説明

カップホルダ

【課題】 背の高いペットボトルのような容器に対しても高い保持力を有し、かつ、設置スペースを大きく取ることのないカップホルダとすることを課題とする。
【解決手段】 蓋体の裏面にホルダ部が設けられた回転式のカップホルダであって、蓋体の開閉に伴い、ホルダ部から離反するように付勢されて、ホルダ部に一端を枢軸されたサポート部が昇降する。収納スペースを大きくしなくとも、背の高い容器のホールド性が高いカップホルダとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はカップホルダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、車室内にカップホルダが設けられている。このようなカップホルダは、スライド式、回転式等、様々なものが提案されている。
【0003】
このうち回転式のカップホルダは、未使用時にはインストルメントパネル等に設けた開口部に収納されており、使用時には開口部を覆う蓋体が軸を中心にして蓋体を回転させ、蓋体裏面に設けられた載置部を表出させるものがある(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−299430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような回転式のカップホルダにペットボトルのような背の高い容器を載置する場合は、容器のホールド性を高めるためにカップホルダの高さを高くすることが考えられる。しかし、カップホルダの高さを高くすると、蓋体の収納時における奥行きスペースが必要となり、カップホルダの設置個所に制約が生じてしまう。そこで特許文献1に記載の技術では、飲料を乗せると高さが上昇するカップホルダが開示されている。しかし、この技術では飲料の自重により昇降壁部材が上昇するものであり、自重が作用しない、飲料が少なくなった場合等には昇降壁部材を上昇させて、高さ方向のホールド性を高めることができないという問題がある。
【0005】
そこで本発明の目的は、上記の問題点を解消し、未使用時における収納スペースが小さくできると共に、使用時には常時、高いホールド性を有する回転式のカップホルダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明では、車両部材に開閉可能に設けられた蓋体の裏面側に容器を収容するホルダ部が設けられたカップホルダであって、前記ホルダ部には付勢手段によりホルダ部から離反方向に付勢されたサポート部が軸支されており、前記サポート部は蓋体の開時に付勢力により上昇し、蓋体の閉時には付勢力に抗してホルダ部へ近接して収納されることを特徴とする。
【0007】
この発明によると、蓋体の閉時にはサポート部は付勢力に抗して、ホルダ部側に近接した状態で配置されている。そしてカップホルダの使用時には、蓋体の開動に伴い付勢力が作用して、サポート部がホルダ部から離反する。蓋体が展開し、カップホルダとして使用可能となった状態では、サポート部の軸支端部の他端側は付勢手段により上昇し、常に高さ方向のサポート力が高いカップホルダとすることができる。また、未使用時にはサポート部がホルダ部に近接して収納されているため、カップホルダの設置スペースに奥行きを要することがない。また、サポート部の昇降は蓋体の開閉に伴う付勢力の作用によるものなので、従来のように飲料の自重作用が働かなくともサポート部の高さをあげることができる。
また、請求項2に記載の発明では前記サポート部と前記ホルダ部との間には、前記ホルダ部から離反するように付勢されたストッパ部が軸支されており、前記ストッパ部は蓋体の開状態で前記サポート部に下方から係合してサポート部が降下することを防止することを特徴とする。
この発明によると、カップホルダの使用時にサポート部に対し下方向に荷重が作用した場合でもサポート部の上昇位置を安定的に維持することができる。よって、サポート力の信頼性に優れたものとすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、カップホルダの収納スペースを大きくすることなく、背の高い容器に対しても保持力に優れた回転式カップホルダを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を具体化した実施の形態について、図に基づき説明する。なお、説明における前後及び上下方向については車両における方向と同じものとする。
【0010】
図1は、本発明に係るカップホルダの構成を示す分解図である。この実施の形態のカップホルダは、コンソールボックスの後面に取り付けられて、後部座席にて使用されるものである。コンソールボックスの後面にはカップホルダを収納する空間が設けられており、この空間内に図示しない固定手段により固定されるパネル部1と、パネル部の下部に回転可能に軸支されてパネル部と連結された蓋体2とから本発明のカップホルダが構成されている。パネル部1は後方に開放した開口10を有する箱状を成しており、この開口内にカップホルダ本体20が収納される。蓋体2は閉じた状態でパネル部の開口10を塞ぎ、コンソールボックスの後面と面一となる表面部23を有するアウター21と、カップ載置部25を有するホルダ部22とよりなる。アウターの裏面には爪24が一体形成されており、ホルダ部22のアウター21側に面する図示しない爪保持部に爪を挿入係止させ、アウター21とホルダ部22が一体となって蓋体2を構成している。
【0011】
また、ホルダ部22の側面にはパネル部1との連結端側に第1軸27が外方に向け突設している。一方、パネル部1には第1軸が挿入される軸孔11が設けられている。また、第1軸27の近傍には案内軸28が突設形成されており、パネル部1の対応個所に設けられたガイド溝12に係合して、蓋体2の開閉動作を案内する機能を果たしている。さらに、ホルダ部には蓋体の開時における後方が開放したカップ載置部25が凹設されている。このカップ載置部25の前方には、後述するサポート部3の第2軸33が係合する軸受け部26が形成されている。
【0012】
カップ載置部25内にはカップ載置部を左右に二分するようにサポート部3が設けられている。サポート部3は蓋体開状態における前後方向に渡って伸びる支持部31及び、支持部後端で左右に伸びるアーム部32とから略T字状をなして構成されている。また支持部31は上面34及び左右面とよりなり、内部に支持部空間36を有する断面コの字状を成している。このサポート部3によりカップ載置部25が二分され、左右にそれぞれ容器を保持することができるようになっている。サポート部3の支持部31前端には、前述のカップ載置部25に設けられた軸受け部26に軸支される第2軸33が突設して設けられている。この第2軸33にはシャフト5を介して付勢手段としてのコイルバネ4が外嵌され、コイルバネ4は一端がサポート部3に係止され、他端を軸受け部26に係止されている。コイルバネ4は常時、蓋体2から離反するように付勢されており、蓋体2の閉時には付勢力に抗して、サポート部3はホルダ部22のカップ載置部25内に収められている(図2参照)。
上記のように構成されたカップホルダの使用時について説明する。図2に示すように、カップホルダの未使用時には蓋体2が閉じられ、コンソールボックスの後面に面一となってカップホルダ本体20が収納されている。このとき、コイルバネ4はその付勢力に抗して圧縮され、サポート部3がホルダ部22に近接して、ホルダ部22と共にパネル部1内の箱状空間内に収められている。カップホルダ使用時には、蓋体2のパネル部1との図示しないロックを解除し、蓋体2をホルダ部22の第1軸27を中心に回転させ、蓋体2をフロアパネル上に載置して、パネル部1内に収納された状態からカップホルダ本体20を引き出す。このとき、蓋体2は前述の案内軸28がガイド溝12に沿って回動するため、スムーズな安定した開動作を行なう。蓋体2の開動に伴い、コイルバネ4の圧縮力が開放されて、ホルダ部22に近接した状態のサポート部3がホルダ部22から離反するように上昇する(図3参照)。
【0013】
また、カップホルダ本体20を収納する際は、蓋体2をパネル部1の開口へ近づけるように第1軸27を中心に回転させ、サポート部3及びホルダ部22をパネル部1の開口内に収納する。閉動作に伴いサポート部3がパネル部1の底面に当接し、コイルバネ4が圧縮されて、ホルダ部22とサポート部3との距離が縮まって両者が近接する。さらに閉動作が進むと、サポート部3はホルダ部22内に下降して収納された状態で蓋体2が閉じられ、カップホルダ本体20が収納される。こうしてサポート部3がコイルバネ4の付勢力に抗してホルダ部22に収容されカップホルダ本体20が開口内に収納されるので、図2に示すパネル部1の開口の奥行き(h)は、図3に示すサポート部3の上昇高さ(h’)を収容するだけの奥行きを必要とせず、小さくすることができる。つまり、カップホルダ本体20の収納部を小さくすることができるため、カップホルダ設置個所の制限が低減され、設置自由度の高いカップホルダとすることができる。
【0014】
また、使用時には蓋体2の開動によりコイルバネ4の圧縮力が開放され、サポート部3が上昇して、高さ方向のホールド性を高めることができる。よって、奥行きスペースを大きく確保しなくとも、ペットボトルのような背の高い容器を保持することができる。このサポート部3の上昇及び下降動作は、蓋体2の開閉に伴った付勢力の作用によるものなので、容器の自重によることなく、カップホルダ使用時(蓋体開時)には常に保持力の高いカップホルダとすることができる。
【0015】
(実施例2)図4に本発明に係る更に別の実施形態を表す。なお、前述の実施例と異なる点についてのみ説明する。なお図4においては蓋体の閉時を2点鎖線で、蓋体開時を実線で表している。蓋体2が開時の図に示すようにサポート部3の上面34には貫通孔37が設けられている。更に支持部空間36とホルダ部22との間には、ホルダ部22との間にバネ6を介してストッパ部7が軸支されている。ストッパ部7はホルダ部22に軸支される脚部71と、脚部71の軸支部他端部側に頭部72を有し、頭部72には係止部73としての切欠きが形成されている。このバネ6もまた、ストッパ部7をホルダ部22から離反するように付勢されており、蓋体2の開時には付勢力により脚部71が起立し、頭部72が貫通孔37に挿入されると共に、係止部73が貫通孔37の開口端部に係合するように構成されている。
【0016】
一方、閉時を示す図に示すように、パネル部の底面には収納空間内に向けて立設する押圧栓13が設けられており、蓋体が閉じた状態では、押圧栓13がサポート部3に設けられた貫通孔37に挿入するように構成されている。押圧栓13が貫通孔37に挿入されることにより、バネ6の付勢力に抗してストッパ部7はホルダ部22側へ押圧され、サポート部3とホルダ部22との間に設けられた支持部空間36内に押し込められるように収納されることで、係止部73が貫通孔37周縁から外れ、サポート部3がホルダ部22に近接可能となる。
【0017】
この実施例のカップホルダの作用を説明する。蓋体2の開動に伴い、実施例1と同様にサポート部3がコイルバネ4の付勢力により上昇する。これと同時に、サポート部3の上昇に伴い、バネ6の付勢力が作用して、支持部空間36を広げる様にストッパ部7が起立状態となる。この状態でストッパ部7の頭部72が支持部31の上面34の貫通孔37に挿入され、係止部73が貫通孔37の開口端部に係合する。こうして、ストッパ部7がサポート部3の支持部31を裏面から持ち上げ保持することにより、サポート部3の上昇位置を維持することができる。このため、サポート部3に上方から荷重がかかった場合でも、サポート部3が下降するのを防止でき、より確実なホールド性を維持することができる。
【0018】
このように、この実施例2においても、実施例1と同様、高さ方向のホールド性の高いカップホルダを収容空間を小さくして得ることができる。更に、サポート部3が上昇位置から降下してホールド性が低下するのをストッパ部7により防止できるため、確実にサポート部3の上昇位置を保持でき、よりホールド力の信頼性が高いカップホルダとすることができる。
また、図示しないが、サポート部から左右に伸びるアーム部32に、外方に向かって突出する第2案内軸及びホルダ部22のカップ載置部25の側面に、前記第2案内軸を挿入する第2ガイド溝を設けることもできる。この第2案内機構によりサポート部の昇降運動を安定して行なうことができる。
上記のごとく、本発明のカップホルダによると収納空間を大きく要することなく、高さ方向のホールド性が高いカップホルダとすることができる。収納空間を大きく要しないため、車室内での設置個所の自由度が得られ、汎用性の高いカップホルダとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明にかかるカップホルダの構成を表す分解図である。
【図2】本発明にかかるカップホルダの収納時を示す断面図である。
【図3】本発明にかかるカップホルダの使用時を示す断面図である。
【図4】本発明にかかるカップホルダの第2実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
1・・・パネル、2・・・蓋体、21・・・アウター、22・・・ホルダ部、3・・・サポート部、20・・・カップホルダ本体、4・・・コイルスプリング、5・・・シャフト、6・・・バネ、7・・・ストッパ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両部材に開閉可能に設けられた蓋体の裏面側に容器を収容するホルダ部が設けられたカップホルダであって、前記ホルダ部には付勢手段によりホルダ部から離反方向に付勢されたサポート部が軸支されており、前記サポート部は蓋体の開時に付勢力により上昇し、蓋体の閉時には付勢力に抗してホルダ部へ近接して収納されることを特徴とするカップホルダ。
【請求項2】
前記サポート部と前記ホルダ部との間には、前記ホルダ部から離反するように付勢されたストッパ部が軸支されており、前記ストッパ部は蓋体の開状態で前記サポート部に下方から係合してサポート部が降下することを防止することを特徴とする請求項1に記載のカップホルダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−290536(P2007−290536A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−120559(P2006−120559)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】