説明

カップ供給装置

【課題】カップホルダー内のカップを確実に1個ずつ下方に取り出して、良好にカップを供給することができるカップ供給装置を提供する。
【解決手段】このカップ供給装置は、上方位置に配設され、上下に反転した複数のカップを縦に積層して保持するカップホルダー1と、カップホルダーに保持されたカップ群の最下位のカップ内に、吸着ノズル20を挿入してカップを吸着し、吸着ノズルを下降させて最下位のカップをカップホルダーから取り出し、反転させる昇降反転部2と、を備える。カップホルダー1の下部にカップ群を支持する支持部10が設けられる共に、支持部10にはカップの平面形状より小形のカップ取出開口部11が設けられ、カップ取出開口部の周縁部に複数の支持爪13がカップの縁部を支持するために内側に向けて突設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップケーキなどの菓子を製造する際等に使用するカップの供給装置に関し、特に、紙製のカップを確実に1個づつ良好に供給し得るカップ供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、カップケーキなどの菓子を製造する際、グラシン紙などから成形された紙製のカップを、コンベヤなどの焼き型上に、1個ずつ並べて供給するカップ供給装置が、下記特許文献1などで知られている。
【0003】
この種のカップ供給装置は、縦型のカップホルダー内に、多数の紙製のカップを重ねて積層し、且つ底部を上とし上部を下にする反転状態で、それらのカップを収納し、カップホルダーの下方に、吸着ノズルを上下動可能で且つ上下に反転可能に配設して構成される。
【0004】
このカップ供給装置は、カップホルダーに収納されたカップを、下方のコンベヤ上に1個づつ供給する場合、先ず、吸着ノズルを上昇させて、カップホルダー内の最下位のカップの内側に進入させ、吸着ノズルから空気を吸引して、吸着ノズル上に最下位のカップを吸着させる。次に、この吸着状態で、吸着ノズルを下降させた後、180度上下方向に反転させ、さらにコンベヤ上まで下降して、吸着ノズルの吸着を停止し、カップをコンベヤ上に載置するように動作する。
【特許文献1】特開平10−29726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のこの種のカップ供給装置では、吸着ノズルがカップホルダーからカップを吸着して取り出す際、1個ではなく2個以上のカップを取り出しやすく、また、吸着ノズルが最下位のカップを吸着して取り出した後、カップホルダー側に残留する最下位のカップが落下しやすいという問題があった。
【0006】
すなわち、例えばグラシン紙などの薄紙製のカップは、多数の紙を積層した状態で、周囲にヒダをつけるようにカップ状に成形すると共に、所定の形状に打抜いて製造されるため、複数のカップが個々に分離可能ではあるものの、1個ずつのカップは前後に連結された状態となって、1個ずつのカップが剥離しにくい場合がある。
【0007】
このために、吸着ノズルが最下位のカップを吸着して下降すると、その上の複数のカップが共に付着して取り出される場合があり、また、カップホルダー内の最下位のカップを下方に引き出したとき、カップホルダーに残留する最下位のカップが下方への引き出し力を受け、そのまま落下してしまうという不具合が発生する課題があった。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、カップホルダー内のカップを確実に1個ずつ下方に取り出して、良好にカップを供給することができるカップ供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るカップ供給装置は、上方位置に配設され、上下に反転した複数のカップを縦に積層して保持するカップホルダーと、該カップホルダーに保持されたカップ群の最下位のカップ内に、吸着ノズルを挿入して該カップを吸着し、該吸着ノズルを下降させて該最下位のカップを該カップホルダーから取り出し、反転させる昇降反転部と、を備えたカップ供給装置において、該カップホルダーの下部にカップ群を支持する支持部が設けられる共に、該支持部には該カップの平面形状より小形のカップ取出開口部が設けられ、該カップ取出開口部の周縁部に複数の支持爪が該カップの縁部を支持するために内側に向けて突設され、前記吸着ノズルの基部にはカバー板が該カップ取出開口部と該吸着ノズルとの間を略カバーするように取り付けられたことを特徴とする。
【0010】
本発明のカップ供給装置によれば、昇降反転部に取り付けられた吸着ノズルを上昇させて、カップホルダーの最下位のカップ内に挿入して吸着ノズルを吸着動作させたとき、カバー板によって吸着ノズルの吸着力が最下位のカップに良好に作用してこれを吸着し、このとき、カップの周縁部が内側縮径方向に収縮する。これにより、カップホルダーの支持爪から外れて、最下位のカップのみが吸着ノズルに吸着された状態で取り出される。このとき、カップホルダー内に残留したカップは、支持部の支持爪に確実に支持されて、落下することは防止される。
【0011】
ここで、上記吸着ノズルの基部のカバー板は、前記カップ取出開口部より大形に形成された支持ベース部と該吸着ノズルとの間に取り付けられ、上記カップホルダー側の支持爪を進入させるための凹部を有し、該カバー板が該カップ取出開口部内に進入した状態で、該カバー板と該カップ取出開口部の周縁部との間に僅かな隙間が形成されるように構成することができる。
【0012】
この発明によれば、吸着ノズルの吸着力が最下位のカップに、一層良好に作用してこれを吸着し、カップを縮径方向に収縮させて、カップホルダーの支持爪からカップの周縁部を外し、最下位のカップのみを吸着ノズルに吸着して取り出すことができる。
【0013】
本発明に係るカップ供給装置は、上記カップ供給装置において、上記カップの平面形状が略円形に形成されると共に、上記カップホルダーのカップ取出開口部が略円形に形成され、該カップ取出開口部の周縁部に複数の支持爪が略等間隔に配置されて構成されたことを特徴とする。この発明によれば、略円形のカップを収納したカップホルダーから、最下位のカップのみを吸着ノズルに吸着して良好に取り出すことができる。
【0014】
また、本発明に係るカップ供給装置は、上記カップ供給装置において、上記カップの平面形状が略長円形に形成されると共に、上記カップホルダーのカップ取出開口部が該カップの平面形状に対応した形状に形成され、該カップ取出開口部の平行縁部に支持爪が内側に突き出すように設けられ、上記吸着ノズルの平面形状が略長円形に形成され、上記吸着ノズルの基部のカバー板が該カップ取出開口部内に進入可能に形成され、該カバー板には該支持爪を進入させるための凹部が形成され、吸着ノズルの両側の平行部分に凹部が形成されたことを特徴とする。この発明によれば、略長円形のカップを収納したカップホルダーから、最下位のカップのみを吸着ノズルに吸着して良好に取り出すことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るカップ供給装置によれば、カップホルダーの最下位のカップ内に吸着ノズルを挿入して吸着動作させたとき、カバー板によって吸着ノズルの吸着力が最下位のカップに良好に作用してこれを吸着し、このとき、カップの周縁部が、内側縮径方向に収縮して、カップホルダーの支持爪から外れるため、最下位のカップのみを、吸着ノズルに吸着された状態で、確実に取り出すことができる。またこのとき、カップホルダー内に残留したカップは、支持部の支持爪に確実に支持されるため、残留するカップの落下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1はカップ供給装置の正面図を示し、図2はその左側面図を示している。このカップ供給装置は、上方位置に配設され、上下に反転して伏せた状態とした複数のカップCを、縦に積層して保持するカップホルダー1と、カップホルダー1に積層されて保持されたカップ群の最下位のカップC内に、下側から吸着ノズル20を挿入してカップCを吸着し、吸着ノズル20を下降させて最下位のカップCをカップホルダー1から取り出し、その後、反転させる昇降反転部2と、を備えている。
【0017】
供給されるカップCは、薄いグラシン紙製の円形のカップであり、底部の直径より上縁部の直径を大きくした円形容器状に形成されると共に、その側面にヒダが形成される。この側面のヒダによりその外径が伸縮可能であり、後述の吸着ノズル20により内側から吸着されたとき、縮径する構造となっている。
【0018】
カップ供給装置のベース3には、2本のガイドロッド4が垂直に立設され、そのガイドロッド4の上端部に、カップホルダー1が水平に固定されている。カップホルダー1は、板状の支持部10を鉛直状態のガイドロッド4に対し水平に固定しており、支持部10上に、3列のカップ群を保持する3個のカップ保持部が形成されている。
【0019】
カップ保持部は、3個の他、1個或いは2個、または4個以上形成することもできる。カップ保持部は、図4〜図6に示すように、板状の支持部10の上面に、円形のカップ収納凹部11を形成し、そのカップ収納凹部11の中央に、カップ取出開口部12を形成している。円形のカップ収納凹部11は、カップCの上縁部の外径より少し大きい内径を有して形成され、カップCを反転して伏せた状態で、このカップ収納凹部11内に収納することができる。また、カップ収納凹部11の四隅には、支持棒14が積層された状態のカップ群を保持するように立設されている。
【0020】
図4に示すように、カップ取出開口部12は、カップCの上縁部の外径より少し大きい内径を有して形成される一方、カップ取出開口部12の内側には、複数の(ここでは4個の)支持爪13が内側に突き出すように設けられ、この支持爪13上にカップCを載せて支持するようにしている。
【0021】
この支持爪13は、約45°の角度幅を有し、約90°の間隔で4個突設されているが、その幅と角度はカップCを支持可能な範囲で任意に決めることができる。また、支持爪13の突き出し長は、図4に示すように、カップ取出開口部12の内径の約1/10程度となっているが、カップCが後述の吸着ノズル20に吸着されたとき、その上縁部が縮径し、その縮径によりカップCの上縁部が支持爪13の内側に入り、支持爪13による支持を外れる程度の長さに、支持爪13の突き出し長は、設定される。
【0022】
昇降反転部2は、ノズル保持部として横長の直方体形状の箱状に形成され、片持ち構造とされ、正面図の右端部を回転支持部8によって、水平軸の回りで回動可能に軸支されている。回転支持部8は、ガイドロッド4に対し摺動ガイド部9を介して上下に摺動可能に取り付けられ、図1のように、昇降反転部2の軸部を水平軸の回りで回転可能に軸支している。このように、昇降反転部2は片持ち構造となっているが、昇降反転部2の両側を回転可能に軸支することもできる。
【0023】
回転支持部8の端部に反転駆動部5が取り付けられ、反転駆動部5の駆動により昇降反転部2が水平軸の回りで回転駆動され、上下に反転する構造となっている。反転駆動部5には、圧力空気で作動するロータリーシリンダが使用されるが、電動モータなどを使用することもできる。さらに、回転支持部8の下部にはそれを上下動させるために、昇降駆動部が設けられている。
【0024】
この昇降駆動部は、第1昇降シリンダ6と第2昇降シリンダ7とからなり、第1昇降シリンダ6と第2昇降シリンダ7は、各々2本のピストンロッド6a、7aを上方にまたは下方に突出させて構成される。また、第1昇降シリンダ6と第2昇降シリンダ7は、相互に背面を合わせるように固定され、第1昇降シリンダ6の2本のピストンロッド6aは上方に伸び、第2昇降シリンダ7の2本のピストンロッド7aは下方に伸びる。そして、第1昇降シリンダ6の2本のピストンロッド6aの上端は、回転支持部8の下部に固定され、第2昇降シリンダ7の2本のピストンロッド7aの上端は、ベース3上に固定される。
【0025】
これにより、第1昇降シリンダ6と第2昇降シリンダ7が、各々のピストンロッド6a、7aを引き戻したとき、回転支持部8つまり昇降反転部2は最も下方位置まで下降し、第1昇降シリンダ6が、ピストンロッド6aを押し出したとき、回転支持部8つまり昇降反転部2は、図1のように中間位置の反転可能な位置まで上昇し、さらに、第1昇降シリンダ6と第2昇降シリンダ7が、共にピストンロッド6a,7aを押し出したとき、回転支持部8つまり昇降反転部2は、図3のように最上部まで上昇する。このとき、吸着ノズル20がカップホルダー1の最下位のカップC内に進入し、カップCを吸着する。
【0026】
昇降反転部2の下部(または上部)には、3個の吸着ノズル20が並設状態で突設される。これら3個の吸着ノズル20は、上記カップホルダー1の3個のカップ収納凹部11に対応した位置に配置され、吸着ノズル20が上方を向き、昇降反転部2が上昇したとき、各吸着ノズル20は各カップ収納凹部11のカップ取出開口部12に正確に進入可能となっている。昇降反転部2内には、図示しない吸気通路が形成され、その吸気通路に連通する3本の吸気管が突出する形態で昇降反転部2の上面または下面に取り付けられ、3個の吸気管の先端に各々吸着ノズル20が固定される。
【0027】
吸着ノズル20は、図4〜図6に示すように、カップCの内側形状に類似した形状に且つその内側に進入可能な形状に形成されている。吸着ノズル20の大径部(基部)側の直径は、カップCの上縁部の外径より少し小さく形成され、吸着ノズル20が伏せた状態のカップC内に進入してカップCの周側面(ヒダの部分)を吸着したとき、カップCの周側面(ヒダの部分)が少し縮径されるようになっている。
【0028】
さらに、吸着ノズル20の下部には円板形状の支持ベース部22が設けられ、その支持ベース部22と吸着ノズル20の基部との間に、略円板形状のカバー板21が設けられている。このカバー板21は、図4に示すように、吸着ノズル20が上昇してカップホルダー1のカップ取出開口部12内に進入したとき、僅かな隙間を介して、干渉することなく、進入する形状に形成される。カバー板21の周縁部には、支持爪13に対応した凹部21aが形成されている。
【0029】
すなわち、カップ取出開口部12の内側に突設される、45°の角度幅で90°間隔4個の支持爪13に対しては、それを受け入れるように、4個の凹部21aが、約45°の角度幅90°間隔で形成されている。このカバー板21は、吸着ノズル20が上昇してカップホルダー1のカップ取出開口部12内に進入したとき、吸着ノズル20とカップ取出開口部12との隙間を略塞ぐようにカバーするが、図4に示すように、カバー板21とカップ取出開口部12との間には僅かな隙間が形成されており、干渉することはなく、このカバー板21のみにより、カップ取出開口部12との隙間が完全に塞がれることはなく、僅かな隙間を生じさせるようにしている。
【0030】
また、図5に示すように、吸着ノズル20とカバー板21の基部に、支持ベース部22が取り付けられているが、吸着ノズル20が上昇端まで完全に上昇したとき、この支持ベース部22はカップホルダー1の支持部10の底面に当接することはなく、僅かな隙間を生じて停止し、支持ベース部22と支持部10が干渉することはない。
【0031】
図1に示すように、昇降反転部2の自由端側には、空気チューブ23が回動軸受25を介して接続される。空気チューブ23の先端は図示しない切替バルブを介してブロワの吸気側と送気側に切替可能に接続される。吸着ノズル20が上昇してカップCを吸着する際は、切替バルブが吸引側に切り替えられ、昇降反転部2内の吸気通路から空気を吸引し、3個の吸着ノズル20の吸気孔20aから空気を吸引するようになっている。また、吸着ノズル20が下側に反転して下降し、カップCを吸着ノズル20から離す際には、切替バルブを送気側に切り替え、吸着ノズル20から空気を吹き出すようになっている。また、ベース3と昇降反転部2の間には、カップCを焼き板上に載置して搬送する焼き板式のコンベヤ24が配設されている。
【0032】
次に、上記構成のカップ供給装置の動作を説明する。グラシン紙製の薄いカップCは、積層され伏せた状態で、カップホルダー1のカップ収納凹部11内に収納されている。カップ供給装置が起動すると、図1の状態から、先ず反転駆動部5が作動し、昇降反転部2の水平軸の回りで180°回転し、吸着ノズル20が上向き状態となる。
【0033】
次に、第2昇降シリンダ7がピストンロッド7aを押し出し作動し、これにより、昇降反転部2が上昇し、吸着ノズル20が、図3のように、カップホルダー1の底部のカップ取出開口部12内に進入し、図5のように、最下位のカップC内に進入した状態で停止する。
【0034】
このとき、吸着ノズル20の基部のカバー板21は、図4のように、カップ取出開口部12内に進入し、カバー板21の凹部21aには支持爪13が僅かな隙を介して入り停止する。この状態で、カバー板21とカップ取出開口部12の縁部との間には、僅かな隙間が生じており、干渉することはない。また、このとき、吸着ノズル20の基部の支持ベース部22が、カップホルダー1の支持部10の底部に近接するが、接触干渉することはなく、その間に僅かな隙間が生じている。
【0035】
吸着ノズル20が、カップホルダー1に収納された最下位のカップC内に進入したとき、または進入する前から、図示しない吸気用の切替バルブが作動して吸引動作に入り、吸着ノズル20はその吸気孔20aから空気を吸引する。このような吸着ノズル20の進入時、最下位のカップCの側面と底面に吸引力が作用し、特にカップCのヒダを有する側面は、それより小径の吸着ノズル20の側面に吸引され吸着することにより、カップCの外径が収縮する。これにより、カップCの上縁部が、それを支持するカップホルダー1の支持爪13上からその内側にシフトする。
【0036】
これによって、カップCはカップ取出開口部12を通過可能に縮径された状態となり、この後、直ちに第2昇降シリンダ7がピストンロッド7aを引戻し作動して昇降反転部2が下降し、吸着ノズル20に吸着された最下位のカップCのみが、その上のカップ群から剥離し、カップホルダー1のカップ取出開口部12から取り出される。一方、カップホルダー1に残留したカップ群の最下位のカップCは、その上縁部がカップ収納凹部11内の支持爪13上に支持されるため、カップ取出開口部12からカップCが落下することはなく、カップホルダー1内に保持されることとなる。
【0037】
このように、最下位のカップCが吸着ノズル20に吸着する際、先ず、吸着ノズル20がカップC内に進入し、次に、その基部のカバー板21がカップ取出開口部12内に僅かな隙間を介して進入し、さらに、支持ベース部22がカップホルダー1の支持部10の底部に接近し、最終的にカップCが吸着される上昇端位置に停止し吸着する。このため、非常に短時間の動作ではあるが、カップC内の空気がカバー板21と支持ベース部22の接近により徐々に段階的に吸引されるため、最下位のカップCのみが良好に剥離して内側に収縮し、吸着ノズル20に吸着する。
【0038】
したがって、カップホルダー1内のカップ群から最下位のカップCのみを剥離させて吸着し、取り出すことができる。上記のようなカップの取出動作は、非常に高速で行なうことが可能であり、例えば、吸着ノズル20が上昇しカップCを吸着した状態で下降し取り出すまで、約0.1秒〜0.3秒で取り出すことができる。
【0039】
この後、反転駆動部5が作動して昇降反転部2が上下に180°回転し、吸着ノズル20が図1のように下向き状態となる。そして次に、第1昇降シリンダ6がそのピストンロッド6aを引戻し作動して昇降反転部2が下降し、これにより、吸着ノズル20が下方のコンベヤ24上に達する。このとき、図示しない吸気管の切替バルブが作動して吸気が送気側に切り替わり、吸着ノズル20の吸気孔20aから空気が吹き出される。これにより、吸着ノズル20に吸着されていたカップCはコンベヤ24上に載置される。
【0040】
その後、第1昇降シリンダ6がそのピストンロッド6aを押し出し作動して、昇降反転部2が図1の位置まで上昇し、次に、反転駆動部5が作動して、昇降反転部2が180°上下に反転し、吸着ノズル20が上方を向いた状態となる。そして、再び、第2昇降シリンダ7がそのピストンロッド7aを押し出し作動し、これにより昇降反転部2が上昇して吸着ノズル20が、カップホルダー1のカップ取出開口部12から最下位のカップC内に進入し、上記と同様に、吸引動作を行なう吸着ノズル20に最下位のカップCが吸着される。そして、再び、吸着ノズル20が昇降反転部2と共に下降し、上記と同様な動作が繰り返され、カップCがコンベヤ24の上に載置される。
【0041】
このように、カップホルダー1内に伏せた状態で収納したカップCを、吸着ノズル20により1個ずつ良好に吸着して取り出し、コンベヤ24上に供給することができる。
【0042】
図7は他の実施形態のカップホルダー31と吸着ノズル40を示し、この装置では、平面と底面を略長円形とするカップC1を吸着して供給する構造である。カップホルダー31のカップ保持部は、板状の支持部36の上面に、長円形のカップ収納凹部32を形成し、そのカップ収納凹部32の中央に、長円形のカップ取出開口部33を形成している。長円形のカップ収納凹部32は、カップC1の上縁部の外形より大きく形成され、カップC1を反転して伏せた状態で、このカップ収納凹部32内に収納することができる。また、カップ収納凹部32の四隅には、支持棒34が積層された状態のカップ群を保持するように立設されている。
【0043】
さらに、カップ取出開口部33は、カップC1の上縁部の外形より少し小さく形成される一方、カップ取出開口部12の平行部分の両側には、支持爪35が内側に突き出すように設けられ、主にこの支持爪35上にカップC1を載せて支持するようにしている。支持爪35の突き出し長は、カップC1が後述の吸着ノズル40に吸着されたとき、その両側平行部分が内側に収縮して、カップC1の両側平行部分の縁部が支持爪35の内側に入り、支持爪35による支持を外れる程度の長さに、支持爪35の突き出し長は、設定される。
【0044】
吸着ノズル40は、カップC1の内側形状に類似し略長円形の平面を有し、周側面を傾斜し、カップC1内に進入可能な形状に形成される。吸着ノズル40の平面の幅と長さは、カップC1の上縁部の幅と長さより少し小さく形成され、吸着ノズル40が伏せた状態のカップC1内に進入してカップC1の周側面(ヒダの部分)を吸着したとき、カップC1の周側面(ヒダの部分)が少し縮径されるようになっている。吸着ノズル40には吸気孔が設けられる。
【0045】
さらに、吸着ノズル40の下部には長円板形状の支持ベース部42が設けられ、その支持ベース部42と吸着ノズル40の基部との間に、略長円板形状のカバー板41が設けられている。このカバー板41は、吸着ノズル40が上昇してカップホルダー31のカップ取出開口部33内に進入したとき、僅かな隙間を介して、干渉することなく、進入する形状に形成される。カバー板41の周縁部には、支持爪35に対応した凹部41aが形成されている。
【0046】
このカバー板41は、吸着ノズル40が上昇してカップホルダー31のカップ取出開口部33内に進入したとき、吸着ノズル40とカップ取出開口部33との隙間を略塞ぐようにカバーするが、カバー板41とカップ取出開口部33との間には僅かな隙間が形成されており、干渉することはなく、このカバー板41のみにより、カップ取出開口部33との隙間が完全に塞がれることはなく、僅かな隙間を生じさせるようにしている。
【0047】
また、吸着ノズル40とカバー板41は、支持ベース部42上に取り付けられているが、吸着ノズル40が上昇端まで完全に上昇したとき、この支持ベース部42はカップホルダー31の支持部36の底面に当接することはなく、僅かな隙間を生じて停止し、支持ベース部42と支持部36が干渉することはない。
【0048】
このような吸着ノズル40、カバー板41及び支持ベース部42は、上記と同様に、昇降可能で且つ反転可能に装着された、図示しない昇降反転部の上面に突出して取り付けられ、内部に吸気通路が形成され、昇降反転部に接続された空気チューブを通して吸着ノズル40の吸気孔から吸引するように取り付けられる。
【0049】
カップホルダー31内のカップC1を吸着ノズル40に吸着して取り出す場合、上記と同様に、先ず、吸着ノズル40がカップC1内に進入し、次に、その基部のカバー板41がカップ取出開口部33内に僅かな隙間を介して進入し、さらに、支持ベース部42がカップホルダー41の支持部36の底部に接近し、最終的にカップC1が吸着される上昇端位置に停止し吸着する。
【0050】
このとき、非常に短時間の動作ではあるが、カップC1内の空気がカバー板41と支持ベース部42の接近により徐々に段階的に吸引されるため、最下位のカップC1のみが良好に剥離して内側に収縮し、吸着ノズル40に吸着する。したがって、カップホルダー31内のカップ群から最下位のカップC1のみを剥離させて吸着し、取り出すことができる。また、カップホルダー31内に残留した最下位のカップC1は、主に支持爪35上に載置されて、落下することなく保持されることとなる。
【0051】
図8はさらに別の実施形態のカップホルダー51と吸着ノズル60を示し、この装置では、平面と底面を略長円形とするカップC1を吸着して供給する構造である。カップホルダー51のカップ保持部は、板状の支持部56の上面に、略長方形のカップ収納凹部52を形成し、そのカップ収納凹部52の中央に、略長方形で両側に凹部を有した形状のカップ取出開口部53を形成している。このカップ収納凹部52は、カップC1の上縁部の外形より大きく形成され、カップC1を反転して伏せた状態で、このカップ収納凹部52内に収納することができる。また、カップ収納凹部52の内側寄りの四隅には、支持棒54が積層された状態のカップ群を保持するように立設されている。
【0052】
さらに、カップ取出開口部53は、カップC1の上縁部の短手方向の幅より少し大きく形成された短手方向の幅を中央部に有し、両側端部寄りの部分の幅は、カップC1の上縁部の短手方向の幅より少し小さく形成される。また、カップ取出開口部53の長手方向の幅はカップC1の長手方向の幅より長く形成されている。これにより、カップ取出開口部53の中央部の四隅に、直角状に突出する支持爪55が内側に突き出すように設けられ、この支持爪55上にカップC1を載せて支持するようにしている。支持爪55の突き出し長は、カップC1が後述の吸着ノズル60に吸着されたとき、その両側平行部分が内側に収縮して、カップC1の両側平行部分の縁部が支持爪55の内側に入り、支持爪55による支持を外れる程度の長さとなっている。
【0053】
吸着ノズル60は、カップC1の内側形状に類似し略長円形の平面を有し、周側面を傾斜し、カップC1内に進入可能な形状に形成される。吸着ノズル60の平面の幅と長さは、カップC1の上縁部の幅と長さより少し小さく形成され、吸着ノズル60が伏せた状態のカップC1内に進入してカップC1の周側面(ヒダの部分)を吸着したとき、カップC1の周側面(ヒダの部分)が少し縮径されるようになっている。吸着ノズル60には吸気孔が設けられる。
【0054】
さらに、吸着ノズル60の下部には長円板形状の支持ベース部62が設けられ、その支持ベース部62と吸着ノズル60の基部との間に、略長方形で両側に矩形突部61aを突き出した形状のカバー板61が設けられている。このカバー板61は、吸着ノズル60が上昇してカップホルダー51のカップ取出開口部53内に進入したとき、僅かな隙間を介して、干渉することなく、進入する形状に形成される。カバー板51の中央部両側に設けた支持爪55,55の内側空間に、吸着ノズル60の矩形突部61aが進入する。
【0055】
このカバー板61は、吸着ノズル60が上昇してカップホルダー51のカップ取出開口部53内に進入したとき、吸着ノズル60とカップ取出開口部53との隙間を略塞ぐようにカバーするが、カバー板61とカップ取出開口部53との間には僅かな隙間が形成されており、干渉することはなく、このカバー板61のみにより、カップ取出開口部53との隙間が完全に塞がれることはなく、僅かな隙間を生じさせるようにしている。
【0056】
また、吸着ノズル60とカバー板61の基部に、支持ベース部62が取り付けられているが、吸着ノズル60が上昇端まで完全に上昇したとき、この支持ベース部62はカップホルダー51の支持部56の底面に当接することはなく、僅かな隙間を生じて停止し、支持ベース部62と支持部56が干渉することはない。
【0057】
このような吸着ノズル60、カバー板61及び支持ベース部62は、上記と同様に、昇降可能で且つ反転可能に装着された、図示しない昇降反転部の上面に突出して取り付けられ、内部に吸気通路が形成され、昇降反転部に接続された空気チューブを通して吸着ノズル60の吸気孔から吸引するように取り付けられる。
【0058】
カップホルダー51内のカップC1を吸着ノズル60に吸着して取り出す場合、上記と同様に、先ず、吸着ノズル60がカップC1内に進入し、次に、その基部のカバー板61がカップ取出開口部53内に僅かな隙間を介して進入し、さらに、支持ベース部62がカップホルダー51の支持部56の底部に接近し、最終的にカップC1が吸着される上昇端位置に停止し吸着する。
【0059】
このとき、非常に短時間の動作ではあるが、カップC1内の空気がカバー板61と支持ベース部62の接近により徐々に段階的に吸引されるため、最下位のカップC1のみが良好に剥離して内側に収縮し、吸着ノズル60に吸着する。したがって、カップホルダー51内のカップ群から最下位のカップC1のみを剥離させて吸着し、取り出すことができる。また、カップホルダー51内に残留した最下位のカップC1は、支持爪55上に載置されて、落下することなく保持されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態を示すカップ供給装置の正面図である。
【図2】同カップ供給装置の左側面図である。
【図3】昇降反転部を上側に反転させて上昇した状態の正面図である。
【図4】図3のIV-IV拡大断面図である。
【図5】吸着ノズルがカップ内に進入する際の説明図である。
【図6】カップホルダーと吸着ノズルの斜視図である。
【図7】他の実施形態のカップホルダーと吸着ノズルの斜視図である。
【図8】別の実施形態のカップホルダーと吸着ノズルの斜視図である。
【符号の説明】
【0061】
1 カップホルダー
2 昇降反転部
5 反転駆動部
8 回転支持部
10 支持部
11 カップ収納凹部
12 カップ取出開口部
13 支持爪
20 吸着ノズル
21 カバー板
21a 凹部
22 支持ベース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方位置に配設され、上下に反転した複数のカップを縦に積層して保持するカップホルダーと、該カップホルダーに保持されたカップ群の最下位のカップ内に、吸着ノズルを挿入して該カップを吸着し、該吸着ノズルを下降させて該最下位のカップを該カップホルダーから取り出し、反転させる昇降反転部と、を備えたカップ供給装置において、
該カップホルダーの下部にカップ群を支持する支持部が設けられる共に、該支持部には該カップの平面形状より小形のカップ取出開口部が設けられ、該カップ取出開口部の周縁部に複数の支持爪が該カップの縁部を支持するために内側に向けて突設され、前記吸着ノズルの基部にはカバー板が該カップ取出開口部と該吸着ノズルとの間を略カバーするように取り付けられたことを特徴とするカップ供給装置。
【請求項2】
前記吸着ノズルの基部のカバー板は、前記カップ取出開口部より大形に形成された支持ベース部と該吸着ノズルとの間に取り付けられ、上記カップホルダー側の支持爪を進入させるための凹部が該カバー板に設けられ、該カバー板が該カップ取出開口部内に進入した状態で、該カバー板と該カップ取出開口部の周縁部との間に僅かな隙間が形成されることを特徴とする請求項1記載のカップ供給装置。
【請求項3】
前記カップの平面形状が略円形に形成されると共に、前記カップホルダーのカップ取出開口部が略円形に形成され、該カップ取出開口部の周縁部に複数の支持爪が略等間隔に配置されたことを特徴とする請求項2記載のカップ供給装置。
【請求項4】
前記カップの平面形状が略長円形に形成されると共に、前記カップホルダーのカップ取出開口部が該カップの平面形状に対応した形状に形成され、該カップ取出開口部の平行な両側縁部に支持爪が内側に突き出すように設けられ、前記吸着ノズルの平面形状が略長円形に形成され、該吸着ノズルの基部のカバー板が該カップ取出開口部内に進入可能に形成され、該カバー板には該支持爪を進入させるための凹部が形成され、該吸着ノズルの両側の平行部分に凹部が形成されたことを特徴とする請求項3記載のカップ供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−255936(P2009−255936A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−104969(P2008−104969)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【出願人】(592162391)愛知電熱株式会社 (4)
【Fターム(参考)】