説明

カチオン性リポソームおよびその使用方法

薬剤又は化合物、例えば標的蛋白をサイレンシングすることができる化合物及び酵素基質の細胞への送達のための系として高度に効率的なカチオン性リポソームを提供する。カチオン性リポソームは細胞内の標的蛋白の活性又は見かけの活性の抑制を検出する方法、及び、細胞内の経路、例えばシグナル伝達経路に関連する蛋白を同定する方法において使用できる。本発明は、荷電中性化合物及び/又は化合物の荷電中性混合物、及び、カチオン性リン脂質を含むカチオン性リポソームを提供し、ここで、荷電中性化合物及び/又は化合物の荷電中性混合物のカチオン性リン脂質に対するモル比は、約1:1より大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1. 関連出願の引用)
本出願は、出願番号第60/636,414号(2004年12月14日出願)および同第60/636,414号(2004年12月14日出願)に対する米国特許法第119条(e)の下の優先権を主張する。これら両出願の内容は、本明細書中でその全体が参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(2. 背景)
現在細胞に薬剤を送達する方法は低張性ショック、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム系トランスフェクション、感染性物質及びリポソームを包含する。リポソームは薬剤の実質的に如何なる型も含有するか複合体形成してよい等数の水性介在空間により分離されたリン脂質二層1つ以上の小胞である。従って、リポソームは特に治療薬、診断薬及び分析薬のためのインビトロ及びインビボの送達系として有用である。多くのリポソーム組成物が当該分野で知られているが、毒性及び非効率的な薬剤送達のような多大な問題がなお存在している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、生細胞における標的蛋白の迅速な測定のための薬剤を包含する細胞に種々の薬剤を効率的に送達できる低毒性の新しいリポソーム組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(3. 要旨)
これら及び他の本発明の特徴を以下に記載する。
【0005】
一部の実施形態においては、カチオン性リポソームが提供される。リポソームは荷電中性化合物及び/又は化合物の荷電中性混合物のカチオン性リン脂質に対するモル比が約1:1超である、荷電中性化合物及び/又は化合物の荷電中性混合物、及び、カチオン性リン脂質を含むことができる。
【0006】
一部の実施形態においては、細胞に薬剤を送達する方法が提供される。細胞は薬剤1つ以上と複合体形成するかこれをカプセル化するカチオン性リポソームと接触させることができる。カチオン性リポソームは、薬剤と共に、荷電中性化合物及び/又は化合物の荷電中性混合物のカチオン性リン脂質に対するモル比が約1:1超である、荷電中性化合物及び/又は化合物の荷電中性混合物、及び、カチオン性リン脂質を含むことができる。
【0007】
一部の実施形態においては、リポソームは、(i)標的蛋白をサイレンシングすることができる化合物、及び(ii)酵素基質を含むことができ、ここでリポソームは生細胞内に化合物及び酵素基質を送達することができる。一部の実施形態においては、化合物は標的蛋白の見かけの活性を制御することができる。一部の実施形態においては、酵素基質はリードアウト蛋白により改変された場合に検出可能なシグナルを生成することができる。
【0008】
一部の実施形態においては、本明細書に開示した方法は生細胞中の標的蛋白の発現の抑制を検出することを含む。一部の実施形態においては、方法は、細胞を(i)標的蛋白をサイレンシングすることができる化合物、(ii)リードアウト蛋白により改変された場合に検出可能なシグナルを生成することができる酵素基質を含むリポソームに接触させることを含む。一部の実施形態においては、方法は、細胞内の該標的蛋白の発現の抑制を示すシグナルの変化を検出することを包含する。一部の実施形態においては、本明細書に開示した方法は、生細胞内の酵素又はシグナル伝達経路のような経路に関連するものとして標的蛋白を同定することを含む。一部の実施形態においては、方法は、細胞を(i)標的蛋白をサイレンシングすることができる化合物、(ii)リードアウト蛋白により改変された場合に検出可能なシグナルを生成することができる酵素基質を含むリポソームに接触させること、細胞を経路のアゴニストに接触させること、及び、検出可能なシグナルが生成したかどうか検出することを含む。検出可能なシグナルの変化は標的蛋白がシグナル伝達経路に関連しているここと示す。
【0009】
更に提供されるものは、細胞に薬剤を送達する場合に使用するためのキットである。一部の実施形態においては、キットは荷電中性化合物及び/又は化合物の荷電中性混合物及びカチオン性リン脂質、及び、細胞に薬剤を送達するカチオン性リポソームを形成するための説明書を含む。
【0010】
更に提供されるものは、標的蛋白の見かけの活性を検出する場合に使用するためのキットである。一部の実施形態においては、キットは細胞内で標的蛋白の発現の抑制を検出するために使用することができ、カチオン性リポソームを形成することができる脂質、標的蛋白をサイレンシングすることができる化合物及び酵素により改変された場合に検出可能なシグナルを生成することができる酵素基質を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(5. 発明の詳細な説明)
上記した要約及び以下に記載する種々の実施形態の説明は共に、例示及び説明のみであり、本説明を限定するものではないことが理解されるべきである。本出願において、特段の記載が無い限り、単数形の使用は複数も包含するものとする。更に又、特段の記載が無い限り、「又は」とは「及び/又は」を意味する。同様に、「含む」、「含んでいる」、「包含する」及び「包含している」とは限定を意図しない。本開示に関する場合、「送達」という用語は、インビボ又はインビトロにおける細胞内への薬剤の導入を指す。
【0012】
5.1 定義
本明細書においては、以下の用語は以下に記載する意味を有することを意図する。
【0013】
「アルカニル」とはそれ自体、又は別の置換基の部分として、親アルカンの単一の炭素原子から水素原子1個を除去することにより誘導される飽和の分枝鎖、直鎖又は環状のアルキルを意味する。典型的なアルカニル基は限定しないが、メタニル;エタニル;プロパニル類、例えばプロパン−1−イル、プロパン−2−イル(イソプロピル)、シクロプロパン−1−イル等;ブタニル類、例えばブタン−1−イル、ブタン−2−イル(s−ブチル)、2−メチル−プロパン−1−イル(イソブチル)、2−メチル−プロパン−2−イル(t−ブチル)、シクロブタン−1−イル等を包含する。
【0014】
「アルケニル」とはそれ自体、又は別の置換基の部分として、親アルカンの単一の炭素原子から水素原子1個を除去することにより誘導される、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する不飽和の分枝鎖、直鎖又は環状のアルキルを意味する。基は二重結合に関してシス又はトランスの配置の何れかであってよい。典型的なアルケニル基は限定しないが、エテニル;プロペニル類、例えば、プロパ−1−エン−1−イル、プロパ−1−エン−2−イル、プロパ−2−エン−1−イル、プロパ−2−エン−2−イル、シクロプロパ−1−エン−1−イル、シクロプロパ−2−エン−1−イル;ブテニル類、例えば、ブタ−1−エン−1−イル、ブタ−1−エン−2−イル、2−メチル−プロパ−1−エン−1−イル、ブタ−2−エン−1−イル、ブタ−2−エン−2−イル、ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イル、シクロブタ−1−エン−1−イル、シクロブタ−1−エン−3−イル、シクロブタ−1,3−ジエン−1−イル等を包含する。
【0015】
「アルキニル」とはそれ自体、又は別の置換基の部分として、親アルカンの単一の炭素原子から水素原子1個を除去することにより誘導される、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する不飽和の分枝鎖、直鎖又は環状のアルキルを意味する。典型的なアルキニル基は限定しないが、エチニル;プロピニル類、例えば、プロパ−1−イン−1−イル、プロパ−2−イン−1−イル等;ブチニル類、例えば、ブタ−1−イン−1−イル、ブタ−1−イン−3−イル、ブタ−3−イン−1−イル等を包含する。
【0016】
「アシル」とは基−C(O)Rを指し、ここでRは水素又は本明細書に定義するアルキルである。限定しない代表例はホルミル、アセチル等である。
【0017】
「塩」とは親化合物の所望の活性を保有している本明細書に記載する化合物の塩である。このような塩は(1)無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等と共に形成した;又は、有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイヒ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第3ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸等と共に形成した酸付加塩;又は(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、又はアルミニウムイオンに置き換えられるか;又は、有機塩基、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルグルカミン等と配位した場合に形成される塩を包含する。
【0018】
5.2 カチオン性リポソーム
本開示は細胞に種々の薬剤(例えば治療薬、診断薬等)を送達することができるカチオン性リポソームを提供する。カチオン性リポソームは荷電中性化合物及び/又は化合物の荷電中性混合物、及び、カチオン性リン脂質を含む。一部の実施形態においては、リポソームはリポソームの他の型と比較して低毒性のものであることができる。
【0019】
一部の実施形態においては、荷電中性化合物及び/又は化合物の荷電中性混合物のモル比はカチオン性リポソームより高値となることができる。一部の実施形態においては、荷電中性化合物及び/又は化合物の荷電中性混合物のカチオン性リポソームに対するモル比は約1:1より高値〜約10:1となることができる。即ち、種々の例示される実施形態において、荷電中性化合物及び/又は化合物の荷電中性混合物のカチオン性リポソームに対するモル比は約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1又は約10:1未満であることができる。
【0020】
化合物の荷電中性混合物は、約ゼロである実質電荷を有するアニオン性、カチオン性又は中性の化合物の何れかの混合物であることができる。個々の化合物の比は、混合物が全体として約ゼロである実質電荷を有する限り、重要ではない。
【0021】
広範な種類の荷電中性化合物及び/又は化合物の荷電中性混合物を使用して本明細書に記載するカチオン性リポソームを形成してよい。荷電中性化合物及び/又は化合物の荷電中性混合物は、限定しないが、脂質、リン脂質、peg化リン脂質、コレステロール、ステロイド、トコフェロール、ニトロキシド及びこれらの組合せを包含する。
【0022】
一般的に、リン脂質は両親媒性である。一部の実施形態においては、両親媒性リン脂質は疎水性脂肪酸テール部2つ及び親水性ヘッド部を有する。親水性ヘッド部はグリセロール骨格、ホスフェート及び極性部分を包含できる。一部のリン脂質、例えばホスホチジルコリンはカチオン性の極性部分(+1)及び負荷電のホスフェート(−1)の両方を有しており、合計実質電荷はゼロである。ホスフェート基の負電荷をマスキングすることにより、カチオン性リン脂質が得られる。
【0023】
一部の実施形態においては、リン脂質は(モノ/ジ)ラジルグリセロホスホ−(モノヒドロキシアルコール)、例えば、ジアシルグリセロリン脂質、アルキ(ケニ)ルアシルグリセロリン脂質、ジアルキ(ケニ)ルアシルグリセロリン脂質、モノアシルグリセロリン脂質及びモノアルキルグリセロリン脂質であることができる。ジアシルグリセロリン脂質は例えば1,2−ジヘキサデカノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンのような、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスフェートのホスホジエステル誘導体である。アルキ(ケニ)ルアシルグリセロリン脂質又はジアルキ(ケニ)ルアシルグリセロリン脂質はアルキル又はアルケニル鎖1つ又は2つを含み、例えば1−ヘキサデシル−2−アセチル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン及び1−(1’−グリセロアルキル)−2−アシル−sn−グリセロ−ホスホエタノールアミンである。モノアシルグリセロリン脂質又はモノアルキルグリセロリン脂質は例えば2−ヘキサデカノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン及び1−ヘキサデシル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンを包含する。
【0024】
一部の実施形態においては、リン脂質は(モノ/ジ)ラジルグリセロホスホ−ポリオールである。適当な例は限定しないが、例えば、それぞれホスファチジルグリセロール及びホスファチジルイノシトールのような、グリセロ及びD−ミオ−イノシトールの1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホ誘導体を包含する。この型のリン脂質は、例えば限定しないが、多重ポリオール部分、例えば、ジアシルホスファチジルグリセロール(1−(1’2’−ジアシル−sn−グリセロ−3’−ホスホ)−sn−グリセロール)、カルジオリポン(1,3−ビス(1’2’−ジアシル−sn−グリセロ−3’−ホスホ)−グリセロール、リソビスホスファチジン酸、(1−(3’−アシル−sn−グリセロ−1’−ホスホ)−3−アシル−sn−グリセロール、ホスファチジルイノシトール及び(1−(1’2’−ジアシル−sn−グリセロ−3’−ホスホ)−L−ミオイノシトールを包含する。
【0025】
一部の実施形態においてはリン脂質は(モノ/ジ)ラジルグリセログリコシドであることができる。リン脂質は例えばホスホ、グリセロホスホ、又はモノ又はジラジルグリセロホスホ残基を担持するグリセロ糖脂質であってよい。例示されるホスホ糖脂質は限定しないが、グリセロホスホモノグルコシルリン脂質、グリセロホスホジグルコシルリン脂質、3’−O−グルコサミニル−ホスファチジルグリセロール及びジマンノソール−イノシトールリン脂質を包含する。
【0026】
一部の実施形態においては、リン脂質は(モノ/ジ)ラジルグリセロホスホグリコシドであることができる。このようなリン脂質は本明細書に記載するホスファチジルグリセロール及びホスファチジルイノシトールのグリコシル化誘導体であることができる。リン脂質は例えばグルコース、マンノース、ガラクトース、アミノグルコース、N−アセチルアミノグルコース;及びN−アセチルアミノガラクトース等のようなよく知られたグリコシル基デグリコシル化してよい。
【0027】
一部の実施形態においては、リン脂質はスフィンゴシン含有リン脂質であることができる。スフィンゴシン含有リン脂質は例えばスフィンゴミエリン(即ちセラミドのホスホコリン誘導体)及びフィト糖脂質(即ちイノシトールホスホセラミドのグリコシル化誘導体)を包含する。
【0028】
種々の例示される実施形態において、リン脂質は、本明細書に記載するもののような、(モノ/ジ)ラジルグリセロホスホ−モノヒドロキシアルコール、(モノ/ジ)ラジル−グリセロホスホ−ポリオール、(モノ/ジ)ラジルグリセログリコシド、(モノ/ジ)ラジル−グリセロホスホグリコシド又はこれらの組合せのホスホノ誘導体であることができる。
【0029】
種々の例示される実施形態において、リン脂質は、アシルホスファチジルエタノールアミン、リソホスファチジルエタノールアミン、アシルホスファチジルコリン、リソホスファチジルコリン、アシルホスファチジルセリン、リソホスファチジルセリン、アシルホスファチジルグリセロール、リソホスファチジルグリセロール、アシルホスファチジン酸、リソホスファチジン酸、アシルホスファチジルイノシトール、リソホスファチジルイノシトール、アシルホスファチジルイノシトール−4−ホスフェート、リソホスファチジルイノシトール−4−ホスフェート、リソホスファチジルイノシトール−4,5−ジホスフェート、アシルホスファチジルイノシトール−4,5−ジホスフェート又はスフィンゴミエリン又はこれらの組合せであることができる。
【0030】
一部の実施形態においては、リン脂質は下記構造式(I):
【0031】
【化6】

[式中、
各Rは独立して水素、アルキル又はアシルであり;
nは0又は1であり;
は水素、−CHCHN(CH、−CHCHNH、−CHCH(CO−)NH、−CHCH(OH)CHOH、又は
【0032】
【化7】

であり、そして、
各Rは独立して水素又は−POHであるが、ただし、少なくとも1つのRは水素ではなく、そして(C10−C30)アルキル又は(C10−C30)アシルである]の化合物又はその塩、溶媒和物又は水和物である。
【0033】
一部の実施形態においては、nは1であり、そしてRは水素、−CHCHN(CH、−CHCHNH、−CHCH(CO−)NH又は−CHCH(OH)CHOHである。一部の実施形態においては、nは1であり、そしてRはアルキル又はアシルである。一部の実施形態においては、nは1であり、そしてRは水素である。一部の実施形態においては、nは1であり、そして第2ヒドロキシルに結合したR基は水素である。一部の実施形態においては、nは1であり、そしてRは水素又はアシルである。一部の実施形態においては、各Rは同一である。一部の実施形態においては、各Rは独立してカプリル、ウンデカノイル、ラウロイル、トリデカノイル、ミリストイル、ペンタデカノイル、パルミトイル、フィタノイル、ヘプタデカノイル、ステアロイル、ノナデカノイル、アラキドイル、ヘネイコサノイル、トリコサノイル、リグノセロイル、ミリストレオイル、ミリステライドイル、パルミトレオイル、パルミテライドイル、ペトロセリノイル、オレオイル、エライドイル、リノレオイル、リノレノイル、エイコセノイル、アラキドノイル、エルコイル及びネルボノイルである。一部の実施形態においては、リン脂質は1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンであることができる。
【0034】
一部の実施形態においては、カチオン性リン脂質はホスフェート基の負荷電の酸素に結合した保護基を含むことができる。保護基とは、当業者の知る通り、分子内の官能基(例えばホスフェート酸素の負荷電の酸素)に結合すれば官能基の反応性をマスキングする原子団を指す。保護基の例は、例えばGreen et al.,“Protective Groups in Organic Chemistry”,(Wiley,2nd ed.1991)およびHarrison et al.,“Compendium of Synthetic Organic Methods”, Vols.1−8(John Wiley and Sons.1971−1996)に記載されている。例示されるホスフェート保護基は限定しないが、ホスフェート酸素がアシル化又はアルキル化されたもの、例えばアセチル、ベンジル、トリチルエーテル、アルキルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテル、アリルエーテル等である。一部の実施形態においては、ホスフェート保護基はエチル、アセトキシメチル又はS−アシル−2−チオエチルであることができる。
【0035】
一部の実施形態においては、保護されたカチオン性リン脂質は本明細書に記載する条件を包含する条件下(例えばバイオアッセイ条件、生理学的条件等)において生体不安定性であることができる。一般的に、生体不安定性の保護されたリン脂質は脱保護される(即ちそのホスフェート保護基を失う)と荷電されたホスフェート基を与える。
【0036】
種々の例示される実施形態においては、カチオン性リン脂質は保護された(モノ/ジ)ラジルグリセロホスホ−モノヒドロキシアルコール、保護された(モノ/ジ)ラジルグリセログリコシド、保護された(モノ/ジ)ラジルグリセロホスホグリコシド、スフィンゴシン、(モノ/ジ)ラジルグリセロホスホ−モノヒドロキシアルコール、保護された(モノ/ジ)ラジルグリセログリコシド、保護された(モノ/ジ)ラジルグリセロホスホグリコシドの保護されたホスホノ誘導体又はこれらの組合せであることができる。
【0037】
種々の例示される実施形態において、カチオン性リン脂質は保護されたアシルホスファチジルエタノールアミン、リソホスファチジルエタノールアミン、アシルホスファチジルコリン、リソホスファチジルコリン、アシルホスファチジルセリン、リソホスファチジルセリン、アシルホスファチジルグリセロール、リソホスファチジルグリセロール、アシルホスファチジン酸、リソホスファチジン酸、アシルホスファチジルイノシトール、リソホスファチジルイノシトール、アシルホスファチジルイノシトール−4−ホスフェート、リソホスファチジルイノシトール−4−ホスフェート、リソホスファチジルイノシトール−4,5−ジホスフェート、アシルホスファチジルイノシトール−4,5−ジホスフェート又はスフィンゴミエリンであることができる。
【0038】
一部の実施形態においては、カチオン性リン脂質は下記構造式(II):
【0039】
【化8】

[式中、
各Rは独立して水素、アルキル又はアシルであり;
nは0又は1であり;
は−CHCHN(CH、−CHCHNHであり、そして、
は保護基であるが;
ただし、少なくとも1つのRは水素ではなく、そして(C10−C30)アルキル又は(C10−C30)アシルである]の化合物又はその塩、溶媒和物又は水和物である。
【0040】
一部の実施形態においては、Rは−R、−CHOC(O)R又は−CHCHSC(O)Rであり、ここでRは(C−C)アルキルである。一部の実施形態においては、nは1であり、そしてRは−CHCHN(CHである。一部の実施形態においては、nは1であり、そしてRは−CHCHN(CHである。一部の実施形態においては、nは1であり、そしてRは水素又はアシルである。一部の実施形態においては、nは1であり、そしてRはアルキル又はアシルである。一部の実施形態においては、nは1であり、そしてRが水素である。一部の実施形態においては、nは1であり、そして第2ヒドロキシルに結合したR基は水素である。一部の実施形態においては、nは1であり、Rはアルキル又はアシルであり、そしてRは−CHCHN(CHである。一部の実施形態においては、カチオン性リン脂質は1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリンである。一部の実施形態においては、両方のRが同一である。一部の実施形態においては、各Rは独立してカプリル、ウンデカノイル、ラウロイル、トリデカノイル、ミリストイル、ペンタデカノイル、パルミトイル、フィタノイル、ヘプタデカノイル、ステアロイル、ノナデカノイル、アラキドイル、ヘネイコサノイル、トリコサノイル、リグノセロイル、ミリストレオイル、ミリステライドイル、パルミトレオイル、パルミテライドイル、ペトロセリノイル、オレオイル、エライドイル、リノレオイル、リノレノイル、エイコセノイル、アラキドノイル、エルコイル及びネルボノイルである。
【0041】
一部の実施形態においては、カチオン性リポソームは1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン及び1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリンを含む。一部の実施形態においては、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンのモル比は1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリンのモル比より高値である。一部の実施形態においては、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンの1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリンに対するモル比は約1:1超〜約10:1の範囲である。種々の例示される実施形態において、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンの1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリンに対するモル比は約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1又は約10:1未満であることができる。
【0042】
一部の実施形態においては、リポソームは生体分解性である。
【0043】
一部の実施形態においては、リポソームはカチオン性であることができ、そして、下記式(III):
【0044】
【化9】

[式中、
は炭素原子6〜30個を有する飽和又は不飽和のアルキルであり;
は炭素原子6〜30個を有する飽和又は不飽和のアルキルであり;
は炭素原子1〜20個を有する飽和又は不飽和のアルキルである]を有する1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−アルキルホスホコリンを包含する。
【0045】
一部の実施形態においては、リポソームは1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリンを包含できる。一部の実施形態においては、リポソームは1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリン及び1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンの両方を包含できる。一部の実施形態においては、リポソームはこれら2種のリン脂質を約1:10〜約10:1の範囲のモル比で包含できる。一部の実施形態においては、モル比は約1:2である。リポソームは又本明細書に記載した他の脂質又は成分を包含してよい。
【0046】
本明細書に記載した化合物はキラル中心及び/又は二重結合1つ以上を含有してよく、従って立体異性体、例えば二重結合異性体(即ち幾何異性体)、エナンチオマー又はジアステレオマーとして存在してよい。従って、本明細書に記載する化学構造は立体異性的に純粋な形態(例えば幾何学的に純粋、エナンチオマー的に純粋又はジアステレオマー的に純粋)及びエナンチオマー及び立体異性体の混合物を包含する、開示化合物の全ての可能なエナンチオマー及び立体異性体を包含する。エナンチオマー及び立体異性体の混合物は当該分野で良く知られている分離手法又はキラル合成手法を用いてその成分であるエナンチオマー又は立体異性体に分割することができる。
【0047】
本明細書に開示する化合物はまたエノール型、ケト型及びそれらの混合物を包含する種々の互変異体において存在してよい。従って、本明細書に記載する化合物は全ての可能な互変異体を包含する。
【0048】
本明細書に開示する化合物は、種々の未溶媒和及び溶媒和形態、例えば水和形態において、そして、Nオキシドとして存在してよい。本明細書に開示する化合物は多重結晶型又は不定形で存在してよい。一般的に、全ての物理的形態が本明細書の意図する使用の為に等価である。
【0049】
本明細書に開示する化合物は種々の同位体型として存在してよい。本明細書に開示した化合物に取り込んでよい同位体の例は限定しないがH、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、18F及び36Clを包含する。
【0050】
種々の例示される実施形態において、カチオン性リポソームはコレステロール類、コレステロール誘導体、ステロイド類及びトコール類を包含する。ステロイド類は胆汁酸及びステロール誘導体、例えばコレート、ウルソデオキシコレート、ケノデオキシコレート、タウロケノデオキシコレート、タウロウルソデオキシコレート、グリコケノデオキシコレート、グリコウルソデオキシコレート、ステロール類及びステロールエステル又はエーテル類、例えばPEG−24コレステロールエーテル(Solulan(登録商標)C−24)を包含する。トコール誘導体はトコール構造[2−メチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)クロマン−6−オール]又はトコトリエノール構造[2−メチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデカ−3,7,11−トリエニル)クロマン−6−オール]による物質の誘導体を包含する。特に、モノ、ジ、トリメチル−トコール、即ち一般的にはトコフェロールとして知られているもの及びその有機酸のエステル、例えば酢酸エステル、ニコチン酸エステル、コハク酸エステル及びポリエチレングリコールスクシネートエステルが包含される。例えば、α−トコフェロールアセテート、α−トコフェロールニコチネート、α−トコフェロールスクシネート、α−トコフェロールポリエチレングリコール(200〜8000MW)スクシネート、α−トコフェロールポリエチレングリコール400スクシネート、α−トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート(ビタミンE−TPGS、Eastman Chemical Co.)が混合ラセミ体dl−型及び純粋なd−及びl−エナンチオマーとして包含される。コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイド類及びトコール誘導体のリポソーム中の濃度は例えば約5%モル〜約60%モルの範囲であることができるが、より高値又は低値の濃度も使用できる。
【0051】
種々の例示される実施形態において、カチオン性リポソームは飽和及び不飽和の脂質、例えばスフィンゴシン、セラミド、セレブロシド、洗剤、界面活性剤、石鹸及びこれらの組合せを包含できる。脂質は合成脂質化合物、例えばD−エリスロ(C−18)誘導体、例えばスフィンゴシン、セラミド誘導体及びスフィンガニン;グリコシル化(C−18)スフィンゴシン及びL−スレオ(C−18)誘導体を包含し、これら全てが市販されている(Avanti Polar Lipids,Alabaster,AL)。洗剤は例えば限定しないが、α−トコフェロールポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)、PS−80、コール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシンのナトリウム塩、ラウリルジメチルアミンオキシド、臭化セチルトリメチルアンモニウム及びビス(2−エチルヘキシル)スルホスクシネートのナトリウム塩を包含する。
【0052】
広範な種類の適当な脂質が市販されている(例えば、Avanti Polar Lipids,Alabaster,AL;Boehringer−Mannheim;Promega;Life Technologies(Gibco))。適当な脂質の非限定的な例は1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスフェート(1ナトリウム塩)、(1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスフェート(1ナトリウム塩)及び1,2−ジオレオイル−3−トリメチルアンモニウムプロパン(塩化物の塩)を包含する。市販の脂質はキット、例えばLIPOFECTIN(登録商標)、LIPOFECTAMINE(登録商標)、LIPOFECTACE(登録商標)、CELLFECTIN(登録商標)、TRANSFECTAM(登録商標)、TRX−50(登録商標)、DC−CHOL(登録商標)及びDOSPER(登録商標)(Lasic、遺伝子送達におけるリポソーム、CRC Press,New Yorkp.86)などのキット中において入手できる。
【0053】
一部の実施形態においては、カチオン性リポソームは特定の細胞、又は細胞の特定の部分、例えば細胞質、核及び/又は他の細胞内小器官に特定の外因性物質を送達するためのターゲティング系として使用できる。例えば細胞表面又は細胞未満のコンパートメントに結合する約1000MW未満の有機化合物及び/又は蛋白又はペプチドを本明細書に記載するリポソーム内に含有させることにより送達を限局させてよい。一部の実施形態においては、カチオン性リポソームは特定の細胞表面受容体又は核受容体に対するリガンド又はリガンド様成分を含んでよい。一部の実施形態においては、抗体、ホルモン、炭水化物、成長因子、神経伝達物質又はそのフラグメントのようなリガンド又は核局在化シグナルをカチオン性リポソームに含有させることにより送達を限局させてよい。追加的選択性は、リポソームに特定の分子、例えば所望の受容体又は特定の分子の結合部位にリポソームを「ターゲティング」する機能を有する抗体、レクチン、ペプチド/蛋白、炭水化物、糖蛋白等を取り込むことにより達成できる。
【0054】
一部の実施形態においては、融合蛋白をカチオン性リポソームに取り込むことにより融合誘発性(fusigenic)のリポソームを形成できる。融合誘発性リポソームは細胞膜と効率的に融合し、種々の蛋白をリポソームとカップリングすることにより製造できる。例えば融合誘発性リポソームはウィルス、例えばパラミクソウィルス(例えばレスピロウィルス(例えばセンダイウィルス、日本血液凝集ウィルス(HVJ))(Dzau et al.1996 Proc.Natl.Acad.Sci.USA93:11421−11425)由来の蛋白1つ以上を含むことができる。
【0055】
本明細書に開示するカチオン性リポソーム及び他の型のリポソームは種々の方法を用いて製造でき、そして、種々の大きさを有することができ、そして、1つ以上の層を有することができる(例えばLasic,Liposomes in Gene Delivery,CRC Press,New York pp.67−112(1997),Ann.Rev.Biophys.Bioeng,9:467−508(1980);欧州特許出願0172007;米国特許4,229,360;4,241,046;4,235,871;5,455,157;6,284,538;6,458,381;及び6,534,018)。多くの製造方法は、例えば水和のための脂質を製造するような工程、その後の攪拌による水和(例えば押し出し、超音波処理、及び/又はホモゲナイズ)及びリポソームの均質な分布を得るためのサイジングを含むが、何れの適当な製造方法も使用してよい。リポソームの特性はその組成(カチオン性、アニオン性、中性の脂質の物質種)により変動することができるが、組成に関わらず全てのリポソームに対して同じ製造方法を使用できる。一部の実施形態においては、大型多層小胞(LMV)、単層小胞、小型(SUV)、大型(LUV)又は巨大(GUV)小胞のような種々の大きさ及び形状のリポソームを製造できる。一部の実施形態においては、適当な製造は不均質な粒径分布を有することができる。或いは、適当な製造は実質的に均一又は狭小な粒径分布を含むことができる。例えば、約50nm〜約250nmの範囲の直径を有するリポソームを製造できるが、他の大きさも可能である。基質又は他の薬剤をリポソームにカプセル化する一部の実施形態においては、負荷のために逆相法及び超音波処理のような従来の方法を用いることができる(例えばLasic(1997)p.93及び米国特許4,888,288記載)。負荷の後、リポソームは場合により透析又はモレキュラーシーブ処理に付すことができる(例えばQセファロース分離による)。一部の実施形態においては、本明細書に記載する通り、基質はリポソーム製造中にカプセル化してもよい。一部の実施形態においては、基質は溶液中の遊離状態とは逆に少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%リポソーム内の形態において提供される。安定性を増強するために、リポソーム調製品は例えば暗所、アルゴン下、そして低温、例えば4℃において保存してよい。
【0056】
種々の細胞型と共に使用するために本明細書に開示するカチオン性リポソーム及び他の型のリポソームを製造するための成分の選択において、1つ以上の試験を実施することにより細胞がリポソームと接触した後に生存性であることを確認することができる。生存性に関する何れかの従来の試験を使用できる。例えば色素排除法を用いることができる。トリパンブルーは通常は原形質膜を実質的に通過せず、従って生細胞からは実質的に排除される青色染色剤である。損傷を有する原形質膜を有する細胞のみが青色色素を取り込む。染色及び未染色の細胞を標準的な光学顕微鏡を用いて血球計中で係数することができ、そしてパーセント生存性を計算できる。別の例においては、ヨウ化プロピジウム(PI)を同様の態様に置いて使用できる。PIは損傷を受けた膜を実質的に貫通し、DNA−RNAと相互作用して赤色蛍光を発生する付加物を生成する。フルオレセインジアセテート(FDA)は非極性、非蛍光のフルオレセイン類縁体であり、これは細胞内に進入すると、ジアセテート基を除去する細胞内エステラーゼの基質として作用し、これによりフルオレセインが生じる。フルオレセインは未損傷の膜を有する細胞内で蓄積し、このため、緑色蛍光は細胞の生存性又は代謝的に活性な細胞のマーカーとなる(Breeuwer et al.,1995,Appl.Environ.Microbiol.61:1614−1619;Widholm,1972,Stain Technol.47:189194)。細胞は酵素試験の前、最中又は後のような如何なる時点において生存性を試験することができ、そして生存性の何れかの変化を測定できる。一部の実施形態においてはリポソーム組成物と接触した後の細胞の生存性は、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満又は約1%未満低下することができる。
【0057】
一部の実施形態においては、標準的な増殖試験を使用することにより本明細書に開示するカチオン性リポソーム及び他の型のリポソームの細胞毒性を調べてよい。例示される試験は生細胞のみを検出するテトラゾリウム塩系比色試験である。生存している、代謝活性の細胞は実質的にテトラゾリウム塩を還元して着色したホルマザン化合物をもたらすが、死細胞はもたらさない。この試験は選択されたリポソーム製剤を細胞に投与した後にマイクロプレート中で実施できる。試料vs対照の比色測定上の変化はスペクトル分析器で容易に測定できる。細胞毒性の因子は細胞集団によるテトラゾリウム塩の分解の速度を低減する。
【0058】
一部の実施形態においては、細胞の生存性は細胞の形態の観察(例えば標準的な光学顕微鏡を使用)により確認できる。例えば健常なHeLa細胞は多角形であり、それらが入っている容器の表面に付着するのに対し、損傷を受けた細胞は収縮して丸くなり、脱落して培地中に浮遊する傾向にある。選択されたセットの条件下において多角形の外観を有して接着している細胞の数を毒性の別の尺度として用いることができる。細胞を更に、例えば本明細書に記載した染色方法1つ以上を用いることによるなどして分析することができる。
【0059】
本明細書に記載したカチオン性リポソームは細胞に送達することができる広範な種類の化合物又は薬剤をカプセル化、及び/又は、複合体化することができる。一部の実施形態においては、カチオン性リポソームは2つ以上の薬剤をカプセル化、及び/又は、複合体化することができる。一部の実施形態においては、カチオン性リポソームは1つより多い薬剤をカプセル化、及び/又は、複合体化することができる。薬剤の非限定的な例は治療薬、診断薬、標的蛋白をサイレンシングすることができる薬剤、及び、検出可能なシグナルを生成することができる酵素基質を包含する。
【0060】
カチオン性リポソームを用いて送達してよい治療薬は、例えば、以下の治療活性を有する天然及び合成の薬剤、即ち、抗関節炎剤、抗不整脈剤、抗細菌剤、抗コリン作用剤、抗凝固剤、抗利尿剤、解毒剤、抗癲癇剤、抗カビ剤、抗炎症剤、代謝拮抗剤、抗偏頭痛剤、抗新生物剤、抗寄生虫剤、解熱剤、抗発作剤、抗血清剤、抗痙攣剤、鎮痛剤、麻酔剤、β−ブロッカー、生物学的応答モディファイアー、骨代謝調節剤、心臓血管剤、利尿剤、酵素剤、生殖能力増強剤、成長促進剤、止血剤、ホルモン剤、ホルモン抑制剤、高カルシウム血症緩解剤、低カルシウム血症緩解剤、低血糖症緩解剤、高血糖症緩解剤、免疫抑制剤、免疫増強剤、筋弛緩剤、神経伝達剤、副交感神経作用剤、交感神経作用性血漿増量剤、血漿増量剤、向精神剤、血栓溶解剤及び血管拡張剤を包含する。
【0061】
種々の例示される実施形態において、治療薬は細胞毒性剤、アントラサイクリン抗生物質、例えばドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン及びイダルビシン及びこれらの類縁体、例えばエピルビジン及びミトキサントロン;白金化合物、例えばシスプラチン、カルボプラチン、オルマプラチン、オキサリプラチン、ゼニプラチン、エンロプラチン、ロバプラチン、スピロプラチン、((−)−(R)−2−アミノメチルピロリジン(1,1−シクロブタンジカルボキシラト)−白金)(SP−4−3(R)−1,1−シクロブタン−ジカルボキシラト(2−)−(2−メチル−1,4−ブタンジアミン−N,N’)白金)ナダプラチン(ビスアセタト−アミン−ジクロロシクロヘキシルアミン−白金(IV)、ビンカアルカロイド、例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンロイロシン、ビンロジシン、ビノレルビン(ナベルビン)及びビンデシン及びカムプトテシン及びその類縁体、例えばSN−38((+)−(4S)−4,11−ジエチル−4,9−ジヒドロキシ−1H−ピラノ[3’,4’;6,7]−インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14−(4H、12H)−ジオン);9−アミノカンプトテシン;9−ニトロカンプトテシン、トポテカン(ハイカムチン9−ジメチル−アミノメチル−10−ヒドロキシカンプトテシン);イリノテカン(CPT−11;7−エチル−10−[4−(1−ピペリジノ)−1−ピペリジノ]カルボニルオキシカンプトテシン)、7−エチルカンプトテシン及びその7−クロロメチル−10,11−メチレン−ジオキシ−カンプトテシン;及び他のものを包含する。
【0062】
種々の例示される実施形態において、治療薬はアンジオテンシン変換酵素阻害剤、例えばアレカプリル、カプトプリル、1−[4−カルボキシ−2−メチル−2R,4R−ペンタノイル]−2,3−ジヒドロ−2S−インドール−2−カルボン酸、エナラプリル酸、リシノプリル、N−シクロペンチル−N−[3−[(2,2−ジメチル−1−オキソプロピル)チオ]−2−メチル−1−オキソプロピル]グリシン、ピボプリル、キナプリラット、(2R,4R)−2−ヒドロキシフェニル)−3−(3−メルカプトプロピオニル)−4−チアゾリジンカルボン酸、(S)ベンズアミド−4−オキソ−6−フェニルヘキセノイル−2−カルボキシピロリジン及びチオプロニン;セファロスポリン抗生物質、例えばセファクロル、セファドロキシル、セファマンドール、セファトリジン、セファゼドン、セファズフロル、セファゾリン、セフブペラゾン、セフィキシム、セフメノキシム、セフメタゾール、セフォジジム、セフォニシド、セフォペラゾン、セフォラニド、セフォタキシム、セフォテファン、セフォチアム、セフォキシチン、セフピミゾールイ、セフピロム、セフポドキシム、セフロキサジン、セフスロジン、セフピラミド、セフタジジム、セフテゾール、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフロキシム、セファセトリル、セファレキシン、セファログリシン、セファロリジン、セファロスポリン、セファノン、セフラジン及びラタモキセフ;ペニシリン類、例えばアモキシシリン、アンピシリン、アパルシリン、アジドシリン、アズロシリン、ベンジルペンシリン、カルベニシリン、カルフェシリン、カリンダシリン、クロキサシリン、シクラシリン、ジクロキサシリン、エピシリン、フルクロキサシリン、ヘタシリン、メチシリン、メズロシリン、ナフシリン、オキサシリン、フェネチシリン、ピペラジリン、スルベニシリン、テモシリン及びチカルシリン;トロンビン阻害剤、例えばアルガトロバン、メラガトラン及びナプサガトラン;インフルエンザノイラミニダーゼ阻害剤、例えばザナミビル及びBCX−1812;非ステロイド抗炎症剤、例えばアカメタシン、アルクロフェナック、アルミノプロフェン、アスピリン(アセチルサリチル酸)、4−ビフェニル酢酸、ブクロキシン酸、カルプロフェン、シンコフェン、シンメタシン、クロメタシン、クロニキシン、ジクレノファク、ジフルニサル、エトドラック、フェンブフェン、フェンクロフェナック、フェンクロシン酸、フェノプロフェン、フェロブフェン、フルフェナミン酸、フルフェニサール、フルルビプロフィン、フルプロフェン、フルチアジン、イブフェナク、イブプロフェン、インドメタシン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラック、ロナゾラック、ロキソプロフェン、メクロフェナミン酸、メフェナミン酸、2−(8−メチル−10,11−ジヒドロ−11−オキソジベンズ[b,f]オキセピン−2−イル)プロピオン酸、ナプロキセン、ニフルミン酸、O−(カルバモイルフェノキシ)酢酸、オキソプロジン、ピルプロフェン、プロドール酸、サリチル酸、サリチルサリチル酸、ズリンダック、スプロフェン、チアプロフェン酸、トルフェナミン酸、トルメチン及びゾペミラック;プロスタグランジン類、例えばシプロステン、16−デオキシ−16−ヒドロキシ−16−ビニルプロスタグランジンE、6,16−ジメチルプロスタグランジンE、エポプロストステノール、メテネプロスト、ニレプロスト、プロスタサイクリン、プロスタグランジンE、E、E又はE2α及びトロンボキサンA;及びキノロン抗生物質、例えばアクロソキサシン、シノキサシン、シプロフロキサシン、エノキサシン、フルメキン、ナラジキシン酸、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オキソリン酸、ペフロキサシン、ピペミジン酸およびピロミジン酸;他の抗生物質、例えばアズトレナム、イミペネム、メロペネム及び関連するカルボペネム抗生物質、アセブタロール、アルブテロール、アルプレノロール、アテノロール、ブノロール、ブプロピオン、ブトパミン、ブトキサミン、カルブテロール、カルテロロール、コルテロール、デテレノール、デキシプロパノロール、ジアセトロール、ドブタミン、エキサプロロール、エキシプレノロール、フェノテロール、フェニリポール、ラボトロール、レボブノロール、メトロール、メタプロテレノール、メトプロロール、ナドロール、パマトロール、ペンブタロール、ピンドロール、ピルブテロール、プラクトロール、プレナルテロール、ピリミドロール、ピリジジロール、プロカテロール、プロパノロール、キンテレノール、リメトロール、リトドリン、ソロトール、ソテレノール、スルフィニオロール、スルフィンテロール、スリクチジル、タザオロール、テルブタリン、チモロール、チプレノロール、チプリジル、トラモロール、チアベンダゾール、アルベンダゾール、アルブトイン、アレンドロネート、アリニジン、アリザプリド、アミロリド、アミノレックス、アプリノシド、カンベンダゾール、シメチジン、シサプリド、クロニジン、シクロベンザドール、デラビルジン、エフェガトリン、エチンチジン、フェンベンダゾール、フェンメタゾール、フルベンダゾール、フルウドレックス、ガバペンチン、イカドロネート、ロベンダゾール、メベンダゾール、メタゾリン、メトクロプラミド、メチルフェニデート、メキシレチン、ネリドロネート、ノコダゾール、オキシフェンダゾール、オキシベンダゾール、オキシメチジン、パミドロネート、パルベンダゾール、プラミペキソール、プラゾシン、プレガバリン、プロカインアミド、ラニチジン、テトラヒドロゾリン、チアメニジン、チナゾリン、チオチジン、トカイニド、トラゾリン、トラマゾリン、キシロメタゾリン、ジメトキシフェネチルアミン、N−[3(R)−[2−ピペリジン−4−イル)エチル]−2−ピペリドン−1−イル]アセチル−3(R)−メチル−β−アラニン、アドレノロン、アレタミン、アミデフリン、アンフェタミン、アスパルテーム、バメタン、ベタヒスチン、カルビドパ、クロルプレナリン、クロルテルミン、ドーパミン、L−ドパ、エピネフリン、エトリプタミン、フェンフルラミン、メチルドーパミン、ノルエピネフリン、トカイニド、エンビロキシム、ニフェジピン、ニモジピン、トリアムテレン、ピペデミン酸及び同様の化合物、1−エチル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−7−(1−ピペラジニル)−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸、1−シクロプロピル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−7−(ピペラジニル)−3−キノリンカルボン酸、アリルエステレノール、シンゲストール、デヒドロエピアンドロステロン、ジエノストロール、ジエチルスチルベストロール、ジメチステロン、エチネロン、エチノジオール、エストラジオール、エストロン、エチニルエストラジオール、エチステロン、リネストレノール、メストラノール、メチルテストステロン、ノルエチンドロン、ノルゲストレル、ノルビンステロン、オキソゲストン、キネストロール、テストステロン及びチゲストール;精神安定剤、例えばドフェキサゼパム、ヒドロキシジン、ロラゼパム及びオキサゼパム;神経弛緩剤、例えばアセトフェナジン、カルフェナジン、フルフェナジン、ペルフェニジン及びピペラエタジン;細胞増殖抑制剤、例えばアクラルビシン、シタラビン、デシタビン、ダウノルビシン、ジヒドロ−5−アザシチジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エストラムスチン、エトポシド、フルダラビン、ゲムシタビン、7−ヒドロキシクロロプロマジン、ネララビン、ネプラノシンA、ペントスタチン、ポドフィロトキシン、テザシタビン、トロキサシタビン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン;ホルモン及びホルモン拮抗剤、例えばブセリリン、ゴナドリベリン、イカチブラント及び酢酸ロイプロレリン;抗ヒスタミン剤、例えばテルフェナジン;鎮痛剤、例えばジフルニサル、ナプロキソール、パラセタモール、サリチルアミド及びサリチル酸;抗生物質、例えばアジドアンフェニコール、アジスロマイシン、カンプトテシン、セファマンドール、クロラムフェニコール、クラリスロマイシン、クラブラン酸、クリンダマイシン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、エリストマイシン、ゲンタマイシン、イミペネム、ラタモキセフ、メトロニダゾール、ネオマイシン、ノボビオシン、オレアンドマイシン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン、チアメニコール及びトブラマイシン;抗ウィルス剤、例えばアシクロビル、d4C、ddC、DMDC、Fd4C、FddC、FMAU、FTC、2’−フルオロ−アラ−ジデオキシイノシン、ガンシクロビル、ラミブジン、ペンシクロビル、SddC、スタブジン、5−トリフルオロメチル−2’−デオキシウリジン、ザルシタビン及びジドブジン;ビスホスホネート類、例えばEB−1053、エチドロネート、イバンドロネート、オルパドロネート、レシドロネート、YH−529及びゾレンドロネート;プロテアーゼ阻害剤、例えばシプロキレン、エナルキレン、リトナビル、サキナビル及びテルラキレン;プロスタグランジン類、例えばアルバプロスチル、カルボプロスト、ミソプロスチル及びプロスタシジン;抗欝剤、例えば8−ヒドロキシクロルイミプラミン及び2−ヒドロキシイミプラミン;抗緊張亢進剤、例えばソタロール及びフェノルドパム;抗コリン作用剤、例えばビペリジン、プロサイクリジン及びトリヘキシフェニダール;抗アレルギー剤、例えばクロモリン;糖質コルチコイド類、例えばベタメタゾン、ブデノシド、クロルプレドニソン、クロベタソール、クロベタゾン、コルチコステロン、コルチゾン、コルトデキソン、デキサメタゾン、フルコルトロン、フルドロコルチゾン、フルメタゾン、フルニソリド、フルプレドニゾロン、フルダンドレノリド、フルランデレノロンアセトニド、ヒドロコルチゾン、メプレドニソン、メチルプレスニゾロン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾール、トリアムシノロン及びトリアムシノロンアセトニド;麻薬アゴニスト及び拮抗剤、例えばアポモルヒネ、ブプレノルフィン、ブトファノール、コデイン、シクラゾシン、ヒドロモルホン、ケトベミドン、レバロルファン、レボルファノール、メタゾシン、モルヒネ、ナルブフィン、ナルメファン、ナロキソン、ナロルフィン、ナルトレキソン、オキシコドン、オキシモルホン及びペンタゾシン;刺激剤、例えばアスマジンドール及びシュードエフェドリン;麻酔薬、例えばヒドロキシジオン及びプロポフォール;β−受容体ブロッカー、例えばアセブトロール、アルブテロール、アルプレノロール、アテノロール、ベタゾロール、ブシンドロール、カルテロロール、セリプロロール、セタモロール、ラベタロール、レボブネロール、メトプロロール、メチプラノロール、ナドロール、オキシプレノロール、ピンドロール、プロパノロール及びチモロール;α−交感神経様作用剤、例えばアドレナリン、メタラミノール、ミドドリン、ノルフェネフリン、オクタパミン、オキセドリン、オキシロフリン、オキシメタゾリン及びフェニレフリン;β−交感神経様作用剤、例えばバメタン、クレンブテロール、フェノテロール、ヘキソプレナリン、イソプレナリン、イソクスプリン、オルシプレナリン、レプロテロール、サルブタモール及びテルブタリン;気管支拡張剤、例えばカルブテロール、ジフィリン、エトフィリン、フェノテロール、ピルブテロール、リミテロール及びテルブタリン;強心剤、例えばジギトキシン、ドブタミン、エチレフリン及びプレナルテロール;抗真菌剤、例えばアンホテリシンB,クロルフェネシン、ニスタチン及びペリミシン;抗凝固剤、例えばアセノクマロール、ジクマロール、フェンプロクモン及びワーファリン;血管拡張剤、例えばバメタン、ジピリマドール、ジプロフィリン、イソクスプリン、ビンカミン及びニコチン酸キサンチノール;抗低コレステロール血症剤、例えばコンパクチン、エプタスタチン、メビノリン及びシンバスタチン;及びその他の薬剤、例えばブロムペリドール(抗精神病剤)、ジスラノール(乾癬)、エルゴタミン(偏頭
痛)、イベルメシン(抗駆虫剤)、メトロニダゾール及びセクニザドール(抗原虫剤)、ナンドロロン(同化作用剤)、プロパフェノン及びキナジン(抗不整脈剤)、ケチアピン(CNS)、セロトニン(神経伝達物質)及びシリビン(肝障害)を包含する。
【0063】
一部の実施形態においては、薬剤は、本明細書に記載した種々のDNA及びRNA系の核酸及びそれらのフラグメント及び類縁体から選択される核酸であることができる。種々の状態の治療のための種々の遺伝子が記載されており、目的の特定の遺伝子に対するコーディング配列をGenBank又はEMBLのようなDNA配列データバンクから入手することができる。例えば、APC、DOC4、NF−1、NF−2、MTS1、RB、p53、WT1、BRCA1、BRCA2及びVHLのような腫瘍抑制遺伝子の投与によるウィルス性、悪性及び炎症性の疾患及び状態、例えば嚢胞性線維症、アデノシンデアミナーゼ欠損症、AIDS及び癌の治療のためのポリヌクレオチドが記載されている。
【0064】
一部の実施形態においては、薬剤は、本明細書に記載する通り、天然又は合成の核酸、又はその誘導体、一本鎖又は2本鎖のもの、例えばゲノムDNA、cDNA、プラスミドDNA、DNAベクター、オリゴヌクレオチド又はヌクレオシド、又はRNA、例えば限定しないがセンス又はアンチセンスのRNA、mRNA、siRNA及びリボザイム、DNA/RNAハイブリッド、又はペプチド核酸(PNA)又はそれらの誘導体であることができる。当然ながら、このようなDNAオリゴヌクレオチドは遺伝子のコーディング領域、3’未翻訳領域又は転写制御配列に相補であってよい。一部の実施形態においては、DNAオリゴヌクレオチドはオリゴヌクレオチドの生体分解性を増大又は低減するために改変される。一部の実施形態においては、ヌクレオチド間のホスホジエステル連結は別の連結、例えばホスホロチオエート連結又はホスホロアミデート連結で置き換えられてよい。
【0065】
ポリヌクレオチドは、通常はメッセンジャーRNA(mRNA)又はRNA前駆体であるその標的に相補な配列よりなるアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えばDNA及び/又はRNA)であってよい。mRNAは機能的、又はセンスの方向において遺伝子情報を含有しており、そして、アンチセンスオリゴヌクレオチドの結合は意図するmRNAを不活性化し、そしてその蛋白への翻訳を防止する。このようなアンチセンス分子は、蛋白が特定のRNAから翻訳され、そしてRNAの配列が判明した後は、相補的Watson−Crick塩基対を介して自身に結合するアンチセンス分子を設計することができることを示す生化学的実験に基づいて決定される。このようなアンチセンス分子は典型的には10〜30塩基対(bp)を含む。一部の実施形態においては、薬剤はリボザイム又は触媒性RNAであることができる。
【0066】
一部の実施形態においては、薬剤は天然又は合成のペプチド又は蛋白、又はこれらの誘導体であることができる。ペプチド又は蛋白の誘導体は、例えば、非天然アミノ酸及び/又は個々のアミノ酸の間の非天然結合を含む環状ペプチド又はペプチド模倣体であることができる。一部の実施形態においては、薬剤は抗体又は抗体フラグメントであることができ、その例は当該分野で良く知られている。
【0067】
本明細書に記載するカチオン性リポソームはまた診断薬を送達するために使用できる。診断薬の非限定的な例は、酵素基質、抗体、色素、ルミネセント化合物及びオリゴヌクレオチドを包含する。
【0068】
種々の例示される実施形態において、薬剤は発色原、蛍光、りん光、ケミルミネセント又はバイオルミネセントのシグナルを生成することができる。ケミルミネセント化合物は限定しないがルミノール、イソルミノール、テロマチックアクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩及びオキサレートエステルを包含する。一部の実施形態においては、バイオルミネセントシグナルはルシフェリン、ルシフェラーゼ及びエクオリン(UniProtKB/Swiss−Protアクセッション番号P07164)の関与する生化学的反応により生成することができる。
【0069】
一部の実施形態においては、カチオン性リポソームは色素を包含する。一部の実施形態においては、親油性蛍光色素をリポソームの油相内に非共有結合的に包埋することによりリポソームの一体性を評価するか、又は、膜とのリポソームの融合を検出することができる。親油性色素の例は、限定しないが、6−ドデカノイル−2−ジメチルアミノナフタレン(LAURDAN)及び塩化6−ヘキサデカノイル−2(((2−(トリメチルアンモニウム)エチル)メチル)−アミノ)ナフタレン(PATMAN)(米国特許6,569,631)を包含する。一部の実施形態においては、膜非透過性蛍光色素をリポソーム内にカプセル化し、融合及び細胞内へのリポソーム内容物の送達を検出するためのトレーサーとして機能させてよい。このようなトレーサーの例は、ローダミン−デキストラン及び蛍光標識イヌリンである(米国特許6,423,547)。親油性の色素又はトレーサーは本明細書に記載する基質の検出を妨害しないスペクトル特性を有するように選択できる。
【0070】
一部の実施形態においては、薬剤は酵素基質であることができる。一部の実施形態においては、酵素基質は酵素により改変された場合に検出可能なシグナルを与える。種々の例示される実施形態において、検出可能なシグナルは発色原、蛍光、りん光、ケミルミネセント又はバイオルミネセントのシグナルであることができる。光シグナルの波長は例えば紫外線、可視光から赤外線までの範囲の何れかの検出可能な波長であることができる。光ルミネセンスは、物質が電磁気放射線を吸収した場合に発光するように誘導され得る過程である。蛍光及びりん光は光ルミネセンスの種類である。ケミルミネセンスは、化学反応の為に光の形態で物質からエネルギー放出される過程であり、(蛍光及びりん光の場合のように)励起の為に光源を必要としない。酵素基質は特定の酵素の特異性に基づいて設計し、合成してよい。或いは、基質は市販の、又は既知方法により製造できる化合物の広範な種類から選択してよい。一部の実施形態においては、基質は、少なくとも試験継続中は細胞が代謝的に活性であり続けられるように、細胞に適合したものであることができる。
【0071】
一部の実施形態においては、基質は脱離基及び指示薬基を有することができる。脱離基は酵素による除去(例えば加水分解を介した)を目的として選択してよい。一部の実施形態においては指示薬基は蛍光発生性及び/又はケミルミネセントの化合物から選択又は誘導してよい。適当な蛍光発生性の指示薬化合物の例はキサンテン化合物、例えばローダミン110、ロドール、フルオレセイン及びこれらの種々の置換された誘導体を包含する(米国特許5,871,946)。一部の実施形態においては、指示薬基は脱離基と結合した場合に第1の状態、そして指示薬基から脱離基が除去された場合に第2の状態を有する能力があるものを選択することができる。第1の状態は第2の状態と検出上は異なっていることが必要であるが、特定の程度の差が必要なわけではない。一部の実施形態においては、第1の状態においては指示薬はそれが第2の状態にある場合よりも低蛍光であることができる。一部の実施形態においては、指示薬は第1及び第2の状態の両方において蛍光性であることができるが、酵素活性を検出するために発光波長1つ以上がモニタリングできるように第2の状態の発光プロファイルとは異なる第1の状態の発光プロファイルを有する。一部の実施形態においては、指示薬基は可視光範囲の波長において、例えば約450〜500nmの波長において励起することができる。一部の実施形態においては、指示薬基は約480〜約620nm、約500〜約600nm又は約500〜約550nmの範囲において発光する。多くの細胞型の自己蛍光は約500nm未満において最も著明であり、そしてこの波長を超えて発光する指示薬を一部の実施形態において使用することによりこの潜在的妨害を最小限にしてよい。一部の実施形態においては、基質は第1の状態において近接することができるドナー及びアクセプター(即ち指示薬基)よりなる色素対を含むことができる。酵素反応の間、指示薬の蛍光が第2の状態において低下するようにドナーを脱離することができる。色素対は、第1の波長において光を吸収し、そして相応に励起エネルギーを発するドナー色素、及び、ドナー色素により発せられた励起エネルギーを吸収し、そして相応に第2の波長において蛍光を発することができるアクセプター色素を含むことができる。広範な種類の色素対を使用できる(米国特許5,800,996、5,863,727、5,945,526、6,130,073及び6,399,392)。一部の実施形態においてはドナー色素はキサンテンクラスの色素のメンバーであってよく、そしてアクセプター色素はキサンテン、シアニン、フタロシアニン又はクアラインクラスの色素のメンバーであってよい。一部の実施形態においては、アクセプターは約600nmより大きいか、又は、ドナー色素の吸収最大よりも少なくとも約100nm大きい発光を有する。種々の例示される実施形態において、色素対のメンバーはそれらが当該分野で知られた種々のタイプのエネルギー転移を起こすことができるように基質内に位置づけることができる。一部の実施形態においては、基質は第1の状態において近接することができるアクセプター及びクエンチャーよりなる色素対を含むことができる。酵素反応の結果としてクエンチャーがもはやアクセプターの蛍光を吸収できなくなることにより第2の状態においてアクセプターの蛍光が増大するようにできる。
【0072】
脱離基は本明細書に記載する種々の細胞内酵素の多くを試験するために使用できる。非限定的な例において、脱離基はアミノ酸、ペプチド、糖類、スルフェート、ホスフェート、エステル、ホスフェートエステル、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、核酸、ピリミジン、プリン、ヌクレオシド、脂質及びこれらの混合物から選択できる。一部の実施形態においては、1つより多い脱離基を指示薬基に結合するかその逆であることができる。例えばペプチド脱離基及び脂質脱離基を別個にシグナル生成化合物、例えばローダミン10に結合することができる。他の適当な脱離基は実験的に求めるか、又は当該分野より入手することができる(Mentlein et al.,1991,Eur.J.Clin.Chem.Clin.Biochem.29:477−480;Schon et al.,1987,Eur.J.Immunol.17:1821−1826;FerrerLopez et al.,1992,J.Lab.Clin.Med.119:231−239;及びRoyer et al.,1973,J.Biol.Chem.248:1807−1812)。
【0073】
一部の実施形態においては、指示薬基として1,2−ジオキセタンを含むルミネセント基質(米国特許6,660,529;6,586,196;6,514,717;6,355,441;6,287,767;及び再発行36,536に記載のもの等)を本明細書に記載する通り使用できる。これらの化合物の多くが商標GALACTO−LIGHT(登録商標)、GALACTO−LIGHT PLUS(登録商標)、GALACTO−STAR(登録商標)、GUS−LIGHT(登録商標)、PHOSPHA−LIGHT(登録商標)及びDUAL−LIGHT(登録商標)の下に市販されている(Tropix,Inc.,Bedford,MA)。他の適当な基質はアダマンチン−ジオキセタン類、例えば3−(2’−スピロアダマンタン)−4−メトキシ−(3”−ホスホリルオキシ)フェニル−1,2−ジオキセタン2ナトリウム塩(AMPPD)及び3−(4−メトキシスピロ[1,2−ジオキセタン−3,2’−トリシクロ[3.3.1.1,3,7]デカン]−4−イル)フェニル−β−d−ガラクトピラノシド(AMPGD)を包含し、これらはそれぞれ、アルカリホスファターゼ及びβ−ガラクトシダーゼの基質である(例えばVan Dyke et al.,Luminescence Biotechnology Instruments and Applications,Van Dyke et al.,eds.pages3−29,CRC Press,2002)。これらの化合物は商標GALACTON(登録商標)、GLUCON(登録商標)、GLUCURON(登録商標)及びCSPD(登録商標)の下に市販されている。
【0074】
一部の実施形態においては、酵素基質はβ−ガラクトシジル置換蛍光発生性化合物、β−ガラクトシジル置換フルオレセイン又はこれらの置換誘導体であることができる。他の例は、9H−(1,3−ジクロロ−9,9−ジメチルアクリジン−2−オン−7−イル)β−D−ガラクトピラノシド、フルオレセインジ−β−D−ガラクトシド、2−ニトロフェニルβ−D−ガラクトピラノシド、レゾルフィンβ−D−ガラクトピラノシド、6,8−ジフルオロ−4−メチルウンベリフェリルβ−D−ガラクトピラノシド、β−メチルウンベリフェリルβ−D−ガラクトピラノシド、3−カルボキシウンベリフェリルβ−D−ガラクトピラノシド、5−クロロメチルフルオレセインジ−β−D−ガラクトピラノシド及び5−(ペンタフルオロベンゾイルアミノ)フルオレセインジ−β−D−ガラクトピラノシドを包含する。
【0075】
一部の実施形態においては、基質は9H−(1,3−ジクロロ−9,9−ジメチルアクリジン−2−オン−7−イル)β−D−ガラクトピラノシドであることができる。一部の実施形態においては、基質はフルオレセインジ−β−D−ガラクトピラノシド(カタログ番号F−1179、Molecular Probes,Eugene,OR)であることができる。一部の実施形態においては、基質は5−ブロモ−4−クロロ−3−インドイル−β−ガラクトピラノシド(X−gal)であることができる。
【0076】
一部の実施形態においては基質はβ−ラクタマーゼ基質であることができる。このような基質の例は、蛍光ドナー部分及びアクセプターを有するもの(例えば蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)色素対)、例えば米国特許5,955,604及び6,031,094に記載のものを包含する。ドナーとクエンチャーの間の蛍光エネルギー転移はβ−ラクタマーゼ活性の指示薬としてモニタリングできる。自身の細胞膜透過性を増強する連結基(例えばアセチル、ブチリル及びアセトキシメチル)1つ以上を包含し、そして基質が細胞内に進入した後に内因性のエステラーゼにより連結基が加水分解されるβ−ラクタマーゼ基質が報告されている(Klokarnik et al.,1998,Science,279:84−88;Gao et al.,J.Am.Chem.Soc.,2003,125:11146−11147;及び国際公開WO96/30540)。一部の実施形態においては、本発明の方法はこのような基質を利用する。他の実施形態においては、このような基質であるがこれらの連結基を欠いているものを使用する。
【0077】
β−ラクタマーゼ多基質は、限定しないが、5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクタ−2−エン−2−カルボン酸、8−オキソ−3−[3−[(2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−7−イル)オキシ]−1−プロペニル]−7−[(フェニルアセチル)アミノ]−、(6R,7R)−(9CI,CA登録番号609812−88−6));5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクタ−2−エン−2−カルボン酸、8−オキソ−3−[3−[(2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−7−イル)オキシ]−1−プロペニル]−7−[(フェニルアセチル)アミノ]−、5−オキシド、(6R,7R)−(9CI)(CC2、(CA登録番号609812−89−7));5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクタ−2−エン−2−カルボン酸、8−オキソ−3−[(1Z)−3−[(3−オキソ−3H−フェノキサジン−7−イル)オキシ]−1−プロペニル]−7−[(2−チエニルアセチル)アミノ]−、5−オキシド、(6R,7R)−(9CI)(CA登録番号452280−30−7));5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクタ−2−エン−2−カルボン酸、7−[[[[(6−クロロ−7−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル)カルボニル]アミノ]アセチル]アミノ]−3−[[(3’,6’−ジヒドロキシ−3−オキソスピロ[イソベンゾフラン−1(3H)−、9’−[9H]キサンテン]−5−イル)チオ]メチル]−8−オキソ、(6R,7R)−(9CI)(CCF2、(CA登録番号1873736−52−9));5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクタ−2−エン−2−カルボン酸、8−オキソ−3−[3−[(3−オキソ−3H−フェノキサジン−7−イル)オキシ]−1−プロペニル]−7−[(2−チエニルアセチル)アミノ]−、(アセチルオキシ)メチルエステル、5−オキシド、(6R,7R)−(9CI)(CR2/AM、(CA登録番号452280−31−8));5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクタ−2−エン−2−カルボン酸、7−[[[[[(7−[(アセチルオキシ)メトキシ]−6−クロロ−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−イル)カルボニル]アミノ]アセチル]アミノ]−3−[[[(3’,6’−ビス(アセチルオキシ)−3−オキソスピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’−[9H]キサンテン]−5−イル]チオ]メチル]−8−オキソ、(アセチルオキシ)メチルエステル、(6R,7R)−(9CI)(CCF2/AM、(CA登録番号1837366−66−5))、及び/又はこれらの混合物を包含する。
【0078】
一部の実施形態においては、基質はルシフェラーゼ酵素の基質であることができる。例はバーグリンルシフェリン(カタログ番号NF−CV−HBR、Nanolight Technology,Pinetop,AZ)、セレンテラジン(カタログ番号NF−CTZ−FB、Nanolight Technology,Pinetop,AZ;及び、カタログ番号E2810及びパート番号TM055、Promega,Madison,WI)、ホタルルシフェリン(D−(−)−2−(6’−ヒドロキシ−2’−ベンゾチアゾリル)チアゾリン−4−カルボン酸(入手元Pierce Biotechnology,Molecular Probes及びNanolight)、コイルシフェリン(カタログ番号NF−CV−HBR, Nanolight Technology)、細菌ルシフェリン、焔色植物ルシフェリン及び/又はこれらの混合物を包含する。
【0079】
一部の実施形態においては基質は種々のチトクロームP450アイソザイムの基質であることができる。例はルシフェリン6’クロロエチルエーテル(ルシフェリン−CEE、カタログ番号V875 1,Promega,Madison,WI)、ルシフェリン6’メチルエーテル(ルシフェリン−ME、カタログ番号V8771,Promega,Madaison,WI)、6’−デオキシルシフェリン(ルシフェリンH、カタログ番号V8791,Promega,Madison,WI)、ルシフェリン6’ベンジルエーテル(ルシフェリン−BE、カタログ番号V8801,Promega,Madison,WI)及び/又はこれらの混合物を包含する。
【0080】
種々の例示される実施形態において、基質はβ−グルクロニダーゼ、カルボキシルエステラーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、スルファターゼ、ウレアーゼ、ペプチダーゼ、スルファターゼ、チオエステラーゼ及びプロテアーゼの基質であることができる。一部の実施形態においては、酵素は加水分解酵素である。加水分解酵素の非限定的な例は、アルカリ及び酸ホスファターゼ、エステラーゼ、デカルボキシラーゼ、ホスホリパーゼD、P−キシロシダーゼ、β−フコシダーゼ、チオグルコシダーゼ、α−ガラクトシダーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼ、β−グルクロニダーゼ、α−マンノシダーゼ、β−マンノシダーゼ、β−フルクトフラノシダーゼ、β−グルコシドウロナーゼ及びトリプシンを包含する。酵素の他の例は、ヒドロラーゼ、オキシドレダクターゼ、サッカリダーゼ、β−グルコシダーゼ、β−ラクタマーゼ、β−グルクロニダーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−ヘキソースアミニダーゼ、コレステロールエステラーゼ、ヌクレアーゼ、アリールスルファターゼ、ホスホリパーゼ、カスパーゼ1、カスパーゼ2、カスパーゼ3、カスパーゼ4、カスパーゼ5、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、カスパーゼ10、カスパーゼ11、カスパーゼ12、カスパーゼ13、カスパーゼ14、ルシフェラーゼ及びホスファターゼを包含する。酵素の特定の例は大腸菌β−グルコシダーゼ、大腸菌TME−1β−ラクタマーゼ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ウリカーゼ、ヒト胎盤アルカリホスファターゼの分泌型(SEAP)、ジヒドロフォレートレダクターゼ(DHFR)、蛋白キナーゼA(PKA)、蛋白キナーゼ(PKC)アイソザイム(例えばPKCα、PKCβ及びPKCγ)、脂肪酸シンターゼ、システインプロテアーゼ及びホスホリパーゼA2を包含する。
【0081】
種々の例示される実施形態において、基質はホスホリラーゼキナーゼ(Phk)サイクリン依存性キナーゼ−2(cdk2)、ERK及び細胞外調節キナーゼ−2(ERK−2)、Ca2+/カルモジュリン依存性蛋白キナーゼI(CAMKI)、Ca2+/カルモジュリン依存性蛋白キナーゼII(CAMKII)、ラウス肉腫ウィルス形質転換剤の細胞内型(c−SRC)、Fujinami肉腫ウィルスの形質転換剤(v−FPs)、C−末端Srcキナーゼ(Csk)、インスリン受容体キナーゼ(InRK)、EGF受容体、Srcキナーゼ(SRC)、RAC−ベータセリン/スレオニン蛋白キナーゼ(Akt)、細胞外シグナル調節キナーゼ−1(MAPキナーゼ1)(Erk1)、MAPキナーゼ活性化蛋白キナーゼ2(MAPKAP)、MEK、JNK、Ras、セリン/スレオニン蛋白キナーゼNek2、チロシンキナーゼAb1、プロトオンコジーンチロシン蛋白キナーゼYES及びLCK、チロシン蛋白キナーゼLYN及びBTK、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GK3)、カゼインキナーゼI及びカゼインキナーゼIIの基質であることができる。
酵素のための酵素基質の非限定的な例は、以下のもの、即ち、エストロゲンスルホトランスフェラーゼ(SULT 1E);基質3,4−ベンゾクマリン−7−O−スルフェートのような基質を用いて試験されるエストロンスルファターゼ(E.C.3.1.6.2.)(Bilban,et al.,2000、Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters 10:967−969);N−ダンシル−GCVLSのような基質を用いて検出できるファルネシル:蛋白トランスフェラーゼ(Pompliano,et al.,1992、J.Am.Chem.Soc.114:7945−7946);Nap−CMP−NANAのようなグリコシルドナー又はLacNAc−Danのようなグリコシルアクセプターを利用できるシアリルトランスフェラーゼ(E.C.2.4.99.1)(Washiya,et al.,2000、Analytical Biochemistry 283:39−48);MALのような基質を用いて検出できるヒストンデアセチラーゼ(Sigmaカタログ番号H9660);Z−IETD−R110のような基質を用いてモニタリングできるカスパーゼ8(Molecular Probesカタログ番号A−22125);及びエトキシレゾルフィンのような基質を酸化する選択されたチトクロームP450アイソザイム(Sigmaカタログ番号CYTO−1A)を包含する。その他の限定しない酵素の例は、蛋白キナーゼ、エストロゲンスルホトランスフェラーゼ、炭水化物スルホトランスフェラーゼ、チロシル蛋白スルホトランスフェラーゼ、ファルネシルトランスフェラーゼ、COX−1、2、ジヒドロフォレートレダクターゼ、アロマターゼ,アルコールデヒドロゲナーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、シアリルトランスフェラーゼ、アデニリルサイクラーゼ、イノシトールホスホセラミド(IPC)シンターゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ラノステロール14α−デメチラーゼ、2型脂肪酸シンターゼ、チミジレートシンターゼ、ゲラニルゲラニルトランスフェラーゼ、メチオニンシンターゼ、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ、HMG−CoAレダクターゼ、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ、ヒストンデアセチラーゼ、環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ,ホスホイノシチド3キナーゼ、17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ,トポイソメラーゼ、テロメラーゼ、スクアレンシンターゼ、パルマトイルトランスフェラーゼ、ミリストイルトランスフェラーゼを包含する。
【0082】
一部の実施形態においては酵素のホスホリル化活性をモニタリングできる。例えば、環状AMP(cAMP)依存性蛋白キナーゼA(PKA)基質−蛋白のコンセンサスアミノ酸配列(RRXSL)を含有する蛍光標識オリゴペプチド(DACM−CLRRASLK−フルオレセイン)(Ohuchi et al.,2000,Analyst 125:1905−1907; Ohuchi et al.,2001,Analytical Sci.(supp.)17:il465−il467)を本発明の方法において基質として使用してよい。基質中のセリン残基のホスホリル化は蛍光強度の変化をもたらす。他の適当な基質は蛍光標識PKC基質のライブラリのメンバー1つ以上(Yeh et al.,J.Biol.Chem. 277:11527−11532)及びキナーゼセンシングモチーフを含有するPKC及びPKAに対する蛍光ペプチド基質(Shults et al.,2003,J.Am.Chem.Soc.125:14248−14249)を包含する。適当なペプチド基質の非限定的な例はShults et al.,2003,J.Am.Chem.Soc.125:14248−14249に記載されているものを包含する。
【0083】
一部の実施形態においては、診断薬は少なくとも実質的に細胞膜透過性ではないか、又は、侵襲性の送達方法、例えば低張性ショック、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション等を必要とする。一部の実施形態においては、診断薬はフルオレセインジガラクトシド(Molecular Probesカタログ番号F1179);DDAOホスフェート(Molecular Probesカタログ番号D−6487);Fluo−3 (Molecular Probesカタログ番号F−1240);Alexa Fluor488ファロイジン(Molecular Probesカタログ番号A12379);デキストラン又は Alexa Fluor488(Molecular Probesカタログ番号D−22910)であることができる。薬剤Fluo−3(F−1240)はこれを細胞膜透過性とする生体分解性のAM保護基(Molecular Probesカタログ番号:Fluo−3,AM,F−1241)を用いて製造することができるが、AMは細胞内で酵素的に分解されるものである。本明細書に記載するカチオン性リポソームは化学的誘導体化を行うことなくFluo−3の送達を可能にする。
【0084】
一部の実施形態においては、化合物又は薬剤は標的蛋白の発現又は活性に影響するか、これを変更(例えば増大又は低減)することができる。従って、種々の例示される実施形態において、薬剤は蛋白の転写、翻訳、翻訳後改変、及び/又は、活性を変更するかこれに影響することができる。種々の例示される実施形態において、化合物は標的蛋白をサイレンシングすることができる。
【0085】
種々の例示される実施形態において、化合物/薬剤は標的蛋白をサイレンシングすることができる。「標的蛋白をサイレンシングする」とは、本明細書においては、転写、翻訳、翻訳後改変のレベルにおける標的蛋白、及び/又は、蛋白自体の抑制を指す。一部の実施形態においては、化合物は標的蛋白をコードするDNAの転写を抑制することができる。一部の実施形態においては、化合物は標的蛋白をコードするmRNAの翻訳を抑制することができる。一部の実施形態においては、化合物はmRNAプロセシングを抑制することができる。一部の実施形態においては、化合物は標的蛋白の翻訳後プロセシングを抑制することができる。一部の実施形態においては、化合物は1つ以上の標的蛋白の活性又は機能又は代謝を抑制することができる。「見かけの活性」とは本明細書においては、種々の方法、例えば、限定しないが、本明細書に記載の通り、蛋白の転写、翻訳又は翻訳後プロセシングを変更することにより細胞内環境にある場合のような標的蛋白の濃度を変更すること又はこれに影響することの結果として測定されることができる標的蛋白の活性を指す。
【0086】
種々の例示される実施形態において、化合物はオリゴヌクレオチドを含む。例えばオリゴヌクレオチドは、生成する標的蛋白の量を究極的にモジュレートする標的蛋白をコードする核酸分子の機能をモジュレートすることができる。これは標的蛋白をコードする核酸1つ以上に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを提供することにより達成できる。本明細書においては、「標的核酸」及び「標的蛋白をコードする核酸」という用語は標的蛋白をコードするDNA、そのようなDNAから転写されたRNA(前mRNA及びmRNAを含む)及びそのようなRNAから誘導されたcDNAを包含する。オリゴマー化合物のその標的核酸との特異的なハイブリダイゼーションは核酸の正常な機能を妨害する。標的核酸の機能をそれに特異的にハイブリダイズする化合物によりモジュレートすることは、一般的に、「アンチセンス」と称される。即ち、一部の実施形態においては、オリゴヌクレオチドはアンチセンス化合物であることができる。
【0087】
抑制することができるDNAの機能は複製及び転写を包含する。妨害されるRNAの機能は全ての生存機能、例えば蛋白翻訳部位へのRNAの転座、RNAからの蛋白の翻訳、RNAのスプライシングによるmRNA種1つ以上の生成、及び、RNAが担うか促進する場合のある触媒活性を包含できる。標的核酸機能のこのような妨害の全体的作用は標的蛋白の発現を低減する場合がある。
【0088】
オリゴヌクレオチド化合物の組成はサイレンシングすべき標的蛋白の選択により異なる。その過程は通常は目的の標的蛋白を選択すること、及び、機能をモジュレートすべきその核酸配列の同定から始まる。これは例えば発現が特定の障害又は疾患状態に関連している細胞遺伝子(又は遺伝子から転写されるmRNA)又は感染性物質に由来する核酸分子であってよい。ターゲティングの過程はまた所望の作用、例えば蛋白の発現の検出又はモジュレーションが生じるようにアンチセンス相互作用が起こるためのその遺伝子内の部位の決定を包含する。種々の例示される実施形態において、遺伝子内部位はオープンリーディングフレーム(ORF)の翻訳開始又は終止コドン及び遺伝子のORFを包含する領域を含む。当該分野で知られる通り、翻訳開始コドンは典型的には5’−AUG(転写されたmRNA分子において;相当するDNA分子の場合は5’−ATG)であるため、翻訳開始コドンは又「AUGコドン」、「開始コドン」又は「AUG開始コドン」とも称される。遺伝子の少数はRNA配列5’−GUG、5’−UUG又は5’−CUGを有する翻訳開始コドンを有し、そして、5’−AUA、5’−ACG及び5’−CUGはインビボで機能することがわかっている。即ち、「翻訳開始コドン」及び「開始コドン」という用語は多くのコドン配列を包含できるが、各場合の開始アミノ酸は典型的にはメチオニン(真核生物の場合)又はホルミルメチオニン(原核生物の場合)である。真核生物及び原核生物の遺伝子は2つ以上の代替の開始コドンを有する場合があることが当該分野で知られており、その何れの1つも特定の細胞型又は組織において、又は、特定のセットの条件の下で、翻訳開始の為に優先的に利用してよい。本明細書の開示に関する場合、「開始コドン」及び「翻訳開始コドン」とは、そのようなコドンの配列に関わらず、標的蛋白をコードする遺伝子から転写されたmRNA分子の翻訳を開始するためにインビボで使用されるコドンを指す。
【0089】
更に又、遺伝子の翻訳終止コドン(又は「終止コドン」)は3つの配列、即ち5’−UAA、5’−UAG及び5’−UGA(相当するDNA配列はそれぞれ5’−TAA、5’−TAG及び5’−TGAである)の1つを有することが当該分野で知られている。「開始コドン領域」及び「翻訳開始コドン領域」という用語は翻訳開始コドンから何れかの方向(即ち5’又は3’)に約25〜約50連続ヌクレオチドを含むそのようなmRNA又は遺伝子の部分を指す。同様に、「終止コドン領域」及び「翻訳終止コドン領域」という用語は翻訳終止コドンから何れかの方向(即ち5’又は3’)に約25〜約50連続ヌクレオチドを含むそのようなmRNA又は遺伝子の部分を指す。
【0090】
翻訳開始コドンと翻訳終止コドンの間の領域を指すものとして当該分野で知られているオープンリーディングフレーム(ORF)又は「コーディング領域」はまた、有効にターゲティングされる領域である。他の標的領域は、翻訳開始コドンから5’の方向のmRNAの部分を指すものとして当該分野で知られており、従ってmRNAの5’キャップ部位と翻訳開始コドンの間のヌクレオチド又は遺伝子上の相当するヌクレオチドを含む5’未翻訳領域(5’UTR)、及び、翻訳終止コドンから3’の方向のmRNAの部分を指すものとして当該分野で知られており、従ってmRNAの翻訳終止コドンと3’末端との間のヌクレオチド又は遺伝子上の相当するヌクレオチドを含む3’未翻訳領域(3’UTR)を包含する。mRNAの5’キャップは5’−5’トリホスフェート連結を介してmRNAの最も5’側の残基に連結したN7−メチル化グアノシン残基を含む。mRNAの5’キャップ領域は5’キャップ構造自身並びにキャップに隣接する最初の50ヌクレオチドを包含すると考えられる。5’キャップ領域は又好ましい標的領域であってよい。
【0091】
一部の真核生物mRNA転写物は直接翻訳されるが、多くは翻訳される前に転写物から切り出される「イントロン」として知られている領域1つ以上を含有する。残存する(そして従って翻訳される)領域は「エクソン」として知られており、そして共にスプライシングされて連続mRNA配列を形成する。mRNAスプライシング部位、即ちイントロン−エクソン接合部も又標的領域としてよく、そして、異常なスプライシングが疾患に関与するとされる、又は、特定のmRNAスプライシング産物の過剰生産が疾患に関与するとされる状況において、有用である。再構成又は欠失による異常な融合接合物をターゲティングすることができる。更に又、イントロンは、例えばDNA又は前mRNAにターゲティングされるアンチセンス化合物のための効果的な標的領域となりえることもわかっている。
【0092】
標的部位1つ以上が同定された後、標的に対して十分相補的な、即ち、十分良好に、そして十分な特異性でハイブリダイズして所望の作用をもたらすオリゴヌクレオチドを選択できる。
【0093】
本明細書の開示に関する場合、「ハイブリダイゼーション」とは、相補ヌクレオシド又はヌクレオチド塩基の間の、Watson−Crick、Hoogsteen又は逆Hoogsteen水素結合であってよい、水素結合を意味する。例えば、アデニン及びチミンは相補核酸塩基であり、水素結合の形成を介して対形成する。「相補」とは本明細書においては、2ヌクレオチド間の厳密な対形成のための能力を指す。例えば、オリゴヌクレオチドの特定の位置のヌクレオチドがDNA又はRNA分子の同じ位置のヌクレオチドと水素結合することができる場合、オリゴヌクレオチド及びDNA又はRNAはその位置において相互に相補であるとみなされる。オリゴヌクレオチド及びDNA又はRNAは各分子の相当する位置の十分な数量が相互に水素結合できるヌクレオチドにより占有されている場合に相互に相補となる。即ち、「特異的にハイブリダイズできる」及び「相補である」とはオリゴヌクレオチドとDNA又はRNA標的との間に安定で特異的な結合が生じるような十分な程度の相補性又は厳密な対形成を指すために使用する用語である。当該分野で知られる通り、アンチセンス化合物の配列は、特異的にハイブリダイズできるべきその標的核酸のものと100%相補である必要はない。アンチセンス化合物は、標的DNA又はRNA分子への化合物の結合が標的DNA又はRNAの正常な機能を妨害して有用性を消失させ、そして、特異的結合が望まれる条件下において非標的配列へのアンチセンス化合物の非特異的結合を回避するために十分な程度の相補性が有る場合に、特異的にハイブリダイズできるものとされる。
【0094】
本明細書の開示に関する場合、「オリゴヌクレオチド」という用語はデオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)のオリゴマー又は重合体、オリゴヌクレオチド類縁体、及びオリゴヌクレオチド模倣体を指す。オリゴヌクレオチドは天然に存在する核酸塩基、糖及び共有結合ヌクレオシド間(骨格)連結物並びに同様に機能する天然に存在しない部分を包含する。このような改変又は置換されたオリゴヌクレオチドは、望ましい特性、例えば増強された細胞取り込み、核酸標的に対する増強された親和性、及び、ヌクレアーゼの存在下の増大した安定性のため、ネイティブの形態よりも好ましい場合が多い。
【0095】
一部の実施形態においては、オリゴヌクレオチドは約8〜約30核酸塩基を含むことができる。一部の実施形態においては約8〜約30核酸塩基を含むオリゴヌクレオチド(即ち約8〜約30連結ヌクレオシド)となる。一部の実施形態においては、オリゴヌクレオチドは標的蛋白の発現を抑制する化合物の配列の少なくとも8核酸塩基部分を含む。当該分野で知られる通り、ヌクレオシドは塩基−糖の組合せである。ヌクレオシドの塩基部分は通常は複素環塩基である。このような複素環塩基の2つの最も一般的なクラスはプリン及びピリミジンである。ヌクレオチドはヌクレオシドの糖部分に共有結合したホスフェート基を更に含むヌクレオシドである。ペントフラノシル糖を包含するこれらのヌクレオシドに関しては、ホスフェート基は糖の2’、3’又は5’ヒドロキシ部分の何れかに連結できる。オリゴヌクレオチドを形成する場合に、ホスフェート基は隣接するヌクレオシドを共有結合的に連結させ直鎖重合体化合物を形成する。次にこの直鎖重合体構造のそれぞれの末端が更に連結して環状構造を形成するが、一部の実施形態においては開環型の直鎖構造を使用できる。オリゴヌクレオチド構造内において、ホスフェート基は一般的にオリゴヌクレオチドのヌクレオシド間骨格を形成するものとみなされる。RNA及びDNAの通常の連結又は骨格は3’から5’へのホスホジエステル連結である。
【0096】
一部の実施形態においては、オリゴヌクレオチドは改変された骨格又は天然に存在しないヌクレオシド間連結を含む。本明細書において定義する通り、改変された骨格を有するオリゴヌクレオチドは骨格内にリン原子を保持しているもの、及び、骨格内にリン原子を有さないものを包含する。本明細書の目的のため、及び、場合により当該分野で参考にされる通り、そのヌクレオシド間骨格にリン原子を有さない改変されたオリゴヌクレオチドもまたオリゴヌクレオシドとみなすことができる。
【0097】
一部の実施形態においては、アンチセンス化合物は改変されたオリゴヌクレオチド骨格、例えばホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチル及び他のアルキルホスホネート、例えば3’−アルキレンホスホネート及びキラルホスホネート、ホスフィネート、ホスホロアミデート、例えば3’−アミノホスホロアミデート及びアミノアルキルホスホロアミデート、チオノホスホロアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、及び、通常の3’−5’連結を有するボラノホスフェート、これらの2’−5’連結類縁体、及び、ヌクレオシド単位の隣接する対が3’−5’から5’−3’、又は2’−5’から5’−2’に連結している反転した極性を有するものを含む。種々の塩、混合塩及び遊離の酸の形態も包含される。
【0098】
一部の実施形態においては、オリゴヌクレオチドはリン原子を包含しない改変されたオリゴヌクレオチド骨格を含むが、短鎖アルキル又はシクロアルキルヌクレオシド間連結、混合ヘテロ原子及びアルキル又はシクロアルキルヌクレオシド間連結、又は、1つ以上の短鎖ヘテロ原子又は複素環ヌクレオシド間連結により形成された骨格を有する。これらはモルホリノ連結を有するもの(ヌクレオシドの糖部分から一部が形成される);シロキサン骨格;スルフィド、スルホキシド及びスルホン骨格;ホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格;メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格;アルケン含有骨格;スルファメート骨格;メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ骨格;スルホネート及びスルホンアミド骨格;アミド骨格;及び混合N、O、S及びCH要素部分を有する他のものを包含する。
【0099】
種々の例示される実施形態において、化合物はオリゴヌクレオチド模倣体であることができる。一部の実施形態においては、オリゴヌクレオチド模倣体は、ヌクレオチド単位の糖及びヌクレオシド間連結、即ち骨格の両方が新しい基で置き換えられることができる。塩基単位は適切な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションの為に維持される。一部の実施形態においては、オリゴヌクレオチド模倣体はペプチド核酸(PNA)であることができる。PNAにおいては、オリゴヌクレオチドの糖骨格はアミノエチルグリシン骨格のようなアミド含有骨格で置き換えられる。PNAとDNAとは、後者の負荷電のリボース−ホスフェート骨格はその天然のペプチド対応部分、例えばグリシンで置き換えられている点において異なっている。核酸塩基は保持され骨格のアミド部分のアザ窒素原子に直接又は間接的に結合している。PNA化合物の製造を教示している代表的な米国特許は、限定しないが例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許5,539,082;5,714,331;及び5,719,262を包含する。
【0100】
種々の実施形態において、化合物は標的蛋白の翻訳後改変を抑制することにより標的蛋白をサイレンシングすることができる。例えば、一部の実施形態においては、化合物は標的蛋白のホスホリル化及び/又は脱ホスホリル化を抑制することができる。一部の実施形態においては、化合物は標的蛋白のグリコシル化を抑制することができる。一部の実施形態においては、化合物は標的蛋白のプレニル化を抑制することができる。一部の実施形態においては、化合物は標的蛋白のミリストイル化を抑制することができる。一部の実施形態においては、化合物は標的蛋白の3次構造折畳に影響することができる。
【0101】
種々の実施形態において、化合物はCa2+、アデノシントリホスフェート(ATP)、グアノシントリホスフェート(GTP)、ジアシルグリセロール(DAG)、イノシトール1,4,5−トリスホスフェート(IP)、蛋白:蛋白相互作用により、又は、シグナル伝達カスケードを介して、標的蛋白の見かけの活性を制御できる。例えば、標的蛋白は蛋白:蛋白相互作用により活性化又は脱活性化できる。蛋白相手が脱活性化しつつあり、そして化合物が蛋白相手を支援する場合は、標的蛋白の見かけの活性は増大することになる。逆に、蛋白相手が活性化しつつあり、そして化合物が蛋白相手を支援する場合は、標的蛋白の見かけの活性は低下することになる。
【0102】
標的蛋白が酵素であるような一部の実施形態においては、化合物は標的蛋白の活性を制御することができる。一部の実施形態においては、化合物は酵素阻害剤のようなモジュレーターにより標的蛋白を直接阻害することにより標的蛋白をサイレンシングすることができる。
【0103】
上記した通り、標的蛋白は目的の何れかの蛋白であることができる。一部の実施形態においては、標的蛋白は酵素であることができる。標的蛋白の非限定的な例は、ATPase、アダプター分子、アデニレートサイクラーゼ、接着分子、アルカリホスファターゼ、アミノペプチダーゼ、アンカー蛋白、B細胞抗原受容体、CD抗原、カルシウム結合蛋白、細胞周期制御蛋白、細胞結合蛋白、細胞表面受容体、シャペロン、シャペロニン、ケモカイン、凝固因子、補体蛋白、補体受容体、システインプロテアーゼ、サイトカイン、サイトカイン受容体、細胞骨格関連蛋白、細胞骨格蛋白、DNA結合蛋白、DNAリガーゼ、DNAメチルトランスフェラーゼ、DNAポリメラーゼ、DNA修復蛋白、デフェンシン、デオキシリボヌクレアーゼ、二重特異性キナーゼ、二重特異性ホスファターゼ、酸ホスファターゼ、アシルトランスフェラーゼ、アデノシルトランスフェラーゼ、アルドラーゼ、アミジノトランスフェラーゼ、アミノメチルトランスフェラーゼ、アミノトランスフェラーゼ、アミラーゼ、カルバモイルトランスフェラーゼ、カルボニックアンヒドラーゼ、カルボキシラーゼ、カタラーゼ、CoAトランスフェラーゼ、シクロトランスフェラーゼ、デアセチラーゼ、デアミナーゼ、デカルボキシラーゼ、デヒドラターゼ、デヒロドゲナーゼ、デホスホリラーゼ、エピメラーゼ、エステラーゼ、フコシルトランスフェラーゼ、ガラクトシダーゼ、ガラクトシルトランスフェラーゼ、グルコサミニルトランスフェラーゼ、グルコシダーゼ、グルクロニダーゼ、グルタミルトランスフェラーゼ、グルタチオントランスフェラーゼ、グリコシダーゼ、グリコシラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、グアニルサイクラーゼ、ヒドラターゼ、ヒドロラーゼ、ヒドロキシラーゼ、イソメラーゼ、リガーゼ、リパーゼ、リアーゼ、マンノシルトランスフェラーゼ、メチラミントランスフェラーゼ、メチルトランスフェラーゼ、ムターゼ、NADase、ヌクレオチジルトランスフェラーゼ、オキシダーゼ、オキシドレダクターゼ、オキシゲナーゼ、パルミトイルトランスフェラーゼ、パーオキシダーゼ、ホスホジエステラーゼ、ホスホヒドロラーゼ、ホスホリパーゼ、ホスホリボシルトランスフェラーゼ、ホスホリラーゼ、ホスホトランスフェラーゼ、プレニルトランスフェラーゼ、ラセマーゼ、レダクターゼ、リボシルトランスフェラーゼ、シアリルトランスフェラーゼ、糖ホスホトランスフェラーゼ、スルファターゼ、スルホヒドロラーゼ、スルホトランスフェラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、サバイビン、合成酵素、トポイソメラーゼ、トランスアルドラーゼ、トランスアミナーゼ、トランスフェラーゼ、トランスケトラーゼ、トランスロカーゼ、細胞外リガンドゲートチャンネル、細胞外マトリックス蛋白、G蛋白、G蛋白カップリング受容体、GTPase、GTPase活性化蛋白、成長因子、グアニンヌクレオチド交換因子、グアニレートサイクラーゼ、熱ショック蛋白、免疫グロブリン、組み込み膜蛋白、細胞間チャンネル、細胞内リガンドゲートチャンネル、内向整流チャンネル、イオンチャンネル、脂質キナーゼ、脂質ホスファターゼ、MHC複合体蛋白、膜結合リガンド、膜輸送蛋白、メタロプロテアーゼ、運動蛋白、ノイラミニダーゼ、核受容体、ペプチドホルモン、プロテアーゼ阻害剤、プロテアーゼ、RNA結合蛋白、RNAメチルトランスフェラーゼ、RNAポリメラーゼ、受容体セリン/スレオニンキナーゼ、受容体チロシンキナーゼ、受容体チロシンホスファターゼ、逆転写酵素、リボヌクレアーゼ、リボヌクレオ蛋白、リボソームサブユニット、分泌ポリペプチド、セリンプロテアーゼ、セリン/スレオニンキナーゼ、セリン/スレオニンホスファターゼ、保存蛋白、構造蛋白、T細胞抗原受容体、転写因子、転写調節蛋白、翻訳調節蛋白、輸送/カーゴ蛋白、チロシンキナーゼ、チロシンホスファターゼ、ユビキノンプロテアソーム系蛋白、電圧ゲートチャンネル蛋白及び水チャンネル蛋白を包含する。
【0104】
一部の実施形態においては、標的蛋白をサイレンシングすることができる化合物を含む本明細書に記載したカチオン性リポソームのようなリポソームは更に、検出可能なシグナルを生成することができる酵素基質を含む。広範な種類の酵素基質を使用してよく、その例は限定しないが、本明細書に記載する酵素により改変された場合に検出可能なシグナルを生成することができる酵素基質を包含する。一部の実施形態においては、酵素基質はリードアウト蛋白により改変された場合に検出可能なシグナルを生成することができる。一部の実施形態においては、リードアウト蛋白は標的蛋白であることができる。例えば、図3は標的蛋白TPにより改変された場合に検出可能なシグナルP1を生成することができる酵素基質ES1を示す。一部の実施形態においては、リードアウト蛋白は標的蛋白の「下流」、例えばシグナル伝達カスケードにあることができる。例えば、図3はリードアウト蛋白である蛋白Cにより改変された場合に検出可能なシグナルP2を生成することができる酵素基質ES2、及び、リードアウト蛋白である蛋白Dにより改変された場合に検出可能なシグナルP3を生成することができる酵素基質ES3を示している。
【0105】
リードアウト蛋白の活性は標的蛋白に正又は負のカップリングを起こすことができる。一部の実施形態においては、リードアウト蛋白は蛋白:蛋白相互作用を介して標的蛋白にカップリングできる。一部の実施形態においては、リードアウト蛋白はシグナル伝達カスケードを介して標的蛋白にカップリングできる。
【0106】
酵素基質は特定の酵素の特異性に基づいて設計し、合成することができる。或いは、酵素基質は、市販されているか既知の手法により製造できる広範な種類の基質から選択できる。一部の実施形態においては、酵素基質は少なくとも試験継続中は細胞が代謝的に活性であり続けられるように、細胞に適合したものであることができる。
【0107】
5.3方法
本発明の開示はまたカチオン性リポソームを用いて細胞に化合物又は薬剤1つ以上を送達する方法に関する。細胞は本明細書に記載するもののような化合物又は薬剤をカプセル化又は複合体化するカチオン性リポソームに接触させることができる。一部の実施形態においては、リポソームは少なくとも2種以上の化合物を含有できる。一部の実施形態においては、リポソームは(i)標的蛋白をサイレンシングできる化合物、及び、(ii)酵素基質を含むことができる。図1Aは標的蛋白をサイレンシングできる化合物C及び酵素基質Sを含むリポソームの例示される実施形態を示す。図1Bは細胞内に化合物C及び酵素基質Sを送達するリポソームの例示される実施形態を示す。一部の実施形態においては、リポソームは2種以上の酵素基質を含有することができ、ここで基質は2種の識別可能な蛍光シグナルのような識別可能なシグナルを生成することができる(米国特許5,863,727)。一部の実施形態においては、生細胞中の標的蛋白を検出又は分析するため、及び、標的蛋白が要素である酵素的経路及び/又はシグナル伝達経路1つ以上を調べるための方法が提供される。
【0108】
本明細書に記載するリポソームと共に使用してよい細胞の型は真核生物(例えば動物、植物、コウボ、カビ)及び細菌の細胞を包含する。使用できる生細胞は生存生物から単離された新鮮細胞、インビトロで成育又は培養されている細胞、又は凍結又は凍結乾燥調製品から再生された細胞を包含する。細胞壁を有する細胞は細胞壁を除去するために適切な措置を施した後に使用できる(Constabel,1982,“Plant Tissue Culture Methods”pp.38−48,NRCC No.19876,Nat.Res.Council of Canada, Saskatoon)。本明細書に記載したリポソームと共に使用してよい細胞の別の例は、1次又は樹立された細胞系統及び他の型の胚性、新生仔又は成熟動物の細胞、又は形質転換された細胞(例えば自発的又はウィルスによる形質転換)である。これらは限定しないが、線維芽細胞、マクロファージ、筋芽細胞、破骨細胞、破骨細胞、造血細胞、ニューロン、神経膠細胞、1次B及びT細胞、B及びT細胞系統、軟骨細胞、ケラチノサイト、脂肪細胞及び肝細胞を包含する。
【0109】
本明細書に記載するリポソームと共に使用してよい細胞系統は、限定しないが、細胞寄託先、例えばAmerican Type Culture Collection(www.atcc.org)、World Data Center on Microorganisms(wdcm.nig.acjp)、European Collection of Animal Cell Culture(www.ecacc.org)及びJapanese Cancer Research Resources Bank (cellbank.nihs.gojp)より入手可能なものを包含する。これらの細胞系統は、限定しないが、Jurkat、293、293Tet−Off、CHO、CHO−AA8 Tet−Off、MCF7、MCF7 Tet−Off、LNCap、T−5、BSC−1、BHK−21、Phinx−A、3T3、HeLa、psi Bagα、PC3、DU145、ZR 75−1、HS 578−T、DBT、Bos、CV1、L−2、RK13、HTTA、HepG2、BHK−Jurkat、Daudi、RAMOS、KG−1、K562、U937、HSB−2、HL−60、MDAHB231、C2C12、HTB−26、HTB−129、HPIC5、CRL−1573、3T3L1、Cama−1、J774A.1、HeLa 229、PT−67、Cos7、OST7、HeLa−S、THP−1、Jurkat、GHK−21、CHO−K1、COS7、COS、HepG2、PC12、293、A431、A459、1B、L929及びNXA細胞系統を包含する。本明細書に記載したリポソームと共に使用するための別の細胞系統は、例えばClonetics Corporation(Walkersville,Md.)のような細胞系統供給元から入手できる。
【0110】
一部の実施形態においては、細胞懸濁液又は結合細胞を本明細書に記載した薬剤をカプセル化又は複合体化したカチオン性リポソームの懸濁液と混合する。混合物は薬剤が細胞に侵入するために十分な時間及び生理学的反応条件下に維持する。
【0111】
細胞系統及び実験条件と適合性の有る本質的に如何なる培地も本明細書に記載したリポソーム及び方法と共に使用してよい。例えば広範な細胞培養用培地はThe Handbook of Microbiological Media(Atlas and Parks,eds.)(1993,CRC Press,Boca Raton,Fla.)に記載されている。細菌及び動物細胞の培養に関わる手法を記載している参考文献はSambrook et al., Molecular Cloning−A Laboratory Manual(2nd Ed.),Vol.1−3(1989,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.);Current Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausubel et al.,eds.,Current Protocols,(a joint venture between Greene Publishing Associates,Inc.and John Wiley & Sons,Inc.,supplemented through 2000);Freshney,Culture of Animal Cells,a Manual of Basic Technique,third edition(1994,Wiley−Liss,New York)及びそこに引用されている参考文献;Humason,Animal Tissue Techniques,fourth edition(1979,W.H.Freeman and Company,New York);及びRicciardelli,et al.,1989,In Vitro Cell Dev.Biol.25:1016−1024を包含する。植物細胞培養に関する情報は、Payne et al.によるPlant Cell and Tissue Culture in Liquid Systems(1992,John Wiley & Sons,Inc.New York,N.Y.);Gamborg and Phillips(編)によるPlant Cell,Tissue and Organ Culture:Fundamental Methods(1995,Springer Lab Manual,Springer−Verlag,Berlin)に記載されており、そして又、市販の参考資料、例えばSigma−Aldrich,Inc(St Louis,Mo.)のLife Science Research Cell Culture Catalogue(1998)(Sigma−LSRCCC)及び同じくSigma−AldrichのPlant Culture Catalogue及び補遺(1997)(Sigma−PCCS)においても入手できる。適当な培地の特定の非限定的な例は従来の細胞培養用の培地を包含する。このような培地は広範に入手でき(例えばSigma−Aldrich)、そしてEarle平衡塩,Hanks平衡塩,Tyrode塩及びその他の塩混合物を包含する。
【0112】
血清を含有する培地は開示したリポソーム及び本明細書に開示した方法と共に使用できる。適当な血清の限定しない例(全て市販品、例えばSigma−Aldrich)は、ウシ胎児血清(FBS)、ウシ血清、仔ウシ血清、新生仔ウシ血清、ヤギ血清、ウマ血清、ヒト血清、ニワトリ血清、ブタ血清、ヒツジ血清、血清代替物、胚性液及びウサギ血清を包含する。一部の実施形態においては、約2%〜約10%(v/v)の範囲、約4%〜約7%の範囲、及び約5%の濃度においてFBSを含む培地を使用できる。
【0113】
適当な培地は細胞の生存性を支援し、維持する浸透圧、張力、pH値及びイオン濃度を有する水性培地を包含できる。例示される培地は、限定しないが、規定度の食塩水、リンゲル液及び市販の細胞培養用培地、例えば最小必須培地(MEM)、RPMI、Dulbecco及びEagleの培地を包含する。適当な培地の一例は約20℃〜37℃の範囲の温度の4%v/vウシ胎児血清、10mMHepes、pH7.2よりなる緩衝食塩水である。
【0114】
本明細書に記載した方法は種々の反応条件下に実施できる。反応条件は細胞に対する有害作用を低減又は最小限とし、細胞とのリポソームの相互作用又は光シグナルの検出を大きく妨害しないように選択できる。一部の実施形態においては、条件は細胞の生存培養を維持するために従来使用されるものと本質的に同様である。反応条件は温度、pH値、浸透圧、張力等の選択された数値を包含することができる。pHは約6.0〜約8.5であり、そして特定の例においては約6.5〜7.5である。浸透圧は約200ミリオスモル/L(mOsm)〜約500mOsmであり、一部の実施形態においては、約250mOsm〜約350mOsmである。張力は使用される細胞に対して等張に維持できる。酵素活性の検出の間の温度は細胞に適合した何れかの温度に維持してよい。一部の実施形態においては、温度は細胞の膜凍結温度又はその近傍に維持する。一部の実施形態においては、温度は細胞の膜凍結温度より高値とすることができる。種々の例示される実施形態において、温度は約4℃、約10℃、約15℃、約20℃、約30℃、約37℃、約40℃又は約42℃であることができる。一部の実施形態においては、温度は約10℃〜約50℃であることができ、一部の実施形態においては、約20℃〜約40℃である。
【0115】
1つの特徴において、標的蛋白の見かけの活性を検出する方法を開示する。一部の実施形態においては、方法は標的蛋白をサイレンシングできる化合物及びリードアウト蛋白により改変された場合に検出可能なシグナルを生成できる酵素基質に細胞を接触させることを含み、ここで、検出可能なシグナルの変化は標的蛋白の見かけの活性を示すものである。一部の実施形態においては、方法は、(i)標的蛋白をサイレンシングすることができる化合物、(ii)リードアウト蛋白により改変された場合に検出可能なシグナルを生成することができる酵素基質を含むリポソームに細胞を接触させることを含み、ここで、検出可能なシグナルの変化は標的蛋白の見かけの活性を示すものである。
【0116】
別の特徴において、標的蛋白の発現を抑制し、そして生細胞中の抑制を検出及び/又はモニタリングする方法を開示する。一部の実施形態においては、細胞は、標的蛋白をサイレンシングできる化合物及びリードアウト蛋白により改変された場合に検出可能なシグナルを生成できる酵素基質に接触させることができる。一部の実施形態においては、細胞は、標的蛋白をサイレンシングできる化合物及びリードアウト蛋白により改変された場合に検出可能なシグナルを生成できる酵素基質を含むリポソームに接触させることができる。検出可能なシグナルの変化は、細胞における標的蛋白の発現の抑制を示す。一部の実施形態においては、検出可能なシグナルの量を対照と比較することができる。対照は酵素基質に生細胞を接触させることにより生成する検出可能なシグナルの量である。
【0117】
別の特徴において、生細胞内の目的のシグナル伝達経路に関連する標的蛋白を同定する方法を開示する。一部の実施形態においては、方法は標的蛋白をサイレンシングできる化合物及びリードアウト蛋白により改変された場合に検出可能なシグナルを生成できる酵素基質に細胞を接触させることを含む。一部の実施形態においては、方法は、(i)標的蛋白をサイレンシングすることができる化合物、(ii)リードアウト蛋白により改変された場合に検出可能なシグナルを生成することができる酵素基質を含むリポソームに細胞を接触させることを含む。細胞はシグナル伝達経路のアゴニストと接触させることができる。検出可能なシグナルの変化は目的のシグナル伝達経路に標的蛋白が関連していることを示す。一部の実施形態においては、検出可能なシグナルは対照と比較することができる。対照は酵素基質に生細胞を接触させることにより生成する検出可能なシグナルの量である。
【0118】
広範な種類のシグナル伝達経路及び関連蛋白を検討することができる。シグナル伝達経路及び蛋白の非限定的な例は、蛋白キナーゼB(PKB)としても知られているAKTシグナリング、セリン/スレオニンキナーゼ、細胞増殖、アポトーシス、血管形成及び糖尿病に関与する幾つかのシグナル伝達経路における酵素;アルツハイマー病のシグナル伝達経路、例えば蛋白β−アミロイド、tau蛋白、セクレターゼ、プレセナリン、グリコーゲンシンターゼキナーゼ;脈管形成及び腫瘍血管形成シグナリング経路;アポトーシスシグナリング経路、例えばミトコンドリアアポトーシス及びカスパーゼ媒介アポトーシス;成長ホルモン、熱ショック、UV照射、浸透圧又はサイトカインに由来する有糸分裂促進物質活性化蛋白(MAP)キナーゼ媒介シグナル伝達;II型糖尿病に関連する後天性インスリン抵抗性におけるインスリン及びIGF−1活性化有糸分裂促進性MAPキナーゼ経路;ERK1/ERK2MAPキナーゼシグナリング経路;JNK/SAPK(c−Junキナーゼ/ストレス活性化蛋白キナーゼ)MAPキナーゼカスケード;p38カスケード;真核生物核因子kB(NF−kB)シグナル伝達経路;酸化窒素シグナリング経路;p53シグナリング;細胞増殖、分化及びアポトーシスに関連するシグナル伝達に関与する蛋白キナーゼC(PKC)のような蛋白キナーゼの活性化;細胞増殖、分化、代謝、遊走及び生存における蛋白チロシンキナーゼ(PTK)経路;G蛋白カップリング受容体経路、インスリン経路;VEGF経路;及びユビキチン−プロテオソーム分解経路、及びこれらの何れかの組合せを包含する。種々の経路のアゴニストが当該分野で知られている。
【0119】
一部の実施形態においては、標的蛋白の見かけの活性は生細胞において間接的に測定できる。例えば、標的蛋白はサバイビンであることができる。サバイビンはアポトーシス蛋白阻害剤(IAP)ファミリーのメンバーである。IAPは種々の細胞蛋白を分解することによりアポトーシスプログラムを実行する活性なカスパーゼ−3及び7を直接阻害すると報告されている。サバイビンはエフェクター細胞死プロテアーゼ(即ちカスパーゼ3及び7)に特異的に結合し、そしてアポトーシス刺激に曝露された細胞におけるカスパーゼ活性及び細胞死を抑制する。即ち、サバイビン発現の抑制は、サバイビンの発現の抑制により自身の活性が誘導されるカスパーゼ3により改変された場合に検出可能なシグナルを生成できるカスパーゼ3に対する酵素基質を用いて検出できる。
【0120】
一部の実施形態においては、標的蛋白の見かけの活性は生細胞において間接的に測定できる。一部の実施形態においては、酵素基質はシグナル伝達経路カスケードにおいて標的蛋白の下流の酵素活性により改変された場合に検出可能なシグナルを生成することができる。例えばG蛋白カップリング受容体の発現の抑制はPKCにより改変された場合に検出可能なシグナルを生成できるPKCに対する酵素基質を用いて検出できる。
【0121】
一部の実施形態においては、化合物及び酵素基質の細胞との接触の後に、細胞内の光の検出可能なシグナル(例えば蛍光又はケミルミネセントシグナル)を測定する。光シグナルの変化(例えば対照細胞と比較した場合の増大又は低減)は酵素活性及び標的蛋白の発現の抑制を示す。光シグナルは接触後の個別の時点1つ以上において検出してよく、或いは、光シグナルは時間の関数として実質的に連続して検出してよい。光シグナルの変化は単一の酵素の活性によるものであってよく、或いは、同じ観察可能な活性を有する数種の異なる酵素の累積的活性によるものであってよい。一部の場合において、特定の酵素を選択的に阻害することが望ましい場合がある。
【0122】
一部の実施形態においては、化合物及び酵素基質の細胞との接触の後に、細胞内の光の検出可能なシグナルを測定する。一部の実施形態においては、検出可能なシグナルが存在しないことは、標的蛋白の発現の抑制を示す。一部の実施形態においては、検出可能なシグナルの量の変化は標的蛋白の発現の抑制を測定するための対照細胞と比較することができる。対照は酵素基質は含むが標的蛋白サイレンシング化合物を除いたリポソーム組成物に細胞を接触させることにより発生させた検出可能なシグナルの量であることができる。
【0123】
本明細書に記載した方法において、化合物は標的蛋白の見かけの活性を変化させるために適する量で細胞内に転移させることができる。標的蛋白の見かけの活性の変化が検出される限り、いかなる特定の濃度の化合物も必要とされない。化合物の適当な濃度は実験的に決定することができ、そして試験中の蛋白を保有することがわかっている細胞をそのような濃度を選択するための根拠として使用できる。リポソームは化合物の種々の濃度を用いて製造することができ、及び/又は、種々の量のリポソームを使用できる。
【0124】
本明細書に記載した方法において、基質は光検出可能なシグナルを発生するために適する量で細胞内に転移することができる。シグナルが検出される限り、いかなる特定の濃度の基質も必要とされない。物質の適当な濃度は実験的に決定することができ、そして試験中の蛋白を保有することがわかっている細胞をそのような濃度を選択するための根拠として使用できる。リポソームは物質の種々の濃度を用いて製造することができ、及び/又は、種々の量のリポソームを使用できる。
【0125】
リポソーム調製物を細胞と接触させる場合、細胞中の化合物及び酵素基質の実際の濃度は未知であってよい。例えば、インキュベーションに添加したリポソームの全てが細胞と融合するわけではなく、そしてカプセル化された化合物の不完全な送達があってもよい。一部の実施形態においては、トレーサー、例えば蛍光化合物をリポソームに含有させることができる。トレーサーの水準は、細胞内へのリポソーム内容物の送達を確認するため、及び、細胞内部における化合物及び酵素基質の濃度を推定するための手段として使用できる。一部の実施形態においては、細胞内に保持されているトレーサーの水準は、未送達のトレーサーを除去するための洗浄工程の後に測定することができる。適当なトレーサーの例は蛍光標識されたインスリンである。一部の実施形態においては、化合物及び酵素基質の取り込みはトレーサーの取り込みと比例することが予測される。細胞の容量は従来の手法を用いて測定でき、そして、トレーサーの内部濃度は化合物の内部濃度に相応に推定して同一視することができる。検出を容易にするために、トレーサーは酵素基質又は基質の酵素との反応の結果として生じる基質産物のものと識別可能である標識を有することができる。
【0126】
酵素基質に対して作用する酵素により触媒される反応の速度は経時的なシグナルの変化の進行をモニタリングすることにより測定できる。シグナルは、形成された産物の量に比例する場合がある。反応速度は存在する酵素の量に比例する場合があり、これにより反応速度が存在する酵素の量の尺度となる。酵素反応の初期速度は基質濃度及び得られる種々の速度論敵パラメーターの関数として得ることができる。反応の進行をモニタリングして分析することができる(米国特許6,108,607及びDuggleby,1995,Methods Enzymol.249:60)。
【0127】
本明細書に記載する方法は広範な種類の細胞に関する検討の為に使用できる。開示した方法、組成物及びキットにおいて利用できる細胞の型は真核生物(例えば動物、植物、コウボ、カビ)及び細菌を包含する。使用できる生細胞は生存生物から単離された新鮮細胞、インビトロで成育又は培養されている細胞、又は凍結又は凍結乾燥調製品から再生された細胞を包含する。細胞壁を有する細胞は細胞壁を除去するために適切な措置を施した後に使用できる(Constabel,1982,“Plant Tissue Culture Methods”pp.38−48,NRCC No.19876,Nat.Res.Council of Canada, Saskatoon)。使用できる細胞の別の例は、1次又は樹立された細胞系統及び他の型の胚性、新生仔又は成熟動物の細胞、又は形質転換された細胞(例えば自発的又はウィルスによる形質転換)である。これらは限定しないが、線維芽細胞、マクロファージ、筋芽細胞、破骨細胞、破骨細胞、造血細胞、ニューロン、神経膠細胞、1次B及びT細胞、B及びT細胞系統、軟骨細胞、ケラチノサイト、脂肪細胞、肝細胞及び本明細書に記載した、又は、当該分野で知られた他の細胞を包含する。
【0128】
本明細書に記載した方法において、蛍光シグナルは従来の方法及び機器、例えば蛍光計、蛍光顕微鏡又は共焦点顕微鏡などを用いて検出できる。一部の実施形態においては、多波長蛍光検出器を利用できる。検出器は1波長において蛍光標識を励起させ、そして多波長において発光を検出するため、又は、多波長で励起させ1発光波長で検出するために使用することができる。或いは、試料は、光(例えばキセノンランプから)の全スペクトルが試料を照射する「ゼロ次」励起を用いて励起させてよい。各標識はその特徴的波長の光において吸収し、次に最大蛍光を発射することができる。多重発光シグナルは独立して検出できる。好ましくは適当な検出器は、商品名HP1100(G1321A)(Hewlett Packard,Wilmington,Del.)の下に市販されているもののような、実質的に同時に1つより多い励起発光波長を検出するようにプログラムすることができる。即ち、蛍光産物は反応中の種々の間隔においてプログラムされた発光波長において検出できる。
【0129】
本明細書に記載した方法において、細胞は、標的蛋白の発現を抑制するために十分な時間、及び、光の検出可能なシグナルを発生するために十分な酵素基質のターンオーバーが得られるように、十分な時間インキュベートする。シグナルは種々の方法で観察してよい。例えば、少量を採取し、蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)、フローサイトメトリー又は顕微鏡又は同様の静的装置における静的細胞蛍光測定の為に使用しておい。この態様において、集団が異質の態様に置いて機能している種々の細胞における種々の水準の蛍光に関して分布が得られる。蛍光細胞の総数は全細胞の一部のみが感染して粒子計数値をもたらす場合に測定される。或いは、又は組合せにおいて、総蛍光を種々の時点において積分することにより、全体的な値が得られ、そして細胞における全蛍光の変化率が求められる。対照を用いてバックグラウンド値を差し引くことにより、蛍光細胞の数の増分及び細胞集団の経時的な細胞当たりの蛍光を測定して目的のファクターに関連付けてよい。或いは、細胞をスライドガラス上に塗布し、蛍光顕微鏡と付随の蛍光計を使用することにより個々の細胞又は細胞群の蛍光の水準を測定してよい(例えば落射蛍光顕微鏡による)。試験における細胞について蛍光を測定する特定の方法は重要ではなく、使用可能な装置、試験の定性的又は定量的な性質等により変動する。細胞ソーティング装置に関する一般的説明は米国特許4,172,227;4,437,935;4,661,913;4,667,830;5,093,234;5,094,940;5,144,224;及び6,566,508に記載されている。
【0130】
本発明の酵素試験方法において有用な検出システムの例は8200Cellular Detection System(Applied Biosystems、Applera Corporation事業)である。このシステムは細胞内に含有される蛍光団を励起させるためにレーザースキャニングを利用する蛍光微容量試験技術(FMAT)に基づく巨視的共焦点のシステムである。システムはバックグラウンドの蛍光と細胞に会合しているものとの間を識別することができ、そして、多重通信及び自動高スループットの能力を含んでいる。
【0131】
ケミルミネセンスは種々の検出器の何れかを用いて検出できる。適当な検出器の非限定的な例は、ルミノメーター(例えばVeritas.TM.Microplate luminometer,Promega;TD−20/20 luminometer,Turner Design,Sunnyvale, Calif.;及びBD Moonlight.TM.3010 Luminometer,Becton−Dickinson Bioscience)、電荷結合デバイス(CCD)カメラ、X線フィルム又はシンチレーションカウンターを包含する。
【0132】
一部の実施形態においては、光シグナルは目視的検査、比色分析、光学顕微鏡、デジタル画像分析、標準的なマイクロプレートリーダー法、ビデオカメラ、写真フィルムにより検出できる。データはパターン認識ソフトウエアを用いることにより判別及び/又は分析できる。
【0133】
当業者の知る通り、本明細書に開示したカチオン性リポソームに加えて、本開示の方法は他の型のリポソームと共に実施することができる。化合物1つ以上、例えば、限定しないが、標的蛋白をサイレンシングできる化合物及び酵素基質をカプセル化し、そして、細胞内へのそれらの送達を容易にすることができる本質的に如何なる脂質複合体も本発明の方法、組成物及びキットにおいて使用できる。本質的に如何なるリポソームも、それが少なくとも試験継続中は接触する細胞に対して実質的に非毒性であり、そして試験条件下において細胞内に化合物、薬剤、サイレンシング化合物及び/又は酵素基質を導入することができる限り、方法において使用してよい。リポソームは親水性の基の選択に応じてアニオン性、カチオン性又は中性であってよい。例えば、ホスフェート又はスルフェート基を有する資質をリポソーム製造に用いる場合は、得られるリポソームはアニオン性となる。アミノ含有脂質を使用する場合は、リポソームは正荷電を有し、カチオン性となる。ポリエチレンオキシ又はグリコール基が脂質に存在する場合は、中性のリポソームが得られる。リポソームを形成するために適する別の化合物は、McCutchen’s Detergents and Emulsifiers and McCutchen’s functional materials”,Allured Publishing Company,Richwood, N.J., U.S.A.; Lasic, Liposomes in Gene Delivery,CRC Press,New York pp.67−112(1997),Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9:467−508 (1980);欧州特許出願0172007;米国特許4,229,360;4,241,046;4,235,871;4,888,288,5,455,157;6,284,538;6,458,381;及び6,534,018に記載されている。
【0134】
種々のリポソーム調製品は種々の脂質の1つ以上を含むことができ、その限定しない例は、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、スフィンゴミエリン、カルジオリピン、レシチン、ホスファチジルセリン、セファリン、セレブロシド、ジセチルホスフェート、ステロイド、テルペン、アセチルパルミテート、グリセロールリシノレート、ヘキサデシルステアレート、イソプロピルミリステート、両性重合体、ラウリル硫酸トリエタノールアミン及びカチオン性脂質、1−アルキル−2−アシル−ホスホグリセリド、及び、1−アルキル−1−エニル−2−アシル−ホスホグリセリドを包含する。一部の実施形態においては、カチオン性脂質はBanerjee et al.(J.Med.Chem.,2001,44:4176−4185)に記載のもののようなヘッド基領域に複数のヒドロキシ官能基を有する脂質を包含できる。一部の実施形態においては、塩化O,O’−ジテトラデカノイル−N−(α−トリメチルアンモニオアセチル)ジエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン及びコレステロール(例えばSerikawa,et al.Biochim.Biophys,Acta,2000,1467:419−430に記載の通りモル比4:3:3において)を含有するカチオン性リポソーム調製品を使用できる。
【0135】
リポソームの形成において有用な他の両親媒性物質はカチオン性脂質、例えばLasic(1997),pp.81−86に記載のものを包含する。一部の実施形態においては、本明細書に記載するリポソームの調製において1つ以上の以下のもの、即ち、ジオクタデシルジメチルアンモニウムブロミド/クロリド(DODAB/C)、ジオレオイルオキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロパン(DOTAP)、ステアリルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン及びジオクタデシルアンモニウムブロミドを使用してよい。一部の実施形態においては、本発明において使用するリポソームは20%未満、10%未満、5%未満、又は1%未満のモル%においてステアリルアミンを含有する。一部の実施形態においては、リポソームは本質的にステアリルアミンを含有しない。
【0136】
広範な種類の適当な脂質が市販されている(例えばAvanti Polar Lipids,Inc.Alabaster,Ala.より)。リポソームキットは市販されている(例えばBoehringer−Mannheim,ProMega,及びLife Technologies(Gibco)より)。適当な脂質の非限定的な例は1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスフェート(1ナトリウム塩)(DMPA.Na)(Avantiカタログ番号830845)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスフェート(1ナトリウム塩)(DOPS.Na)(Avantiカタログ番号830035)及び1,2−ジオレオイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン(クロリド塩)(DTOAP.Cl)(Avantiカタログ番号890890)を包含する。
【0137】
他の市販リポソームキットはLIPOFECTIN、LIPOFECTAMINE(登録商標)、 LIPOFECTACE(登録商標)、CELLFECTIN(登録商標)、TRANSFECTAM(登録商標)、TRX−50(登録商標)、DC−CHOL(登録商標)及びDOSPER(登録商標)(例えばLasic,p.86記載のもの)を包含する。
【0138】
リポソームは合成の脂質化合物、例えば又D−エリスロ(C1−18)誘導体、例えばスフィンゴシン、セラミド誘導体、及びスフィンガニン;グリコシル化(C18)スフィンゴシン及びリン脂質誘導体;D−エリスロ(C17)誘導体;D−エリスロ(C20)誘導体;及びL−スレオ(C18)誘導体を包含し、これらは全て市販されている(Avanti Polar Lipids)。
【0139】
リポソームは特定のホスホリパーゼによる溶解に抵抗性であるリン脂質の天然に存在しない類縁体を包含するか、それらから完全に形成することができる。このような類縁体の一部の実施形態においては、ホスフェート基はホスホネート又はホスフィネート基により置き換えられる(米国特許4,888,288に記載の通り)。更に又、リン脂質が通常エステル部分(脂肪酸のエステル)を含む場合は、エステル連結をエーテル連結と置き換えることができる。一部の実施形態においては、親油性の蛍光色素をリポソームの脂質相のないに非共有結合的に包埋することにより、リポソームの一体性を評価したり、又は、細胞の外膜とのリポソームの融合を検出したりすることができる。親油性色素の適当な例は本明細書に記載するとおりLAURDAN及びPATMANを包含する(米国特許6,569,631)。一部の実施形態においては、膜不透過性蛍光色素をリポソーム内に基質と共にカプセル化することができ、融合及び細胞内へのリポソーム内容物の送達を検出するためのトレーサーとして機能させることができる。このようなトレーサーの例はローダミン−デキストラン及び蛍光標識されたイヌリンである(米国特許6,423,547)。親油性色素又はトレーサーは本明細書に記載した基質の検出を妨害しないスペクトル特性を有するように選択できる。
【0140】
一部の実施形態においては、本明細書に記載した融合誘発性のリポソームを形成するために融合蛋白をリポソーム内に取り込むことができる。一部の実施形態においてはリポソームはコレステロールを含むことができる。コレステロールは嵩高のホスファチジルコリンヘッド基により形成される領域を占有することにより面積を殆ど変化させること無くホスファチジルコリン二層内に挿入されている。これにより二層の充填密度及び構造安定性が増大する(New,R.R.C.,1990 In New,R.R.C.(ed):Liposomes:a practical approach,Oxford University Press,New York,pp 19−21)。リポソーム内のコレステロールの濃度は例えば約5〜約60モル%の範囲であることができるが、より高濃度又は低濃度も使用できる。
【0141】
脂質混合物の組成はコスト、脂質の遷移温度、保存中の安定性及び反応条件下におけるリポソームの安定性を包含する種々の要因に基づいて選択できる。組成は分析する細胞とのリポソームの適合性に基づいて選択できる。
【0142】
一部の実施形態においては、リポソームを形成するための脂質はリン脂質関連物質、例えば、レシチン、リソレシチン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、セファリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド及びジセチルホスフェートである。追加的な非リン含有脂質は、例えばアセチルパルミテート、グリセロールリシノレート、ヘキサデシルステアレート、イソプロピルミリステート、両性アクリル重合体、アルキルアリールスルフェートポリエチルオキシ化脂肪酸アミド等を包含する。一部の実施形態においては、脂質はホスファチジルエタノールアミン、リソホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ステアリルアミン、ドデシルアイン、ヘキサデシルアミン、トリエタノールアミン−ラウリルスルフェートの1つ以上を含むことができる。
【0143】
別の型のリポソーム組成物は天然から誘導されたホスファチジルコリン以外のリン脂質を包含する。例えば中性のリポソーム組成物はジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)又はジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)から形成できる。アニオン性リポソーム組成物は一般的にジミリストイルホスファチジルグリセロールから形成されるが、アニオン性融合誘発性リポソームはジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)から主に形成される。別の型のリポソーム組成物はホスファチジルコリン(PC)、例えば大豆PC及び卵PCから形成される。別の型はリン脂質及び/又はホスファチジルコリン及び/又はコレステロールの混合物から形成される。
【0144】
5.4キット
別の特徴において、細胞に化合物又は薬剤1つ以上を送達するためのキットが提供される。一部の実施形態においては、薬剤は治療薬、診断薬、標的蛋白サイレンシング剤、酵素基質又はこれらの組合せである。1つ以上の以下の成分、即ち、脂質、リン脂質、カチオン性リポソーム、本明細書に記載した化合物又は薬剤少なくとも1つを含有するカチオン性リポソームをキットに包含させてよい。一部の実施形態においては、キットは荷電中性化合物及び/又は化合物の荷電中性混合物、及び、カチオン性リン脂質を含有する。一部の実施形態においては、キットは細胞に治療薬、診断薬、標的蛋白サイレンシング剤、酵素基質又はこれらの組合せを送達することができるカチオン性リポソームを形成するための説明書を含有する。一部の実施形態においては、キットは、本明細書に記載した成分を含有する単一の容器を有してよく、又は、各成分に対して異なる容器を有してよい。キットの成分は予め複合体化されているか、又は、各成分が別個の異なる容器内にあってよい。
【0145】
一部の実施形態においては、キットは凍結乾燥したリポソーム調製品、例えばカチオン性リポソーム調製品を包含できる。一部の実施形態においては、細胞の生存性は、本明細書に記載した条件下に細胞にリポソームを接触させた場合に、20%未満、10%未満、5%未満、又は、1%未満の分だけ低減できる。
【0146】
一部の実施形態においては、キットは生細胞中の標的蛋白の活性又は見かけの活性を検出するためのものであることができる。キットは他の成分を伴うか伴うことなく本明細書に記載した化合物を含有する単一の容器を有してよく、又は、各成分に対して異なる容器を有してよい。キットの成分は予め複合体化されているか、又は、各成分が別個の異なる容器内にあってよい。キットは1つ以上の以下のもの、即ち、リポソーム又はリポソームを形成するための脂質;本明細書に記載した標的蛋白をサイレンシングできる化合物;本明細書に記載した酵素基質、ただし基質は細胞内の酵素の作用に付された場合に光検出可能なシグナルを生成することができるもの;標的蛋白をサイレンシングできる化合物を含むリポソーム;標的蛋白をサイレンシングできる化合物及び本明細書に記載した1つの酵素基質を含むリポソームを含むことができる。一部の実施形態においては、キットは標的蛋白をサイレンシングできる化合物及び酵素により改変された場合に検出可能なシグナルを生成すできる酵素基質を含むリポソームを形成することができる脂質を含む。一部の実施形態においては、リポソームはカチオン性であることができる。一部の実施形態においてはキットはカチオン性リン脂質、例えば1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−アルキルホスホコリンを含む。一部の実施形態においては、キットのリポソームは凍結乾燥された調製品として包含されることができる。一部の実施形態においては、リポソームは、リポソームが本明細書に記載した条件下に細胞に接触させられた場合に細胞の生存性が20%未満、10%未満、5%未満、又は、1%未満の分だけ低減されることを特徴としている。キットは酵素のモジュレーター(例えば阻害剤又は活性化剤)を包含できる。キットは更に本明細書に記載した方法を実施するための説明書を包含できる。キットは追加的に本明細書に記載した細胞又は細胞調製品、細胞の生存性を測定するための試薬、及び、細胞を懸濁するための培地を包含できる。一部の実施形態においては、培地は血清を含む。一部の実施形態においては、キットは更に血清を含む。一部の実施形態においては、血清はウシ胎児血清である。
【0147】
本出願において引用した全ての文献及び同様の資料、例えば限定しないが特許、特許出願、記事、書籍、専門書等は、そのような文献及び同様の資料の形式に関わらず、何れかの目的の為に、表示上、参照により全体が本明細書に組み込まれる。例えば、限定しないが、定義した用語、用語の使用、記載された手法等を含めて、組み込まれた文献及び同様の資料の1つ以上が本出願とは異なるか矛盾する場合は、本出願を優先する。
【0148】
本明細書において使用したセクションの題名は構造上の目的のみのためであり、記載した要件を如何なる点においても限定しない。
【0149】
本発明の教示の特徴は以下の実施例を参考にすることにより更に理解されるが、これらは本発明の範囲を如何なる点においても限定しない。本教示は種々の代替例、変更例及び等価物を包含する。
【実施例】
【0150】
(6.実施例)
本発明の教示の特徴は以下の実施例を参考にすることにより更に理解されるが、これらは本発明の範囲を如何なる点においても限定しない。
【0151】
実施例1:標識ファロイジンをカプセル化したカチオン性リポソームの製造
蛍光標識ファロイジンを1:1比のEDOPC:DOPC又は1:2比のEDOPC:DOPCのいずれかを含むカチオン性リポソーム内にカプセル化した。直径100nmの大型単層小胞(LUV)は本質的にChatterjee等(Methods in Molecular Biology:Liposome Methods and Protocols(S.Basu and M.Basu eds.),Humana Press,2002,vol.199,chapter 1)の記載した押し出し法により製造した。この操作法の全体を通じて滅菌的手法を用いることによりリポソームの細菌汚染を防止した。1:1比の1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン (DOPC)(10mg,Avanti Polar Lipids)及び1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリン(EDOPC)(10mg,Avanti Polar Lipids)を25ml容の回収フラスコ中でクロロホルム(5ml)に溶解した。1:2比の1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリン(EDOPC)(5mg)及び1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン (DOPC)(10mg)を25ml容の回収フラスコ中でクロロホルム(5ml)に溶解した。溶媒を高真空下に十分蒸発させ、薄膜を形成した。AlexaFluor488ファロイジン(600単位、Molecular Probesカタログ番号A12379)を滅菌濾過PBS緩衝液(2ml、pH7.2)に添加した。PBS中のAlexaFluor488ファロイジンを脂質に添加し、懸濁液をアルゴン下の凍結(−78℃、ドライアイスアセトンバス)及び解凍(40℃)の5サイクルに付すことにより脂質を水和させた。得られた大型多層小胞(LMV)をLipex(登録商標)Extruder(Northern Lipids,Inc.,British Columbia,Canada,カタログ番号T.001)を用いて2枚積層100nmポリカーボネート膜(Nucleporeトラックエッチ膜、Whatman,カタログ番号110605)を通して10回押し出した。LUVはPBSで溶離しながらSephadex(登録商標)G−25Mゲル濾過(PD−10カラム、Amersham Biosciences、カタログ番号17−0851−01)で精製した。リポソームの大きさ及び分散性はNicomp370粒径分析器(Lee Miller,Fine Particle Technology,Menlo Park,Calif.)を用いて動的光分散により測定した。リポソーム内のAlexaFluor488ファロイジンの濃度は30単位/mlと推定された。
【0152】
実施例2:1:1モル比のEDOPC:DOPC又は1:2モル比のEDOPC:DOPCのいずれかを含むカチオン性リポソームを用いた生存HeLa細胞への標識ファロイジンの送達
約40,000個のHeLa細胞(ATCCカタログ番号CCL−2)を12穴マイクロプレート(Corningカタログ番号3513)中10%FBS及び1%pen/strepを含有するEagle最小必須培地(ATCCカタログ番号30−2003)中のポリ−L−リジン処理0.2mmカバーガラス上に播種した。5%CO下37℃で一夜インキュベートした後、カプセル化したAlexaFluor488ファロイジンを有する1:1モル比のEDOPC:DOPCを含むリポソームを適切な細胞培地中に調製し、次に最終1:10希釈度のリポソームとなるように細胞に添加した(1ml/ウェル)。カプセル化したファロイジンを有する1:2モル比のEDOPC:DOPCを含むリポソームを適切な細胞培地中に調製し、次に最終1:10希釈度のリポソームとなるように細胞に添加した(1ml/ウェル)。5%CO下37℃で2時間インキュベートした後、染色溶液を慎重に除去し、細胞をDulbeccoのPBS(1ml、ATCCカタログ番号30−2200)で3回洗浄した。細胞を室温で10分間2%パラホルムアルデヒド中に固定した。固定後、細胞をDulbeccoのPBS1mlで2回洗浄した。カバーガラスを12穴プレートから取り出し、AquapolyMountマウント溶液中のスライドガラス上にマウントした。細胞は蛍光顕微鏡下(Ziess Axiovert 200M)に分析した。
【0153】
図4Aおよび4Cは1:1モル比のEDOPC:DOPC(図4A)又は1:2モル比のEDOPC:DOPC(図4C)のいずれかを含むカチオン性リポソーム中にカプセル化したファロイジンに接触させたHeLa細胞を示す。細胞の生存性は白色光下に細胞の形態を観察することにより調べた。図4Cからわかる通り、1:2モル比のEDOPC:DOPCを含むリポソームに接触させたHeLa細胞の形態は1:1モル比のEDOPC:DOPCを含むリポソームを投与した細胞よりも正常性が高いように観察された。図4CのHeLa細胞は図4AのHeLa細胞よりも多角形性が高く、未損傷度が高いように観察され、後者はより小型、より丸型であり、そして脱着性が高かった。
【0154】
図4B及び4Dは1:1モル比のEDOPC:DOPC(図4B)又は1:2モル比のEDOPC:DOPC(図4D)のいずれかを含むリポソーム中にカプセル化した標識ファロイジンに接触させたHeLa細胞において生成した蛍光シグナルを示す。図4B及び4Dの各々において、細胞は175W Xenon−アークランプ(Sutter Instrument)及びPiston GFPバンドパスフィルター(Chroma Technology Corporation,部品番号41025;励起装置:HQ470/40;発光装置:HQ515/30)を用いて励起させた。ファロイジンをカプセル化したリポソームに細胞を接触させることにより検出可能な蛍光シグナルが生成した。図4Dからわかる通り、1:2モル比のEDOPC:DOPCにカプセル化されたファロイジンを投与した細胞(図4D)においては、細胞骨格フィラメントの染色は1:1モル比のEDOPC:DOPCにカプセル化されたファロイジンを投与した細胞(図4B)よりも均質度が高いように観察され、細胞内に標識されたファロイジンを導入する能力は1:2EDOPC:DOPCリポソームのほうが優れていることが示された。
【0155】
実施例3:1:2モル比のEDOPC:DOPCを含むカチオン性リポソームを用いた生存HeLa細胞への標識ファロイジンの送達
約60,000個のHeLa細胞(ATCCカタログ番号CCL−2)を6穴マイクロプレート(Corningカタログ番号3506)中10%FBS及び1%pen/strepを含有するEagle最小必須培地(ATCCカタログ番号30−2003)中のポリ−L−リジン処理0.2mmカバーガラス上に播種した。5%CO下37℃で一夜インキュベートした後、カプセル化したAlexaFluor488ファロイジンを有する1:2モル比のEDOPC:DOPCを含むリポソームを適切な細胞培地中に調製し、次に最終1:50希釈度のリポソームとなるように細胞に添加した(2ml/ウェル)。5%CO下37℃で2時間インキュベートした後、培地を慎重に除去し、細胞をDulbeccoのPBS(2ml、ATCCカタログ番号30−2200)で3回洗浄した。洗浄後、細胞を5%CO下37℃で10分間完全生育培地(2ml/w)中の1μg/mlのHoechst33258(Molecular Probes、カタログ番号H−3569)溶液で染色した。Hoechst溶液を除去し、細胞をDulbeccoのPBS2ml/wで3回洗浄した。細胞を室温で10分間2%パラホルムアルデヒド中に固定した。固定後、細胞をDulbeccoのPBS2mlで2回洗浄した。カバーガラスを12穴プレートから取り出し、AquapolyMountマウント溶液中のスライドガラス上にマウントした。細胞は蛍光顕微鏡下(Ziess Axiovert 200M、63×油中浸漬対物レンズ、175W Xenon−アークランプ(Sutter Instrument))に分析した。Piston GFPバンドパスフィルター(カタログ番号41025、励起装置:HQ470/40;発光装置:HQ515/30、Chroma Technology Corporation)を用いてアクチンフィラメントのファロイジン染色(緑色)を検出し、そして、1100v2UVセットフィルター(Chroma Technology Corporation,励起D360/40x、発光装置E420LPv2)を用いて核のHoechst染色(青色)を検出した。
【0156】
図5は1:2モル比のEDOPC:DOPCを含むリポソーム中にカプセル化したファロイジンと接触させたHeLa細胞において生成した蛍光シグナル及びHoechst核染色(青色)を示す。ファロイジンをカプセル化したカチオン性リポソームに細胞を接触させることにより、アクチンフィラメントのファロイジン(緑色)染色によりわかる通り、検出可能な蛍光シグナルが生成した(図5)。実験は1:2EDOPC:DOPCリポソームの生細胞内にファロイジンを導入する能力を示している。
【図面の簡単な説明】
【0157】
以下に説明する図面は説明を目的としているのみであり、本説明の範囲を如何なる点においても制限する意図はない。
【図1】図1は標的蛋白サイレンシング化合物(「C」)及び酵素基質(「S」)を含むリポソーム(パネルA)及び細胞にC及びSを放出しているリポソーム(パネルB)の例示される実施形態を示す。
【図2】図2は標的蛋白(「TP」)の見かけの活性を制御できる例示される実施形態を示す。
【図3】図3は標的蛋白の見かけの活性の直接及び間接的な測定を示す模式的シグナル伝達カスケードを示す。
【図4】図4のパネルA、B、C及びDはHeLa細胞への標識ファロイジンのカチオン性リポソーム送達の例示される実施形態を示す
【図5】図5のパネルAはHoechst核染色によるHeLa細胞への標識ファロイジンのカチオン性リポソーム送達の例示される実施形態を示す。パネルBは青色蛍光(B)の領域を示すパネルAの複製である。蛍光の他の領域は緑色である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電中性化合物及び/又は化合物の荷電中性混合物、及び、カチオン性リン脂質を含むカチオン性リポソームであって、荷電中性化合物及び/又は化合物の荷電中性混合物のカチオン性リン脂質に対するモル比が約1:1より大きい、カチオン性リポソーム。
【請求項2】
前記荷電中性化合物及び化合物の荷電中性混合物が独立してリン脂質、脂質、コレステロール、ステロイド、peg化リン脂質、トコフェロール、ニトロキシド及びこれらの組合せよりなる群から選択される請求項1に記載のリポソーム。
【請求項3】
前記脂質がスフィンゴシン、セラミド、セレブロシド又はこれらの誘導体である請求項2に記載のリポソーム。
【請求項4】
前記リン脂質が(モノ/ジ)ラジルグリセロホスホ−モノヒドロキシアルコール、(モノ/ジ)ラジルグリセロホスホ−ポリオール、(モノ/ジ)ラジルグリセログリコシド、(モノ/ジ)ラジルグリセロホスホグリコシドもしくはスフィンゴシンの誘導体、(モノ/ジ)ラジルグリセロホスホ−モノヒドロキシアルコール、(モノ/ジ)ラジルグリセロホスホ−ポリオール、(モノ/ジ)ラジルグリセログリコシドもしくは(モノ/ジ)ラジルグリセロホスホグリコシドのホスホノ誘導体又はこれらの組合せである請求項2に記載のリポソーム。
【請求項5】
リン脂質がアシルホスファチジルエタノールアミン、リソホスファチジルエタノールアミン、アシルホスファチジルコリン、リソホスファチジルコリン、アシルホスファチジルセリン、リソホスファチジルセリン、アシルホスファチジルグリセロール、リソホスファチジルグリセロール、アシルホスファチジン酸、リソホスファチジン酸、アシルホスファチジルイノシトール、リソホスファチジルイノシトール、アシルホスファチジルイノシトール−4−ホスフェート、リソホスファチジルイノシトール−4−ホスフェート、リソホスファチジルイノシトール−4,5−ジホスフェート、アシルホスファチジルイノシトール−4,5−ジホスフェート又はスフィンゴミエリンである請求項2に記載のリポソーム。
【請求項6】
リン脂質が下記構造式(I):
【化1】

[式中、
各Rは独立して水素、アルキル又はアシルであり;
nは0又は1であり;
は水素、−CHCHN(CH、−CHCHNH、−CHCH(CO−)NH、−CHCH(OH)CHOH、又は、
【化2】

であり、
各Rは独立して水素又は−POHであるが、
ただし、少なくとも1つのRは水素ではなく、そして(C10−C30)アルキル又は(C10−C30)アシルである]の化合物又はその塩、溶媒和物又は水和物である請求項2に記載のリポソーム。
【請求項7】
nが1であり、そしてRが水素、−CHCHN(CH、−CHCHNH、−CHCH(CO−)NH又は−CHCH(OH)CHOHである請求項5に記載のリポソーム。
【請求項8】
nが1であり、そしてRがアルキル又はアシルである請求項5に記載のリポソーム。
【請求項9】
nが1であり、そして1つのRが水素である請求項5に記載のリポソーム。
【請求項10】
nが1であり、そして第2ヒドロキシルに結合したR基が水素である請求項5に記載のリポソーム。
【請求項11】
各Rが同一である請求項5に記載のリポソーム。
【請求項12】
各Rが独立してカプリル、ウンデカノイル、ラウロイル、トリデカノイル、ミリストイル、ペンタデカノイル、パルミトイル、フィタノイル、ヘプタデカノイル、ステアロイル、ノナデカノイル、アラキドイル、ヘネイコサノイル、トリコサノイル、リグノセロイル、ミリストレオイル、ミリステライドイル、パルミトレオイル、パルミテライドイル、ペトロセリノイル、オレオイル、エライドイル、リノレオイル、リノレノイル、エイコセノイル、アラキドノイル、エルコイル及びネルボノイルよりなる群から選択される請求項5に記載のリポソーム。
【請求項13】
前記リン脂質が1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンである請求項5に記載のリポソーム。
【請求項14】
前記カチオン性リン脂質が、保護された(モノ/ジ)ラジルグリセロホスホ−モノヒドロキシアルコール、保護された(モノ/ジ)ラジルグリセログリコシド、保護された(モノ/ジ)ラジルグリセロホスホグリコシドもしくはスフィンゴシン、(モノ/ジ)ラジルグリセロホスホ−モノヒドロキシアルコール、保護された(モノ/ジ)ラジルグリセログリコシドもしくは保護された(モノ/ジ)ラジルグリセロホスホグリコシドの保護されたホスホノ誘導体、又はこれらの組合せである請求項1に記載のリポソーム。
【請求項15】
前記カチオン性リン脂質が、保護されたアシルホスファチジルエタノールアミン、リソホスファチジルエタノールアミン、アシルホスファチジルコリン、リソホスファチジルコリン、アシルホスファチジルセリン、リソホスファチジルセリン、アシルホスファチジルグリセロール、リソホスファチジルグリセロール、アシルホスファチジン酸、リソホスファチジン酸、アシルホスファチジルイノシトール、リソホスファチジルイノシトール、アシルホスファチジルイノシトール−4−ホスフェート、リソホスファチジルイノシトール−4−ホスフェート、リソホスファチジルイノシトール−4,5−ジホスフェート、アシルホスファチジルイノシトール−4,5−ジホスフェート又はスフィンゴミエリンである請求項1に記載のリポソーム。
【請求項16】
前記カチオン性リン脂質が下記構造式(II):
【化3】

[式中、
各Rは独立して水素、アルキル又はアシルであり;
nは0又は1であり;
は−CHCHN(CH、−CHCHNHであり、そして、
は保護基であるが;
ただし、少なくとも1つのRは水素ではなく、そして(C10−C30)アルキル又は(C10−C30)アシルである]の化合物又はその塩、溶媒和物又は水和物である請求項1に記載のリポソーム。
【請求項17】
保護基が−R、−CHOC(O)R又は−CHCHSC(O)Rであり、ここでRは(C−C)アルキルである請求項16に記載のリポソーム。
【請求項18】
がメチル又はエチルである請求項17に記載のリポソーム。
【請求項19】
nが1であり、そしてRが−CHCHN(CHである請求項15に記載のリポソーム。
【請求項20】
nが1であり、そしてRがアルキル又はアシルである請求項15に記載のリポソーム。
【請求項21】
nが1であり、そしてRが水素である請求項15に記載のリポソーム。
【請求項22】
nが1であり、そして第2ヒドロキシルに結合したR基が水素である請求項15に記載のリポソーム。
【請求項23】
が同一である請求項15に記載のリポソーム。
【請求項24】
各Rが独立してカプリル、ウンデカノイル、ラウロイル、トリデカノイル、ミリストイル、ペンタデカノイル、パルミトイル、フィタノイル、ヘプタデカノイル、ステアロイル、ノナデカノイル、アラキドイル、ヘネイコサノイル、トリコサノイル、リグノセロイル、ミリストレオイル、ミリステライドイル、パルミトレオイル、パルミテライドイル、ペトロセリノイル、オレオイル、エライドイル、リノレオイル、リノレノイル、エイコセノイル、アラキドノイル、エルコイル及びネルボノイルよりなる群から選択される請求項15に記載のリポソーム。
【請求項25】
nが1であり、Rがアルキル又はアシルであり、そしてRが−CHCHN(CHである請求項15に記載のリポソーム。
【請求項26】
前記カチオン性リン脂質が1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリンである請求項15に記載のリポソーム。
【請求項27】
前記荷電中性化合物が1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンであり、そしてカチオン性リン脂質が1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリンである請求項1に記載のリポソーム。
【請求項28】
前記リポソームが1層型である請求項1に記載のリポソーム。
【請求項29】
直径が約20nm〜約250nmである請求項28に記載のリポソーム。
【請求項30】
診断薬、治療薬又はその組合せ1つ以上を更に含む請求項1に記載のリポソーム。
【請求項31】
前記荷電中性化合物が、(モノ/ジ)ラジルグリセロホスホ−モノヒドロキシアルコール、(モノ/ジ)ラジルグリセロホスホ−ポリオール、(モノ/ジ)ラジルグリセログリコシド、(モノ/ジ)ラジルグリセロホスホグリコシドもしくはスフィンゴシンの誘導体、(モノ/ジ)ラジルグリセロホスホ−モノヒドロキシアルコール、(モノ/ジ)ラジルグリセロホスホ−ポリオール、(モノ/ジ)ラジルグリセログリコシドもしくは(モノ/ジ)ラジルグリセロホスホグリコシドのホスホノ誘導体又はこれらの組合せである請求項30のリポソーム。
【請求項32】
前記荷電中性化合物が、アシルホスファチジルエタノールアミン、リソホスファチジルエタノールアミン、アシルホスファチジルコリン、リソホスファチジルコリン、アシルホスファチジルセリン、リソホスファチジルセリン、アシルホスファチジルグリセロール、リソホスファチジルグリセロール、アシルホスファチジン酸、リソホスファチジン酸、アシルホスファチジルイノシトール、リソホスファチジルイノシトール、アシルホスファチジルイノシトール−4−ホスフェート、リソホスファチジルイノシトール−4−ホスフェート、リソホスファチジルイノシトール−4,5−ジホスフェート、アシルホスファチジルイノシトール−4,5−ジホスフェート又はスフィンゴミエリンである請求項30に記載のリポソーム。
【請求項33】
前記荷電中性化合物が1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンである請求項30に記載のリポソーム。
【請求項34】
前記カチオン性リン脂質が保護された(モノ/ジ)ラジルグリセロホスホ−モノヒドロキシアルコール、保護された(モノ/ジ)ラジルグリセログリコシド、保護された(モノ/ジ)ラジルグリセロホスホグリコシドもしくはスフィンゴシン、(モノ/ジ)ラジルグリセロホスホ−モノヒドロキシアルコール、保護された(モノ/ジ)ラジルグリセログリコシドもしくは保護された(モノ/ジ)ラジルグリセロホスホグリコシドの保護されたホスホノ誘導体又はこれらの組合せである請求項30のリポソーム。
【請求項35】
前記カチオン性リン脂質が保護されたアシルホスファチジルエタノールアミン、リソホスファチジルエタノールアミン、アシルホスファチジルコリン、リソホスファチジルコリン、アシルホスファチジルセリン、リソホスファチジルセリン、アシルホスファチジルグリセロール、リソホスファチジルグリセロール、アシルホスファチジン酸、リソホスファチジン酸、アシルホスファチジルイノシトール、リソホスファチジルイノシトール、アシルホスファチジルイノシトール−4−ホスフェート、リソホスファチジルイノシトール−4−ホスフェート、リソホスファチジルイノシトール−4,5−ジホスフェート、アシルホスファチジルイノシトール−4,5−ジホスフェート又はスフィンゴミエリンである請求項30に記載のリポソーム。
【請求項36】
前記カチオン性リン脂質が1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリンである請求項30に記載のリポソーム。
【請求項37】
前記荷電中性化合物が1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンであり、そして保護されたリン脂質が1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリンである請求項30に記載のリポソーム。
【請求項38】
細胞を請求項1に記載のカチオン性リポソーム及び薬剤に接触させることを含む細胞に薬剤を送達するための方法。
【請求項39】
下記成分:
(i)標的蛋白をサイレンシングすることができる化合物、及び、
(ii)リードアウト蛋白により改変された場合に検出可能なシグナルを生成することのできる酵素基質、
を含むリポソームであって、ここで該リポソームは生細胞内に該化合物及び該酵素基質を送達することができるリポソーム。
【請求項40】
前記化合物が前記標的蛋白の発現を抑制する請求項39に記載のリポソーム。
【請求項41】
前記化合物が前記標的蛋白をコードするDNAの転写を抑制することができる請求項39に記載のリポソーム。
【請求項42】
前記化合物が前記標的蛋白をコードするmRNAの翻訳を抑制することができる請求項39に記載のリポソーム。
【請求項43】
前記化合物がオリゴヌクレオチドを含む請求項39に記載のリポソーム。
【請求項44】
前記オリゴヌクレオチドがアンチセンス化合物である請求項43に記載のリポソーム。
【請求項45】
前記化合物がオリゴヌクレオチド類縁体を含む請求項39に記載のリポソーム。
【請求項46】
前記化合物がオリゴヌクレオチド模倣体を含む請求項39に記載のリポソーム。
【請求項47】
前記オリゴヌクレオチド模倣体がペプチド核酸である請求項39に記載のリポソーム。
【請求項48】
前記化合物が前記標的蛋白の翻訳後改変を抑制することができる請求項39に記載のリポソーム。
【請求項49】
前記化合物が前記標的蛋白を抑制することができる請求項39に記載のリポソーム。
【請求項50】
前記標的蛋白が酵素である請求項39に記載のリポソーム。
【請求項51】
前記酵素基質が、カスパーゼ、蛋白キナーゼ、蛋白ホスファターゼ又はこれらの何れかの組合せから選択される酵素に対する基質である請求項39に記載のリポソーム。
【請求項52】
前記酵素基質が、カスパーゼ1、カスパーゼ2、カスパーゼ3、カスパーゼ4、カスパーゼ5、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、カスパーゼ10、カスパーゼ11、カスパーゼ12、カスパーゼ13、カスパーゼ14又はこれらの何れかの組合せから選択される酵素に対する基質である請求項39に記載のリポソーム。
【請求項53】
前記酵素基質が、蛋白キナーゼA(PKA)、蛋白キナーゼC(PKC)、プロトオンコジーンチロシン蛋白キナーゼ(Src)、MEK、ERK、JNK、Ras又はこれらの何れかの組合せから選択される酵素に対する基質である請求項39に記載のリポソーム。
【請求項54】
前記検出可能なシグナルが光である請求項39に記載のリポソーム。
【請求項55】
前記検出可能なシグナルがルミネセントシグナルである請求項39に記載のリポソーム。
【請求項56】
前記ルミネセントシグナルが発色原、蛍光、りん光、ケミルミネセント又はバイオルミネセントのシグナルである請求項39に記載のリポソーム。
【請求項57】
前記リードアウト蛋白が前記標的蛋白である請求項39〜53の何れか1項に記載のリポソーム。
【請求項58】
前記リードアウト蛋白の活性が前記標的蛋白に正又は負のカップリングを起こす請求項39〜53の何れか1項に記載のリポソーム。
【請求項59】
前記リードアウト蛋白が蛋白:蛋白相互作用を介して標的蛋白に正又は負のカップリングを起こす請求項58に記載のリポソーム。
【請求項60】
前記リードアウト蛋白がシグナル伝達カスケードを介して前記標的蛋白に正又は負のカップリングを起こす請求項59に記載のリポソーム。
【請求項61】
カチオン性である請求項39〜53の何れか1項に記載のリポソーム。
【請求項62】
生体分解性である請求項61に記載のリポソーム。
【請求項63】
1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−アルキルホスホコリンを含む請求項61に記載のリポソーム。
【請求項64】
下記式:
【化4】

[式中、
は炭素原子6〜30個を有する飽和又は不飽和のアルキルであり;
は炭素原子6〜30個を有する飽和又は不飽和のアルキルであり;
は炭素原子1〜20個を有する飽和又は不飽和のアルキルである]を有する1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−アルキルホスホコリンを含む請求項23に記載のリポソーム。
【請求項65】
1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリン及び1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンを含む請求項61に記載のリポソーム。
【請求項66】
約1:2のモル比で1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリン及び1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンを含む請求項61に記載のリポソーム。
【請求項67】
1:2のモル比で1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリン及び1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンを含む請求項61に記載のリポソーム。
【請求項68】
生細胞中の標的蛋白の発現の抑制を検出する方法であって、下記工程:
該細胞を(i)標的蛋白をサイレンシングすることができる化合物、(ii)リードアウト蛋白により改変された場合に検出可能なシグナルを生成することができる酵素基質を含むリポソームに接触させること、ここで該リポソームは該細胞に該化合物及び該酵素基質を送達することができるものであること;及び、
検出可能なシグナルが生成したかどうか検出すること、ここで検出可能なシグナルの変化は該細胞内の該標的蛋白の発現の抑制を示すものであること;
を含む方法。
【請求項69】
検出された前記検出可能なシグナルの量が対照と比較される請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記対照が、前記酵素基質を含むが前記化合物は含まないリポソームに生細胞を接触させることにより発生する検出可能なシグナルの量である請求項69に記載の方法。
【請求項71】
生細胞中の目的のシグナル伝達経路に関連する標的蛋白を同定する方法であって、下記工程:
該細胞を(i)標的蛋白をサイレンシングすることができる化合物、(ii)リードアウト蛋白により改変された場合に検出可能なシグナルを生成することができる酵素基質を含むリポソームに接触させること、ここで該リポソームは該細胞に該化合物及び該酵素基質を送達することができるものであること;及び、
該シグナル伝達経路のアゴニストに該細胞を接触させること;及び、
検出可能なシグナルが生成したかどうか検出すること、ここで検出可能なシグナルの変化は該標的蛋白が目的の該シグナル伝達経路に関連することを示すものであること;
を含む方法。
【請求項72】
検出された前記検出可能なシグナルの量が対照と比較される請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記対照が、前記酵素基質を含むが前記化合物は含まないリポソームに生細胞を接触させることにより発生する検出可能なシグナルの量である請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記検出が、蛍光計、蛍光顕微鏡又は共焦点顕微鏡、プレートリーダー、FMAT8200又は単分子検出器を用いることによるものである、請求項68〜73の何れか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記化合物は前記標的蛋白の発現を抑制する請求項68〜73の何れか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記化合物が前記標的蛋白をコードするDNAの転写を抑制することができる請求項68〜73の何れか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記化合物が前記標的蛋白をコードするmRNAの翻訳を抑制することができる請求項68〜73の何れか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記化合物がオリゴヌクレオチドを含む請求項68〜73の何れか1項に記載の方法。
【請求項79】
前記オリゴヌクレオチドがアンチセンス化合物である請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記化合物がオリゴヌクレオチド類縁体を含む請求項68〜73の何れか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記化合物がオリゴヌクレオチド模倣体を含む請求項68〜73の何れか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記オリゴヌクレオチド模倣体がペプチド核酸である請求項68〜73の何れか1項に記載の方法。
【請求項83】
前記化合物が前記標的蛋白の翻訳後改変を抑制することができる請求項68〜73の何れか1項に記載の方法。
【請求項84】
前記化合物が前記標的蛋白を抑制することができる請求項68〜73の何れか1項に記載の方法。
【請求項85】
前記標的蛋白が酵素である請求項68〜73の何れか1項に記載の方法。
【請求項86】
前記酵素基質が、カスパーゼ、蛋白キナーゼ、蛋白ホスファターゼ又はこれらの何れかの組合せから選択される酵素に対する基質である請求項68〜73の何れか1項に記載の方法。
【請求項87】
前記酵素基質が、カスパーゼ1、カスパーゼ2、カスパーゼ3、カスパーゼ4、カスパーゼ5、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、カスパーゼ10、カスパーゼ11、カスパーゼ12、カスパーゼ13、カスパーゼ14又はこれらの何れかの組合せから選択される酵素に対する基質である請求項68〜73の何れか1項に記載の方法。
【請求項88】
前記酵素基質が、cAMP依存性(PKA)、蛋白キナーゼC(PKC)、プロトオンコジーンチロシン蛋白キナーゼ(Src)、MEK、ERK、JNK、Ras又はこれらの何れかの組合せから選択される酵素に対する基質である請求項68〜73の何れか1項に記載の方法。
【請求項89】
前記検出可能なシグナルが光である請求項68〜73の何れか1項に記載の方法。
【請求項90】
前記検出可能なシグナルがルミネセントシグナルである請求項68〜73の何れか1項に記載の方法。
【請求項91】
前記ルミネセントシグナルが発色原、蛍光、りん光、ケミルミネセント又はバイオルミネセントのシグナルである請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記リードアウト蛋白が前記標的蛋白である請求項68〜73の何れか1項に記載の方法。
【請求項93】
前記リードアウト蛋白の活性が前記標的蛋白に正又は負のカップリングを起こす請求項68〜73の何れか1項に記載の方法。
【請求項94】
前記リードアウト蛋白が蛋白:蛋白相互作用を介して前記標的蛋白に正又は負のカップリングを起こす請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記リードアウト蛋白がシグナル伝達カスケードを介して前記標的蛋白に正又は負のカップリングを起こす請求項93に記載の方法。
【請求項96】
前記リポソームがカチオン性である請求項68〜73の何れか1項に記載の方法。
【請求項97】
前記リポソームが生体分解性である請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記リポソームが1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−アルキルホスホコリンを含む請求項96に記載の方法。
【請求項99】
前記リポソームが下記式:
【化5】

[式中、
は炭素原子6〜30個を有する飽和又は不飽和のアルキルであり;
は炭素原子6〜30個を有する飽和又は不飽和のアルキルであり;
は炭素原子1〜20個を有する飽和又は不飽和のアルキルである]を有する1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−アルキルホスホコリンを含む請求項96に記載の方法。
【請求項100】
前記リポソームが1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリン及び1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンを含む請求項96に記載の方法。
【請求項101】
前記リポソームが約1:2のモル比で1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリン及び1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンを含む請求項96に記載の方法。
【請求項102】
前記リポソームが1:2のモル比で1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリン及び1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンを含む請求項96に記載の方法。
【請求項103】
細胞中の標的蛋白の発現の抑制を検出する場合に使用するためのキットであって、下記要素:
標的蛋白をサイレンシングすることができる化合物及びリードアウト蛋白により改変された場合に検出可能なシグナルを生成することができる酵素基質を含むカチオン性リポソームを形成することができる脂質;及び、
生細胞内に前記化合物及び前記酵素基質を送達することができるリポソームを形成するための説明書、
を含むキット。
【請求項104】
細胞に薬剤を送達する場合に使用するためのキットであって、該キットが下記要素:
荷電中性化合物及び/又は化合物の荷電中性混合物及びカチオン性リン脂質;及び、
細胞に薬剤を送達するカチオン性リポソームを形成するための説明書、
を含むキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【公表番号】特表2008−535771(P2008−535771A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546885(P2007−546885)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/045359
【国際公開番号】WO2006/065960
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(500069057)アプレラ コーポレイション (120)
【住所又は居所原語表記】850 Lincoln Centre Drive Foster City CALIFORNIA 94404 U.S.A.
【Fターム(参考)】