説明

カメラ、照明装置、発光制御装置およびカメラシステム

【課題】予備発光時における被写体からの反射光量に基づいて本発光時の光量を適切に求めるカメラを提供する。
【解決手段】カメラ1は、照明光を発する発光体19と、照明光を用いて撮影を行う際に、予備発光時における被写体からの反射光量に基づいて撮影時の照明光の発光量を制御する発光量制御手段10と、外光の色情報に基づいて、予備発光時の照明光の色温度を制御する色温度制御手段10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ、カメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
閃光装置を用いた撮影の際、撮影時の本発光に先立って予備発光を行い、予備発光時における被写体からの反射光量に基づいて本発光時の光量を決める技術が知られている(特許文献1参照)。また、閃光装置が発する照明光の色温度を外光の色温度に応じて制御する技術が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−173254号公報
【特許文献2】特開2003−15179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、被写体の反射率や、被写体からの反射光量を検出するセンサの受光感度は、それぞれが光の波長よって異なる波長依存性を有する。このため、予備発光時の色温度が不適切な場合には、予備発光時における被写体からの反射光量に基づいて本発光時の光量を正しく求めることが困難である。また、予備発光時の発光量自体も、その予備発光の色温度が変化すると大きく変化するものであり、この色温度の違いに基づく発光量の違いも、本発光時の光量を正しく求める上で大きな問題となるものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以下のような解決手段により前述の課題を解決する。ここでは理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、本発明の各構成要件は、この符号の実施形態に限定されるものではない。
(1)本発明によるカメラは、照明光を発する発光体(19)と、照明光を用いて撮影を行う際に、予備発光時における被写体からの反射光量に基づいて撮影時の照明光の発光量を制御する発光量制御手段(10、18)と、外光の色情報に基づいて、予備発光時の照明光の色温度を制御する色温度制御手段(10、18)とを備えることを特徴とする。
(2)請求項1に記載のカメラにおいて、色温度制御手段はさらに、予備発光時の色温度と合わせるように撮影時の照明光の色温度を制御することが好ましい。
(3)請求項1または2に記載のカメラにおいて、色温度制御手段は、照明光の色温度を手動設定するマニュアル設定モードに設定されているときには、予備発光時の照明光の色温度を、手動設定された色温度に制御することもできる。
(4)本発明によるカメラシステムは、照明光を発する発光体、および照明光の色温度を制御する色温度制御手段を有する照明装置と、照明光を用いて撮影を行う際に、予備発光時における被写体からの反射光量に基づいて撮影時の照明光の発光量を演算する第1演算手段、外光の色情報に基づいて、予備発光時の照明光の色温度を演算する第2演算手段、および第1演算手段および第2演算手段による演算結果を照明装置へ送信する送信手段を有するカメラとを備えることを特徴とする。
(5)請求項4に記載のカメラシステムにおいて、照明装置は、予備発光時の照明光の色温度をカメラから送信された色温度に制御することが好ましい。
(6)請求項5に記載のカメラシステムにおいて、照明装置は、予備発光時の色温度と合わせるように撮影時の照明光の色温度を制御することが好ましい。
(7)請求項4〜6のいずれか一項に記載のカメラシステムにおいて、色温度制御手段は、照明光の色温度を手動設定するマニュアル設定モードに設定されているときには、予備発光時の照明光の色温度を、手動設定された色温度に制御することもできる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、予備発光時における被写体からの反射光量に基づいて本発光時の光量を適切に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施の形態による一眼レフカメラシステムを説明する図である。
【図2】カメラシステムの機能ブロック図である。
【図3】マイコンが行う撮影処理の流れを説明するフローチャートである。
【図4】(A)本発明の他の実施形態を説明する構成図、(B)色フィルタの構成を示す図、(C)色可変フィルタの色を電気的に制御する構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は、本発明の一実施の形態による一眼レフカメラシステムの要部構成を説明する図である。図1において、カメラ本体1に対して着脱可能な照明装置17および交換レンズ2が装着されている。
【0009】
交換レンズ2に入射された被写体からの光は、レンズ群3および絞り(不図示)を介してカメラ本体1へ入射される。カメラ本体1に入射した被写体光は、レリーズ前は実線で示すように位置するクイックリターンミラー(以下メインミラーと呼ぶ)5で上方のファインダ部へ導かれて拡散スクリーン11に結像する。また、カメラ本体1に入射した被写体光の一部はサブミラー6で下方へ反射され、焦点検出ユニット7にも入射する。焦点検出ユニット7は、公知の位相差検出方式のAFセンサを備えており、交換レンズ2による焦点調節状態を検出する焦点検出時に用いられる。
【0010】
拡散スクリーン11に結像した被写体光はさらに、コンデンサレンズ12を介してペンタプリズム13へ入射する。ペンタプリズム13は、入射された被写体光を接眼レンズ14へ導く一方、その一部を再結像レンズ15へも導く。再結像レンズ15は、測光センサ16上に被写体像を結像する。測光センサ16は、被写体像の明るさに応じた測光処理用の画像信号を出力する。測光センサ16は、たとえばカラーフィルタを介して入射光を受光するCCDイメージセンサなどによって構成される。測光センサ16で得られた画像信号からは、輝度情報の他に色情報(環境光の色情報)を取得することも可能である。
【0011】
レリーズ後はメインミラー5が破線で示される位置へ回動し、被写体光はフォーカルプレーンシャッター8を介して撮像センサ9へ導かれて撮像面上に被写体像を結像する。撮像センサ9は、画素に対応する複数の光電変換素子を備えたCCDイメージセンサなどによって構成される。撮像センサ9は、撮像面上に結像されている被写体像を撮像し、被写体像の明るさに応じた撮影用の画像信号を出力する。この画像信号は、後述する画像生成部109(図2)で所定の画像処理を経た後、後述する記録部110(図2)によって記録媒体に記録される。
【0012】
マイクロコンピュータ(以下マイコンと呼ぶ)10は、測光センサ16からの画像信号を用いて所定の露出演算を行う。マイコン10は、レリーズ操作時に露出演算結果に基づいてフォーカルプレーンシャッター8および交換レンズ2内に設けられている絞り(不図示)を制御するとともに、撮像センサ9による撮像動作を制御する。マイコン10はさらに、照明装置17との間で通信を行う通信回路を内蔵する。マイコン10は、測光センサ16で取得された環境光の色情報に基づいて必要な照明光の色温度を決定し、決定した色温度の照明光を発するように照明装置17へ発光色制御信号を送信する。
【0013】
なお、本実施形態では、発光色制御信号をカメラ本体1側から照明装置17側へ送信するようにしているが、カメラ本体1側から環境光の色温度情報を受け取った照明装置17内の照明制御回路18が照明光の色温度を決定するようにしてもよい。
【0014】
マイコン10はさらに、焦点検出ユニット7で検出された焦点調節状態に応じてレンズ駆動モータ4へ制御信号を送り、レンズ群3に含まれるフォーカス調節レンズを光軸方向に進退移動させる。駆動モータ4の回転方向および回転量(フォーカス調節レンズの移動
方向および移動量)は、焦点検出ユニット7からの検出信号に基づいて決定する。これにより、主要被写体に対するフォーカス調節が自動で行われる(AF処理)。
【0015】
照明装置17の発光体19は、たとえば、赤色LED19a、緑色LED19b、および青色LED19cによって構成される。照明制御回路18は、カメラ本体1から送信される発光指示および発光制御信号に応じてLED19a、19b、19cへそれぞれ電流を供給し、各LEDを発光させる。発光制御信号は、LED19a、19b、19cの発光強度比(すなわち照明装置17による照明光の色温度)を指示する発光色制御信号、およびLED19a、19b、19cによる発光量を指示する発光量制御信号を含む。LED19a、19b、19cの発光量は、それぞれのLEDへ供給する電流を増減することによって変更する。LED19a、19b、19cの発光強度比は、各LEDへ供給する電流比を変えることによって変更する。発光体19からの光は、発光体19を囲むように設けられた反射板20の開口から図の左方向へ射出される。
【0016】
図2は、上述したカメラシステムの機能ブロック図である。図2において、第2撮像センサ102は測光センサ16(図1)に対応する。第1撮像センサ108は撮像センサ9(図1)に対応する。照明ユニット105は照明装置17(図1)に対応する。第2撮像センサ制御部101、色温度演算部103、照明制御部104、露出演算部106、撮像制御部107、および画像生成部109は、それぞれマイコン10(図1)が対応する。なお、記録部110は図1において不図示である。
【0017】
本実施形態によるカメラシステムは、照明装置17に予備発光させる撮影動作に特徴を有するので、この撮影処理を中心に説明する。予備発光は、撮影時に必要な照明光量(本発光量)を決めるため、撮影前に照明装置17を小光量で発光させるものである。カメラシステムは、予備発光時における被写体からの反射光量に基づいて撮影時に必要な本発光量を決める。
【0018】
マイコン10が行う撮影処理の流れについて、図3のフローチャートを参照して説明する。マイコン10は、不図示のレリーズボタンが半押し操作されたことを示す半押し操作信号が入力されると、図3による処理を行うプログラムを起動する。なお、不図示ではあるが、このプログラム起動時に焦点検出ユニット7で検出した出力に基づいてAF処理が行われる。
【0019】
図3のステップS201において、マイコン10(第2撮像センサ制御部101)は、第2撮像センサ102に被写界の画像データを取得(撮像)させてステップS202へ進む。ステップS202において、マイコン10(色温度演算部103)は、第2撮像センサ102が取得した画像信号に基づいて環境光の色温度情報を算出する。また、マイコン10(露出演算部106)は、上記画像信号に基づいて被写界の輝度情報を算出し、ステップS203へ進む。
【0020】
ステップS203において、マイコン10はレリーズ操作(すなわちレリーズボタンの全押し操作)されたか否かを判定する。マイコン10は、不図示のレリーズボタンが全押し操作されたことを示す全押し操作信号が入力されると、ステップS203を肯定判定してステップS204へ進む。全押し操作は、レリーズボタンが半押し操作時より深く押し下げされる操作態様をいう。一方、マイコン10は、上記全押し操作信号が入力されない場合にはステップS203を否定判定し、ステップS201へ戻る。ステップS201へ戻る場合はステップS201−S203の処理を繰り返す。
【0021】
ステップS204において、マイコン10(露出演算部106)は、照明ユニット105の発光要否を判定する。マイコン10(露出演算部106)は、照明ユニット105の
発光が許可されており、かつステップS202で算出した輝度情報に基づいて発光が必要と判断した場合にステップS204を肯定判定してステップS205へ進む。マイコン10(露出演算部106)は、照明ユニット105の発光が禁止されている場合、あるいは照明ユニット105の発光が許可されているもののステップS202で算出した輝度情報に基づいて発光不要と判断した場合には、ステップS204を否定判定してステップS211へ進む。なお、ここで判定する対象は、本発光についての発光要否である。
【0022】
ステップS205において、マイコン10(照明制御部104)は、ステップS202で算出した色温度情報と略等しい色温度の光を発して予備発光するように照明ユニット105を制御してステップS206へ進む。これにより、照明ユニット105が本発光時より小さい光量で、かつ環境光の色温度と略等しい色温度で予備発光する。
【0023】
ステップS206において、マイコン10(第2撮像センサ制御部101)は、第2撮像センサ102に予備発光中の被写界の画像データを取得(撮像)させてステップS207へ進む。ステップS207において、マイコン10(露出演算部106)は、予備発光中の被写界の輝度情報を算出し、この輝度情報からレリーズ操作直前のステップS202において算出した輝度情報を差し引いて予備発光の反射光量を求める。そして、予備発光の反射光量に基づき、撮影時に必要な照明ユニット105の本発光量を決定(算出)する。マイコン10(露出演算部106)はさらに、予備発光の反射光量に基づき、撮影時の露光条件を演算してステップS208へ進む。具体的には、適正露出が得られるようにシャッター秒時、絞り値およびISO感度を決める。
【0024】
ステップS208において、マイコン10(照明制御部104)は、予備発光時の上記色温度情報と略等しい色温度で、上記本発光量の光を発するように照明ユニット105を制御してステップS209へ進む。これにより、照明ユニット105が次ステップ(S209)の撮影時に、上記ステップS207で算出された本発光量で、かつ予備発光時の色温度と略等しい色温度で発光する。なお、略等しい色温度とは、色温度が完全に一致する状態は当然ながら、色温度が若干異なっている場合であっても含まれる概念である。要は、予備発光時の色温度と本発光時の色温度との相違が、前述したステップS207において算出される本発光量に誤差を生じない程度の色温度の相違であれば、その色温度差は許容されうるものである。
【0025】
ステップS209において、マイコン10(撮像制御部107)はメインミラー5の回動指示を行い、第1撮像センサ108に撮影時の露光条件で被写界の画像データを取得(撮像)させてステップS210へ進む。ステップS210において、マイコン10(画像生成部109)は、ステップS202で算出した色温度情報に基づいて、第1撮像センサ108が取得した画像信号にホワイトバランス処理を行ってステップS211へ進む。
【0026】
ステップS211において、マイコン10は記録部110(図2)に指示を送り、ホワイトバランス処理後の画像データを記録媒体に記録させて図3による処理を終了する。
【0027】
上述したS204を否定判定して進むステップS212において、マイコン10(露出演算部106)は、レリーズ操作直前のステップS202において算出した輝度情報に基づき、撮影時の露光条件を演算してステップS209へ進む。具体的には、適正露出が得られるようにシャッター秒時、絞り値およびISO感度を決める。この場合は、次ステップ(S209)において照明ユニット105を発光させないで撮影を行う。
【0028】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)照明装置17からの照明光を外光(環境光)に対する補助光として使用する、いわゆる補助光撮影において、撮影時に必要な本発光量を決めるために照明装置17を予備発
光させる際に、予備発光光の色温度を環境光の色温度情報を用いて制御するようにした。環境光の色温度情報を用いて制御することで、予備発光の色温度を環境光の色温度に近づければ、予備発光の色温度を制御しない場合に比べて適切な本発光量を決定できる。
【0029】
(2)本発光光の色温度を予備発光光の色温度と揃えるように制御したので、予備発光と本発光とで色温度が略等しくなる。これにより、予備発光と本発光とで色温度が異なる場合に比べて、撮影された画像に光量オーバーや光量アンダーが生じるおそれを低減できる。
【0030】
(変形例1)
以上の説明では、カメラ本体1のアクセサリシュー等に装着するタイプの照明装置17を例に説明したが、発光体19および照明制御回路18を有する照明ユニットをカメラ内に内蔵するタイプとして構成しても(すなわち、カメラ内蔵の照明装置に適用しても)構わない。
【0031】
(変形例2)
カメラ本体1として、第1撮像センサ108(撮像センサ9)で撮像を行う電子カメラを例に説明した。この代わりに、フィルムなどの感光部材で撮像を行う銀塩カメラにも本発明を適用してよい。銀塩カメラの場合には、ステップS210−S211の処理は不要である。
【0032】
(変形例3)
本発明は、一眼レフタイプでない電子カメラに適用しても、あるいは撮影レンズが交換不能なカメラ(レンズ一体型カメラ)に適用しても構わない。この場合には、撮影用の撮像センサ9を測光用センサとしても用いる。すなわち、撮像センサ9によって取得した画像データに基づいて、被写界の輝度情報や色温度情報を算出する(ステップS202、S207)。特に、撮像センサ9で撮像した画像を、カメラ本体1の背面(図1のカメラ本体1の右側)に設けられた不図示の表示部(LCD等)にリアルタイムで表示するライブビューモードにカメラが設定されているときには、ライブビュー中に撮像センサ9で撮像した信号に基づいて、色温度情報を算出するのが望ましい。このようにした場合には、色温度を得るためのセンサと実際の撮像に用いるセンサとが同じであるため、センサ間の受光感度の相違の影響を考慮する必要がなくなるという利点がある。
【0033】
(変形例4)
上記実施形態では、照明装置の発光体としてのLEDを用いるようにしたが、他の光源を使うようにしてもよい。たとえば、発光体として従来周知のキセノン管等を用いるようにしてもよい。この場合の照明装置17は、図4に例示するような構成を採用するのが好ましい。以下、図4について説明する。なお、図1と同じ構成については同一の符号を付して説明を省略する。図4(A)が図1と異なる点は、発光体19’がキセノン管であり、
そのキセノン管19’の前方には色フィルタ21および色フィルタを切換え駆動するための駆動機構22が設けられている点である。測光用センサ16または撮像センサ9の出力に基づいて算出された色温度情報に基づいて、照明制御回路18は駆動機構22を駆動して、キセノン管19’の前方に配置される色フィルタ21を切換える。色フィルタ21は、複数の色のフィルタ21a〜21cがロール状に一体成形されているフィルタであり(図4(B)参照)、フィルムカメラのフィルムを巻き取るスプール構造と同様の構造(巻上
げ、巻戻しの2つのスプール構造)によってキセノン管19’の前に配置される色フィルタを選択的に切換えられるようになっている。あるいは図4(C)に示すように、キセノン
管19’の前に電気的に色可変のフィルタ(液晶パネル等)25を設けておき、この色可変フィルタ25の色を電気的に制御する構成にしてもよい。
【0034】
(変形例5)
上記実施形態では、照明装置から発光される光の色温度を制御する方法として、赤色LED、青色LED、緑色LEDそれぞれの発光強度比を、各LEDへ供給する電流比を変えることで可変としている。そして上記実施形態では、この電流比を各色LEDに流す電流量(電流値)を増減することで可変としている。
しかしながら複数色のLEDを用いて発光色温度を制御する方法としては、このような電流値の制御のみならず、他の方法を採用してもよい。たとえば、超高速シャッタ秒時を用いた撮影でさえなければ(通常のストロボ同調秒時以上のシャッタ秒時での撮影であれば)、各色LEDに流す電流値は同じであっても、LED毎の駆動(発光)デューティを変えることによって、色温度を変えることができる。各色LED毎の駆動デューティを独立設定可能としておけば、その設定された駆動デューティで発光される各色LEDの光量比を、撮影時のシャッタ秒時中(撮影期間中)全体として見れば、所望の光量比に制御できる。
【0035】
(変形例6)
上記実施形態では、カメラ本体内部に設置された測光センサ16(第2撮像センサ102)の測光(測色)結果を用いて、照明装置17の予備発光時および本発光時の照明光の色温度を自動的に設定するように構成している。しかしながら次のような変形例も考えられる。カメラ内に、使用者が、照明装置17の発光時(予備発光時および本発光時)の照明光の色温度を任意の色温度に手動設定できるマニュアル設定モードを設けておき、そのマニュアル設定モードにモード設定されているときには、外光に応じた色温度制御ではなく、使用者が手動設定した色温度に照明光の色温度を制御する。なお、この変形例においても、手動設定された色温度は予備発光時と本発光時とで同じ色温度に制御する。この変形例の場合の調光制御に使用する測光センサ(以下「調光用センサ」と称す)としては、必ずしも上述したような色温度を測定可能な測光センサを用いる必要はなく、輝度測定を行える測光センサであればよい。そしてその調光用センサを用いて予備発光を測光し、その測光結果に基づいて本発光量を求める点は上記実施形態と同様である。以下にこの変形例の動作を、図3を用いて相違点のみ説明する。
【0036】
図3と相違する点は、ステップS202では輝度のみを検出し、ステップS205では使用者に手動設定された色温度で予備発光させ、ステップS206では調光用センサで予備発光時の測光を行う点である。それ以外の動作は図3の場合と同様である。なお、調光用センサは、カメラ本体側に設けても、照明装置側に設けてもよい。
【0037】
この変形例のように、発光時の色温度を任意に手動設定するものであっても、予備発光時と本発光時との色温度を同じ色温度に制御することによって、色温度の違いに起因する発光部の発光特性の変動分を考慮する必要がなくなり、適正な本発光量を容易に算出することができる。また、照明光の色温度を任意の色温度に手動設定できるようにしておくことにより、使用者の作画の自由度が増す。たとえば、周囲光(外光)の照明環境とはあえて異なる照明光を発光させることで(たとえば、青っぽい光を発する蛍光灯(周囲光)の下で、照明装置に赤っぽい光(照明光)を照射させることで)、独創的(芸術的)な画像を得ることができる。
【0038】
(変形例7)
上記実施形態(図3)では、露光量演算をステップS207またはステップS212で行うようにしているが、露光量演算は、S202での測光動作の後であれば、ステップS207やステップS212よりも前のタイミングで行うようにしてもよい。たとえばステップS202で輝度を測定した直後(ステップS202とステップS203の間のタイミング)に、露光量演算を行うようにしてもよい。
【0039】
(変形例8)
上記実施形態では、カメラ側に設けられた測光センサ16で測定した色温度情報をカメラから照明装置へ送信するように構成しているが、この測光センサ16と同様に色温度を測定可能な測光センサを照明装置側へ設けておくようにしてもよい。この場合には、照明制御回路18は、この照明装置内の測光センサの測光(測色)結果に基づいて予備発光時(および本発光時)の色温度を制御するとともに、この色温度の情報を、カメラ側のマイコン10にて行われるホワイトバランス制御のために、マイコン10へ送信する。
【0040】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0041】
1…カメラ本体
9…撮像センサ
10…マイコン
16…測光センサ
17…照明装置
18…照明制御回路
19…LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光を発する発光体と、
前記照明光を用いて撮影を行う際に、予備発光時における被写体からの反射光量に基づいて前記撮影時の照明光の発光量を制御する発光量制御手段と、
外光の色情報に基づいて、前記予備発光時の照明光の色温度を制御する色温度制御手段とを備えることを特徴とするカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラにおいて、
前記色温度制御手段はさらに、前記予備発光時の色温度と合わせるように前記撮影時の照明光の色温度を制御することを特徴とするカメラ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のカメラにおいて、
前記色温度制御手段は、照明光の色温度を手動設定するマニュアル設定モードに設定されているときには、前記予備発光時の照明光の色温度を、前記手動設定された色温度に制御することを特徴とするカメラ。
【請求項4】
照明光を発する発光体、および前記照明光の色温度を制御する色温度制御手段を有する照明装置と、
前記照明光を用いて撮影を行う際に、予備発光時における被写体からの反射光量に基づいて前記撮影時の照明光の発光量を演算する第1演算手段、外光の色情報に基づいて、前記予備発光時の照明光の色温度を演算する第2演算手段、および前記第1演算手段および前記第2演算手段による演算結果を前記照明装置へ送信する送信手段を有するカメラとを備えることを特徴とするカメラシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のカメラシステムにおいて、
前記照明装置は、前記予備発光時の照明光の色温度を前記カメラから送信された色温度に制御することを特徴とするカメラシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のカメラシステムにおいて、
前記照明装置は、前記予備発光時の色温度と合わせるように前記撮影時の照明光の色温度を制御することを特徴とするカメラシステム。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか一項に記載のカメラシステムにおいて、
前記色温度制御手段は、照明光の色温度を手動設定するマニュアル設定モードに設定されているときには、前記予備発光時の照明光の色温度を、前記手動設定された色温度に制御することを特徴とするカメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−8046(P2013−8046A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−184185(P2012−184185)
【出願日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【分割の表示】特願2008−125930(P2008−125930)の分割
【原出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】