説明

カテキン飲料の製造法

【課題】 本発明は、カテキン類を高濃度に含有し、苦味、渋味及び収斂味が低減され、かつ飲用時の歯への色素沈着が抑制され、更に長期保存においても容器内の透明性が維持されることを特徴とするカテキン飲料の製造法を提供することを目的とする。
【解決手段】 あらかじめカテキン類を含有する緑茶抽出物1.0〜30重量%と高度分岐環状デキストリン0.5〜60重量%からなる混合加熱処理溶液を、茶抽出液に添加してカテキン類0.04〜0.75重量%及び高度分岐環状デキストリン0.02〜1.5重量%含有となるように製造することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテキン類を高濃度に含有しても、苦味、渋味及び収斂味が低減され、かつ飲用時の歯への色素沈着が抑制され、更に長期保存においても容器内の溶液の透明性が維持されることを特徴とするカテキン飲料の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の研究により、カテキン類について、コレステロール抑制作用、血中脂質及びLDLの酸化防止作用、活性酸素の除去作用、腎不全改善効果、ピロリ菌の殺菌作用等の各種生理効果が明らかとなっている。なかでもガロカテキンガレートやエピガロカテキンガレートなどのカテキン類は特に生理活性が高いことが知られている。このような生理効果をより効果的に発現させるためには、一日あたりお茶を4〜5杯飲むことが推奨されている。このためにカテキン類を簡便に大量に摂取させるためには、高濃度のカテキン類を含有する容器詰飲料が望ましい。カテキン類を高濃度に配合する方法として粉砕した茶葉を添加する方法(例えば、特許文献1参照。)や緑茶抽出物の濃縮物(例えば、特許文献2参照。)などを添加配合する方法がある。
【0003】
これまで、カテキン類を高濃度に配合した容器詰飲料では、飲用時に苦味、渋味及び収斂味が強く感じられる問題や歯へ色素が沈着する問題があった。また、更に長期保存時に澱が発生し、透明性が損なわれる問題があった。
【0004】
これらのカテキン飲料の苦味、渋味及び収斂味を低減する方法として環状デキストリンなかでもβ−サイクロデキストリンを配合する方法が報告されている(例えば、特許文献3〜7参照。)。また、飲用時に歯への色素沈着を抑制する方法としてはβ−サイクロデキストリンを配合する方法が報告されている(例えば、特許文献8、9参照。)。
更に、保存時において澱を発生せず、透明性を安定に維持させる方法としてβ−シクロデキストリンなどの環状デキストリンを含有させる方法が報告されている(例えば、特許文献10、11参照。)。
【0005】
更にまた、長期保存時に澱の生成の抑制と渋味の低減のために、重合度50〜5000の内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有するグルカンを0.01〜2.9重量%と非重合体カテキン類を0.03〜0.5重量%配合し、苦味の低減のためにサイクロデキストリンを配合する容器詰茶飲料が報告されている(例えば、特許文献12、13参照。)。しかしながら、重合度50〜5000の内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有するグルカンを配合する特許文献12、13では、グルカン添加時の非重合体カテキン濃度やその添加時期とその得られた飲料の苦味、渋味及び収斂味との関係については全く検討されておらず、またグルカンが苦味、渋味及び収斂味を低減する効果や飲用時に歯への色素沈着を抑制する効果についても全く検討されていない。
【0006】
【特許文献1】特開平10−234301号公報
【特許文献2】特開昭59−219384号公報
【特許文献3】特開平3−168046号公報
【特許文献4】特開平10−4919号公報
【特許文献5】特許第3259758号公報
【特許文献6】特開2004−254511号公報
【特許文献7】特許第3766660号公報
【特許文献8】特開2004−129662号公報
【特許文献9】特許第3597854号公報
【特許文献10】特開2002−238518号公報
【特許文献11】特許第3342698号公報
【特許文献12】特開2004−159641号公報
【特許文献13】特許第3597839号公報
【0007】
このようにカテキン類を高濃度に含む容器詰飲料において、環状デキストリンやグルカンの配合によって苦味、渋味及び収斂味を低減しようとする場合には多量の環状デキストリンやグルカンの添加が必要であり、添加量が多すぎると環状デキストリンやグルカン自身の風味によって茶飲料本来の風味が損なわれる問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、カテキン類を高濃度に含有するにもかかわらず、苦味、渋味及び収斂味が低減され、かつ飲用時の歯への色素沈着が抑制され、更に長期保存時においても容器内の溶液の透明性が維持されることを特徴とするカテキン飲料の製造法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決することを目的とし、鋭意研究を重ねた結果、高度分岐環状デキストリンとカテキン類の混合加熱処理溶液を一定量配合することによって、カテキン類の苦味、渋味及び収斂味を低減し、歯への色素沈着を抑制し、長期飲用によっても歯の美観を損なわず、長期保存時においても透明性を維持する容器飲料が得られることを見いだし、本発明を完成した。また、本発明によってカテキン類を多く配合することが可能であることも見出された。
【0010】
すなわち、本発明は、カテキン類を含有する緑茶抽出物1.0〜30重量%と高度分岐環状デキストリン0.5〜60重量%からなる混合加熱処理溶液を、茶抽出液に配合することを特徴とするカテキン飲料の製造法である。また、本発明は、高度分岐環状デキストリンを0.02〜1.5重量%及びカテキン類を0.04〜0.75重量%容器内に含有し、苦味、渋味及び収斂味が低減され、歯への色素沈着が抑制され、更に長期保存においても容器内の溶液の透明性が維持されたカテキン飲料の製造法である。本発明によって得られるカテキン飲料は、苦味、渋味及び収斂味の低減され、歯への色素沈着の抑制され、更に長期保存においても容器内の溶液の透明性が維持されるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カテキン類を含有する緑茶抽出物と高度分岐環状デキストリンの混合加熱処理溶液を、茶抽出液に一定量配合する製造法によって、高濃度に含有したカテキン類の飲料の苦味、渋味及び収斂味が低減され、飲用時の歯への色素沈着も抑制され、かつ長期保存においても容器内の溶液の透明性が維持され風味の良好なものが得られ、常飲に適していることを見いだした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のカテキン飲料は、カテキン類を含有する緑茶抽出物と高度分岐環状デキストリンの混合加熱処理溶液を、茶抽出液に一定量配合する製造法によって得られることを特徴とする。カテキン類を含有する緑茶抽出物と茶抽出液を混合した後に高度分岐環状デキストリンを添加混合する場合は、飲料中のカテキン濃度と高度分岐環状デキストリン濃度が同一であるにもかかわらず、苦味、渋味及び収斂味の十分な低減効果が得られず、また長期保存においても透明性が維持されない。
【0013】
本発明のカテキン類を含有する緑茶抽出物と高度分岐環状デキストリンからなる混合加熱処理溶液は、特に限定するものではないがカテキン類の水溶液に高度分岐環状デキストリンを添加し、30〜90℃の温度範囲で10〜60分間加熱混合することによって得られる。また、高度分岐環状デキストリンの水溶液にカテキン類を添加混合し、加熱処理することによっても得られる。更に叉、高度分岐環状デキストリンとカテキン類を水に同時に添加混合し、加熱処理することによっても得られる。混合加熱処理の温度が30℃未満の場合カテキン類と高度分岐環状デキストリンの溶解に時間がかかり、90℃を超える温度では着色の原因となるので好ましくない。また、混合加熱処理の時間が10分未満の場合本発明の効果が不十分であり、60分を超える時間では本発明の効果は十分であるが着色の原因となるので好ましくない。
【0014】
本発明の混合加熱処理溶液に配合するカテキン類を含有する緑茶抽出物の濃度は1.0〜30重量%となるように水に添加することが好ましく、5.0〜20重量%が更に好ましい。1.0重量%未満では大量の水を必要とし不経済であり、30重量%を超える濃度では水溶液の粘度が増大して取扱いが悪くなる。
【0015】
本発明の混合加熱処理溶液に配合する高度分岐環状デキストリンの濃度は0.5〜60重量%となるように水に添加することが好ましく、5.0〜40重量%が更に好ましい。0.5重量%未満では大量の水を必要とし不経済であり、60重量%を超える濃度では水溶液の粘度が増大して取扱いが悪くなる。
【0016】
本発明の混合加熱処理溶液の製造において、カテキン類を含有する緑茶抽出物と高度分岐環状デキストリンからなる混合加熱処理溶液の濃度は1〜70重量%が好ましく、10〜50重量%がより好ましい。1重量%未満では大量の水を必要とし不経済であり、70重量%を超える濃度では水溶液の粘度が増大して取扱いが悪くなる。
【0017】
本願発明における高度分岐環状デキストリンとは、枝作り酵素をアミロペクチンに作用させて生成した環状構造をもつグルカンであり、詳しくはα−1,4−グルコシド結合及びα−1,6−グルコシド結合を有する澱粉やアミロペクチンなどの糖類に、環状構造を形成させる酵素を作用させ、生成させた環状構造を有するグルカンである。より詳しくは、特許第3107358号公報の明細書に記載されているように、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する重合度50〜5000のグルカンである。ここで内分岐環状構造部分とはα−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで形成される環状構造部分であり、そして外分岐構造部分とは該内分岐環状構造部分に結合した非環状構造部であることからなるグルカンである。本発明に使用する高度分岐環状デキストリンの内分岐環状構造部分の重合度は10〜100の範囲が好ましい。また、外分岐構造部分の重合度は40以上が好ましく、当該外分岐構造部分の各単位鎖の重合度は10〜20が好ましい。このような高度分岐環状デキストリンとしてはクラスターデキストリン(江崎グリコ社製)などが挙げられる。
【0018】
本発明で使用する高度分岐環状デキストリンは、カテキン飲料での濃度が0.02〜1.5重量%となるように添加することが好ましく、0.07〜1.3重量%が更に好ましい。高度分岐環状デキストリンの飲料での濃度が0.02重量%未満の配合系では、苦味、渋味及び収斂味の低減効果がなく、また飲用時の歯への色素沈着の抑制効果もなくなる。また、1.5重量%を超えると茶飲料の風味が損なわれてしまい好ましくない。
【0019】
本発明のカテキン類とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレートなどの非エピ体カテキン類及びエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなどのエピ体カテキン類をあわせた総称であり、カテキン類の濃度は、上記の8種類の合計量で表される。また、前記8種類のカテキン類の内、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートの4種からなるエステル型カテキンとカテキン、ガロカテキン、エピカテキン、エピガロカテキンの4種からなる遊離型カテキンの割合は、保存時の色相変化の観点からは特に限定されるものではない。また、非エピ体カテキン類(A)とエピ体カテキン類(B)の重量比率{(A)/(B)}も保存時の色相変化の観点からは特に限定されるものではない。
【0020】
本発明で使用するカテキン類は、カテキン飲料での濃度が0.04〜0.75重量%となるように添加することが好ましく、0.07〜0.5重量%が更に好ましい。カテキン類の飲料での濃度が0.04重量%未満の配合系では、多量のカテキン類を工業的に取り扱うのが困難であり、0.75重量%を超える濃度では苦味、渋味及び収斂味の低減が困難となり、多量の高度分岐環状デキストリンを必要として茶飲料とは異なる風味となり好ましくない。
【0021】
本発明に使用するカテキン類を含有する緑茶抽出物とは、緑茶葉から熱水もしくは水溶性有機溶媒により抽出された抽出物を濃縮、場合によっては精製したものであって、特開昭59−219384号公報、特開平4−20589号公報、特開平5−260907号公報、特開平5−306279号公報、特開2003−304811号公報などに例示されている方法で調製したものをいう。市販品としては、サンフェノン(太陽化学株式会社製)、テアフラン(株式会社伊藤園製)、ポリフェノン(東京フードテクノ株式会社製)などが挙げられる。この緑茶抽出物の濃縮物は、固体、粉末、水溶液、スラリー状の形態のものが使用できる。また緑茶抽出物は、その他、カラム精製品や化学的合成品も使用することができる。
【0022】
本発明のカテキン飲料に使用される緑茶抽出物の原料となる茶葉としては、Camellia属のものが挙げられ、例えばC.sinensis、C.assamica及びやぶきた種、またはそれらの雑種から得られる茶葉から製茶されたものが挙げられる。この製茶された茶葉としては煎茶などの緑茶葉がカテキン類の残存量が多いために好ましい。本発明のカテキン飲料に使用される茶抽出液の茶葉としては、Camellia属のものが挙げられ、例えばC.sinensis、C.assamica及びやぶきた種、またはそれらの雑種から得られる茶葉から製茶されたものが挙げられる。この製茶された茶葉としては、緑茶などの不発酵茶、烏龍茶などの半発酵茶、紅茶などの発酵茶が挙げられ、煎茶などの緑茶葉が好ましい。
【0023】
本発明のカテキン飲料のpHは、長期間におけるカテキンの色調安定性の点から室温で5〜7に調整することが望ましい。ここで、pH調整剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどの炭酸塩やリン酸水素二ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウムなどのリン酸塩が使用でき、炭酸水素ナトリウムがより好ましい。
【0024】
本発明のカテキン飲料には、茶由来の成分にあわせて、香料、酸化防止剤、酸味料、果汁エキス類、pH調整剤、甘味料、有機酸、有機酸塩、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、ビタミンなどの栄養成分、増粘多糖類、品質安定剤などの添加剤を単独、あるいは併用して配合することができる。
【0025】
本発明のカテキン飲料に使用される容器は、ポリエチレンテレフタレートからなる成形容器のPETボトル、鉄缶やアルミ缶などの金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合加工された紙容器、瓶などの通常一般の飲料に用いられているものが挙げられ、これらは希釈せずに直接飲用することができる。
【0026】
本発明によって得られるカテキン飲料を鉄缶やアルミ缶などの金属缶に充填後、レトルト殺菌して製造することができる。PETボトルや紙容器のようにレトルト殺菌できないものは、UHT殺菌後に冷却して容器に無菌充填する方法で製造される。またこれらは、除菌フィルターで無菌にして、無菌環境下で充填することもできる。
【0027】
以下、本発明を実施例にて説明するが、これにより本発明が限定されることはない。
【実施例】
【0028】
カテキン類の分析
試料を0.1%リン酸水溶液に溶解した後、PTFEフィルター(0.45μm)でろ過し試料とした。高速液体クロマトグラフィーを用いて、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム CAPCELL PAK C18 UG120 S3(4.6mmΦ×100mm:資生堂製)を装着し、カラム温度45℃でカテキン類の分析を行った。メタノール/水/リン酸:18/82/0.5(v/v/v)の比率で混合した溶媒を移動相として試料注入量は10μL、流速0.8mL/min、UV検出器波長280nmの条件で分析を行った。
【0029】
味の評価
パネラー5名による飲用試験を行い、以下の基準により総合評価した。
5:苦味、渋味及び収斂味が感じられず非常に良好であり、茶飲料として好ましい。
4:苦味、渋味及び収斂味がやや感じられるが良好であり、茶飲料として問題がない。
3:苦味、渋味及び収斂味が感じられるが比較的良好であり、茶飲料としてやや劣るが飲用できる。
2:苦味、渋味及び収斂味が感じられ、口の中に残ってしまい、茶飲料として不適である。
1:苦味、渋味及び収斂味が強く感じられ、口の中に強く残存し、茶飲料として非常に不適である。
【0030】
透明安定性の評価
容器に詰めたカテキン飲料を室温で2ケ月保存した前後での飲料の透明性を目視で評価した。
【0031】
歯の着色度の評価
カテキン飲料に試験用アパタイト歯サンプルを20分間浸漬した後、水で洗い、自然乾燥した後の着色度合いを目視で評価した。
【0032】
実施例1 緑茶抽出物と高度分岐環状デキストリンの混合溶液の調製
市販の緑茶抽出物(太陽化学株式会社製 サンフェノン100S、カテキン類含量:82%)10gを50℃でイオン交換水に溶解させ、攪拌しながらクラスターデキストリン(江崎グリコ社製)をそれぞれ、5g、10g、15g、20g添加し50℃で30分攪拌し、下記の組成の混合加熱処理溶液を調製した。
A サンフェノン100S:10g/クラスターデキストリン5g/水85g
B サンフェノン100S:10g/クラスターデキストリン10g/水80g
C サンフェノン100S:10g/クラスターデキストリン15g/水75g
D サンフェノン100S:10g/クラスターデキストリン20g/水70g
【0033】
実施例2
静岡県産の煎茶20gを70℃の温水2Lに加え、5分間攪拌しながら抽出し茶葉を取り除いて粗茶抽出液を得た。この粗茶抽出液を25℃まで冷却し、ナイロン製濾布でろ過し、カテキン類濃度が0.06重量%になるようにイオン交換水で希釈した後、アスコルビン酸ナトリウムを0.05重量%となるように添加し茶抽出液を得た。
【0034】
この茶抽出液500mlに、実施例1で調製した混合溶液をカテキン類含量が0.1〜0.3重量%の範囲になるようにそれぞれ添加して溶解させた後、炭酸水素ナトリウムでpH6.4に調整した。その後、UHT殺菌(135℃、30秒)し、350mlのPETボトルに充填した。得られたPETボトルのカテキン飲料の組成、長期保存時の苦味、渋味及び収斂味、透明性、人工歯への色素沈着の抑制度を評価した結果を表1に示した。
【0035】
比較例1
実施例2と全く同様に、静岡県産の煎茶20gを70℃の温水2Lに加え、5分間攪拌しながら抽出し茶葉を取り除いて粗茶抽出液を得た。この粗茶抽出液を25℃まで冷却し、ナイロン製濾布でろ過し、カテキン類濃度が0.06%になるようにイオン交換水で希釈した後、アスコルビン酸ナトリウムを0.05重量%となるように添加し茶抽出液を得た。
【0036】
この茶抽出液500mlに、カテキン類含量が0.1〜0.3重量%の範囲になるように市販の緑茶抽出物(太陽化学株式会社製 サンフェノン100S、カテキン類含量:82%)をそれぞれ添加して溶解させた後、クラスターデキストリン(江崎グリコ社製)を0.1〜0.4重量%の範囲になるように混合溶解した。その後、炭酸水素ナトリウムでpH6.4に調整した。その後、UHT殺菌(135℃、30秒)し、350mlのPETボトルに充填した。得られたPETボトルのカテキン飲料の組成、長期保存時の苦味、渋味及び収斂味、透明性、人工歯への色素沈着の抑制度を評価した結果を表1に示した。
【0037】
【表1】

【0038】
表1の実施例の本発明品と比較例の結果より、本発明のあらかじめ調製した緑茶抽出と高度分岐環状デキストリンの混合溶液を、茶抽出液に添加することにより殺菌後も苦味、渋味及び収斂味が非常に改良されることが明らかである。また、長期保存における容器内のカテキン飲料の透明性も改良され、更に歯への着色も抑制されることが明らかである。
【0039】
本発明の実施態様ならびに目的生成物は以下の通りである。
(1)内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する高度分岐環状デキストリン
とカテキン類を含有する緑茶抽出物からなる混合加熱処理溶液を、茶抽出液に配合することを特徴とするカテキン飲料の製造法。
(2)高度分岐環状デキストリンの重合度が50〜5000であり、その内分岐環状構造部分とはα−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで形成される環状構造部分であり、そして外分岐構造部分とは該内分岐環状構造部分に結合した非環状構造部であることを特徴とする前記(1)記載のカテキン飲料の製造法。
(3)カテキン類と高度分岐環状デキストリンの混合加熱処理溶液の製造において、カテキン類を含有する緑茶抽出物の水溶液の濃度が1.0〜30重量%であることを特徴とする前記(1)又は(2)記載のカテキン飲料の製造法。
(4)カテキン類と高度分岐環状デキストリンの混合加熱処理溶液の製造において、高度分岐環状デキストリンの水溶液の濃度が0.5〜60重量%であることを特徴とする前記(1)〜(3)いずれか記載のカテキン飲料の製造法。
(5)カテキン類を含有する緑茶抽出物と高度分岐環状デキストリンからなる混合加熱処理溶液の濃度が1〜70重量%であることを特徴とする前記(1)〜(4)いずれか記載のカテキン飲料の製造法。
(6)カテキン類を含有する緑茶抽出物と高度分岐環状デキストリンからなる混合加熱処理溶液が30〜90℃で10〜60分間加熱混合することすることを特徴とする前記(1)〜(5)いずれか記載のカテキン飲料の製造法。
(7)容器内に高度分岐環状デキストリンを0.02〜1.5重量%含有することを特徴とする前記(1)〜(6)いずれか記載のカテキン飲料の製造法。
(8)容器内にカテキン類を0.04〜0.75重量%含有することを特徴とする前記(1)〜(7)いずれか記載のカテキン飲料の製造法。
(9)カテキン類の緑茶抽出物が、緑茶葉から熱水もしくは水溶性有機溶媒により抽出された抽出物を濃縮、精製したものであることを特徴とする前記(1)又は(3)〜(7)いずれか記載のカテキン飲料の製造法。
(10)茶抽出液に使用される茶葉が緑茶などの不発酵茶、烏龍茶などの半発酵茶、紅茶などの発酵茶であることを特徴とする前記(9)記載のカテキン飲料の製造法。
(11)茶抽出液に使用される茶葉が、煎茶であることを特徴とする前記(9)記載のカテキン飲料の製造法。
(12)カテキン類と高度分岐環状デキストリンを含有するカテキン飲料がPETボトル、紙容器、金属缶、瓶に充填されることを特徴とする前記(1)〜(11)いずれか記載のカテキン飲料の製造法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテキン類を含有する緑茶抽出物1.0〜30重量%及び高度分岐環状デキストリン0.5〜60重量%からなる混合加熱処理溶液を、茶抽出液に配合して製造することを特徴とする容器詰カテキン飲料の製造法。
【請求項2】
飲料中の高度分岐環状デキストリン含量が0.02〜1.5重量%及びカテキン類含量が0.04〜0.75重量%となるように、請求項1記載の混合加熱処理溶液を配合して製造することを特徴とする、苦味、渋味及び収斂味が低減された請求項1記載の容器詰カテキン飲料の製造法。

【公開番号】特開2008−118873(P2008−118873A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303887(P2006−303887)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(000204181)太陽化学株式会社 (244)
【Fターム(参考)】