【図27】同上カウルトップカバーを示す図26のIV−IV相当位置の断面図である。
【図28】同上カウルトップカバーの係合部及び係合受部のさらに他の形態を示す一部の斜視図である。
【図29】同上カウルトップカバーを示す図28のV−V相当位置の組立状態の断面図である。
【図30】同上カウルトップカバーを示す図28のVI−VI相当位置の組立状態の断面図である。
【図31】本発明のカウルトップカバーの第3の実施の形態を示す分解状態の後方から見た一部の説明図である。
【図32】同上カウルトップカバーを備えた車両のボンネットフードを取り外した状態の一部の説明図である。
【図33】同上車両を示す図32のVII−VII相当位置の断面図である。
【図34】同上カウルトップカバーを示す分解状態の前方から見た一部の説明図である。
【図35】同上カウルトップカバーを示す組立状態の後側上方から見た一部の斜視図である。
【図36】同上カウルトップカバーを示す組立状態の後側下方から見た一部の斜視図である。
【図37】同上カウルトップカバーを示す組立状態の前側下方から見た一部の斜視図である。
【図38】同上カウルトップカバーを示す組立状態の前側上方から見た一部の斜視図である。
【図39】同上カウルトップカバーを示す組立状態の図38のVIII−VIII断面相当位置の説明図である。
【図40】同上カウルトップカバーを示す組み立て工程の説明図である。
【図41】同上カウルトップカバーを示す図40に続く組み立て工程の説明図である。
【図42】同上カウルトップカバーを示す図41に続く組み立て工程の説明図である。
【図43】本発明のカウルトップカバーの第4の実施の形態を示す分解状態の後方から見た一部の説明図である。
【図44】同上カウルトップカバーを備えた車両のボンネットフードを取り外した状態の一部の説明図である。
【図45】同上車両を示す図44のIX−IX相当位置の断面図である。
【図46】同上カウルトップカバーを示す分解状態の前方から見た一部の説明図である。
【図47】同上カウルトップカバーを示す組立状態の後側上方から見た一部の斜視図である。
【図48】同上カウルトップカバーを示す組立状態の後側下方から見た一部の斜視図である。
【図49】同上カウルトップカバーを示す組立状態の前側下方から見た一部の斜視図である。
【図50】同上カウルトップカバーを示す組立状態の前側方から見た一部の斜視図である。
【図51】同上カウルトップカバーを示す組立状態の図50のX−X断面相当位置の説明図である。
【図52】同上カウルトップカバーを示す組み立て工程の説明図である。
【図53】同上カウルトップカバーを示す図52に続く組み立て工程の説明図である。
【図54】同上カウルトップカバーを示す図53のXI−XI相当位置の断面図である。
【図55】同上カウルトップカバーを示す図53に続く組み立て工程の説明図である。
【図56】同上カウルトップカバーを示す図55のXII−XII相当位置の断面図である。
【符号の説明】
【0092】
5 ウインドシールドとしてのフロントガラス
5a 縁部
11 カウルトップカバー
14 車体部材としての車体パネル
31 第1のカバー部材
31a 端部
32 第2のカバー部材
32a 端部
33 本体部
38 嵌着部
53 係止受部
55 係合受部
56 係合片
56c 操作部
63 係止部
65 係合部
65d 支持部としてのフック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のウインドシールドの縁部と前記車体に設けられた車体部材とに支持されて、これらウインドシールドと車体部材との間を覆うカウルトップカバーであって、
端部同士を突き合わせて互いに連結されるとともにそれぞれ前記ウインドシールドの縁部に嵌着される嵌着部及び前記ウインドシールドと前記車体部材との間を覆う本体部を備えた第1のカバー部材及び第2のカバー部材を具備し、
前記第1のカバー部材は、
前記端部から突設され、所定方向に沿って相手部材を挿入可能な係止受部と、
この係止受部より反前記所定方向に離間して位置し、弾性変形可能な係合片を備えた係合受部とを備え、
前記第2のカバー部材は、
前記係止受部に挿入して係止される係止部と、
前記端部から突設され、前記係合片に弾性的に押圧されて前記係合受部に係合される係合部とを備える
ことを特徴とするカウルトップカバー。
【請求項2】
第1のカバー部材は、所定方向に挿入してウインドシールドの縁部に嵌着する嵌着部を備え、
第2のカバー部材は、前記第1のカバー部材の端部に沿って前記所定方向に挿入して、係止部が係止受部に係止され、係合部が係合受部に係合されるとともに、前記ウインドシールドの縁部に嵌着する嵌着部を備えた
ことを特徴とする請求項1記載のカウルトップカバー。
【請求項3】
第1のカバー部材及び第2のカバー部材のいずれか一方には、第1のカバー部材及び第2のカバー部材のいずれか他方に当接して、弾性変形可能な係合片の外れ方向への移動を阻止する支持部を備えた
ことを特徴とする請求項1または2記載のカウルトップカバー。
【請求項4】
第1のカバー部材及び第2のカバー部材のいずれか一方は、端部から突設され、所定方向に沿って相手部材を挿入可能な第2の係止受部を備え、
第1のカバー部材及び第2のカバー部材のいずれか他方は、前記第2の係止受部に挿入して係止される第2の係止部を備えた
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載のカウルトップカバー。
【請求項5】
係合片は、第1のカバー部材の端部に沿って形成された
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一記載のカウルトップカバー。
【請求項6】
係合片を操作可能な操作部が設けられた
ことを特徴とする請求項1ないし5いずれか一記載のカウルトップカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【公開番号】特開2007−296998(P2007−296998A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−127641(P2006−127641)
【出願日】平成18年5月1日(2006.5.1)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】