説明

カメラシステム、カメラ装置、カメラシステムの制御方法、制御装置の制御プログラム、及びカメラ装置の制御プログラム

【課題】電力供給が開始された時に状況に応じて原点検出処理を適切に省略できるカメラシステム、カメラ装置、カメラシステムの制御方法、制御装置の制御プログラム、及びカメラ装置の制御プログラムを提供する。
【解決手段】カメラシステムは、カメラ装置1とテレビ会議端末2を備えている。テレビ会議端末2は、カメラ装置1に給電可能に制御する。カメラ装置1がテレビ会議端末2に接続された時に、テレビ会議端末2は、類似度を算出する。類似度は、現在静止画データと、遮断直前静止画データとに基づいて算出される。テレビ会議端末2は、類似度が閾値以上の場合、カメラ装置1の撮像方向は変化していないと判断する。この場合、カメラ装置1において、原点検出処理の実行を省略することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラシステム、カメラ装置、カメラシステムの制御方法、プログラム、及びカメラ装置の制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビ会議端末に接続して使用するカメラ装置として、例えば被写体を撮像するカメラをパン方向及びチルト方向に移動可能に支持するパンチルトカメラ(以下、「PTZカメラ」という。)が知られている。PTZカメラは例えばUSBを介してテレビ会議端末から給電を受けることができる。PTZカメラは通常、電源がオンされると、原点検出処理を実行する。原点検出処理はカメラのパン方向及びチルト方向の各原点位置を認識する処理である。原点検出処理には時間がかかる。例えば、電源オフ時間を計測し、その計測結果に基づいて設定や状態を初期化できる撮像装置が開示されている(例えば特許文献1参照)。この撮像装置は、電源オフ時間が設定時間以上より長い場合、全ての設定項目を初期値にして起動するが、所定の時間未満であった場合、初期動作を行わずに電源がオフされた時と同じ設定で起動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−78738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テレビ会議中において、会議参加者はPTZカメラのUSB接続を誤って抜いてしまう場合がある。この場合、会議参加者はテレビ会議端末にPTZカメラを再度接続する。特許文献1の技術をPTZカメラに適用した場合、電源オフ時間が設定時間以上経過してしまうと、原点検出処理を行ってしまうので、使用できるまでに時間がかかってしまい、会議が中断してしまうという問題点があった。また電源オフ時間が設定時間未満であっても、その間にPTZカメラの向きが変えられてしまう場合がある。この場合、再接続時に原点検出処理が必要であるにも関わらず行われないので、カメラのパン方向及びチルト方向の位置を正確に認識できないという問題点もあった。
【0005】
本発明の目的は、電力供給が開始された時に状況に応じて原点検出処理を適切に省略できるカメラシステム、カメラ装置、カメラシステムの制御方法、制御装置の制御プログラム、及びカメラ装置の制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係るカメラシステムは、被写体を撮像する撮像手段をパン方向及びチルト方向に移動可能に支持するカメラ装置と、前記カメラ装置と給電可能に接続され、前記カメラ装置の動作を制御する制御装置とを備えたカメラシステムにおいて、前記カメラ装置は、前記カメラ装置を駆動する為の電力を前記制御装置から取得する電力取得手段と、前記撮像手段により撮像された画像情報を前記制御装置に送信する画像送信手段と、前記電力取得手段による電力取得が開始された場合、前記撮像手段のパン方向における原点と、チルト方向における原点とを各々検出する原点検出処理を実行する原点検出処理実行手段と、前記原点検出処理実行手段によって前記原点検出処理が実行された後、前記原点に基づいて特定される方向を基準として移動する前記撮像手段のパン方向及びチルト方向の位置情報を前記制御装置に送信する位置情報送信手段と、前記制御装置から送信され、前記原点検出処理実行手段による前記原点検出処理の実行の中止を指示する情報である中止指示情報を受信した場合、前記原点検出処理実行手段による前記原点検出処理を中止する中止実行手段とを備え、前記制御装置は、前記画像送信手段によって送信された前記画像情報を受信する画像情報受信手段と、前記位置情報送信手段によって送信された前記位置情報を受信する位置情報受信手段と、前記画像情報受信手段によって受信された前記画像情報を装置側画像記憶手段に読み出し可能に記憶する装置側画像記憶制御手段と、前記位置情報受信手段によって受信された前記位置情報を位置情報記憶手段に読み出し可能に記憶する位置情報記憶制御手段と、前記制御装置に前記カメラ装置が接続したか否かを判断する接続判断手段と、前記接続判断手段によって前記制御装置に前記カメラ装置が接続されたと判断した場合、前記画像情報受信手段によって新たに取得された画像情報と、前記装置側画像記憶手段に記憶されている画像情報との類似の度合を示す類似度を算出する類似度算出手段と、前記類似度算出手段によって算出された前記類似度が閾値以上である場合、前記中止指示情報を前記カメラ装置に送信する中止指示情報送信手段とを備えている。
【0007】
このカメラシステムでは、カメラ装置に制御装置が接続されると、カメラ装置に電力が供給され、カメラ装置は撮像を開始する。カメラ装置は、撮像した画像情報を制御装置に送信する。制御装置は、新たに取得された画像情報と装置側画像記憶手段に記憶されている画像情報とを比較し、類似度を算出する。算出された類似度が閾値以上である場合、制御装置は、原点検出処理の実行を中止する指示をカメラ装置に送信し、カメラ装置は、原点検出処理の実行を中止する。制御装置は、算出された類似度によって、撮像手段の撮像方向が変化したか否かを判断できる。類似度が閾値以上の場合、撮像手段の撮像方向が変化しないと判断される。この場合、カメラ装置は、原点検出処理の実行を中止することができ、即座にカメラ装置を使用することができる。
【0008】
また前記カメラシステムでは、前記類似度算出手段は、前記画像情報から人体の画像の情報である人体画像情報を検出する人体画像情報検出手段を備え、前記画像情報から前記人体画像情報検出手段によって検出された前記人体画像情報を除いた前記画像情報に基づき、前記類似度を算出してもよい。制御装置は、人体画像情報検出手段により、カメラ装置から送信された画像情報から人体画像情報を検出する。制御装置は、画像情報から人体画像情報を除いた背景の画像情報に基づいて類似度を算出する。人体よりも動きの少ない背景の画像情報に基づいて類似度を算出することで、類似度の算出の精度を高めることができる。
【0009】
また前記カメラシステムでは、前記類似度算出手段は、前記画像情報から前記人体画像情報検出手段によって検出された前記人体画像情報を除いた前記画像情報において、物体の輪郭形状の情報である輪郭情報を抽出する輪郭情報抽出手段を備え、前記画像情報から前記輪郭情報抽出手段によって抽出された前記輪郭情報に基づき、前記類似度を算出してもよい。制御装置は、輪郭情報抽出手段により、カメラ装置から送信された画像情報から人体画像情報を除いた画像情報において、物体の輪郭情報を抽出する。制御装置は、抽出された物体の輪郭情報に基づいて類似度を算出する。背景の画像情報における物体の輪郭情報に基づいて類似度を算出することで、類似度の算出の精度をより高めることができる。
【0010】
また前記カメラシステムでは、前記制御装置は、前記接続判断手段によって前記制御装置に前記カメラ装置が接続されたと判断した場合、前記カメラ装置に前記画像情報の送信を要求する送信要求手段を備え、前記カメラ装置は、前記電力取得手段による電力取得が遮断される直前に前記撮像手段によって撮像された画像情報である遮断直前画像情報と、前記電力取得手段によって電力取得が開始された時に前記撮像手段によって撮像された現在画像情報とをカメラ側画像記憶手段に読み出し可能に記憶するカメラ側記憶制御手段と、前記送信要求手段によって前記画像情報の送信要求があった場合に、前記カメラ側画像記憶手段に記憶された前記遮断直前画像情報と前記現在画像情報とを前記制御装置に送信する要求画像送信手段とを備えてもよい。カメラ装置は、カメラ側記憶制御手段により、電力取得手段による電力取得が遮断される直前に撮像された画像情報である遮断直前画像情報と、電力取得が開始された時に撮像された画像情報である現在画像情報を記憶する。カメラ装置は、制御装置から画像情報の送信要求があった場合に、遮断直前画像情報と現在画像情報を、制御装置に送信する。例えば、カメラ装置と制御装置との接続を遮断し、別の新たな制御装置と接続した際、新たな制御装置には、画像情報が記憶されていない場合がある。このような場合、カメラ装置は、遮断直前画像情報と現在画像情報とを、制御装置に送信する。制御装置は、受信した遮断直前画像情報と現在画像情報とに基づいて動作をすることができる。
【0011】
また前記カメラシステムでは、前記制御装置は、前記装置側記憶手段に前記画像情報が記憶されているか否かを判断する記憶判断手段を備え、前記類似度算出手段は、前記記憶判断手段によって前記装置側記憶手段に前記画像情報が記憶されていないと判断した場合、前記要求画像送信手段によって送信された前記遮断直前画像情報と前記現在画像情報とに基づき、前記類似度を算出してもよい。制御装置は、記憶判断手段により、装置側記憶手段に画像情報が記憶されているか否か判断する。記憶判断手段が、装置側記憶手段に画像が記憶されていないと判断した場合、制御装置は、要求画像送信手段によって送信された遮断直前画像情報と現在画像情報とに基づき、類似度を算出する。例えば、カメラ装置と制御装置との接続を遮断し、別の新たな制御装置と接続した際、新たな制御装置には、画像情報が記憶されていない場合がある。このような場合、カメラ装置は、遮断直前画像情報と現在画像情報とを、制御装置に送信する。制御装置は、受信した遮断直前画像情報と現在画像情報とに基づいて類似度を算出することができる。
【0012】
また前記カメラシステムでは、前記カメラ装置は、前記撮像手段のズームを調節するズーム調節機構を備え、前記原点検出処理は、前記撮像手段のパン方向における原点の位置と、チルト方向における原点の位置と、前記ズーム調節機構における原点の位置とを検出する処理であって、前記位置情報送信手段は、前記原点検出処理実行手段によって前記原点検出処理が実行された後、前記原点に基づいて特定される方向を基準として移動する前記撮像手段のパン方向及びチルト方向の前記位置情報に加え、前記ズーム調節機構の位置情報を送信してもよい。カメラ装置は、ズーム調節機構を備えることにより、撮像手段のズームを調節する。カメラ装置は、原点検出処理は、パン方向とチルト方向における原点の位置の検出に加えて、ズーム調節機構の原点の位置を検出する。カメラ装置は、パン方向及びチルト方向の位置情報だけでなく、ズーム調節機構の位置情報を制御装置に送信する。パン方向、チルト方向の場合と同様に、ズーム調節機構の原点検出処理を実行しないので、即座にカメラ装置を利用することができる。
【0013】
本発明の第二態様に係るカメラ装置は、被写体を撮像する撮像手段をパン方向及びチルト方向に移動可能に支持し、制御装置と給電可能に接続されることにより、前記制御装置によって動作を制御されるカメラ装置であって、前記カメラ装置を駆動する為の電力を前記制御装置から取得する電力取得手段と、前記撮像手段により撮像された画像情報を、前記制御装置に送信する画像送信手段と、前記電力取得手段による電力取得が開始された場合、前記撮像手段のパン方向における原点と、チルト方向における原点とを各々検出する原点検出処理を実行する原点検出処理実行手段と、前記原点検出処理実行手段によって前記原点検出処理が実行された後、前記原点に基づいて特定される方向を基準として移動する前記撮像手段のパン方向及びチルト方向の位置情報を前記制御装置に送信する位置情報送信手段と、前記電力取得手段による電力取得が遮断される直前に前記撮像手段によって撮像された画像情報である遮断直前画像情報と、前記電力取得手段によって電力取得が開始された時に前記撮像手段によって撮像された現在画像情報とを読み出し可能に記憶するカメラ側画像記憶手段と、前記制御装置から前記画像情報の送信要求があった場合に、前記カメラ側画像記憶手段に記憶された前記遮断直前画像情報と前記現在画像情報とを前記制御装置に送信する要求画像送信手段と、前記遮断直前画像情報と前記現在画像情報とに基づいて算出される類似の度合を示す類似度が閾値以上の場合に前記制御装置から送信される前記原点検出処理の実行の中止を指示する情報である中止指示情報を受信する中止指示情報受信手段と、前記中止指示情報受信手段によって前記中止指示情報が受信された場合、前記原点検出処理実行手段による前記原点検出処理を中止する中止実行手段とを備えている。カメラ装置に制御装置が接続されると、カメラ装置に電力が供給され、カメラ装置は撮像を開始する。カメラ装置は、制御装置に撮像した画像情報と位置情報を送信する。制御装置において、遮断直前画像情報と現在画像情報とに基づいて算出される類似度が閾値以上の場合に送信される原点検出処理の実行の中止を指示する中止指示情報を受信し、原点検出処理の実行を中止する。カメラ装置は、原点検出処理の実行を中止することができ、即座にカメラ装置を使用することができる。
【0014】
本発明の第三態様に係るカメラシステムの制御方法は、被写体を撮像する撮像手段をパン方向及びチルト方向に移動可能に支持するカメラ装置と、前記カメラ装置と給電可能に接続され、前記カメラ装置の動作を制御する制御装置とを備えたカメラシステムによって行われるカメラシステムの制御方法であって、前記カメラ装置によって行われるカメラ側工程と、前記制御装置によって行われる装置側工程とを備え、前記カメラ側工程は、電力取得手段によって電力を前記制御装置から取得する電力取得工程と、前記撮像手段により撮像された画像情報を前記制御装置に送信する画像送信工程と、前記撮像手段のパン方向における原点と、チルト方向における原点とを各々検出する原点検出処理を実行する原点検出処理実行工程と、前記原点検出処理実行工程において前記原点検出処理が実行された後、前記原点に基づいて特定される方向を基準として移動する前記撮像手段のパン方向及びチルト方向の位置情報を前記カメラ装置に送信する位置情報送信工程と、前記制御装置から送信され、前記原点検出処理実行工程における前記原点検出処理の実行の中止を指示する情報である中止指示情報を受信した場合、前記原点検出処理実行工程における前記原点検出処理を中止する中止実行工程とを備え、前記装置側工程は、前記画像送信工程において送信された前記画像情報を受信する画像情報受信工程と、前記位置情報送信工程において送信された前記位置情報を受信する位置情報受信工程と、前記画像情報受信工程において受信された前記画像情報を装置側画像記憶手段に読み出し可能に記憶する装置側画像記憶制御工程と、前記位置情報受信工程において受信された前記位置情報を位置情報記憶手段に読み出し可能に記憶する位置情報記憶制御工程と、前記制御装置に前記カメラ装置が接続したか否かを判断する接続判断工程と、前記接続判断工程において前記制御装置に前記カメラ装置が接続されたと判断した場合、前記画像情報受信工程において新たに取得された画像情報と、前記装置側画像記憶手段に記憶されている画像情報との類似の度合を示す類似度を算出する類似度算出工程と、前記類似度算出工程において算出された前記類似度が閾値以上である場合、前記中止指示情報を前記カメラ装置に送信する中止指示送信工程と、を備えている。カメラ装置に制御装置が接続されると、カメラ装置に電力が供給され、カメラ装置は撮像を開始する。カメラ装置は、制御装置に撮像した画像情報を制御装置に送信する。制御装置は、新たに取得された画像情報と装置側画像記憶手段に記憶されている画像情報とを比較し、類似度を算出する。算出された類似度が閾値以上である場合、制御装置は、原点検出処理の実行を中止する指示をカメラ装置に送信し、カメラ装置は、原点検出処理の実行を中止する。制御装置は、算出された類似度によって、撮像手段の撮像方向が変化したか否かを判断できる。類似度が閾値以上の場合、撮像手段の撮像方向が変化しないと判断される。この場合、カメラ装置は、原点検出処理の実行を中止することができ、即座にカメラ装置を使用することができる。
【0015】
本発明の第四態様に係る制御装置の制御プログラムは、被写体を撮像する撮像手段をパン方向及びチルト方向に移動可能に支持するカメラ装置と給電可能に接続され、前記カメラ装置の動作を制御する制御装置を機能させる制御装置の制御プログラムであって、コンピュータに、前記カメラ装置から送信され、前記撮像手段により撮像された画像情報を受信する画像情報受信ステップと、前記カメラ装置から送信され、前記撮像手段のパン方向における原点と、チルト方向における原点とを各々検出する原点検出処理が実行された前記撮像手段のパン方向及びチルト方向の位置情報を受信する位置情報受信ステップと、前記画像情報受信ステップにおいて受信された前記画像情報を装置側画像記憶手段に読み出し可能に記憶する装置側画像記憶制御ステップと、前記位置情報受信ステップにおいて受信された前記位置情報を位置情報記憶手段に読み出し可能に記憶する位置情報記憶制御ステップと、前記制御装置に前記カメラ装置が接続したか否かを判断する接続判断ステップと、前記接続判断ステップにおいて前記制御装置に前記カメラ装置が接続されたと判断した場合、前記画像情報受信ステップにおいて新たに取得された画像情報と、前記装置側画像記憶手段に記憶されている画像情報との類似の度合を示す類似度を算出する類似度算出ステップと、前記類似度算出ステップにおいて算出された前記類似度が閾値以上である場合、前記カメラ装置における前記原点検出処理の実行の中止を指示する情報である中止指示情報を前記カメラ装置に送信する中止指示情報送信ステップとを実行させる。カメラ装置に制御装置が接続されると、カメラ装置に電力が供給され、カメラ装置は撮像を開始する。カメラ装置は、制御装置に撮像した画像情報を制御装置に送信する。制御装置は、新たに取得された画像情報と装置側画像記憶手段に記憶されている画像情報とを比較し、類似度を算出する。算出された類似度が閾値以上である場合、制御装置は、原点検出処理の実行を中止する指示をカメラ装置に送信し、カメラ装置は、原点検出処理の実行を中止する。制御装置は、算出された類似度によって、撮像手段の撮像方向が変化したか否かを判断できる。類似度が閾値以上の場合、撮像手段の撮像方向が変化しないと判断される。この場合、カメラ装置に中止指示情報を送信し、カメラ装置における原点検出処理を中止することができ、即座にカメラ装置を使用することができる。
【0016】
本発明の第五態様に係るカメラ装置の制御プログラムは、被写体を撮像する撮像手段をパン方向及びチルト方向に移動可能に支持し、制御装置と給電可能に接続されることにより、前記制御装置によって動作を制御されるカメラ装置を機能させるカメラ装置の制御のプログラムであって、コンピュータに、前記カメラ装置を駆動する為の電力を前記制御装置から取得する電力取得ステップと、前記撮像手段により撮像された画像情報を、前記制御装置に送信する画像送信ステップと、前記電力取得ステップにおける電力取得が開始された場合、前記撮像手段のパン方向における原点と、チルト方向における原点とを各々検出する原点検出処理を実行する原点検出処理実行ステップと、前記原点検出処理実行ステップにおける前記原点検出処理が実行された後、前記原点に基づいて特定される方向を基準として移動する前記撮像手段のパン方向及びチルト方向の位置情報を前記制御装置に送信する位置情報送信ステップと、前記制御装置から前記画像情報の送信要求があった場合に、前記電力取得ステップおけるによる電力取得が遮断される直前に前記撮像手段によって撮像された画像情報である遮断直前画像情報と、前記電力取得ステップにおいて電力取得が開始された時に前記撮像手段によって撮像された現在画像情報とを読み出し可能に記憶したカメラ側画像記憶手段に記憶された前記遮断直前画像情報と前記現在画像情報とを前記制御装置に送信する要求画像送信ステップと、前記遮断直前画像情報と前記現在画像情報とに基づいて算出される類似の度合を示す類似度が閾値以上の場合に前記制御装置から送信される前記原点検出処理の実行の中止を指示する情報である中止指示情報を受信する中止指示情報受信ステップと、前記中止指示情報受信ステップにおいて前記中止指示情報が受信された場合、前記原点検出処理実行手段による前記原点検出処理を中止する中止実行ステップとを実行させる。カメラ装置に制御装置が接続されると、カメラ装置に電力が供給され、カメラ装置は撮像を開始する。カメラ装置は、制御装置に撮像した画像情報と位置情報を送信する。制御装置において、遮断直前画像情報と現在画像情報とに基づいて算出される類似度が閾値以上の場合に送信される原点検出処理の実行の中止を指示する中止指示情報を受信し、原点検出処理の実行を中止する。カメラ装置は、原点検出処理の実行を中止することができ、即座にカメラ装置を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】カメラシステム100の斜視図である。
【図2】カメラ装置1の正面図である。
【図3】図2に示すI−I線矢視方向断面図である。
【図4】カメラ装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】テレビ会議端末2の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】接続時動作処理のフローチャートである。
【図7】端末側制御処理のフローチャートである。
【図8】端末側制御処理のフローチャートであって、図7の続きである。
【図9】類似度算出処理のフローチャートである。
【図10】変形例1のカメラ装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【図11】変形例1の接続時動作処理のフローチャートである。
【図12】変形例1の端末側制御処理のフローチャートである。
【図13】遮断直前静止画データ受信処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態であるカメラシステム100、及びカメラ装置1について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本開示が採用し得る技術的特徴を説明するために用いるものであり、記載している装置の構成等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。なお以下説明において、図1の右斜め下方、左斜め上方、右斜め上方、左斜め下方、下方、上方を、夫々、カメラ装置1の前方、後方、右方、左方、下方、上方とする。図2の紙面手前方向、紙面奥行き方向、右方、左方、下方、上方を、夫々、カメラ装置1の前方、後方、右方、左方、下方、上方とする。図3の紙面手前方向、紙面奥行き方向、右方、左方、下方、上方を、夫々、カメラ装置1の右方、左方、前方、後方、下方、上方とする。また、パン方向とは水平方向、チルト方向とは垂直方向を意味する。
【0019】
図1を参照し、カメラシステム100の構成について説明する。カメラシステム100は、テレビ会議端末2、及びカメラ装置1を備えている。テレビ会議端末2は、他拠点にある他のテレビ会議端末2A(図4参照)とネットワーク87を介して、画像と音声の送受信をすることによって、遠隔会議を実施できるものである。カメラ装置1はテレビ会議端末2に接続して使用される。カメラ装置1はテレビ会議端末2から電力の供給を受けて駆動可能である。カメラ装置1はカメラ8をパン方向及びチルト方向に回転可能に支持し、自拠点の撮像対象物を撮像する。テレビ会議端末2はカメラ装置1の撮影条件、動作条件等の制御を行い、カメラ装置1から送信される画像データを、ネットワークを介して他拠点に送信することができる。
【0020】
はじめに、カメラ装置1の全体構造について説明する。図1、図2、及び図3に示すようにカメラ装置1は、筐体3、回転台座4、支持枠7、固定枠6、カメラ8等を備えている。以下各部材について順に説明する。
【0021】
次に、筐体3について説明する。筐体3は略直方体状である。筐体3は前壁3A、右側壁3B、左側壁3C、背壁3D、底壁3E、及び天壁3Fを備える。天壁3Fの略中央には穴部(図示略)が設けられている。天壁3Fの下面の右後方部には、パンモータ12が取り付けられている。パンモータ12の駆動軸12Aは天壁3Fに設けた貫通穴(図示略)を介して上方に突出している。天壁3Fの上面には、パン原点ピン35が立設されている。左側壁3Cの後方下部にはUSB接続部13が設けられている。USB接続部13にはテレビ会議端末2に接続したUSBケーブル20の端子22が着脱可能に接続される。
【0022】
次に、回転台座4について説明する。回転台座4は略円柱状である。回転台座4は軸方向を上下方向に向けた状態で、その下部が筐体3の天壁3F上に配置されている。回転台座4の上端部の外周には径方向外側に突出するフランジ部5が設けられている。フランジ部5の外周部には、径方向外側に突出するパン原点突き当て部5Aが設けられている。回転台座4の上面の略中央には上方に突出する回転軸5Bが設けられている。回転軸5Bには水平方向に延出する被係止部16が設けられている。被係止部16は平面視略長方形状の板部材である。被係止部16の長手方向の両端部は円弧状に形成されている。さらに、回転台座4の外周面と、パンモータ12の駆動軸12Aとの間には、無端ベルト14が架け渡されている。駆動軸12Aが回転すると、無端ベルト14によって回転台座4が回転する。回転台座4の回転に伴い、パン原点突き当て部5Aは移動してパン原点ピン35と接触する。これによって、回転台座4の回転角度は所定の範囲内に制限される。
【0023】
次に、支持枠7について説明する。図2に示すように、支持枠7は正面視略U字状である。支持枠7は固定部7A、右側支持部7B、及び左側支持部7Cを備える。固定部7Aは平面視略長方形状の板部材である。固定部7Aの中央には位置決め穴部21が設けられている。位置決め穴部21は略円形状である。位置決め穴部21の内側には、回転台座4の被係止部16が挿入されている。被係止部16の長手方向の円弧状の両端部は、位置決め穴部21の内周面に当接している。位置決め穴部21の周囲には、固定部7Aを回転台座4の上端面に固定する為の4つの固定穴(図示略)が設けられている。これら固定穴にはビス15が各々締結されている。これにより支持枠7は回転台座4の上面に固定されている。
【0024】
右側支持部7B及び左側支持部7Cは、固定部7Aの互いに対向する両端部に略垂直上方に各々立設されている。左側支持部7C及び右側支持部7Bは側面視略長方形状の板部材である。左側支持部7Cの外面の略中央にはチルトモータ25が固定されている。チルトモータ25の駆動軸25Aは、左側支持部7Cに設けた貫通穴(図示略)を介して支持枠7の内側において略水平に突出している。駆動軸25Aの先端部にはギア28が設けられている。
【0025】
左側支持部7Cの上端部の略中央には下方に湾曲する略U字状の溝部23が設けられている。右側支持部7Bの上端部の略中央にも下方に湾曲する略U字状の溝部31が設けられている。左側支持部7Cの内面においてチルトモータ25の駆動軸25Aが貫通する貫通穴の上側にはガイド軸32が設けられている。ガイド軸32は略水平に延設し、後述するギア29に設けられたガイド穴29A(図3参照)に挿入されている。
【0026】
次に、固定枠6について説明する。固定枠6は略直方体の筒状である。固定枠6の内側にはカメラ8が挿入されて固定されている。固定枠6の左側壁6Aの外面には回転軸26が左方に突出して設けられている。固定枠6の右側壁6Bの外面には回転軸33が右方に突出して設けられている。回転軸26、33は互いに同軸上にある。固定枠6は支持枠7の内側に配置される。さらに回転軸26、33の各先端側は、支持枠7の左側支持部7C及び右側支持部7Bに各々設けられた溝部23、31に各々軸支されている。
【0027】
回転軸26における左側支持部7Cと固定枠6との間の部分にはギア29が設けられている。ギア29はギア28と噛合する。図3に示すように、ギア29には軸中心を囲むように下方に湾曲する円弧状のガイド穴29Aが設けられている。ガイド穴29Aには、左側支持部7Cの内面に設けられたガイド軸32が挿入されている。ガイド軸32はギア29の回動範囲を制限する。例えば、ガイド軸32がガイド穴29Aの前側の端部30に接触した状態で、ギア29の回動は制限される。
【0028】
次に、カメラ8について説明する。カメラ8は固定枠6の内側に固定される。カメラ8が固定枠6に固定された状態では、レンズ9は固定枠6の前方を向くようになっている。
【0029】
次に、カメラ8のパン方向の回転動作について説明する。パンモータ12が回転すると駆動軸12Aが回転する。駆動軸12Aが回転すると、無端ベルト14により回転台座4が回転する。回転台座4が回転すると、回転台座4の上面に固定された支持枠7が回転する。支持枠7の内側に支持されている固定枠6がパン方向に回転する。固定枠6がパン方向に回転することにより、カメラ8がパン方向に回転する。カメラ8のパン角度は、パンモータ12の駆動軸12Aの回転角度に対応している。テレビ会議端末2は、駆動軸12Aの回転角度を制御することにより、カメラ8のパン角度を制御する。
【0030】
次に、カメラ8のチルト方向の回転動作について説明する。チルトモータ25が回転すると駆動軸25Aが回転する。駆動軸25Aが回転するとギア28が回転する。ギア28が回転するとギア29が回転する。ギア29が回転すると回転軸26が回転する。回転軸26が回転すると固定枠6がチルト方向に回転する。固定枠6がチルト方向に回転することにより、カメラ8がチルト方向に回転する。ギア29にはガイド穴29Aが設けられており、ガイド穴29Aには左側支持部7Cの内面に設けられたガイド軸32が挿入されている。これによりカメラ8のチルト角度が制限される。
【0031】
次に、図4を参照して、カメラ装置1の電気的構成について説明する。カメラ装置1は、CPU51、カメラセンサ52、信号処理部53、画像圧縮部54、USBコントローラ55、モータ制御部56、タイマ65、リモコン受信部57、ROM58A、RAM58B、フラッシュROM58C、電源制御部59、ズームモータ61、オートフォーカスモータ(以下、「AFモータ」という。)62、パンモータ12、及びチルトモータ25等を備えている。CPU51は、カメラ装置1の動作を制御する。カメラセンサ52、信号処理部53、画像圧縮部54、USBコントローラ55、モータ制御部56、タイマ65、リモコン受信部57、ROM58A、RAM58B、フラッシュROM58C、及び電源制御部59は、CPU51に電気的に接続されている。
【0032】
カメラセンサ52はカメラ8に搭載されている。カメラセンサ52はカメラ8に格納されたレンズ群(図示略)を通して被写体を撮像し、画像信号を生成する。信号処理部53はカメラセンサ52から出力された画像信号を処理して画像データに変換する。画像圧縮部54は、信号処理部で生成した画像データを圧縮する。USBコントローラ55は外部装置に接続する為のインタフェイスである。本実施形態の外部装置はテレビ会議端末2である。画像データはUSBコントローラ55からテレビ会議端末2を介して他拠点のテレビ会議端末2Aに送信される。
【0033】
モータ制御部56には、ズームモータ61、AFモータ62、パンモータ12、及びチルトモータ25が各々接続されている。モータ制御部56は各種モータの駆動を各々制御する。ズームモータ61は、レンズ群(図示略)中のズームレンズ(図示略)を移動させて、カメラ8により撮像される画像の拡大(ズームイン)・縮小(ズームアウト)を行う為のモータである。AFモータ62は、レンズ群(図示略)の中のフォーカスレンズ(図示略)を移動させて、焦点距離を調整する為のモータである。パンモータ12及びチルトモータ25は上述の通りである。
【0034】
タイマ65は、計時装置である。リモコン受信部57は、リモコン63から発信される赤外線信号を受信する。ユーザは、リモコン63を操作してカメラ装置1を操作する。ROM58Aは、カメラ装置1を制御する為の各種プログラムを記憶する。RAM58Bは下記プログラムを実行中に算出される各種演算値等を一時的に記憶する。フラッシュROM58Cは、タイマ記憶領域581、及び位置データ記憶領域582を備えている。タイマ記憶領域581は、タイマ65のカウンタ値を記憶する。位置データ記憶領域582は、カメラ8の位置を示す位置データを記憶する。位置データとは、カメラ8のパン角度、チルト角度、ズーム倍率である。
【0035】
次に、図5を参照して、テレビ会議端末2の電気的構成について説明する。テレビ会議端末2は、CPU81、USB I/F82、ROM83、RAM84、HDD85、及び外部通信I/F86を備えている。USB I/F82、ROM83、RAM84、HDD85、及び外部通信I/F86は、CPU81と電気的に接続されている。CPU81は、テレビ会議端末2の動作を制御する。USB I/F82は、外部の機器と接続する際に使用されるインタフェイスである。例えば、カメラ装置1と接続される。また、テレビ会議端末2は、USB I/F82を介して接続された外部の機器が駆動可能となるように電力を供給することができる。ROM83は、カメラ装置1を制御する為の各種プログラムを記憶する。RAM84は、下記プログラムを実行中に算出される各種演算値等を一時的に記憶する。HDD85は、プログラム記憶領域851、位置データ記憶領域852及び、画像データ記憶領域853を備えている。プログラム記憶領域851は、例えば、CPU81がカメラ装置1を制御するためのプログラムを記憶する。位置データ記憶領域852は、例えば、カメラ装置1から受信した、位置データを記憶する。画像データ記憶領域853は、例えば、カメラ装置1から受信した画像データを記憶する。外部通信I/F86は、通信機能を有する機器とネットワークを介して接続するためのインタフェイスである。例えば、テレビ会議端末2は、外部通信I/F86を介して他拠点のテレビ会議端末2Aと接続することができる。
【0036】
次に、図6を参照して、カメラ装置1のCPU51によって実行される接続時動作処理について説明する。本処理は、カメラ装置1がテレビ会議端末2に接続された時、例えば、USBコネクタ18(図1参照)がUSB端子17(図1参照)に挿入された時、カメラ装置1において実行される処理である。カメラ装置1がテレビ会議端末2に接続されると、テレビ会議端末2からカメラ装置1に対して、USBケーブル20を介して電力の供給が開始される。これによってカメラ装置1は駆動し、CPU51は接続時動作処理を開始する。テレビ会議端末2は、カメラ装置1によって撮影された動画像のデータを取得し、他拠点にあるテレビ会議端末2Aに対してネットワーク87(図5参照)を介して送信する。またテレビ会議端末2は、テレビ会議端末2Aから送信された動画像のデータを、ネットワーク87を介して受信し、図示外の表示部に表示する。このようにして、テレビ会議端末2とテレビ会議端末2Aとの間でテレビ会議が開始される。
【0037】
電力の供給が開始されて接続時動作処理が開始されると、はじめに、テレビ会議端末2から送信された送信要求の信号が、USBケーブル20を介して受信される(S1)。送信要求の信号は、カメラ装置1において撮影された動画像のデータを要求するために、テレビ会議端末2からカメラ装置1に対して送信される信号である(S21(図7参照)、後述)。以下、カメラ装置1において撮影された動画像のデータを、「画像データ」という。送信要求の信号が受信された場合、要求に応じ、テレビ会議端末2に対する画像データの送信が開始される(S2)。以降、カメラ装置1において撮影された動画像のデータは、画像データとしてテレビ会議端末2に継続的に送信される。
【0038】
画像データの送信を開始してからの経過時間を監視するために、フラッシュROM58Cのタイマ記憶領域581に記憶されているカウンタ値がリセットされる。次いで、タイマ65に基づき所定周期でカウンタ値を更新する処理が開始される(S3)。カウンタ値を参照することによって、画像データの送信を開始してからの経過時間が特定される。
【0039】
次いで、テレビ会議端末2から送信された位置データを受信したか否か判断される(S4)。位置データは、カメラ8の位置を示すデータである。位置データの一例として、パン角度30度、チルト角度−15度、ズーム6倍などがある。テレビ会議端末2は、後述する原点検出処理(S6参照)がカメラ装置1において実行されることを禁止する場合、カメラ装置1に対して位置データを送信する(S28(図7参照)、後述)。従ってカメラ装置1側では、位置データを受信したか否かを判断することによって、原点検出処理を実行するか否かが判断される。以下詳説する。
【0040】
位置データを受信していないと判断された場合(S4:NO)、S3で更新を開始したカウンタ値を参照することによって、画像データの送信を開始してからの経過時間が判断される(S5)。経過時間が所定の時間未満である場合(S5:NO)、画像データの送信を開始してから所定の時間が経過していないので、位置データの受信を継続して監視するために、処理はS4に戻る。カメラ装置1は、所定の時間が経過するまでは、テレビ会議端末2から位置データを受信するまで待機状態となる。位置データを受信しない状態で所定の時間が経過した場合(S5:YES)、原点検出処理が実行される(S6)。原点検出処理の詳細は以下のとおりである。
【0041】
原点検出処理とは、チルトモータ25(図2参照)、パンモータ12、およびズームモータ61(図4参照)を駆動させる場合の原点回転位置を特定するために実行される処理である。例えばチルトモータ25の場合、ギア29(図3参照)が回転してガイド穴29A(図3参照)の端部30にガイド軸32が接触した状態となった場合のチルトモータ25の回転位置が、原点位置に相当する。なお図3は、カメラ8が正面を向いた状態を示している。チルトモータ25は、原点位置から45度上方向に回転している。以下、この状態におけるチルトモータ25のチルト角度を0度とする。
【0042】
同様に、例えばパンモータ12の場合、回転台座4(図2参照)が、時計回りに回転してパン原点ピン35がパン原点突き当て部5Aに接触した状態となった場合のパンモータ12の回転位置が、原点位置に相当する。パンモータ12が原点位置から175度反時計回りに回転した場合、図1に示すように、カメラ8は正面を向いた状態になる。以下、この状態におけるパンモータ12のパン角度を0度とする。パンモータ12は、0度を基準として、時計回り及び反時計回りに、それぞれ175度ずつ回転することができる。
【0043】
同様に、例えばズームモータ61の場合、レンズ群中のズームレンズが拡大(ズームイン)側に最大限移動した状態、および縮小(ズームアウト)側に最大限移動した状態となった場合のズームモータ61の回転位置が、原点回転位置に相当する。カメラ装置1は、原点回転位置の範囲内でズームモータ61を回転させることによって、所望の倍率で撮影されるように調整することができる。
【0044】
なお原点検出処理は、具体的には次のようにして実行される。はじめに、チルトモータ25は一方向に回転される。このときの回転速度は、ガイド穴29Aの端部30とガイド軸32とが接触するときの騒音を小さくし、且つ、接触時の衝撃によるカメラの故障を防止するために、ゆっくりとした回転速度となる。したがってガイド穴29Aの端部30がガイド軸32に接触するまでには時間がかかる。ガイド穴29Aの端部30にガイド軸32が接触し、チルトモータ25が回転できなくなったとする。CPU51は、ガイド軸32に対するガイド穴29Aの相対位置は分からないため、チルトモータ25の駆動開始から所定時間経過した場合に、ガイド穴29Aの端部30にガイド軸32が接触したことを判断する。所定時間は(原点検出時のゆっくりとした)回転速度で回動範囲を移動した時間にマージンを加えた時間である。この時間は通常5から10秒程度といえる。
【0045】
これによってCPU51は、チルトモータ25の原点位置を特定する。次いでCPU51は、パンモータ12に対して同様の制御を実行することによって、パンモータ12の原点位置を特定する。次いでCPU51は、ズームモータ61に対して同様の制御を実行することによって、ズームモータ61の原点位置を特定する。なお上述の処理は、チルトモータ25、パンモータ12、およびズームモータ61の順で実行されてもよいし、3つのモータに対して同時に実行されてもよい。
【0046】
上述したように、原点検出処理では、チルトモータ25、パンモータ12、およびズームモータ61を片方向に回転させることによって原点回転位置が検出される。チルトモータ25、パンモータ12、およびズームモータ61を原点回転位置まで回転させるために要する時間、並びに、チルトモータ25、パンモータ12、およびズームモータ61の回転が妨げられた状態で回転制御を継続して行う時間が必要となるため、原点回転位置の特定が完了するまでには長い時間を要することになる。
【0047】
原点検出処理が完了すると、カメラ8が水平方向、且つ正面方向を向くように、チルトモータ25およびパンモータ12が回転される。また、所定の倍率で撮影が可能なように、ズームモータ61が回転される。以下、カメラ8が水平方向および正面方向を向き、且つ所定の倍率で撮影することが可能な状態を、ホームポジションという。ホームポジションにおけるカメラ8の位置を示す位置データが、位置データ記憶領域582に記憶される(S7)。処理はS9に進む。
【0048】
なおカメラ装置1は、原点検出処理が実行され、位置データ記憶領域582に位置データが記憶されることによって、チルトモータ25、パンモータ12、およびズームモータ61を回転駆動させる場合に基準となる回転位置が特定されるので、カメラ8を所望する方向に向けることが可能な状態になる。カメラ装置1への電源供給が開始された直後の状態では、位置データと実際のカメラ8の状態とが一致しているかが不明であるため、CPU51はカメラ8の位置を認識することができないためである。カメラ装置1への電源供給が停止している状態でカメラ8の方向が強制的に変更された場合、電源供給直後に位置データ記憶領域582に記憶されている位置データは、実際のカメラ8の位置と異なる場合もある。従ってテレビ会議端末2から位置データが受信されない場合、上述のようにカメラ装置1は、原点検出処理を実行することによってホームポジションを特定し、カメラ8を制御可能な状態にする。
【0049】
一方、テレビ会議端末2から位置データを受信したと判断された場合(S4:YES)、受信された位置データは、位置データ記憶領域582に記憶される(S8)。詳細は後述するが、テレビ会議端末2は、原点検出処理(S6)の実行を禁止していることになる。またテレビ会議端末2から送信された位置データは、カメラ装置1がテレビ会議端末2から切断される直前のカメラ8の位置を示している。さらにテレビ会議端末2は、カメラ装置1の切断によってカメラ装置1への電源供給が一旦停止された場合の停止直前のカメラ8の位置と、カメラ装置1が再接続されて電源供給が再開された直後のカメラ8の位置とが、ほぼ同一であると判断している(図7参照)。従って、位置データ記憶領域582に記憶された位置データによって特定されるカメラ8の位置と、実際のカメラ8の位置とは一致していることになる。CPU51は、位置データ記憶領域582に記憶された位置データを参照することにより、現時点におけるカメラ8の位置を正確に認識し、所望の方向にカメラ8を向けることが可能な状態になる。また、原点検出処理を省略することによって、カメラ装置1が起動してからカメラ8を制御可能とするまでに要する時間を大幅に短縮することができる。
【0050】
次いで、カメラ8のパン角度、チルト角度、ズーム倍率のうち少なくともいずれかを操作する操作指示の信号を受信したか否か判断される(S9)。操作指示は、ユーザによるリモコン63への操作に基づきリモコン63から送信され、リモコン受信部57において受信される。また操作指示は、テレビ会議端末2からUSBケーブル20を介して受信される。操作指示の信号を受信したと判断された場合(S9:YES)、受信した操作指示に基づいてカメラ8が移動される(S10)。例えばCPU51は、位置データ記憶領域582に記憶された位置データに基づき、操作指示に対応したパン角度までパンモータ12を回転させる。チルト角度、ズーム倍率の操作指示が受信された場合も同様の方法で、チルトモータ25、ズームモータ61を回転させる。これによってカメラ8は、リモコン63またはテレビ会議端末2からの操作指示に応じた方向を向き、操作指示に応じた倍率で撮影することが可能な状態になる。この状態でのカメラ8のパン角度、チルト角度、ズーム倍率を示す位置データが、テレビ会議端末2へ送信される(S11)。テレビ会議端末2側では、カメラ装置1から位置データを受信することによって、現時点でのカメラ8の位置を把握することができる。操作指示の信号の受信を継続して監視するために、処理はS9に戻る。一方、操作指示の信号を受信していないと判断された場合(S9:NO)、処理はS9に戻る。
【0051】
次に、図7を参照して、テレビ会議端末2のCPU81によって実行される端末側制御処理について説明する。本処理は、テレビ会議端末2の電源がONされた場合に、テレビ会議端末2において実行される処理である。まず、USBケーブル20を介してカメラ装置1と接続したか否か判断される(S20)。カメラ装置1と接続されていないと判断された場合(S20:NO)、カメラ装置1との接続を継続して監視するために、処理はS20に戻る。一方、カメラ装置1と接続されたと判断された場合(S20:YES)、画像データの送信を要求する送信要求の信号が、カメラ装置1に対して送信される(S21)。なおカメラ装置1は、テレビ会議端末2から送信された送信要求の信号を受信した場合(S1、図6参照)、該信号に応じ、テレビ会議端末2に対する画像データの送信を開始する(S2、図6参照)。CPU81は、カメラ装置1から送信された画像データの受信を開始する(S22)。
【0052】
画像データ記憶領域853から遮断直前静止画データを取得することが可能か否か判断される(S23)。遮断直前静止画データは、類似度を算出するために必要なデータである。遮断直前静止画データは、画像データ記憶領域853から読み出された静止画のデータである。該静止画のデータは、画像データによって特定される動画像から切り出され(S30参照、後述)、画像データ記憶領域853に記憶されている(S31参照、後述)。詳細は後述する。
【0053】
画像データ記憶領域853に静止画のデータが記憶されており、遮断直前静止画データとして読み出すことが可能であると判断されたとする(S23:YES)。読み出された遮断直前静止画データは、RAM84に一時的に記憶される。受信された画像データから、静止画のデータが1コマ分切り出される(S24)。以下、切り出された静止画のデータを、現在静止画データという。現在静止画データは、遮断直前静止画データの代わりに画像データ記憶領域853に記憶される(S25)。次いで、画像データ記憶領域853に記憶された現在静止画データと、RAM84に記憶した遮断直前静止画データとに基づいて、類似度を算出するための処理(類似度算出処理、図9参照)が実行される(S26)。
【0054】
次に、図9を参照して、類似度算出処理について説明する。本処理は、現在静止画データと、遮断直前静止画データとに基づいて、類似度を算出する処理である。はじめに、現在静止画データと遮断直前静止画データとから、人体に対応する部分のデータである人体画像データが検出される(S41)。次いで、S41で検出された人体画像データに基づき、現在静止画データと遮断直前静止画データとのうち人体以外の領域にある物体の輪郭を示すデータである輪郭データが抽出される(S42)。抽出された輪郭データに基づいて、類似度が算出される(S43)。類似度算出処理は終了し、処理は端末側制御処理(図7参照)に戻る。
【0055】
なお、類似度は、周知のパターンマッチング法やテンプレートマッチング法により算出される。例えば、類似度0の場合、比較した二つのデータは、類似点がなく、似ていない画像データということになる。また、類似度が100の場合、比較した二つのデータは、類似点が多く、似ているデータということになる。このように、算出された類似度が大きいほど、比較した二つのデータどうしが、似ているということになる。なお上述において、人体画像データではなく輪郭データに基づいて類似度を算出する理由は、人体画像データと比較して輪郭データの方が移動の頻度や量が小さく、比較に適しているためである。
【0056】
図7に示すように、類似度算出処理(S26)の終了後、算出された類似度が閾値(例えば75)以上か否かが判断される(S27)。算出された類似度が閾値以上と判断された場合(S27:YES)、CPU81は、現在静止画データと遮断直前静止画データとが類似しており、カメラ装置1がテレビ会議端末2に接続される直前と直後で、カメラ8の位置が変化していないと判断する。この場合、カメラ装置1がテレビ会議端末2に接続される直前にカメラ装置1から取得して(S32、後述)位置データ記憶領域852(図5参照)に記憶した(S33、後述)位置データは、カメラ装置1がテレビ会議端末2に再接続された直後のカメラ8の位置を示していることになる。位置データ記憶領域852に記憶されている位置データは、USBケーブル20を介してカメラ装置1へ送信される(S28)。処理はS29に進む。
【0057】
なお、位置データを受信したカメラ装置1では(S4、図6参照)、受信した位置データを、カメラ8の位置を示す位置データとして、位置データ記憶領域582に記憶する(S8、図6参照)。カメラ装置1では、位置データ記憶領域582に記憶された位置データに基づきカメラ8の位置を把握することによって、原点検出処理(S6、図6参照を)を行うことなく、操作指示に応じてカメラ8を駆動することができるようになる(S9〜S11、図6参照)。
【0058】
一方、S26で算出された類似度が閾値よりも低いと判断された場合(S27:NO)、CPU81は、現在静止画データと遮断直前静止画データが類似していないと判断する。この場合、カメラ装置1がテレビ会議端末2から切断される直前と、再接続された直後とで、カメラ装置1におけるカメラ8の方向が変更されている可能性がある。従ってCPU81は、カメラ装置1に原点検出処理(S6、図6参照)を実行させることによって、カメラ8がホームポジションの位置にある場合の位置データを特定させる必要がある。なおカメラ装置1では、位置データを所定時間以上受信できない場合(S5:YES、図6参照)に原点検出処理が実行される(S6、図6参照)ので、CPU81は、カメラ装置1に対して位置データを送信することなく、処理はS29へ進む。
【0059】
カメラ装置1から継続して送信されている画像データから静止画のデータを取得するタイミングであるか否か判断される(S29)。CPU81は、所定の周期(例えば、100ミリ秒)で静止画のデータを画像データから取得するのが好ましい。これによって例えば、操作指示の信号に基づいてカメラ装置1におけるカメラ8の方向が変化した場合であっても、画像データを取得する周期は十分短いので、テレビ会議端末2はカメラ8の位置を示す位置データを正確に認識することができる。
【0060】
画像データから静止画のデータを取得するタイミングであると判断された場合(S29:YES)、カメラ装置1から受信している画像データから、静止画のデータが一コマ分切り出される(S30)。切り出された静止画のデータは、画像データ記憶領域853に記憶される(S31)。なお、画像データ記憶領域853に記憶された静止画のデータは、S23において遮断直前静止画データとして読み出され、RAM84に記憶されることになる。次いで、カメラ8が移動したタイミングでカメラ装置1から送信される位置データ(S11、図6参照)が受信される(S32)。受信された位置データは、位置データ記憶領域852に記憶される(S33)。これによってテレビ会議端末2は、カメラ装置1のカメラ8の位置を正確に把握することができる。処理はS34(図8参照)へ進む。一方、S29において、静止画のデータを取得するタイミングではないと判断された場合(S29:NO)、処理はS34(図8参照)に進む。
【0061】
図8に示すように、テレビ会議端末2の入力部(図示外)を介して、カメラ装置1のカメラ8を移動させる指示が入力されたかが判断される(S34)。カメラ8を移動させる指示が入力されたと判断された場合(S34:YES)、操作指示の信号がUSBケーブル20を介してカメラ装置1に対して送信される(S35)。なお操作指示として、S33で位置データ記憶領域852に記憶された位置データに基づき、カメラ8のパン角度、チルト角度、ズーム倍率のうち少なくともいずれかが特定される。このようにテレビ会議端末2は、カメラ8の状態を位置データによって把握しているので、カメラ8のパン角度、チルト角度、ズーム倍率を適切に特定し、操作指示としてカメラ装置1に送信することができる。処理はS36に進む。一方、カメラ8を移動させる指示が入力されていないと判断された場合(S34:NO)、処理はS36に進む。
【0062】
USBコネクタ18(図1参照)がUSB端子17(図1参照)に接続した状態であるか否かを判断することによって、カメラ装置1との接続が解除されたか否か判断される(S36)。カメラ装置1との接続が解除されていないと判断された場合(S36:NO)、カメラ装置1から送信される画像データから静止画のデータを継続して切り出し、且つ、カメラ装置1から送信される位置データを継続して受信するために、処理はS29(図7参照)に戻る。一方、カメラ装置1との接続が解除されたと判断された場合(S34:YES)、カメラ装置1と新たに接続されたか否かを継続して監視するために、処理はS20(図7参照)に戻る。
【0063】
なお、以上説明において、図1のカメラシステム100が、本発明の「カメラシステム」の一例である。カメラ装置1が、本発明の「カメラ装置」の一例である。テレビ会議端末2が、本発明の「制御装置」の一例である。図4のカメラセンサ52が、本発明の「撮像手段」の一例である。電源制御部59が、本発明の「電力取得手段」の一例である。図6のS2の処理を実行するCPU51が、本発明の「画像送信手段」の一例である。S6の処理を実行するCPU51が、本発明の「原点検出処理実行手段」の一例である。S11の処理を実行するCPU51が、本発明の「位置情報送信手段」の一例である。S4、S7の処理を実行するCPU51が、本発明の「中止実行手段」の一例である。図7のS22の処理を実行するCPU81が、本発明の「画像情報受信手段」の一例である。S32の処理を実行するCPU81が、本発明の「位置情報受信手段」の一例である。S31の処理を実行するCPU81が、本発明の「装置側画像記憶制御手段」の一例である。S33の処理を実行するCPU81が、本発明の「位置情報記憶制御手段」の一例である。S20の処理を実行するCPU81が、本発明の「接続判断手段」の一例である。S26の処理を実行するCPU81が、本発明の「類似度算出手段」の一例である。S28の処理を実行するCPU81が、本発明の「中止指示情報送信手段」の一例である。図9のS41を実行するCPU81が、本発明の「人体画像情報検出手段」の一例である。S42を実行するCPU81が、本発明の「輪郭情報抽出手段」の一例である。図4のズームモータ61が、本発明の「ズーム調節機構」の一例である。
【0064】
以上説明したように、本実施形態のカメラシステム100では、ユーザの意に反して、カメラ装置1とテレビ会議端末2との接続が解除され、再度接続された場合に、テレビ会議端末2は、カメラ装置1とテレビ会議端末2の接続直後にカメラ装置1により撮像された現在静止画データと、テレビ会議端末2に記憶されている遮断直前静止画データとに基づいて、類似度を算出する。テレビ会議端末2は、算出された類似度が閾値よりも小さい場合、現在静止画データと遮断直前静止画データは類似していないとして、カメラ装置1の撮像方向が変化したと判断し、カメラ装置1に位置データを送信しない。このため、カメラ装置1は、通常の電源のオンの時に実行する原点検出処理を実行し、位置データを認識できる。一方、テレビ会議端末2により算出された類似度が、閾値以上である場合、現在静止画データと遮断直前静止画データは類似しているとして、カメラ装置1の撮像方向が変化していないと判断し、遮断直前静止画データに対応する位置データをカメラ装置1に送信する。これにより、カメラ装置1は、位置データを認識でき、通常の電源のオンの時に実行する原点検出処理を省略することができる。また、会議の中断時間を短くすることができる。
【0065】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えばカメラ装置1が継続して使用されている場合において、テレビ会議端末2が別のテレビ会議端末2に接続された場合を想定する。このような場合、テレビ会議端末2の画像データ記憶領域853に静止画のデータが記憶されていないことになるので(S23:NO、図7参照)、テレビ会議端末2は類似度を算出するための遮断直前静止画データを取得することができない。従ってテレビ会議端末2は、カメラ装置1に対して位置データを送信しない。この結果、カメラ装置1のカメラ8が移動していない場合でも、カメラ装置1は原点検出処理(S6、図6参照)を行うことになり、カメラ8による撮影が可能となるまでに時間を要してしまう。これに対して、テレビ会議端末2で類似度を算出するために使用する遮断直前静止画データを、カメラ装置1側で記憶してもよい。カメラ装置1は、記憶した遮断直前静止画データを、テレビ会議端末2に送信してもよい。テレビ会議端末2では、カメラ装置1から受信した遮断直前静止画データを、類似度算出処理において利用してもよい。
【0066】
まず、図10を参照して、変形例1の電気的構成について説明する。カメラ装置1は、フラッシュROM58Cに画像データ記憶領域583を備えている。テレビ会議端末2の画像データ記憶領域853に静止画像のデータが記憶されていない場合、カメラ装置1は、フラッシュROM58Cに記憶されている静止画像のデータを、遮断直前静止画データとしてテレビ会議端末2に送信する。なお、他の構成は図4に示す実施形態と同じであるので説明を省略する。
【0067】
次に、図11を参照して、変形例1の接続時動作処理の説明をする。本処理は、S51、S52、およびS53が追加されているという点で、図6に示す接続時動作処理と異なる。他の処理は、図6に示す接続時動作処理と同一であるので、図6と同一の符号を付し、説明を省略している。本処理が開始されると、テレビ会議端末2から送信された遮断直前静止画データの送信要求の信号を、USBケーブル20を介して受信したか否か判断される(S51)。遮断直前静止画データの送信要求の信号を受信したと判断された場合(S51:YES)、フラッシュROM58Cの画像データ記憶領域583に記憶されている静止画のデータが、遮断直前静止画データとしてテレビ会議端末2へ送信される(S52)。なお画像データ記憶領域583には、操作指示に応じてカメラ8を移動させ(S10)、テレビ会議端末2に位置データが送信された(S11)後、画像データから静止画のデータが1コマ分切り出され、記憶される(S53)。これによって画像データ記憶領域583には、テレビ会議端末2との間が切断された場合における切断直前のカメラ8によって撮影された静止画のデータが記憶されることになる。処理はS1へ進む。一方、遮断直前静止画データの送信要求の信号を受信していないと判断された場合(S51:NO)、処理はS1へ進む。S2〜S12の処理については省略する。
【0068】
次に、図12を参照して、変形例1の端末側制御処理について説明する。本処理は、遮断直前静止画データ受信処理(S50)が追加されているという点で、図7に示す端末側制御処理とは異なる。他の処理は、図7に示す接続時動作処理と同一であるので、図7と同一の符号を付し、説明を省略する。S23において、画像データ記憶領域853に静止画のデータが記憶されておらず、類似度を算出するための遮断直前静止画データを取得することができない場合(S23:NO)、カメラ装置1から送信される遮断直前静止画データを受信するための処理(遮断直前静止画データ受信処理、図13参照)が実行される(S50)。
【0069】
次に、図13を参照して、遮断直前静止画データ受信処理について説明する。まず、遮断直前静止画データの送信を要求するために、遮断直前静止画データの送信要求の信号が、USBケーブル20を介してカメラ装置1に対して送信される(S61)。送信要求の信号に応じ、カメラ装置1から遮断直前静止画データが送信される(S52、図11参照)。CPU81は、遮断直前静止画データを受信する(S62)。受信した遮断直前静止画データは、類似度算出処理(S26、図12参照)において画像データ記憶領域853に記憶された静止画のデータと比較するために、RAM58Bに記憶される(S63)。遮断直前静止画データ受信処理は終了し、処理は端末側制御処理(図12参照)に戻る。S24〜S33の処理については省略する。
【0070】
以上説明したように、変形例1のカメラシステム100において、カメラ装置1は、フラッシュROM58Cに画像データ記憶領域583を備えており、静止画のデータを遮断直前静止画データとして記憶することができる。カメラ装置1に接続されたテレビ会議端末2に遮断直前静止画データが記憶されていない場合、カメラ装置1は、画像データ記憶領域583に記憶されている静止画のデータを遮断直前静止画データとしてテレビ会議端末2に送信することができる。これにより、テレビ会議端末2において、遮断直前静止画データを記憶していない場合でも、類似度を算出し、カメラ装置1の撮像方向が変化したか否かを判断することができる。
【0071】
なお、上記説明において、図13のS61を実行するCPU81が、本発明の「送信要求手段」の一例である。図10の画像データ記憶領域583が、本発明の「カメラ側画像記憶手段」の一例である。図11のS52を実行するCPU51が、本発明の「要求画像送信手段」の一例である。図13のS23を実行するCPU81が、本発明の「記憶判断手段」の一例である。
【0072】
なお上述の実施形態および変形例において、類似度算出処理(S26、図7、11参照)において算出される類似度が、閾値以上の場合、テレビ会議端末2は、カメラ装置1に最新画像データに対応した位置データを送信する。例えば、カメラ装置1に、位置データではなく、撮像方向は変化しないという意味を含む情報を送信してもよい。
【0073】
また、類似度算出処理において算出される類似度が閾値以上の場合、テレビ会議端末2は、カメラ装置1に最新画像データに対応した位置データを送信する。例えば、カメラ装置1に、位置データではなく、原点検出処理の実行を中止するという意味を含む情報を送信してもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 カメラ装置
2 テレビ会議端末
51 CPU
52 カメラセンサ
59 電源制御部
81 CPU
100 カメラシステム
583 画像データ記憶領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像する撮像手段をパン方向及びチルト方向に移動可能に支持するカメラ装置と、前記カメラ装置と給電可能に接続され、前記カメラ装置の動作を制御する制御装置とを備えたカメラシステムにおいて、
前記カメラ装置は、
前記カメラ装置を駆動する為の電力を前記制御装置から取得する電力取得手段と、
前記撮像手段により撮像された画像情報を前記制御装置に送信する画像送信手段と、
前記電力取得手段による電力取得が開始された場合、前記撮像手段のパン方向における原点と、チルト方向における原点とを各々検出する原点検出処理を実行する原点検出処理実行手段と、
前記原点検出処理実行手段によって前記原点検出処理が実行された後、前記原点に基づいて特定される方向を基準として移動する前記撮像手段のパン方向及びチルト方向の位置情報を前記制御装置に送信する位置情報送信手段と、
前記制御装置から送信され、前記原点検出処理実行手段による前記原点検出処理の実行の中止を指示する情報である中止指示情報を受信した場合、前記原点検出処理実行手段による前記原点検出処理を中止する中止実行手段と
を備え、
前記制御装置は、
前記画像送信手段によって送信された前記画像情報を受信する画像情報受信手段と、
前記位置情報送信手段によって送信された前記位置情報を受信する位置情報受信手段と、
前記画像情報受信手段によって受信された前記画像情報を装置側画像記憶手段に読み出し可能に記憶する装置側画像記憶制御手段と、
前記位置情報受信手段によって受信された前記位置情報を位置情報記憶手段に読み出し可能に記憶する位置情報記憶制御手段と、
前記制御装置に前記カメラ装置が接続したか否かを判断する接続判断手段と、
前記接続判断手段によって前記制御装置に前記カメラ装置が接続されたと判断した場合、前記画像情報受信手段によって新たに取得された画像情報と、前記装置側画像記憶手段に記憶されている画像情報との類似の度合を示す類似度を算出する類似度算出手段と、
前記類似度算出手段によって算出された前記類似度が閾値以上である場合、前記中止指示情報を前記カメラ装置に送信する中止指示情報送信手段と
を備えたことを特徴とするカメラシステム。
【請求項2】
前記類似度算出手段は、前記画像情報から人体の画像の情報である人体画像情報を検出する人体画像情報検出手段を備え、
前記画像情報から前記人体画像情報検出手段によって検出された前記人体画像情報を除いた前記画像情報に基づき、前記類似度を算出することを特徴とする請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項3】
前記類似度算出手段は、前記画像情報から前記人体画像情報検出手段によって検出された前記人体画像情報を除いた前記画像情報において、物体の輪郭形状の情報である輪郭情報を抽出する輪郭情報抽出手段を備え、
前記画像情報から前記輪郭情報抽出手段によって抽出された前記輪郭情報に基づき、前記類似度を算出することを特徴とする請求項2に記載のカメラシステム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記接続判断手段によって前記制御装置に前記カメラ装置が接続されたと判断した場合、前記カメラ装置に前記画像情報の送信を要求する送信要求手段を備え、
前記カメラ装置は、
前記電力取得手段による電力取得が遮断される直前に前記撮像手段によって撮像された画像情報である遮断直前画像情報と、前記電力取得手段によって電力取得が開始された時に前記撮像手段によって撮像された現在画像情報とを記憶するカメラ側画像記憶手段と、
前記送信要求手段によって前記画像情報の送信要求があった場合に、前記カメラ側画像記憶手段に記憶された前記遮断直前画像情報と前記現在画像情報とを前記制御装置に送信する要求画像送信手段と
を備えたことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のカメラシステム。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記装置側記憶手段に前記画像情報が記憶されているか否かを判断する記憶判断手段を備え、
前記類似度算出手段は、
前記記憶判断手段によって前記装置側記憶手段に前記画像情報が記憶されていないと判断した場合、前記要求画像送信手段によって送信された前記遮断直前画像情報と前記現在画像情報とに基づき、前記類似度を算出することを特徴とする請求項4に記載のカメラシステム。
【請求項6】
前記カメラ装置は、前記撮像手段のズームを調節するズーム調節機構を備え、
前記原点検出処理は、前記撮像手段のパン方向における原点の位置と、チルト方向における原点の位置と、前記ズーム調節機構における原点の位置とを検出する処理であって、
前記位置情報送信手段は、
前記原点検出処理実行手段によって前記原点検出処理が実行された前記撮像手段のパン方向及びチルト方向の前記位置情報に加え、前記ズーム調節機構の位置情報を送信することを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のカメラシステム。
【請求項7】
被写体を撮像する撮像手段をパン方向及びチルト方向に移動可能に支持し、制御装置と給電可能に接続されることにより、前記制御装置によって動作を制御されるカメラ装置であって、
前記カメラ装置を駆動する為の電力を前記制御装置から取得する電力取得手段と、
前記撮像手段により撮像された画像情報を、前記制御装置に送信する画像送信手段と、
前記電力取得手段による電力取得が開始された場合、前記撮像手段のパン方向における原点と、チルト方向における原点とを各々検出する原点検出処理を実行する原点検出処理実行手段と、
前記原点検出処理実行手段によって前記原点検出処理が実行された後、前記原点に基づいて特定される方向を基準として移動する前記撮像手段のパン方向及びチルト方向の位置情報を前記制御装置に送信する位置情報送信手段と、
前記電力取得手段による電力取得が遮断される直前に前記撮像手段によって撮像された画像情報である遮断直前画像情報と、前記電力取得手段によって電力取得が開始された時に前記撮像手段によって撮像された現在画像情報とを読み出し可能に記憶するカメラ側画像記憶手段と、
前記制御装置から前記画像情報の送信要求があった場合に、前記カメラ側画像記憶手段に記憶された前記遮断直前画像情報と前記現在画像情報とを前記制御装置に送信する要求画像送信手段と、
前記遮断直前画像情報と前記現在画像情報とに基づいて算出される類似の度合を示す類似度が閾値以上の場合に前記制御装置から送信される前記原点検出処理の実行の中止を指示する情報である中止指示情報を受信する中止指示情報受信手段と、
前記中止指示情報受信手段によって前記中止指示情報が受信された場合、前記原点検出処理実行手段による前記原点検出処理を中止する中止実行手段と
を備えたことを特徴とするカメラ装置。
【請求項8】
被写体を撮像する撮像手段をパン方向及びチルト方向に移動可能に支持するカメラ装置と、前記カメラ装置と給電可能に接続され、前記カメラ装置の動作を制御する制御装置とを備えたカメラシステムによって行われるカメラシステムの制御方法であって、
前記カメラ装置によって行われるカメラ側工程と、
前記制御装置によって行われる装置側工程と
を備え、
前記カメラ側工程は、
電力取得手段によって電力を前記制御装置から取得する電力取得工程と、
前記撮像手段により撮像された画像情報を前記制御装置に送信する画像送信工程と、
前記撮像手段のパン方向における原点と、チルト方向における原点とを各々検出する原点検出処理を実行する原点検出処理実行工程と、
前記原点検出処理実行工程において前記原点検出処理が実行された後、前記原点に基づいて特定される方向を基準として移動する前記撮像手段のパン方向及びチルト方向の位置情報を前記カメラ装置に送信する位置情報送信工程と、
前記制御装置から送信され、前記原点検出処理実行工程における前記原点検出処理の実行の中止を指示する情報である中止指示情報を受信した場合、前記原点検出処理実行工程における前記原点検出処理を中止する中止実行工程と
を備え、
前記装置側工程は、
前記画像送信工程において送信された前記画像情報を受信する画像情報受信工程と、
前記位置情報送信工程において送信された前記位置情報を受信する位置情報受信工程と、
前記画像情報受信工程において受信された前記画像情報を装置側画像記憶手段に読み出し可能に記憶する装置側画像記憶制御工程と、
前記位置情報受信工程において受信された前記位置情報を位置情報記憶手段に読み出し可能に記憶する位置情報記憶制御工程と、
前記制御装置に前記カメラ装置が接続したか否かを判断する接続判断工程と、
前記接続判断工程において前記制御装置に前記カメラ装置が接続されたと判断した場合、前記画像情報受信工程において新たに取得された画像情報と、前記装置側画像記憶手段に記憶されている画像情報との類似の度合を示す類似度を算出する類似度算出工程と、
前記類似度算出工程において算出された前記類似度が閾値以上である場合、前記中止指示情報を前記カメラ装置に送信する中止指示送信工程と、
を備えたことを特徴とするカメラシステムの制御方法。
【請求項9】
被写体を撮像する撮像手段をパン方向及びチルト方向に移動可能に支持するカメラ装置と給電可能に接続され、前記カメラ装置の動作を制御する制御装置を機能させる制御装置の制御プログラムであって、
コンピュータに、
前記カメラ装置から送信され、前記撮像手段により撮像された画像情報を受信する画像情報受信ステップと、
前記カメラ装置から送信され、前記撮像手段のパン方向における原点と、チルト方向における原点とを各々検出する原点検出処理が実行された前記撮像手段のパン方向及びチルト方向の位置情報を受信する位置情報受信ステップと、
前記画像情報受信ステップにおいて受信された前記画像情報を装置側画像記憶手段に読み出し可能に記憶する装置側画像記憶制御ステップと、
前記位置情報受信ステップにおいて受信された前記位置情報を位置情報記憶手段に読み出し可能に記憶する位置情報記憶制御ステップと、
前記制御装置に前記カメラ装置が接続したか否かを判断する接続判断ステップと、
前記接続判断ステップにおいて前記制御装置に前記カメラ装置が接続されたと判断した場合、前記画像情報受信ステップにおいて新たに取得された画像情報と、前記装置側画像記憶手段に記憶されている画像情報との類似の度合を示す類似度を算出する類似度算出ステップと、
前記類似度算出ステップにおいて算出された前記類似度が閾値以上である場合、前記カメラ装置における前記原点検出処理の実行の中止を指示する情報である中止指示情報を前記カメラ装置に送信する中止指示情報送信ステップと
を実行させる制御装置の制御プログラム。
【請求項10】
被写体を撮像する撮像手段をパン方向及びチルト方向に移動可能に支持し、制御装置と給電可能に接続されることにより、前記制御装置によって動作を制御されるカメラ装置を機能させるカメラ装置の制御のプログラムであって、
コンピュータに、
前記カメラ装置を駆動する為の電力を前記制御装置から取得する電力取得ステップと、
前記撮像手段により撮像された画像情報を、前記制御装置に送信する画像送信ステップと、
前記電力取得ステップにおける電力取得が開始された場合、前記撮像手段のパン方向における原点と、チルト方向における原点とを各々検出する原点検出処理を実行する原点検出処理実行ステップと、
前記原点検出処理実行ステップにおける前記原点検出処理が実行された後、前記原点に基づいて特定される方向を基準として移動する前記撮像手段のパン方向及びチルト方向の位置情報を前記制御装置に送信する位置情報送信ステップと、
前記制御装置から前記画像情報の送信要求があった場合に、前記電力取得ステップおけるによる電力取得が遮断される直前に前記撮像手段によって撮像された画像情報である遮断直前画像情報と、前記電力取得ステップにおいて電力取得が開始された時に前記撮像手段によって撮像された現在画像情報とを読み出し可能に記憶したカメラ側画像記憶手段に記憶された前記遮断直前画像情報と前記現在画像情報とを前記制御装置に送信する要求画像送信ステップと、
前記遮断直前画像情報と前記現在画像情報とに基づいて算出される類似の度合を示す類似度が閾値以上の場合に前記制御装置から送信される前記原点検出処理の実行の中止を指示する情報である中止指示情報を受信する中止指示情報受信ステップと、
前記中止指示情報受信ステップにおいて前記中止指示情報が受信された場合、前記原点検出処理実行手段による前記原点検出処理を中止する中止実行ステップと
を実行させるカメラ装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−78067(P2013−78067A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218042(P2011−218042)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】