説明

カプセル化小滴形状の粒子、及び当該粒子の製造方法

コア材料と、コア材料を取り囲むシェル材料とを含むカプセル化小滴形状の粒子であって、シェル材料がマレイミド基、好ましくはマレイミド基のコポリマーを含有する、カプセル化小滴形状の粒子である。シェル材料は、75モル%より多く、好ましくは90モル%より多くがマレイミドである、スチレン誘導体及び無水マレイン酸誘導体のコポリマーを含有し、この平均粒径は300nm未満である。粒子は、コア材料の存在下で無水マレイン酸含有ポリマーのアンモニウム塩を80℃〜195℃、より好ましくは120℃〜190℃に加熱することを含む方法によって得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア材料と、コア材料を取り囲むシェル材料とを含み、且つ基材の処理に使用される、カプセル化小滴(encapsulated droplet)形状の粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる粒子は既知であり、且つ多くの種々の用途に用いられる。
【0003】
多くの用途では、別の基体の表面に完全なコーティング又は部分的なコーティングを設けるために、このような種類の粒子を基体の表面に適用する。このような用途の例は、表面の特性を改良するための、紙、厚紙、プラスチック、ガラス、金属、皮膚、毛髪、爪、皮革、木材、石の処理である。
【0004】
この用途は通常、コーティング機、印刷技法、噴霧、塗付け(smearing)、及び浸漬等によって行うことができる。多くの用途における、コーティング等の基材の処理は、水相からしか行うことができない。このような用途の例は、紙産業においてコーティングを適用すること、又は皮膚上に化粧品製剤を適用することである。後述の例では、皮膚の乾燥を防ぐために、溶媒の量を制限することが推奨されている。多くの他の用途では、有機溶媒の使用が安全性の問題及び環境上の観点から制限又は禁止されている。コーティングの適用中に粒子が水性液中に懸濁又は分散し、基材へのコーティングの適用及び液体の除去後に、コーティングがそれ以上水不溶性であるためコーティングの安定性及び接着性が改善されることが利点である。
【0005】
水系製剤において、粒子の凝集性及び基材の接着性を改善するために、結合剤が存在していてもよい。
【0006】
基材への適用に粒子が必要とされる多くの用途において、これらの粒子は水溶性でない。この理由から、このような粒子からエマルション又は分散液を調製して、その後基材へ適用することができる。この種類の用途では、通常、分散液の安定な懸濁を得るために、界面活性剤を使用することが求められる。しかしながら、界面活性剤は、プロセスに関して又は得られるコーティングに対して考えられ得る多くの悪影響を有する。
【0007】
粒子でコーティングされた基材は、これらの粒子が界面活性剤と共に分散する場合に、より高い感水性を有する。このより高い親水性に起因して、水に対するバリア特性が制限される。多くの場合、水系塗料が基材を保護しないことは既知である。これらの塗料から成るコーティングが損なわれていなくとも、基材はコーティングを通じて浸透する水分の影響を受ける。
【0008】
多くの場合、疎水性の増大が非常に望まれる。紙産業では、疎水性の増大によって、次の水系コーティング層が適用される場合にコーティング有効寿命が改善され、又はオフセット印刷が適用される場合にインクの吸収が改善される。化粧品産業では、適用される材料の疎水性が高いほど、耐久性が高まる。活性成分は容易に洗い落とされるものではない。特に日焼け止めは水泳によって洗い流されるものであってはならない。
【0009】
さらに、粒子の分散液を作製する際、これらの粒子はしばしば、より微細な粒子の凝集体であり、このような微粒子の分散液は、より粗い粒子の粉砕後であっても得にくい。また、粒子分布は非常に幅が広い。粒子から始めて水系分散液を作製するときの別の問題は、製剤中の粒子の固形分が制限されるおそれがあることである。水性相中の界面活性剤の存在により、製品又は基材へ適用する際に粒子の凝集性及び付着性が低下することもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の問題を鑑みて、分散剤を用いない高固形分の微粒子の水分散液の作製は、特に、粒子が幾つかの所望の成分を粒子のコア材料中にカプセル化し得る場合に有益である。
【0011】
本発明の技法は、水不溶性材料を水系にすることを可能にする。このような水不溶性材料の例は、パラフィン油、ワックス、ワセリン油、ホワイトスピリット、石油エーテル、ポリオレフィン、シリコーン、植物油、アルカン、エポキシ化油、長鎖アルキル含有成分である。これらの疎水性材料は、例えば染料、蛍光増白剤、又はUV吸収剤等の活性成分をさらに含有してもよい。
【0012】
それらの最終用途における最適な使用をもたらすための、粒子に対する基本的な要求は高い固形分、界面活性剤の不使用、(好ましくは室温で2ヶ月より長期間)安定な分散液の形成、好ましくは透明な粒子及び高い剪断及び/又は耐圧性である。透明度に関して、粒径が300nm未満であれば粒子は透明であるのに十分であり得ると考えられる。
【0013】
コアとシェルとを含む粒子を有する利点は、これらの粒子が単一成分によっては得ることができない特性を有し得る点である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のこの目的及び他の目的は、シェル材料がマレイミド基を含有する上述の種類の粒子を用いて達成される。原則として、これらの基は、通常、無水マレイン酸基に由来するスクシンイミド基であり、マレイミドと称される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1における時間とトルクとの関係を示すグラフである。
【図2】比較例における時間とトルクとの関係を示すグラフである。
【図3】実施例2における時間とトルクとの関係を示すグラフである。
【図4】実施例3における時間とトルクとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
好ましくは、シェル材料は、環状酸無水物単位及びビニルモノマー単位からのコポリマーに由来するマレイミド基のコポリマーである。好ましくは、環状酸無水物の少なくとも75モル%、より好ましくは少なくとも90モル%が、そのマレイミド(スクシンイミド)形態に転換される。
【0017】
コポリマーを調製するのに好適な環状酸無水物モノマーは、例えば、無水マレイン酸及び無水シトラコン酸、無水イタコン酸及びそれらの混合物等のα−β不飽和ジカルボン酸無水物である。好ましくは、コポリマーは無水マレイン酸モノマー単位を含有する。
【0018】
コポリマーに使用される好適なビニルモノマーとしては、ビニル芳香族モノマー(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン及びインデン)、モノオレフィン不飽和炭化水素(例えば、エチレン、プロピレン及びイソブチレン)、イタコン酸及びそのエステル、α−β不飽和カルボン酸エステル(例えば、アクリレートエステル(エチルアクリレート、ブチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレート等)、メタクリレートエステル(メチルメタクリレート、エチルメタクリレート及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、並びにマレイン酸ジエステル(ジオクチルマレエート等))、ハロゲン化オレフィン(例えば、塩化ビニル及び塩化ビニリデン)、並びにこれらの混合物が挙げられる。コポリマーは、商業上容易に入手可能なスチレン又はα−メチルスチレンを含有することが好ましいが、スチレンモノマー単位の存在が最も好ましい。
【0019】
ビニルモノマー単位及び酸無水物モノマー単位を含有するコポリマーは、当業者に既知の方法、例えば、Hanson及びZimmerman, Ind. Eng. Chem. Vol. 49, nr. 11 (1957), p. 1803-1807に記載の方法等に従って合成することができる。
【0020】
好ましくは、酸無水物モノマー含量が5〜50モル%、より好ましくは5〜43モル%の範囲であるコポリマーを使用する。
【0021】
このコポリマーの分子量は、好ましくは500000g/モル未満、より好ましくは200000g/モル未満、又は150000g/モル未満である。理想的には、50〜150nmの狭い粒径分布を有するいわゆる単分散液(monodisperse dispersion)を得ることを可能にするため、出発コポリマーの分子量はおよそ20000〜80000g/モルである。
【0022】
本発明の一つの特徴によれば、粒径は300nm未満であり、平均粒径は200nm未満である。このような粒子の利点は、この粒子が透明であるため、インクジェットインク用途、又は例えばヘアカラーリング若しくはスキンカラーリング等の化粧品用途に典型的に使用されるようなコア材料の着色に使用するのに有用な点である。このような粒子は、多孔質基材の光沢の改善をさらに促すことができる。
【0023】
本発明の好ましい実施形態において、シェルは、少なくとも120℃のTgを有する材料から作製される。このシェルは、高い剪断、圧力及び温度に耐性のあるカプセルを作製する。
【0024】
上で説明したように、粒子は、コア材料が不活性材料であると言える場合に上記のように使用することができる。しかしながら用途によっては、コア材料が、光輝度をもたらす成分、染料、乳白剤、UV吸収組成物、又は撥水剤(repelling agents)等の別の活性成分を含有する場合に有益であることもある。
【0025】
コア材料と活性成分との比率は100000:1〜1:10、好ましくは10000:1〜1:1であり得る。
【0026】
コア材料は、例えば、UV吸収特性を有する活性成分としても作用する可能性がある。
【0027】
好ましくは、活性成分はコア材料との親和性を有する。また、この親和性は、例えば、疎水性部位及び親水性部位を有するポリマーの場合に部分的であり得る。
【0028】
カプセル化プロセス中にこれらの活性成分を添加する際の一般的な特徴は、これらの成分が粒子上に非常に均一に分布されている点である。
【0029】
活性成分の例は、染料、例えば、オフセット印刷に頻繁に使用される油溶性染料である。また、油に部分的な親和性を有する染料が好適である。
【0030】
他の例は、例えば、スチルベン及びスチルベン誘導体のような蛍光増白剤である。
【0031】
ポリオレフィンに使用されるのに好適な蛍光増白剤も本発明に好適である。
【0032】
本発明の好ましい実施形態において、コア−シェル粒子の調製は、金属、無機顔料及び有機顔料の存在下で実施される。この場合、金属又は顔料は多くの場合微細化され、非常に安定な分散液がもたらされる。無機顔料の例は、二酸化チタン、炭酸カルシウム、滑石、セッコウ、酸化鉄、クレイ、カオリンである。有機顔料の例は、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、及び着色材に用いられる典型的な顔料である。
【0033】
使用され得る金属の例は、アルミニウム、亜鉛、鉄、金、銀、白金及び銅である。
【0034】
顔料又は金属の微細化によって多くの場合、これらの顔料又は金属により生じる特性の改善がもたらされる。粒子が小さくなるほど、着色顔料の着色力は高くなり、アルミニウム等の金属はより光沢を改善し、滑石はより高い疎水性を与える。
【0035】
別の好ましい実施形態では、コア材料が水不溶性材料、例えば、油、好ましくは植物油、エポキシ化油、シリコーン(silicon)油、パラフィン油又はワセリン油、テルペン、ワックス、脂肪酸等の脂肪、アルカン、ポリオレフィン等のポリマーである。最も好ましいものは、パーム油、ダイズ油、ヒマシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、ジャトロファ油(jathropha oil)、シリコーン油、又は全種類のパラフィン油である。
【0036】
国際公開第2004/031249号に記載のスチレンマレイミドポリマーをベースとした一般的なナノ粒子に構成すると、以下の利点:安価な充填材、天然産物である再生可能材料、より高い固形分、活性成分をコア材料へ添加する性能、及び分散液の製造中により大量の有機顔料及び無機顔料又は金属を添加する実現可能性、加えて製造中にそれらを微細化することが得られる。さらに、粘度が低い結果としてより円滑な調製方法が達成される。
【0037】
また、本発明は、かかる粒子を製造する方法、即ち上記の方法であって、環状酸無水物コポリマーを、コア材料の存在下で且つ任意でまたコア中にカプセル化される材料の存在下でイミドに転換させる方法に関する。
【0038】
低粘性コア材料を用いることによって、既に相対的により高い粘度を有するシェル材料を作製するためのコポリマーから始めることが妥当である。この観点から、出発コポリマーは、環状酸無水物でなくα−β不飽和ジカルボン酸を含有し得る。これらは環状酸無水物含有コポリマーの完全な又は部分的な加水分解によって得ることができるか、又はビニルモノマー及び任意にまた不飽和環状酸無水物とのα−β不飽和ジカルボン酸の共重合によって容易に得られる。
【0039】
本発明は、上記のような粒子の製造方法に関する。本方法は、粒子が無水マレイン酸含有ポリマーのアンモニウム塩をコア材料の存在下で100℃より高く加熱することによって得られることを特徴としている。本発明の方法では、イミド化反応が主に、100℃を超える温度、好ましくは120〜195℃の温度、より好ましくは130〜180℃の温度で行われる。100℃未満では、十分な速さのイミド化(dimidiation)は観測されなかった。170℃を超える温度、特に195℃を超える温度では、ポリマーの凝集への懸念が高まり、ポリマーの凝集の結果として分散液中の粒子形成を妨げ、コーティングとして適用されると目で見ることができるほどの大き過ぎるサイズを有する粒子がもたらされる。
【0040】
また、添付の特許請求の範囲に記載の温度範囲内において、経済的に実現可能な反応時間内に、高過ぎない圧力、例えば、約7バールで十分なイミド化を達成することができる。
【0041】
アンモニウム塩は、無水マレイン酸含有ポリマーを、アンモニア又はアルキルアミンで処理することによって得ることができる。上述のように、これらの無水マレイン酸基は、それらの加水分解形態でも存在し得る。好適なアルキルアミンは、例えば、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、第三級ブチルアミン、ベンジルアミン、シクロヘキシルアミンである。より長いアルキル鎖を有するアミンも使用することができる。
【0042】
イミド化反応の間には、過剰なNH3又はRNH2を可能な限り少量に保つことが好ましい。化学物質の不必要な損失を最小限に抑えるために、イミド化されるコポリマー中のアミン又はNH3と酸無水物モノマーとのモル比は、0.8:1〜1.2:1の範囲であるが、好ましくは、等モル比又はわずかに少ないものが好ましい。
【0043】
反応が水中で行われ、且つカプセル化材料が水溶性でないことが好ましい。
【0044】
本発明の水性ポリマー分散液は、55重量%を超える固形分を有し得る。
【0045】
本発明の好ましい実施形態では、粒子が乳化工程を介して形成される。
【0046】
本発明による方法の実施形態では、粒子が、酸無水物官能性ポリマーのアンモニウム塩による液体の乳化によって形成される。
【0047】
本発明の別の実施形態では、コア材料は、既に分散されているか又は乳化された生成物である。このような生成物は、例えば、エマルション重合を介して生成されるラテックスである。例えば、スチレンブタジエンラテックス及びポリビニルアセテートラテックスである。
【0048】
本発明の実施形態によれば、粒子は溶媒から分離される。これは、例えば、噴霧乾燥によって、又は粒子含有媒体を酸性化して得られた沈殿物を濾過することによって行うことができる。これらの固体粒子は、後に溶媒又は樹脂中に分散することができるか、又はポリマーマトリクス中に配合することができる。このような生成物は、例えば、硬化樹脂中又は熱可塑性材料中で耐衝撃性改良剤として使用することができる。
【0049】
コアとシェルとの重量比は90:10〜1:40、好ましくは85:15〜1:10であり得る。
【0050】
本発明による粒子は、多くの種々の用途に使用することができる。
【0051】
第1の用途では、コア材料が、水相中における優れた安定性を有するナノ顔料として作用し且つ乾燥後に感水性がない、カプセル化された染料を含有する。今日、ナノ顔料は顔料をナノ相へと粉砕することによって作製されており、これは非常に困難な工程である。さらに、これらのナノ顔料は、界面活性剤の存在に起因してより高い感水性を維持する。
【0052】
このような粒子は、粒子が高表面被覆をもたらす織物の染色、ヘアカラーリング又は紙の着色における、インク、より好ましくはインクジェットインクに有用であると考えられる。紙の場合、染料は、如何なるドットの抜けもほとんどなく紙の表面上に非常に平滑に分布する。顔料はコーティングプロセスによって適用することができるが、現行のプロセスでは、紙の着色は、紙の製造自体の間に染料又は顔料を添加することによって進行する。後述のプロセスでは多量の着色剤が必要となり、プロセスが非常に高価なものとなる。
【0053】
製品自体によって得られる利点は別にして、コーティング機の洗浄を容易にし、且つ今日ではコーティング機の洗浄による休止時間に制限される或る色から別の色への交換を容易にするように、基材への適用を単純化する。
【0054】
別の用途では、非常に高い光輝度を或る基材に与えることが可能である。一般に使用される水系蛍光増白剤は増感剤であり、これは、これらの製品が皮膚に接触(com into contact)する場合に望ましい特性ではない。洗浄剤は、洗浄サイクル後に織物に残留する蛍光増白剤を含有する。これらの製品に接触するとアレルギー反応を示す人もいる。さらに、蛍光増白剤を有する多くの紙が、増感剤の存在を避けなければならない食品接触用途に使用されている。
【0055】
本発明による粒子を用いて、油溶性である蛍光増白剤(optical brightening agents)をカプセル化することが可能となる。蛍光増白剤のカプセル化によって、製品と人との直接的な接触は避けられる。さらに、油溶性蛍光増白剤は、それらを水溶性にする感作化学基(sensitizing chemical group)を含有していない。これらの油溶性蛍光増白剤を油中に溶解する場合、蛍光増白剤のスタッギング(stagging)が乾燥時に起きないような最適な性能が維持される。したがって、全般的な形成に蛍光増白剤量の低減が必要とされる。さらに、粒子は織物又は紙上に非常に均一に分布して、非常に平滑な性能を得る。
【0056】
第3の用途において、粒子は、サリチル酸オクチル誘導体又は桂皮酸オクチル誘導体等のUV吸収剤がコア材料を形成する油中に溶解する日焼け止め製品として使用される。この種類の製品において得られる利点は、粒子が皮膚に非常に良く付着し、透明であり、乾燥すると水相に再溶解せず、また、特にSMIシェルの分子量が20000より大きい場合、皮膚への浸透が制限されることである。
【0057】
二酸化チタンも上記のために使用することができる。カプセル化プロセス中、皮膚に適用すると不透明でなくなるように二酸化チタンを微細化する。
【0058】
別の用途はカーボンナノチューブの分散である。これらは単層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブであり得る。カーボンナノチューブは、とりわけそれらの高い導電性について知られている。例えば、LED、OLED、RFID等の電子用途における導電層又は導電性経路として使用されるコーティング薄層又は経路にカーボンナノチューブを適用する方法が望まれている。したがって、初めにこれらのナノチューブを分散させる必要がある。カーボンナノチューブを油と接触させ、そして本発明によるコア−シェル粒子を作製することによって、この目的は達成することができる。
【0059】
コア材料の充填量が20%を超える場合にさらなる利点が得られる。この場合、粒子は基材上に適用されると、コア材料の充填量が増えるにつれてコア材料のより良い特性を徐々に示す。油の充填量が50%を超えると、極めて高い疎水性を有するコーティングがもたらされる。驚くべきことに、この乾燥コーティングは油っぽさを示さない。また、油の充填量が多い分散液は非常に安定である。
【0060】
幾つかの特定の用途は、本発明による粒子を用いた紙の処理において達成される。
【0061】
より高い疎水性を紙に与えるために、現在、アルケンケテン二量体又はアルカンコハク酸無水物が使用されているが、両生成物は主な欠点を有している。アルケンケテン二量体は、長い反応時間及び紙から移動する傾向を有するために名前が挙がり、アルカンコハク酸無水物は、水と過剰に反応性であることにより処理上の問題をもたらすために名前が挙げられている。スチレンアクリレートも使用されるが、より低い疎水性を示す。ワックスエマルションも疎水性を紙にもたらすが、粘着性の表面をもたらし、この紙面上への書込み又は印刷をそれ以上不可能にする。
【0062】
本発明による粒子を用いると優れた疎水性特徴が得られ、10以下のCobb値を有して、コート紙表面への書込み、印刷又はのり付けが依然として実現可能であると同時に、紙表面が非粘着性である。これは特性の特有の組合せである。
【0063】
本発明のポリマー分散液を表面に適用すると、互いに且つコーティングされる表面に良好な付着性を示す複数の小さい離散的な顔料粒子から成るコーティングが得られる。織物用途によっては、優れた耐水性を有するが、同時に空気及び水蒸気に透過性である半透過性の織物材料を作製することが可能であり、このような特性は、密閉膜で(with a closed film)コーティングされる耐水性織物材料よりも明らかな有益である。
【0064】
木材基材を保護するために、木材には水を浸透させないが、木材から蒸発する水には透過性であるコーティングが必要である。本発明に記載の粒子及びコーティングは、この種類の用途に非常に好適である。
【0065】
活性成分としての金属の使用は、得られたコーティングの導電性、光沢及び不透明度の増大をもたらし得るため関心が注がれている。前述のように、本発明により得られるコーティングは常に、得られるコーティングにわたる、微細化されている活性成分の非常に均一な分布を示す。このため、電子レンジ内で紙又は厚紙のコーティングとして好適なこれらのコーティングにマイクロ波を吸収させて、包装した食品を加熱する。
【0066】
別の用途は、導電層又は導電性経路を作製するような金属が分散された印刷である。印刷後に、有機材料を焼き払って、金属の導電性コーティング又は導電性経路を残す。
【0067】
本発明による粒子は、乾燥すると互いに非常に良好な凝集性を有する。また、基材との付着性も良好である。凝集性及び付着性を改善するために、デンプン、SBRラテックス、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエチレンアクリレートコポリマー、ポリスチレン−アクリレート、超分岐材料、ポリスチレン無水マレイン酸及びそれらの誘導体等のさらなる結合剤を添加してもよい。また、組み合わせた結合剤の添加は、特定の性質を得るのに非常に好適であり得る。
【0068】
殺生剤、ビタミン、ワックスエマルション、UV吸収剤、染料、湿潤剤、金属、レオロジー改質剤、無機顔料及び有機顔料等の他の添加剤を、本発明による粒子を含有する製剤に添加し得る。
【0069】
また、水系塗料、化粧品製剤、洗浄剤、洗浄製品、又はシャンプー等の界面活性剤含有製剤に、粒子を添加してもよい。例えば、光沢、磨耗性、耐ブロッキング性、耐水性、光輝度を改善するために粒子を添加してもよい。
【0070】
本発明のさらなる利点及び特徴は以下の実際の実験から明らかになる。
【実施例】
【0071】
実験
<測定方法>
(粒径)
光子相関分光法(PCS)を用いて、イミド化(imidsation)後の分散液の粒子の平均流体力学的半径を求めた。Vertriebsgesellschaft mbH(Langen, Germany)のALVレーザーを用いて測定を行った。
【0072】
PCS測定を行うために、添付の特許請求の範囲に記載の方法により得られる分散液のサンプルを脱イオン水で希釈した。このようにして得られたサンプルを500倍に希釈して固形分をおよそ0.04重量%以下にした。
【0073】
測定を実施するのに用いるセルを無塵水で洗い流した後、被測定サンプルによる3回の洗い流しサイクルにかけた。
【0074】
(固形分)
赤外線乾燥/重量計タイプMettler LP16/PM600を用いて、固形分を求めた。
【0075】
(pH測定)
Knick752Cl(番号051489)pH測定器を用いて各サンプルのpH値を測定した。pH測定器を負荷電極(loas electrode)(3M KCl)に取付け、Merck製の、それぞれ4.00(クエン酸/HCl緩衝液)、7.00及び9.00のpHを有する緩衝液を用いて20℃で較正した。サンプルのpHを20℃で測定した。
【0076】
(接触角の測定)
接触角を接触角計タイプDigidrop(GBX(Roman, France))で測定した。接触角を250画像/秒でフィルムに基づき測定した。
【0077】
本発明を以下の実施例によって例示するが、限定されるものではない。
【0078】
<実施例1:40重量%のパーム油含量を有するスチレンマレイミドナノ粒子の調製>
アンカー翼攪拌機を有する1リットル容の二重壁油加熱オートクレーブに、225gのSMA及び334.4gの水を添加した。SMAは、26モル%の無水マレイン酸含量及び80.000g/モルの分子量を有していた。この反応混合物に、150gのパーム油(Cargill(USA)製)及び40.6gの25%NH3溶液を添加し、無水マレイン酸(MA):NH3比を約1:1とした。
【0079】
温度を160℃に上げた後、300rpmの回転速度で、圧力は6バールに上がり、13の最大トルクが観測された。4時間の反応時間後、反応混合物を室温で冷ました。約50重量%の固形分を有するポリマー分散液が得られ、この粒径は25〜120nmであった。pH値は7.2であり、無水マレイン酸基のマレイミドへの略完全な転換を示した。反応器の壁への粒子の沈殿は観測されなかったため、反応器の洗浄が非常に容易になった。
【0080】
得られた分散液は非常に安定であった。室温における3ヶ月間の放置後でも水相からの油分離は観測することができなかった。
【0081】
<比較例:油を添加しないスチレンマレイミドナノ粒子>
375gのSMA及び344.56gの水を用いた以外は、実施例1の記載と同様に本実験を実施した。MA:NH3比が1:1となるように25%NH3溶液を添加した。160℃における反応中、最大トルクを上げてゲル化構造とし、この反応を中断させた。
【0082】
この種類の反応器による純粋なマレイミドナノ粒子の固体状態含量は最大固形分40重量%に制限されることが実験により証明された。
【0083】
<実施例2:60重量%のパーム油含量を有するスチレンマレイミドナノ粒子の調製>
150gのSMA、348gの水及び225gのパーム油を用いた以外は、実施例1の記載と同様に本実験を実施した。MA:NH3比が1:1となるように25%NH3溶液を添加した。
【0084】
温度を160℃に上げた後、300rpmの回転速度で、圧力は6バールに上がり、9.2の最大トルクが観測された。4時間の反応時間後、反応混合物を室温で冷ました。約50重量%の固形分を有するポリマー分散液が得られ、この粒径は50〜200nmであった。pH値は7.2であった。得られた分散液は非常に安定であった。室温における3ヶ月間の放置後でも水相からの油分離は観測することができなかった。
【0085】
<実施例3:70重量%のパーム油含量を有するスチレンマレイミドナノ粒子の調製>
112.5gのSMA、354.7gの水及び262.5gのパーム油を用いた以外は、実施例1の記載と同様に本実験を実施した。MA:NH3比が1:1となるように25%NH3溶液を添加した。
【0086】
温度を160℃に上げた後、300rpmの回転速度で、圧力は6バールに上がり、8の最大トルクが観測された。4時間の反応時間後、反応混合物を室温で冷ました。約51重量%の固形分を有するポリマー分散液が得られ、この粒径は60〜200nmであった。
【0087】
得られた分散液は非常に安定であった。室温における3ヶ月間の放置後でも水相からの油分離は観測することができなかった。
【0088】
上記実験から、パーム油の量を増大することによって反応を進行させる最大トルクがかなり小さくなることが明らかである。これによりプロセスを進行し易くし、必要に応じてこのような分散液の固形分をさらに増大させることができる。
【0089】
(油含有SMIナノ粒子の特性)
実験1〜実験3に記載の分散液を、95gのサイズ調整していない上質紙に平均乾燥層厚み7g/m2で適用した。
【0090】
【表1】

【0091】
これらの実験から、パーム油の含量が多いほど、得られるコーティングの疎水性が高くなることが明らかである。これは、より高い接触角により測定されるが、紙産業における疎水性についての標準的な測定ツールであるCobb値の減少によっても測定される。これは、或る特定時間中の明確な水表面に取り込まれる水の量を測定するものである。
【0092】
<実施例4:パラフィン油含有スチレンマレイミドナノ粒子の調製>
225gのSMA及び334.4gの水を用いた以外は、実施例1の記載と同様に本実施例を実施する。この反応混合物に、150gのパラフィン油及び40.6gの25%NH3溶液を添加した。
【0093】
温度を155℃に上げた後、200rpmの回転速度で、圧力は5バールに上がり、10の最大トルクが観測された。4時間の反応時間後、反応混合物を室温で冷ました。約50重量%の固形分を有するポリマー分散液が得られ、この粒径は30〜125nmであった。pH値は6.5であった。
【0094】
得られた分散液は非常に安定であった。室温における3ヶ月間の放置後でも水相からの油分離は観測することができなかった。
【0095】
<実施例5:ヒマシ油含有スチレンマレイミドナノ粒子の調製>
パラフィン油の代わりに150gのヒマシ油を用いること以外、本実施例は実施例4と同じである。
【0096】
温度を155℃に上げた後、200rpmの回転速度で、圧力は6バールに上がり、11の最大トルクが観測された。4時間の反応時間後、反応混合物を室温で冷ました。約50重量%の固形分を有するポリマー分散液が得られ、この粒径は40〜160nmであった。
【0097】
得られた分散液は非常に安定であった。室温における3ヶ月間の放置後でも水相からの油分離は観測することができなかった。
【0098】
<実施例6:蛍光増白剤を含有するSMIナノ粒子の調製>
実施例1を参照のこと。175gのSMA、318.4gの水及び157.5gのパーム油を用いた。この油に、17.5gのチオフェンジイルベンゾオキサゾール(Ciba SC製)を添加した。この反応混合物に、31.6gの25%NH3溶液を添加した。温度を160℃に上げた後、300rpmの回転速度で、圧力は6バールに上がり、15の最大トルクが観測された。4時間の反応時間後、反応混合物を室温で冷ました。約50重量%の固形分を有するポリマー分散液が得られ、この粒径は30〜120nmであった。
【0099】
得られた分散液は非常に安定であった。室温における3ヶ月間の放置後でも水相からの油分離は観測することができなかった。
【0100】
(紙コーティング製剤)
製剤A:
CaCO3(78%水分散液) 89部
カオリン(77%水分散液) 39部
SBRラテックス(50%水分散液) 20部
実施例6に記載のナノ粒子 20部
【0101】
製剤B:比較用
ナノ粒子の代わりに、
ポリビニルアルコール(20%水溶液) 20部
Tinopal OB(Ciba SC(Switzerland)製) 1部
を用いる以外は、製剤Aと同様
【0102】
(紙輝度試験)
13g/m2コーティング重量を有する100g/m2プレコーティングされた上質原紙100gについてのELRHEPHO試験(輝度測定装置)
製剤A=96
製剤B=95
【0103】
(不透明度ELRHEPHO試験)
製剤A=99.9
製剤B=99.2
【0104】
(カレンダー加工前の光沢:Gardner装置(角度75°))
製剤A=51
製剤B=47
【0105】
これらの測定値から、カプセル化された蛍光増白剤を含む製剤Aが少なくとも参照材料(製剤B)と同様良好に機能することが明らかであるため、蛍光増白剤を水相中に溶解して、光学性能を得るのにポリビニルアルコール等の連鎖延長剤が必要である。さらに、製剤Aで得られるコーティングの輝度は紙全体に非常に均一に分布していた。
【0106】
<実施例7:Fat Yellow 3Gを含有するSMIナノ粒子の調製>
実施例1を参照のこと。180gのSMA、420gの水、及び75gのパーム油と15gのFat Yellow 3G(Clariant(Switzerland)製)との混合物を用いた。この反応混合物に、MA:NH3比が1:1となるように25%NH3溶液を添加した。
【0107】
155℃における4時間の反応時間後、反応混合物を室温で冷ました。約40重量%の固形分を有するポリマー分散液が得られ、この粒径は30〜120nmであった。
【0108】
得られた分散液は非常に安定であった。室温における3ヶ月間の放置後でも水相からの油分離は観測することができなかった。
【0109】
本実施例により得られた100部の分散液を8部のSBRラテックスと配合した。得られた分散液を紙上にコーティングした。乾燥コーティングされた紙は、黄色が極めて均一に分布されており、如何なるドットの抜けもほとんど示さず、優れた不透明度及び高い疎水性を示した。水との接触角は95°であった(Digidrop測定)。
【0110】
<実施例8:カーボンナノチューブを分散させる油含有SMIナノ粒子の調製>
アンカー翼攪拌機を有する1リットル容の二重壁油加熱オートクレーブに、175gのSMA及び318.4gの水を添加した。SMAは、26モル%の無水マレイン酸含量及び80.000g/モルの分子量を有していた。この反応混合物に、157.5gのパーム油(Cargill(USA)製)と、直径3nm及び長さ約5マイクロメートルを有する16.6gのカーボンナノチューブ(Nanocyl(Belgium)製)との配合物を添加した。その後、31.6gの25%NH3溶液を添加した。温度を160℃に上げた後、300rpmの回転速度で、圧力は7バールに上がり、15の最大トルクが観測された。4時間の反応時間後、反応混合物を室温で冷ました。約50重量%の固形分を有するポリマー分散液が得られた。
【0111】
得られた分散液は非常に安定であった。室温における2ヶ月間の放置後でも水相からの油分離は観測することができなかった。
【0112】
<実施例9:TiO2を分散させる油含有SMIナノ粒子の調製>
33gのTiO2を197gのパーム油に分散させた。この分散液を、アンカー翼攪拌機を有する1リットル容の二重壁油加熱オートクレーブに添加した。これに、133gのSMA、309gの水及び24gの25%NH3水溶液を添加した。SMAは、26モル%の無水マレイン酸含量及び80.000g/モルの分子量を有していた。この反応混合物を攪拌し、155℃で3時間加熱した。その後、反応混合物を冷まし、非常に安定な分散液を得た。室温における3ヶ月間の放置後でも水相からの油分離は観測することができなかった。
【0113】
油を用いずに同様の反応を行うと、分散液にはならず、凝固が起こった。本実施例に記載の分散液を一定量の水で二度希釈し、皮膚に適用した。不透明化効果が観測されたが、乾燥するとコーティングは非粘着性となり、高い疎水性を示した。長時間水で洗い流しても除去することはできなかった。
【0114】
<実施例10:カーボンブラックを分散させる油含有SMIナノ粒子の調製>
33gのTiO2の代わりに50gのカーボンブラックを用いたこと以外は、実施例9に記載の実施例を繰り返した。反応時間は4時間とした。非常に安定な分散液が得られた。室温における3ヶ月間の放置後でも水相からの油分離は観測することができなかった。
【0115】
反応器を非常に容易に洗浄することができ、分散されたカーボンブラックを容易に水によって洗い流すことができた。紙へコーティングして乾燥させると、得られたコーティングは、如何なるドットの抜けもほとんどなく紙全体に黒色の非常に均一な分布を示す。
【0116】
<実施例11:アルミニウム粉末を分散させる油含有SMIナノ粒子の調製>
33gのTiO2の代わりに33gのアルミニウム粉末を用いたこと以外は、実施例9に記載の実施例を繰り返した。さらに、150gのパーム油及び150gのSMAを用いた。固形分は50%であり、アンモニアと環状酸無水物基とのモルの比が1:1となるようにアンモニアを添加した。反応時間は4時間とし、反応の圧力は22バールに達した。非常に安定な分散液が得られた。室温における3ヶ月間の放置後でも水相からの油分離は観測することができなかった。
【0117】
実施例6に記載の製剤B 100部を、本実施例に記載の分散液20部と配合した。紙上に得られたコーティングの光沢は、製剤Bに基づくコーティングに比べて40から50に増大した(Gardner(角度70°))。
【0118】
<実施例12:CaCO3を分散させる油含有SMIナノ粒子の調製>
以下の数量:パーム油184g、SMA133g、水290g及びCaCO3粉末116gを用いて実施例9に記載の実施例を繰り返した。MA:NH3比は1:1であった。反応時間は1時間とし、分散液のpHは7.5であった。非常に安定な分散液が得られた。室温における1ヶ月間の放置後でも水相からの油分離は観測することができなかった。油を用いずとも同様の反応が起こり、凝固した。
【0119】
100g/m2プレコーティングされた上質原紙100gを分散液でコーティングして10g/m2コーティング重量を得た。コーティングは極めて疎水性であったが、この紙に書き込むことは依然として可能であった。さらに、このコーティングは、非常に良好なコーティング有効寿命挙動(第2の水系コーティング層が表面に残留し、紙に吸収されない)を示すと共に、第2の層の乾燥表面強度(pick)及び湿潤表面強度が優れている。
【0120】
<実施例13:滑石を分散させる油含有SMIナノ粒子の調製>
以下の数量:パーム油184g、SMA133g、水290g及び滑石60gを用いて実施例9に記載の実施例を繰り返した。MA:NH3比は1:1であった。反応時間は2時間とし、分散液のpHは7.2であった。非常に安定な分散液が得られた。室温における1ヶ月間の放置後でも水相からの油分離は観測することができなかった。滑石が分散される場合にはよくある時間の肥大(thickening of time)は観測されない。油を用いずとも同様の反応が起こり、凝固した。
【0121】
<実施例14:D&C Red No30を分散させる油含有SMIナノ粒子の調製>
33gのTiO2を25gのD&C Red No30に代えたこと以外は実施例9に記載のサンプルを繰り返した。反応を4時間行った。冷ました後に、安定な分散液が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア材料と、前記コア材料を取り囲むシェル材料とを含むカプセル化小滴形状の粒子であって、前記シェル材料がマレイミド基を含有することを特徴とする、カプセル化小滴形状の粒子。
【請求項2】
前記シェル材料は、マレイミド基のコポリマーを含有することを特徴とする、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
前記シェル材料は、75モル%より多く、好ましくは90モル%より多くがマレイミドである、スチレン誘導体と無水マレイン酸誘導体とのコポリマーを含有することを特徴とする、請求項2に記載の粒子。
【請求項4】
平均粒径が300nm未満であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項5】
前記シェル材料のTgは、120℃を超えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項6】
前記コア材料は、活性成分を含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項7】
前記コア材料は、油、アルカン、テルペン、ポリオレフィン、ワックス、好ましくは植物油、エポキシ化油、ワセリン油、シリコーン油又はパラフィン油、最も好ましくはパーム油、ダイズ油、ナタネ油、シリコーン油又は全種類のパラフィン油のような水不溶性材料であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項8】
コア:シェルの重量比は、90:10〜1:40、好ましくは85:15〜1:10であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項9】
前記粒子は、前記溶媒から分離されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項10】
前記粒子は、前記コア材料の存在下で無水マレイン酸含有ポリマーのアンモニウム塩を80℃〜195℃、より好ましくは120℃〜190℃に加熱することによって得られることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
【請求項11】
反応が水中で行われ、且つ前記コア材料が水溶性でないことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記粒子は、酸無水物官能性ポリマーのアンモニウム塩による液体の乳化を介して形成されることを特徴とする、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
活性成分は、前記コア材料中に組み込まれることを特徴とする、請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
活性成分は、コア−シェル材料の形成中に添加されることを特徴とする、請求項10〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記粒子の形成は、無機材料若しくは有機材料、又は金属の存在下で実施されることを特徴とする、請求項10〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
基材処理用水性コーティング組成物であって、前記コーティング組成物が、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリマー分散液、又は請求項10〜15のいずれか一項に記載の方法によって得られるポリマー分散液を含有することを特徴とする、基材処理用水性コーティング組成物。
【請求項17】
結合剤、顔料、及び任意の添加剤をさらに含有する、請求項16に記載の水性コーティング組成物。
【請求項18】
基材をコーティングするための、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリマー分散液、又は請求項10〜15のいずれか一項に記載の方法によって得られるポリマー分散液の使用。
【請求項19】
前記基材が、紙、厚紙、織物、ガラス、皮革、木材若しくは木製基材、金属、プラスチック、皮膚、毛髪、爪又は石であることを特徴とする、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
請求項1〜9に記載のいずれか一項に記載の粒子によって処理された基材。

【公表番号】特表2009−545428(P2009−545428A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522141(P2009−522141)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【国際出願番号】PCT/EP2007/006518
【国際公開番号】WO2008/014903
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(503211552)トプヒム・ナムローゼ・フェンノートシャップ (2)
【氏名又は名称原語表記】TOPCHIM N.V.
【Fターム(参考)】