説明

カメラ

【課題】マクロ撮影を確実かつ容易に実行する。
【解決手段】デジタルカメラは、通常撮影用レリーズボタンとマクロ撮影用レリーズボタンとを備え、それぞれユーザの右手で操作可能なように配置されている。通常撮影用レリーズボタンの半押しに応じて通常撮影範囲でオートフォーカスが実行され、マクロ撮影用レリーズボタン11の半押しに応じてマクロ撮影範囲でオートフォーカスが実行される。各レリーズボタンの半押し時にAF評価値のピークが検出されて被写体に合焦した場合であって各レリーズボタンが全押しされた場合には画像データの記録が実行される。一方、AF評価値のピークが検出されない場合には合焦不能と判断され、警告が発せられるとともに、各レリーズボタンの全押しは無効とされ、画像データの記録は実行されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常撮影モードと接写撮影を行うマクロ撮影モードとを有するカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動的に被写体にピントを合わせるオートフォーカス機能を備えたカメラが多く出回っており、このオートフォーカス機能によりユーザはクオリティの高い画像を簡単に取得することができる。デジタルカメラでは、例えば、画像データを基にして算出されたAF評価値が最も高くなるようにレンズの合焦調節を行うコントラスト方式が採用されている。
【0003】
一方、オートフォーカスの実行時、レンズを移動させながらAF評価値が最も高くなる位置を割り出す、いわゆるサーチが行われる。このサーチに掛かる時間を短縮化するため、無限遠位置から第1至近位置までの通常撮影範囲と、この第1至近位置よりも近い第2至近位置とこの第2至近位置よりも無限遠側の所定位置との間で定められたマクロ撮影範囲とに分けてサーチを行う方式がある。通常撮影範囲をサーチして被写体を撮影する通常撮影モードの他に、マクロ撮影範囲をサーチして被写体を撮影するマクロ撮影モードを備えたことで、数センチメートルの至近に位置する被写体にピントを合わせて撮影することが可能となっていた。このような機能の拡充とともにそれらを使いこなすための工夫もなされ(特許文献1参照)、特に特許文献2ではマクロ撮影を確実に実行するため、特定のスイッチを操作しながらレリーズスイッチを操作したときにマクロ撮影モードで画像データの記録を開始するデジタルカメラが示されている。
【特許文献1】特開兵11−305293号公報
【特許文献2】特開平11―119316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2に示されているように、ユーザによって操作されたときにマクロ撮影を許可するスイッチをデジタルカメラに備え、このスイッチが操作され、かつレリーズスイッチが操作されたときにマクロ撮影を実行する操作方法では、ユーザはマクロ撮影を許可するためのスイッチを操作しつつレリーズスイッチを操作しなければならず、2つの操作を同時に行わなければならないため使い難く感じることがあった。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、前述の通常撮影範囲とマクロ撮影範囲とでオートフォーカスを実行するカメラにおいて、マクロ撮影範囲の被写体を撮影するマクロ撮影を確実かつ容易に実行できるカメラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、第1至近位置とこの第1至近位置よりも遠い無限遠との間の通常撮影範囲に撮影レンズの焦点位置を合わせる通常撮影モードと、前記第1至近位置よりも近い第2至近位置とこの第2至近位置よりも前記無限遠側の所定位置との間のマクロ撮影範囲に撮影レンズの焦点位置を合わせるマクロ撮影モードとを有する本発明のカメラは、前記通常撮影モードで撮影を行う通常撮影用レリーズボタンと、前記マクロ撮影モードで撮影を行うマクロ撮影用レリーズボタンとを設けたことを特徴とする。
【0007】
なお、前記撮影レンズが合焦状態となるように前記焦点位置を自動で調節するオートフォーカス処理を行うオートフォーカス処理手段を備え、前記各レリーズボタンは、前記オートフォーカス処理手段に前記オートフォーカス処理の実行を指示する第1段操作と、この第1段操作からさらに押し込まれて撮影の実行を指示する第2段操作とを有することが好ましい。
【0008】
また、前記第1段操作がなされた前記各レリーズボタンに対応する前記各撮影範囲に合焦不能であると前記オートフォーカス処理手段が判断した際に、前記第1段操作がなされた前記各レリーズボタンの前記第2段操作による撮影の実行を禁止する撮影禁止手段を設けることが好ましい。
【0009】
さらに、前記第1段操作がなされた前記各レリーズボタンに対応する前記各撮影範囲に合焦不能であると前記オートフォーカス処理手段が判断した際に、警告を行う警告手段を設けることが好ましい。
【0010】
なお、前記通常撮影モードと前記マクロ撮影モードとを切り替えるモード切替手段と、前記モード切替手段によって前記通常撮影モードが選択された際に、前記マクロ撮影用レリーズボタンの操作を無効にし、前記モード切替手段によって前記マクロ撮影モードが選択された際に、前記通常撮影用レリーズボタンの操作を無効にするボタン操作制御手段とを設けることが好ましい。
【0011】
また、前記撮影レンズは、カメラボディの前面に設けられ、前記マクロ撮影用レリーズボタンは、カメラボディの背面に設けられることが好ましい。
【0012】
さらに、前記マクロ撮影用レリーズボタンは、前記カメラボディの背面かつ前記撮影レンズの略光軸上に設けられることが好ましい。
【0013】
なお、前記撮影レンズが結像した被写体像を光電変換して前記被写体像に応じた画像データを取得するイメージセンサと、前記画像データを表示する表示パネルとをカメラボディに設け、前記マクロ撮影用レリーズボタンは、前記表示パネルと同一面上に配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のカメラによれば、通常撮影モードで撮影を行う通常撮影用レリーズボタンと、マクロ撮影モードで撮影を行うマクロ撮影用レリーズボタンとを設けたので、マクロ撮影範囲の被写体を撮影するマクロ撮影を確実かつ容易に実行できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のカメラであるデジタルカメラの第1実施形態について図1を用いて説明する。デジタルカメラ2の前面にはストロボ発光部7、ファインダ対物窓8が配置されている。カメラボディ3には、撮影レンズ5を保持したレンズ鏡筒28が組み込まれている。撮影レンズ5は、例えば、フォーカスレンズを含む3群構成のものが用いられる。
【0016】
デジタルカメラ2の左側の端部上面には、通常撮影モードで撮影を行うための通常撮影用レリーズボタン10、マクロ撮影モードで撮影を行うためのマクロ撮影用レリーズボタン11、及び電源スイッチ6が設けられている。各レリーズボタン10、11は、2段階押しのボタンになっており、オートフォーカスなどの撮影準備処理を指示する半押しと、撮影の実行を指示する全押しとを有している。マクロ撮影用レリーズボタン11は、通常撮影用レリーズボタン10よりも中央より側縁から離されており、マクロ撮影用レリーズボタン11であることを示す、例えば「花」を象ったマークが付されている。また、通常撮影用レリーズボタン10にはノーマルの「N」のマークが付されている。
【0017】
図2に示すように、デジタルカメラ2の背面には表示パネルである液晶パネル13、ファインダ接眼窓15、切り替えスイッチ17、操作レバー20などが備えられ、液晶パネル13はカメラボディ3背面の略中央に配置されている。この液晶パネル13の上にはファインダ接眼窓15が配置され、ファインダ接眼窓15の横には、静止画像データを形成して記録メディアに記録する静止画撮影モード、記録メディアに記録された画像データを基に形成されたサムネイル画像を液晶パネル13に表示するリプレイモード、1秒当たり数十フレームの動画を撮影する動画撮影モード等のいずれかに定める切り替えスイッチ17が配置されている。切り替えスイッチ17の横にはズーム等を調節する際に上下操作される操作レバー20が配置され、操作レバー20の下には、フォトモードボタン22、液晶パネル13に表示されたメニューの選択や実行を行う際に押圧される選択/実行ボタン23、メニュー実行のキャンセル時等に押圧操作されるキャンセルボタン24が配置されている。
【0018】
図3に示すように、デジタルカメラ2には、CCDイメージセンサ30、CCDドライバ32、アナログ処理回路34、CPU36、ROM38、SDRAM40、デジタル処理回路42、AF検出回路43、メディアコントローラ50、モータドライバ52、圧縮処理回路54、ストロボ制御回路、LCDドライバ56、通常撮影用レリーズスイッチ60、マクロ撮影用レリーズスイッチ61等が備えられている。
【0019】
レンズ鏡筒28、モータ67、及びモータドライバ52によってレンズ制御部が構成される。レンズ鏡筒28に保持された撮影レンズ5は、モータ67の駆動によって、第1至近位置とこの第1至近位置よりも遠い無限遠との間の通常撮影範囲と、前記第1至近位置よりも近い第2至近位置とこの第2至近位置よりも前記無限遠側の所定位置との間のマクロ撮影範囲とに焦点位置が合わせられる。
【0020】
また、撮影レンズ5の焦点位置は、通常撮影モードでの撮影の際に通常撮影範囲内の所定の位置に合わせられ、マクロ撮影モードでの撮影の際にマクロ撮影範囲内の所定の位置に合わせられる。各撮影範囲は、例えば、通常撮影範囲は無限遠から50センチメートル、マクロ撮影範囲は6センチメートルから60センチメートルと予め定められているが、これらの撮影範囲はこの設定に限らず、適宜変更してよい。
【0021】
通常撮影用レリーズスイッチ60は通常撮影用レリーズボタン10の操作に応答して作動し、通常撮影用レリーズボタン10が半押し(第1段操作)されたときには第1半押し信号を出力し、通常撮影用レリーズボタン10が全押し(第2段操作)されたときには第1レリーズ信号を出力する。また、同様にマクロ撮影用レリーズスイッチ61はマクロ撮影用レリーズボタン11の操作に応答して作動し、マクロ撮影用レリーズボタン11が半押し(第1段操作)されたときには第2半押し信号を出力し、マクロ撮影用レリーズボタン11が全押し(第2段操作)されたときには第2レリーズ信号を出力する。
【0022】
被写体光を光電変換によって電気的な画像信号に変換するCCDイメージセンサ30は、CCDドライバ32から供給される駆動パルスによって駆動が制御されている。アナログ信号処理回路34は、相関二重サンプリング回路、増幅回路、A/D変換回路等から構成され、CCDイメージセンサ30から入力された画像信号に対してノイズ除去や、増幅処理、欠陥画素の補完処理などを施し、さらにアナログの画像信号を、所定ビット数のデジタル信号に変換し、画像データとして出力する。この画像データは、RAWデータであり、データバスを介して一旦SDRAM40に格納される。なお、スルー画像を取得するときにもアナログ処理回路34からは画素数が減らされたRAWデータが出力され、LCDドライバ56を介してスルー画像が液晶パネル13に表示される。
【0023】
デジタル処理回路42では、各レリーズスイッチ60、61から第1、第2レリーズ信号が入力されたとき、SDRAM30から読み出された1画面分の画像データ(RAWデータ)に所定の信号処理などを施す。圧縮処理回路54はRAWデータに対して各種補正処理を施し、さらにYC分離処理を施して輝度信号(Y)と色差信号(Cb、Cr)とからなるYCデータとして出力し、画質設定に応じてYCデータにさらにJPEG形式などの圧縮処理を施した画像データを出力する。圧縮処理回路54から出力された画像データは、メディアコントローラ50に送られる。メディアコントローラ50は、記録メディア65にアクセスして画像データを書き込み、これにより記録メディア65に画像データが保存される。
【0024】
ROM38は、例えば不揮発性のフラッシュメモリで構成され、デジタルカメラ2を制御するための制御プログラム等を記憶している。CPU36は適宜ROM38からプログラムを読み出して実行する。なお、CPU38はその他の電子回路全般の制御も行っている。
【0025】
LCDドライバ56は、液晶パネル13の駆動を制御しており、例えば、切り替えスイッチ17が静止画撮影モードにセットされているときには、アナログ処理回路34からのRAWデータを処理して被写体画像が所定のフレームレートで間欠的に更新されるスルー画像を液晶パネル13に表示させる。
【0026】
AF検出回路43は、いわゆるコントラスト方式のAF制御を行っており、デジタル処理回路42で形成された画像データを基に画像のコントラストを評価するためのAF評価値を算出する。AF評価値は、例えば、画像内から抽出された特定領域内の画像データの輝度値などから算出される。
【0027】
AFは通常撮影範囲とマクロ撮影範囲とで実行可能となっており、例えばフォーカスレンズを移動させて無限遠から至近、もしくは至近から無限遠に向かって探索(サーチ)し、この間にAF検出回路43によってAF評価値が算出されており、このAF評価値が最大となるポイントにフォーカスレンズが配置される。
【0028】
通常撮影用レリーズスイッチ60から第1半押し信号がCPU36に入力されたとき、これに応答して通常撮影範囲内のサーチが実行されて通常撮影範囲内の被写体に対してピント合わせが行われる。通常撮影範囲内のサーチでAF評価値がピークとなる位置が検出された場合は、この位置にフォーカスレンズが配置され、CPU36は画像データの記録を許可する。これにより、通常撮影用レリーズスイッチ60から第1レリーズ信号が入力されたとき、メディアコントローラ50は記録メディア65に画像データを書き込むことが可能となる。
【0029】
マクロ撮影用レリーズスイッチ61からの第2半押し信号がCPU36に入力されたとき、これに応答してマクロ撮影範囲内のサーチが実行されてマクロ撮影範囲内の被写体に対してピント合わせが行われる。マクロ撮影範囲内のサーチでAF評価値がピークとなる位置が検出された場合は、この位置にフォーカスレンズが配置され、CPU36は画像データの記録を許可する。これにより、マクロ撮影用レリーズスイッチ61から第2レリーズ信号が入力されたとき、メディアコントローラ50は記録メディア65に画像データを書き込むことが可能となる。
【0030】
第2半押し信号がCPU36に入力されたときに実行されるピント合わせにおいて、AF評価値のピークが検出されず、マクロ撮影範囲の無限遠側に向かってAF評価値が漸増している場合は、合焦不能と判断され、CPU36は撮影の実行を禁止する。さらに、デジタルカメラ2に備えられたスピーカ68から警告音が出力され、液晶パネル13に通常撮影用レリーズボタン10の押圧を促すメッセージが表示される。また、第1半押し信号が入力されたときに実行されるピント合わせにおいて、AF評価値のピークが検出されず通常撮影範囲の至近側に向かってAF評価値が漸増している場合は被写体に合焦不能と判断され、CPU36は撮影の実行を禁止する。さらに、デジタルカメラ2に備えられたスピーカ68から警告音が出力され、液晶パネル13にマクロ撮影用レリーズボタン11の押圧を促すメッセージが表示される。
【0031】
次に、本発明の作用について図4を用いて説明する。デジタルカメラ2の電源がオンされると液晶パネル13には被写体の画像が一定期間ごとに更新されるスルー画像が表示される。デジタルカメラ2の一方の側端の上部には通常撮影用レリーズボタン10、及びマクロ撮影用レリーズボタン11が並べて配置されており、各レリーズボタン10、11はユーザの右手によって押圧操作可能となっている。このように、各レリーズボタン10、11を設けることにより、各撮影モードの切り替えなどを行うことなく撮影を行うことができるので、マクロ撮影を確実かつ容易に実行することができる。
【0032】
通常撮影用レリーズボタン10が半押しされると通常撮影範囲でサーチが行われ、AF評価値のピークとなる位置が探索される。通常撮影範囲内にAF評価値のピークが検出された場合には、そのピーク位置にフォーカスレンズが配置され、通常撮影用レリーズボタン10の全押しに応答して被写体の画像データが記録メディア65に記録される。
【0033】
一方、通常撮影範囲内にAF評価値のピークが検出されなかった場合、CPU36は、通常撮影用レリーズボタン10の全押しによる第1レリーズ信号を受け付けないようにすることにより、通常撮影モードでの撮影の実行を禁止する。また、これと同時に、液晶パネル13にマクロ撮影用レリーズボタン11の押圧を促すメッセージが表示するとともにスピーカ68から警告音が出力し、誤った撮影範囲のレリーズボタンが押圧されたことをユーザに報知する。
【0034】
マクロ撮影用レリーズボタン11が半押しされると、至近側の位置が通常撮影範囲よりも近いマクロ撮影範囲でサーチが行われ、AF評価値のピークとなる位置が探索される。マクロ撮影範囲内にAF評価値のピークが検出された場合には、そのピーク位置にフォーカスレンズが配置され、マクロ撮影用レリーズボタン11の全押しに応答して被写体の画像データが記録メディア65に記録される。一方、マクロ撮影範囲内にAF評価値のピークが検出されなかった場合には、通常撮影時と同様に、マクロ撮影モードでの撮影実行の禁止と、警告とが行なわれる。これにより、誤った撮影モードで撮影が実行されることを防止することができるとともに、誤った撮影モードの各レリーズボタン10、11を押圧したことをユーザに気付かせることができる。
【0035】
なお、本例では、各レリーズボタン10、11の全押しによるレリーズ信号をCPU36が受け付けないようにすることによって撮影の実行を禁止するようにしているが、これに限ることなく、例えば、各レリーズボタン10、11の押圧を機械的に阻止することによって、撮影の実行を禁止するようにしてもよい。また、本例では、液晶パネル13による映像とスピーカ68による音声とによって警告を行うようにしているが、これに限ることなく、例えば、LEDなどを発光させることによって光で警告を行うようにしてもよいし、振動モータなどによって振動で警告を行うようにしてもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、デジタルカメラ2の一方の側端の上部に通常撮影用レリーズボタン10及びマクロ撮影用レリーズボタン11を並べて配置したが、マクロ撮影用レリーズボタン11の配置はこれに限らず、カメラボディの背面に備えてもよい。図5に示すように、デジタルカメラ80の前面には、撮影レンズ83、ファインダ対物窓85、ストロボ発光部87などが備えられ、撮影レンズ83はレンズ鏡筒88によって保持されている。レンズ鏡筒88はカメラボディ81に組み込まれており、例えば、前方に突出した突出位置とカメラボディ81内に収納された収納位置との間で撮影レンズ83の光軸に沿って沈胴する。デジタルカメラ2の上面には通常撮影用レリーズボタン90等が配置されている。
【0037】
図6に示すように、デジタルカメラ80背面にはファインダ接眼窓91、表示パネルである液晶パネル93、十字操作キー95、マクロ撮影用レリーズボタン97が配置されている。マクロ撮影用レリーズボタン97は液晶パネル93の右側近傍に配置され、例えば、ユーザの右手親指で押圧操作可能となっている。マクロ撮影用レリーズボタン97が半押しされるとマクロ撮影範囲内の被写体にピントが合わせられ、マクロ撮影用レリーズボタン97が全押しされると画像データの記録が開始される。このように、マクロ撮影用レリーズボタン97を液晶パネル93の周囲に配置したことで、ユーザは液晶パネル93を見ながらマクロ撮影用レリーズボタン97を視認することができ、マクロ撮影用レリーズンボタン97を確実に操作することができる。
【0038】
また、マクロ撮影用レリーズボタンはカメラボディの背面であってレンズの略光軸上に位置するように配置してもよい。図7に示すように、撮影レンズ103を保持するレンズ鏡筒105は、カメラボディ101の右端寄りに備えられ、撮影レンズ103の光軸方向に沿って沈動自在となっている。カメラボディ101の左端部の上部には通常撮影用レリーズボタン107が配置され、ユーザの右手で押圧操作できるようになっている。
【0039】
図8に示すように、カメラボディ101の背面には、液晶パネル111、十字操作キー113、マクロ撮影用レリーズボタン115が備えられている。マクロ撮影用レリーズボタン115はカメラボディ101背面の左側寄りであって、撮影レンズ103の略光軸上に配置されている。これにより、マクロ撮影用レリーズボタン115はユーザの左手親指で操作可能となっており、マクロ撮影用レリーズボタン115の押圧方向は光軸方向にほぼ一致する。マクロ撮影用レリーズボタン115を、カメラボディ101の背面であって撮影レンズ103の略光軸上に配置したことで、マクロ撮影用レリーズボタン115の押圧時に光軸と略垂直をなす方向へのカメラボディのぶれが低減され、よりクオリティの高い画像を取得することができる。また、ユーザは右手で通常撮影用レリーズボタン107を操作し、左手でマクロ撮影用レリーズボタン115を操作できるため、それぞれの手に対し1つずつレリーズボタンを対応付けることができ、通用撮影用レリーズボタン107及びマクロ撮影用レリーズボタン115を混同することなく操作させることができる。
【0040】
また、上記第1実施形態では、通常撮影用レリーズスイッチ60及びマクロ撮影用レリーズスイッチ61がオンされたとき、これに応答して通常撮影範囲もしくはマクロ撮影範囲がサーチされて被写体にピントが合わせられて画像データの記録が実行されたが本発明はこれに限らない。以下に、通常撮影範囲内の被写体に対してピント合わせを行う通常撮影モードとマクロ撮影範囲内の被写体に対してピント合わせを行うマクロ撮影モードとを備え、モードが決定された後に通常撮影用レリーズスイッチもしくはマクロ撮影用レリーズスイッチがオンされるようにした第2実施形態について示す。なお、第1実施形態と同じ部分については同様の符号を付して詳しい説明は省略する。
【0041】
図9に示すように、デジタルカメラ120は、通常撮影モードとマクロ撮影モードとを切り替えるためにユーザによって操作されるモード切替スイッチ(モード切替手段)130、モード切替スイッチ130の切替信号に応じて通常撮影モードとマクロ撮影モードとを切り替えるモード制御回路122を備えている。
【0042】
図10に示すように、CPU135は、電源がオンされると、モード切替スイッチ130が通常撮影モードに設定されているかマクロ撮影モードに設定されているかを確認する。マクロ撮影モードに設定されていることを確認したCPU135は、通常撮影用レリーズスイッチ131からの各信号を受け付けないようにすることにより、通常撮影用レリーズボタンの操作を無効にする。一方、通常撮影モードに設定されていることを確認したCPU135は、マクロ撮影用レリーズスイッチ132からの各信号を受け付けないようにすることにより、マクロ撮影用レリーズボタンの操作を無効にする。
【0043】
このように、通常撮影モードとマクロ撮影モードとを切り替えるモード切替スイッチ130を備え、設定された撮影モードのレリーズボタンだけを有効にすることにより、誤った撮影モードでの撮影を確実に防止することができる。なお、この際、操作を向こうにするだけでなく、設定されていない撮影モードのレリーズボタンが操作された際に、警告などを行うようにしてもよい。
【0044】
また、上記各実施形態では、CCDイメージセンサ30からの画像信号を基に画像データを形成するデジタルカメラを例示したが、本発明はこれに限らず、写真フイルムを用いた銀塩カメラに用いることもできる。例えば、位相差方式のオートフォーカス機能を備えた銀塩カメラに通常撮影用レリーズスイッチとマクロ撮影用レリーズスイッチとを備え、通常撮影用レリーズスイッチからのレリーズ信号の入力に応答してシャッタが作動して写真フイルムを露光し、もしくはマクロ撮影用レリーズスイッチからのレリーズ信号の入力に応答してシャッタが作動して写真フイルムを露光する。このように銀塩カメラに通常撮影用レリーズスイッチとマクロ撮影用レリーズスイッチとを備えたことで、撮影の失敗を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明のカメラであるデジタルカメラの外観を前方から観察した外観斜視図である。
【図2】デジタルカメラの背面を示す外観斜視図である。
【図3】デジタルカメラの電気的な構成について概略的に示したブロック図である。
【図4】本発明のデジタルカメラを用いて行われる撮影のフローチャートである。
【図5】液晶パネルの傍にマクロ撮影用のマクロ撮影用レリーズスイッチを設けたデジタルカメラを正面から観察した斜視図である。
【図6】液晶パネルの傍にマクロ撮影用のマクロ撮影用レリーズスイッチを設けたデジタルカメラの背面斜視図である。
【図7】カメラボディの背面であってレンズ鏡筒の後背にマクロ撮影用レリーズスイッチを備えたデジタルカメラを正面から観察した斜視図である。
【図8】カメラボディの背面であってレンズ鏡筒の後背にマクロ撮影用レリーズスイッチを備えたデジタルカメラの背面斜視図である。
【図9】通常撮影モードとマクロ撮影モードとを備えたデジタルカメラのブロック図である。
【図10】通常撮影モードとマクロ撮影モードとを備えたカメラで行われる撮影のフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
2 デジタルカメラ(カメラ)
3 カメラボディ
5 撮影レンズ
10 通常撮影用レリーズボタン
11 マクロ撮影用レリーズボタン
13 液晶パネル(表示パネル)
30 CCDイメージセンサ
36 CPU(撮影禁止手段)
43 AF検出回路(オートフォーカス処理手段)
60 通常撮影用レリーズスイッチ
61 マクロ撮影用レリーズスイッチ
68 スピーカ(警告手段)
130 モード切替スイッチ(モード切替手段)
135 CPU(ボタン操作制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1至近位置とこの第1至近位置よりも遠い無限遠との間の通常撮影範囲に撮影レンズの焦点位置を合わせる通常撮影モードと、前記第1至近位置よりも近い第2至近位置とこの第2至近位置よりも前記無限遠側の所定位置との間のマクロ撮影範囲に撮影レンズの焦点位置を合わせるマクロ撮影モードとを有するカメラにおいて、
前記通常撮影モードで撮影を行う通常撮影用レリーズボタンと、
前記マクロ撮影モードで撮影を行うマクロ撮影用レリーズボタンとを設けたことを特徴とするカメラ。
【請求項2】
前記撮影レンズが合焦状態となるように前記焦点位置を自動で調節するオートフォーカス処理を行うオートフォーカス処理手段を備え、
前記各レリーズボタンは、前記オートフォーカス処理手段に前記オートフォーカス処理の実行を指示する第1段操作と、この第1段操作からさらに押し込まれて撮影の実行を指示する第2段操作とを有することを特徴とする請求項1記載のカメラ。
【請求項3】
前記第1段操作がなされた前記各レリーズボタンに対応する前記各撮影範囲に合焦不能であると前記オートフォーカス処理手段が判断した際に、前記第1段操作がなされた前記各レリーズボタンの前記第2段操作による撮影の実行を禁止する撮影禁止手段を設けたことを特徴とする請求項2記載のカメラ。
【請求項4】
前記第1段操作がなされた前記各レリーズボタンに対応する前記各撮影範囲に合焦不能であると前記オートフォーカス処理手段が判断した際に、警告を行う警告手段を設けたことを特徴とする請求項2又は3記載のカメラ。
【請求項5】
前記通常撮影モードと前記マクロ撮影モードとを切り替えるモード切替手段と、
前記モード切替手段によって前記通常撮影モードが選択された際に、前記マクロ撮影用レリーズボタンの操作を無効にし、前記モード切替手段によって前記マクロ撮影モードが選択された際に、前記通常撮影用レリーズボタンの操作を無効にするボタン操作制御手段とを設けたことを特徴とする請求項1記載のカメラ。
【請求項6】
前記撮影レンズをカメラボディの前面に設け、前記マクロ撮影用レリーズボタンをカメラボディの背面に設けたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のカメラ。
【請求項7】
前記マクロ撮影用レリーズボタンを前記カメラボディの背面かつ前記撮影レンズの略光軸上に設けたことを特徴とする請求項6記載のカメラ。
【請求項8】
前記撮影レンズが結像した被写体像を光電変換して前記被写体像に応じた画像データを取得するイメージセンサと、前記画像データを表示する表示パネルとをカメラボディに設け、
前記マクロ撮影用レリーズボタンを前記表示パネルと同一面上に配置したことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−118367(P2008−118367A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−299149(P2006−299149)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】