カムプロフィールの測定装置及びカムプロフィールの測定方法
【課題】カムのプロフィールの測定精度を高くできると共に、リフトトップを有さないカムのプロフィールの測定が可能な測定装置を提供する。
【解決手段】カムの加工に用いられる設計値プロフィールSと、該設計値プロフィールに対して位相が進角したプロフィールXと遅角したプロフィールYとによって構成されたマスタープロフィールを有し、前記カムのプロフィールを実測して得られた実測値プロフィールZと前記マスタープロフィールS,X,Y,とをプロフィールの全域に渡って比較し、この比較値の差異が最小になるマスタープロフィールを選択し、この選択されたマスタープロフィールの角度変数をカムシャフトの角度方向の基準であるノック穴中心とカムの中心角との角度の変位として検出するようにした。
【解決手段】カムの加工に用いられる設計値プロフィールSと、該設計値プロフィールに対して位相が進角したプロフィールXと遅角したプロフィールYとによって構成されたマスタープロフィールを有し、前記カムのプロフィールを実測して得られた実測値プロフィールZと前記マスタープロフィールS,X,Y,とをプロフィールの全域に渡って比較し、この比較値の差異が最小になるマスタープロフィールを選択し、この選択されたマスタープロフィールの角度変数をカムシャフトの角度方向の基準であるノック穴中心とカムの中心角との角度の変位として検出するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば内燃機関の機関弁を開閉作動するカムを加工する際におけるカムプロフィール測定装置とカムプロフィールの測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば自動車用内燃機関の動弁装置における吸気弁や排気弁を開閉作動する作動部品としては、カムシャフトの外周に設けられたカムが用いられていることは周知の通りである。
【0003】
前記吸気弁や排気弁の作動角やバルブリフト量、開閉時期などの特性は、機関性能に大きな影響を与えるが、これら吸排気弁の作動角などの特性はカムのプロフィール性能に大きく依存しており、したがって、カムのプロフィールの成形加工時にどれだけ設計値に近づけることができるかによって前記性能の善し悪しが左右されるのである。
【0004】
このため、従来からカムプロフィールの測定方法として種々のものが提供されており、その一つとして、以下の特許文献1に記載されたものがある。
【0005】
これは、測定ヘッド部が、カムピースのカムプロフィールに基づくリフト量を測定すると共に、リフト変化率変換部が、前記測定したリフト量をカムピースの所定単位回転角度毎のリフト変化率を算出する。続いて、頂点位置計算部が、リフト変化率のプラスの変化率とマイナスの変化率が切り替わる切替ポイントを抽出することにより、基準位相位置(頂点位置)を算出し、比較部において、前記算出した基準位相位置を基準にカムピースの設計値や修正前後の形状との比較を行いディスプレイに表示するようになっている。
【0006】
これによって、カムピースの頂点位置を正確かつ容易に定めることができると共に、測定したカムピースのプロフィールを設計値や修正前後で容易に比較することができるようになっている。
【特許文献1】特開2003−315031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来のカムプロフィールの測定方法にあっては、前述のように、設計値のプロフィールと実測したプロフィールの比較を行うため、リフト量が最大となる頂点位置を基準位相位置として設計値と実測値の各々のプロフィールを重ね合わせることによって設計値と実測値の差異を算出するようになっている。このため、カムピースの頂点位置近傍の角度変化に対するリフト量の感度が低い、つまり、回転角度に対するリフト量の変化がきわめて低いことから、前記頂点位置(角度)を正確に特定することが困難である。
【0008】
また、頂点位置を基準位置にすると、例えば揺動カムのような頂点位置の直後にプロフィールが終結するようなカムの形状や、頂点部がないカム形状の場合には、かかる測定方法を利用することができない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みて案出されたもので、請求項1の発明は、カムのプロフィールの実測値を測定する測定部と、カムのプロフィールの設計値を入力する入力部と、該入力部に入力された設計値に基づいて、少なくとも1つ以上の進角または遅角した位相のプロフィールの計算値を算出する算出部と、前記設計値または計算値と前記実測値とを比較して、これらの差異が最小となる設計値または計算値を特定し、該特定された設計値または計算値と前記実測値との差異を演算する処理部と、該処理部によって演算された差異値を出力する出力部と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
この発明によれば、特に、設計値のプロフィールの他に、この設計値に対して位相が進角したプロフィールあるいは遅角したプロフィールの計算値を設定し、前記設計値のプロフィールや進角、遅角したプロフィールと実測値のプロフィールとの最も差異の少ないプロフィールを選択して特定するようにしたため、たとえ頂点位置(リフトトップ位置)の角度を特定することができない場合においても、カムシャフトの角度方向の基準であるノックピン穴の中心とカム中心角との角度に関する設計値と実測値との差異を算出・表示することが可能になる。これによって、カムプロフィールの高精度な測定ができる。
【0011】
また、ノックピン穴の形成位置が不明確でカムの頂点位置(角度)を特定できない場合や、カム形状が頂点位置で欠けているなどの理由で実測値からリフトトップ位置(角度)を特定できない場合でも、設計値あるいは計算値と実測値との差異を算出・表示することが可能になる。
【0012】
請求項2に記載の発明にあっては、前記計算値は、前記設計値に対して進角した位相の少なくとも1つのプロフィールの進角計算値であるか、または、前記設計値に対して遅角した位相の少なくとも1つのプロフィールの遅角計算値であることを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載の発明は、カムプロフィールの測定方法であって、カムの加工に用いられる設計値プロフィールと該設計値プロフィールに対して位相が進角したプロフィール及び遅角したプロフィールとによって構成されたマスタープロフィールを有し、前記カムのプロフィールを実測して得られた実測プロフィールと前記マスタープロフィールとをプロフィールの全域に渡って比較し、この比較値の差異が最小になるマスタープロフィールを選択し、この選択されたマスタープロフィールの角度変数をカムシャフトの角度方向の基準であるノック穴中心とカムの中心角との角度の変位として検出することを特徴としている。
【0014】
したがって、この発明も請求項1の発明と同様な作用効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明にかかるカムプロフィールの測定装置及びカムプロフィールの測定方法の実施形態を図面に基づいて詳述する。なお、この実施形態では、自動車用内燃機関に適用されるカムシャフトに設けられたカムに適用したものである。
【0016】
まず、カムプロフィールの測定装置について説明すれば、図1及び図2に示すように、ベッド3の上に、外周面に複数のカム2を一体に有するカムシャフト1が、両端部をスピンドル4とテール5によって支持されている。
【0017】
前記スピンドル4は、駆動機構部6によって回転駆動されるようになっており、この駆動機構部6は、ケーシングの内部に収容された電動モータや減速ギア機構及びロータリーエンコーダなどによって構成されて、前記カムシャフト1を、スピンドル4を介して所定速度で回転制御している。
【0018】
また、前記ベッド3の上面には、前記カムシャフト1のカム2の外周カム面2aと接触してカムプロフィールを測定する測定子であるリニアゲージ7aを有する測定部7がカムシャフト1の軸方向へ移動可能に配置されている。前記リニアゲージ7aは、接触するカム面2aの形状に合わせて図1中上下方向へ進退移動して、カムシャフト1の回転中心からカム面2aまでの距離を所定回転角度ごとに測定するようになっており、このリニアゲージ7aの進退量がカム2のリフト量になる。
【0019】
さらに、前記ベッド3の側部位置には、内蔵したコンピュータによって前記駆動機構部6や測定部7などの全体制御や、後述する各種演算処理などを行う統合制御部8が配置されていると共に、該統合制御部8で検出処理された前記カムプロフィールの測定結果を出力するプリンター9が配置されている。
【0020】
前記統合制御部8は、図2に示すように、前記駆動機構部6の電動モータの回転制御などの全体制御を行う制御部10と、前記測定部7からのカムリフト情報や駆動機構部6のロータリーエンコードからの前記電動モータの回転駆動に伴うカム2の回転角度情報に基づいてカムプロフィールを求めるプロフィール部11と、該プロフィール部11によって求められたプロフィールデータ値(実測値)と、後述するマスタープロフィール出力部15から予め設定されたマスタープロフィールのデータ値(設計値など)とを比較する比較部12と、該比較部12によって比較した結果から前記両プロフィールの差異の割合が最小の組み合わせを選択する選択部13と、この選択部13によって選択した値などを表示するディスプレイ14と、を備えている。このディスプレイ14には、前記制御部10から駆動機構部6への指示情報を表示することも可能になっている。
【0021】
また、前記ディスプレイ14で表示された内容は、前記プリンター9によってプリントアウト可能になっている。
【0022】
以下、前記カムプロフィールの測定装置によって前記カム2のカム面2a(カムプロフィール)を具体的に測定する対象およびその方法を、図面に基づいて説明する。
【0023】
まず、図3は前記カムプロフィールの測定装置による測定対象となったものと同じく、カムシャフト1に設けられた通常の標準的な卵形のカム2を示し、該カム2は、リフト量が0のベースサークル領域16と所定のリフト量を有するカム山17とを備えている。また、カムシャフト1の一端面には、カム2の角度の基準となるノックピン穴20が形成されており、ノックピン穴20の中心20aとカムシャフト1の中心1aとを結ぶ基準線21を基準としてカム山17の頂点17a位置までのカム2の回転角度βが設定されることになる。なお、前記カム2の角度基準点としては、カムシャフト1の外周面に形成されたキー溝などを用いることもある。
【0024】
そして、クランクシャフトのクランク角度(カム2の回転角)とバルブリフトとの関係から求められる前記カム2の基本的なカムリフトカーブ(カムプロフィール)は、図4に示すような特性になり、カム2の回転とともにバルブリフト量が変化し、カム山17の頂点17aに達する直前、つまり頂点17a付近でバルブリフト量が最高値に達していることが明らかである。
【0025】
図5は前記卵形のカム2ではなく、例えばカム山の頂点(リフトトップ)が切欠された揺動カムのようなカムのカムプロフィールを示し、この場合も前記卵形のカム2と同じく、頂点に到達する前にバルブリフトが最高値に達していることが明らかである。つまり、卵形を含む通常のカムは、リフトの最高値はいずれの場合であっても、頂点に達する前に到達するように形成されているのである。
【0026】
したがって、この実施形態では、前記卵形のカム2のカムプロフィールを、前記測定部7によって実測値を測定し、この実測値をプロフィール部11によってカムプロフィールのデータ波形としてイメージ化する。
【0027】
前記マスタープロフィール部15は、図6に示すように、予め内燃機関の仕様などに基づいて設定された設計値プロフィールSと、この設計値プロフィールSに対して位相位置が複数段に進角した進角値プロフィール(S+nα°)(破線部X)と、前記設計値プロフィールSに対して位相位置が複数段に遅角した遅角値プロフィール(S−nα°)(破線部Y)と、によって構成されている。なお、前記nとαは必要に応じてその値を任意に設定することが可能であり、また、その設定数も少なくとも1つ以上あればよい。
【0028】
前記比較部12では、図7に示すように、前記マスタープロフィール部15から出力された図6に示す複数のデータ波形値、つまり設計値(細線S)、進角値S+nα°(破線X)、遅角値S−nα°(破線Y)と前記プロフィール部11によって求められた実測値のデータ波形値(太線Z)とを重ね合わせて比較する。
【0029】
なお、図8は前記マスタープロフィール(S,X,Y)と実測値プロフィール(Z)との比較結果を示すグラフであって、基準ライン0から上側がプラス方向の差異、下側マイナス方向の差異を表し、前記両者の差異がA波形のように示された場合は、プロフィール前半の差異が小さく後半で大きくなっている例である。また、C波形のように示された場合は、前半の差異が大きく後半の差異が小さくなっている例であり、B波形のように示された場合は、前半、後半ともに差異が小さい例である。このような波形表示によって、前記両者の差異の大きさや差異の位置が明確になる。
【0030】
次に、前記比較部12による比較処理に続く前記選択部13での処理について説明すると、同一の回転角度におけるマスタープロフィール(S,X,Y)と実測値プロフィールZを前記比較した中で、図9に示すような方法によって、実測値プロフィールZに対して矢印の方向と矢印の長さを用いて前記マスタープロフィール(S,X,Y)のいずれか1つを選択する。つまり、矢印の方向は前記差異の方向を示し、矢印の長さは差異の量を示し、この矢印の最も短いマスタープロフィールの1つを選択することによって前記両プロフィールの差異が最も小さいものを算出して選択することができる。
【0031】
また、両者プロフィールの差異を求める別の方法としては、図10に示すように、マスタープロフィール(S,X,Y)と実測値プロフィールZとのバルブリフト量の差異の総和を算出することによって選択することが可能である。すなわち、図10に示す両プロフィール間の斜線部の面積がバルブリフト量の差異になることから、かかる面積を比較することによって、最も差異の小さなマスタープロフィールを算出して選択することができる。
【0032】
なお、前記マスタープロフィール(S,X,Y)と実測値プロフィールXとの間の最も差異の小さなマスタープロフィールを選択するさらに別の方法としては、例えばバルブリフト量から求められるカムの回転速度あるいは加速度を用いて算出することもできる。
【0033】
図11は前記測定完了後におけるディスプレイ14の表示画面の一例であって、上側の部位に所定の頻度で測定したカム2の回転角度(deg)とカム2のリフト量(mm)の数値を表示すると共に、その下側の部位にそれらの値をイメージ化した(グラフ化)表示をする。なお、測定頻度は任意に設定することが可能である。
【0034】
図12は前記測定結果とマスタープロフィール(S,X,Y)の差異を表示するディスプレイ14の表示画面の一例であって、下側のグラフ中、横軸がカム2の回転角度、縦軸がバルブリフトの差異を表しており、グラフの中央の線Pは前記両プロフィールの差異が0を表し、このP線の上下の線Q1,Q2は両プロフィールの差異の図示規格などの上下限値を表示している。そして、該Q1、Q2の間の波形線は、実測値プロフィールZの測定結果とマスタープロフィール(S,X,Y)の差異を表示している。
【0035】
これら、ディスプレイ14での結果表示によって、両プロフィールの差異が明確に認識することができると共に、これらのデータを保存しながら繰り返し差異の測定データを蓄積することによって、さらに高精度なカムプロフィールの成形情報として利用することが可能になる。
【0036】
以上のように、この実施形態によれば、特に、設計値のプロフィールSの他に、この設計値Sに対して位相が進角したプロフィールXあるいは遅角したプロフィールYの計算値を設定し、前記設計値のプロフィールSや進角、遅角したプロフィールX,Yと実測値のプロフィールZとの最も差異の少ないプロフィールを選択して特定するようにしたため、たとえカム2の頂点位置(リフトトップ位置)の角度を特定することができない場合においても、カムシャフト1の角度方向の基準であるノックピン穴20の中心20aとカム中心角との角度に関する設計値と実測値との差異を算出・表示することが可能になる。これによって、カム2の高精度なプロフィールを得ることができる。
【0037】
また、ノックピン穴の形成位置が不明確でリフトトップ位置(角度)を特定できない場合や、カム形状がリフトトップ位置で欠けているなどの理由で実測値からリフトトップ位置(角度)を特定できない場合でも、設計値あるいは計算値のプロフィールS,X,Yと実測値プロフィールZとの差異を算出・表示することが可能になる。
【0038】
図13は前記統合制御部8の基本構成は第1の実施形態と同様であるが、マスタープロフィールの生成方法を変更したものである。すなわち、まず、設計値プロフィール出力部18において予め設計値のプロフィールSを入力しており、この設計値プロフィール出力部18から出力された設計値プロフィールS情報に基づいて、統合制御部8内のマスタープロフィール生成部19により、前記複数の進角プロフィールXと遅角プロフィールYとを生成してマスタープロフィール全体(S,X,Y)を生成するようになっている。そして、このマスタープロフィール生成部19で生成されたマスタープロフィール(S,X,Y)情報を前記比較部12に入力するようになっている。
【0039】
したがって、この実施形態によれば、最終的なマスタープロフィール(S,X,Y)の生成を統合制御部8内で行うため、より精度の高いプロフィールを生成することが可能になる。
【0040】
本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、カムとしては内燃機関に適用されるもの以外に、一般的な駆動機器類に用いられカムにも適用することが可能である。また、カムのプロフィールを実測する装置も前記以外の装置によることも可能である。
【0041】
前記実施形態から把握される前記請求項に記載した発明以外の技術的思想について以下に説明する。
(1)前記出力部は、実測値と設計値または計算値との差異を、内燃機関のクランク角度に対するバルブリフト量の変化を表す図、表またはグラフによってデータを出力することを特徴とする請求項1に記載のカムプロフィールの測定装置。
(2)前記出力部は、前記実測値と設計値または計算値との差異を表示することを特徴とする請求項1に記載のカムプロフィールの測定装置。
(3)前記出力部からの信号を入力して前記実測値と設計値または計算値との差異を内燃機関のクランク角度に対するバルブリフト量の変化を表す図、表またはグラフの少なくとも1つを表示する表示部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のカムプロフィールの測定装置。
(4)前記選択されたマスタープロフィールと実測されたプロフィールとの比較結果を、前記設計値と実測値との差異として検出することを特徴とする請求項3に記載のカムプロフィールの測定方法。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明のカムプロフィールの測定装置の実施形態を示す概略図である。
【図2】本実施形態のカムプロフィールの測定装置のブロック図である。
【図3】本実施形態のカムプロフィール測定に供されるカムの正面図である。
【図4】該カムのリフト特性図である。
【図5】別の異なるカムのカムリフト特性図である。
【図6】本実施形態におけるマスタープロフィールをイメージ化した図である。
【図7】本実施形態におけるマスタープロフィールと実測値プロフィールを組み合わせてイメージ化した図である。
【図8】本実施形態に供されるマスタープロフィールと実測値プロフィールの差異の複数の態様をイメージ化した図である。
【図9】本実施形態におけるマスタープロフィールと実測値プロフィールとの最小の差異を算出する方法をイメージ化した図である。
【図10】マスタープロフィールと実測値プロフィールとの最小の差異を他の算出方法をイメージ化した図である。
【図11】本実施形態におけるカムの回転角度とカムリフトとの関係でカムプロフィールを測定した後の内容をディスプレイに表示した画面表示図である。
【図12】本実施形態における実測値プロフィールとマスタープロフィールとの差異の内容をディスプレイに表示した画面表示図である。
【図13】マスタープロフィールを生成する別の方法を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0043】
1…カムシャフト
2…カム
2a…カム面(プロフィール)
6…駆動機構部
7…測定部
8…統合制御部
S…設計値プロフィール
X…進角値プロフィール
Y…遅角値プロフィール
Z…実測値プロフィール
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば内燃機関の機関弁を開閉作動するカムを加工する際におけるカムプロフィール測定装置とカムプロフィールの測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば自動車用内燃機関の動弁装置における吸気弁や排気弁を開閉作動する作動部品としては、カムシャフトの外周に設けられたカムが用いられていることは周知の通りである。
【0003】
前記吸気弁や排気弁の作動角やバルブリフト量、開閉時期などの特性は、機関性能に大きな影響を与えるが、これら吸排気弁の作動角などの特性はカムのプロフィール性能に大きく依存しており、したがって、カムのプロフィールの成形加工時にどれだけ設計値に近づけることができるかによって前記性能の善し悪しが左右されるのである。
【0004】
このため、従来からカムプロフィールの測定方法として種々のものが提供されており、その一つとして、以下の特許文献1に記載されたものがある。
【0005】
これは、測定ヘッド部が、カムピースのカムプロフィールに基づくリフト量を測定すると共に、リフト変化率変換部が、前記測定したリフト量をカムピースの所定単位回転角度毎のリフト変化率を算出する。続いて、頂点位置計算部が、リフト変化率のプラスの変化率とマイナスの変化率が切り替わる切替ポイントを抽出することにより、基準位相位置(頂点位置)を算出し、比較部において、前記算出した基準位相位置を基準にカムピースの設計値や修正前後の形状との比較を行いディスプレイに表示するようになっている。
【0006】
これによって、カムピースの頂点位置を正確かつ容易に定めることができると共に、測定したカムピースのプロフィールを設計値や修正前後で容易に比較することができるようになっている。
【特許文献1】特開2003−315031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来のカムプロフィールの測定方法にあっては、前述のように、設計値のプロフィールと実測したプロフィールの比較を行うため、リフト量が最大となる頂点位置を基準位相位置として設計値と実測値の各々のプロフィールを重ね合わせることによって設計値と実測値の差異を算出するようになっている。このため、カムピースの頂点位置近傍の角度変化に対するリフト量の感度が低い、つまり、回転角度に対するリフト量の変化がきわめて低いことから、前記頂点位置(角度)を正確に特定することが困難である。
【0008】
また、頂点位置を基準位置にすると、例えば揺動カムのような頂点位置の直後にプロフィールが終結するようなカムの形状や、頂点部がないカム形状の場合には、かかる測定方法を利用することができない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みて案出されたもので、請求項1の発明は、カムのプロフィールの実測値を測定する測定部と、カムのプロフィールの設計値を入力する入力部と、該入力部に入力された設計値に基づいて、少なくとも1つ以上の進角または遅角した位相のプロフィールの計算値を算出する算出部と、前記設計値または計算値と前記実測値とを比較して、これらの差異が最小となる設計値または計算値を特定し、該特定された設計値または計算値と前記実測値との差異を演算する処理部と、該処理部によって演算された差異値を出力する出力部と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
この発明によれば、特に、設計値のプロフィールの他に、この設計値に対して位相が進角したプロフィールあるいは遅角したプロフィールの計算値を設定し、前記設計値のプロフィールや進角、遅角したプロフィールと実測値のプロフィールとの最も差異の少ないプロフィールを選択して特定するようにしたため、たとえ頂点位置(リフトトップ位置)の角度を特定することができない場合においても、カムシャフトの角度方向の基準であるノックピン穴の中心とカム中心角との角度に関する設計値と実測値との差異を算出・表示することが可能になる。これによって、カムプロフィールの高精度な測定ができる。
【0011】
また、ノックピン穴の形成位置が不明確でカムの頂点位置(角度)を特定できない場合や、カム形状が頂点位置で欠けているなどの理由で実測値からリフトトップ位置(角度)を特定できない場合でも、設計値あるいは計算値と実測値との差異を算出・表示することが可能になる。
【0012】
請求項2に記載の発明にあっては、前記計算値は、前記設計値に対して進角した位相の少なくとも1つのプロフィールの進角計算値であるか、または、前記設計値に対して遅角した位相の少なくとも1つのプロフィールの遅角計算値であることを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載の発明は、カムプロフィールの測定方法であって、カムの加工に用いられる設計値プロフィールと該設計値プロフィールに対して位相が進角したプロフィール及び遅角したプロフィールとによって構成されたマスタープロフィールを有し、前記カムのプロフィールを実測して得られた実測プロフィールと前記マスタープロフィールとをプロフィールの全域に渡って比較し、この比較値の差異が最小になるマスタープロフィールを選択し、この選択されたマスタープロフィールの角度変数をカムシャフトの角度方向の基準であるノック穴中心とカムの中心角との角度の変位として検出することを特徴としている。
【0014】
したがって、この発明も請求項1の発明と同様な作用効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明にかかるカムプロフィールの測定装置及びカムプロフィールの測定方法の実施形態を図面に基づいて詳述する。なお、この実施形態では、自動車用内燃機関に適用されるカムシャフトに設けられたカムに適用したものである。
【0016】
まず、カムプロフィールの測定装置について説明すれば、図1及び図2に示すように、ベッド3の上に、外周面に複数のカム2を一体に有するカムシャフト1が、両端部をスピンドル4とテール5によって支持されている。
【0017】
前記スピンドル4は、駆動機構部6によって回転駆動されるようになっており、この駆動機構部6は、ケーシングの内部に収容された電動モータや減速ギア機構及びロータリーエンコーダなどによって構成されて、前記カムシャフト1を、スピンドル4を介して所定速度で回転制御している。
【0018】
また、前記ベッド3の上面には、前記カムシャフト1のカム2の外周カム面2aと接触してカムプロフィールを測定する測定子であるリニアゲージ7aを有する測定部7がカムシャフト1の軸方向へ移動可能に配置されている。前記リニアゲージ7aは、接触するカム面2aの形状に合わせて図1中上下方向へ進退移動して、カムシャフト1の回転中心からカム面2aまでの距離を所定回転角度ごとに測定するようになっており、このリニアゲージ7aの進退量がカム2のリフト量になる。
【0019】
さらに、前記ベッド3の側部位置には、内蔵したコンピュータによって前記駆動機構部6や測定部7などの全体制御や、後述する各種演算処理などを行う統合制御部8が配置されていると共に、該統合制御部8で検出処理された前記カムプロフィールの測定結果を出力するプリンター9が配置されている。
【0020】
前記統合制御部8は、図2に示すように、前記駆動機構部6の電動モータの回転制御などの全体制御を行う制御部10と、前記測定部7からのカムリフト情報や駆動機構部6のロータリーエンコードからの前記電動モータの回転駆動に伴うカム2の回転角度情報に基づいてカムプロフィールを求めるプロフィール部11と、該プロフィール部11によって求められたプロフィールデータ値(実測値)と、後述するマスタープロフィール出力部15から予め設定されたマスタープロフィールのデータ値(設計値など)とを比較する比較部12と、該比較部12によって比較した結果から前記両プロフィールの差異の割合が最小の組み合わせを選択する選択部13と、この選択部13によって選択した値などを表示するディスプレイ14と、を備えている。このディスプレイ14には、前記制御部10から駆動機構部6への指示情報を表示することも可能になっている。
【0021】
また、前記ディスプレイ14で表示された内容は、前記プリンター9によってプリントアウト可能になっている。
【0022】
以下、前記カムプロフィールの測定装置によって前記カム2のカム面2a(カムプロフィール)を具体的に測定する対象およびその方法を、図面に基づいて説明する。
【0023】
まず、図3は前記カムプロフィールの測定装置による測定対象となったものと同じく、カムシャフト1に設けられた通常の標準的な卵形のカム2を示し、該カム2は、リフト量が0のベースサークル領域16と所定のリフト量を有するカム山17とを備えている。また、カムシャフト1の一端面には、カム2の角度の基準となるノックピン穴20が形成されており、ノックピン穴20の中心20aとカムシャフト1の中心1aとを結ぶ基準線21を基準としてカム山17の頂点17a位置までのカム2の回転角度βが設定されることになる。なお、前記カム2の角度基準点としては、カムシャフト1の外周面に形成されたキー溝などを用いることもある。
【0024】
そして、クランクシャフトのクランク角度(カム2の回転角)とバルブリフトとの関係から求められる前記カム2の基本的なカムリフトカーブ(カムプロフィール)は、図4に示すような特性になり、カム2の回転とともにバルブリフト量が変化し、カム山17の頂点17aに達する直前、つまり頂点17a付近でバルブリフト量が最高値に達していることが明らかである。
【0025】
図5は前記卵形のカム2ではなく、例えばカム山の頂点(リフトトップ)が切欠された揺動カムのようなカムのカムプロフィールを示し、この場合も前記卵形のカム2と同じく、頂点に到達する前にバルブリフトが最高値に達していることが明らかである。つまり、卵形を含む通常のカムは、リフトの最高値はいずれの場合であっても、頂点に達する前に到達するように形成されているのである。
【0026】
したがって、この実施形態では、前記卵形のカム2のカムプロフィールを、前記測定部7によって実測値を測定し、この実測値をプロフィール部11によってカムプロフィールのデータ波形としてイメージ化する。
【0027】
前記マスタープロフィール部15は、図6に示すように、予め内燃機関の仕様などに基づいて設定された設計値プロフィールSと、この設計値プロフィールSに対して位相位置が複数段に進角した進角値プロフィール(S+nα°)(破線部X)と、前記設計値プロフィールSに対して位相位置が複数段に遅角した遅角値プロフィール(S−nα°)(破線部Y)と、によって構成されている。なお、前記nとαは必要に応じてその値を任意に設定することが可能であり、また、その設定数も少なくとも1つ以上あればよい。
【0028】
前記比較部12では、図7に示すように、前記マスタープロフィール部15から出力された図6に示す複数のデータ波形値、つまり設計値(細線S)、進角値S+nα°(破線X)、遅角値S−nα°(破線Y)と前記プロフィール部11によって求められた実測値のデータ波形値(太線Z)とを重ね合わせて比較する。
【0029】
なお、図8は前記マスタープロフィール(S,X,Y)と実測値プロフィール(Z)との比較結果を示すグラフであって、基準ライン0から上側がプラス方向の差異、下側マイナス方向の差異を表し、前記両者の差異がA波形のように示された場合は、プロフィール前半の差異が小さく後半で大きくなっている例である。また、C波形のように示された場合は、前半の差異が大きく後半の差異が小さくなっている例であり、B波形のように示された場合は、前半、後半ともに差異が小さい例である。このような波形表示によって、前記両者の差異の大きさや差異の位置が明確になる。
【0030】
次に、前記比較部12による比較処理に続く前記選択部13での処理について説明すると、同一の回転角度におけるマスタープロフィール(S,X,Y)と実測値プロフィールZを前記比較した中で、図9に示すような方法によって、実測値プロフィールZに対して矢印の方向と矢印の長さを用いて前記マスタープロフィール(S,X,Y)のいずれか1つを選択する。つまり、矢印の方向は前記差異の方向を示し、矢印の長さは差異の量を示し、この矢印の最も短いマスタープロフィールの1つを選択することによって前記両プロフィールの差異が最も小さいものを算出して選択することができる。
【0031】
また、両者プロフィールの差異を求める別の方法としては、図10に示すように、マスタープロフィール(S,X,Y)と実測値プロフィールZとのバルブリフト量の差異の総和を算出することによって選択することが可能である。すなわち、図10に示す両プロフィール間の斜線部の面積がバルブリフト量の差異になることから、かかる面積を比較することによって、最も差異の小さなマスタープロフィールを算出して選択することができる。
【0032】
なお、前記マスタープロフィール(S,X,Y)と実測値プロフィールXとの間の最も差異の小さなマスタープロフィールを選択するさらに別の方法としては、例えばバルブリフト量から求められるカムの回転速度あるいは加速度を用いて算出することもできる。
【0033】
図11は前記測定完了後におけるディスプレイ14の表示画面の一例であって、上側の部位に所定の頻度で測定したカム2の回転角度(deg)とカム2のリフト量(mm)の数値を表示すると共に、その下側の部位にそれらの値をイメージ化した(グラフ化)表示をする。なお、測定頻度は任意に設定することが可能である。
【0034】
図12は前記測定結果とマスタープロフィール(S,X,Y)の差異を表示するディスプレイ14の表示画面の一例であって、下側のグラフ中、横軸がカム2の回転角度、縦軸がバルブリフトの差異を表しており、グラフの中央の線Pは前記両プロフィールの差異が0を表し、このP線の上下の線Q1,Q2は両プロフィールの差異の図示規格などの上下限値を表示している。そして、該Q1、Q2の間の波形線は、実測値プロフィールZの測定結果とマスタープロフィール(S,X,Y)の差異を表示している。
【0035】
これら、ディスプレイ14での結果表示によって、両プロフィールの差異が明確に認識することができると共に、これらのデータを保存しながら繰り返し差異の測定データを蓄積することによって、さらに高精度なカムプロフィールの成形情報として利用することが可能になる。
【0036】
以上のように、この実施形態によれば、特に、設計値のプロフィールSの他に、この設計値Sに対して位相が進角したプロフィールXあるいは遅角したプロフィールYの計算値を設定し、前記設計値のプロフィールSや進角、遅角したプロフィールX,Yと実測値のプロフィールZとの最も差異の少ないプロフィールを選択して特定するようにしたため、たとえカム2の頂点位置(リフトトップ位置)の角度を特定することができない場合においても、カムシャフト1の角度方向の基準であるノックピン穴20の中心20aとカム中心角との角度に関する設計値と実測値との差異を算出・表示することが可能になる。これによって、カム2の高精度なプロフィールを得ることができる。
【0037】
また、ノックピン穴の形成位置が不明確でリフトトップ位置(角度)を特定できない場合や、カム形状がリフトトップ位置で欠けているなどの理由で実測値からリフトトップ位置(角度)を特定できない場合でも、設計値あるいは計算値のプロフィールS,X,Yと実測値プロフィールZとの差異を算出・表示することが可能になる。
【0038】
図13は前記統合制御部8の基本構成は第1の実施形態と同様であるが、マスタープロフィールの生成方法を変更したものである。すなわち、まず、設計値プロフィール出力部18において予め設計値のプロフィールSを入力しており、この設計値プロフィール出力部18から出力された設計値プロフィールS情報に基づいて、統合制御部8内のマスタープロフィール生成部19により、前記複数の進角プロフィールXと遅角プロフィールYとを生成してマスタープロフィール全体(S,X,Y)を生成するようになっている。そして、このマスタープロフィール生成部19で生成されたマスタープロフィール(S,X,Y)情報を前記比較部12に入力するようになっている。
【0039】
したがって、この実施形態によれば、最終的なマスタープロフィール(S,X,Y)の生成を統合制御部8内で行うため、より精度の高いプロフィールを生成することが可能になる。
【0040】
本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、カムとしては内燃機関に適用されるもの以外に、一般的な駆動機器類に用いられカムにも適用することが可能である。また、カムのプロフィールを実測する装置も前記以外の装置によることも可能である。
【0041】
前記実施形態から把握される前記請求項に記載した発明以外の技術的思想について以下に説明する。
(1)前記出力部は、実測値と設計値または計算値との差異を、内燃機関のクランク角度に対するバルブリフト量の変化を表す図、表またはグラフによってデータを出力することを特徴とする請求項1に記載のカムプロフィールの測定装置。
(2)前記出力部は、前記実測値と設計値または計算値との差異を表示することを特徴とする請求項1に記載のカムプロフィールの測定装置。
(3)前記出力部からの信号を入力して前記実測値と設計値または計算値との差異を内燃機関のクランク角度に対するバルブリフト量の変化を表す図、表またはグラフの少なくとも1つを表示する表示部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のカムプロフィールの測定装置。
(4)前記選択されたマスタープロフィールと実測されたプロフィールとの比較結果を、前記設計値と実測値との差異として検出することを特徴とする請求項3に記載のカムプロフィールの測定方法。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明のカムプロフィールの測定装置の実施形態を示す概略図である。
【図2】本実施形態のカムプロフィールの測定装置のブロック図である。
【図3】本実施形態のカムプロフィール測定に供されるカムの正面図である。
【図4】該カムのリフト特性図である。
【図5】別の異なるカムのカムリフト特性図である。
【図6】本実施形態におけるマスタープロフィールをイメージ化した図である。
【図7】本実施形態におけるマスタープロフィールと実測値プロフィールを組み合わせてイメージ化した図である。
【図8】本実施形態に供されるマスタープロフィールと実測値プロフィールの差異の複数の態様をイメージ化した図である。
【図9】本実施形態におけるマスタープロフィールと実測値プロフィールとの最小の差異を算出する方法をイメージ化した図である。
【図10】マスタープロフィールと実測値プロフィールとの最小の差異を他の算出方法をイメージ化した図である。
【図11】本実施形態におけるカムの回転角度とカムリフトとの関係でカムプロフィールを測定した後の内容をディスプレイに表示した画面表示図である。
【図12】本実施形態における実測値プロフィールとマスタープロフィールとの差異の内容をディスプレイに表示した画面表示図である。
【図13】マスタープロフィールを生成する別の方法を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0043】
1…カムシャフト
2…カム
2a…カム面(プロフィール)
6…駆動機構部
7…測定部
8…統合制御部
S…設計値プロフィール
X…進角値プロフィール
Y…遅角値プロフィール
Z…実測値プロフィール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カムのプロフィールの実測値を測定する測定部と、
カムのプロフィールの設計値を入力する入力部と、
該入力部に入力された設計値に基づいて、少なくとも1つ以上の進角または遅角した位相のプロフィールの計算値を算出する算出部と、
前記設計値または計算値と前記実測値とを比較して、これらの差異が最小となる設計値または計算値を特定し、該特定された設計値または計算値と前記実測値との差異を演算する処理部と、
該処理部によって演算された差異値を出力する出力部と、
を備えたことを特徴とするカムプロフィールの測定装置。
【請求項2】
前記計算値は、前記設計値に対して進角した位相の少なくとも1つのプロフィールの進角計算値であるか、または、前記設計値に対して遅角した位相の少なくとも1つのプロフィールの遅角計算値であることを特徴とする請求項1に記載のカムプロフィールの測定装置。
【請求項3】
カムの加工に用いられる設計値プロフィールと該設計値プロフィールに対して位相が進角したプロフィール及び遅角したプロフィールとによって構成されたマスタープロフィールを有し、
前記カムのプロフィールを実測して得られた実測値プロフィールと前記マスタープロフィールとをプロフィールの全域に渡って比較し、
この比較値の差異が最小になる前記マスタープロフィールを選択し、
この選択されたマスタープロフィールの角度変数をカムシャフトの角度方向の基準であるノック穴中心とカムの中心角との角度の変位として検出することを特徴とするカムプロフィールの測定方法。
【請求項1】
カムのプロフィールの実測値を測定する測定部と、
カムのプロフィールの設計値を入力する入力部と、
該入力部に入力された設計値に基づいて、少なくとも1つ以上の進角または遅角した位相のプロフィールの計算値を算出する算出部と、
前記設計値または計算値と前記実測値とを比較して、これらの差異が最小となる設計値または計算値を特定し、該特定された設計値または計算値と前記実測値との差異を演算する処理部と、
該処理部によって演算された差異値を出力する出力部と、
を備えたことを特徴とするカムプロフィールの測定装置。
【請求項2】
前記計算値は、前記設計値に対して進角した位相の少なくとも1つのプロフィールの進角計算値であるか、または、前記設計値に対して遅角した位相の少なくとも1つのプロフィールの遅角計算値であることを特徴とする請求項1に記載のカムプロフィールの測定装置。
【請求項3】
カムの加工に用いられる設計値プロフィールと該設計値プロフィールに対して位相が進角したプロフィール及び遅角したプロフィールとによって構成されたマスタープロフィールを有し、
前記カムのプロフィールを実測して得られた実測値プロフィールと前記マスタープロフィールとをプロフィールの全域に渡って比較し、
この比較値の差異が最小になる前記マスタープロフィールを選択し、
この選択されたマスタープロフィールの角度変数をカムシャフトの角度方向の基準であるノック穴中心とカムの中心角との角度の変位として検出することを特徴とするカムプロフィールの測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図13】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図13】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−39621(P2008−39621A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−215162(P2006−215162)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(592078597)タマチ工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(592078597)タマチ工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
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