説明

カウルボックス

【課題】 カウルボックスのウインドシールドロアとダッシュパネルアッパとを連結する連結部材の剛性を高めつつ、所定の荷重が加わった際に変形し易くする。
【解決手段】 前方に延出するダッシュボードアッパ16と、ダッシュボードアッパの後方側部分に接合され、上方かつ前方に延出したウインドシールドロア17と、ダッシュボードアッパの前縁に接合され、前方に延出するダッシュアッパリッド20と、ダッシュアッパリッドの前端部分にとウインドシールドロアの前端部分とに接合された帯状の連結部材21とを備えるカウルボックス13であって、連結部材は、長手方向に沿って順次配列された複数の折曲部61と、長手方向に沿った両側縁のそれぞれに延設されるとともに、折曲部と交差する部分に切欠部64が形成されたリブ63とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のカウルボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のカウルボックス(ダッシュボードアッパ組立体)は、空調装置の外気導入部としての機能と、骨格部材としての機能とを有しており、所定の剛性が要求されている。一方、人等の物体と自動車とが衝突した際に、物体がカウルボックスから受ける衝撃を低減するために、カウルボックスは変形し易く、衝撃吸収性能が高いことが好ましい。これらの相反する要求を実現するべく、ダッシュボードアッパと、ウインドシールドロアと、ダッシュアッパリッドとを備えるカウルボックスに補強部材としての連結部材を設けたものがある(例えば、特許文献1)。このカウルボックスでは、ウインドシールドの下端を支持するウインドシールドロアは、前方に延出するダッシュボードアッパの後方側部分に接合されて上方かつ前方に延出し、ダッシュアッパリッドはダッシュボードアッパの前縁に接合され、前方に延出している。そして、ウインドシールドロアの前端部分と、ダッシュアッパリッドの前端部分とが複数箇所の折曲部を有する帯状の連結部材で連結されている。この連結部材は、通常時においてはウインドシールドロアの前端部分とダッシュボードアッパの前端部分との相対位置を維持する、すなわち、カウルボックスを一定の形状に維持する。一方、連結部材は、過剰な荷重が加わった際に折曲部で変形することによって、ウインドシールドロアの前端部分とダッシュボードアッパの前端部分との相対変位を許容する、すなわち、カウルボックスの変形を許容し、衝撃を吸収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−51342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係る連結部材を、所定の荷重が加わった際の変形のし易さを維持しつつ、通常時における剛性を高めることができれば、ウインドシールドロアやダッシュボードアッパ、ダッシュアッパリッドを薄肉化し、軽量化することができる。
【0005】
本発明は、以上の背景を鑑みてなされたものであって、カウルボックスにおいて、連結部材の剛性を高める一方、所定の荷重が加わった際の変形をし易くすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、車室(25)とエンジンルーム(26)とを隔離するダッシュボード(15)の上部をなし、前方に延出するダッシュボードアッパ(16)と、前記ダッシュボードアッパの後方側部分に接合され、上方かつ前方に延出し、ウインドシールド(11)の下端を支持するウインドシールドロア(17)と、前記ダッシュボードアッパの前縁に接合され、前方に延出するダッシュアッパリッド(20)と、一端において前記ダッシュアッパリッドの前端部分に接合されるとともに他端において前記ウインドシールドロアの前端部分に接合された帯状の連結部材(21)とを備えるカウルボックス(13)であって、前記連結部材は、当該連結部材の長手方向と交差する稜線を有し、前記長手方向に沿って順次配列された複数の折曲部(61)と、前記長手方向に沿った両側縁のそれぞれに延設されるとともに、前記折曲部と交差する部分に切欠部(64)が形成されたリブ(63)とを有することを特徴とする。ここでの前方および後方は、車両前方および車両後方を指す。
【0007】
この構成によれば、連結部材は、リブによって剛性が高められているため、通常時におけるカウルボックスの剛性を高めることができる。これにより、ウインドシールドロアやダッシュボードアッパ、ダッシュアッパリッドを薄肉化、軽量化することができる。また、リブは折曲部において切欠部を有するため、連結部材に所定の荷重(車外側から物体が衝突した際等に加わる荷重)が加わった際の変形を妨げることがない。すなわち、変形開始荷重を低く設定することができる。
【0008】
本発明の他の側面によれば、前記連結部材は、前記折曲部によって、前記ダッシュアッパリッドおよび前記ウインドシールドロアに接合された状態で、上方に向けて凸となる山形連結部材(22)と、前記折曲部によって下方に向けて凸となる谷形連結部材(21)との少なくとも2種類を有し、前記ダッシュアッパリッドの車幅方向における一端部には、前記山形連結部材が設けられ、前記ダッシュアッパリッドの車幅方向における他端部には、前記谷形連結部材が設けられていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、連結部材は車幅方向において離間した2点でウインドシールドロアをダッシュアッパリッドに対して連結するため、ウインドシールドロアの支持剛性を高めることができる。また、形状(突出方向)が異なる少なくとも2種類の連結部材を用いたことによって、連結部材はそれぞれ変形し易い方向が異なるため、カウルボックスの変形し易い方向の指向性を低減し、通常時におけるカウルボックスの剛性を高めることができる。
【0010】
本発明の他の側面によれば、前記ダッシュアッパリッドは、中央部に段部(37)を有し、前部(35)が後部(36)に対して上方に位置し、前記谷形連結部材は、一端が前記ダッシュアッパリッドの前記前部に連結され、その下方に向けて凸となる部分が前記ダッシュアッパリッドの前記後部に対向し、前記ダッシュアッパリッドの前記前部よりも下方に配置されていることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、連結部材がダッシュアッパリッドに近接するように配置したため、ダッシュアッパリッドとウインドシールドロアとの間に空間を確保することができる。この空間内には、ワイパ装置等のカウル内部品を配置することができる。
【0012】
本発明の他の側面によれば、前記連結部材は、前記折曲部に貫通孔(75)を有することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、連結部材の折曲部での変形をより容易にすることができ、貫通孔の位置や大きさを適宜設定することによって、連結部材の変形が発生する荷重を容易に設定することができる。
【0014】
本発明の他の側面によれば、前記切欠部は、前記リブの基端部を残して前記リブの突出端側に形成されていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、連結部材の折曲部の剛性を高めることができる。
【0016】
本発明の他の側面によれば、前記連結部材は、前記折曲部を介して前記長手方向に連続した平面部(62)を有し、前記平面部には、肉抜き孔(75)が形成されていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、連結部材を軽量化することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上の発明によれば、自動車のカウルボックスにおいて、連結部材の変形し易さを損なうことなく、連結部の通常時の剛性を高めることを課題とする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るカウルボックスが適用された自動車を示す斜視図
【図2】本発明の実施形態に係るカウルボックスのカウルトップを外した状態を示す斜視図
【図3】本発明の実施形態に係るカウルボックスのカウルトップを外した状態を示す平面図
【図4】図3のIV−IV断面図
【図5】左側連結部材を示す斜視図
【図6】右側連結部材を示す斜視図
【図7】カウルボックスが変形した状態を示す断面図
【図8】他の実施形態に係る連結部材を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明を自動車のカウルボックスに適用した一実施形態を詳細に説明する。以下の説明では、車体の向きを基準として前後左右を定めるものとする。
【0021】
図1に示すように、自動車10の車体前面には、ウインドシールドガラス11とエンジンフード12が設けられている。ウインドシールドガラス11は後傾した状態で車体に取り付けられ、その前方下端縁とエンジンフード12の後縁との間には車幅方向に延在するカウルボックス13が設けられている。
【0022】
図2〜図4に示すように、カウルボックス13は、ダッシュボード15の上部をなすダッシュボードアッパ16と、ウインドシールドガラス11の下縁部を支持するウインドシールドロア17と、カウルボックス13の左右両端部をなすダッシュボードアッパサイドメンバ18,19と、ダッシュボードアッパ16に接合されたダッシュアッパリッド20と、ウインドシールドロア17とダッシュアッパリッド20とを連結する2つの連結部材21,22と、カウルボックス13の上部をなすカウルトップ23とを主要構成要素として有している。ダッシュボードアッパ16、ウインドシールドロア17、ダッシュボードアッパサイドメンバ18,19、ダッシュアッパリッド20、連結部材21,22は、それぞれ鋼板をプレス成形したものであり、カウルトップ23は樹脂材料を射出成形したものである。図1に示すように、カウルボックス13には、ワイパ装置14が設けられている。
【0023】
図4に示すように、ダッシュボードアッパ16は、面が前後方向を向くように配置された鋼板のプレス成形品であるダッシュボードロア24の上端部に溶接によって接合され、車幅方向に延在するとともに前方へと延出している。ダッシュボードアッパ16は、ダッシュボードロア24とともに、車室25とエンジンルーム26とを区画するダッシュボード15をなす。ダッシュボードアッパ16は、その前部の左右両端部において、左右のフロントダンパハウジング(図示しない)の上部をなす左右のフロントダンパベースプレート27,28の上面に溶接により接合されている(図2、3参照)。すなわち、ダッシュボードアッパ16は、左右のフロントダンパベースプレート27,28を連結するように、車幅方向に延在している。各フロントダンパベースプレート27,28には、スプリングおよびショックアブソーバからなる懸架装置(図示しない)の上端が締結される。
【0024】
ダッシュボードアッパ16は、その後部に車幅方向に延在する排水溝31を備えている。排水溝31は、ダッシュボードアッパ16を折曲することによって形成され、上方に向けて開口する凹形を呈する。また、ダッシュボードアッパ16の前後方向における中間部には、車幅方向に延在する補強部材としての鋼板からなるクロスメンバ32が設けられている。クロスメンバ32は、下方に向けて開口するフランジ付き溝形状を呈し、フランジ部においてダッシュボードアッパ16の上面に溶接され、ダッシュボードアッパ16とともに閉断面構造を形成している。クロスメンバ32の左右端は、左右のフロントダンパベースプレート27,28に対応する部分まで延出している。
【0025】
図2〜図4に示すように、ダッシュアッパリッド20は、略水平方向に延在する前部35および後部36と、前後方向における中間部に若干傾斜して上下方向に延びる段部37とを有し、前部35が後部36に対して上方に配置された形状に構成されている。ダッシュアッパリッド20は、前部35、段部37、後部36がそれぞれ車幅方向に延在し、後部36の後縁部近傍においてダッシュボードアッパ16の前縁部近傍に接合されている。ダッシュアッパリッド20とダッシュボードアッパ16との接合は、例えば両部材を貫通するボルトとナットとの締結により行われている。ダッシュアッパリッド20は、車幅方向においてダッシュボードアッパ16よりも短く、ダッシュボードアッパ16の車幅方向における中間部に設けられている。
【0026】
ウインドシールドロア17は、車幅方向においてダッシュボードアッパ16と同様の幅を有し、その後端部41がダッシュボードアッパ16の後端部、すなわちダッシュボードアッパ16のダッシュボードロア24との接合部近傍に溶接されている。ウインドシールドロア17は、後端部41から上方かつ前方へと延出し、その後、下方かつ前方へと延出して前端部42を形成している。ウインドシールドロア17の前端部42は概ねダッシュボードアッパ16の前端の上方に配置されている。ウインドシールドロア17およびダッシュボードアッパ16の左右側部には、上下および前後方向に延びるダッシュボードアッパサイドメンバ18,19がそれぞれ溶接されている。ウインドシールドロア17、ダッシュボードアッパ16、左右のダッシュボードアッパサイドメンバ18,19は、一体となって前方に向けて開口する箱形状を形成している。
【0027】
ウインドシールドロア17の前端部42の後方部分には、段違いに凹部44が形成されている。図4に示すように、凹部44には、防振材45を介してウインドシールドガラス11が支持されている。防振材45は、例えば防振ゴム(ダムラバー)であってよい。ウインドシールドガラス11の下縁部は接着剤46によってウインドシールドロア17の凹部44に固定されている。
【0028】
ウインドシールドロア17の前端部42と、ダッシュアッパリッド20の前部35とは、2つの連結部材21,22によって連結されている。図3および図4〜6に示すように、連結部材21,22は、それぞれ、一方向に長い帯状の鋼板片を折り曲げたものであり、長手方向における両端に貫通孔51,52を有する締結部53,54を備えている。各連結部材21,22は、ダッシュアッパリッド20の前部35の左端部または右端部に一端が接合され、前後方向に延在し、他端がウインドシールドロア17の前端部42に接合されている。ダッシュアッパリッド20およびウインドシールドロア17の各連結部材21,22の貫通孔51,52に対応する部分にはそれぞれ貫通孔(符号省略)が形成されており、各連結部材21,22は、ボルト58およびナット59によってダッシュアッパリッド20およびウインドシールドロア17に締結されている。
【0029】
ダッシュアッパリッド20の左端部に設けられる連結部材21は、図4および図5に示すように、長手方向に対して概ね直交する方向に延在する稜線を有する折曲部61を長手方向に4つ有し、下方に向けて凸となっている。換言すると、連結部材21は、谷形を呈している。連結部材21の各折曲部61の前後部分は、平板状の平面部62となっている。連結部材21の長手方向に沿う両側縁部は、上方に向けて概ね90°折り曲げられ、長手方向に沿って延在するリブ63となっている。リブ63は、折曲部61と交差する部分に突出端側から基端側へと向けて延びる切欠部64を有している。各切欠部64は、リブ63の突出方向における概ね中間部まで延び、基端部には到達していない。平面部62には、円形状や長穴形状の貫通孔である肉抜き孔65が形成されている。
【0030】
図4に示すように、連結部材21の下方へと突出する部分は、ダッシュアッパリッド20の段部37と所定の間隙をおきつつ対向するように後部36側へと延出し、前部35よりも下方へと延出している。
【0031】
ダッシュアッパリッド20の右端部に設けられる連結部材22は、図2および図6に示すように、長手方向に対して概ね直交する方向に延在する稜線を有する折曲部71を長手方向に5つ有し、上方に向けて凸となる逆W形を呈する。換言すると、連結部材21は、山形を呈している。連結部材22の各折曲部71の前後は、平面部72となっている。連結部材22の長手方向に沿う両側縁部は、下方に向けて概ね90°折り曲げられ、長手方向に沿って延在するリブ73となっている。リブ73は、折曲部71と交差する部分に突出端側から基端側へと向けて延びる切欠部74を有している。各切欠部74は、リブ73の突出方向における概ね中間部まで延び、基端部には到達していない。平面部72および折曲部71には、平面部72から折曲部71へと連続する円形状や長穴形状の貫通孔である肉抜き孔75が形成されている。
【0032】
カウルトップ23は、可撓性を有する樹脂材料から成形され、車幅方向に延在している。図4に示すように、カウルトップ23は、前縁部にダッシュアッパリッド20の前縁部と係合可能なクリップ部81を有する。クリップ部81は、ダッシュアッパリッド20の前縁部の車幅方向全域にわたって係合可能なように、カウルトップ23の前縁部に車幅方向に延設されている。また、クリップ部81は、例えばゴムからなるシーリング材82を介してダッシュアッパリッド20と係合している。これにより、カウルトップ23とダッシュアッパリッド20との接合部には、液密シールが形成されている。
【0033】
カウルトップ23は、クリップ部81の係合部の背面より前方かつ上方へと突出した係止片83を有する。係止片83は、車幅方向に亘って延在し、エンジンフード12に取り付けられたウェザーストリップ84と係合し、エンジンフード12との間に液密シールを形成している。
【0034】
カウルトップ23は、クリップ部81より上方へと延び、その後、後方かつ上方へと延びて第1天板部86を形成している。第1天板部86は、エンジンフード12の車体外面側と略面一となっている。その後、カウルトップ23は、第1天板部86の後縁部より後方かつ下方へと延びて第2天板部87を形成している。第2天板部87には、外気をカウルボックス内へと取り込む通気孔88が車幅方向の中央部に複数形成されている。カウルトップ23は、第2天板部87の後縁部から後方かつ上方へとウインドシールドガラス11と略平行に延びて第3天板部89を形成している。第3天板部89は、ウインドシールドガラス11と密着してシールを形成している。
【0035】
以上のように構成したカウルボックス13では、図4に示すように、ダッシュボードアッパ16と、ダッシュアッパリッド20と、ウインドシールドロア17と、連結部材21,22とが閉断面構造を形成するため、連結部材21,22を設けない場合と比較して剛性が高められている。特に、車幅方向に延在するダッシュアッパリッド20の左右端のそれぞれに連結部材21,22を設け、連結部材21,22でウインドシールドロア17を車幅方向における2点で支持するようにしたため、カウルボックス13の剛性がより高められている。このように、連結部材21,22を用いてカウルボックス13の剛性を高めることができるため、ウインドシールドロア17、ダッシュアッパリッド20、ダッシュボードアッパ16の薄肉化および軽量化が可能になる。
【0036】
図7に示すように、車外側から物体200(例えば、人の頭部)がエンジンフード12の後端部に衝突した際には、エンジンフード12は図中の白抜き矢印で示すように下方に変位し、ダッシュアッパリッド20の前部35はエンジンフード12に押圧され、下方側へと変形する。このとき連結部材21は、図中の黒色矢印で示すように、折曲部61の角度が開く方向(折曲部61を挟む両平面部62がなす角度が大きくなる方向)に変形し、ダッシュアッパリッド20の変形、すなわちカウルボックス13の変形を妨げない。連結部材22も連結部材21と同様に折曲部61において変形可能となっている。これらの連結部材21,22がカウルボックス13の変形を妨げないことから、カウルボックス13は衝撃吸収能を有することができる。
【0037】
各連結部材21,22は、リブ63,73によって剛性が高められているため、ダッシュボードアッパ16、ダッシュアッパリッド20、ウインドシールドロア17の薄肉化および軽量化が可能である。また、リブ63,73は、切欠部64,74が設けられることによって、折曲部61,71の変形を阻害しないようになっている。なお、切欠部64,74の深さを、リブ63,74の突出長さに対して調整することによって折曲部61,71の変形し易さを調整することができる。各連結部材21,22は、肉抜き孔65,75によって軽量化されてもよい。また、折曲部71に肉抜き孔75を設けることによって、折曲部71の変形をより容易にする、すなわち変形開始荷重を低下させることができる。
【0038】
本実施形態では、下向きに凸となる連結部材21を用い、連結部材21の下向きに凸となる部分をダッシュアッパリッド20の段部37に沿わせるようにしたため、カウルトップ23の下方の空間90を広く確保することができ、空間90内にワイパ装置14の駆動機構やリンク機構を比較的容易に配設することができる。
【0039】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、連結部材は、図8に示すような構造であってよい。図8に示すように、連結部材100は、長手方向に対して概ね直交する方向に延在する稜線を有する折曲部101を長手方向に4つ有し、上方に向けて凸となる山形を呈している。連結部材100の各折曲部101の前後は、平面部102となっており、その長手方向に沿う両側縁部は、上方に向けて概ね90°折り曲げられ、長手方向に沿って延在するリブ103となっている。リブ103は、連結部材21,22のリブ63,73と異なり、連結部材103の突出方向(上方)と同じ向きに突出している。リブ103は、連結部材100の両端に形成された、貫通孔104を有する締結部105の周縁にも形成されている。リブ103は、折曲部101と交差する部分に突出端側から基端側へと到る切欠部106を有している。平面部102および折曲部101には、平面部102から折曲部101を跨いで連続する円形状や長穴形状の貫通孔である肉抜き孔107が形成されている。
【0040】
上述した実施形態では、カウルボックス13には2つの連結部材21,22が設けられているが、他の実施形態では3つ以上設けられてもよい。上述した実施形態では、各連結部材が4つ、または5つの折曲部を有する例について記載したが、折曲部の数は任意の数であってよく、特に4つ以上であることが好ましい。また、ダッシュアッパリッド20とダッシュボードアッパ16とは、連続する一部品から一体物として形成されてもよい。
【符号の説明】
【0041】
11…ウインドシールドガラス、13…カウルボックス、15…ダッシュボード、16…ダッシュボードアッパ、17…ウインドシールドロア、18…ダッシュボードアッパサイドメンバ、20…ダッシュアッパリッド、21…連結部材(山形連結部材)、22…連結部材(谷形連結部材)、23…カウルトップ、24…ダッシュボードロア、25…車室、26…エンジンルーム、32…クロスメンバ、35…前部、36…後部、37…段部、51…貫通孔、53…締結部、61…折曲部、62…平面部、63…リブ、64…切欠部、65…肉抜き孔、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室とエンジンルームとを隔離するダッシュボードの上部をなし、前方に延出するダッシュボードアッパと、前記ダッシュボードアッパの後方側部分に接合され、上方かつ前方に延出し、ウインドシールドの下端を支持するウインドシールドロアと、前記ダッシュボードアッパの前縁に接合され、前方に延出するダッシュアッパリッドと、一端において前記ダッシュアッパリッドの前端部分に接合されるとともに他端において前記ウインドシールドロアの前端部分に接合された帯状の連結部材とを備えるカウルボックスであって、
前記連結部材は、
当該連結部材の長手方向と交差する稜線を有し、前記長手方向に沿って順次配列された複数の折曲部と、
前記長手方向に沿った両側縁のそれぞれに延設されるとともに、前記折曲部と交差する部分に切欠部が形成されたリブと
を有することを特徴とするカウルボックス。
【請求項2】
前記連結部材は、前記折曲部によって、前記ダッシュアッパリッドおよび前記ウインドシールドロアに接合された状態で、上方に向けて凸となる山形連結部材と、前記折曲部によって下方に向けて凸となる谷形連結部材との少なくとも2種類を有し、
前記ダッシュアッパリッドの車幅方向における一端部には、前記山形連結部材が設けられ、前記ダッシュアッパリッドの車幅方向における他端部には、前記谷形連結部材が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のカウルボックス。
【請求項3】
前記ダッシュアッパリッドは、中央部に段部を有し、前部が後部に対して上方に位置し、
前記谷形連結部材は、一端が前記ダッシュアッパリッドの前記前部に連結され、その下方に向けて凸となる部分が前記ダッシュアッパリッドの前記後部に対向し、前記ダッシュアッパリッドの前記前部よりも下方に配置されていることを特徴とする、請求項2に記載のカウルボックス。
【請求項4】
前記連結部材は、前記折曲部に貫通孔を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかの項に記載のカウルボックス。
【請求項5】
前記切欠部は、前記リブの基端部を残して前記リブの突出端側に形成されていることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかの項に記載のカウルボックス。
【請求項6】
前記連結部材は、前記折曲部を介して前記長手方向に連続した平面部を有し、
前記平面部には、肉抜き孔が形成されていることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかの項に記載のカウルボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−6537(P2012−6537A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145989(P2010−145989)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】