説明

カッパー−2カラギーナン組成物及びそれからつくられた製品

【課題】ゲルフィルムを作成するのに適した新規なカラギーナン組成物を提供する。
【解決手段】(i)カッパー−2カラギーナン、(ii)組成物中の全てのカチオン重量基準で少なくとも70%のナトリウム、及び(iii)組成物の重量基準で0−25%の量で存在する遊離塩、からなり、20cpsから40cpsの粘度をもつカッパー−2カラギーナン組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(i)カッパー−2カラギーナン、(ii)組成物中の全てのカチオン重量基準で少なくとも70%のナトリウム、及び(iii)組成物の重量基準で0−25%の量で存在する遊離塩、からなり、20cpsから40cpsの粘度をもつカッパー−2カラギーナン組成物に関する。本発明はまた、そのようなカッパー−2カラギーナンから作られた製品、及びその製造方法と使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼラチンはソフトカプセルを調製するのに有用なフィルムを形成するために使用されてきた。それはコラーゲンから加水分解されたタンパクで通常動物の骨又は軟骨を加圧下で水と沸騰させることによって得られる。しかしながら、ゼラチンの使用は、いくつかの商業的な問題をもっている;例えばその動物源は動物由来のカプセルを採用できない又は採用しない人々にとっては使用可能性がなく、またBSE、即ち狂牛病に対する最近の心配も含まれる。
【0003】
結果として、大学や産業界では、既にゼラチン代替物からソフトカプセル作るためにあるロータリーダイのような機械やプロセスの多くを望ましく使用できるゼラチン代替の開発が多くの年月試みられてきた。
【0004】
特許文献1は、少なくともカラギーナン及び多価アルコールを含むポリサッカライド組成物からつくられたカプセルを開示している。カラギーナンは、タマリンドガム、ペクチン、ゼラチン、アルギネート、アガール、フュアセララン、セルロース誘導体、ロカストビーンガム、及びグアールガムのような他のポリサッカライドと一緒に全部又は部分的に使用できる。多価アルコールとしては、ソルビトール、グルコース、サクロース、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブタンジオール及びグリセリンを包含する。ソフトカプセルは凹面スタンピングダイから作られる。
【0005】
特許文献2は、アルカリ物質を伴う/伴わないポリサッカライドと多価アルコールの混合物を開示している。用途において有用であると称されているポリサッカライドの広範なリストは、カラギーナン、アルギン酸、アルギネート誘導体、アガール、ロカストビーンガム、グアールガム、タマリンド種子ポリサッカライド、ペクチン、キサンタンガム、グルコマンナン、キチン、プルラン及びシクロデキストリンのような天然ポリサッカライドを含む。ポリサッカライドは、少なくとも一つの多価アルコール、蔗糖アルコール、モノサッカライド、ジサッカライド及びオリゴサッカライドの濃縮水溶液と組み合わせられることが述べられている。その混合物はソフトカプセルの外皮を形成するのに有用であると述べられている。三つの実施例は、ゼラチンと混合物の二層及びゼラチンとその発明の混合物を含む単一層をもつソフトカプセルの外皮の作成に関している。特定のカラギーナンについては触れられていない。
【0006】
特許文献3は、主成分としての水溶性ポリサッカライド、多価アルコール及び水を含む少なくとも一つのフィルム層からなるヒートシール可能な可食性フィルムを開示している。そのフィルムは、乾燥食品、油状食品及びその類似物のための材料をシールし包装するのに有用であると述べられている。有用であると称されているポリサッカライドとしては、アルギン酸及びその塩(ナトリウム塩のような);フルセララン;カッパー−、イオーター−及びラムダー−カラギーナンのようなカラギーナン;アガール;高メトキシ及び低メトキシペクチンのようなペクチン;タマリンド種子ガム、キサンタンガム、グアールガム、タラ種子ガム、ロカストビーンガムのようなガム;プルラン;キトサンのようなキチン誘導体;小麦、コーン及びポテトデンプンのようなデンプン;デキストリン;カルボキシメチルセルロースのような可食性水溶性セルロース誘導体;及び前者の混合物を包含している。多価アルコール対ポリサッカライドの重量比は1:5から1:1を使用し、そしてポリサッカライドは、活性成分の合計量の50%以下の量で存在する。そのようなフィルムがソフト又はハードカプセルの製造に使用できることは開示されていない。
【0007】
特許文献4は、単一ゲル化剤として、カラギーナン、好ましくは、イオーターカラギーナンを含む、ソフト又はハードカプセル製造のための水性粘凋組成物を開示している。イオーター−、ラムダー−、ミュー−、及びニュー−カラギーナンが、その発明で使用できるタイプのカラギーナンとして開示されており、そのようなものは使用される抽出方法に依って種々の異なった海藻源から抽出されると述べられている。可塑剤は、ポリオキシイル族に属するもののような、例えばグリセロール、ソルビトール、マルトデキストリン、デキストローズ、マンニトール、キシリトール、ポリエチレングリコール400−6000、天然グリセリド及び半合成品及びそれらの誘導体、等々が開示されている。ソフトカプセルは“シェーラー”法の適用によって得られると言われている。カッパーカラギーナンから作られるフィルムは、ハード及びソフトカプセルの製造で生ずる問題点をもつといわれている。特定のイオーターカラギーナン、カッパーカラギーナン、カッパー−2カラギーナン、等々の記載はない。
【0008】
特許文献5は、カッパーカラギーナン及び可塑剤のゲルフィルムからなる水溶性の親水性コロイド層を含む組成物からつくられたゼラチンフリーなカプセルを開示している。ゼラチンフリーのソフトカプセルは、主要なゲル形成ポリマー(熱可逆性ゲルを形成する又は熱可逆性ゲルの形成に寄与するガムの少なくとも50重量%)としてカッパー−カラギーナンから作られると言われている。マルトデキストリンのような加水分解したデンプンは、固体濃度を増加させ、熱シールを助けそして塩をゲル化させることによって生ずる霞を防止するために添加される。イオーターカラギーナンのような他の種類のガムは、最も好ましくは、合計フィルム組成物の0.5%以下の量に最小化されることが教示されている。
【0009】
特許文献6は、約90℃以下の水和温度をもつ変性デンプン及びロータリーダイカプセル化装置を使用するソフトカプセル製造のためのイオーターカラギーナンの使用を要求している。変性デンプン対イオーターカラギーナンの重量比は、満足すべきフィルムを形成するのに決定的であると述べられている。即ち、変性デンプン対イオーターカラギーナンの重量比は1.5:1であるといわれている。イオーターカラギーナン単独では許容できるフィルムを生成せずそして変性デンプン単独ではカプセル化に使用可能な許容できるフィルムを生成しないことを、発明者らは見出した。述べられた理論は、イオーターカラギーナンが、さもなければ非弾性的な変性デンプンを弾性的にする弾性剤として機能することである。カラギーナンは、異なった機能性をもつマーケットでの数百の異なった製品の複合体であると述べられている。ユーシュウマスピノサム(Eucheuma spinosum)は、イオーターカラギーナンのための海藻源であることがのべられており、そしてカラギーナンの全てがその発明に使用可能であるとは述べられておらず、例えば、カッパーカラギーナンはそこではイオーターカラギーナンの置換物ではないと述べられている。
【0010】
例えば、ヒドロコロイドを含む、高固体、低湿分フィルム形成組成物は、得ることが難しい水和フィルムを形成する非常に粘凋な溶液であることは知られている。
さらに、ヒドロコロイドのような高固体、低湿分フィルムからソフトカプセルを作るために多くの試みがなされてきた。しかしながら、ソフトカプセルを作るためのそのような試みは上述のような問題点がある。即ち、ヒドロコロイドは、十分に水和することが難しくそして在来のソフトカプセル製造プロセスでフィルムを形成することが困難な高度に粘凋な溶液を形成することが知られている。
【0011】
特許文献7及び特許文献8は、一般的なカッパー−2カラギーナン及びゲルフィルム及びソフトカプセル作るのにカッパー−2カラギーナンを含む非常に低分子量のカラギーナンの使用を開示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
カッパー−2カラギーナンは、一般的に、それと錯体化したカチオン及びカッパー−2カラギーナンと錯体化していない遊離の塩である他のカチオン及び/又はアニオンを含む組成物中に含まれる。本発明のカッパー−2カラギーナン組成物は、カッパー−2カラギーナン及び組成物中のカチオンの重量基準で少なくとも70%のナトリウムカチオン(遊離又はカッパー−2カラギーナンと錯化した)、より特定的には、組成物中の全てのカチオンの合計重量基準で少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも98%のナトリウムカチオンを含む。組成物はさらに組成物の合計重量基準で0%から25%、より特定的には、全て組成物の合計重量基準で0%から20%、0%から15%、0%から10%、0%から8%、0%から5%、0%から2%の量で遊離塩を含む。本発明の他の態様においては、全て組成物の合計重量基準で0.001%から20%、0.001%から15%、0.001%から10%、0.001%から8%、0.001%から5%、0.001%から2%の量で遊離塩を含む。
【0018】
組成物中の遊離塩の量は、イソプロパノールと水の混合物(60%イソプロパノール)中でカッパー−2カラギーナン組成物を2時間洗浄し、カッパー−2カラギーナンをろ過によって水とアルコール混合物から分離し、別々にカッパー−2カラギーナン及び水とアルコール混合物(ろ液)を乾燥し、そして(乾燥したろ過物から)回収されたカラギーナンと遊離塩のパーセントを計算し、カッパー−2カラギーナン中の湿分を補正することによって決定される。本発明のカッパー−2カラギーナン組成物はまた、ブルックフィールドLV粘度計を使用して、75℃で1.5%固体水溶液中で適切なスピンドルと回転速度で測定したとき、20cpsから40cps、より特定的には20cpsから36cpsの粘度をもつ。テストされた溶液は添加された塩を含まない。
【0019】
さらに、(i)カッパー−2カラギーナン、(ii)組成物中の全てのカチオン重量基準で少なくとも70%のナトリウム、及び(iii)組成物の重量基準で0−25%の量で存在する遊離塩、を実質的に含み、20cpsから40cps、より特定的には20cpsから36cpsの粘度をもつカッパー−2カラギーナン組成物は、本発明の範囲内に含まれる。
【0020】
如何なる理論にも束縛されること無しで、本発明のカッパー−2カラギーナン組成物(ナトリウムと遊離塩の量を含み且つ20cpsから40cpsの粘度をもつ)は驚くべきことに、強く弾性のある高固体系をもつゲルフィルムの製造が可能であると思われる。
【0021】
カラギーナンは商業的には、赤い海藻中に見出されるガラクタンポリサッカライドである。全てのカラギーナンは、交互のα1→3及びβ1→4グリコシド結合によって結合したガラクトース単位の繰り返しを含みそして広範囲に変化する割合で硫酸化されている。カラギーナンのタイプは、部分的には、硫酸化の程度と位置、及びそれらを得た海藻によって区別される。例えば、イオーターカラギーナンは、25から34%の硫酸エステル含量を与える、D−ガラクトース−4−サルフェート−3,6−アンヒドロ−D−ガラクトース−2−サルフェートの繰り返し単位をもっている。イオーターカラギーナンは、例えば、ユーシューマデンチキュラタム(Eucheuma denticulatum)(“また“スピノサム(Spinosum)”とも呼ばれる”)から得られる。カッパーカラギーナンは、D−ガラクトース−4−サルフェート−3,6−アンヒドロ−D−ガラクトースの繰り返し単位をもちそして、例えば、カッパフィカスアルバレチー(Kappaphycus alvarezii)(また“ユーシューマコットニー(Eucheuma cottonii)”として知られている)から得られる。これに対し、カッパー−2カラギーナンは、非特許文献1及び非特許文献2に報告されており、コポリマー骨格に共有結合している或る量のカッパー繰り返し単位(3:6アンヒドログラクトース(3:6−AG))及びイオーター繰り返し単位(3:6アンヒドログラクトース−2−サルフェート(3:6−AG−2−S))を含むコポリマーでありそして或るGigartinaceae algaeから得られる。前者の引例は、そのようなカッパー−2カラギーナンがカッパー及びイオーターカラギーナンの単純混合物に比べて明らかに異なった性質をもっていると述べている。カッパー−2カラギーナンを議論する他の引例はこれらの刊行物で議論されている。
Gigartina atropurpureaから抽出されたカッパー−2カラギーナンは非特許文献3に報告されている。カッパー−2カラギーナンの物理的性質については、歴史的にかなりの混乱があるが、上述のような最近の研究は、カッパー−2カラギーナンはカッパー及びイオーターポリマーの物理的混合物とは明確に区別された、(カッパー対イオーター部分の或る比で)共有結合したカッパー及びイオーター繰り返し単位を含むコポリマーであることが確認された。
【0022】
ここで使用されるときは、カッパー−2カラギーナンは、25から50%の含量の3:6AG−2S対3:6AGのモル比をもち、イオーターカラギーナンは、80から100%含量の3:6AG−2S対3:6AGのモル比をもちそしてカッパーカラギーナンはカッパー−2カラギーナンのそれより少ない3:6AG−2S対3:6AGのモル比をもつ。例えば、通常知られておりそしてカッパーカラギーナンのための海藻を使用したEucheuma cottoniiからのカッパーカラギーナンは約10%以下の量の3:6AG−2S対3:6AGのモル比をもち;そして通常知られておりそしてイオーターカラギーナンのための海藻を使用したSpinosumからのイオーターカラギーナンは約85%以上の量の3:6AG−2S対3:6AGのモル比をもつ。このことは、カッパー−2カラギーナンが、1.0から3.0:1、より特定的には1.5から3.0:1(より特定的には所望の用途による)の間のカッパー(3:6−AG)繰り返し単位対イオーター(3:6−AG−2−S)繰り返し単位の割合を含むことを意味している。25から50%の含量の3:6AG−2S対3:6AGのモル比はカッパー−2カラギーナン中で、その変性度合い及び前駆体含量(例えば、ミュー及びニュー繰り返し単位)に拘わらず保持される。このように、その変性度合いに拘わらず、25から50%の含量の3:6AG−2S対3:6AGのモル比に適合する如何なるカッパー−2カラギーナンも本発明の範囲内にある。
【0023】
本発明で使用されるカッパー−2カラギーナンは、Gigartina radula、Gigartina corymbifera、Gigartina skottsbergii、Iridaea cordata,Sarcothalia crispata,及びMazzaella laminarioidesのようなGigartinaceae algae内に含まれ又はそのクラスの多くの海藻種から精製又は分離される。
【0024】
本発明で使用されるべきカッパー−2カラギーナンの海藻源は、ここで記載された3:6AG−2S対3:6AGのモル含量をもつカッパー−2カラギーナンを生成するもののいずれかである。本発明で使用されるカッパー−2カラギーナンは、単一の海藻源、又は二つ又はより異なった海藻源の混合物から得られる。本発明で使用できるカッパー−2カラギーナンは、上述の海藻に天然で存在するか、又はカッパー−2カラギーナンの3:6AG−2S対3:6AG部分の量をその前駆体から増加させるために変性される(例えば、アルカリ処理によってその前駆体ニューから変性されたカッパー−2カラギーナン内の3:6AG−2S部分、及びアルカリ処理によってその前駆体ミューから変性されたカッパー−2カラギーナン内の3:6AG部分)。回収及び変性技術は文献公知で、非特許文献1−3にも含まれている。例えば、カッパー−2カラギーナンの変性は、或るGigartinaceae algaeからのその回収の過程で、高められた温度でのアルカリ処理によって起こる。回収方法としては、所望による出発物質からの不溶分の完全又は部分的なろ過又はろ過していない物質の使用を含む。カッパー−2カラギーナン内のニュー及びミュー前駆体がそれぞれ3:6AG−2S、3:6AGに変性されるとき、そのような変性は完全になる(即ち、カッパー−2カラギーナン内のニュー及びミュー前駆体の100%がそれぞれ3:6AG−2S、3:6AG部分に変性される)か又は完全以下となる(即ち、カッパー−2カラギーナン内のニュー及びミュー前駆体の100%以下がそれぞれ3:6AG−2S、3:6AG部分に変性される)。上述の海藻からカッパー−2カラギーナンの回収プロセスの過程で、小量又は微量の他のカラギーナンが存在し(例えば、ラムダーカラギーナン)そしてそのようなものは本発明のカッパー−2カラギーナンと一緒に使用できる。
【0025】
本発明のカッパー−2カラギーナンは在来の方法を使用して調製することができ、例えば、その方法は、海藻を洗浄して余分な物質を取り除き、海藻からラムダー部分を分離し(例えば、マニュアル的に)、漂白して色を減少させ、KCl中又はKClと塩化ナトリウムの組み合わせ中で過剰の漂白剤、色本体、等々を取り除き、アルカリ及びKCl又はKClとNaClの組み合わせ中で海藻を変性し、KCl中又はKClと塩化ナトリウムの組み合わせ中で洗浄して過剰のアルカリと非カラギーナン海藻を取り除き、KCl又はKClとNaClの組み合わせ中で中和してほぼ中性なpHとし、第二の漂白工程、粘度調整、NaClでの追加の洗浄工程、乾燥、すり潰し、熱水及びNaClに溶解させ、さらにカラギーナンをイオン交換させ、過酸化水素による粘度調整、ろ過、濃縮、イソプロピルアルコールでの沈殿化、脱水、イソプロピルアルコールでの洗浄、乾燥及びすり潰しがある。在来のイオン交換プロセスは、本発明のカッパー−2カラギーナン組成物を作るのに使用することができ、例えば透析;塩、水及びアルコールでの洗浄;及び膜を使用したろ過のような在来のプロセスがある。
【0026】
本発明のカッパー−2カラギーナン組成物からつくることのできる製品としては、均一なゲルフィルム、運搬システム、障壁、徐放系、ハードカプセル、ソフトカプセルのような口腔投与体、包み込まれた固体物質(粉末、集合体のような)、食品、農業製品、ペイントボールのような工業製品が包含される。カッパー−2カラギーナンはまた種々の基材に対するコーティングとして使用できそしてそのようなコーティングは如何なるそのような基材に対しても多層で適用することができる。
【0027】
カッパー−2カラギーナン組成物は、カッパー−2カラギーナンを、フィルムにフィルムの性質を加えないカッパー−2カラギーナンの微量から区別されるフィルム形成量(即ち、ゲルフィルムにフィルム強度を与える量)で使用することによってゲルフィルムを作るために使用することができる。このように、例えば、以下に議論する第二のフィルム形成剤を含む本発明のゲルフィルムにおいては、カッパー−2カラギーナンのフィルム形成量はフィルム全体にフィルム強度を加える量である。そのようなフィルム形成量は、ゲルフィルムの重量基準で一般には0.5%、特定的には、0.5%から90%、より特定的には0.5%から50%、より特定的には0.5%から25%。より特定的には、用途にも依るが、乾燥ゲルフィルムの重量基準で1.5%である。
【0028】
ここで使用するとき、“均一フィルム”とは、肉眼で見て均一で、溶解すべきであるが溶解していない主要構造形成成分の塊、クラック、粒子のような欠陥、不溶性粒子の不均一な分布のないフィルムを定義している。“フィッシュアイ”(液体及び固体状態の混合した)又は“ゲルボール”(不均一なゲル構造)は、ここで使用されるときの“均一”の定義に適合しない。
【0029】
本発明のゲルフィルムは均一な、熱可逆性のゲルフィルムである。それらはキャーストされそしてキャーストフィルムとして又は引き続く工程において広範囲の用途で使用することができる。
【0030】
ここで使用するときは、“熱可逆性フィルム”とは、融点をもつフィルムを定義する。ここで使用するとき、融点はゲルフィルムが軟化するか又は重力又は溶融物質を動かすために生じた力によって流れる温度又は温度範囲である。
【0031】
ここで使用されるとき、語句“ゲルフィルム”とは、構造化したカッパー−2カラギーナンから形成された、薄膜又は三次元ネットワーク(スポンジ状)を意味する。ゲル形成組成物はゲル温度、ゲル組成物の溶融物質が自己支持構造を形成するためにそれ以下に冷却されなければならない温度によって特徴付けられる。所望により、溶融物質は熱いうちにキャーストしそして冷却及びゲルフィルムがゲル組成物によって形成されるまで固体をさらに濃縮するために乾燥する(調節された湿分除去)ことが可能である。熱可逆性ゲルフィルムの融点はそのゲル化温度より高い。
【0032】
均一な、熱可逆性の本発明のゲルフィルムは所望により可塑剤、第二のフィルム形成剤、増量剤及びpH調節剤の少なくとも一つを含むことができる。ゲルフィルムに添加される成分及びそれらの量は、カッパー−2ゲルフィルムの所望の使用によって変化することができる。
【0033】
そのような可塑剤の例としては、グリセリン、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、コーンスターチ、フラクトース、ポリデキストローズのようなポリオール及びプロピレングリコール及びポリエチレングリコールのようなポリアルキレングリコールを包含する。可塑剤の量はゲルフィルムの使用及びその所望の弾性に依って変えることができる。例えば、そのような可塑剤は、もし、より弾性をもつゲルフィルムが望まれる、例えばソフトカプセルを作るために使用されるフィルムでは乾燥フィルム中の水を含む全ての成分の重量基準で、一般には少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%の量で使用できる。その他の用途に対しては、ハードカプセルのような弾性の少ないフィルムが望まれる場合は、可塑剤は乾燥フィルム中の全成分の重量基準で0%から20%の量で存在できる。本発明のゲルフィルムが可塑剤を全く含まないことも可能である。
【0034】
本発明で使用できる第二のフィルム形成剤の例としては、デンプン、デンプンヒドロジレート、デンプン誘導体、耐消化性マルトデキストリン、セルロースガム、ヒドロコロイド、アルキルセルロースエーテル又は変性アルキルセルロースエーテルの少なくとも一つを含む。ヒドロコロイドの例としては、カッパーカラギーナン;イオーターカラギーナン;低下した分子量(例えば、1.5%塩化ナトリウム水溶液中75℃で20cps以下の抽出粘度をもつ)をもつカッパー及びイオーターカラギーナン;アルギン酸カリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム及びプロピレングリコールアルギネートを含むアルギネート;低粘度グアールガムのようなポリマンナンガム(例えば、一般的に25℃で水中1wt%で測定したとき約1000mPs以下);プルラン、ゲラン(高及び低アシルゲランを含む);ペクチン及びそれらの不完全変性バージョン及びそれらの組み合わせの少なくとも一つを含む。本発明で使用できるアルキルセルロースエーテルの例はヒドロキシエチルセルロースである。本発明で使用できる変性アルキルセルロースエーテルの例としては、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを包含する。カッパー−2カラギーナンはゲルフィルム中でフィルム形成剤のみであることができる。本発明のゲルフィルムが第二のフィルム形成剤を含むときは、カッパー−2カラギーナンは、乾燥ゲルフィルム中の合計フィルム形成剤の重量基準で、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%又は少なくとも80%の量で存在することができる。乾燥したフィルムはこの明細書内で記載されるときは、キャーストフィルムの調節された残留形態である。カッパー−2カラギーナン、及び所望により、加工のためのデンプン、ポリオール及び水のような成分の組み合わせは、散布され、水和され、溶解させられそして、所望により、記載されたプロセスオプション内で脱気される。得られる均一な物質はキャーストされるか又は所望の固体レベルで成形される(意図する最終製品を達成するために必要である)。キャースト系は重力又は調節された力によって成形され、そして引き続き直ちにさらに加工する(ソフトゲルカプセル製造のような)か或いはキャースト物質は、均一化のためにそして所望の湿分レベルに到達するまで調節された水の除去のために種々の方法を使用してさらに加工される。キャースト系からの調節された水の除去は、さらにフィルム特性を強化できる濃密な構造に、均一なフィルム成分の強化/配列をさらに可能にする。湿分除去は種々のヒドロコロイド及び炭水化物成分の分子表面に捕捉されていない湿分に限定される。脱水/脱水和プロセスで採用される種々の乾燥方法に支配されるが、元のキャーストフィルムがさらなる重量ロスがないときに乾燥したフィルムが達成される。一定レベルまでの湿分含量の減少はまたフィルムに安定性を与えそして、所望により、水活性としてのその内容物(もし取り込まれ捕捉されているなら)もまたそのプロセスによって低下する。得られるキャーストフィルムは完全に乾燥されるか又は最終製品の使用及び機能に依って、キャーストフィルムの湿分レベルと最大乾燥した湿分レベルの間で保持された中間の湿分であることが理解される。
【0035】
増量剤の例としては、非−コロイド状(植物源)セルロース、ミクロ結晶質(植物源)セルロース、ミクロ結晶質デンプン、変性した及び未変性のデンプン、デンプン誘導体及び部分、イニュリン、耐消化性マルトデキストリン、デンプンヒドロジレート、蔗糖、コーンシロップ及びポリデキストローズを包含する。ここで使用するとき及び特許請求の範囲においては、用語“変性デンプン”はヒドロキシプロピル化したデンプン、酸処理したデンプン、等々のようなデンプンを含む。本発明で使用できる変性デンプンの例としては、ピュアコート(商標)B760、B790、B793、B795、M250及びM180、ピュアデント(商標)B890及びピュアセット(商標)B965、全てはアイオワのグレインプロセシングコーポレーションから市販されている、及びセレスターインク社から市販されているCアラテックス(商標)75701を包含する。デンプンヒドロジレートの例としては、デキストリンとして知られているマルトデキストリンを含む。本発明で使用できる耐消化性マルトデキストリンの例としては、アメリカのアーチャーダニエル社から市販されているファイバーゾル−2を含む。ポテトデンプンのような未変性デンプンもまた、本発明の範囲内のヒドロコロイドと組み合わせたときはフィルム強度に貢献する。一般に、変性デンプンは、デンプンの化学処理によって調製された製品、例えば、酸処理デンプン、酵素処理デンプン、酸化されたデンプン、クロスボンドデンプン、及びその他のデンプン誘導体である。側鎖間の強い相互作用でより複雑な構造を形成する親水性基又は疎水性基で側鎖が変性されるような変性デンプンを導き出すことが好ましい。
【0036】
本発明で使用される増量剤の量は、乾燥フィルムの重量基準で一般には0から20%の量であるが、もし望むなら、より多くが使用でき、例えば、少なくとも20%、より好ましくは乾燥フィルムの重量基準で少なくとも30%の量である。
【0037】
デンプン、デンプン誘導体、耐消化性マルトデキストリン及びデンプンヒドロジレートは多機能性であることに注目してほしい。即ち、増量剤として使用されるのに加えて、それらは第二のフィルム形成剤として使用できる。増量剤及び第二のフィルム形成剤として使用するときは、用途;例えば、ソフトカプセルにも依るが、乾燥ゲルフィルムの重量基準で、それらは一般的には少なくとも10%、好ましくは、少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%の量で使用される。
【0038】
所望により本発明で使用できるpH調節剤の例としては、水酸化物のような塩基、炭酸塩、クエン酸塩及びリン酸塩、それらの混合物及びそれらの塩(例えば、クエン酸ナトリウム)を包含する。pH調節剤は、カリウム又はナトリウムのような添加された便利なカチオン源として選ぶことができる。いくつかの組成物に対しては、pH調節剤はゲルフィルムの安定性を改善するために使用することができる。pH調節剤の量は一般的には0から4%、好ましくは0から2%の量である。本発明のゲルフィルムはまた、可塑剤、増量剤、第二のフィルム形成剤、等々のような他の成分が存在しても存在しなくても、着色剤及び/又は蔗糖、コーンシロップ、フラクトース、サクロース、等々のような調味料、及び/又はアントシアニンのような抗酸化剤を含むことができる。本発明のゲルフィルムの一態様は、カッパー−2カラギーナン、風味料及び水を高固体系;例えば50%、60%、65%、75%、80%、85%、90%以上の固体中に含む。
【0039】
本発明の乾燥ゲルフィルム(例えば、80%固体又はそれ以上)は、例えば、テキスチャーアナライザーTA−108Sミニフィルムテストリグを使用して決定したとき、少なくとも2,500g、少なくとも4,000gの破壊力をもつことが見出された。より少ない固体では、ゲルフィルムは、同様の方法で決定したとき、少なくとも50g、少なくとも100g、少なくとも200g、少なくとも500g、少なくとも1000gの破壊力をもつことが見出された。本発明のフィルムは、ゲルフィルムの全ての成分の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%及び少なくとも90%の固体含量をもつことが見出された。15%、10%又は5%の水がゲルフィルム中の固体と強く結びついて残ることは理解すべきである。
【0040】
ソフトカプセル用に一般に使用される乾燥フィルムの厚みは、0.5から3.0mm、より好ましくは0.8から1.2mmの範囲である。
本発明のゲルフィルムが非熱可逆性ガムを含むことは可能である。しかしながら、本発明の均一なそして熱可逆性的性質に悪影響を与えないためには、そのような非熱可逆性ガムはカッパー−2カラギーナンの50重量%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下の量で存在すべきである。そのような非熱可逆性ガムの例としては、カルシウム固定(例えば、架橋した)ペクチン及び/又はアルギネートのような架橋した(及び部分架橋した)ガムを含む。カルシウム反応性アルギネート及びペクチンは、その精製不十分な形態と同様に、二価カチオンが存在しないと熱可逆性ガムと見做される。トラガカンスガムのようなその他の非熱可逆性ガムは、その構造体内に水を吸収することによってカッパー−2カラギーナンの熱可逆性に寄与し、それによって、少ない水に溶解するとき、カッパー−2カラギーナンを濃厚な三次元構造を形成させ、第二のフィルム形成剤なしでカッパー−2カラギーナン量を増加させるのと同じ効果を与える。ポリマンナンのような追加のフィルム形成剤は、それ自身によって又は活性化及びキャストプロセスの過程で他の成分と相乗作用的に連続ネットワークを形成できる。これらのポリマンナンは所望により種々の分子量(それらの鎖長さ/サイズに関係する)で使用することができ、それは溶融物質及びフィルム形成のプロセスに実質上影響すること無しでそれらの使用を可能にする。
【0041】
本発明のカッパー−2カラギーナンゲルフィルムは一般的には、組成物の均一な溶融体及び冷却によるゲルの形成を与えるのに十分な高いせん断、温度(ゲル化温度以上)、真空制御及び滞留時間を可能にする装置を使用するプロセスから作られる。そのような装置としては、限定はしないが、ローズミキサー、ステファンプロセッサー、在来のジェットクッカー及び押出機を包含する。ローズミキサー、ステファンプロセッサー、押出機、在来のジェットクッカーは市場で容易に入手できる。冷却の前に、溶融物質はまたポンプ、ミキサー又は蒸発機の少なくとも一つに供給することができる。そのような機能のいずれか一つを達成する装置の例は押出機である。押出された溶融物質はまた、連続フィルムの均一なキャスティングを助け、又はダイを通して、溶融物質運搬装置からフィルムを直接成形させるフィルム形成装置又は形状化装置(例えば、カプセル形成機で使用するとき、開又は閉スプレッダーボックス又はダイ)に向けることができる。制限された流れ/ゲル構造形成の開始において溶融物質を維持するために注意が払われなくてはならない。押出機(限定流れ、フィルム形成装置)又はダイのような、キャースティングロール上又は他のフィルム形成点で、所望のゲルフィルム形成が開始されるまで、断熱されそして予熱された(適切な温度を維持するために)移動ホースが溶融物質流れを確実にするために使用される。追加の加工方法(ローズプロセス系で見られるような排出/プランジャー状ヘッドを予熱するような)は、上述の移動ホースを通して溶融物質を押し出す(圧力によって)ことができる。追加の隔壁は、例えば、混合装置を取り除いた後直ちに溶融物質表面上に最初に置かれたテフロンディスクの使用によって、溶融物質温度を維持するのを助けることができる。さらに、供給ホースは、直接カプセル機上に置かれた熱調節した溶融物質供給機(キャースティング)ボックスに導入することができ、又は所望による変形をした供給機ボックスに導入することができ、それは、カプセルのためのフィルム形成の拡張プロセスの過程で、供給機ボックス内の溶融物質温度維持を助け、湿分ロスを低下させ、そしてボックスの均一(中心)充填を維持する、頂部の半分の覆い/カバーを導入する。溶融物質温度を維持するその他の方法がカプセルのためのフィルム形成に使用できることは理解すべきである。これは、限定はしないが、ダイ/オリフィスを通して溶融物質をフィルムに押し出すことを含み、フィルムは直ちにカプセル形成装置に供給され、必要となるまで、適切なフィルム条件(カプセルを形成するための)を維持する温度で保存され、所望の湿分、固体及び形状レベルに必要となるまで乾燥される。そのような乾燥フィルムは、そのゲルフィルムマトリックスを通して再吸水性的な性質(水はいずれかの手段によって導入される)をもっている。湿分は所望の湿分含量までフィルムに導入されそして強度/形状は、ソフトカプセルを作るためのカプセル機にフィルムの導入を可能にするまでに到達する。均一な溶融物質は、物質がさらに移動されるまで(溶融物質がキャーストされ、成形され、ゲルに冷却され、そして引用された用途のために使用され又は加工される領域に加熱したホースを通してポンプの使用によって全てを転送するのに十分な温度で)加熱した容器又は保持タンクに移送することができることもまた理解できる。
【0042】
本発明のカッパー−2カラギーナンゲルフィルムからソフトカプセルを製造するための方法としては、如何なる在来のカプセル化装置、例えば、在来のロータリーダイ装置又は凹面のスタンピングダイの使用を含む。例えば、本発明の溶融物質が一旦作られると、それはドラムに投入され、冷却されそしてそれからロータリーカプセル化ダイ間に供給され、そこでフィルムは再び加熱され、充填され、シールされそして切断される。この在来プロセスの十分な記載については特許文献9を参照されたい。代替として、そして在来のソフトカプセルプロセスに対する本発明の利点としては、上述の高せん断装置の使用は溶融物質を十分に水和することを可能にし、それらが冷却してそれから充填、シール、及び切断のために在来のカプセル化装置に供給されるときに、ドラムに適用することを可能にする。この連続タイプのプロセスは、完全にゲル化しそして冷却されたフィルムを再加熱しなければならない工程を削除するために使用できる。上述のロータリーダイプロセスは、所望の形状をもつ本発明のソフトカプセルを作るために使用できる。
【0043】
ソフトカプセルのための充填物質は、上述のロータリーダイプロセスで広範囲に使用される物質であることができ、薬学成分、農業成分、機能性成分、獣医学成分、食品、化粧品、パーソナルケア製品、工業製品等々を含み、そして液体、固体、懸濁物、分散物、等々であることができる。
【0044】
本発明はまた、本発明の均一な、熱可逆性ゲルフィルムによってカプセル化された充填物質からなる固形体に関する。そのような固形体の一つのタイプはハードカプセルである。ハードカプセルは、ここで使用されるときは、従来から使用されている固形体、例えば、薬品工業で、二つの半分の外皮が形成され、充填物質、通常粉末が外皮内に置かれそして二つの半分がハードカプセルを形成するために一緒に置かれていることを意味する。そのようなハードカプセルをつくるための一つの方法は、典型的には、金属のピン又は棒を、本発明の溶融組成物中に浸漬しそしてピンの回りにゲルフィルムを形成させることを含む。ゲルフィルムを乾燥しそれからピンから取り外す。これらの方法はハードカプセルを作る方法として工業的に公知である。ハードカプセルのための充填物質は、そのような投与形態で通常使用される如何なる充填物質であってもよい。一般的には、充填物質は液体(エマルジョンを含む)又は粉末のような固体であることができる。充填物質は薬品成分、農業成分、機能性成分、獣医学成分、食品、化粧品、等々であることができる。固形体はまた粉末、タブレット、キャップレット、マイクロカプセル又は公知の技術に従ったカプセルをカプセル化している。例えば、本発明のゲルフィルムでハードカプセルをカプセル化することは、安全なシール/耐タンパー性を可能にする。
【0045】
ゲルフィルムはまた投与形態の溶解プロフィールを変更するために使用することができる。例えば、本発明のゲルフィルムは、急速放出、調節された、腸内又は遅延放出能力をもつ固体投与形を作り出すことができる又は公知の事象、条件又は方法による活性化によって放出できる添加成分を含むことができる。“急速放出”、“遅延放出”及び“腸内”は非特許文献4に見出すことができそしてここでは参照として取り込まれている。
【0046】
本発明は以下の実施例を参照することによってより詳細に説明するが、本発明はそれによって限定されると見做してはならないことは理解すべきである。ここでは、特に断りのない限り、全ての部、パーセント、比及びその類似物は重量基準である。
〔実施例〕
以下は、本発明のカッパー−2カラギーナン組成物の調製実施例である。
【0047】
【表1】

【0048】
性質はサンプル毎に決定し表に示す。ガム含量として回収されたガムはカッパー−2カラギーナンである。ガム含量は以下の方法によって決定される:カッパー−2カラギーナン組成物の1gサンプルを、60%イソプロパノール(重量基準で60%のイソプロパノールと40%の水の混合物)1,000ml中にNaEDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸)5gを含むアルコール/EDTA溶液200mlで混合し、そして2時間攪拌し;65%イソプロパノール(重量基準で65%のイソプロパノールと35%の水の混合物)の相次ぐ添加でサンプルを洗浄(それぞれ約50mlで二回洗浄)してNaEDTAを取り除く。洗浄後に残ったガムサンプルを、オーブン中で60℃で少なくとも30分間乾燥し、そしてそれから真空オーブン中で70℃で一昼夜乾燥し、そしてデシケーター中で室温まで冷却した。回収したガムを秤量しそしてガム含量を回収パーセントとして計算する。表で与えられるwt%は、カッパー−2組成物中の全ての成分の合計重量基準のwt%である。カチオン濃度は原子吸収(AA)スペクトロスコピーによって決定した。塩素濃度は滴定によって決定した。湿分含量は、真空オーブン中で70℃で一昼夜乾燥することによって決定した。カッパー−2カラギーナン組成物の粘度は、ブルックフィールドLVF粘度計をスピンドル#1、30rpmで使用して1.5%水溶液に対して75℃で決定した。
【0049】
本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、熟練した当業者にとっては、種々の変更や修正は本発明の精神と範囲から逸脱すること無しで可能であることは明白であろう。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の組成物は、均一なゲルフィルム、運搬システム、障壁、徐放系、ハードカプセル、ソフトカプセルのような口腔投与体、包み込まれた固体物質(粉末、集合体のような)、食品、農業製品、ペイントボールのような工業製品及び種々の基材に対するコーティング剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)カッパー−2カラギーナン、(ii)組成物中の全てのカチオン重量基準で少なくとも70%のナトリウム、及び(iii)組成物の重量基準で0−25%の量で存在する遊離塩、からなり、20cpsから40cpsの粘度をもつカッパー−2カラギーナン組成物。
【請求項2】
該組成物が20cpsから36cpsの粘度をもつ請求項1記載のカッパー−2カラギーナン組成物。
【請求項3】
ナトリウムカチオンが、該組成物のカチオンの重量基準で少なくとも75%の量で存在する請求項1記載のカッパー−2カラギーナン組成物。
【請求項4】
ナトリウムカチオンが、該組成物のカチオンの重量基準で少なくとも80%の量で存在する請求項1記載のカッパー−2カラギーナン組成物。
【請求項5】
ナトリウムカチオンが、該組成物のカチオンの重量基準で少なくとも85%の量で存在する請求項1記載のカッパー−2カラギーナン組成物。
【請求項6】
ナトリウムカチオンが、該組成物のカチオンの重量基準で少なくとも90%の量で存在する請求項1記載のカッパー−2カラギーナン組成物。
【請求項7】
ナトリウムカチオンが、該組成物のカチオンの重量基準で少なくとも92%の量で存在する請求項1記載のカッパー−2カラギーナン組成物。
【請求項8】
ナトリウムカチオンが、該組成物のカチオンの重量基準で少なくとも95%の量で存在する請求項1記載のカッパー−2カラギーナン組成物。
【請求項9】
ナトリウムカチオンが、該組成物のカチオンの重量基準で少なくとも98%の量で存在する請求項1記載のカッパー−2カラギーナン組成物。
【請求項10】
遊離塩が該組成物の重量基準で0−20%の量で存在する請求項1記載のカッパー−2カラギーナン組成物。
【請求項11】
遊離塩が該組成物の重量基準で0−15%の量で存在する請求項1記載のカッパー−2カラギーナン組成物。
【請求項12】
遊離塩が該組成物の重量基準で0−10%の量で存在する請求項1記載のカッパー−2カラギーナン組成物。
【請求項13】
遊離塩が該組成物の重量基準で0−8%の量で存在する請求項1記載のカッパー−2カラギーナン組成物。
【請求項14】
遊離塩が該組成物の重量基準で0−5%の量で存在する請求項1記載のカッパー−2カラギーナン組成物。
【請求項15】
遊離塩が該組成物の重量基準で0−2%の量で存在する請求項1記載のカッパー−2カラギーナン組成物。
【請求項16】
遊離塩がカルシウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム及び塩素の少なくとも一つからなる請求項1記載のカッパー−2カラギーナン組成物。
【請求項17】
請求項1−16のいずれか一項に記載のカッパー−2カラギーナン組成物からなる均一な、熱可逆性ゲルフィルムによってカプセル化された充填物質からなる固形体。
【請求項18】
固形体がソフトカプセル又はハードカプセルである請求項17記載の固形体。
【請求項19】
該充填物質が粉末、タブレット、キャップレット、マイクロカプセル又はカプセルからなる請求項17記載の固形体。
【請求項20】
請求項1−16のいずれか一項に記載のカッパー−2カラギーナン組成物のフィルム形成量及び、所望により、少なくとも一つの可塑剤、第二のフィルム形成剤、増量剤、及びpH調節剤からなる均一な、熱可逆性ゲルフィルム。
【請求項21】
請求項1−16のいずれか一項に記載のカッパー−2カラギーナン組成物からなるコーティング組成物。

【公表番号】特表2009−540053(P2009−540053A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514358(P2009−514358)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/013335
【国際公開番号】WO2007/146004
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(391022452)エフ エム シー コーポレーション (74)
【氏名又は名称原語表記】FMC CORPORATION
【Fターム(参考)】