カメラ
【課題】シャッターを１回押すだけで，自動的に，パラメータの組み合わせを変更しては，その都度，撮影することを繰り返し，その結果として，異なるパラメータによる複数の画像をいちどきに撮影可能とする。
【解決手段】１枚目の撮影において光量バランスをいくらにするか，フラッシュを発光するかしないか，ズーム倍率をいくらにするかといった初期値を手動で設定する。必要に応じて，連続撮影において光量バランスを変化させていく際の変化ステップ，変化の上限および変化の下限を手動で設定する。なお，手動で初期値の設定をしない場合は，光量バランスは０，フラッシュは発光なし，ズーム倍率１倍を初期値とし，連続撮影における光量バランスの変化ステップは１，上限は＋２，下限は−２を初期値とする。
【解決手段】１枚目の撮影において光量バランスをいくらにするか，フラッシュを発光するかしないか，ズーム倍率をいくらにするかといった初期値を手動で設定する。必要に応じて，連続撮影において光量バランスを変化させていく際の変化ステップ，変化の上限および変化の下限を手動で設定する。なお，手動で初期値の設定をしない場合は，光量バランスは０，フラッシュは発光なし，ズーム倍率１倍を初期値とし，連続撮影における光量バランスの変化ステップは１，上限は＋２，下限は−２を初期値とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は，風景，静物，乗り物，または人物などの画像を撮影し，または記録する機器に関する。
【背景技術】
【０００２】
カメラには，絞り，シャッタースピード，フラッシュの有無，ズーム倍率などいくつかのパラメータを調節できる機構がある。
これらのパラメータを適切に調節すれば，手前から奥までピントの合った画像を得たり，または対象物のみにピントを合わせたり，夜間でも明るい画像を得たり，日陰部分の対象物が暗くならないようにしたり，あるいは対象物を画面いっぱいに撮影したりできる。
すなわち，同じ時間に同じ場所を撮影した場合であっても，パラメータの組み合わせによっては，きれいな画像，あるいは芸術性の高い画像を得られる場合もあれば，その逆の結果となる場合もある。
以上のように，これらのパラメータの組み合わせは画像の質に直接影響するため，撮影にあたっては，どのような組み合わせを選定するかが重要となる。
近年のカメラでは，これらのパラメータの調節は，カメラに内蔵されたプログラムにより自動で行われるため，撮影に際して特段の配慮をせずとも，一定レベルの画像を得ることができる。
しかしながら，この自動調節機能も完全ではなく，本来は白色の雪景色が灰色に撮影されてしまうなど，見た目とは異なって撮影されたり，あるいは走者から背景までピントが合ってしまってスピード感が失われたりするなど，撮影者の意図を必ずしも反映できないという短所がある。
そこで，撮影者がイメージしたとおりの画像を得るため，パラメータの一部を撮影者が優先的に指定して画像の質を調節する方法があるが，パラメータの組み合わせ数は膨大であることと，対象物や撮影環境が撮影の都度異なることとから，即座に適切なパラメータの組み合わせを選定することはなかなか難しい。
また，走行している列車などを撮影する場合など，移動場所によって被写体と太陽との位置関係などが変化するため，その都度パラメータを変更したい場合があるが，変更作業に手間取ってしまい，希望するパラメータへ変更しきれない場合がある。
あるいは，芸術性の高い画像を撮影したい場合など，あえて見たとは異なるように撮影したい場合があるが，特に意外性のある画像を得ようとするときに，あらかじめパラメータを適切に設定することは，かなり困難である。
一般に撮影者は経験を積むことによって，パラメータを適切に設定して自身のイメージに近い画像を得られるようになるが，その撮影技術の上達には個人差がある。
または，撮影者のパラメータへの配慮とは別に，偶然に芸術性の高い画像を得られる場合もある。
そこで，何通りかのパラメータの組み合わせで複数の画像を撮影し，あとから気に入った画像を選定することがある。
しかしながら，パラメータ変更の都度，設定を変更しなくてはならない煩わしさがある。
また複数のパラメータの組み合わせで撮影するといっても，その組み合わせの数が多いために，必ずしも適切な組み合わせを含んで撮影できるとは限らない。
そのため限られた時間の中では，一部の組み合わせでしか撮影することができず，後になってもう少し別の組み合わせで撮影しておくべきであったと後悔することもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
従来の技術を振り返ると，シャッターを１回押すことにより１通りのパラメータの組み合わせで撮影を行っている，という特徴がある。
すなわち従来のカメラは，あらかじめ光量バランスやズーム倍率を手動で設定しておき，シャッターを１回押したとき，自動で調節された絞りまたはシャッタースピードにより１画像の撮影を行う。
あらかじめフラッシュを発光するかしないかを自動で選択するように，設定しておくこともできる。
このとき，絞り，シャッタースピード，フラッシュを発光するかしないか，またはズーム倍率をいくらにするかといった組み合わせは幾通りもある。
従来のカメラでは，シャッターを１回押すと，そのうちの１通りの組み合わせでしか撮影がなされない。
よって，複数のパラメータの組み合わせで撮影を行う場合には，１画像を撮影する都度，パラメータを手動で変更する必要があり，操作が煩雑という問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【０００４】
そこで，シャッターを１回押すだけで，自動的に，パラメータの組み合わせを変更しては，その都度，撮影することを繰り返す仕組みを考案した。
従来のカメラのプログラムのフローチャートを図１に示す。
あらかじめ光量バランス，フラッシュを発光するかしないか，ズーム倍率を手動で設定しておく。
シャッターを半押しして，先の設定に基づいた絞り，シャッター速度を自動設定するとともに，焦点を自動調節する。
シャッターを全押しして，１枚の画像を撮影する。
これに対して，本発明の実施例としてのプログラムのフローチャートを図２に示す。
まず，１枚目の撮影において光量バランスをいくらにするか，フラッシュを発光するかしないか，ズーム倍率をいくらにするかといった初期値を手動で設定する。必要に応じて，連続撮影において光量バランスを変化させていく際の変化ステップ，変化の上限および変化の下限を手動で設定する。
なお，手動で初期値の設定をしない場合は，光量バランスは０，フラッシュは発光なし，ズーム倍率１倍を初期値とし，連続撮影における光量バランスの変化ステップは1，上限は＋２，下限は−２を初期値とする。
図２には，光量バランスは０，フラッシュは発光なし，ズーム倍率１倍を初期値とし，連続撮影における光量バランスの変化ステップは1，上限は＋２，下限は−２を初期値として設定した場合を示す。
さて，シャッターを半押しして，先の初期値の設定に基づいた絞り，シャッター速度を自動設定するとともに，焦点を自動調節する。
次に，シャッターを全押しして，まず１枚の画像を撮影する。
ここまでは，従来のカメラと同じである。
ここから先，自動的に，パラメータの組み合わせを変更しては，その都度，撮影することを繰り返すため，従来のフローチャートに次のようにプログラムを追加する。
すなわち，引き続きフラッシュ発光なし，ズーム倍率１倍のまま光量バランスを下限の−２へと設定変更し，それに対応する条件で２枚目の画像の撮影を自動で行う。
さらに光量バランスを変化ステップに従い−２から１増やした−１へと自動で設定変更し，３枚目の画像を撮影する。
初期に設定した変化ステップによれば，次の光量バランスは０となるが，既にこの条件にて１枚目で撮影を済ませているため，光量バランス０での重複しての撮影はパスする。
引き続き光量バランスが＋１および＋２の条件でも自動で撮影を行っていく。
次に，フラッシュ発光，ズーム倍率１倍の条件で，光量バランスを−２，−１，０，＋１，＋２と変更しては変更の都度撮影を行い，６から１０枚目までの５枚の画像の撮影を自動で行う。
次に，ズーム倍率を３倍に設定変更し，フラッシュ発光なしの条件で，同様に５種の光量バランスで１１から１５枚目までの撮影を行う。
このようにプログラムすることで，シャッターを１回押しただけで，１５種のパラメータの組み合わせによる１５枚の画像を連続して撮影することが可能となる。
【発明の効果】
【０００５】
本発明は，シャッターを１回押すだけで，自動的に，パラメータの組み合わせを変更しては，その都度，撮影することを繰り返し，その結果として，異なるパラメータによる複数の画像をいちどきに撮影可能なカメラを提供するものである。
これにより，まず，パラメータ切り替えの煩雑さを解消される。
次に，短時間のシャッターチャンスにおいても，適切なパラメータの組み合わせでの画像を残しておくことができる可能性が高まる。すなわち設定の変更忘れや，設定の変更漏れのおそれが少なくなる。あるいは，偶然に芸術性の高い画像を得られる可能性が高まる。
さらに，撮影後に画像を選定する過程において，パラメータの組み合わせが画像へどのように影響するかを効率的に学習することが可能となるため，撮影技術を向上させるための教育用機材としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【０００６】
【図１】従来のプログラムのフローチャート
【図２】本発明の実施例としてのプログラムのフローチャート
【技術分野】
【０００１】
本発明は，風景，静物，乗り物，または人物などの画像を撮影し，または記録する機器に関する。
【背景技術】
【０００２】
カメラには，絞り，シャッタースピード，フラッシュの有無，ズーム倍率などいくつかのパラメータを調節できる機構がある。
これらのパラメータを適切に調節すれば，手前から奥までピントの合った画像を得たり，または対象物のみにピントを合わせたり，夜間でも明るい画像を得たり，日陰部分の対象物が暗くならないようにしたり，あるいは対象物を画面いっぱいに撮影したりできる。
すなわち，同じ時間に同じ場所を撮影した場合であっても，パラメータの組み合わせによっては，きれいな画像，あるいは芸術性の高い画像を得られる場合もあれば，その逆の結果となる場合もある。
以上のように，これらのパラメータの組み合わせは画像の質に直接影響するため，撮影にあたっては，どのような組み合わせを選定するかが重要となる。
近年のカメラでは，これらのパラメータの調節は，カメラに内蔵されたプログラムにより自動で行われるため，撮影に際して特段の配慮をせずとも，一定レベルの画像を得ることができる。
しかしながら，この自動調節機能も完全ではなく，本来は白色の雪景色が灰色に撮影されてしまうなど，見た目とは異なって撮影されたり，あるいは走者から背景までピントが合ってしまってスピード感が失われたりするなど，撮影者の意図を必ずしも反映できないという短所がある。
そこで，撮影者がイメージしたとおりの画像を得るため，パラメータの一部を撮影者が優先的に指定して画像の質を調節する方法があるが，パラメータの組み合わせ数は膨大であることと，対象物や撮影環境が撮影の都度異なることとから，即座に適切なパラメータの組み合わせを選定することはなかなか難しい。
また，走行している列車などを撮影する場合など，移動場所によって被写体と太陽との位置関係などが変化するため，その都度パラメータを変更したい場合があるが，変更作業に手間取ってしまい，希望するパラメータへ変更しきれない場合がある。
あるいは，芸術性の高い画像を撮影したい場合など，あえて見たとは異なるように撮影したい場合があるが，特に意外性のある画像を得ようとするときに，あらかじめパラメータを適切に設定することは，かなり困難である。
一般に撮影者は経験を積むことによって，パラメータを適切に設定して自身のイメージに近い画像を得られるようになるが，その撮影技術の上達には個人差がある。
または，撮影者のパラメータへの配慮とは別に，偶然に芸術性の高い画像を得られる場合もある。
そこで，何通りかのパラメータの組み合わせで複数の画像を撮影し，あとから気に入った画像を選定することがある。
しかしながら，パラメータ変更の都度，設定を変更しなくてはならない煩わしさがある。
また複数のパラメータの組み合わせで撮影するといっても，その組み合わせの数が多いために，必ずしも適切な組み合わせを含んで撮影できるとは限らない。
そのため限られた時間の中では，一部の組み合わせでしか撮影することができず，後になってもう少し別の組み合わせで撮影しておくべきであったと後悔することもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
従来の技術を振り返ると，シャッターを１回押すことにより１通りのパラメータの組み合わせで撮影を行っている，という特徴がある。
すなわち従来のカメラは，あらかじめ光量バランスやズーム倍率を手動で設定しておき，シャッターを１回押したとき，自動で調節された絞りまたはシャッタースピードにより１画像の撮影を行う。
あらかじめフラッシュを発光するかしないかを自動で選択するように，設定しておくこともできる。
このとき，絞り，シャッタースピード，フラッシュを発光するかしないか，またはズーム倍率をいくらにするかといった組み合わせは幾通りもある。
従来のカメラでは，シャッターを１回押すと，そのうちの１通りの組み合わせでしか撮影がなされない。
よって，複数のパラメータの組み合わせで撮影を行う場合には，１画像を撮影する都度，パラメータを手動で変更する必要があり，操作が煩雑という問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【０００４】
そこで，シャッターを１回押すだけで，自動的に，パラメータの組み合わせを変更しては，その都度，撮影することを繰り返す仕組みを考案した。
従来のカメラのプログラムのフローチャートを図１に示す。
あらかじめ光量バランス，フラッシュを発光するかしないか，ズーム倍率を手動で設定しておく。
シャッターを半押しして，先の設定に基づいた絞り，シャッター速度を自動設定するとともに，焦点を自動調節する。
シャッターを全押しして，１枚の画像を撮影する。
これに対して，本発明の実施例としてのプログラムのフローチャートを図２に示す。
まず，１枚目の撮影において光量バランスをいくらにするか，フラッシュを発光するかしないか，ズーム倍率をいくらにするかといった初期値を手動で設定する。必要に応じて，連続撮影において光量バランスを変化させていく際の変化ステップ，変化の上限および変化の下限を手動で設定する。
なお，手動で初期値の設定をしない場合は，光量バランスは０，フラッシュは発光なし，ズーム倍率１倍を初期値とし，連続撮影における光量バランスの変化ステップは1，上限は＋２，下限は−２を初期値とする。
図２には，光量バランスは０，フラッシュは発光なし，ズーム倍率１倍を初期値とし，連続撮影における光量バランスの変化ステップは1，上限は＋２，下限は−２を初期値として設定した場合を示す。
さて，シャッターを半押しして，先の初期値の設定に基づいた絞り，シャッター速度を自動設定するとともに，焦点を自動調節する。
次に，シャッターを全押しして，まず１枚の画像を撮影する。
ここまでは，従来のカメラと同じである。
ここから先，自動的に，パラメータの組み合わせを変更しては，その都度，撮影することを繰り返すため，従来のフローチャートに次のようにプログラムを追加する。
すなわち，引き続きフラッシュ発光なし，ズーム倍率１倍のまま光量バランスを下限の−２へと設定変更し，それに対応する条件で２枚目の画像の撮影を自動で行う。
さらに光量バランスを変化ステップに従い−２から１増やした−１へと自動で設定変更し，３枚目の画像を撮影する。
初期に設定した変化ステップによれば，次の光量バランスは０となるが，既にこの条件にて１枚目で撮影を済ませているため，光量バランス０での重複しての撮影はパスする。
引き続き光量バランスが＋１および＋２の条件でも自動で撮影を行っていく。
次に，フラッシュ発光，ズーム倍率１倍の条件で，光量バランスを−２，−１，０，＋１，＋２と変更しては変更の都度撮影を行い，６から１０枚目までの５枚の画像の撮影を自動で行う。
次に，ズーム倍率を３倍に設定変更し，フラッシュ発光なしの条件で，同様に５種の光量バランスで１１から１５枚目までの撮影を行う。
このようにプログラムすることで，シャッターを１回押しただけで，１５種のパラメータの組み合わせによる１５枚の画像を連続して撮影することが可能となる。
【発明の効果】
【０００５】
本発明は，シャッターを１回押すだけで，自動的に，パラメータの組み合わせを変更しては，その都度，撮影することを繰り返し，その結果として，異なるパラメータによる複数の画像をいちどきに撮影可能なカメラを提供するものである。
これにより，まず，パラメータ切り替えの煩雑さを解消される。
次に，短時間のシャッターチャンスにおいても，適切なパラメータの組み合わせでの画像を残しておくことができる可能性が高まる。すなわち設定の変更忘れや，設定の変更漏れのおそれが少なくなる。あるいは，偶然に芸術性の高い画像を得られる可能性が高まる。
さらに，撮影後に画像を選定する過程において，パラメータの組み合わせが画像へどのように影響するかを効率的に学習することが可能となるため，撮影技術を向上させるための教育用機材としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【０００６】
【図１】従来のプログラムのフローチャート
【図２】本発明の実施例としてのプログラムのフローチャート
【特許請求の範囲】
【請求項１】
シャッターを１回押すだけで，自動的に光量バランス，フラッシュ発光の有無などのパラメータの組み合わせを変更し，変更の都度撮影を行うプログラムを備えたカメラ。
【請求項１】
シャッターを１回押すだけで，自動的に光量バランス，フラッシュ発光の有無などのパラメータの組み合わせを変更し，変更の都度撮影を行うプログラムを備えたカメラ。
【図１】
【図２】
【図２】
【公開番号】特開２０１２−１７７８１２（Ｐ２０１２−１７７８１２Ａ）
【公開日】平成２４年９月１３日（２０１２．９．１３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−４１０１１（Ｐ２０１１−４１０１１）
【出願日】平成２３年２月２６日（２０１１．２．２６）
【出願人】（５９５１７３６９５）
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年９月１３日（２０１２．９．１３）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年２月２６日（２０１１．２．２６）
【出願人】（５９５１７３６９５）
【Ｆターム（参考）】
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