説明

カメラ本体

【課題】非常に小型の交換レンズ式デジタルカメラを提供する。
【解決手段】カメラ本体は、ベース部材と、交換レンズを取り付け可能なボディマウントと、フォーカルプレーンシャッターユニットと、フォーカルプレーンシャッターユニットを前記ベース部材に締結する締結部と、を備える。ボディマウント、ベース部材、フォーカルプレーンシャッターユニットは、被写体側から順に配置される。フォーカルプレーンシャッターユニットは、締結部によってベース部材側からベース部材に締結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静止画撮影を主に行うデジタルスチルカメラ、動画撮影を主に行うムービー等のカメラシステムに関する。特に、レンズユニットが着脱可能な交換レンズ式デジタルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、レンズユニットが着脱可能な交換レンズ式のカメラを開示している。このカメラは、ライブビュー機能を備える。このカメラは、ライブビュー機能を実現する為、ノーマリーオープン方式のフォーカルプレーンシャッターを備える。そして、このカメラでは、ミラーボックス装置を備えない構成が採用され、フォーカルプレーンシャッター及び画像信号を生成する撮像手段を取り付けるシャーシが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2010/029731号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の交換レンズ式のデジタルカメラは、ミラーボックス装置を備えていたため、カメラ本体の小型化が困難であった。そこで、本願の発明者らは、ミラーボックス装置を有しない新しい交換レンズ式のデジタルカメラを考案した。従って、ミラーボックス装置を有しないため、従来の交換レンズ式デジタルカメラのように、焦点板、ペンタプリズム等のオプティカルビューファインダー機能を必要とせず、エレクトリックビューファインダーや、カメラ背面に配した表示装置でファインダー機能を司るように考案した。
一方で、従来の交換レンズ式のデジタルカメラでは、ミラーボックスに対し、被写体側からマウントスプリングとマウントを取り付け、反被写体側からシャッターユニットおよび、撮像素子を含む光学ユニットをマウントに対し、所定のフランジバックおよび傾きが調整された上で取り付けられていた。しかしながら、ミラーボックスをシャーシ部材に変更し小型化する中で、前記マウント、シャッターユニット、光学ユニットを取り付けるためのスペースを確保する為、シャーシ部材の大型化を余儀なくされていた。
【0005】
本考案は、上述の状況に鑑みてなされたものであり、非常に小型の交換レンズ式デジタルカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、以下のカメラ本体によって達成される。
カメラ本体は、ベース部材と、交換レンズを取り付け可能なボディマウントと、フォーカルプレーンシャッターユニットとフォーカルプレーンシャッターユニットをベース部材に締結する締結部と、を備える。ボディマウント、ベース部材、フォーカルプレーンシャッターユニットは、被写体側から順に配置される。フォーカルプレーンシャッターユニットは、締結部によってベース部材側からベース部材に締結されている。このため、シャッターユニット単独での取り外しをすることができる。また、さらに、背面からのシャッターユニットの取り付けスペースが不要となりカメラ本体を小型化することができる。
また、上記目的は、以下のカメラ本体によって達成される。
カメラ本体は、ベース部材と、交換レンズを取り付け可能なボディマウントと、フォーカルプレーンシャッターユニットと、ネジ部材と、を備える。ネジ部材は、フォーカルプレーンシャッターユニットをベース部材に連結するネジ部と、ネジ部の先端に形成されネジ部を挿抜する際に操作されるネジ頭とを有する。ボディマウント、ベース部材、フォーカルプレーンシャッターユニットは、被写体側から順に配置される。ネジ頭は、フォーカルプレーンシャッターユニットがベース部材に連結された状態で、ネジ部よりも被写体側に配置されている。このため、シャッターユニット単独での取り外しをすることができる。また、さらに、背面からのシャッターユニットの取り付けスペースが不要となりカメラ本体を小型化することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、非常に小型の交換レンズ式カメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】カメラ本体1の斜視図
【図2】カメラ本体1の中央縦断面図
【図3】マウントユニットの背面透視図
【図4】図3におけるP-P断面図
【図5】マウントユニットの正面透視図
【図6】マウントユニットの中央横断面図
【図7】従来のマウントユニットの背面透視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態に係るカメラシステムおよびカメラ本体について説明する。なお、以下の実施形態は本発明の一実施形態であり、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
<実施形態>
(1:構成)
(1−1:撮像装置の概要)
図1は、本発明の実施形態に係るカメラ本体1の斜視図である。カメラ本体1は、交換レンズ式用のデジタルカメラ本体であり、筐体10と、シャッターボタン13と、図示しないレンズユニット(交換レンズの一例)を着脱可能なボディマウント150と、を備える。
以下、各部の詳細について説明する。説明の便宜のため、カメラ本体1の被写体側を前、撮像面側を後ろ又は背、カメラ本体1の通常姿勢における鉛直上側を上、鉛直下側を下ともいう。また、「左」「右」とは、被写体からカメラ本体1を見た場合を基準とする用語である。
【0010】
(1−2:カメラ本体1の構成)
図2を用いて、本発明の撮像装置(カメラ)の構成を説明する。図2は、カメラ本体1の中央縦断面図である。
カメラ本体1は、筐体10内において、主に、前から順に、ボディマウント150、フォーカルプレーンシャッターユニット(以下、シャッターユニットと略称する)190、振動板113、光学的ローパスフィルタ112、カバーガラス111、CMOSイメージセンサー110、放熱板115、メイン回路基板140、補強板121、表示装置120が配置されている。
なお、カメラ本体1は、ミラーボックス装置を有していない。そのため、従来の一眼レフレックスカメラに比してフランジバックを小さくすることができる。また、フランジバックを小さくすることで、カメラ本体1が小型化されている。さらに、フランジバックを小さくすることで、レンズユニットの小型化に対応可能である。
【0011】
なお、CMOSイメージセンサー110は被写体の光学像を撮像して電気的な画像信号に変換する撮像素子の一例である。撮像素子は、CCDイメージセンサー等を含む概念である。
メイン回路基板140は、CMOSイメージセンサー110を駆動制御する回路基板を含む。また、メイン回路基板140は、CMOSイメージセンサー110からの画像データに所定の処理を施す回路基板も含み、CMOSイメージセンサー110を駆動制御する。メイン回路基板140は、CMOSイメージセンサー110からの画像データにAD変換等の所定の処理を施す撮像素子回路基板の一例である。
表示装置120は、表示用画像データが示す画像等を表示する。表示用画像データは、メイン回路基板140で画像処理された画像データや、カメラ本体1の撮影条件、操作メニュー等を画像として表示するためのデータ等である。表示装置120は、動画像も静止画像も選択的に表示可能である。表示装置120は、液晶ディスプレイを有する。
【0012】
表示装置120は、カメラ本体1に設けられている。本実施形態では、筐体10の背面に配置されているが、カメラ本体1のどこに配置されていてもよい。
なお、表示装置120はカメラ本体1に設けられた表示部の一例である。表示部としては、他にも、有機EL、無機EL、プラズマディスプレイパネル等、画像を表示できるものを用いることができる。
ボディマウント150は、着脱可能なレンズユニットをバヨネット結合にて保持する。ボディマウント150は、マウントバネ152を介してレンズユニットのレンズマウント(不図示)と機械的に接続可能であるとともに、電気接点151によりレンズユニットのレンズマウントと電気的に接続可能である。ボディマウント150とレンズマウントとを介して、カメラ本体1とレンズユニットとの間で、データおよび/または制御信号を送受信可能である。
【0013】
シャッターユニット190は、いわゆるフォーカルプレーンシャッターである。シャッターユニット190は、ボディマウント150とCMOSイメージセンサー110との間に配置される。シャッターユニット190は、後述するシャッター駆動メカ191(図3参照)により、露光に必要なシャッター駆動を行う。
光学的ローパスフィルタ112は、被写体光の高周波成分を取り除く。具体的には、光学的ローパスフィルタ112は、レンズユニットにより結像する被写体像をCMOSイメージセンサー110の画素のピッチよりも荒い解像となるように分離する。一般的にCMOSイメージセンサー等の撮像素子は、各画素にベイヤー配列と呼ばれるRGB色のカラーフィルターやYCM色の補色カラーフィルターが配されている。従って、1画素に解像してしまうと偽色が発生するばかりでなく、繰り返しパターンの被写体では醜いモアレ現象が発生するため、光学的ローパスフィルタ112によって偽色やモアレ現象の発生を抑制することが好ましい。さらに光学的ローパスフィルタ112には、赤外光をカットするためのIrカットフィルタ機能も併せ持たせている。
【0014】
振動板113は、CMOSイメージセンサー110よりも前に配置され、CMOSイメージセンサー110への埃の付着を防ぐ。また、振動板113自身に付着した埃を振動により振り落とす。具体的には、振動板113は、透明の薄い板状部材であり、光学的ローパスフィルタ112の平面に貼り付けられており、不図示の圧電素子を介して光学素子保持部材114に固定されている。そして、振動板113は、交流電圧の印加による圧電素子の振動に伴って振動する。振動板113の前面には、酸化チタン等の透明な光触媒によって構成される防曇層が形成されている。
光学素子保持部材114は、CMOSイメージセンサー110に係る光学部材を保持することによって、それらをユニット化するための部材である。光学部材は、前から順に振動板113、光学的ローパスフィルタ112、カバーガラス111、CMOSイメージセンサー110、放熱板115を含む。本実施形態において、光学素子保持部材114および光学部材は、CMOSイメージセンサーユニット21(撮像素子ユニットの一例)を構成している。
【0015】
シャーシ12(ベース部材の一例)は、ボディマウント150、シャッターユニット190、CMOSイメージセンサーユニット21を支持する。ボディマウント150、シャッターユニット190、CMOSイメージセンサーユニット21は、シャーシ12にネジ締結される。本実施形態において、シャーシ12、ボディマウント150、シャッターユニット190およびCMOSイメージセンサーユニット21は、マウントユニット2を構成している。
(1−3:構成上の特徴)
図3、図4、図5を用いて、本発明の構成上の特徴を説明する。図3は、マウントユニット2の背面透視図である。図4は、図3のP-P断面図である。図5は、マウントユニット2の正面透視図である。
【0016】
撮像装置は、フランジバックの固体差を無くすことがカメラシステムとして必要条件であるところ、前述のように、ボディマウント150からCMOSイメージセンサー110の間には様々な部材が介在している。そのため、フランジバックおよび、CMOSイメージセンサー110の傾きを調整する必要が生じる。
本考案では、図3に示すように、シャーシ12へCMOSイメージセンサーユニット21をネジ締結するための構成として、放熱板115とシャーシ12のネジ被締結部115A、115B、115C(被締結部の一例)の3箇所で、いわゆる押し引きネジ構成が採用されている。そして、CMOSイメージセンサーユニット21は、ボディマウント150からの距離、及び傾きを調整できるように、ネジ被締結部115A、115B、115Cにおいて撮影者側からシャーシ12に締結されている。このように、フランジバックおよび、CMOSイメージセンサー110の傾き調整が可能である。
【0017】
続いて、シャッターユニット190の取り付け方法について説明する。
シャッターユニット190の前側には、図4に示すように、位置決めボス192、方向基準ボス193が形成され、それぞれのボスと同軸のネジ穴が設けられている。位置決めボス192および方向基準ボス193のそれぞれは、シャーシ12への嵌合代(すなわち、突出高さ)tを有する。シャーシ12には、位置決めボス192、方向基準ボス193に対応した凹および長凹が設けられている。図4に示すように、位置決めボス192が凹に嵌合および凹底面に当接され、かつ、方向基準ボス193が長凹に嵌合および長凹底面に当接されることで、シャッターユニット190がシャーシ12に対して位置決めされる。シャッターユニット190は、図4に示すように、シャーシ12の前側から2本のネジ部材200(締結部の一例)によってネジ締結されることでシャーシ12に固定される。ネジ部材200は、シャッターユニット190をシャーシ12に連結するネジ部200aと、ネジ部200aの先端に形成されネジ部200aを挿抜する際に操作されるネジ頭200bと、を有する。ネジ頭200bは、シャッターユニット190がシャーシ12に連結された状態で、ネジ部200aよりも被写体側に配置されている。
【0018】
さらに、図5に示すように、位置決めボス192および方向基準ボス193は、正面から見てボディマウント150の背面に配置している。従って、リジッドにシャーシ12に固定されるボディマウント150を取り外すことで、シャッターユニット190のネジ締結を緩めることが可能である。これによって、従来のようにシャッターユニット190を背面側から取り付ける必要がなくなり、ネジ被締結部をフォーカルプレーンシャッターが有するシャッター羽根の駆動範囲やシャッター駆動メカ部(「シャッター羽根を駆動するメカニズム」の一例)191を避けて、平面的に大きくする必要がなくなる。その結果、カメラ本体1を小型化することが可能となる。
次に、シャッターユニット190の取り外し方法について説明する。図6(A)〜(D)は、マウントユニット2の中央横断面図である。
【0019】
図6(A)に示すように、シャッターユニット190とMOSイメージセンサーユニット21の間には隙間Tが形成されている。隙間Tは、位置決めボス192および方向基準ボス193のシャーシ12への嵌合代t(図4参照)よりも大きい。すなわち、隙間Tと嵌合代tとの間にはT>tの関係が成立している。
そのため、図6(B)に示すように、シャーシ12に固定されるボディマウント150を取り外した後に、図6(C)に示すように、シャッターユニット190のネジ締結を緩めて、シャッターユニット190を図中矢印方向へ動かし、さらに、図6(D)に示すように、左へ引き抜くことでシャッターユニット190を取り外しても、CMOSイメージセンサー110のフランジバックおよび、傾き調整に影響を与えることはない。従って、製造工程においてシャッターユニット190の修理又は/及び交換が必要となった場合においても、CMOSイメージセンサー110のフランジバックおよび、傾きの再調整が必要なく、また、修理において調整設備の準備も必要ない。
【0020】
また、本考案では、図6(C)に示すように、シャッターユニット190のネジ締結を緩めることで、シャッターユニット190をCMOSイメージセンサー110のフランジバックおよび、傾き調整に影響を与えることなく取り外すことができる。
<従来形態>
以下において、従来のカメラ本体と本実施形態に係るカメラ本体1との構成を比較しながら説明する。図7は、従来のマウントユニットの背面透視図である。
従来は、フォーカルプレーンシャッターの羽根駆動範囲やシャッター駆動メカ191部を避けたネジ被締結部200,201でシャーシ12に背面からネジ締結している。さらに、放熱板115とシャーシ12を接続するためのネジ被締結部115A、115B、115Cの3箇所を、シャーシ12とシャッターユニット190のネジ被締結部200,201を設けるために、シャッターユニット190の外形外側に設ける必要があり、本考案と比較して平面的に大きくなってしまう。また、従来例では左方向に引き抜くことができず、フランジバックおよび、傾き調整したCMOSイメージセンサー110をも取り外す必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、カメラシステムに適用できる。具体的には、デジタルスチルカメラやムービーなどに適用可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 カメラ本体
2 マウントユニット
12 シャーシ
21 CMOSイメージセンサーユニット
110 CMOSイメージセンサー
111 カバーガラス
112 光学的ローパスフィルタ
113 振動板
120 表示装置
140 メイン回路基板
150 ボディマウント
151 電気接点
152 マウントバネ
190 フォーカルプレーンシャッターユニット
191 シャッター駆動メカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
交換レンズを取り付け可能なボディマウントと、
フォーカルプレーンシャッターユニットと、
前記フォーカルプレーンシャッターユニットを前記ベース部材に締結する締結部と、
を備え、
前記ボディマウント、前記ベース部材、前記フォーカルプレーンシャッターユニットは、被写体側から順に配置され、
前記フォーカルプレーンシャッターユニットは、前記締結部によって前記ベース部材側から前記ベース部材に締結されている、
カメラ本体。
【請求項2】
前記フォーカルプレーンシャッターユニットの被締結部は、被写体側から見て、前記ボディマウントに重なる位置に設けられている、
請求項1に記載のカメラ本体。
【請求項3】
撮像素子ユニットをさらに備え、
前記撮像素子ユニットは、前記ベース部材に対して前記ボディマウントからの距離及び傾きを調整可能に撮影者側から締結されている、
請求項1に記載のカメラ本体。
【請求項4】
前記フォーカルプレーンシャッターユニットはシャッター羽根と前記シャッター羽根を駆動するメカニズムを含み、
前記フォーカルプレーンシャッターユニットの被締結部は、前記メカニズムの近傍にある、
請求項2に記載のカメラ本体。
【請求項5】
ベース部材と、
交換レンズを取り付け可能なボディマウントと、
フォーカルプレーンシャッターユニットと、
前記フォーカルプレーンシャッターユニットを前記ベース部材に連結するネジ部と、前記ネジ部の先端に形成され前記ネジ部を挿抜する際に操作されるネジ頭とを有するネジ部材と、
を備え、
前記ボディマウント、前記ベース部材、前記フォーカルプレーンシャッターユニットは、被写体側から順に配置され、
前記ネジ頭は、前記フォーカルプレーンシャッターユニットが前記ベース部材に連結された状態で、前記ネジ部よりも前記被写体側に配置されている、
カメラ本体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−163947(P2012−163947A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−271048(P2011−271048)
【出願日】平成23年12月12日(2011.12.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】