説明

カメラ

【課題】記録手段に記録されている各々の撮影画像について、記録媒体に複製が存在するか否かを知ることができるカメラを提供する。
【解決手段】撮影が行われると、記録可否判定部17dにより、画像ファイルを第1記録媒体23へ記録することが可能か不可能かの判定が行われる。画像記録部17bは、記録可否判定部17dの判定結果に応じて、画像ファイルを第1記録媒体23および第2記録媒体25の両方か、あるいは第2記録媒体25にのみ記録するかを決める。バックアップ情報記録部17eは、画像記録部17bが第1記録媒体23と第2記録媒体25の両方に記録した画像ファイルの一覧を記録する。撮影の際、第2記録媒体25の空き容量が不足し、画像ファイルを記録できない時、画像削除部17fは第2記録媒体25に記録されている画像ファイルのうち第1記録媒体23と第2記録媒体25の両方に記録されたファイルを削除し、空き容量を確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機能を有するカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
電子カメラにより撮影した撮影画像を、外部の端末へ通信回線を用いて転送する技術が知られている(例えば特許文献1)。この電子カメラは外付けの無線アダプタを有し、撮影が行われる度に、撮影画像を可搬性の記録媒体に記録すると共に、撮影画像を無線アダプタへ送信する。無線アダプタは、撮影画像を通信用のバッファメモリへ記録し、このバッファメモリ内の撮影画像を外部の管理装置へ送信する。バッファメモリの容量が不足した場合には、バッファメモリ中の撮影画像のうち最も古い撮影画像が削除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−38615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された電子カメラにおいて、例えば記録媒体の容量を使い切ったり、記録媒体を交換するために電子カメラから取り外した等、記録媒体へ記録できない状態で撮影を行う場合、通信用のバッファメモリにのみ撮影画像が記録されることになる。バッファメモリ中の撮影画像はいずれ削除されてしまうにも係わらず、その撮影画像が記録媒体にも記録されている撮影画像なのか、あるいはバッファメモリにしか記録されていない撮影画像なのかを区別することができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、被写体を撮像し画像信号を出力する撮像手段と、前記画像信号を記録可能な記録手段と、前記記録手段に記録されている画像信号を、画像信号を管理するための外部の管理装置へ転送する転送手段と、記録媒体が着脱可能に取り付けられる取付手段と、前記撮像手段が出力した画像信号を前記記録媒体へ記録可能か記録不可能かを判定する判定手段と、前記判定手段が前記記録可能と判定した場合には、前記撮像手段が出力した画像信号を前記記録手段および前記記録媒体の両方へ記録し、前記判定手段が前記記録不可能と判定した場合には、前記撮像手段が出力した画像信号を前記記録手段へ記録し前記記録媒体には記録しない第1の記録制御手段と、前記撮像手段の出力した画像信号が前記第1の記録制御手段により前記記録手段および前記記録媒体の両方へ記録されたか否かを表すバックアップ有無情報を前記記録手段へ記録する第2の記録制御手段と、を備えることを特徴とするカメラである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、記録手段に記録されている各々の撮影画像について、記録媒体に複製が存在するか否かを知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施の形態によるカメラと、カメラと協調して動作する管理装置とを示す図である。
【図2】第1の実施の形態によるカメラ1の詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施の形態による管理装置2の詳細な構成を示すブロック図である。
【図4】バックアップ有無情報ファイルの構造を示す図である。
【図5】通信部17cが管理装置2へ送信するファイルリストを示す図である。
【図6】表示装置37へ表示される画面を示す図である。
【図7】カメラ1の通信モードにおける撮影処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態によるカメラと、カメラと協調して動作する管理装置とを示す図である。1台の管理装置2に対し、1つ以上のカメラ1が、無線LANネットワーク3を介して接続される。各々のカメラ1から管理装置2へ、撮影画像データを含む画像ファイルやそのサムネイル画像データが管理装置2へ転送される。管理装置2は、カメラ1から受信した撮影画像データやサムネイル画像データを後述する表示装置へ表示する。
【0009】
図2は、第1の実施の形態によるカメラ1の詳細な構成を示すブロック図である。カメラ1は、撮影レンズ11,撮像素子12,焦点調節装置13,入力装置14,通信回路15,無線アンテナ16,制御回路17,DRAM18,フラッシュメモリ19,LCD駆動回路20,液晶モニタ21,第1メモリカードインタフェース(I/F)22,および第2メモリカードI/F24を備える。第1メモリカードI/F22には第1記録媒体23が、第2メモリカードI/F24には第2記録媒体25が装着される。
【0010】
撮影レンズ11は、フォーカスレンズを含む光学系であり、被写体像を撮像素子12の撮像面上に結像させる。撮像素子12は、画素に対応する複数の光電変換素子を備えたCCDやCMOSイメージセンサによって構成される。撮像素子12は、撮像面上に結像されている被写体像を撮像し、被写体像の明るさに応じた光電変換信号(画像信号)を制御回路17へ出力する。撮像素子12の撮像面には、それぞれR(赤)、G(緑)およびB(青)のカラーフィルタが画素位置に対応するように設けられている。撮像素子12がカラーフィルタを通して被写体像を撮像するため、各撮像素子から出力される画像信号は、それぞれRGB表色系の色情報を有する。
【0011】
焦点調節装置13は、制御回路17から出力される焦点評価値に基づいて、焦点評価値が最大となる位置へ撮影レンズ11を移動する。焦点評価値は、制御回路17が撮像素子12から出力される撮像信号に基づいて行う周知の焦点評価値演算の演算結果である。
【0012】
入力装置14は、レリーズボタン(不図示)などの種々の操作ボタンを含み、操作者による各操作ボタンの操作信号を制御回路17へ出力する。通信回路15は、制御回路17が管理装置2と無線通信を行うための回路であり、無線アンテナ16が接続されている。
【0013】
DRAM18は、画像処理、画像圧縮処理および表示用画像データ作成処理の途中や処理後のデータを一時的に格納するために使用される。表示用画像データは、制御回路17が撮像素子12からの出力に基づいて生成した画像データ、もしくは記憶媒体に記録されている画像データに基づいて、制御回路17により生成される。生成された表示用画像データは、制御回路17によりDRAM18に格納される。フラッシュメモリ19は、前述した制御回路17が実行する制御プログラムなどが記録された不揮発性メモリである。
【0014】
LCD駆動回路20は制御回路17の命令に基づいて液晶モニタ21を駆動し、液晶モニタ21はDRAM18に格納された表示用画像データに基づいて画像を表示する。また、液晶モニタ21は、カメラ1の各種設定メニュー画面の表示を行なう。第1メモリカードI/F22は第1記録媒体23の読み書きを行うためのインタフェース回路であり、第2メモリカードI/F24は第2記録媒体25の読み書きを行うためのインタフェース回路である。
【0015】
制御回路17は例えばRISC等で構成された回路であり、フラッシュメモリ19から所定の制御プログラムを読み込んで実行することによって、図2に示した各部の制御を行う。制御回路17はソフトウェア形態により撮像制御部17a,画像記録部17b,通信部17c,記録可否判定部17d,バックアップ情報記録部17e,および画像削除部17fを備える。これらの各部は、制御回路17がフラッシュメモリ19に記録されている所定の制御プログラムを実行することにより、ソフトウェア的に実現される。
【0016】
撮像制御部17aは、画像データを作成してDRAM18へ格納する。操作者がレリーズボタンを押下すると、入力装置14から制御回路17へ入力信号が出力される。撮像制御部17aはこの入力信号に応じて撮像素子12に撮像を行わせると共に、撮像素子12が出力する画像信号に対して種々の画像処理を行い画像データを作成する。
【0017】
画像記録部17bは、撮像制御部17aにより作成された画像データに対してJPEGなどの所定の方式により圧縮処理を行い、EXIFなどの形式の画像ファイルとして第1記録媒体23および第2記録媒体25へ記録する。このとき記録される画像ファイルには、撮像制御部17aにより作成された画像データを所定のサイズに縮小したサムネイル画像データが含まれる。通信部17cは、通信回路15を介して管理装置2との通信を行う。
【0018】
記録可否判定部17dは、第1メモリカードI/F22を介して第1記録媒体23の状態を調べ、第1記録媒体23へ画像ファイルを記録可能か記録不可能かを判定する。例えば、第1メモリカードI/F22へ第1記録媒体23が取り付けられていない場合、ならびに、第1メモリカードI/F22へ取り付けられている第1記録媒体23に十分な空き容量が存在しない場合に、記録可否判定部17dは画像ファイルを記録不可能であると判定する。
【0019】
バックアップ情報記録部17eは、第2記録媒体25へバックアップ有無情報を記録する。なおバックアップ有無情報については後に詳述する。画像削除部17fは、第2記録媒体25に記録されている画像ファイルのうち所定条件を満たす画像ファイルを少なくとも1つ削除し、第2記録媒体25の空き容量を確保する。この所定条件については後に詳述する。
【0020】
図3は、第1の実施の形態による管理装置2の詳細な構成を示すブロック図である。管理装置2は、入力装置31,通信回路32,無線アンテナ33,制御回路34,DRAM35,フラッシュメモリ36,表示装置37,およびHDD38を備える。
【0021】
入力装置31は例えばキーボードやマウス等の入力デバイスである。通信回路32は、制御回路34がカメラ1と無線通信を行うための回路であり、無線アンテナ33が接続されている。DRAM35は、制御回路34が実行する制御プログラムの作業領域として用いられる記憶装置である。フラッシュメモリ36は、前述した制御回路34が実行する制御プログラムなどが記録された不揮発性メモリである。表示装置37は例えば液晶モニタなどの表示装置であり、制御回路34により種々の画像やメッセージが表示される。HDD38は制御回路34が実行する制御プログラムや画像ファイル等が記録される記録装置である。
【0022】
制御回路34は例えばRISC等で構成された回路であり、フラッシュメモリ36およびHDD38から所定の制御プログラムを読み込んで実行することによって、図3に示した各部の制御を行う。制御回路34はソフトウェア形態により通信部34a,およびサムネイル表示部34bを備える。これらの各部は、制御回路34が所定の制御プログラムを実行することにより、ソフトウェア的に実現される。通信部34aは、通信回路32を介してカメラ1との通信を行う。サムネイル表示部34bは、通信部34aにより受信されたサムネイル画像データを表示装置37へ表示する。
【0023】
次に、カメラ1の動作モードについて説明する。カメラ1は動作モードとして通常モードと通信モードとを有し、いずれか一方の動作モードで動作する。カメラ1の操作者は、入力装置14を用いてカメラ1の動作モードを変更することが可能である。カメラ1の操作者によりカメラ1の動作モードが通信モードに設定されると、カメラ1は後述する通信動作を開始する。なお、第2記録媒体25が装着されていない場合、カメラ1を通信モードに設定することはできない。また、通信モードに設定されている間、カメラ1から第2記録媒体25を取り外すことは禁止される。
【0024】
カメラ1が通信モードに設定されているとき、カメラ1を用いた撮影が行われると、記録可否判定部17dにより、撮影画像データを格納した画像ファイルを第1記録媒体23へ記録することが可能か不可能かの判定が行われる。例えば、第1記録媒体23が第1メモリカードI/F22へ装着されていない場合や、第1記録媒体23の空き容量が記録しようとしている画像ファイルのサイズよりも小さい場合には、記録可否判定部17dは記録不可能であると判定する。画像記録部17bは、記録可否判定部17dが記録可能であると判定した場合には撮影画像データを格納した画像ファイルを第1記録媒体23および第2記録媒体25の両方に記録する。他方、記録可否判定部17dが記録不可能であると判定した場合には、記録可否判定部17dは画像ファイルを第2記録媒体25にのみ記録する。
【0025】
カメラ1が通信モードに設定された時、バックアップ情報記録部17eは第2記録媒体25にバックアップ有無情報ファイルを作成する。このファイルには、第2記録媒体25に格納されている画像ファイルのうち、画像記録部17bが第1記録媒体23にも記録した画像ファイルの一覧が格納される。バックアップ有無情報ファイルは作成された当初は空のファイルである。画像記録部17bにより画像ファイルが第1記録媒体23と第2記録媒体25とへ記録される度に、バックアップ情報記録部17eによりバックアップ有無情報ファイルが更新される。
【0026】
図4は、バックアップ有無情報ファイルの構造を示す図である。バックアップ有無情報ファイル40には、第1記録媒体23と第2記録媒体25の両方に記録された画像ファイルのファイル名が格納される。例えば図4の最上行41には、「DSC_0004.JPG」というファイル名の画像ファイルが、第1記録媒体23と第2記録媒体25の両方に記録されたことが示されている。
【0027】
カメラ1が通信モードに設定された状態で撮影を繰り返すと、第2記録媒体25には画像ファイルが次々に作成され、第2記録媒体25の空き容量は減少する。撮影の際、第2記録媒体25の空き容量が不足し、そのままでは画像ファイルを記録できない時、画像削除部17fは第2記録媒体25に記録されている画像ファイルを削除し、これから記録しようとしている画像ファイルに対し十分な空き容量を確保する。画像削除部17fが画像ファイルを削除すると、バックアップ情報記録部17eは削除された画像ファイルのファイル名を、第2記録媒体に記録されているバックアップ有無情報ファイル40から削除する。
【0028】
画像削除部17fは削除する画像ファイルを決定するために、第2記録媒体25に記録されているバックアップ有無情報ファイル40を参照する。そして、第2記録媒体25に記録されている画像ファイルのうち、バックアップ有無情報ファイル40に含まれる画像ファイルのみを削除対象とする。すなわち、第1記録媒体23に記録されず、第2記録媒体25にのみ記録された画像ファイルは、削除対象としない。画像削除部17fは、削除対象となった画像ファイルのうちもっとも撮影日時が古いものから、十分な空き容量が確保されるまで順に削除する。
【0029】
次に、カメラ1と管理装置2との通信について説明する。通信モードに設定されたカメラ1は、まず「ファイルリスト更新通知」を管理装置2へ送信する。「ファイルリスト更新通知」を受信した管理装置2は、この通知の送信元のカメラ1へ「ファイルリスト取得要求」を送信する。カメラ1は「ファイルリスト取得要求」に応じて、第2記録媒体25に記録されている画像ファイルのファイルリストを作成し、管理装置2へ送信する。
【0030】
図5は、通信部17cが管理装置2へ送信するファイルリストを示す図である。図5に示すようにファイルリスト50は、第2記録媒体25に記録されている画像ファイルのファイル名51の一覧と、各々の画像ファイルの撮影日時52と、から構成されるリストである。例えば図5に示すファイルリスト50の最上行53には、第2記録媒体25に「DSC_0001.JPG」という画像ファイルが記録されていること、ならびに、この画像ファイルの撮影日時が「2007/06/06 13:24:35」であることが示されている。
【0031】
ファイルリスト50を受信した管理装置2は、ファイルリスト50に含まれる各々の画像ファイルについて、「サムネイル画像取得要求」をカメラ1へ送信する。カメラ1はこれに応じて、各々の「サムネイル画像取得要求」に対応する画像ファイルからサムネイル画像データを取り出し、管理装置2へ送信する。管理装置2は受信したサムネイル画像データに基づき、表示装置37へサムネイル画像を表示する。
【0032】
図6は、表示装置37へ表示される画面を示す図である。画面60は上部のサムネイル表示部60aと、下部のファイル情報表示部60bと、から構成される。サムネイル表示部60aにはカメラ1から受信したサムネイル画像データに基づくサムネイル画像62が複数表示されている。管理装置2の操作者は、サムネイル画像62の各々に対応する画像ファイルのうち、いずれか1つを選択することが可能である。選択されている画像ファイルに対応するサムネイル画像62の周囲には、矩形のカーソル61が表示される。
【0033】
ファイル情報表示部60bには、現在選択されている画像ファイルの情報と、ファイル取得ボタン64と、が表示される。図6では、画像ファイルの情報として、画像ファイルを作成したカメラ1の装置名、画像ファイルのファイル名、ならびに、画像ファイルの撮影日時が表示されている。
【0034】
管理装置2の操作者が入力装置31を用いてファイル取得ボタン64を押下すると、管理装置2は現在選択されている画像ファイルの「ファイル取得要求」をカメラ1へ送信する。カメラ1はこれに応じて、第2記録媒体25に記録されている、「ファイル取得要求」に対応する画像ファイルを管理装置2へ送信する。管理装置2は受信した画像ファイルをHDD38に格納すると共に、この画像ファイルに対応するサムネイル画像62の左上隅にファイル取得済みマーク63を表示する。HDD38に格納された画像ファイルは、管理装置2上で表示や編集が可能である。
【0035】
カメラ1は、画像記録部17bによる第2記録媒体25への新しい画像ファイルの記録や、画像削除部17fによる第2記録媒体25からの画像ファイルの削除など、第2記録媒体25に記録されている画像ファイルが変化する度に、管理装置2へ「ファイルリスト更新通知」を送信する。管理装置2は「ファイルリスト更新通知」を受信すると、前述の場合と同様にファイルリストおよびサムネイル画像を取得し、表示装置37の画面を更新する。具体的には、新しく作成された画像ファイルに対応するサムネイル画像を画面に追加表示したり、削除された画像ファイルに対応するサムネイル画像を画面から削除したりする。
【0036】
図7は、カメラ1の通信モードにおける撮影処理のフローチャートである。まずステップS11では記録可否判定部17dが、第1記録媒体23が取り付け済みか否かを判定する。第1記録媒体23が取り付けられていない場合にはステップS14へ進む。他方、第1記録媒体23が取り付けられている場合にはステップS12へ進む。ステップS12では、記録可否判定部17dが、これから記録しようとしている画像ファイルに対し十分な空き容量が第1記録媒体23に存在するか否かを判定する。空き容量が足りない場合にはステップS14へ進む。他方、空き容量が十分に存在する場合にはステップS13へ進み、画像記録部17bが第1記録媒体23へ画像ファイルを記録する。
【0037】
ステップS14では、画像記録部17bが、これから記録しようとしている画像ファイルに対し十分な空き容量が第2記録媒体25に存在するか否かを判定する。空き容量が足りない場合にはステップS15へ進む。ステップS15では、画像削除部17fが第2記録媒体25に記録されているバックアップ有無情報ファイルを参照し、バックアップ有無情報ファイルに含まれているファイルのうち撮影日時がもっとも古いファイルを1つ削除する。ステップS16では、画像削除部17fが第2記録媒体25に記録されているバックアップ有無情報ファイルからステップS15で削除した画像ファイルのファイル名を削除し、ステップS14へ戻る。第2記録媒体25に十分な空き容量が確保されるまで、ステップS14からステップS16の処理を繰り返す。
【0038】
他方、ステップS14において肯定判定がなされた場合にはステップS17へ進む。ステップS17では、画像記録部17bが第2記録媒体25へ新しい画像ファイルを記録する。ステップS18では、バックアップ情報記録部17eが、第2記録媒体25に記録されているバックアップ有無情報ファイル40から、削除された画像ファイルのファイル名を削除する。以上に説明した流れで、通信モードにおけるカメラ1の撮影処理が実行される。
【0039】
上述した第1の実施の形態によるカメラによれば、次の作用効果が得られる。
(1)バックアップ情報記録部17eは、画像記録部17bにより第1記録媒体23および第2記録媒体25の両方へ記録された画像ファイルの一覧が格納されたバックアップ有無情報ファイル40を第2記録媒体25へ記録する。これにより、第2記録媒体25に記録されている各々の画像ファイルについて、第1記録媒体23に複製が存在するか否かを知ることができる。
【0040】
(2)画像記録部17bは、撮像制御部17aが作成した画像データを可能であれば第1記録媒体23および第2記録媒体25の両方へ記録する。これにより、第2記録媒体25の画像ファイルが削除された後であっても、第1記録媒体23からその画像ファイルを取得することができる。
【0041】
(3)画像記録部17bは、撮像制御部17aが作成した画像データを第1記録媒体23へ記録不可能な場合には、第2記録媒体25へのみ記録する。これにより、第1記録媒体23の状態に依らず撮影を継続することができる。
【0042】
(4)画像削除部17fは、第2記録媒体25に記録されているバックアップ有無情報ファイル40に基づいて、第2記録媒体25に記録されている画像ファイルのうち同一の画像ファイルが第1記録媒体23にも記録されている画像ファイルを少なくとも1つ削除し、第2記録媒体25の空き容量を確保する。これにより、第2記録媒体25にのみ記録されている画像ファイルが削除されることがない。
【0043】
(5)画像記録部17bは、撮像制御部17aが作成した画像データを第2記録媒体25へ記録する際、第2記録媒体25の空き容量が不足していた場合には、画像削除部17fに第2記録媒体25の空き容量を確保させる。これにより、第2記録媒体25に画像ファイルを記録可能な状態が常に保たれる。
【0044】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
【0045】
(変形例1)
第2記録媒体25は着脱可能ではなくてもよい。例えば、第2記録媒体25の代わりにカメラ1が内蔵するフラッシュメモリ19を、画像ファイルおよびバックアップ有無情報ファイルを記録するために用いてもよい。
【0046】
(変形例2)
第1記録媒体23および第2記録媒体25の両方に記録された画像ファイルであるという情報は、バックアップ有無情報ファイル以外の場所に記録してもよい。例えば、画像ファイルのヘッダ部に両方の記録媒体に記録された画像ファイルであるという情報を付加してもよいし、カメラ1のフラッシュメモリ19へ記録してもよい。
【0047】
(変形例3)
画像削除部17fによる画像ファイルの削除は、バックアップ有無情報ファイルだけに基づいて行われる必要はない。例えば、第1記録媒体23および第2記録媒体25の両方に記録された画像ファイルのうち、管理装置2に送信されたことのある画像ファイルを優先して削除するようにしてもよい。
【0048】
(変形例4)
画像削除部17fによる画像ファイルの削除は、第2記録媒体25の空き容量が不足した時以外に行ってもよい。例えば、管理装置2へ画像ファイルを送信した時に、その画像ファイルを第2記録媒体25から削除するようにしてもよい。
【0049】
(変形例5)
バックアップ有無情報ファイルの利用目的は、画像削除部17fによる画像ファイルの削除に限定されない。例えば、カメラ1の操作者が第2記録媒体25から画像ファイルを手動で削除する際に、第1記録媒体23に記録されていない画像ファイルであれば警告が表示されるようにしてもよいし、通信部17cによりバックアップ有無情報ファイルが管理装置2へ送信されるようにし、管理装置2が第1記録媒体23に記録されていない画像ファイルを強調表示するようにしてもよい。あるいは、カメラ1の動作モードを通信モードから通常モードに変更した時、バックアップ有無情報ファイルに含まれる画像ファイルを全て第2記録媒体25から削除するようにしてもよい。
【0050】
(変形例6)
カメラ1の操作者が第1記録媒体23から手動で画像ファイルを削除する際、第2記録媒体25からも同一の画像ファイルを削除するようにしてもよい。これは、操作者が削除しようとする画像ファイルは、例えば明らかに撮影を失敗した画像ファイルなど不要なファイルであり、第2記録媒体25に残しておく意味がないと考えられるからである。あるいは、操作者が誤操作によりファイルを削除してしまう場合を考慮し、操作者が第1記録媒体23から画像を削除しても、第2記録媒体25からは画像ファイルを削除しないようにしてもよい。この場合、第2記録媒体25に記録されているバックアップ有無情報ファイルから、操作者が削除した画像ファイルを削除し、第2記録媒体25に記録されている画像ファイルが画像削除部17fにより削除されないようにするのが望ましい。
【0051】
(変形例7)
バックアップ有無情報ファイルの記録方式は、第1の実施の形態のように、「第1記録媒体23および第2記録媒体25の両方に記録された画像ファイルのファイル名一覧」以外であってもよい。例えば、第2記録媒体25にのみ記録された画像ファイルのファイル名一覧であってもよい。また、画像ファイルを特定するためにファイル名以外の情報を用いてもよい。例えば、ファイル名と共にファイルの作成日時やファイルサイズを記録するようにしてもよいし、画像ファイルのハッシュ値を記録するようにしてもよい。
【0052】
(変形例8)
通信回路15,無線アンテナ16,および第2記録媒体25は、カメラ1に内蔵されていなくてもよい。例えば特許文献1に記載されている電子カメラのように、外付けのトランスミッタを用いるようにしてもよい。
【0053】
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1 カメラ
2 管理装置
17a 撮像制御部
17b 画像記録部
17c 通信部
17d 記録可否判定部
17e バックアップ情報記録部
17f 画像削除部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像し画像信号を出力する撮像手段と、
前記画像信号を記録可能な記録手段と、
前記記録手段に記録されている画像信号を、画像信号を管理するための外部の管理装置へ転送する転送手段と、
記録媒体が着脱可能に取り付けられる取付手段と、
前記撮像手段が出力した画像信号を前記記録媒体へ記録可能か記録不可能かを判定する判定手段と、
前記判定手段が前記記録可能と判定した場合には、前記撮像手段が出力した画像信号を前記記録手段および前記記録媒体の両方へ記録し、前記判定手段が前記記録不可能と判定した場合には、前記撮像手段が出力した画像信号を前記記録手段へ記録し前記記録媒体には記録しない第1の記録制御手段と、
前記撮像手段の出力した画像信号が前記第1の記録制御手段により前記記録手段および前記記録媒体の両方へ記録されたか否かを表すバックアップ有無情報を前記記録手段へ記録する第2の記録制御手段と、
を備えることを特徴とするカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラにおいて、
前記第2の記録制御手段は、前記第1の記録制御手段による前記記録手段への画像信号の記録に応じて前記バックアップ有無情報を記録することを特徴とするカメラ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のカメラにおいて、
前記記録手段に記録されているバックアップ有無情報に基づいて、前記記録手段に記録されている画像信号のうち同一の画像信号が前記記録媒体にも記録されている画像信号を少なくとも1つ削除し、前記記録手段の空き容量を確保する削除手段を更に備え、
前記第2の記録制御手段は、前記削除手段による画像信号の削除に応じて、前記削除された画像信号に対応するバックアップ有無情報を前記記録手段から削除することを特徴とするカメラ。
【請求項4】
請求項3に記載のカメラにおいて、
前記第1の記録制御手段は、前記撮像手段が出力した画像信号を前記記録手段へ記録する際、前記記録手段の空き容量が不足していた場合には、前記削除手段に前記記録手段の空き容量を確保させることを特徴とするカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−10179(P2011−10179A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153572(P2009−153572)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】