説明

カラートナー分離方法、カラートナー分離装置及び画像形成装置

【課題】 本発明は、簡単な構成で、効率良く、混合トナーを各カラートナーに分離でき、ランニングコストの低減及び廃棄物の削減が可能となる。
【解決手段】 本発明のカラートナー分離装置は、混合トナーに対して正負いずれかの極性の電荷を付与する電荷付与手段と、該電荷付与手段によって付与された混合トナーの帯電極性とは逆極性に一様に帯電した感光体の表面に、混合トナーが互いに重なり合わずに付着させる混合トナー付着手段と、該混合トナー付着手段によって感光体の表面に付着した混合トナー上及び感光体の表面上に、特定色のカラートナーのみが吸収する波長の光を照射する光照射手段と、電場によって特定色のカラートナー以外のカラートナーを感光体から静電除去する静電除去手段と、感光体に残留した特定色のカラートナーを回収する回収手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラートナー分離方法、カラートナー分離装置及び画像形成装置に関し、詳細には乾式トナーを用いたカラー電子写真式複写機においてこれまで廃棄されてきた多量の混合トナーを各カラートナーに分離する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は電子写真方式の画像形成装置の構成を示す概略図である。なお、同図の電子写真方式の画像形成装置は4連タンデム方式のものである。同図に示す電子写真方式の画像形成装置1は、感光体11−Y、感光体11−Yの周りに帯電器12−Y、露光器13−Y、現像器14−Y、クリーナ15−Yが順に設置されて構成するイエロー画像形成部10−Y、同様な構成を有するマゼンタ画像形成部10−M、シアン画像形成部10−C、ブラック画像形成部10−Kが駆動ローラ17と従動ローラ18によって懸架された中間転写ベルト16に上流側から順に設けられている。そして、各画像形成部によって中間転写ベルト16上にカラートナー像が形成される。次に、中間転写ベルト16に形成されたカラートナー像は、中間転写ベルト16を挟んで従動ローラ18と、従動ローラ18に対向する転写ローラ19との間を介在する記録媒体20に転写される。
【0003】
このような構成を有する電子写真方式の画像形成装置によれば、クリーナ15−Yではイエロー画像の転写残としてのイエロートナーしか回収されないが、クリーナ15−Mでは転写残としてのマゼンタトナーと逆転写したイエロートナーが回収される。更には、クリーナ15−Cでは転写残としてのシアントナーと逆転写したイエロートナーとマゼンタトナーが回収され、クリーナ15−Kでは転写残としてのブラックトナーと逆転写したイエロートナーとマゼンタトナーとシアントナーが回収される。よって、クリーナ15−Yでの回収トナーは、現像器14−Yに直接戻すことが可能であるが、その他のクリーナで回収されるトナーは混色しているために、各現像器に直接戻した場合には、長期的には色味が大きく変化してしまう。よって、中間転写クリーナ21から回収されるトナーも含め、これらトナーは廃トナーとして廃棄せざるを得なかった。
【0004】
そこで、従来より、混合したカラートナーから特定色のトナーを回収する方法がいくつか提案されている。その一つとして、特許文献1及び特許文献2には、静電分離によるトナー分離方法が提案されている。この静電分離によるトナー分離方法とは、カラートナーのうち特定の1色である特定色のトナーを磁性トナーで構成した場合は特定色のトナー以外の全てのトナーを非磁性トナーで構成し、あるいは特定色のトナーを非磁性トナーで構成した場合は特定色のトナー以外の全てのトナーを磁性トナーで構成し、回収した混合トナーが磁性フィルタを通過することによって磁性トナーと非磁性トナーが分離できる方法である。
【特許文献1】特開2003−177585号公報
【特許文献2】特開平08−240961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1によれば、混合トナーから特定色の1色だけのトナーは分離できるが、特定色を分離した残りの混合トナーは分離できずに廃棄するかなかった。また、上記特許文献2では2色トナー分離装置であって3色以上の電子写真式複写機には適応することができない。更に、1つの感光体に対して順次カラートナーを現像する形態の作像方式においても、理想的な転写が行われなかった結果生じる回収トナーは混合しているために再利用は不可能であった。
【0006】
本発明はこれらの問題点を解決するためのものであり、簡単な構成で、効率良く、混合トナーを各カラートナーに分離でき、ランニングコストの低減及び廃棄物の削減が可能となるカラートナー分離方法、カラートナー分離装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記問題点を解決するために、複数色のカラートナーが混合した混合トナーから特定色のカラートナーのみを分離する、本発明のカラートナー分離方法は、混合トナーに対して正負いずれかの極性の電荷を付与する電荷付与工程と、混合トナーの帯電極性とは逆極性に一様に帯電した感光体の表面に、混合トナーが互いに重なり合わずに付着させる混合トナー付着工程と、感光体の表面に付着した混合トナー上及び感光体の表面上に、特定色のカラートナーのみが吸収する波長の光を照射する光照射工程と、電場によって特定色のカラートナー以外のカラートナーを感光体から静電除去する静電除去工程と、感光体に残留した特定色のカラートナーを回収する回収工程とを有ことに特徴がある。よって、混合したが故にプロセスカラーとして再利用することができずに廃棄されていた混合トナーから任意の特定色のカラートナーのみを分離できるため、ランニングコストの低減及び廃棄物の削減が可能となる。
【0008】
また、電荷付与工程、混合トナー付着工程、光照射工程、静電除去工程、回収工程を順次繰り返し、3色以上のカラートナーからなる混合トナーから特定色のカラートナーを順次分離することにより、効率良く混合トナーを各カラートナーに分離できる。
【0009】
更に、混合トナーがブラックのカラートナーを含む場合、最初に行う各工程における特定色のカラートナーはブラックとすることが好ましい。
【0010】
また、混合トナーに外添材を混合することにより、一連の作像工程の中での機械的ストレスや静電的ストレスによって不完全となってしまったトナー粒子の機能である流動性や摩擦帯電特性などを復元することができ、カラートナー分離を効果的に実現することができる。
【0011】
更に、別の発明としてのカラートナー分離装置は、混合トナーに対して正負いずれかの極性の電荷を付与する電荷付与手段と、該電荷付与手段によって付与された混合トナーの帯電極性とは逆極性に一様に帯電した感光体の表面に、混合トナーが互いに重なり合わずに付着させる混合トナー付着手段と、該混合トナー付着手段によって感光体の表面に付着した混合トナー上及び感光体の表面上に、特定色のカラートナーのみが吸収する波長の光を照射する光照射手段と、電場によって特定色のカラートナー以外のカラートナーを感光体から静電除去する静電除去手段と、感光体に残留した特定色のカラートナーを回収する回収手段とを具備することに特徴がある。よって、簡単な構成で、効率良く、混合トナーを各カラートナーに分離でき、ランニングコストの低減及び廃棄物の削減が可能となるカラートナー分離装置を提供できる。
【0012】
また、各カラートナー毎に、感光体、光照射手段、静電除去手段及び回収手段をそれぞれ設けることにより、連続的に複数のカラートナーを分離できるため、単位時間あたりの処理能力の高いカラートナー分離装置を構成することができる。
【0013】
更に、本発明のカラートナー分離装置は、混合トナーに対して正負いずれかの極性の電荷を付与する電荷付与手段と、該電荷付与手段によって付与された混合トナーの帯電極性とは逆極性に一様に帯電した感光体の表面に、混合トナーが互いに重なり合わずに付着させる混合トナー付着手段と、該混合トナー付着手段によって感光体の表面に付着した混合トナー上及び感光体の表面上に、特定色のカラートナーのみが吸収する波長の光を切り替えて照射する光照射手段と、電場によって特定色のカラートナー以外のカラートナーを感光体から静電除去する静電除去手段と、感光体に残留した特定色のカラートナーを回収する回収手段と、静電除去手段によって感光体上から除去された特定色のカラートナー以外のカラートナーをトナー電荷付与手段に供給する循環手段とを具備することに特徴がある。よって、1つ又は少数の感光体にて複数のカラートナーを分離できるため、小型かつ安価なカラートナー分離装置を構成することができる。
【0014】
また、感光体の表面に付着させる混合トナーが互いに重なり合わないように、少なくとも混合トナー付着手段及び感光体の各基材との間にオフセットバイアスを印加するオフセットバイアス印加手段を有することにより、感光体の表面に混合トナーが互いに重なり合わずに付着させることができ、よって確実にトナー分離を行うことができる。
【0015】
更に、混合トナーに外添材を混合する外添材混合手段を有することにより、一連の作像工程の中での機械的ストレスや静電的ストレスによって不完全となってしまったトナー粒子の機能である流動性や摩擦帯電特性などを復元することができ、カラートナー分離を効果的に実現することができる。
【0016】
また、別の発明としての画像形成装置は、上記カラートナー分離装置を搭載することに特徴がある。よって、混合トナーを各カラートナーに分離できるカラートナー分離装置を搭載することで、ランニングコストを低く抑えられる画像形成装置を提供することできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のカラートナー分離方法は、混合トナーに対して正負いずれかの極性の電荷を付与し、混合トナーの帯電極性とは逆極性に一様に帯電した感光体の表面に、混合トナーが互いに重なり合わずに付着させる。そして、感光体の表面に付着した混合トナー上及び感光体の表面上に、特定色のカラートナーのみが吸収する波長の光を照射すると、特定色のカラートナーが付着した感光体表面以外の感光体表面が除電される。更に、電場によって特定色のカラートナー以外のカラートナーを感光体から静電除去し、感光体に残留した特定色のカラートナーを回収する。よって、混合したが故にプロセスカラーとして再利用することができずに廃棄されていた混合トナーから任意の特定色のカラートナーのみを分離できるため、ランニングコストの低減及び廃棄物の削減が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は光波長に対するカラートナーの分光吸収率を示す特性図である。同図からわかるように、イエロー、マゼンタ及びシアンのトナーは、一般にそれぞれ青、緑及び赤の波長域に強い吸収を有し、ブラックのトナーは可視光域全域並びに近赤外の領域に渡り強い吸収を有している。
【0019】
図2は本発明のカラートナー分離方法の原理工程と感光体表面の電荷量を示す概略図である。同図に示す原理では、4色の混合トナーからブラックトナーを抽出する工程概念である。はじめに、図示していない放電機構等を有する帯電手段により、図2の(a)に示すように感光体の表面を一様に帯電する。ここでは正電荷によって帯電した例を示すが、負電荷によって帯電しても構わない。そして、図2の(b)に示すように、感光体の帯電極性とは逆極性の電荷、すなわち負電荷(感光体を負電荷で帯電した場合は正電荷)で帯電した混合トナーの粒子が感光体の表面に付着する。このとき、混合トナー粒子の配列はランダムでも疎でも良いが、混合トナーの粒子同士が重なり合うことがないように、すなわち全ての混合トナーの粒子が感光体に接触しているようにする必要がある。次に、図2の(c)に示すように、混合トナーの粒子越しに、4色のトナー粒子のうちブラックトナーの粒子のみが吸収を有する波長の光、すなわちここでは近赤外線の光を一様に照射する。すると、照射光は、ブラック以外のカラートナーの粒子が付着している領域並びに混合トナーの粒子が付着していない領域の感光体に到達し、結果として図2の(d)に示すように、ブラックトナーの粒子が付着している領域以外の領域における感光体表面の電荷が消滅する。その結果、負電荷を有したブラックトナーの粒子のみ、正電荷が残留した感光体表面に強い力で束縛されるために、ブラックトナーの粒子の感光体への付着力が他のカラートナーの粒子よりも大きい。更に、除電された感光体領域の表面電位よりも絶対値の高いバイアス電位が印加された転写体が近接させると、ブラックトナーの粒子以外のカラートナーの粒子が転写体に引かれる静電気力は、ブラックトナーの粒子のそれよりも十分に大きい。よって、感光体上にはブラックトナーの粒子のみが残留し、それ以外のカラートナーの粒子は転写体に転移する。このようにして、4色の混合トナーから、ブラックトナーの粒子のみを抽出することができる。
【0020】
なお、図示しないが、ブラックトナーの粒子が除去された残りの混合トナーに対して、赤、緑もしくは青の光を照射する工程を経ることで、それぞれ、シアン、マゼンタもしくはイエローのトナー粒子を感光体上に抽出することができ、さらに残った2色の混色トナーに対しても同様の工程を経ることで4色全てのトナー粒子を個別の感光体上に抽出することが可能である。
【0021】
図3は本発明の第1の実施の形態に係るカラートナー分離装置の構成を示す概略図である。同図に示す本実施の形態のカラートナー分離装置100は、混合トナーを均一化すると共に所定の極性に帯電するための攪拌器101、後述する感光体105−Aの表面にトナーの粒子同士が重ならずに各粒子が付着するための付着ローラ102や濃度センサ103を有する混合トナーバッファ104と、付着ローラ102に対向してギャップ部を構成する感光体105−A、当該感光体105−Aの周りに照明手段106−A、クリーナ107−A及び帯電器108−Aを含んで構成する第1の分離器109と、感光体105−Aに対向してギャップ部を構成する感光体105−B、当該感光体105−Bの周りに照明手段106−B、クリーナ107−B及び帯電器108−Bを含んで構成する第2の分離器110と、感光体105−Bに対向してギャップ部を構成する感光体105−C、当該感光体105−Cの周りに照明手段106−C、クリーナ107−C及び帯電器108−Cを含んで構成する第3の分離器111と、感光体105−Cに対向してギャップ部を構成する回収ローラ113及びクリーナ114を含んで構成する第4の分離器112とを有している。なお、混色トナーバッファ104は、単なる容器でも構わない。また、回収ローラ113として導電性の樹脂ローラを使用しているが、各感光体105−A〜Cと同様の感光体材料を使っても構わない。更に、各感光体105−A〜C並びに回収ローラ113のそれぞれの対向部分は軽く接触していても構わないが、数十μm〜数百μmのギャップを形成する方が効率良くカラートナーの分離を実行することが可能である。また、図示していないが、付着ローラ102と感光体105−Aの各基材の間、各感光体105−A同士の各基材との間に印加されるオフセットバイアスは共通に又は個別に印加され、また個別の印加される場合のバイアス値も任意に設定される。
【0022】
このような構成を有する本実施の形態のカラートナー分離装置によれば、フルカラー画像形成装置内で回収された全ての混合トナー(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)を、一旦混合トナーバッファ104に格納する。混色トナーバッファ104に格納された混合トナーは、混色トナーバッファ104内の攪拌器101によって所定の極性に帯電され、図示しないトナー補給手段によって任意量を付着ローラ102に補給する。ここで、磁気センサなどの濃度センサ103の信号に基づいて、適当量の混合トナーが攪拌器101に補給され、十分に攪拌されることでトナー濃度の均一化並びにトナー帯電量の均一化が図られる。なお、トナー帯電の極性は負とする。そして、付着ローラ102に供給された混合トナーは混合トナーの各粒子が重なり合わないように分散化され、第1の分離器109の感光体105−Aとのギャップ部に搬送される。一方、感光体105−Aは単層型正帯電感光体を使用し、帯電器108−Aによって混合トナーの極性と逆極性(正極)に予め帯電させておき、時計回りで駆動させる。図2に示したように、感光体はトナー粒子1個分のサイズにて高い潜像解像度を有している必要があるため、露光による電荷生成が感光体表面近傍で行われる単層型の感光体を使用することが好適である。単層型ではなく、電荷生成層が感光体表面近傍にあり、電荷輸送層が感光体の深層にあるような感光体でも好適である。また、付着ローラ102から正帯電された感光体15−Aへ転移する混色トナーの粒子が互いに重なり合うことがないように、付着ローラ102と感光体105−Aの基材との間にはオフセットバイアスが印加される。このオフセットバイアスは、トナー粒子の転移効率を高めるために交流成分を重畳させても構わない。感光体105−A上の混合トナーの粒子越しに、照明手段106−Aによって近赤外(波長約780nm〜約900nmのLED光照明など)の光を一様に照射する。すると、上述しました図2のプロセスによって、ブラックトナーの粒子が付着している領域以外の感光体105−Aの表面が全て露光され、ブラックトナーのみが強い付着力を有する状態を得ることができる。続いて、感光体105−Aに対向されて設置され、同素材からなり、帯電器108−Bによって予め正極に帯電させられて時計回りで駆動している第2の分離器110における感光体105−Bとの微小ギャップ領域において、ブラックトナー以外の付着力の弱い混合トナー(イエロー、マゼンタ、シアン)は、感光体105−Aと感光体105−Bのそれぞれの基材に印加されたオフセットバイアスによって感光体105−Bに転移する。このオフセットバイアスは図示しないが、トナー粒子の転移効率を高めるために交流成分を重畳させても構わない。そして、感光体105−Aに残留したブラックトナーはクリーナ107−Aで回収される。
【0023】
一方、感光体105−B上に転移した混色トナー(イエロー、マゼンタ、シアン)の粒子越しに、照明手段106−Bによって赤色(波長約650nm近辺のLED光照明など)の光を一様照射する。すると、上述しました図2のプロセスと類似原理によって、シアントナーの粒子が付着している領域以外の感光体表面が全て露光され、シアントナーのみが強い付着力を有する状態を得ることができる。続いて、感光体105−Bに対向されて設置され、同素材からなり、帯電器108−Cによって予め正極に帯電させられて時計回りで駆動している第3の分離器111における感光体105−Cとの微小ギャップ領域において、シアントナー以外の付着力の弱い混合トナー(イエロー、マゼンタ)は、感光体105−Bと感光体105−Cのそれぞれの基材に印加されたオフセットバイアスによって感光体105−Cに転移する。このオフセットバイアスは図示しないが、トナー粒子の転移効率を高めるために交流成分を重畳させても構わない。そして、感光体105−Bに残留したシアントナーはクリーナ107−Bで回収される。
【0024】
また、感光体105−C上に転移した混色トナー(イエロー、マゼンタ)の粒子越しに、照明手段106−Cによって緑色(波長約550nm近辺のLED光照明など)の光を一様照射する。すると、上述しました図2のプロセスと類似原理によって、マゼンタトナーの粒子が付着している領域以外の感光体表面が全て露光され、マゼンタトナーのみが強い付着力を有する状態を得ることができる。続いて、感光体105−Cに対向されて設置され、時計回りで駆動している第4の分離器112における回収ローラ113との微小ギャップ領域において、マゼンタトナー以外の付着力の弱い混合トナー(イエロー)は、感光体105−Cと回収ローラ113のそれぞれの基材に印加されたオフセットバイアスによって回収ローラ113に転移する。このオフセットバイアスは図示しないが、トナー粒子の転移効率を高めるために交流成分を重畳させても構わない。そして、回収ローラ113に残留したイエロートナーはクリーナ114で回収される。
【0025】
図4は本発明の第2の実施の形態に係るカラートナー分離装置の構成を示す概略図である。同図において、図3と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。同図に示す本実施の形態のカラートナー分離装置200は、図3の第1の実施の形態のカラートナー分離装置100の構成と異なる構成として、感光体105−B及び回収ローラ113の回転方向が半時計回りとしている。これによって、各感光体105−A〜C並びに回収ローラ113のそれぞれの対向部分は、対向する部材を等速で移動させることが可能であり、厳密なギャップ維持をする必要が無く、軽く当接(部分的には非常に微小なギャップができるが構わない)させても、効率の良いカラートナーの分離を実行することが可能である。
【0026】
図5は本発明の第3の実施の形態に係るカラートナー分離装置の構成を示す概略図である。同図において、図3及び図4と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。同図に示す本実施の形態のカラートナー分離装置300において、図3の第1の実施の形態のカラートナー分離装置100及び図4の第2の実施の形態のカラートナー分離装置200の構成と異なる構成として、照明手段106−Xは近赤外(波長約780nm〜約900nmのLED光照明など)の光、赤色(波長約650nm近辺のLED光照明など)の光、緑色(波長約550nm近辺のLED光照明など)の光、を順次切り替えて照射できる手段であって、感光体105−X、クリーナ107−X、帯電器108−Xを含む共用分離器115を有している。先ず初めに、攪拌器101内の4色トナー(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の混合トナーが帯電器108−Xによって帯電された感光体105−Xに分散され、照明手段106−Xによって近赤外光を照射することによって、クリーナ107−Xからブラックトナーが回収され、回収ローラ113からシアン、マゼンタ及びイエローの混合トナーが回収される。そして、混合トナーバッファ104の中のブラックトナーが枯渇するまでこのプロセスを継続し、回収ローラ113から回収されたシアン、マゼンタ及びイエローの混合トナーは混合トナーバッファ104へ戻される。次に、攪拌器101内の3色トナー(イエロー、マゼンタ、シアン)の混合トナーが帯電器108−Xによって帯電された感光体105−Xに分散され、照明手段106−Xによって赤色光を照射することによって、クリーナ107−Xからシアントナーが回収され、回収ローラ113からマゼンタ及びイエローの混合トナーが回収される。そして、混合トナーバッファ104の中のシアントナーが枯渇するまでこのプロセスを継続し、回収ローラ113から回収されたマゼンタ及びイエローの混合トナーは混合トナーバッファ104へ戻される。最後に、攪拌器101内の2色トナー(イエロー、マゼンタ)の混合トナーが帯電器108−Xによって帯電された感光体105−Xに分散され、照明手段106−Xによって緑色光を照射することによって、クリーナ107−Xからマゼンタトナーが回収され、回収ローラ113からイエロートナーが回収される。そして、混合トナーバッファ104の中の2色トナーが枯渇するまでこのプロセスを継続する。
【0027】
このように、1つの感光体のみを使って全てのカラートナーを分離することも可能である。この場合、図示していないがこのプロセスにおける新たな混色発生を防ぐために、クリーナ107−X及びクリーナ114に対しては図示されないクリーニング機構、例えばクリーニングブレードに付着したトナーを除去するためのワイピング手段などや、クリー107−X及びクリーナ114を複数設置し、カラー毎に順次切り替える手段などを備えることが好ましい。本実施の形態は、画像形成プロセスでの混色率が少ない場合や混色の組合せが限定的な場合には有効な手段である。
【0028】
また、第1〜第3の実施の形態に係るカラートナー分離装置において、混合トナーバッファ内の混合トナーに外添材を供給する外添材供給手段を設けてもよい。外添材としては画像形成プロセスに投入される新品のトナー粒子の表面に外添されている材料と同等のものを使用するのが好ましく、一般的には数十nmから数百nmのシリカ等の無機微粒子を主成分とした粉体である。これらの外添材は、画像形成プロセスを1回行うと、トナー樹脂中に埋没してしまったり、トナー粒子表面から離脱してしまいがちである。そこで図2のようなトナー分離プロセスを確実に機能させる上でも、更には各色に分離されたカラートナーが再度画像形成プロセスに投入された場合に安定な画像を得るためにも、トナー粒子の外添状態は新品トナー同様に復元しておくのが好ましい。そこで、混合トナーバッファ内の混合トナーと新たな外添材を攪拌することにより、良好なトナー流動性と良好なトナー帯電特性を得ることが可能となり、その結果カラートナー分離効率も向上する。なお、外添材の投入量に関しては、混色トナー量に対して常に一定量を補給しても良いが、混合トナーバッファ内の攪拌器の間のトナー搬送経路に設けられ、図示しないトナー流動センサなどの信号に基づいて補給しても良い。
【0029】
なお、上述しました本発明のカラートナー分離装置を画像形成装置内に搭載し、カラー画像形成プロセスで生じる混合トナーを本発明のカラートナー分離装置により各カラートナーに分離して回収するか、あるいは各画像形成部の各現像器に搬送して再利用することが可能となる。また、カラー画像形成プロセスで生じる混合トナーをサービスマンが回収し、カラートナー分離方法を用いたリサイクルプラント設備で回収した大量の混合トナーを一括して各カラートナーに分離する。よって、分離した各カラートナーをリサイクル製品用のカラートナーとして再利用することが可能となる。
【0030】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】光波長に対するカラートナーの分光吸収率を示す特性図である。
【図2】本発明のカラートナー分離方法の原理工程と感光体表面の電荷量を示す概略図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るカラートナー分離装置の構成を示す概略図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るカラートナー分離装置の構成を示す概略図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係るカラートナー分離装置の構成を示す概略図である。
【図6】電子写真式複写機の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0032】
100、200、300;カラートナー分離装置、
101;攪拌器、102;付着ローラ、103;濃度センサ、
104;混合トナーバッファ、
105−A〜C,X;感光体、106−A〜C,X;照明手段、
107−A〜C,X、114;クリーナ、
108−A〜C,X;帯電器、109;第1の分離器、
110;第2の分離器、111;第3の分離器、
112;第4の分離器、113;回収ローラ、115;共用分離器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数色のカラートナーが混合した混合トナーから特定色のカラートナーのみを分離するカラートナー分離方法において、
前記混合トナーに対して正負いずれかの極性の電荷を付与する電荷付与工程と、
前記混合トナーの帯電極性とは逆極性に一様に帯電した感光体の表面に、前記混合トナーが互いに重なり合わずに付着させる混合トナー付着工程と、
前記感光体の表面に付着した前記混合トナー上及び前記感光体の表面上に、特定色のカラートナーのみが吸収する波長の光を照射する光照射工程と、
電場によって特定色のカラートナー以外のカラートナーを前記感光体から静電除去する静電除去工程と、
前記感光体に残留した特定色のカラートナーを回収する回収工程と
を有することを特徴とするカラートナー分離方法。
【請求項2】
前記電荷付与工程、前記混合トナー付着工程、前記光照射工程、前記静電除去工程、前記回収工程を順次繰り返し、3色以上のカラートナーからなる前記混合トナーから特定色のカラートナーを順次分離することを特徴とする請求項1記載のカラートナー分離方法。
【請求項3】
前記混合トナーがブラックのカラートナーを含む場合、最初に行う前記各工程における特定色のカラートナーはブラックとすることを特徴とする請求項1又は2に記載のカラートナー分離方法。
【請求項4】
前記混合トナーに外添材を混合することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカラートナー分離方法。
【請求項5】
複数色のカラートナーが混合した混合トナーから特定色のカラートナーのみを分離するカラートナー分離装置において、
前記混合トナーに対して正負いずれかの極性の電荷を付与する電荷付与手段と、
該電荷付与手段によって付与された前記混合トナーの帯電極性とは逆極性に一様に帯電した感光体の表面に、前記混合トナーが互いに重なり合わずに付着させる混合トナー付着手段と、
該混合トナー付着手段によって前記感光体の表面に付着した前記混合トナー上及び前記感光体の表面上に、特定色のカラートナーのみが吸収する波長の光を照射する光照射手段と、
電場によって特定色のカラートナー以外のカラートナーを前記感光体から静電除去する静電除去手段と、
前記感光体に残留した特定色のカラートナーを回収する回収手段と
を具備することを特徴とするカラートナー分離装置。
【請求項6】
各カラートナー毎に、前記感光体、前記光照射手段、前記静電除去手段及び前記回収手段をそれぞれ設けることを特徴とする請求項5記載のカラートナー分離装置。
【請求項7】
複数色のカラートナーが混合した混合トナーから特定色のカラートナーのみを分離するカラートナー分離装置において、
前記混合トナーに対して正負いずれかの極性の電荷を付与する電荷付与手段と、
該電荷付与手段によって付与された前記混合トナーの帯電極性とは逆極性に一様に帯電した感光体の表面に、前記混合トナーが互いに重なり合わずに付着させる混合トナー付着手段と、
該混合トナー付着手段によって前記感光体の表面に付着した前記混合トナー上及び前記感光体の表面上に、特定色のカラートナーのみが吸収する波長の光を切り替えて照射する光照射手段と、
電場によって特定色のカラートナー以外のカラートナーを前記感光体から静電除去する静電除去手段と、
前記感光体に残留した特定色のカラートナーを回収する回収手段と、
前記静電除去手段によって前記感光体上から除去された特定色のカラートナー以外のカラートナーを前記トナー電荷付与手段に供給する循環手段と
を具備することを特徴とするカラートナー分離装置。
【請求項8】
前記感光体の表面に付着させる前記混合トナーが互いに重なり合わないように、少なくとも前記混合トナー付着手段及び前記感光体の各基材との間にオフセットバイアスを印加するオフセットバイアス印加手段を有することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のカラートナー分離装置。
【請求項9】
前記混合トナーに外添材を混合する外添材混合手段を有することを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載のカラートナー分離装置。
【請求項10】
請求項5〜9のいずれか1項に記載のカラートナー分離装置を搭載することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−229619(P2009−229619A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72765(P2008−72765)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】