説明

カメラシステム

【課題】簡易な通信経路で、安価な複眼レンズシステムを構成する。
【解決手段】v−by−oneのように、受信側に基準クロック自体が不要な通信方式によって、コントローラ1から各カメラユニット2に、通信用同期信号をブロードキャストする。かつ、コントローラ1は、TG46の発生するCCD132の駆動タイミング信号を周期的にリセットするためのリセット信号を、各カメラユニット2に送る。各カメラユニット2のTG46は、自身の発生する駆動信号のクロック周波数を、受信した通信用同期信号のクロック周波数と同一にする。こうすると、撮影制御の同期化がとりやすい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数台のカメラユニットを高速シリアル通信で接続して構成されるカメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の複眼カメラシステムは、撮像素子、レンズユニット、信号処理部、CPU等、撮像と画像処理を独立して行うことが可能なカメラユニットを、カメラコントローラに複数台接続し、その各ユニットから得られる画像データを立体画像にするために画像処理する(図12参照)。特許文献1〜4はそのような従来技術の一例である。
【特許文献1】特開平11−205817号公報
【特許文献2】特開2001−359120号公報
【特許文献3】特開2002−8040号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の複眼カメラシステムは、カメラユニットが単独で動作可能な構成になっており、コストがかかる。また、カメラとシステムコントローラとを接続する信号線も増えるなどの欠点があった。
【0004】
また、信号線を減らすためにIEEE1394などの高度な通信手段を用いた場合、システムが複雑になり、また、シリアルバスの構成をとるため、思うようにデータ転送速度が上がらない問題がある。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、簡易な通信経路で、安価な複眼レンズシステムを構成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るカメラシステムは、撮像レンズを介して受光した被写体像を画像信号に変換する撮像素子と、同期通信信号発生機能を備えた一方向シリアル通信経路を介して画像信号を含むデータを送受信するカメラユニット通信部とを備え、一方向シリアル通信経路を介して順次相互に接続可能な1または複数のカメラユニットと、一方向シリアル通信経路を介し、カメラユニットの各々とデータの通信を行うことが可能なカメラコントローラ通信部を備えるカメラコントローラと、を備える。
【0007】
この発明によると、同期通信信号発生機能を備えた一方向シリアル通信経路を介してカメラコントローラとカメラユニットとを接続し、そのカメラユニットに一方向シリアル通信経路を介してカメラユニットを接続し、さらにそのカメラユニットに一方向シリアル通信経路を介してカメラユニットを接続していくことを繰り返すことで、同期通信信号発生機能を備えた一方向シリアル通信経路を介して安価に複眼レンズシステムを構成することができる。
【0008】
このシステムでは、カメラユニットを制御するための信号を生成する制御部と、撮像素子の変換した画像信号に所定の画像処理を行う画像処理部とは、カメラコントローラのみが有しているようにできる。
【0009】
つまり、本発明のシステムでは、CPUや画像処理エンジンをカメラユニットのみに設ければよく、カメラユニットはこれらを設ける必要ないから、安価で複眼レンズシステムを構成できる。
【0010】
カメラコントローラの制御部は、通信経路を介してカメラユニットから受信したデータに対し、時分割処理方式で所定の処理を行い、所定の処理によって得られた処理済みデータを、通信経路を介してカメラユニット送信するとよい。
【0011】
こうすると、複数のカメラユニットを接続しても、単一のカメラコントローラで、カメラユニットごとに必要な処理を順次行うことができる。
【0012】
シリアル通信経路は、カメラコントローラから末端のカメラユニットにパケットが伝送される第1の通信経路と、末端のカメラユニットからカメラコントローラにパケットが伝送される第2の通信経路とを含み、末端のカメラユニットでは、第1の通信経路と第2の通信経路とが接続していることが好ましい。
【0013】
カメラコントローラは、カメラユニットの識別番号を格納するパケットデータを第1の通信経路を介して送出し、カメラユニットは、第1の通信経路を介してパケットデータを受信すると、パケットデータに格納された識別番号をインクリメントしてレジスタに格納するとともに、インクリメントされた識別番号のパケットデータを、第1の通信経路を介して、末端のカメラユニットに送出し、末端のカメラユニットは、第1の通信経路を介してパケットデータを受信すると、パケットデータに格納された識別番号をインクリメントし、インクリメントされた識別番号のパケットデータを、第2の通信経路を介して、カメラコントローラに送出し、カメラコントローラは、第2の通信経路を介して末端のカメラユニットから受信した識別番号により、カメラユニットの総接続数を認識し、カメラユニットは、レジスタに格納された識別番号を自己の識別番号とする。
【0014】
このようにすれば、本発明のシステムを構成するカメラユニットが、各々自己の識別番号を取得できるとともに、カメラコントローラも、カメラユニットの総接続台数を認識できる。
【0015】
カメラユニットは、撮像素子を駆動するためのタイミングパルスを生成するタイミングジェネレータを備え、同期通信信号の発生周期はタイミングパルスの発生周期と実質的に同一であり、カメラコントローラは、タイミングジェネレータのタイミングパルスをリセットするリセット信号を、通信経路を介して周期的に送信し、カメラユニットは、通信経路を介してリセット信号を受信すると、タイミングジェネレータは、リセット信号に同期してタイミングパルスの発生をリセットする。
【0016】
このようにすれば、各カメラユニットのタイミングパルスを同期化でき、複数のカメラユニットが同じタイミングで撮影する必要のある場合にも対処できる。
【0017】
カメラユニット通信部は、第2の通信経路を介して末端のカメラユニットからデータを受信する受信部と、第2の通信経路を介してカメラコントローラ側のカメラユニットにデータを受信する送信部と、受信部と送信部とを直接接続可能なスイッチ部とを備え、スイッチ部は、カメラコントローラからの制御に応じ、受信部と送信部とを直接接続することで、第2の通信経路を介して末端のカメラユニットからコントローラにデータを転送するとよい。
【0018】
こうすると、第1の通信経路と第2の通信経路とがループし、カメラコントローラから発したパケットを、末端のカメラユニットを中継して、カメラコントローラに戻すことができ、カメラユニットの初期化、エラー通知、割り込み信号通知、カメラユニットの接続/切断検知など、各種の用途に応用できる。
【0019】
末端のカメラユニットは、第2の通信経路に接続されたカメラコントローラのうちいずれか1つのカメラユニットによる使用権を設定して使用権の設定されたカメラユニットの識別番号をカメラコントローラに通知する調停部を備え、カメラコントローラは、第1の通信経路を介し、調停部から通知されたカメラユニットから所望のデータを転送する要求をカメラユニットに送信し、使用権の設定されたカメラユニットは、第2の通信経路を介し、要求されたデータをカメラコントローラに転送するとよい。
【0020】
本発明に係るシステムでは、このようにして、複数のカメラユニットにおける第1の通信経路の使用権の調停を行うことができる。
【0021】
カメラユニットは、第1の通信経路を介して受信したデータに応じた所望の処理を実行している間、第1の通信経路を介してNOP(No Operation)パケットを末端のカメラユニットに送信するとよい。
【0022】
こうすると、あるカメラユニットにおける処理の間、他のカメラユニットの処理の待機を確保できる。
【0023】
カメラユニットは、データ受信でエラーが発生したか否かを検出するエラー検出部を備え、カメラユニット通信部はエラー検出部がエラーを検出した場合、エラー発生通知を第1の通信経路を介して末端のカメラユニットに送信し、末端のカメラユニットは第2の通信経路を介してエラー発生通知をカメラコントローラに送信し、カメラコントローラは、エラー発生通知を送信したカメラユニットに対し、ステータス情報の送信を要求するとよい。
【0024】
カメラコントローラの制御部は、通信経路を介して各カメラユニットから画像信号を受信し、各カメラユニットからの画像信号に所定の画像処理を時分割処理方式で行い、所定の処理によって得られた処理済み画像データを各カメラユニットに送信し、カメラユニットは、カメラコントローラから受信した処理済み画像データを表示装置に出力する画像出力部を有するとよい。
【0025】
こうすると、各カメラユニットで撮影した画像を、カメラユニットごとに表示させることができる。
【0026】
カメラコントローラは、各カメラユニットと接続して電源を供給する電源供給部をさらに備え、電源供給部は、通信経路を介したカメラコントローラとカメラユニットとの通信が断絶した場合、カメラユニットへの電源の供給を停止し、カメラコントローラ通信部は、カメラユニットへの電源供給の停止後、通信経路を介して定期的に同期通信信号の送信を行い、電源供給部は、通信経路を介してカメラユニットから同期通信信号が返送された場合、カメラユニットへの電源の供給を開始するとよい。
【0027】
本発明に係るシステムでは、このようにして、カメラユニットの接続・交換・取り外しが任意に可能となる。
【発明の効果】
【0028】
この発明によると、同期通信信号発生機能を備えた一方向シリアル通信経路を介してカメラコントローラとカメラユニットとを接続し、そのカメラユニットに一方向シリアル通信経路を介してカメラユニットを接続し、さらにそのカメラユニットに一方向シリアル通信経路を介してカメラユニットを接続していくことを繰り返すことで、同期通信信号発生機能を備えた一方向シリアル通信経路を介して複眼レンズシステムを構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は本発明の好ましい実施形態に係るカメラシステムの概略構成図である。このシステムは、カメラコントローラ1に1つのカメラユニット2−1が接続され、カメラユニット2−1にはカメラユニット2−2が、カメラユニット2−2にはカメラユニット2−3、カメラユニット2−3にはカメラユニット2−4・・と、カメラコントローラ1を起点にして、順次カメラユニットが、1方向のみの高速シリアル通信経路(好ましくは、ザインエレクトロニクス株式会社の「v−by−one(登録商標)」)で数珠繋ぎに接続されることで構成される。
【0030】
v−by−oneは、3ビットの同期信号と18ビットのデータを最大880メガビット/秒の速度で通信する方式である。従来のIEEE1394、USB2.0、LVDS(Low Voltage Differential Signaling:低電圧差動信号データ転送)などとは異なり、同期通信機能のみをサポートしており、制御が簡単である。
【0031】
図1は5つのカメラユニット2−1〜2−5が、カメラコントローラ1を起点に順次接続されているが、接続するカメラユニット2−n(n=1,2・・,Nであり、Nは正の整数。nの表記を省略し、カメラユニット2と総称することもある)は当然ながら5つに限らず、1または複数個であれば何個でもよい。最初に接続されたカメラユニット2を先頭のカメラユニット2といい、最後に接続されたカメラユニット2を末端のカメラユニット2という。
【0032】
図2はカメラコントローラ1とカメラユニット2の接続形態の詳細を示す。各カメラユニット2−nは、ch1受信ポートch1−R−n、ch1送信ポートch1−S−n、ch2受信ポートch2−R−n、およびch2送信ポートch2−S−nを有している。
【0033】
ch1受信ポートch1−R−nは、カメラコントローラ1のch1送信ポートch1−S−0ないし先頭側のカメラユニット2−(n−1)からのデータを、1方向のみのシリアル通信経路を介して受信するためのポートである。ch1送信ポートch1−S−nは、ch1受信ポートch1−R−nで受信したデータに、カメラユニット2−n自身が各種のデータを付加するか、あるいは何も付加しないまま、1方向のみのシリアル通信経路を介して、末端側のカメラユニット2−(n+1)に送出するためのポートである。
【0034】
ch2受信ポートch2−R−nは、末端側のカメラユニット2−(n+1)からのデータを、1方向のみのシリアル通信経路を介して受信するためのポートである。ch2送信ポートch2−S−nは、ch2受信ポートch2−R−nで受信したデータに、カメラユニット2−n自身が各種のデータを付加するか、あるいは何も付加しないまま、1方向のみのシリアル通信経路を介して、先頭側のカメラユニット2−(n−1)のch2受信ポートch2−R−(n−1)に向けて送出するためのポートである。
【0035】
以後、コントローラ1のch1送信ポートch1−S−0を先頭に、順次ch1受信ポートch1−Rとch1送信ポートch1−Sとが接続されて末端のカメラユニット2−Nのch1受信ポートch1−R−Nに到達する通信経路をch1と呼ぶ。
【0036】
末端のカメラユニット2−N(この図ではN=16)では、ch1送信ポートch1−S−Nとch2受信ポートch2−R−Nとが互いに接続されている。以下、これを末端ループと呼ぶこともある。
【0037】
末端のカメラユニット2−Nがデータを受信すると、別のデータを付加するか、あるいは何もせぬまま、ch2送信ポートch2−N−Sを介して、前のカメラユニット2−(N−1)のch2受信ポートch2−(N−1)−Rに戻す。
【0038】
以後、各カメラユニット2は、ch2受信ポートch2−Rとch2送信ポートch2−Sを介して、コントローラ1に向けてデータを回送する。
【0039】
末端のカメラユニット2−Nを先頭に、順次ch2受信ポートch2−Rとch1送信ポートch2−Sとが接続されてコントローラ1のch1受信ポートch1−R−0に到達する通信経路をch2と呼ぶ。
【0040】
つまり本システムでは、コントローラ1から発信されたデータは、カメラユニット2のch1受信ポートch1−Rとch1送信ポートch1−Rを介して、末端側のカメラユニット2−Nに到達する。その間、データには、各カメラユニット2が受信データに別のデータを付加して送信したり、あるいは何もせぬまま次のカメラユニット2に送信することができる。
【0041】
ch1を構成する有線およびch2を構成する有線は、ツイストペアケーブルのように1本のケーブルにまとめることができる。従って、カメラユニットを1本の線で数珠繋ぎにするだけで本システムが構成でき、コントローラ1を中心にしたスター型接続のような複雑な配線は必要ない。
【0042】
図3は各カメラユニット2に共通するブロック構成を示した図である。カメラユニット2は、CPUを持たず、コントローラ1から送信されるレンズ駆動指示、撮像指示などの各種指示によって制御されることが特徴である。また、RGB信号をYC信号に変換する信号処理部を備えておらず、この変換はコントローラ1で行われる。
【0043】
カメラユニット2の正面に配備されたレンズ鏡胴60には、ズームレンズ101a及びフォーカスレンズ101bを含む撮影レンズ101が内蔵されており、ズームレンズ101aをズームレンズ用アクチュエータ110が光軸方向に移動させることで焦点距離調節が行なわれるとともに、フォーカスレンズ101bをフォーカスレンズ用アクチュエータ111が光軸方向に移動させることによりピント調節が行なわれる。焦点距離調節・ピント調節の指示は、コントローラ1から送信される。
【0044】
メカシャッター131は、メカシャッター用アクチュエータ112により駆動され、コントローラ1から(あるいは操作釦104でも可)の撮像指示に応じたシャッター動作を行う。
【0045】
ズームレンズ用アクチュエータ110、フォーカスレンズ用アクチュエータ111、メカシャッター用アクチュエータ112の駆動は、コントローラ1がドライバー137a、137b、137cのそれぞれに制御信号を送ることで開始または停止する。
【0046】
撮像素子にCCD132を用いた場合には、色偽信号やモアレ縞等の発生を防止するために、入射光内の不要な高周波成分を除去する光学的ローパスフィルタ(OPLF)132aが配設されている。また、入射光内の赤外線を吸収若しくは反射して、長波長域で感度が高いCCD132固有の感度特性を補正する赤外カットフィルタ132bが配設されている。光学的ローパスフィルタ132a及び赤外カットフィルタ132bの具体的な配設の態様は特に限定されない。
【0047】
CCD132の受光面には、多数のフォトセンサが2次元的に配列されており、受光面に入射された被写体光は、各フォトセンサによって入射光量に応じた量の信号電荷に変換される。そして、各フォトセンサに蓄積された信号電荷は、タイミングジェネレータ(TG)46から与えられるタイミングパルスに従って読み出され、垂直転送路及び水平転送路を介して信号電荷に応じた電圧信号(画像信号)として出力される。
【0048】
また、カメラユニット2には、CCD132からのアナログ信号に対してCDS処理・ゲイン処理などを行うとともに、ディジタルのR,G,B画像データにA/D変換するAFE134と、AFE134からのRGB画像信号をカメラコントローラがYC画像信号に変換して送出してきたYC画像信号、あるいはRGB補間処理が行われていないCCD−RAWデータを、SDRAMなどで構成されたメモリ135に格納したり、メモリ135のCCD−RAWデータやYC画像信号を読み取って出力する制御などを行うフレームメモリ制御部20が備えられている。
【0049】
Hドライバー15は、CCD132を構成する各画素の電荷を水平方向へ転送するためのドライバーである。また、Vドライバー16は各画素の電荷を垂直方向へ転送するためのドライバーである。CCD132に蓄積された各画素の電荷信号は、Hドライバー15およびVドライバー16から出力される駆動信号によって図示せぬ垂直レジスタと水平レジスタを介してライン単位でA/D変換部134に出力される。
【0050】
カメラユニット2には、ch1通信用レシーバーch1−Rあるいはch2通信用レシーバーch2−Rの受信したデータに基づいて各種のデータ処理を行ない、その処理内容を保持するレジスタ群を有するデータ処理部13が備えられている。
【0051】
カメラユニット2は、上述したch1送信ポートch1−Sを介してパケットデータを送信するch1通信用トランスミッターT1、ch1受信ポートch1−Rを介してパケットデータを受信するch1通信用レシーバーR1、ch2受信ポートch2−Rを介してパケットデータを受信するch2通信用レシーバーR2、ch2送信ポートch2−Sを介してパケットデータを送信するch2通信用トランスミッターT2を備えている。
【0052】
ch1通信用レシーバーR1あるいはch2通信用レシーバーR2の受信したパケットデータは、順次、通信制御部14が有するFIFOメモリに格納される。通信制御部14は、FIFOメモリへのデータ入力順に基づいて、元のデータを復元し、復元したデータをデータ処理部13に出力する。
【0053】
また、ch1通信用トランスミッターT1あるいはch2通信用トランスミッターT2を介して送出すべき所望のデータが、データ処理部13から通信制御部14に入力されると、通信制御部14は、このデータを固定長のデータパケットに分割し、先頭のパケットデータから順次FIFOメモリに格納する。そして、このデータパケットは、順次ch1通信用トランスミッターT1あるいはch2通信用トランスミッターT2によって出力される。
【0054】
カメラユニット2はビデオエンコーダ50を備えている。ビデオエンコーダ50は、メモリ135に入力されたYC画像信号をNTSC(National TV Standards Committee)信号に変換し、ビデオアウト端子51を介して、外部の表示装置に供給し、当該画像信号に基づく映像を表示させる。
【0055】
DC−DCコンバータ71は、コントローラ1のDC電源72を供給元として電源を各ブロックに供給する。
【0056】
図4はカメラコントローラ1のブロック構成図である。
【0057】
CPU71はカメラコントローラ1全体を制御する。ROM72はシステムの制御プログラム等が格納されている。メモリ74はCPU71が演算動作をするのに必要なデータを一時記憶する。
【0058】
DMAC(ダイレクトメモリアクセスコントローラ)81は、ch2受信ポートch2−R−0から入力された画像データ等の各種データを、メモリ74に直接書き出すという動作を実行する。
【0059】
信号処理部75は、ch2受信ポートch2−R−0から入力されたCCD−RAW画像データ等に各種の処理を施す。例えば、各カメラユニット2から受信したCCD−RAWを、時分割処理(タイムシェアリング)によってそれぞれYC信号に変換し、得られたYC信号を、DMAC81がいったんメモリ74に書き出した上で、ch1経由で各カメラユニット2に転送する。カメラユニット2は、コントローラ1から受信したYC信号を各自のメモリ135に保存しておくこともできる。
【0060】
カメラユニット2のYC信号に基づいた映像をLCDモニター83に表示したい場合は、カメラユニット2からカメラコントローラ1にYC信号をch2経由で送信し、これをそのままカメラコントローラ1の表示制御部79に出力すればよい。あるいは、カメラユニット2に転送されたYC信号をビデオアウト端子51経由で外部表示装置に出力し、カメラユニット2ごとに撮影した画像を出力することも可能である。
【0061】
本システムでは、各カメラユニット2は信号処理部75を備える必要がないし、カメラコントローラ1も各カメラユニット2のYC信号を全部保存しておくためのメモリを備える必要がなく、メモリ容量を削減できる。
【0062】
画像圧縮処理部77は、画像データをJPEGなどの所定の形式で圧縮符号化された画像ファイルに変換し、ストレージ制御部78を介して記録メディア82に該画像ファイルを記録する。
【0063】
表示制御部79は、ビデオエンコーダを有しており、メモリ74に記憶された画像データをNTSC信号に変換し、外部のLCDモニター83に供給することで、当該画像信号に基づく映像を表示させる。
【0064】
なお、カメラユニット2のメモリ135に記憶されているYC信号をそのままコントローラ1に送信し、コントローラ1は、受信したYC信号をそのまま表示制御部79に出力すれば、各カメラユニット2の撮影した画像を直ちに表示させることができ、カメラユニット2の設置確認などに便利である。
【0065】
PIO(Parallel I/O)80は、操作パネル84からバスインターフェース90を介したCPU71への入力信号の転送を管理する。
【0066】
AC/DCコンバータ76は、AC電源の電圧を変換してコントローラ1およびカメラユニット2に必要な各種の電圧を発生し、カメラユニット用DC電源91に接続されたDC電源端子72を介して、数珠繋ぎにされた各カメラユニット2に順次電源を供給する。
【0067】
ch1通信用ドライバー87は、通信制御部14の制御に基づいて、送信すべき所望のデータを固定長のデータパケットに分割し、ch1送信ポートch1−S−0を介してパケットをカメラユニット2に送出する。
【0068】
また、ch2通信用レシーバー88がch2受信ポートch2−R−0を介して受信したデータパケットは、通信制御部85によって元のデータに復元され、メモリ74に格納される。
【0069】
同期信号発生部86は、所望のデータを分割して作成されたデータパケットに、カメラユニット2の同期信号のパケットを挿入する。詳細は後述する。
【0070】
図5は、本システムにおけるカメラユニット認識シーケンスを示す説明図である。
【0071】
ch1では、コントローラ1を起点に、数珠繋ぎにされたカメラユニット2に対し、順次データパケットが回送される。あるカメラユニット2が上流側の機器(コントローラ1に近い方)からパケットを受信すると、そのカメラ2は、受信したパケットに任意のデータを付加することができる。
【0072】
図2では一例として、本システムの起動時に実行されるハンドシェークの流れを示す。この処理では、カメラコントローラ1が、接続されたカメラユニット2の総台数を認識するときのパケットを巡回させるとともに、各カメラユニット2は、自身の識別情報を獲得して、自身のレジスタに格納する。
【0073】
まずカメラコントローラ1は、同期信号発生部86によって通信用の同期信号を送出した後、接続ID番号P_IDの初期値(典型的には0)とカメラ認識パケットを、最初に接続されているカメラユニット2−1に送信する。
【0074】
カメラユニット2−1は、接続ID番号P_IDを含んだカメラ認識パケットを受信すると、直ちにNOP(No operation)のパケットの挿入を開始する。カメラユニット2−1は、そのNOPパケットを挿入している間に、受信したカメラ認識パケットの中のP_IDを読み出して、その初期値0に1を加算し、この値「1」を自分自身の識別情報(接続ID)としてデータ処理部13のレジスタに格納する。さらにその値をカメラ認識パケットの新しいP_IDとして書き換え、そのP_IDを含んだカメラ認識パケットをカメラユニット2−2に送信する。
【0075】
従って、図2に示すように、P_IDが「1」のカメラ認識パケットがカメラユニット2−1からカメラユニット2−2に送られる。各カメラユニット2でパケットのデータを書き換えるには、後述の「間接接続モード」によって行われる。
【0076】
カメラユニット2−2は、カメラユニット2−1からカメラ認識パケットを受信すると、カメラユニット2−1と同様、直ちにNOP(No operation)のパケットの挿入を開始する。カメラユニット2−2は、そのNOPパケットを挿入している間に、受信したカメラ認識パケットの中のP_IDを読み出して、その値に1を加算し、この値「2」を自身の接続IDとしてデータ処理部13のレジスタに格納する。
【0077】
さらにその値をカメラ認識パケットの新しいP_IDとして書き換え、そのP_IDを含んだカメラ認識パケットをカメラユニット2−3に送信する。従って、図2に示すように、P_IDが「2」のカメラ認識パケットがカメラユニット2−2からカメラユニット2−3に送られる。
【0078】
カメラユニット2−3は、カメラユニット2−2からカメラ認識パケットを受信すると、カメラユニット2−1と同様、直ちにNOP(No operation)のパケットの挿入を開始する。カメラユニット2−3は、そのNOPパケットを挿入している間に、受信したカメラ認識パケットの中のP_IDを読み出して、その値に1を加算し、この値「3」を自身の接続IDとしてデータ処理部13のレジスタに格納する。さらにその値をカメラ認識パケットの新しいP_IDとして書き換え、そのP_IDを含んだカメラ認識パケットを、ch2経由でカメラユニット2−2に送信する。
【0079】
従って、図2に示すように、P_IDが「3」のカメラ認識パケットがカメラユニット2−3からカメラユニット2−2に送られる。
【0080】
なお、NOPを挿入することによる各カメラユニットの動作の同期化については、後述する。
【0081】
カメラユニット2−3からカメラユニット2−2に送られたカメラ認識パケットには、カメラユニット2−2の固有の接続IDが付されて、ch2経由でカメラユニット2−1に回送される。カメラユニット2−2からカメラユニット2−1に送られたカメラ認識パケットには、カメラユニット2−1の接続IDがさらに付加され、カメラコントローラ1に回送される。
【0082】
末端側のカメラユニット2−3から送出されたP_IDを含むカメラ認識パケットは、カメラユニット2−2・2−1を介して、上流側の機器であるカメラコントローラ1に到達する。
【0083】
カメラコントローラ1は、この末端側のカメラユニット2−3から送出されたカメラ認識パケットから接続IDを抽出することで、接続された全てのカメラユニット2の各々に固有の接続IDや、それらの状態(総計で何台接続されているのかなど)を認識することができる。
【0084】
また、各カメラユニット2は、接続IDに対応した補正データ(例えばCCDの感度差データ、ホワイトバランスデータ、CCDキズ座標データ、レンズ特性データ)を、予めカメラコントローラ1からダウンロードしておくことで、各カメラユニット2で撮影した画像データへの個別的な補正や調整値の反映が可能となる。
【0085】
なお、各カメラユニット2−1〜2−3は、ch1から出力したP_IDとch2から受信したP_IDとを比較し、これらが一致している場合は、自分自身を末端カメラユニットであると認識し、一致しなければ、自分自身を末端でないカメラユニット(中継カメラユニット)であると認識する。自分自身が末端であると認識したカメラユニット2は、後述の使用権の調停を行う。
【0086】
図6は、カメラユニット2の間接接続モードおよび直接接続モードの概念説明図である。
【0087】
スイッチSWは、レシーバーR(ch1またはch2を含む)とトランスミッターT(ch1またはch2を含む)を、通信制御部14を経由して接続する端子SW1と、通信制御部14を経由しないで直接接続する端子SW2と、を備える。
【0088】
通信制御部14は、必要に応じて、間接接続モードまたは直接接続モードを設定し、間接接続モードの場合は端子SW1側へ、直接接続モードの場合は端子SW2側へスイッチSWが接触するよう制御する。
【0089】
間接接続モードでは、通信制御部14がレシーバーRによりパケットを受信した後、その内容に応じて任意のパケットを挿入してトランスミッターTから送出できるから、上述したカメラ台数の認識シーケンス、後述する通信チャンネルの調停、撮影のためのレジスタ設定のようにパケットデータのブロードキャスト(一斉送信)が必要な場合に用いられる。
【0090】
直接接続モードでは、レシーバーRにより受信したパケットを、そのままトランスミッターSから送出できるから、各カメラユニット2からカメラコントローラ1への画像データの転送など、特定のカメラユニット2が、間に別のカメラユニット2を挟んでカメラコントローラ1とのデータの転送経路を確保する(ハンドシェーク)を可能にするとともに、その場合の各カメラユニット2のオーバーヘッド(負荷)を軽減できる。説明の簡略化のため、直接接続モードで伝送されるデータパケットは、特定のカメラユニット2からカメラコントローラ1に転送されるものに限られるとする。
【0091】
図7は、コントローラ1からある1つの特定のカメラユニット2に、画像データなどの各種データの送信を要求し、この要求に応じて、特定のカメラユニット2がデータをコントローラ1に転送する転送シーケンスを説明する。このシーケンスは、転送要求フェーズ、転送フェーズ、および開放フェーズを含む。
【0092】
まず、転送要求フェーズでは、コントローラ1が、ch2における間接接続モードの使用権の調停を要求するパケットを、ch1経由で末端カメラユニットに送出する。このパケットには、データの要求の対象となるカメラユニット2の識別情報を有する要求情報が含まれている。要求情報は転送すべきデータの種類の識別情報などその他の情報を有していてもよい。
【0093】
末端以外のカメラユニットである中継カメラユニットのch1レシーバーRは、直接モードで、ch1トランシーバーTと接続され、コントローラ1から送出された要求情報のパケットを、そのまま末端カメラユニット2(ここでは2−3)に回送する。
【0094】
末端カメラユニット2−3は、受信したパケットから、データの要求の対象となるカメラユニット2の識別情報を識別する。そしてこの識別情報を、ch2における間接接続モードの使用権を獲得したカメラユニット2の識別情報として、ch2経由で、コントローラ1に送る。
【0095】
カメラコントローラ1は、使用権を獲得したカメラユニット2の識別情報を受信することで、間接接続モードの使用権の調停が完了したことを確認する。この確認が終わることで、転送フェーズが開始する。
【0096】
転送フェーズでは、まずカメラコントローラ1が、使用権を獲得したカメラユニット2に対し、データの転送をするよう要求するパケット(転送要求パケット)をch1経由で送出する。
【0097】
各カメラユニット1は、転送要求パケットに含まれる識別情報と、レジスタに記憶されている識別情報とを比較する。そして、両者が一致していれば、ch2レシーバーR・ch2トランスミッターTに間接接続モードを設定する。両者が一致していなければ、ch2レシーバーR・ch2トランスミッターTに直接接続モードを設定する。
【0098】
なお、間接接続モードが設定されたカメラユニットよりも末端側のカメラユニット2は、データ転送に関係しない。
【0099】
間接接続モードの使用権に従って各カメラユニット2に間接接続モードあるいは直接接続モードが設定されると、データ転送が開始できる状態になる。図7では一例として、カメラユニット2−2から、カメラユニット2−1を経由して、データ転送パケットが送信される。
【0100】
カメラコントローラ1がデータの転送完了を確認すると、開放フェーズに移行する。開放フェーズでは、カメラコントローラ1が各カメラユニット2に対し、ch2の開放を指示するパケットを、ch1経由で送出する。
【0101】
各カメラユニット2は、この開放指示に応じて、ch2レシーバーRおよびch2トランシーバーTを、直接接続モードに設定する。この設定が完了することで、開放フェーズが終わる。
【0102】
図8は転送シーケンスの他の例であり、複数のカメラユニット2にデータ転送要求をする場合を示す。
【0103】
まず、転送要求フェーズでは、末端カメラユニット2−3が、全てのデータ転送要求対象のカメラユニット2の識別情報をパケットから復元し、その中から、所定の順番に従って(例えば先頭側のカメラユニットから)カメラユニット2に1つずつ使用権を設定する。使用権の設定されたカメラユニットの識別情報には、使用権が設定されたことを示すフラグが対応づけられ、レジスタに記憶される。この図では2つのカメラユニット2−1および2−3がデータ転送の要求対象であり、まず、先頭側のカメラユニット2に使用権のフラグが立てられる。使用権のフラグが立つと転送要求フェーズが完了し、転送フェーズに移行する。
【0104】
転送フェーズでは、使用権の設定されたカメラユニット2−1からコントローラ1にデータが転送される。
【0105】
1つ目のカメラユニット2−1の転送が完了すると、再調停フェーズに移行する。まず、コントローラ1は、ch2の使用権の開放を指示するパケットをch1経由で各カメラユニット2に送信する。
【0106】
末端カメラユニット2−3は、開放指示のパケットを受信すると、現在使用権が設定されているカメラユニット2−1のフラグを消去し、次の順番のカメラユニット2−3に使用権のフラグを設定する。これをもって再調停フェーズが完了し、転送フェーズに移行する。
【0107】
転送フェーズでは、使用権の設定されたカメラユニット2−3からコントローラ1にデータが転送される。
【0108】
データの転送が完了すると、開放フェーズに移行する。この動作の内容は図7と同様である。
【0109】
図9は、通信パケット転送時における各カメラユニット2のパケットデータ処理方法を示す。
【0110】
この図に示すように、もしカメラユニット2−1が、コントローラ1から受信したパケットに、間接接続モードで、上述のカメラユニットの識別情報など何らかのデータを追加したい場合は、パケット受信後直ちにNOPパケットを挿入して次に接続されている末端側の次のカメラユニット2−2に送出するとともに、NOPパケットを挿入している間に、例えば上述した識別情報のインクリメントなど、各種の受信データ処理をする。その処理が終わると、処理後のデータパケットを挿入し、次のカメラユニット2−2に送出する。
【0111】
次のカメラユニット2−2は、NOPパケットを受信している間は、データパケットを受信するまで、何の処理も行わずに待機する。
【0112】
カメラユニット2−2が、カメラユニット2−1から受信したパケットに、何らかのデータを追加したい場合も、上記と同様にする。すなわち、パケット受信後直ちにNOPパケットを送出するとともに、NOPパケットを挿入している間に、各種の受信データ処理をし、その処理が終わると、処理後のデータパケットをして次のカメラユニット2−3に送出する。
【0113】
次のカメラユニット2−3は、NOPパケットを受信している間は、データパケットを受信するまで、何の処理も行わずに待機する。
【0114】
このように、前のカメラユニット2が、データ処理中は、次のカメラユニット2にNOPを送出することで、次のカメラユニット2で処理が待機されるから、数珠繋ぎにされたカメラユニット2間でデータを加工してシリアル転送する際にも、各カメラユニット2での処理の時間を確保することができる。
【0115】
なお、カメラユニット2間でデータを転送する際に通信エラーが発生した場合は、次のようにして修復を行うとよい。
【0116】
各カメラユニット2の通信制御部14は、CRC(Cyclic Redundancy Check)などによって通信パケット内の誤りを検出する。あるカメラユニット2が誤りを検出したと判断した場合、そのカメラユニット2は、パケットの割り込み同期信号をアサート(有効)にし、ch1経由で末端側のカメラユニット2に送出する。
【0117】
その割り込み同期信号を受信した末端側のカメラユニット2は、順次割り込み同期信号を末端側のカメラユニット2に送る。これが繰り返されることで、割り込み同期信号が末端カメラユニット2に到達する。
【0118】
末端カメラユニット2は、割り込み同期信号をそのままch2経由でコントローラ1まで送る。
【0119】
コントローラ1は、ch2経由で割り込み同期信号を受信すると、誤りを検出したカメラユニット2に割り込み情報確認パケット(図10参照)をch1経由で送信する。
【0120】
カメラユニット2は、割り込み情報確認パケットを受信すると、レジスタに誤りフラグが立っているか否かを判断し、誤りフラグが立っている場合は、割り込み情報確認パケットに、自己の識別情報と、誤りが検出されたことを示すフラグ「1」をセットして、末端側のカメラユニット2にch1経由で送信する。これが各カメラユニット2で繰り返されることで、割り込み同期信号が末端カメラユニット2に到達する。
【0121】
末端カメラユニット2は、割り込み情報確認パケットをそのままch2経由でコントローラ1まで送る。
【0122】
カメラコントローラ1は、パケットの割り込み同期信号を発生させたカメラユニット2に対してステータス情報の転送を要求し、どの割り込みが発生したかを確認する。
【0123】
図10は、本システムで送受信されるパケットの構造を示している。これらのパケットはいずれも有効なデータの前に識別マーカーを挿入している。これにより、通信制御部14のパケットデータ認識動作を簡単に素早く実施させることができる。
【0124】
図11は本システムを構成する各カメラユニット2による撮影の同期方法を示す。
【0125】
まず、v−by−oneのように、受信側に基準クロック自体が不要な通信方式によって、コントローラ1から各カメラユニット2に、通信用同期信号をブロードキャストする。かつ、コントローラ1は、TG46の発生するCCD132の駆動タイミング信号を周期的にリセットするためのリセット信号を、各カメラユニット2に送る。
【0126】
各カメラユニット2のTG46は、自身の発生する駆動信号のクロック周波数を、受信した通信用同期信号のクロック周波数と同一にするよう構成されている。こうすると、撮影制御の同期化がとりやすい。
【0127】
各カメラユニット2は、コントローラ1からの周期的なリセット信号によって、TG46の発生する駆動信号の発生タイミングをリセットする。よってこれ以後、各カメラユニット2の駆動クロック信号の発生タイミングが完全に同期し、同一被写体を多数のカメラユニット2で同時に撮影したい場合などは便利である。
【0128】
なお、さらに、通信用同期信号のクロック周波数を、CCD132から取得される動画データのフレームレート(例えば30フレーム/秒)と同じにすれば、動画撮影時の同期も可能になる。
【0129】
カメラユニット2の交換時の電源制御動作は次のようにするとよい。
【0130】
ch1の有線ケーブル、またはch2の有線ケーブルを外すと、それよりも末端側のカメラユニット2とコントローラ1との通信が不能になる。
【0131】
コントローラ1は、通信用同期信号を送信する唯一の機器であるから、これが遮断されたことを検知することにより、容易にカメラユニット2が切り離されたことを検知できる。
【0132】
コントローラ1は、カメラユニット2が切り離されたことを検知すると、DC電源91からの全カメラユニット2に対する電源供給を停止する。これにより、カメラユニット2の切り離しに応じたシステムの電源切断を実行することができる。
【0133】
一方、電源投入動作は次のようにする。すなわち、コントローラ1は、DC電源91からの電源供給開始を周期的(例えば1分に一回)に行う。この場合、接続されているカメラユニット2のみが動作することになる。次に、ch1経由で通信同期信号を一定時間(例えば10秒間)送信し、ch2経由で通信同期信号が戻ってきたか否かを確認する。通信同期信号が戻って来た場合は、カメラユニット認識シーケンスに移行する。
【0134】
このようにして、任意のカメラユニット2の接続・取り外しに、DC電源91からの電源供給のオン・オフを対応させて、コントローラ1の電源を切らずにカメラユニット2の接続・取り外しを行うこと(ホットプラグ・ホットスワップ)を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】カメラシステムの概略構成図
【図2】カメラユニットの接続例を示す図
【図3】カメラユニットのブロック構成図
【図4】カメラコントローラのブロック構成図
【図5】カメラ認識シーケンスの流れを示す図
【図6】間接接続モードおよび直接接続モードにおけるスイッチの接触状態を示す図
【図7】データ転送シーケンスの流れを示す図
【図8】データ転送シーケンスの他の例を示す図
【図9】NOPの挿入状態を示す図
【図10】本システムで送受信されるパケットの構造を示す図
【図11】通信用同期信号およびTGリセット用同期信号のタイミングチャート
【図12】従来の複眼カメラシステムの接続例を示す図
【符号の説明】
【0136】
1:カメラコントローラ、2:カメラユニット、87:ch1通信用ドライバー、88:通信用レシーバー、91:カメラユニット用DC電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像レンズを介して受光した被写体像を画像信号に変換する撮像素子と、同期通信信号発生機能を備えた一方向シリアル通信経路を介して前記画像信号を含むデータを送受信するカメラユニット通信部とを備え、前記一方向シリアル通信経路を介して順次相互に接続可能な1または複数のカメラユニットと、
前記一方向シリアル通信経路を介し、前記カメラユニットの各々とデータの通信を行うことが可能なカメラコントローラ通信部を備えるカメラコントローラと、
を備えるカメラシステム。
【請求項2】
前記カメラユニットを制御するための信号を生成する制御部と、前記撮像素子の変換した画像信号に所定の画像処理を行う画像処理部とは、前記カメラコントローラのみが有している請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項3】
前記カメラコントローラの制御部は、前記通信経路を介して前記カメラユニットから受信したデータに対し、時分割処理方式で所定の処理を行い、前記所定の処理によって得られた処理済みデータを、前記通信経路を介して前記カメラユニット送信する請求項2に記載のカメラシステム。
【請求項4】
前記シリアル通信経路は、前記カメラコントローラから末端のカメラユニットにパケットが伝送される第1の通信経路と、前記末端のカメラユニットから前記カメラコントローラにパケットが伝送される第2の通信経路とを含み、
前記末端のカメラユニットでは、前記第1の通信経路と前記第2の通信経路とが接続している請求項1〜3のいずれかに記載のカメラシステム。
【請求項5】
前記カメラコントローラは、前記カメラユニットの識別番号を格納するパケットデータを前記第1の通信経路を介して送出し、
前記カメラユニットは、前記第1の通信経路を介して前記パケットデータを受信すると、前記パケットデータに格納された識別番号をインクリメントしてレジスタに格納するとともに、インクリメントされた識別番号のパケットデータを、前記第1の通信経路を介して、末端のカメラユニットに送出し、
前記末端のカメラユニットは、前記第1の通信経路を介して前記パケットデータを受信すると、前記パケットデータに格納された識別番号をインクリメントし、インクリメントされた識別番号のパケットデータを、前記第2の通信経路を介して、カメラコントローラに送出し、
前記カメラコントローラは、前記第2の通信経路を介して前記末端のカメラユニットから受信した識別番号により、前記カメラユニットの総接続数を認識し、
前記カメラユニットは、前記レジスタに格納された識別番号を自己の識別番号とする請求項1〜4のいずれかに記載のカメラシステム。
【請求項6】
前記カメラユニットは、前記撮像素子を駆動するためのタイミングパルスを生成するタイミングジェネレータを備え、
前記同期通信信号の発生周期は前記タイミングパルスの発生周期と実質的に同一であり、
前記カメラコントローラは、前記タイミングジェネレータのタイミングパルスをリセットするリセット信号を、前記通信経路を介して周期的に送信し、
前記カメラユニットは、前記通信経路を介して前記リセット信号を受信すると、前記タイミングジェネレータは、前記リセット信号に同期して前記タイミングパルスの発生をリセットする請求項1〜5のいずれかに記載のカメラシステム。
【請求項7】
前記カメラユニット通信部は、前記第2の通信経路を介して末端のカメラユニットからデータを受信する受信部と、前記第2の通信経路を介して前記カメラコントローラ側のカメラユニットにデータを受信する送信部と、前記受信部と前記送信部とを直接接続可能なスイッチ部とを備え、
前記スイッチ部は、前記カメラコントローラからの制御に応じ、前記受信部と前記送信部とを直接接続することで、前記第2の通信経路を介して前記末端のカメラユニットから前記コントローラに前記データを転送する請求項4または5に記載のカメラシステム。
【請求項8】
前記末端のカメラユニットは、前記第2の通信経路に接続された前記カメラコントローラのうちいずれか1つのカメラユニットによる使用権を設定して前記使用権の設定されたカメラユニットの識別番号を前記カメラコントローラに通知する調停部を備え、
前記カメラコントローラは、前記第1の通信経路を介し、前記調停部から通知されたカメラユニットから所望のデータを転送する要求を前記カメラユニットに送信し、
前記使用権の設定されたカメラユニットは、前記第2の通信経路を介し、要求されたデータを前記カメラコントローラに転送する請求項4に記載のカメラシステム。
【請求項9】
前記カメラユニットは、前記第1の通信経路を介して受信したデータに応じた所望の処理を実行している間、前記第1の通信経路を介してNOP(No Operation)パケットを前記末端のカメラユニットに送信する請求項4または8に記載のカメラシステム。
【請求項10】
前記カメラユニットは、データ受信でエラーが発生したか否かを検出するエラー検出部を備え、前記カメラユニット通信部は前記エラー検出部がエラーを検出した場合、エラー発生通知を前記第1の通信経路を介して前記末端のカメラユニットに送信し、
前記末端のカメラユニットは前記第2の通信経路を介して前記エラー発生通知を前記カメラコントローラに送信し、
前記カメラコントローラは、前記エラー発生通知を送信したカメラユニットに対し、ステータス情報の送信を要求する請求項4、8または9に記載のカメラシステム。
【請求項11】
前記カメラコントローラの制御部は、前記通信経路を介して各カメラユニットから前記画像信号を受信し、各カメラユニットからの画像信号に所定の画像処理を時分割処理方式で行い、前記所定の処理によって得られた処理済み画像データを各カメラユニットに送信し、
前記カメラユニットは、前記カメラコントローラから受信した処理済み画像データを表示装置に出力する画像出力部を有する請求項3に記載のカメラシステム。
【請求項12】
前記カメラコントローラは、各カメラユニットと接続して電源を供給する電源供給部をさらに備え、
前記電源供給部は、前記通信経路を介した前記カメラコントローラと前記カメラユニットとの通信が断絶した場合、前記カメラユニットへの電源の供給を停止し、
前記カメラコントローラ通信部は、前記カメラユニットへの電源供給の停止後、前記通信経路を介して定期的に前記同期通信信号の送信を行い、
前記電源供給部は、前記通信経路を介して前記カメラユニットから前記同期通信信号が返送された場合、前記カメラユニットへの電源の供給を開始する請求項1〜11のいずれかに記載のカメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−79142(P2008−79142A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−257798(P2006−257798)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】