カテーテルおよび薬剤投与装置
【課題】生体組織の一定の領域に薬剤を投与するにあたり、薬剤の投与量を容易かつ正確に制御できるカテーテルおよび薬剤投与装置を提供すること。
【解決手段】本発明にかかる薬剤投与装置は、内部に流体が供給されることによって拡縮自在であるバルーン3と、バルーン3と連通する第1のルーメン16を有する第1の導管17と、薬剤吐出口18と、薬剤吐出口18と連通する第2のルーメン19とを有する第2の導管20と、を備え、薬剤吐出口18は、バルーンの外部に設けられており、薬剤吐出口18から吐出された薬剤がバルーン3の外表面に沿った位置から生体組織内に投与されるように構成されたカテーテルを有する。
【解決手段】本発明にかかる薬剤投与装置は、内部に流体が供給されることによって拡縮自在であるバルーン3と、バルーン3と連通する第1のルーメン16を有する第1の導管17と、薬剤吐出口18と、薬剤吐出口18と連通する第2のルーメン19とを有する第2の導管20と、を備え、薬剤吐出口18は、バルーンの外部に設けられており、薬剤吐出口18から吐出された薬剤がバルーン3の外表面に沿った位置から生体組織内に投与されるように構成されたカテーテルを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生体組織内に導入されるカテーテルおよび生体組織内に薬剤を投与する薬剤投与装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、人間を含む哺乳動物の体内の投与目標(例えば、腫瘍)に薬剤を投与するためにカテーテルが用いられている。このようなカテーテルは、内部にルーメンを有する細長い形状をなし、ルーメン内を移送された薬剤は、先端や側面に設けられた薬剤吐出口から生体組織内に吐出される。
【0003】
腫瘍などにカテーテルを使って薬剤を直接投与する場合、薬剤投与当初は腫瘍組織が密であるため、大量の薬剤を投与しても腫瘍組織が受け付けず、無理に投与しようとすると薬剤があふれる等の不具合が発生する可能性がある。このため、薬剤投与当初は、少量の薬剤を投与する。その後、薬剤投与をある程度の期間行うと、腫瘍組織の壊死等によって腫瘍組織の密度が疎となる場合や空間ができる場合がある。この場合には、より多くの薬剤の投与が可能となる。このように、薬剤の投与量は、当初は少量であっても治療の進行にしたがって徐々に増加させることが可能となる。
【0004】
ここで、薬剤の投与量が徐々に増加する場合、薬剤の投与部位も1点のままでなく、投与量の増加に応じて生体組織のより広い部位に対して投与できることが望ましい。従来では、カテーテルに微小多孔を有する材料で形成したバルーンを設け、当該バルーンの内側に薬剤を導入して、微小多孔を経由して薬剤を生体組織に浸透させる技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。このようなバルーンを用いれば、薬剤によって形成された細胞の壊死による空間にバルーンを広げ、バルーンの内側からバルーンの外表面に対応する広い領域に薬剤を投与できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0300571号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたカテーテルにおいては、バルーン内部に薬剤を導入してバルーンを膨張させるため、薬剤の導入圧力を高めるとバルーンの内圧が高まり、薬剤の吐出量が所望の量を超えて急増してしまう。さらに、バルーンの膨張に応じて多数の微小細孔の直径が広がるので、薬剤の吐出量は、さらに増加してしまう。このように、特許文献1に記載されたカテーテルでは、薬剤の吐出量を制御することが困難であった。
【0007】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、生体組織の一定の領域に薬剤を投与するにあたり、薬剤の投与量を正確に制御できるカテーテルおよび薬剤投与装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかるカテーテルは、生体組織内に導入されるカテーテルであって、内部に流体が供給されることによって拡縮自在であるバルーンと、前記バルーンと連通する第1のルーメンを有する第1の導管と、前記バルーンの外側に設けられる薬剤吐出口と、前記薬剤吐出口と連通する第2のルーメンとを有する第2の導管と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記薬剤吐出口は、前記薬剤吐出口から吐出された薬剤が前記バルーンの外表面に沿った位置から前記生体組織内に投与されるように構成されることを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記薬剤吐出口は、前記バルーンの外部から、前記バルーンの外表面に沿って薬剤を吐出することを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記薬剤吐出口は、前記第2の導管の側面に設けられ、前記第2の導管は、前記薬剤吐出口が形成された部分が前記バルーン側とは逆側に位置するように、前記バルーンの外表面に沿って配設されることを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記第2の導管は、前記第1の導管に対して進退可能であることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記第2の導管は、前記バルーンの外表面に近い側が尖形状をなすことを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記第2の導管は、複数設けられていることを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記複数の第2の導管は、前記バルーンの外表面に沿って配設されており、前記バルーンの外表面に沿って配設された部分の第2の導管の長さが不均一であることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記第1の導管は、前記第2の導管の第2のルーメン内に収納されていることを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記薬剤吐出口は、前記第2の導管の先端に設けられており、前記バルーンは、前記薬剤吐出口の薬剤吐出方向側に位置するように構成されていることを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記薬剤吐出口は、前記第2導管の側面に設けられており、前記第1の導管および前記バルーンは、前記第2の導管の第2のルーメン内に収納されており、前記バルーンは、拡張することにより、当該バルーンの一部が前記薬剤吐出口から外部に突出するように構成されていることを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記薬剤吐出口は、縁部分が凹凸形状であることを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記バルーンは、外表面に溝が形成されていることを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記バルーンは、複数の内腔を有することを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかる薬剤投与装置は、生体組織内に薬剤を投与する薬剤投与装置であって、内部に流体が供給されることによって拡縮自在であるバルーンと、前記バルーンと連通する第1のルーメンを有する第1の導管と、前記バルーンの外側に設けられる薬剤吐出口および前記薬剤吐出口と連通する第2のルーメンを有する第2の導管とを有するカテーテルと、前記バルーン内部に供給される流体の供給量を調整する流体供給量調整手段と、前記第2のルーメンを介して前記薬剤吐出口から投与される薬剤の投与量を調整する薬剤投与量調整手段と、前記流体供給量調整手段による流体供給処理と前記薬剤投与量調整手段による薬剤投与量調整処理とを制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかる薬剤投与装置は、前記第2の導管は、複数設けられており、前記制御手段は、前記薬剤投与量調整手段に、各第2の導管の各々の薬剤の投与量を調整させることを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかる薬剤投与装置は、前記バルーンは、複数の内腔を有し、前記制御手段は、前記流体供給量調整手段に、前記複数の内腔ごとに流体の供給量を調整させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
この発明にかかるカテーテルは、バルーンに連通する第1のルーメンを有する第1の導管と、薬剤吐出口に連通する第2のルーメンを有する第2の導管とを備え、バルーン内部に供給される流体および薬剤吐出口から投与される薬剤をそれぞれ異なる経路で供給できるため、生体組織の一定の領域に薬剤を投与するにあたり、バルーンに対する流体の供給量と、薬剤吐出口から投与される薬剤の投与量とをそれぞれ正確に制御することができる。
【0026】
この発明にかかる薬剤投与装置は、バルーンに連通する第1のルーメンを有する第1の導管と、薬剤吐出口に連通する第2のルーメンを有する第2の導管とを設けたカテーテルを有し、バルーン内部に供給される流体と薬剤吐出口に供給される薬剤とをそれぞれ異なる経路で供給することによって、バルーンへの流体供給と薬剤吐出口への薬剤供給とを別個に制御できるため、バルーンに対する流体の供給処理と、薬剤吐出口から投与される薬剤の投与処理とをそれぞれ正確に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、実施の形態1にかかる薬剤投与装置の概略図である。
【図2】図2は、図1に示すカテーテルを腫瘍に導入した状態で該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図3】図3は、図2のA−A線断面図である。
【図4】図4は、図1に示すカテーテルを腫瘍に導入した状態で該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図5】図5は、図2に示す第2の導管の他の例を長手方向の中心軸との直交面で切断した断面図である。
【図6】図6は、図1に示すバルーンの他の例を示す斜視図である。
【図7】図7は、図1に示すバルーンの他の例を示す斜視図である。
【図8】図8は、図1に示すカテーテルの他の構成を該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した先端部分の断面図である。
【図9】図9は、図1に示すカテーテルの他の構成を示す斜視図である。
【図10】図10は、図9に示すカテーテルを該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した先端部分の断面図である。
【図11】図11は、実施の形態1の変形例1におけるカテーテル先端部分の斜視図である。
【図12】図12は、図11に示すカテーテル先端部分を該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図13】図13は、実施の形態1の変形例1におけるカテーテル先端部分の他の例を示す斜視図である。
【図14】図14は、図13に示すカテーテル先端部分を該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図15】図15は、実施の形態1の変形例1におけるカテーテル先端部分の他の例を示す斜視図である。
【図16】図16は、図15に示すカテーテル先端部分を該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図17】図17は、実施の形態1の変形例1における他のカテーテル先端部分を該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図18】図18は、実施の形態1の変形例におけるカテーテルの使用方法を説明する図である。
【図19】図19は、実施の形態1の変形例1における他のカテーテル先端部分を該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図20】図20は、実施の形態1の変形例1におけるカテーテル先端部分の他の例を示す斜視図である。
【図21】図21は、図20に示すB−B線断面図である。
【図22】図22は、実施の形態1の変形例1におけるカテーテル先端部分の他の例を示す斜視図である。
【図23】図23は、実施の形態1の変形例1におけるカテーテル先端部分の他の例を示す斜視図である。
【図24】図24は、実施の形態1の変形例1におけるカテーテル先端部分の他の例を示す斜視図である。
【図25】図25は、実施の形態1の変形例2にかかる薬剤投与装置の概略図である。
【図26】図26は、実施の形態1の変形例2におけるバルーンの他の例をカテーテルの長手方向の中心軸との直交面で切断した断面図である。
【図27】図27は、実施の形態2にかかる薬剤投与装置が有するカテーテル先端部分の斜視図である。
【図28】図28は、図27に示すカテーテルを該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図29】図29は、実施の形態2にかかる薬剤投与装置が有するカテーテル先端部分の他の状態を示す斜視図である。
【図30】図30は、図29に示すカテーテルを該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図31】図31は、実施の形態3にかかる薬剤投与装置の概略図である。
【図32】図32は、図31に示す薬剤投与装置が行う薬剤投与処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図33】図33は、実施の形態3にかかる他の薬剤投与装置の概略図である。
【図34】図34は、実施の形態3にかかる他の薬剤投与装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態として、人間を含む哺乳動物の生体組織内に導入されるカテーテルおよび生体組織内に薬剤を投与する薬剤投与装置について説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0029】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1について説明する。図1は、本実施の形態1にかかる薬剤投与装置の概略図である。図1は、薬剤投与装置を構成するカテーテルが生体組織内に導入および留置されている状態を示す。
【0030】
図1に示すように、本実施の形態1にかかる薬剤投与装置1は、カテーテル2、薬剤供給ユニット9および流体供給ユニット12を備える。カテーテル2の先端には、内部に流体が供給されることによって拡縮自在であるバルーン3が設けられる。カテーテル2は、生体適合性のある材料で形成される。バルーン3は、たとえばシリコーン、ポリウレタン樹脂または天然ゴム等の生体適合性のある弾性を有する材料で形成される。カテーテル2は、体表5内側にある生体組織6の投与目標組織である腫瘍4内にカテーテル2先端が到達するように導入および留置される。
【0031】
カテーテル2の基端には、薬剤供給用のチューブ7と、バルーン3内部への流体供給用のチューブ8が接続されている。薬剤供給用のチューブ7は、薬剤供給ユニット9に接続する。流体供給用のチューブ8は、流体供給ユニット12に接続する。
【0032】
薬剤供給ユニット9は、生体組織内に投与される薬剤を保持する薬剤リザバー10と、薬剤リザバー10内の薬剤をチューブ7を介してカテーテル2に送出するポンプ11とを有する。薬剤供給ユニット9は、カテーテル2の薬剤吐出口から投与される薬剤の投与量を調整する。
【0033】
流体供給ユニット12は、バルーン3内部に供給される流体を保持するリザバー13と、リザバー13内の流体をチューブ8を介してカテーテル2に送出するポンプ14と、ポンプ14とチューブ8との間に設けられてバルーン3の内圧を調整するバルブ15とを有する。流体供給ユニット12は、バルーン3内部に供給される流体の供給量を調整する。バルーン3内に供給される流体は、たとえば生理食塩水である。なお、バルーン3内部に供給する流体として外気を使用する場合には、リザバー13に代えて外気を取り込むフィルターを用いることができる。
【0034】
次に、図2を参照して、カテーテル2の構造について説明する。図2は、図1に示すカテーテル2を腫瘍4に導入した状態で該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。図2に示すように、カテーテル2は、バルーン3内部と連通する第1のルーメン16を有する第1の導管17と、薬剤吐出口18および薬剤吐出口18と連通する第2のルーメン19を有する第2の導管20とを備える。薬剤吐出口18は、第2の導管20の先端に設けられている。バルーン3は、拡張時には、薬剤吐出口18の薬剤吐出方向側に位置するように構成される。薬剤吐出口18は、拡張時のバルーン3の外側に位置するように形成される。
【0035】
第1の導管17の第1のルーメン16は、基端側において流体供給用のチューブ8と連通し、バルーン3に供給される流体の流路として機能する。第2の導管20の第2のルーメン19は、基端側において、薬剤供給用のチューブ7と連通し、腫瘍4に投与する薬剤の流路として機能する。
【0036】
図3は、図2のA−A線断面図である。図2および図3に示すように、第1の導管17は、第2の導管20の第2のルーメン19内部に収容されている。第2の導管20は、先端において、第1の導管17と第2の導管20との間の距離が一定となるように、支持部材21によって先端が支持されている。この支持部材21は、図3に示すように、薬剤が通過可能なように、複数の支持部材21の間に隙間が設けられている。したがって、カテーテル2の生体組織6内への導入処理によって、第1の導管17がずれて、薬剤の流路がつぶれてしまうことがない。なお、図2に示す例では、第2の導管20の先端を支持部材21によって支持される場合を例に説明したが、先端のみに限らず、第2の導管20の先端から基端までの間に複数の支持部材21を設けてもよい。また、支持部材21に限らず、先端から基端まで部材が延伸した構成を有する支持部材を用いてもよい。
【0037】
このように、実施の形態1にかかる薬剤投与装置1においては、腫瘍4に投与する薬剤の流路と、バルーン3に供給する流体の流路とをそれぞれ別個に設けたカテーテル2を有する。このため、薬剤投与装置1においては、薬剤の投与とバルーン3の拡縮をそれぞれ独立して制御でき、以降に示す薬剤投与方法が可能となる。
【0038】
次に、図2および図4を参照して、投与目標組織である腫瘍4に抗癌剤を投与する場合を例に、図1に示す薬剤投与装置1の薬剤投与方法の一例について説明する。
【0039】
まず、薬剤投与装置1とは別個の穿刺針や切開部材等で生体組織6を穿刺もしくは切開し、腫瘍4内にカテーテル2先端が到達するようにカテーテル2を導入および留置する。この場合、腫瘍4へのカテーテル2先端の導入を円滑化するため、図2のように第2のルーメン19内部にバルーン3が畳み入れられた状態でカテーテル2先端を生体組織6内に導入する。
【0040】
続いて、カテーテル2先端を生体組織6内に導入した当初は、バルーンが拡張していない状態で、第2の導管20の先端に設けられた薬剤吐出口18から図2に示す矢印Y1のように抗癌剤が腫瘍4に投与される。この段階では、腫瘍4も細胞組織が密であり、少量の抗癌剤しか投与できないため、薬剤の投与量は、腫瘍4の密度に対応した量に設定され、この薬剤の投与量に対応してポンプ11が稼動する。
【0041】
その後、抗癌剤の投与により腫瘍4の壊死が進み、薬剤吐出口18周辺の細胞密度が低下すると、投薬できる量を増加することができるため、ポンプ11の稼動条件を変更して薬剤の投与量を増加させる。
【0042】
そして、腫瘍4の壊死の進行による細胞の密度低下の影響により、薬剤吐出口18周辺の一部には空間ができる場合もある。このような状態においては、カテーテル2周囲の細胞の状況に応じてバルーン3の拡張が可能になってくる。
【0043】
そこで、ポンプ14を稼動して、バルーン3内部に矢印Y2(図4参照)のように流体を供給することによって、矢印Y3のようにバルーン3を拡張させる。薬剤吐出口18はバルーン3の外部に設けられており、薬剤吐出口18から吐出された薬剤がバルーン3の外表面に沿った位置から腫瘍4に投与されるように構成される。
【0044】
薬剤吐出口18から吐出された薬剤は、薬剤吐出口18から拡張されたバルーン3の外表面に沿って矢印Y5(図4参照)のように吐出される。この場合、薬剤の送液量をバルーン3の表面積に比例して決定すれば、単位表面積当りの投薬量を一定に保つことができる。さらに、バルーン3への流体の供給圧を下げて拡張したバルーン3の径を一時的に小さくし、このとき生成された隙間に薬剤が全体的に均一に行き渡るようにしてもよい。このようにすれば、薬剤の投与量を増やすことができ、さらに再拡張するときの圧力によって薬剤の浸透を促進できる。
【0045】
また、バルーン3が拡張することで、腫瘍4の組織を一定の圧力で押圧することができるため、この押圧によって細胞が壊死して細胞の欠落がさらに広がることが期待できる。このため、薬剤投与装置1においては、バルーン3をやや加圧気味に拡張させる操作を行い、細胞の壊死の進行を促すこともできる。なお、バルーン3の内圧は、一時的または周期的に押圧する場合には、細胞の壊死の進行を促すために、一定圧で生体組織6を押圧する場合よりも高めにすることが望ましい。いずれの場合にも、バルーン3の内圧は、1000mmHg以下が望ましい。
【0046】
このように、カテーテル2は、バルーン3と連通する第1のルーメン16を有する第1の導管17と、薬剤吐出口18と連通する第2のルーメン19を有する第2の導管20とを備え、バルーン3内部に供給される流体および薬剤吐出口18から投与される薬剤をそれぞれ異なる経路で供給できる。カテーテル2においては、バルーン3の内部から薬剤が浸み出すのではなく、バルーン3外部から薬剤が供給されるため、バルーン3の内圧やバルーン3の拡張の度合いは、薬剤の吐出量に影響を与えない。したがって、カテーテル2によれば、生体組織6の一定の領域に薬剤を投与するにあたり、バルーン3に対する流体の供給量と、薬剤吐出口18から投与される薬剤の投与量とをそれぞれ容易かつ正確に独立して制御することができる。さらに、カテーテル2においては、バルーン3の外表面に薬剤の吐出位置が設定されているので、例えば腫瘍で壊死により生じた空間の内面に沿うようにバルーンを膨張させれば、薬剤の吐出位置が腫瘍壊死の最前線に近接して設定でき、効率的な薬剤投与が可能となる。
【0047】
また、薬剤投与装置1は、カテーテル2を有し、バルーン3内部に供給される流体と薬剤吐出口18に供給される薬剤とをそれぞれ異なる経路で供給することによって、バルーン3への流体供給と薬剤吐出口18への薬剤供給とを別個に制御できるため、バルーン3に対する流体の供給処理タイミングと、薬剤吐出口18から投与される薬剤の投与処理タイミングとをそれぞれ容易かつ正確に独立して制御することができる。
【0048】
なお、実施の形態1におけるカテーテル2の腫瘍4までの導入方法は、上記に記載した方法に限らない。たとえば、内部にカテーテル2を挿入した尖形状のシース(図示しない)で、腫瘍4内にカテーテル2先端が到達するまで穿刺した後に、シースのみを抜き出すことによって、カテーテル2を腫瘍4まで導入してもよい。また、実施の形態1におけるカテーテルを、図2に示すカテーテル2から支持部材21を省略した構成として第1の導管17が可動となるようにし、第1の導管17を第2の導管20内部に少し引き入れバルーン3が第2の導管20内部に引き入れた状態でカテーテルを導入し、その後、第1の導管17を押し入れてバルーン3をカテーテル先端から突出させてからバルーン3を拡張させてもよい。また、第1の導管17を抜き差し可能である構成として、導入時には第1の導管17の代わりに穿刺針を差し込んで、針を先端から突出させた状態でカテーテルを生体組織6内に穿刺し、その後、穿刺針を抜き出して、第1の導管17を差し込んでもよい。
【0049】
また、実施の形態1においては、第2の導管として、いわゆる円筒状の多孔チューブ20a(図5参照)を用い、多孔チューブ20aのルーメン内に第1の導管を17を収容してもよい。この場合、薬剤は、多孔チューブ20aの各孔を通って、多孔チューブ20aの先端から吐出される。
【0050】
また、実施の形態1においては、球状のバルーン3を有する例について説明したが、もちろんこれに限らず、拡縮部分が円筒状のバルーン3a(図6参照)を用いてもよいし、角のある筒状のバルーン3b(図7参照)を用いてもよい。
【0051】
また、実施の形態1においては、図8の第2の導管20cのように、第2の導管20cの先端部23cを柔軟な材料で形成し、バルーン3の拡張にしたがって、先端部23cも外側に広がるように変形するようにしてもよい。薬剤吐出時においては、先端部23cが薬剤によって内側から押し広げられるため、図8のようにバルーン3の外表面との間に隙間が生じ、薬剤がスムーズにバルーン3の外表面に広がるようにガイドされる。第2の導管20cの先端部23cをバルーン3の最大径に合わせて外部に広がった形状に予め成形し、薬剤がスムーズにバルーン3の外表面に広がるようにしてもよい。
【0052】
また、実施の形態1においては、第1の導管と第2の導管とを導管の軸に沿って平行に並列に並べて配置してもよい。たとえば、図9および図10に示すように、バルーン3に供給される流体の流路である第1のルーメン16dを有する第1の導管17dの側壁に、薬剤流路用の第2のルーメン19dを有する第2の導管20dが埋め込まれたような構成を有する。この場合、第2の導管20dの先端部23dは柔軟な材料で形成されており、バルーン3の拡張に応じて屈曲する。その結果、第2の導管20dの先端部23dは、バルーン3の形状に沿って配設され、薬剤は、矢印Y5d(図10参照)のようにスムーズに薬剤吐出口18dからバルーン3の外表面に広がる。
【0053】
(実施の形態1の変形例1)
次に、実施の形態1の変形例1について説明する。実施の形態1の変形例1では、第1の導管に、第2の導管が挿通可能であるルーメンを設け、第2の導管の前進および後退を可能にした場合について説明する。
【0054】
図11は、実施の形態1の変形例1におけるカテーテル先端部分の斜視図である。図12は、図11に示すカテーテル先端部分を該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。なお、図12は、バルーンが拡張した状態を示す。
【0055】
図11および図12に示すように、実施の形態1の変形例1におけるカテーテル202は、バルーン3と先端で連通する第1のルーメン216とともに、第2の導管220が挿通可能であるルーメン222が形成された第1の導管217を備える。
【0056】
第2の導管220は、第2のルーメン219とともに、先端に薬剤吐出口223を有する。第2の導管220は、第1の導管217のルーメン222を矢印Y21のように前進および後退することが可能である。
【0057】
実施の形態1と同様に、カテーテル202の基端において、第1のルーメン216は、流体供給用のチューブ8と接続し、第2のルーメン219は、薬剤供給用のチューブ7と接続する。薬剤供給用のチューブ7は、薬剤供給ユニット9に接続し、流体供給用のチューブ8は、流体供給ユニット12に接続する。
【0058】
このように、実施の形態1の変形例1においては、第2の導管220の前進および後退を可能にすることによって、薬剤投与を開始した後であっても、第2の導管220を前進または後退させることによって薬剤が吐出される薬剤吐出口223の位置を変更することができ、薬剤投与位置が変更した場合にも対応できる。
【0059】
なお、実施の形態1の変形例1においては、第2の導管220の前進または後退を行なう場合には、バルーン3への流体の供給圧を下げるなどして、拡張したバルーン3の径を一時的に小さくし、バルーン3と第2の導管220との間に隙間を作って、第2の導管220を動きやすくしてもよい。
【0060】
また、実施の形態1の変形例1においては、図13および図14のカテーテル202aに示すように、バルーン3の外表面に近い側が尖った形状をなす先端224aを有する第2の導管220aを用いてもよい。この第2の導管220aであれば、バルーン3の外表面に沿って第2の導管220aの前進または後退がさらに容易に行なえるとともに、薬剤を吐出する薬剤吐出口223aも大きくできるため、薬剤を吐出できる領域を広くすることができる。
【0061】
また、実施の形態1の変形例1におけるカテーテルは、前進および後退が可能である第2の導管220を複数有する構成であってもよい。図15は、実施の形態1の変形例1におけるカテーテル先端部分の他の例を示す斜視図である。図16は、図15に示すカテーテル先端部分を該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。なお、図16は、バルーンが拡張した状態を示す。
【0062】
図15および図16に示すカテーテル202bは、第1の導管217bは、円筒形の隔壁221bでルーメンが2つに仕切られた2重ルーメン構造を有する。この第1の導管217bの2つのルーメンのうち、内側のルーメンは、第1のルーメン216bとして機能し、外側のルーメン222bは、複数の第2の導管220が挿通されるルーメンとして機能する。カテーテル202bの基端において、第1のルーメン216bは、流体供給用のチューブ8と接続し、各第2の導管220の第2のルーメン219は、薬剤供給用のチューブ7と接続する。薬剤供給用のチューブ7は、薬剤供給ユニット9に接続し、流体供給用のチューブ8は、流体供給ユニット12に接続する。
【0063】
このカテーテル202bにおいては、各第2の導管220を同程度前進させることによって、バルーン3外表面の周方向にわたり漏れなく薬剤を投与することができる。また、カテーテル202bにおいては、全ての第2の導管220を用いて薬剤を投与するほか、もちろん、一部の第2の導管220を選択して薬剤を投与してもよい。
【0064】
この場合には、第2の導管220は、基端側において、それぞれ別個の切替バルブを介して、薬剤供給用のチューブ7と接続する。そして、この各切替バルブの開閉動作によって、薬剤が供給される第2の導管220が選択される。このような構成とすることによって、選択的な薬剤の送達が可能となり、腫瘍4の組織がバルーン3外表面に対して不均一に存在するときなど、投与したい方向に存在する第2の導管220のみを選択して、所望の領域に薬剤を投与することができる。
【0065】
なお、投与対象の腫瘍4の組織に最も近く位置する第2の導管220を見つけるため、レントゲン等の診断機器でそれぞれの導管を区別できるようなマーカが、基準となる1本の第2の導管220に少なくとも付されていることが望ましい。また、カテーテル202bにおいては、第2の導管220ごとに薬剤の供給量を調整して、投与される薬剤の量を第2の導管220ごとに変更させてもよい。
【0066】
また、所望の位置にそれぞれ対応するように第2の導管220先端をそれぞれ第1の導管217b先端から突出させてから、バルーン3を拡張させることが望ましい。このようにすることによって、バルーン3の拡張にしたがって第2の導管220もそれぞれバルーン3の外表面に沿ってバルーン3の径方向に広がり、各第2の導管220先端の薬剤吐出口223を所望の位置に位置づけることができる。
【0067】
また、実施の形態1の変形例1においては、図16のように、バルーン3の基端側開口部の縁が、第1の導管217bの隔壁221b内壁と、流体が漏れないように固定接続されている形状であってもよい。もちろん、図17のカテーテル202cのように、第1の導管217cの隔壁221c外壁と、流体が漏れないように固定接続されている形状であってもよい。
【0068】
また、図18に示すように、各第2の導管220をそれぞれ異なる長さで前進させることによって、バルーン3の外表面に沿って配設された部分の第2の導管220の長さが、不均一となるようにしてもよい。この場合、バルーン外表面のさまざまなポイントに薬剤を吐出できるため、バルーン3の外表面に均一に薬剤が広がり易くなる。
【0069】
また、図19のカテーテル202dに示すように、先端224dではなく側面に複数の薬剤吐出口223dが設けられた第2の導管220dをバルーン3の外表面に沿って配設してもよい。第2の導管220dは、薬剤吐出口223dが形成された部分がバルーン3側とは逆側に位置するように、バルーン3の外表面に沿って配設される。このような構成とすることによって、薬剤は、各々の第2の導管220dの各第2のルーメン219を経由して、複数の薬剤吐出口223dから、矢印Y21dのようにバルーン3外側に向かって均一に投与される。なお、図19に示すカテーテル202dにおいては、バルーン3側と逆側に薬剤吐出口223dが形成されるため、バルーン3の外表面を介してではなく、薬剤吐出口223dから直接、腫瘍4に薬剤が投与される。このため、バルーン3の拡張は、第2の導管220からの薬剤吐出量には影響しない。
【0070】
また、実施の形態1の変形例1においては、外表面に溝が形成されたバルーンを用いてもよい。たとえば、図20に示すカテーテル202eのように、外表面に溝204eが形成されたバルーン203eを用いてもよい。図20に示すように、バルーン203eは、拡張した場合に、外表面に、基端側から先端側にかけて延伸した溝204eが複数形成される。図21は、図20のB−B線断面図である。図21に示すように、溝204eは、バルーン203eの拡張時であっても、周囲の生体組織との間に十分な空間が形成できる程度の深さを有する。
【0071】
このように、バルーン203e外表面に溝204eを設けることによって、この溝204eを経由して、バルーン203eの基端から先端まで薬剤を行き渡らせることができる。バルーン203eの外表面の第2の導管220先端をバルーン203eの溝204eに達する程度に前進させれば足りる。
【0072】
また、図22に示すカテーテル202fのように、バルーン周方向に沿った複数の溝204fを外表面に有するバルーン203fであってもよい。この場合には、溝204fそれぞれに、少なくとも1本の第2の導管220先端を位置づけることによって、バルーン203fの周方向に沿って薬剤を行き渡らせることができる。
【0073】
また、図23に示すカテーテル202gのように、螺旋状に形成された溝204gを有するバルーン203gであってもよい。また、図24に示すように、格子状に溝204hが形成されたバルーン203hでもよい。
【0074】
(実施の形態1の変形例2)
次に、実施の形態1の変形例2について説明する。実施の形態1の変形例2では、複数の内腔を有するバルーンを用いた場合について説明する。図25は、本実施の形態1の変形例2にかかる薬剤投与装置の概略図である。図25では、薬剤投与装置を構成するカテーテルは、該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した状態で示される。なお、図25は、バルーンが拡張した状態を示す。
【0075】
図25に示すように、本実施の形態1の変形例2にかかる薬剤投与装置301は、カテーテル302、薬剤供給ユニット9および流体供給ユニット312を備える。カテーテル302の先端には、第1の内腔325aおよび第2の内腔325bの2つの内腔を有するバルーン303が設けられる。
【0076】
図25に示すように、カテーテル302は、図1に示すカテーテル2と比して、第1の導管17に代えて、第1の導管317を有する。第1の導管317は、バルーン303の第1の内腔325aと連通するルーメン316aと、バルーン303の第2の内腔325bと連通するルーメン316bとを有する。ルーメン316aは、基端側において、バルーン303の第1の内腔325aに対して流体を供給するためのチューブ8aと連通する。ルーメン316bは、基端側において、バルーン303の第2の内腔325bに対して流体を供給するためのチューブ8bと連通する。
【0077】
チューブ8aは、流体供給ユニット312のうち、バルブ15aを介してポンプ14aと接続する。チューブ8bは、流体供給ユニット312のうち、バルブ15bを介してポンプ14bと接続する。このため、薬剤投与装置301においては、ポンプ14aおよびバルブ15aと、ポンプ14bおよびバルブ15bとをそれぞれ制御することによって、バルーン303の各内腔に対して、矢印Y32a,Y32bのようにそれぞれ独立して拡張量を制御することができる。
【0078】
このように、実施の形態1の変形例2においては、バルーン303の内腔を分割して内腔ごとに拡張量を制御できるため、バルーン303を広げたい方向に対応する内腔を選択してバルーンを拡張させることによって、多様な腫瘍の状態に対応できる。
【0079】
なお、実施の形態1の変形例2においては、内腔を2つ有するバルーン303を例に説明したが、バルーン303の内腔は、もちろん2つに限らない。図26は、実施の形態1の変形例2におけるバルーンの他の例をカテーテルの軸との直交面で切断した断面図である。実施の形態1の変形例2においては、たとえば図26に示すように、内腔を8つ有するバルーン303aであってもよい。また、バルーンの内腔はいくつでも良いが、製造のし易さおよび薬剤投与装置の使い易さを考慮すると10以下とすることが望ましい。
【0080】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、カテーテル先端からではなく、カテーテル側面からバルーンを拡張させる場合について説明する。
【0081】
図27は、本実施の形態2にかかる薬剤投与装置が有するカテーテル先端部分の斜視図である。図28は、図27に示すカテーテル2を該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。なお、実施の形態2にかかる薬剤投与装置は、図1に示すカテーテル2に代えて、図27および図28に示すカテーテルを備えた構成を有する。
【0082】
図27および図28に示すように、実施の形態2におけるカテーテル402においては、第2の導管420内部の第2のルーメン419に、第1の導管417が収納される。第2の導管420側面には薬剤吐出口425が形成されている。薬剤吐出口425の縁は、凹凸形状をなしている。カテーテル402の先端402aは、閉塞されている。先端402aは、生体組織へのカテーテル402の穿刺を容易化するために尖った形状をなす。
【0083】
この薬剤吐出口425の位置に対応させて第1の導管417先端にバルーン3が装着される。第1の導管417の第1のルーメン416は、先端においてバルーン3内部と連通し、基端側において流体供給用のチューブ8と連通する。
【0084】
まず、バルーン3が第2の導管420内部に収容された状態(図27および図28参照)で、カテーテル402は、生体組織内に導入される。そして、図29および図30に示すように、バルーン3内部に流体が供給されることによって、矢印Y403(図30参照)のようにバルーン3が拡張する。バルーン3は、拡張することによって、一部が薬剤吐出口425から外部に突出し、第2の導管420の側面方向に向かって拡張する。
【0085】
薬剤吐出口425の縁は凹凸形状を有するため、バルーン3が拡張して薬剤吐出口425から突出しても、バルーン3と薬剤吐出口425の縁との間に隙間を確保できる。このため、カテーテル402においては、バルーン3の拡張時に薬剤吐出口425全てがバルーン3によって塞がれることはない。したがって、チューブ8から供給された薬剤は、矢印Y42(図30参照)のように、第2のルーメン419を通過した後、矢印Y45(図30参照)のように、薬剤吐出口425の縁とバルーン3との隙間から適切に吐出され、生体組織に吸収される。
【0086】
このように、薬剤吐出口425をカテーテル402の側面に設け、この薬剤吐出口425からバルーン3を外部に拡張させる場合においては、バルーン3と薬剤吐出口425の縁との間の隙間を確保できるように薬剤吐出口425の形状を設定することによって、薬剤投与の円滑化を図ることができる。
【0087】
なお、カテーテル402においては、バルーン3が拡張していない状態(図27および図28参照)およびバルーン3が拡張した状態(図29および図30参照)のいずれにおいても、薬剤の投与を行うことが可能である。
【0088】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態3として、薬剤の投与とバルーンの拡縮とを自動的に行う薬剤投与装置について説明する。図31は、本実施の形態3にかかる薬剤投与装置の概略図である。図31は、薬剤投与装置を構成するカテーテルが生体組織内に導入および留置されている状態を示す。
【0089】
図31に示すように、実施の形態3にかかる薬剤投与装置501は、図1に示す薬剤投与装置1と比して、薬剤供給ユニット9に代えて、薬剤リザバー10と外部コントローラによって送出処理が制御可能であるポンプ511とを有する薬剤供給ユニット509を備える。また、薬剤投与装置501は、流体供給ユニット12に代えて、リザバー13と、外部コントローラによって送出処理が制御可能であるポンプ514と、バルーン3に連通するルーメン内もしくはバルーン3内の圧力を検出する圧力センサ526と、外部コントローラによって送出処理が制御可能であるバルブ515とを有する流体供給ユニット512を有する。薬剤投与装置501は、外部から入力された指示情報および圧力センサ526の検出圧力をもとに、ポンプ511,514およびバルブ515を制御するコントローラ527と、コントローラ527に指示情報を入力する入力部528を有する。なお、バルブ515は、電磁弁でもよい。また、バルブ515は、コントローラ527の制御にしたがってバルブ515の開動作および閉動作を行うアクチュエータと接続していてもよい。また、入力部528は、図示しないネットワークを介して、外部から送信された指示情報をコントローラ527に入力してもよい。なお、圧力センサ526は、バルブ515からバルーン3遠位端の間のいずれかバルーン3内部と連痛する箇所に取り付ければよく、たとえばバルーン3に直接接続していてもよい。
【0090】
次に、図31に示す薬剤投与装置501における薬剤投与処理について説明する。図32は、図31に示す薬剤投与装置501が行う薬剤投与処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0091】
図32に示すように、コントローラ527は、入力部528を介して入力された指示情報をもとに、薬剤投与の開始が指示されたか否かを判断する(ステップS1)。コントローラ527は、薬剤投与の開始が指示されていないと判断した場合(ステップS1:No)、ステップS1に戻り、薬剤投与の開始が指示されたと判断するまでステップS1の判断処理を繰り返す。
【0092】
コントローラ527は、薬剤投与の開始が指示されたと判断した場合(ステップS1:Yes)、入力部528を介して、薬剤の投与条件を取得する(ステップS2)。この投与条件として、薬剤の投与タイミングと各投与タイミングにおける投与量とを対応付けたものや、バルーンの拡縮タイミングおよび各拡縮タイミングにおける拡縮量とを対応付けたものが含まれる。
【0093】
コントローラ527は、取得した投与条件にしたがって、各薬剤投与タイミングで、指示された量の薬剤を投与できるように、ポンプ511の薬剤送出処理を制御する薬剤投与制御処理(ステップS3)を行う。続いて、コントローラ527は、取得した投与条件にしたがって、各拡縮タイミングで、指示された拡縮量でバルーンが拡縮するように、ポンプ514の流体送出処理を制御するバルーン拡縮制御処理(ステップS4)を行う。このバルーン拡縮制御処理においては、コントローラ527は、圧力センサ526に定期的にバルーン3に連通するルーメン内もしくはバルーン3内の圧力を検出させて、その結果をフィードバックして、指示された拡縮量でバルーン3が拡縮するようにポンプ514の送出圧力およびバルブ515の開閉タイミングを設定する。このステップS3およびステップS4は、並行して行われてもよい。
【0094】
続いて、コントローラ527は、入力部等を介して入力された指示情報をもとに、薬剤投与の終了が指示されたか否かを判断する(ステップS5)。コントローラ527は、薬剤投与の終了が指示されたと判断した場合(ステップS5:Yes)、所定の終了フローにしたがって各ポンプおよびバルブの動作を停止し、薬剤投与処理を終了する。
【0095】
一方、コントローラ527は、薬剤投与の終了が指示されていないと判断した場合(ステップS5:No)、入力部等を介して入力された指示情報をもとに、薬剤の投与条件を変更するか否かを判断する(ステップS6)。コントローラ527は、薬剤の投与条件を変更すると判断した場合(ステップS6:Yes)、入力を促し、入力部528を介して、新たな薬剤の投与条件を取得し(ステップS7)、取得した新たな投与条件にしたがって薬剤投与制御処理(ステップS3)およびバルーン拡縮制御処理(ステップS4)を行う。また、コントローラ527は、薬剤の投与条件を変更しないと判断した場合(ステップS6:No)、薬剤投与制御処理(ステップS3)およびバルーン拡縮制御処理(ステップS4)を継続する。
【0096】
このように、薬剤投与装置501においては、各種投与条件のうちユーザ所望の投与条件にしたがって、薬剤の投与およびバルーン3の拡縮をコントローラ527に制御させることによって、さまざまなプロフィールで薬剤投与およびバルーン3の拡縮を行うことができる。
【0097】
たとえば、薬剤投与装置501においては、拡張したバルーン3への送出圧を一時的に高圧に変化させて、圧力センサ526が検出したバルーン3に連通するルーメン内もしくはバルーン3内の圧力の変化プロフィールを定期的に取得するように設定してもよい。この場合には、コントローラ527は、取得したバルーン3に連通するルーメン内もしくはバルーン3内の圧力の変化プロフィールをもとに、最適なバルーン3の拡張範囲を設定し、設定にしたがってポンプ514を駆動する。なお、コントローラ527は、圧力センサ526によるバルーン3に連通するルーメン内もしくはバルーン3内の圧力の変化プロフィールの取得のために、バルーン3の拡張や縮小を周期的に繰り返してもよい。
【0098】
また、コントローラ527は、最適なバルーン3の拡張範囲よりもやや加圧させた状態でバルーン3を拡張させるようにポンプ514を制御して、細胞の壊死を誘導してもよい。このとき、コントローラ527は、ポンプ514の制御と並行してポンプ511を制御することによって、この細胞の壊死の誘導のためのバルーン3の拡張制御にしたがって薬剤の投与量を変化させることもできる。
【0099】
また、コントローラ527は、ポンプ514を制御して、バルーン3の拡張や縮小を小刻みに繰り返すことによって、バルーン3を振動させて薬剤を広げ、薬剤を均等に生体組織に行き渡らせるようにしてもよい。
【0100】
なお、実施の形態3にかかる薬剤投与装置として、図33の薬剤投与装置501aのように、カテーテル2に代えて、カテーテル202bを有する構成であってもよい。この場合、たとえば2つの第2の導管220a,220bごとに薬剤供給用のチューブ7a,7bを設けるとともに、薬剤供給ユニットとして、薬剤リザバー10とチューブ7aに接続するポンプ511aとチューブ7bに接続するポンプ511bとを有する薬剤供給ユニット509aを設けてもよい。このような構成においては、コントローラ527aは、ポンプ511aおよびポンプ511bをそれぞれ独立して制御することによって、薬剤供給ユニット509aに、各第2の導管220a,220bの各々の薬剤の投与量を調整させることができる。
【0101】
また、実施の形態3にかかる薬剤投与装置として、図34の薬剤投与装置501bのように、カテーテル2に代えて、カテーテル302を有する構成であってもよい。この場合、流体供給ユニット512bとして、バルーン303の第1の内腔325aおよび第2の内腔325bに対応して設けられた流体供給用のポンプ514a,514bそれぞれに対応して圧力センサ526a,526bを設けられる。コントローラ527bは、各圧力センサ526a,526bの検出結果をもとに、ポンプ514aおよびバルブ515aと、ポンプ514bおよびバルブ515bとをそれぞれ独立して制御することによって、流体供給ユニット512bに、バルーンの内腔325a,325bごとに流体の供給量を調整させることができる。
【符号の説明】
【0102】
1,301,501,501a,501b 薬剤投与装置
2,202,202a〜202g,302,402 カテーテル
3,3a,3b,203e〜203h,303,303a バルーン
4 腫瘍
5 体表
6 生体組織
7,7a,7b,8,8a,8b チューブ
9,509 薬剤供給ユニット
10 薬剤リザバー
11,14,14a,14b,511,511a,511b,514,514a,514b ポンプ
12,312,512b 流体供給ユニット
13 リザバー
15,15a,15b,515,515a,515b バルブ
16,16d,216,216b,416 第1のルーメン
17,17d,217,217b,217c,317,417 第1の導管
18,223,223a,223d,425 薬剤吐出口
19,19d,219,419 第2のルーメン
20,20c,20d,220,220a,220b,420 第2の導管
20a 多孔チューブ
21 支持部材
204e〜204h 溝
222,222b,316a,316b ルーメン
526,526a,526b 圧力センサ
527,527a,527b コントローラ
【技術分野】
【0001】
この発明は、生体組織内に導入されるカテーテルおよび生体組織内に薬剤を投与する薬剤投与装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、人間を含む哺乳動物の体内の投与目標(例えば、腫瘍)に薬剤を投与するためにカテーテルが用いられている。このようなカテーテルは、内部にルーメンを有する細長い形状をなし、ルーメン内を移送された薬剤は、先端や側面に設けられた薬剤吐出口から生体組織内に吐出される。
【0003】
腫瘍などにカテーテルを使って薬剤を直接投与する場合、薬剤投与当初は腫瘍組織が密であるため、大量の薬剤を投与しても腫瘍組織が受け付けず、無理に投与しようとすると薬剤があふれる等の不具合が発生する可能性がある。このため、薬剤投与当初は、少量の薬剤を投与する。その後、薬剤投与をある程度の期間行うと、腫瘍組織の壊死等によって腫瘍組織の密度が疎となる場合や空間ができる場合がある。この場合には、より多くの薬剤の投与が可能となる。このように、薬剤の投与量は、当初は少量であっても治療の進行にしたがって徐々に増加させることが可能となる。
【0004】
ここで、薬剤の投与量が徐々に増加する場合、薬剤の投与部位も1点のままでなく、投与量の増加に応じて生体組織のより広い部位に対して投与できることが望ましい。従来では、カテーテルに微小多孔を有する材料で形成したバルーンを設け、当該バルーンの内側に薬剤を導入して、微小多孔を経由して薬剤を生体組織に浸透させる技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。このようなバルーンを用いれば、薬剤によって形成された細胞の壊死による空間にバルーンを広げ、バルーンの内側からバルーンの外表面に対応する広い領域に薬剤を投与できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0300571号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたカテーテルにおいては、バルーン内部に薬剤を導入してバルーンを膨張させるため、薬剤の導入圧力を高めるとバルーンの内圧が高まり、薬剤の吐出量が所望の量を超えて急増してしまう。さらに、バルーンの膨張に応じて多数の微小細孔の直径が広がるので、薬剤の吐出量は、さらに増加してしまう。このように、特許文献1に記載されたカテーテルでは、薬剤の吐出量を制御することが困難であった。
【0007】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、生体組織の一定の領域に薬剤を投与するにあたり、薬剤の投与量を正確に制御できるカテーテルおよび薬剤投与装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかるカテーテルは、生体組織内に導入されるカテーテルであって、内部に流体が供給されることによって拡縮自在であるバルーンと、前記バルーンと連通する第1のルーメンを有する第1の導管と、前記バルーンの外側に設けられる薬剤吐出口と、前記薬剤吐出口と連通する第2のルーメンとを有する第2の導管と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記薬剤吐出口は、前記薬剤吐出口から吐出された薬剤が前記バルーンの外表面に沿った位置から前記生体組織内に投与されるように構成されることを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記薬剤吐出口は、前記バルーンの外部から、前記バルーンの外表面に沿って薬剤を吐出することを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記薬剤吐出口は、前記第2の導管の側面に設けられ、前記第2の導管は、前記薬剤吐出口が形成された部分が前記バルーン側とは逆側に位置するように、前記バルーンの外表面に沿って配設されることを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記第2の導管は、前記第1の導管に対して進退可能であることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記第2の導管は、前記バルーンの外表面に近い側が尖形状をなすことを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記第2の導管は、複数設けられていることを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記複数の第2の導管は、前記バルーンの外表面に沿って配設されており、前記バルーンの外表面に沿って配設された部分の第2の導管の長さが不均一であることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記第1の導管は、前記第2の導管の第2のルーメン内に収納されていることを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記薬剤吐出口は、前記第2の導管の先端に設けられており、前記バルーンは、前記薬剤吐出口の薬剤吐出方向側に位置するように構成されていることを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記薬剤吐出口は、前記第2導管の側面に設けられており、前記第1の導管および前記バルーンは、前記第2の導管の第2のルーメン内に収納されており、前記バルーンは、拡張することにより、当該バルーンの一部が前記薬剤吐出口から外部に突出するように構成されていることを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記薬剤吐出口は、縁部分が凹凸形状であることを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記バルーンは、外表面に溝が形成されていることを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかるカテーテルは、前記バルーンは、複数の内腔を有することを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかる薬剤投与装置は、生体組織内に薬剤を投与する薬剤投与装置であって、内部に流体が供給されることによって拡縮自在であるバルーンと、前記バルーンと連通する第1のルーメンを有する第1の導管と、前記バルーンの外側に設けられる薬剤吐出口および前記薬剤吐出口と連通する第2のルーメンを有する第2の導管とを有するカテーテルと、前記バルーン内部に供給される流体の供給量を調整する流体供給量調整手段と、前記第2のルーメンを介して前記薬剤吐出口から投与される薬剤の投与量を調整する薬剤投与量調整手段と、前記流体供給量調整手段による流体供給処理と前記薬剤投与量調整手段による薬剤投与量調整処理とを制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかる薬剤投与装置は、前記第2の導管は、複数設けられており、前記制御手段は、前記薬剤投与量調整手段に、各第2の導管の各々の薬剤の投与量を調整させることを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかる薬剤投与装置は、前記バルーンは、複数の内腔を有し、前記制御手段は、前記流体供給量調整手段に、前記複数の内腔ごとに流体の供給量を調整させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
この発明にかかるカテーテルは、バルーンに連通する第1のルーメンを有する第1の導管と、薬剤吐出口に連通する第2のルーメンを有する第2の導管とを備え、バルーン内部に供給される流体および薬剤吐出口から投与される薬剤をそれぞれ異なる経路で供給できるため、生体組織の一定の領域に薬剤を投与するにあたり、バルーンに対する流体の供給量と、薬剤吐出口から投与される薬剤の投与量とをそれぞれ正確に制御することができる。
【0026】
この発明にかかる薬剤投与装置は、バルーンに連通する第1のルーメンを有する第1の導管と、薬剤吐出口に連通する第2のルーメンを有する第2の導管とを設けたカテーテルを有し、バルーン内部に供給される流体と薬剤吐出口に供給される薬剤とをそれぞれ異なる経路で供給することによって、バルーンへの流体供給と薬剤吐出口への薬剤供給とを別個に制御できるため、バルーンに対する流体の供給処理と、薬剤吐出口から投与される薬剤の投与処理とをそれぞれ正確に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、実施の形態1にかかる薬剤投与装置の概略図である。
【図2】図2は、図1に示すカテーテルを腫瘍に導入した状態で該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図3】図3は、図2のA−A線断面図である。
【図4】図4は、図1に示すカテーテルを腫瘍に導入した状態で該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図5】図5は、図2に示す第2の導管の他の例を長手方向の中心軸との直交面で切断した断面図である。
【図6】図6は、図1に示すバルーンの他の例を示す斜視図である。
【図7】図7は、図1に示すバルーンの他の例を示す斜視図である。
【図8】図8は、図1に示すカテーテルの他の構成を該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した先端部分の断面図である。
【図9】図9は、図1に示すカテーテルの他の構成を示す斜視図である。
【図10】図10は、図9に示すカテーテルを該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した先端部分の断面図である。
【図11】図11は、実施の形態1の変形例1におけるカテーテル先端部分の斜視図である。
【図12】図12は、図11に示すカテーテル先端部分を該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図13】図13は、実施の形態1の変形例1におけるカテーテル先端部分の他の例を示す斜視図である。
【図14】図14は、図13に示すカテーテル先端部分を該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図15】図15は、実施の形態1の変形例1におけるカテーテル先端部分の他の例を示す斜視図である。
【図16】図16は、図15に示すカテーテル先端部分を該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図17】図17は、実施の形態1の変形例1における他のカテーテル先端部分を該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図18】図18は、実施の形態1の変形例におけるカテーテルの使用方法を説明する図である。
【図19】図19は、実施の形態1の変形例1における他のカテーテル先端部分を該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図20】図20は、実施の形態1の変形例1におけるカテーテル先端部分の他の例を示す斜視図である。
【図21】図21は、図20に示すB−B線断面図である。
【図22】図22は、実施の形態1の変形例1におけるカテーテル先端部分の他の例を示す斜視図である。
【図23】図23は、実施の形態1の変形例1におけるカテーテル先端部分の他の例を示す斜視図である。
【図24】図24は、実施の形態1の変形例1におけるカテーテル先端部分の他の例を示す斜視図である。
【図25】図25は、実施の形態1の変形例2にかかる薬剤投与装置の概略図である。
【図26】図26は、実施の形態1の変形例2におけるバルーンの他の例をカテーテルの長手方向の中心軸との直交面で切断した断面図である。
【図27】図27は、実施の形態2にかかる薬剤投与装置が有するカテーテル先端部分の斜視図である。
【図28】図28は、図27に示すカテーテルを該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図29】図29は、実施の形態2にかかる薬剤投与装置が有するカテーテル先端部分の他の状態を示す斜視図である。
【図30】図30は、図29に示すカテーテルを該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。
【図31】図31は、実施の形態3にかかる薬剤投与装置の概略図である。
【図32】図32は、図31に示す薬剤投与装置が行う薬剤投与処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図33】図33は、実施の形態3にかかる他の薬剤投与装置の概略図である。
【図34】図34は、実施の形態3にかかる他の薬剤投与装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態として、人間を含む哺乳動物の生体組織内に導入されるカテーテルおよび生体組織内に薬剤を投与する薬剤投与装置について説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0029】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1について説明する。図1は、本実施の形態1にかかる薬剤投与装置の概略図である。図1は、薬剤投与装置を構成するカテーテルが生体組織内に導入および留置されている状態を示す。
【0030】
図1に示すように、本実施の形態1にかかる薬剤投与装置1は、カテーテル2、薬剤供給ユニット9および流体供給ユニット12を備える。カテーテル2の先端には、内部に流体が供給されることによって拡縮自在であるバルーン3が設けられる。カテーテル2は、生体適合性のある材料で形成される。バルーン3は、たとえばシリコーン、ポリウレタン樹脂または天然ゴム等の生体適合性のある弾性を有する材料で形成される。カテーテル2は、体表5内側にある生体組織6の投与目標組織である腫瘍4内にカテーテル2先端が到達するように導入および留置される。
【0031】
カテーテル2の基端には、薬剤供給用のチューブ7と、バルーン3内部への流体供給用のチューブ8が接続されている。薬剤供給用のチューブ7は、薬剤供給ユニット9に接続する。流体供給用のチューブ8は、流体供給ユニット12に接続する。
【0032】
薬剤供給ユニット9は、生体組織内に投与される薬剤を保持する薬剤リザバー10と、薬剤リザバー10内の薬剤をチューブ7を介してカテーテル2に送出するポンプ11とを有する。薬剤供給ユニット9は、カテーテル2の薬剤吐出口から投与される薬剤の投与量を調整する。
【0033】
流体供給ユニット12は、バルーン3内部に供給される流体を保持するリザバー13と、リザバー13内の流体をチューブ8を介してカテーテル2に送出するポンプ14と、ポンプ14とチューブ8との間に設けられてバルーン3の内圧を調整するバルブ15とを有する。流体供給ユニット12は、バルーン3内部に供給される流体の供給量を調整する。バルーン3内に供給される流体は、たとえば生理食塩水である。なお、バルーン3内部に供給する流体として外気を使用する場合には、リザバー13に代えて外気を取り込むフィルターを用いることができる。
【0034】
次に、図2を参照して、カテーテル2の構造について説明する。図2は、図1に示すカテーテル2を腫瘍4に導入した状態で該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。図2に示すように、カテーテル2は、バルーン3内部と連通する第1のルーメン16を有する第1の導管17と、薬剤吐出口18および薬剤吐出口18と連通する第2のルーメン19を有する第2の導管20とを備える。薬剤吐出口18は、第2の導管20の先端に設けられている。バルーン3は、拡張時には、薬剤吐出口18の薬剤吐出方向側に位置するように構成される。薬剤吐出口18は、拡張時のバルーン3の外側に位置するように形成される。
【0035】
第1の導管17の第1のルーメン16は、基端側において流体供給用のチューブ8と連通し、バルーン3に供給される流体の流路として機能する。第2の導管20の第2のルーメン19は、基端側において、薬剤供給用のチューブ7と連通し、腫瘍4に投与する薬剤の流路として機能する。
【0036】
図3は、図2のA−A線断面図である。図2および図3に示すように、第1の導管17は、第2の導管20の第2のルーメン19内部に収容されている。第2の導管20は、先端において、第1の導管17と第2の導管20との間の距離が一定となるように、支持部材21によって先端が支持されている。この支持部材21は、図3に示すように、薬剤が通過可能なように、複数の支持部材21の間に隙間が設けられている。したがって、カテーテル2の生体組織6内への導入処理によって、第1の導管17がずれて、薬剤の流路がつぶれてしまうことがない。なお、図2に示す例では、第2の導管20の先端を支持部材21によって支持される場合を例に説明したが、先端のみに限らず、第2の導管20の先端から基端までの間に複数の支持部材21を設けてもよい。また、支持部材21に限らず、先端から基端まで部材が延伸した構成を有する支持部材を用いてもよい。
【0037】
このように、実施の形態1にかかる薬剤投与装置1においては、腫瘍4に投与する薬剤の流路と、バルーン3に供給する流体の流路とをそれぞれ別個に設けたカテーテル2を有する。このため、薬剤投与装置1においては、薬剤の投与とバルーン3の拡縮をそれぞれ独立して制御でき、以降に示す薬剤投与方法が可能となる。
【0038】
次に、図2および図4を参照して、投与目標組織である腫瘍4に抗癌剤を投与する場合を例に、図1に示す薬剤投与装置1の薬剤投与方法の一例について説明する。
【0039】
まず、薬剤投与装置1とは別個の穿刺針や切開部材等で生体組織6を穿刺もしくは切開し、腫瘍4内にカテーテル2先端が到達するようにカテーテル2を導入および留置する。この場合、腫瘍4へのカテーテル2先端の導入を円滑化するため、図2のように第2のルーメン19内部にバルーン3が畳み入れられた状態でカテーテル2先端を生体組織6内に導入する。
【0040】
続いて、カテーテル2先端を生体組織6内に導入した当初は、バルーンが拡張していない状態で、第2の導管20の先端に設けられた薬剤吐出口18から図2に示す矢印Y1のように抗癌剤が腫瘍4に投与される。この段階では、腫瘍4も細胞組織が密であり、少量の抗癌剤しか投与できないため、薬剤の投与量は、腫瘍4の密度に対応した量に設定され、この薬剤の投与量に対応してポンプ11が稼動する。
【0041】
その後、抗癌剤の投与により腫瘍4の壊死が進み、薬剤吐出口18周辺の細胞密度が低下すると、投薬できる量を増加することができるため、ポンプ11の稼動条件を変更して薬剤の投与量を増加させる。
【0042】
そして、腫瘍4の壊死の進行による細胞の密度低下の影響により、薬剤吐出口18周辺の一部には空間ができる場合もある。このような状態においては、カテーテル2周囲の細胞の状況に応じてバルーン3の拡張が可能になってくる。
【0043】
そこで、ポンプ14を稼動して、バルーン3内部に矢印Y2(図4参照)のように流体を供給することによって、矢印Y3のようにバルーン3を拡張させる。薬剤吐出口18はバルーン3の外部に設けられており、薬剤吐出口18から吐出された薬剤がバルーン3の外表面に沿った位置から腫瘍4に投与されるように構成される。
【0044】
薬剤吐出口18から吐出された薬剤は、薬剤吐出口18から拡張されたバルーン3の外表面に沿って矢印Y5(図4参照)のように吐出される。この場合、薬剤の送液量をバルーン3の表面積に比例して決定すれば、単位表面積当りの投薬量を一定に保つことができる。さらに、バルーン3への流体の供給圧を下げて拡張したバルーン3の径を一時的に小さくし、このとき生成された隙間に薬剤が全体的に均一に行き渡るようにしてもよい。このようにすれば、薬剤の投与量を増やすことができ、さらに再拡張するときの圧力によって薬剤の浸透を促進できる。
【0045】
また、バルーン3が拡張することで、腫瘍4の組織を一定の圧力で押圧することができるため、この押圧によって細胞が壊死して細胞の欠落がさらに広がることが期待できる。このため、薬剤投与装置1においては、バルーン3をやや加圧気味に拡張させる操作を行い、細胞の壊死の進行を促すこともできる。なお、バルーン3の内圧は、一時的または周期的に押圧する場合には、細胞の壊死の進行を促すために、一定圧で生体組織6を押圧する場合よりも高めにすることが望ましい。いずれの場合にも、バルーン3の内圧は、1000mmHg以下が望ましい。
【0046】
このように、カテーテル2は、バルーン3と連通する第1のルーメン16を有する第1の導管17と、薬剤吐出口18と連通する第2のルーメン19を有する第2の導管20とを備え、バルーン3内部に供給される流体および薬剤吐出口18から投与される薬剤をそれぞれ異なる経路で供給できる。カテーテル2においては、バルーン3の内部から薬剤が浸み出すのではなく、バルーン3外部から薬剤が供給されるため、バルーン3の内圧やバルーン3の拡張の度合いは、薬剤の吐出量に影響を与えない。したがって、カテーテル2によれば、生体組織6の一定の領域に薬剤を投与するにあたり、バルーン3に対する流体の供給量と、薬剤吐出口18から投与される薬剤の投与量とをそれぞれ容易かつ正確に独立して制御することができる。さらに、カテーテル2においては、バルーン3の外表面に薬剤の吐出位置が設定されているので、例えば腫瘍で壊死により生じた空間の内面に沿うようにバルーンを膨張させれば、薬剤の吐出位置が腫瘍壊死の最前線に近接して設定でき、効率的な薬剤投与が可能となる。
【0047】
また、薬剤投与装置1は、カテーテル2を有し、バルーン3内部に供給される流体と薬剤吐出口18に供給される薬剤とをそれぞれ異なる経路で供給することによって、バルーン3への流体供給と薬剤吐出口18への薬剤供給とを別個に制御できるため、バルーン3に対する流体の供給処理タイミングと、薬剤吐出口18から投与される薬剤の投与処理タイミングとをそれぞれ容易かつ正確に独立して制御することができる。
【0048】
なお、実施の形態1におけるカテーテル2の腫瘍4までの導入方法は、上記に記載した方法に限らない。たとえば、内部にカテーテル2を挿入した尖形状のシース(図示しない)で、腫瘍4内にカテーテル2先端が到達するまで穿刺した後に、シースのみを抜き出すことによって、カテーテル2を腫瘍4まで導入してもよい。また、実施の形態1におけるカテーテルを、図2に示すカテーテル2から支持部材21を省略した構成として第1の導管17が可動となるようにし、第1の導管17を第2の導管20内部に少し引き入れバルーン3が第2の導管20内部に引き入れた状態でカテーテルを導入し、その後、第1の導管17を押し入れてバルーン3をカテーテル先端から突出させてからバルーン3を拡張させてもよい。また、第1の導管17を抜き差し可能である構成として、導入時には第1の導管17の代わりに穿刺針を差し込んで、針を先端から突出させた状態でカテーテルを生体組織6内に穿刺し、その後、穿刺針を抜き出して、第1の導管17を差し込んでもよい。
【0049】
また、実施の形態1においては、第2の導管として、いわゆる円筒状の多孔チューブ20a(図5参照)を用い、多孔チューブ20aのルーメン内に第1の導管を17を収容してもよい。この場合、薬剤は、多孔チューブ20aの各孔を通って、多孔チューブ20aの先端から吐出される。
【0050】
また、実施の形態1においては、球状のバルーン3を有する例について説明したが、もちろんこれに限らず、拡縮部分が円筒状のバルーン3a(図6参照)を用いてもよいし、角のある筒状のバルーン3b(図7参照)を用いてもよい。
【0051】
また、実施の形態1においては、図8の第2の導管20cのように、第2の導管20cの先端部23cを柔軟な材料で形成し、バルーン3の拡張にしたがって、先端部23cも外側に広がるように変形するようにしてもよい。薬剤吐出時においては、先端部23cが薬剤によって内側から押し広げられるため、図8のようにバルーン3の外表面との間に隙間が生じ、薬剤がスムーズにバルーン3の外表面に広がるようにガイドされる。第2の導管20cの先端部23cをバルーン3の最大径に合わせて外部に広がった形状に予め成形し、薬剤がスムーズにバルーン3の外表面に広がるようにしてもよい。
【0052】
また、実施の形態1においては、第1の導管と第2の導管とを導管の軸に沿って平行に並列に並べて配置してもよい。たとえば、図9および図10に示すように、バルーン3に供給される流体の流路である第1のルーメン16dを有する第1の導管17dの側壁に、薬剤流路用の第2のルーメン19dを有する第2の導管20dが埋め込まれたような構成を有する。この場合、第2の導管20dの先端部23dは柔軟な材料で形成されており、バルーン3の拡張に応じて屈曲する。その結果、第2の導管20dの先端部23dは、バルーン3の形状に沿って配設され、薬剤は、矢印Y5d(図10参照)のようにスムーズに薬剤吐出口18dからバルーン3の外表面に広がる。
【0053】
(実施の形態1の変形例1)
次に、実施の形態1の変形例1について説明する。実施の形態1の変形例1では、第1の導管に、第2の導管が挿通可能であるルーメンを設け、第2の導管の前進および後退を可能にした場合について説明する。
【0054】
図11は、実施の形態1の変形例1におけるカテーテル先端部分の斜視図である。図12は、図11に示すカテーテル先端部分を該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。なお、図12は、バルーンが拡張した状態を示す。
【0055】
図11および図12に示すように、実施の形態1の変形例1におけるカテーテル202は、バルーン3と先端で連通する第1のルーメン216とともに、第2の導管220が挿通可能であるルーメン222が形成された第1の導管217を備える。
【0056】
第2の導管220は、第2のルーメン219とともに、先端に薬剤吐出口223を有する。第2の導管220は、第1の導管217のルーメン222を矢印Y21のように前進および後退することが可能である。
【0057】
実施の形態1と同様に、カテーテル202の基端において、第1のルーメン216は、流体供給用のチューブ8と接続し、第2のルーメン219は、薬剤供給用のチューブ7と接続する。薬剤供給用のチューブ7は、薬剤供給ユニット9に接続し、流体供給用のチューブ8は、流体供給ユニット12に接続する。
【0058】
このように、実施の形態1の変形例1においては、第2の導管220の前進および後退を可能にすることによって、薬剤投与を開始した後であっても、第2の導管220を前進または後退させることによって薬剤が吐出される薬剤吐出口223の位置を変更することができ、薬剤投与位置が変更した場合にも対応できる。
【0059】
なお、実施の形態1の変形例1においては、第2の導管220の前進または後退を行なう場合には、バルーン3への流体の供給圧を下げるなどして、拡張したバルーン3の径を一時的に小さくし、バルーン3と第2の導管220との間に隙間を作って、第2の導管220を動きやすくしてもよい。
【0060】
また、実施の形態1の変形例1においては、図13および図14のカテーテル202aに示すように、バルーン3の外表面に近い側が尖った形状をなす先端224aを有する第2の導管220aを用いてもよい。この第2の導管220aであれば、バルーン3の外表面に沿って第2の導管220aの前進または後退がさらに容易に行なえるとともに、薬剤を吐出する薬剤吐出口223aも大きくできるため、薬剤を吐出できる領域を広くすることができる。
【0061】
また、実施の形態1の変形例1におけるカテーテルは、前進および後退が可能である第2の導管220を複数有する構成であってもよい。図15は、実施の形態1の変形例1におけるカテーテル先端部分の他の例を示す斜視図である。図16は、図15に示すカテーテル先端部分を該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。なお、図16は、バルーンが拡張した状態を示す。
【0062】
図15および図16に示すカテーテル202bは、第1の導管217bは、円筒形の隔壁221bでルーメンが2つに仕切られた2重ルーメン構造を有する。この第1の導管217bの2つのルーメンのうち、内側のルーメンは、第1のルーメン216bとして機能し、外側のルーメン222bは、複数の第2の導管220が挿通されるルーメンとして機能する。カテーテル202bの基端において、第1のルーメン216bは、流体供給用のチューブ8と接続し、各第2の導管220の第2のルーメン219は、薬剤供給用のチューブ7と接続する。薬剤供給用のチューブ7は、薬剤供給ユニット9に接続し、流体供給用のチューブ8は、流体供給ユニット12に接続する。
【0063】
このカテーテル202bにおいては、各第2の導管220を同程度前進させることによって、バルーン3外表面の周方向にわたり漏れなく薬剤を投与することができる。また、カテーテル202bにおいては、全ての第2の導管220を用いて薬剤を投与するほか、もちろん、一部の第2の導管220を選択して薬剤を投与してもよい。
【0064】
この場合には、第2の導管220は、基端側において、それぞれ別個の切替バルブを介して、薬剤供給用のチューブ7と接続する。そして、この各切替バルブの開閉動作によって、薬剤が供給される第2の導管220が選択される。このような構成とすることによって、選択的な薬剤の送達が可能となり、腫瘍4の組織がバルーン3外表面に対して不均一に存在するときなど、投与したい方向に存在する第2の導管220のみを選択して、所望の領域に薬剤を投与することができる。
【0065】
なお、投与対象の腫瘍4の組織に最も近く位置する第2の導管220を見つけるため、レントゲン等の診断機器でそれぞれの導管を区別できるようなマーカが、基準となる1本の第2の導管220に少なくとも付されていることが望ましい。また、カテーテル202bにおいては、第2の導管220ごとに薬剤の供給量を調整して、投与される薬剤の量を第2の導管220ごとに変更させてもよい。
【0066】
また、所望の位置にそれぞれ対応するように第2の導管220先端をそれぞれ第1の導管217b先端から突出させてから、バルーン3を拡張させることが望ましい。このようにすることによって、バルーン3の拡張にしたがって第2の導管220もそれぞれバルーン3の外表面に沿ってバルーン3の径方向に広がり、各第2の導管220先端の薬剤吐出口223を所望の位置に位置づけることができる。
【0067】
また、実施の形態1の変形例1においては、図16のように、バルーン3の基端側開口部の縁が、第1の導管217bの隔壁221b内壁と、流体が漏れないように固定接続されている形状であってもよい。もちろん、図17のカテーテル202cのように、第1の導管217cの隔壁221c外壁と、流体が漏れないように固定接続されている形状であってもよい。
【0068】
また、図18に示すように、各第2の導管220をそれぞれ異なる長さで前進させることによって、バルーン3の外表面に沿って配設された部分の第2の導管220の長さが、不均一となるようにしてもよい。この場合、バルーン外表面のさまざまなポイントに薬剤を吐出できるため、バルーン3の外表面に均一に薬剤が広がり易くなる。
【0069】
また、図19のカテーテル202dに示すように、先端224dではなく側面に複数の薬剤吐出口223dが設けられた第2の導管220dをバルーン3の外表面に沿って配設してもよい。第2の導管220dは、薬剤吐出口223dが形成された部分がバルーン3側とは逆側に位置するように、バルーン3の外表面に沿って配設される。このような構成とすることによって、薬剤は、各々の第2の導管220dの各第2のルーメン219を経由して、複数の薬剤吐出口223dから、矢印Y21dのようにバルーン3外側に向かって均一に投与される。なお、図19に示すカテーテル202dにおいては、バルーン3側と逆側に薬剤吐出口223dが形成されるため、バルーン3の外表面を介してではなく、薬剤吐出口223dから直接、腫瘍4に薬剤が投与される。このため、バルーン3の拡張は、第2の導管220からの薬剤吐出量には影響しない。
【0070】
また、実施の形態1の変形例1においては、外表面に溝が形成されたバルーンを用いてもよい。たとえば、図20に示すカテーテル202eのように、外表面に溝204eが形成されたバルーン203eを用いてもよい。図20に示すように、バルーン203eは、拡張した場合に、外表面に、基端側から先端側にかけて延伸した溝204eが複数形成される。図21は、図20のB−B線断面図である。図21に示すように、溝204eは、バルーン203eの拡張時であっても、周囲の生体組織との間に十分な空間が形成できる程度の深さを有する。
【0071】
このように、バルーン203e外表面に溝204eを設けることによって、この溝204eを経由して、バルーン203eの基端から先端まで薬剤を行き渡らせることができる。バルーン203eの外表面の第2の導管220先端をバルーン203eの溝204eに達する程度に前進させれば足りる。
【0072】
また、図22に示すカテーテル202fのように、バルーン周方向に沿った複数の溝204fを外表面に有するバルーン203fであってもよい。この場合には、溝204fそれぞれに、少なくとも1本の第2の導管220先端を位置づけることによって、バルーン203fの周方向に沿って薬剤を行き渡らせることができる。
【0073】
また、図23に示すカテーテル202gのように、螺旋状に形成された溝204gを有するバルーン203gであってもよい。また、図24に示すように、格子状に溝204hが形成されたバルーン203hでもよい。
【0074】
(実施の形態1の変形例2)
次に、実施の形態1の変形例2について説明する。実施の形態1の変形例2では、複数の内腔を有するバルーンを用いた場合について説明する。図25は、本実施の形態1の変形例2にかかる薬剤投与装置の概略図である。図25では、薬剤投与装置を構成するカテーテルは、該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した状態で示される。なお、図25は、バルーンが拡張した状態を示す。
【0075】
図25に示すように、本実施の形態1の変形例2にかかる薬剤投与装置301は、カテーテル302、薬剤供給ユニット9および流体供給ユニット312を備える。カテーテル302の先端には、第1の内腔325aおよび第2の内腔325bの2つの内腔を有するバルーン303が設けられる。
【0076】
図25に示すように、カテーテル302は、図1に示すカテーテル2と比して、第1の導管17に代えて、第1の導管317を有する。第1の導管317は、バルーン303の第1の内腔325aと連通するルーメン316aと、バルーン303の第2の内腔325bと連通するルーメン316bとを有する。ルーメン316aは、基端側において、バルーン303の第1の内腔325aに対して流体を供給するためのチューブ8aと連通する。ルーメン316bは、基端側において、バルーン303の第2の内腔325bに対して流体を供給するためのチューブ8bと連通する。
【0077】
チューブ8aは、流体供給ユニット312のうち、バルブ15aを介してポンプ14aと接続する。チューブ8bは、流体供給ユニット312のうち、バルブ15bを介してポンプ14bと接続する。このため、薬剤投与装置301においては、ポンプ14aおよびバルブ15aと、ポンプ14bおよびバルブ15bとをそれぞれ制御することによって、バルーン303の各内腔に対して、矢印Y32a,Y32bのようにそれぞれ独立して拡張量を制御することができる。
【0078】
このように、実施の形態1の変形例2においては、バルーン303の内腔を分割して内腔ごとに拡張量を制御できるため、バルーン303を広げたい方向に対応する内腔を選択してバルーンを拡張させることによって、多様な腫瘍の状態に対応できる。
【0079】
なお、実施の形態1の変形例2においては、内腔を2つ有するバルーン303を例に説明したが、バルーン303の内腔は、もちろん2つに限らない。図26は、実施の形態1の変形例2におけるバルーンの他の例をカテーテルの軸との直交面で切断した断面図である。実施の形態1の変形例2においては、たとえば図26に示すように、内腔を8つ有するバルーン303aであってもよい。また、バルーンの内腔はいくつでも良いが、製造のし易さおよび薬剤投与装置の使い易さを考慮すると10以下とすることが望ましい。
【0080】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、カテーテル先端からではなく、カテーテル側面からバルーンを拡張させる場合について説明する。
【0081】
図27は、本実施の形態2にかかる薬剤投与装置が有するカテーテル先端部分の斜視図である。図28は、図27に示すカテーテル2を該カテーテルの長手方向の中心軸に沿って切断した断面図である。なお、実施の形態2にかかる薬剤投与装置は、図1に示すカテーテル2に代えて、図27および図28に示すカテーテルを備えた構成を有する。
【0082】
図27および図28に示すように、実施の形態2におけるカテーテル402においては、第2の導管420内部の第2のルーメン419に、第1の導管417が収納される。第2の導管420側面には薬剤吐出口425が形成されている。薬剤吐出口425の縁は、凹凸形状をなしている。カテーテル402の先端402aは、閉塞されている。先端402aは、生体組織へのカテーテル402の穿刺を容易化するために尖った形状をなす。
【0083】
この薬剤吐出口425の位置に対応させて第1の導管417先端にバルーン3が装着される。第1の導管417の第1のルーメン416は、先端においてバルーン3内部と連通し、基端側において流体供給用のチューブ8と連通する。
【0084】
まず、バルーン3が第2の導管420内部に収容された状態(図27および図28参照)で、カテーテル402は、生体組織内に導入される。そして、図29および図30に示すように、バルーン3内部に流体が供給されることによって、矢印Y403(図30参照)のようにバルーン3が拡張する。バルーン3は、拡張することによって、一部が薬剤吐出口425から外部に突出し、第2の導管420の側面方向に向かって拡張する。
【0085】
薬剤吐出口425の縁は凹凸形状を有するため、バルーン3が拡張して薬剤吐出口425から突出しても、バルーン3と薬剤吐出口425の縁との間に隙間を確保できる。このため、カテーテル402においては、バルーン3の拡張時に薬剤吐出口425全てがバルーン3によって塞がれることはない。したがって、チューブ8から供給された薬剤は、矢印Y42(図30参照)のように、第2のルーメン419を通過した後、矢印Y45(図30参照)のように、薬剤吐出口425の縁とバルーン3との隙間から適切に吐出され、生体組織に吸収される。
【0086】
このように、薬剤吐出口425をカテーテル402の側面に設け、この薬剤吐出口425からバルーン3を外部に拡張させる場合においては、バルーン3と薬剤吐出口425の縁との間の隙間を確保できるように薬剤吐出口425の形状を設定することによって、薬剤投与の円滑化を図ることができる。
【0087】
なお、カテーテル402においては、バルーン3が拡張していない状態(図27および図28参照)およびバルーン3が拡張した状態(図29および図30参照)のいずれにおいても、薬剤の投与を行うことが可能である。
【0088】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態3として、薬剤の投与とバルーンの拡縮とを自動的に行う薬剤投与装置について説明する。図31は、本実施の形態3にかかる薬剤投与装置の概略図である。図31は、薬剤投与装置を構成するカテーテルが生体組織内に導入および留置されている状態を示す。
【0089】
図31に示すように、実施の形態3にかかる薬剤投与装置501は、図1に示す薬剤投与装置1と比して、薬剤供給ユニット9に代えて、薬剤リザバー10と外部コントローラによって送出処理が制御可能であるポンプ511とを有する薬剤供給ユニット509を備える。また、薬剤投与装置501は、流体供給ユニット12に代えて、リザバー13と、外部コントローラによって送出処理が制御可能であるポンプ514と、バルーン3に連通するルーメン内もしくはバルーン3内の圧力を検出する圧力センサ526と、外部コントローラによって送出処理が制御可能であるバルブ515とを有する流体供給ユニット512を有する。薬剤投与装置501は、外部から入力された指示情報および圧力センサ526の検出圧力をもとに、ポンプ511,514およびバルブ515を制御するコントローラ527と、コントローラ527に指示情報を入力する入力部528を有する。なお、バルブ515は、電磁弁でもよい。また、バルブ515は、コントローラ527の制御にしたがってバルブ515の開動作および閉動作を行うアクチュエータと接続していてもよい。また、入力部528は、図示しないネットワークを介して、外部から送信された指示情報をコントローラ527に入力してもよい。なお、圧力センサ526は、バルブ515からバルーン3遠位端の間のいずれかバルーン3内部と連痛する箇所に取り付ければよく、たとえばバルーン3に直接接続していてもよい。
【0090】
次に、図31に示す薬剤投与装置501における薬剤投与処理について説明する。図32は、図31に示す薬剤投与装置501が行う薬剤投与処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0091】
図32に示すように、コントローラ527は、入力部528を介して入力された指示情報をもとに、薬剤投与の開始が指示されたか否かを判断する(ステップS1)。コントローラ527は、薬剤投与の開始が指示されていないと判断した場合(ステップS1:No)、ステップS1に戻り、薬剤投与の開始が指示されたと判断するまでステップS1の判断処理を繰り返す。
【0092】
コントローラ527は、薬剤投与の開始が指示されたと判断した場合(ステップS1:Yes)、入力部528を介して、薬剤の投与条件を取得する(ステップS2)。この投与条件として、薬剤の投与タイミングと各投与タイミングにおける投与量とを対応付けたものや、バルーンの拡縮タイミングおよび各拡縮タイミングにおける拡縮量とを対応付けたものが含まれる。
【0093】
コントローラ527は、取得した投与条件にしたがって、各薬剤投与タイミングで、指示された量の薬剤を投与できるように、ポンプ511の薬剤送出処理を制御する薬剤投与制御処理(ステップS3)を行う。続いて、コントローラ527は、取得した投与条件にしたがって、各拡縮タイミングで、指示された拡縮量でバルーンが拡縮するように、ポンプ514の流体送出処理を制御するバルーン拡縮制御処理(ステップS4)を行う。このバルーン拡縮制御処理においては、コントローラ527は、圧力センサ526に定期的にバルーン3に連通するルーメン内もしくはバルーン3内の圧力を検出させて、その結果をフィードバックして、指示された拡縮量でバルーン3が拡縮するようにポンプ514の送出圧力およびバルブ515の開閉タイミングを設定する。このステップS3およびステップS4は、並行して行われてもよい。
【0094】
続いて、コントローラ527は、入力部等を介して入力された指示情報をもとに、薬剤投与の終了が指示されたか否かを判断する(ステップS5)。コントローラ527は、薬剤投与の終了が指示されたと判断した場合(ステップS5:Yes)、所定の終了フローにしたがって各ポンプおよびバルブの動作を停止し、薬剤投与処理を終了する。
【0095】
一方、コントローラ527は、薬剤投与の終了が指示されていないと判断した場合(ステップS5:No)、入力部等を介して入力された指示情報をもとに、薬剤の投与条件を変更するか否かを判断する(ステップS6)。コントローラ527は、薬剤の投与条件を変更すると判断した場合(ステップS6:Yes)、入力を促し、入力部528を介して、新たな薬剤の投与条件を取得し(ステップS7)、取得した新たな投与条件にしたがって薬剤投与制御処理(ステップS3)およびバルーン拡縮制御処理(ステップS4)を行う。また、コントローラ527は、薬剤の投与条件を変更しないと判断した場合(ステップS6:No)、薬剤投与制御処理(ステップS3)およびバルーン拡縮制御処理(ステップS4)を継続する。
【0096】
このように、薬剤投与装置501においては、各種投与条件のうちユーザ所望の投与条件にしたがって、薬剤の投与およびバルーン3の拡縮をコントローラ527に制御させることによって、さまざまなプロフィールで薬剤投与およびバルーン3の拡縮を行うことができる。
【0097】
たとえば、薬剤投与装置501においては、拡張したバルーン3への送出圧を一時的に高圧に変化させて、圧力センサ526が検出したバルーン3に連通するルーメン内もしくはバルーン3内の圧力の変化プロフィールを定期的に取得するように設定してもよい。この場合には、コントローラ527は、取得したバルーン3に連通するルーメン内もしくはバルーン3内の圧力の変化プロフィールをもとに、最適なバルーン3の拡張範囲を設定し、設定にしたがってポンプ514を駆動する。なお、コントローラ527は、圧力センサ526によるバルーン3に連通するルーメン内もしくはバルーン3内の圧力の変化プロフィールの取得のために、バルーン3の拡張や縮小を周期的に繰り返してもよい。
【0098】
また、コントローラ527は、最適なバルーン3の拡張範囲よりもやや加圧させた状態でバルーン3を拡張させるようにポンプ514を制御して、細胞の壊死を誘導してもよい。このとき、コントローラ527は、ポンプ514の制御と並行してポンプ511を制御することによって、この細胞の壊死の誘導のためのバルーン3の拡張制御にしたがって薬剤の投与量を変化させることもできる。
【0099】
また、コントローラ527は、ポンプ514を制御して、バルーン3の拡張や縮小を小刻みに繰り返すことによって、バルーン3を振動させて薬剤を広げ、薬剤を均等に生体組織に行き渡らせるようにしてもよい。
【0100】
なお、実施の形態3にかかる薬剤投与装置として、図33の薬剤投与装置501aのように、カテーテル2に代えて、カテーテル202bを有する構成であってもよい。この場合、たとえば2つの第2の導管220a,220bごとに薬剤供給用のチューブ7a,7bを設けるとともに、薬剤供給ユニットとして、薬剤リザバー10とチューブ7aに接続するポンプ511aとチューブ7bに接続するポンプ511bとを有する薬剤供給ユニット509aを設けてもよい。このような構成においては、コントローラ527aは、ポンプ511aおよびポンプ511bをそれぞれ独立して制御することによって、薬剤供給ユニット509aに、各第2の導管220a,220bの各々の薬剤の投与量を調整させることができる。
【0101】
また、実施の形態3にかかる薬剤投与装置として、図34の薬剤投与装置501bのように、カテーテル2に代えて、カテーテル302を有する構成であってもよい。この場合、流体供給ユニット512bとして、バルーン303の第1の内腔325aおよび第2の内腔325bに対応して設けられた流体供給用のポンプ514a,514bそれぞれに対応して圧力センサ526a,526bを設けられる。コントローラ527bは、各圧力センサ526a,526bの検出結果をもとに、ポンプ514aおよびバルブ515aと、ポンプ514bおよびバルブ515bとをそれぞれ独立して制御することによって、流体供給ユニット512bに、バルーンの内腔325a,325bごとに流体の供給量を調整させることができる。
【符号の説明】
【0102】
1,301,501,501a,501b 薬剤投与装置
2,202,202a〜202g,302,402 カテーテル
3,3a,3b,203e〜203h,303,303a バルーン
4 腫瘍
5 体表
6 生体組織
7,7a,7b,8,8a,8b チューブ
9,509 薬剤供給ユニット
10 薬剤リザバー
11,14,14a,14b,511,511a,511b,514,514a,514b ポンプ
12,312,512b 流体供給ユニット
13 リザバー
15,15a,15b,515,515a,515b バルブ
16,16d,216,216b,416 第1のルーメン
17,17d,217,217b,217c,317,417 第1の導管
18,223,223a,223d,425 薬剤吐出口
19,19d,219,419 第2のルーメン
20,20c,20d,220,220a,220b,420 第2の導管
20a 多孔チューブ
21 支持部材
204e〜204h 溝
222,222b,316a,316b ルーメン
526,526a,526b 圧力センサ
527,527a,527b コントローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織内に導入されるカテーテルであって、
内部に流体が供給されることによって拡縮自在であるバルーンと、
前記バルーンと連通する第1のルーメンを有する第1の導管と、
前記バルーンの外側に設けられる薬剤吐出口と、前記薬剤吐出口と連通する第2のルーメンとを有する第2の導管と、
を備えたことを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
前記薬剤吐出口は、前記薬剤吐出口から吐出された薬剤が前記バルーンの外表面に沿った位置から前記生体組織内に投与されるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記薬剤吐出口は、前記バルーンの外部から、前記バルーンの外表面に沿って薬剤を吐出することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記薬剤吐出口は、前記第2の導管の側面に設けられ、
前記第2の導管は、前記薬剤吐出口が形成された部分が前記バルーン側とは逆側に位置するように、前記バルーンの外表面に沿って配設されることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記第2の導管は、前記第1の導管に対して進退可能であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記第2の導管は、前記バルーンの外表面に近い側が尖形状をなすことを特徴とする請求項5に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記第2の導管は、複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記複数の第2の導管は、前記バルーンの外表面に沿って配設されており、
前記バルーンの外表面に沿って配設された部分の第2の導管の長さが不均一であることを特徴とする請求項7に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記第1の導管は、前記第2の導管の第2のルーメン内に収納されていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記薬剤吐出口は、前記第2の導管の先端に設けられており、
前記バルーンは、前記薬剤吐出口の薬剤吐出方向側に位置するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記薬剤吐出口は、前記第2導管の側面に設けられており、
前記第1の導管および前記バルーンは、前記第2の導管の第2のルーメン内に収納されており、
前記バルーンは、拡張することにより、当該バルーンの一部が前記薬剤吐出口から外部に突出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記薬剤吐出口は、縁部分が凹凸形状であることを特徴とする請求項11に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記バルーンは、外表面に溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記バルーンは、複数の内腔を有することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項15】
生体組織内に薬剤を投与する薬剤投与装置であって、
内部に流体が供給されることによって拡縮自在であるバルーンと、前記バルーンと連通する第1のルーメンを有する第1の導管と、前記バルーンの外側に設けられる薬剤吐出口および前記薬剤吐出口と連通する第2のルーメンを有する第2の導管とを有するカテーテルと、
前記バルーン内部に供給される流体の供給量を調整する流体供給量調整手段と、
前記第2のルーメンを介して前記薬剤吐出口から投与される薬剤の投与量を調整する薬剤投与量調整手段と、
前記流体供給量調整手段による流体供給処理と前記薬剤投与量調整手段による薬剤投与量調整処理とを制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする薬剤投与装置。
【請求項16】
前記第2の導管は、複数設けられており、
前記制御手段は、前記薬剤投与量調整手段に、各第2の導管の各々の薬剤の投与量を調整させることを特徴とする請求項15に記載の薬剤投与装置。
【請求項17】
前記バルーンは、複数の内腔を有し、
前記制御手段は、前記流体供給量調整手段に、前記複数の内腔ごとに流体の供給量を調整させることを特徴とする請求項15に記載の薬剤投与装置。
【請求項1】
生体組織内に導入されるカテーテルであって、
内部に流体が供給されることによって拡縮自在であるバルーンと、
前記バルーンと連通する第1のルーメンを有する第1の導管と、
前記バルーンの外側に設けられる薬剤吐出口と、前記薬剤吐出口と連通する第2のルーメンとを有する第2の導管と、
を備えたことを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
前記薬剤吐出口は、前記薬剤吐出口から吐出された薬剤が前記バルーンの外表面に沿った位置から前記生体組織内に投与されるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記薬剤吐出口は、前記バルーンの外部から、前記バルーンの外表面に沿って薬剤を吐出することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記薬剤吐出口は、前記第2の導管の側面に設けられ、
前記第2の導管は、前記薬剤吐出口が形成された部分が前記バルーン側とは逆側に位置するように、前記バルーンの外表面に沿って配設されることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記第2の導管は、前記第1の導管に対して進退可能であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記第2の導管は、前記バルーンの外表面に近い側が尖形状をなすことを特徴とする請求項5に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記第2の導管は、複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記複数の第2の導管は、前記バルーンの外表面に沿って配設されており、
前記バルーンの外表面に沿って配設された部分の第2の導管の長さが不均一であることを特徴とする請求項7に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記第1の導管は、前記第2の導管の第2のルーメン内に収納されていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記薬剤吐出口は、前記第2の導管の先端に設けられており、
前記バルーンは、前記薬剤吐出口の薬剤吐出方向側に位置するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記薬剤吐出口は、前記第2導管の側面に設けられており、
前記第1の導管および前記バルーンは、前記第2の導管の第2のルーメン内に収納されており、
前記バルーンは、拡張することにより、当該バルーンの一部が前記薬剤吐出口から外部に突出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記薬剤吐出口は、縁部分が凹凸形状であることを特徴とする請求項11に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記バルーンは、外表面に溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記バルーンは、複数の内腔を有することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項15】
生体組織内に薬剤を投与する薬剤投与装置であって、
内部に流体が供給されることによって拡縮自在であるバルーンと、前記バルーンと連通する第1のルーメンを有する第1の導管と、前記バルーンの外側に設けられる薬剤吐出口および前記薬剤吐出口と連通する第2のルーメンを有する第2の導管とを有するカテーテルと、
前記バルーン内部に供給される流体の供給量を調整する流体供給量調整手段と、
前記第2のルーメンを介して前記薬剤吐出口から投与される薬剤の投与量を調整する薬剤投与量調整手段と、
前記流体供給量調整手段による流体供給処理と前記薬剤投与量調整手段による薬剤投与量調整処理とを制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする薬剤投与装置。
【請求項16】
前記第2の導管は、複数設けられており、
前記制御手段は、前記薬剤投与量調整手段に、各第2の導管の各々の薬剤の投与量を調整させることを特徴とする請求項15に記載の薬剤投与装置。
【請求項17】
前記バルーンは、複数の内腔を有し、
前記制御手段は、前記流体供給量調整手段に、前記複数の内腔ごとに流体の供給量を調整させることを特徴とする請求項15に記載の薬剤投与装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【公開番号】特開2012−157606(P2012−157606A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20377(P2011−20377)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(510340023)オリンパスビジネスクリエイツ株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(510340023)オリンパスビジネスクリエイツ株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
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