説明

カラーバースト自動検出装置

【課題】 入力される映像信号に対して一水平期間で信号形態が判断でき、クランプ段差等のノイズ成分に対して誤動作を起こさず安定的に信号形態の判定が行えるカラーバースト自動検出装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 映像信号101より同期タイミング信号103を取り出してカラーバースト信号の期間をゲートするタイミングパルス信号106を生成し、このタイミングパルス信号106により限定されるカラーバースト信号の期間内に、カラーバースト信号の立上りエッジによる第一タイミングとカラーバースト信号の立下りエッジによる第二のタイミングで、カウンタ107,108においてカラーバースト信号のサイクルのカウントアップを行い、カラーバースト判定回路114において、これらカウント値を入力として、映像信号に重畳されているカラーバースト信号の有無を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ等の映像信号の受信装置において、入力される映像信号が輝度信号にバースト信号、クロマ信号、同期信号が重畳されたコンポジット信号であるか、輝度信号と同期信号のみでバースト信号、クロマ信号が重畳されていないコンポーネント信号であるかの映像信号の形態を判別するカラーバースト自動検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
映像信号に重畳されているカラーバースト信号の有無を判定する従来のカラーバースト自動検出装置の一例が、特許文献1に信号検出回路として提案されている。この特許文献1に提案されている信号検出回路について、図9を参照しながら説明する。
【0003】
入力される色信号と基準信号との位相差が90°を超えると、基準信号の位相を反転させるためのバーストIDパルスを出力する回路が設けられている。すなわち、色信号とカラーキャリアの基準信号とカラーバースト信号期間を示すバーストゲートパルスBGが供給され、バーストゲートパルスBGに従って、色信号に含まれるカラーバースト信号と基準信号とのID同期検波を行うID同期検波回路901と、ID同期検波回路901の同期検波出力を平滑する平滑コンデンサ902と、平滑コンデンサ902により平滑されているID同期検波回路901の同期検波出力と基準電圧V2とをレベル比較し、同期検波出力が基準電圧V2より小さい期間ハイレベルとなるパルスを出力する(以下、このパルスを負パルスという)比較回路903と、比較回路903から出力される負パルスおよびバーストゲートパルス信号BGのアンド回路904と、アンド回路904の出力でセットされ、インバータ回路906により位相反転されたバーストゲートパルス信号BGでリセットされ、Q端子より負バーストIDパルス(基準信号の位相を反転するが得られるバーストIDパルス)が得られるSRフリップフロップ回路905が設けられている。
【0004】
また平滑されているID同期検波回路901の同期検波出力と基準電圧V1とをレベル比較し、同期検波出力が基準電圧V1より大きい期間ハイレベルとなるパルスを出力する(以下、このパルスを正パルスという)比較回路907と、比較回路907から出力される正パルスおよびバーストゲートパルス信号BGのアンド回路908と、アンド回路908の出力でセットされ、インバータ回路906により位相反転されたバーストゲートパルス信号BGでリセットされ、Q端子より正バーストIDパルスが得られるSRフリップフロップ回路909が設けられている。
【0005】
なお、アンド回路904,905は、インバータ付きのアンド回路であり、インバータ回路906により位相反転されたバーストゲートパルス信号BGがさらに反転されて論理積(アンド)がとられている。
【0006】
またヘッドスイッチングパルスSWPを微分・整流して所定周波数(例えば、60Hz)の基準パルスRPを出力する微分・整流回路912が設けられ、さらに前記負バーストIDパルスと基準パルスRPのOR回路911が設けられている。
【0007】
そして、このOR回路911の出力によりリセットされ、前記正バーストIDパルスをカウントする第一カウンタ910と、基準パルスRPによりリセットされ、第一カウンタ910の出力パルスをカウントする第二カウンタ913と、この第二カウンタ913のカウント出力を、そのリセット直前に基準パルスRPによりホールドし、そのホールド値が所定値以上のとき色信号有り、所定値未満のとき色信号無しと判断し、その判定出力信号を出力するホールド回路914が設けられている。
【0008】
このように、正バーストIDパルスと負バーストIDパルスを生成し、このパルスの連続性と個数を、後段の第一カウンタ910、第二カウンタ913でカウントし、ホールド回路914においてホールドし、そのカウント値を判定することによりカラーバースト信号の有無を判定している。
【0009】
この方式を用いることにより、入力された映像信号の形態がコンポジット信号であるか、コンポーネント信号であるかを判別することができる。
【特許文献1】特開平1−252090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の信号検出回路では、ID同期検波回路901においてバーストゲートパルスBGの期間内で色信号に対して同期していない基準信号との検波を行うため、色信号に対する基準信号の位相差により、コンデンサ902にチャージされる電圧のバラツキの変動幅が大きく、1水平帰線期間内では、入力されている映像信号がコンポジット信号か、コンポーネント信号かの判断はつかないことから、複数の水平帰線期間にわたって検波パルスをカウントする必要がある。
【0011】
また、ID同期検波回路901以外にも、比較器903,907、SRフリップフロップ回路905,909、カウンタ910,913、ホールド回路914が必要であり回路規模は大きい。
【0012】
また、ID同期検波回路901に入力される基準信号が固定信号であるため、例えば基準信号の周波数が3.58MHzの場合は、入力される映像信号はNTSCである必要があり、逆に基準信号の周波数が4.43MHzの場合は、入力される映像信号はPALである必要があり、マルチの放送を受信する場合には、本方式では対応できない。もし、基準信号が、3.58MHzと4.43MHzの両方に対応できるようにID同期検波回路901を同期検波方式にすると回路規模はさらに大きくなる。
【0013】
また、カラーバースト信号が重畳されるタイミングは、コンポジット信号からクロマ復調を行った後、ペデスタルレベルに近いDC電圧にすげかえられる場合が多く、ペデスタルレベルに対してはDCオフセットを持っているため、このようなカラーバースト期間にDCオフセットを持った輝度信号が前記の信号検出回路に入力されると、DCオフセット部分と基準信号の検波により、定常的にカラーバースト信号が存在するように判断される。
【0014】
そこで、本発明は、入力される映像信号に対して一水平期間で信号形態が判断でき、基準信号を3.58MHzと4.43MHzの切替えの必要もなく、クランプ段差等のノイズ成分に対して誤動作を起こさず安定的に信号形態の判定が行えるカラーバースト自動検出装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述した目的を達成するために、本発明のカラーバースト自動検出装置は、入力される映像信号から同期信号タイミング信号を取り出す同期分離回路と、前記同期分離回路により取り出された同期信号タイミング信号と、基準クロック信号を用いて、カラーバースト信号の期間をゲートするタイミングパルス信号を生成するバーストゲートパルス発生器と、前記映像信号と前記バーストゲートパルス発生器において生成されたタイミングパルス信号を入力し、前記映像信号内の第一タイミングで、前記バーストゲートパルス期間内に存在するカラーバースト信号のカウントアップを行う第一カウンタと、前記映像信号と前記バーストゲートパルス発生器において生成されたタイミングパルス信号を入力し、前記第一タイミングとは異なる前記映像信号内の第二タイミングで、前記バーストゲートパルス期間内に存在するカラーバースト信号のカウントアップを行う第二カウンタと、前記第一カウンタと第二カウンタの動作タイミングを制御する切替制御回路と、前記第一カウンタと第二カウンタの出力であるカウント値を入力として、前記映像信号に重畳されているカラーバースト信号の有無を判定し、前記入力されている映像信号がコンポジット信号かコンポーネント信号かの判定を行うカラーバースト判定回路を備えることを特徴とする。
【0016】
また、前記切替制御回路は、前記第一カウンタと前記第二カウンタが同時に動作することなく交互に動作する場合のみ第一カウンタおよび第二カウンタがカウントアップ動作を行えるように切替制御を行うことを特徴とする。
【0017】
また、前記カラーバースト判定回路は、前記第一カウンタと前記第二カウンタのカウント値が任意のカウント値以上の場合のみ、カラーバースト信号が前記入力される映像信号に重畳されていると判断することを特徴とする。
【0018】
また、前記入力される映像信号の帯域制限を行うバンドパスフィルタと、前記バンドパスフィルタにより帯域制限された映像信号を増幅して、前記第一カウンタおよび第二カウンタへ出力するアンプを備えることを特徴とする。
【0019】
また、前記カラーバースト判定回路に、連続する水平走査内のカラーバースト信号に対して、一水平走査毎に、前記第一カウンタと前記第二カウンタから入力されるカウント値に基づいて、前記第一カウンタと第二カウンタのどちらから先にカウントアップ動作が行われるか検出し、その判定情報を出力する機能を付加し、前記カラーバースト判定回路より入力される最初の判定情報を二水平走査以上に渡り確認し、前記判定情報が、毎回、同一のカウンタからのものであれば、NTSCのコンポジット信号と判定し、前記判定情報が、一水平走査毎に交互に変われば、PALのコンポジット信号と判定し、さらにPALのコンポジット信号と判定した場合、一水平走査毎のカラーバースト信号の位相切替タイミングを検出するカラー方式判定回路を備えることを特徴とする。
【0020】
また、前記第一カウンタは、カウントアップ動作させる第一タイミングとしてカラーバ
ースト信号の立上りエッジを使用し、前記第二カウンタは、カウントアップ動作させる第二タイミングとしてカラーバースト信号の立下りエッジを使用することを特徴とする。
【0021】
また、前記第一カウンタは、カウントアップ動作させる第のタイミングとしてカラーバースト信号の立下りエッジを使用し、前記第二カウンタは、カウントアップ動作させる第二タイミングとしてカラーバースト信号の立上りエッジを使用することを特徴とする。
【0022】
また、前記第一カウンタは、カウントアップ動作にペデスタルレベルよりも上側のカラーバースト信号を構成する正弦波の立上りエッジを使用し、前記第二カウンタは、カウントアップ動作にペデスタルレベルよりも下側のカラーバースト信号を構成する正弦波の立下りエッジを使用することを特徴とする。
【0023】
また、前記第一カウンタは、カウントアップ動作にペデスタルレベルよりも上側のカラーバースト信号を構成する正弦波の立下りエッジを使用し、前記第二カウンタは、カウントアップ動作にペデスタルレベルよりも下側のカラーバースト信号を構成する正弦波の立上りエッジを使用することを特徴とする。
【0024】
また、前記第一カウンタおよび第二カウンタは、前記カラーバースト信号の立上りおよび立下りエッジを用いてカウントアップ動作を行うとき、カウント動作を進行するエッジタイミングをペデスタルレベルからの距離を変数として決定することを特徴とする。
【0025】
また、前記カラーバースト判定回路は、カラーバースト信号の検出を垂直帰線消去期間内でのみ、入力されている映像信号がコンポジット信号かコンポーネント信号かの判定を行い、有効画面期間内では判定を行わないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明のカラーバースト自動検出装置は、一水平帰線消去期間内で入力されている映像信号がコンポジット信号であるか、コンポーネント信号であるかの判断を行うことができ、またPLL方式の同期検波系を有することなくカラーバースト信号が3.58MHzのNTSC信号と4.43MHzのPAL信号に対応でき、検出系の回路規模を小さくすることができる。
【0027】
また本発明のカラーバースト自動検出装置は、入力されている映像信号がコンポジット信号の場合、NTSCであるかPALであるかの判定を行うことができ、またPALのコンポジット信号である場合は、連続する一水平走査毎に交互に行われるカラーバースト信号の位相反転のタイミングを検出することができ、さらにクランプ段差や外乱ノイズの影響を受けることなく安定的に入力信号の形態を判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1におけるカラーバースト自動検出装置の回路図である。
【0029】
図1に示すように、カラーバースト自動検出装置は、同期分離回路102と、バーストゲートパルス発生器105と、第一カウンタ107と、第二カウンタ108と、切替制御回路109と、カラーバースト判定回路114を備えている。
【0030】
同期分離回路102は、入力された映像信号101より同期信号タイミングを取り出し、その同期信号タイミング信号103をバーストゲートパルス発生器105へ出力する。
前記バーストゲートパルス発生器105は、同期分離回路102により取り出された同期信号タイミング信号103と、別途供給される基準クロック信号104を入力信号とし、カラーバースト信号の期間をゲートするバーストゲートタイミングパルス信号106を生成し、第一カウンタ107および第二カウンタ108へ出力する。
【0031】
第一カウンタ107には、前記映像信号101とバーストゲートパルス発生器105において生成されたバーストゲートタイミングパルス信号106と切替制御回路109において生成されたカウンタ制御信号111(後述する)が入力されており、第一カウンタ107は、映像信号101内の第一タイミング(後述する)で、カウンタ制御信号111が動作しているとき、バーストゲートタイミングパルス信号106により限定されるカラーバースト信号の期間内に、映像信号101に存在するカラーバースト信号のカウントアップを行い(カウント動作を行い)、その第一カウンタ出力信号(カウント値)112をカラーバースト判定回路114へ出力する。
【0032】
第二カウンタ108には、同様に映像信号101とバーストゲートパルス発生器105において生成されたバーストゲートタイミングパルス信号106と切替制御回路109において生成されたカウンタ制御信号111(後述する)が入力されており、第二カウンタ108は、映像信号101内の第一タイミングとは異なる第二タイミング(後述する)で、カウンタ制御信号111が動作しているとき、バーストゲートタイミングパルス信号106により限定されるカラーバースト信号の期間内に、映像信号101に存在するカラーバースト信号のカウントアップを行い(カウント動作を行い)、その第二カウンタ出力信号(カウント値)113をカラーバースト判定回路114へ出力する。
【0033】
切替制御回路109には、カラーバースト判定回路114よりカウント更新パルス信号110(後述する)が入力されており、切替制御回路109は、第一カウンタ107と第二カウンタ108を制御するためのカウンタ制御信号111を出力する。
【0034】
前記カラーバースト判定回路114には、第一カウンタ107より出力された第一カウンタ出力信号112と第二カウンタ108より出力された第二カウンタ出力信号113が共に入力されており、カラーバースト判定回路114は、予め設定されたコンポジット信号かコンポーネント信号かどうかの判断のしきい値(所定のカウント値;後述する)を超えたかどうかにより、入力された映像信号101がコンポジット信号であるかコンポーネント信号であるかの判定をし、その判定出力信号115を出力する。また2つのカウンタ出力信号112または113のカウント値がアップ毎に、カウント更新パルス信号110を切替制御回路109へ出力する。このように、カラーバースト判定回路114は、一水平帰線消去期間内で入力されている映像信号101がコンポジット信号であるか、コンポーネント信号であるかの判断を行う。
「第一タイミング、第二タイミング」
上記第一タイミング(第一カウンタ107のカウントアップ動作のタイミング)と、第二タイミング(第二カウンタ108のカウントアップ動作のタイミング)の内容について、図2を用いて説明する。
【0035】
図2はコンポジット信号の水平帰線消去期間である。同期信号201のバックポーチ部分にはカラーバースト信号202が重畳されている。カラーバースト信号は、PALでは4.43MHz、NTSCでは3.58MHzの単一キャリアの正弦波で構成されている。そこで、この正弦波の立上りエッジ203を前記の第一タイミング、また立下りエッジ204を前記の第二タイミングとしている。なお、第一タイミングをカラーバースト信号の立上りエッジ、第二タイミングを立下りエッジとしたが、この逆の設定であっても問題はない。
【0036】
このように、第一タイミングと第二タイミングを、正弦波の立上りエッジ203と立下りエッジ204とすることにより、第一カウンタ107と第二カウンタ108を連続で交互に動作させる。例えば、PAL信号では、一つのカラーバースト信号は連続の正弦波で10±1サイクルで構成されているため、一つのカラーバースト信号では、第一カウンタ107、第二カウンタ108のそれぞれのカウント値は10±1となる。
【0037】
そこで、PAL信号のとき、カラーバースト判定回路113は、第一カウンタ107、第二カウンタ108の出力カウント値を合算して、コンポジット信号かコンポーネント信号かどうかを判断するとすれば、その上記しきい値(任意のカウント値)を、1以上で20以下の整数にする。
「切替制御回路109」
切替制御回路109は、例えば図3で示すような簡単なDフリップフロップからなる1/2分周器で構成することができる。図3において、クロック入力として、カラーバースト判定回路114より出力されるカウント更新パルス信号110を入力し、カウント更新パルス信号110が入力されるたびにQの反転出力は、D入力に入力される。よって、Q出力であるカウンタ制御信号111は、カウント更新パルス110が入力される毎にLowレベルとHighレベルを繰り返すことになる。よって、例えば、カウンタ制御信号111がLowレベル時には、第一カウンタ107を動作可能とし、Highレベル時には第二カウンタ108を動作可能と設定する。これにより、第一カウンタ107と第二カウンタ108が同時に動作することなく、交互に動作するように制御される。
【0038】
このように、カウンタ制御信号111を用いて第一カウンタ107と第二カウンタ108が同時に動作することなく交互に動作するように制御することにより、カラーバースト信号に外乱ノイズが重畳された場合にも、第一カウンタ107、第二カウンタ108のカウントアップ動作がノイズでランダムに行われることを防ぎ(誤作動を防止し)、カラーバースト信号を構成する正弦波の軌道を用いて安定的にカウントアップ動作を行うことができる。このことを図4を用いて説明する。
【0039】
図4にはカラーバースト信号に外乱ノイズが重畳されたコンポジット信号を示す。401は通常にカウントするべき立上りエッジであり、第一カウンタ107を正常にカウントアップさせる。立上りエッジ401の次に、外乱ノイズにより発生した立上りエッジ402が入力しても、切替制御回路109により、次は立下りエッジしかカウント動作が実行されないので、第一カウンタ107のカウントアップ動作は行われない。次に、外乱ノイズにより発生した立下りエッジ403で、第二カウンタ108は正常にカウントアップ動作を行う。そのため、正規の立下りタイミング404が次に連続してきても第二カウンタ108のカウントアップは切替制御回路109の指示により動作しない。しかし、立下りエッジ403,404でカウントアップは一つだけ進むので立下りカウントに関しても問題はない。
【0040】
以上のように、一水平帰線消去期間内のカラーバースト信号のサイクル数を、第一カウンタ107と第二カウンタ108によりカウントし、カラーバースト判定回路114において、これらカウント値を前記しきい値により判断することにより、一水平帰線消去期間内で入力されている映像信号がコンポジット信号であるか、コンポーネント信号であるかの判断を行うことができ、一水平期間で信号形態を判断できる。
【0041】
また同期分離回路102により、入力された映像信号101より同期信号タイミングを取り出すことにより、PLL方式の同期検波系を有することなく、また基準クロック信号104を3.58MHzと4.43MHzの切替えの必要もなく、カラーバースト信号が3.58MHzのNTSC信号と4.43MHzのPAL信号に対応でき、検出系の回路規模を小さくすることができる。
【0042】
また、カウンタ制御信号111を用いて第一カウンタ107と第二カウンタ108が同時に動作することなく交互に動作するように制御することにより、クランプ段差や外乱ノイズの影響を受けることなく安定的に入力信号の形態を判定することができる。
[実施の形態2]
図5は本発明の実施の形態2におけるカラーバースト自動検出装置の回路図である。なお、実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0043】
図5に示すように、実施の形態2では、カラーバースト自動検出装置は、同期分離回路102と、バーストゲートパルス発生器105と、第一カウンタ107と、第二カウンタ108と、切替制御回路109と、カラーバースト判定回路114に加えて、新たに第一カウンタ107および第二カウンタ108の前段に、入力される映像信号101の帯域制限を行い、単一キャリアのカラーバースト信号のみをフィルタリングするバンドパスフィルタ501と、バンドパスフィルタ501により出力されるカラーバースト信号を増幅して、第一カウンタ107および第二カウンタ108へ出力するリミッタアンプ502を備えている。
【0044】
この構成により、入力される映像信号101にカラーバースト信号が重畳されているバーストゲートパルス期間内において、第一カウンタ107と第二カウンタ108でカウント動作を行う前に、バンドパスフィルタ501を用いて単一キャリアのカラーバースト信号の帯域制限を行い、その出力信号をリミッタアンプ502により高レベルでアンプすることにより、第一カウンタ107および第二カウンタ108をカウントアップ動作させる立上りエッジと立下りエッジが強調される。したがって、第一カウンタ107および第二カウンタ108において、強調されたエッジタイミングを用いてカラーバースト信号のエッジタイミングのみを安定的に抽出でき、このエッジタイミングを用いて安定的にカウントアップ動作を行うことができる。
[実施の形態3]
コンポジット信号を入力している場合、連続する水平走査内のカラーバースト信号に対して、一水平走査毎で第一カウンタ107と第二カウンタ108のどちらからカウントアップ動作が行われるかを検出することにより、入力されている映像信号がNTSCのコンポジット信号であるか、PALのコンポジット信号であるかを検出することができる。
【0045】
本発明の実施の形態3として、本検出機能を内蔵したカラーバースト自動検出装置の回路図を図6に示す。なお、実施の形態2と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0046】
図6に示すように、実施の形態3では、カラーバースト自動検出装置は、同期分離回路102と、バーストゲートパルス発生器105と、第一カウンタ107と、第二カウンタ108と、切替制御回路109と、カラーバースト判定回路114と、バンドパスフィルタ501と、リミッタアンプ502に加えて、新たにカラー方式判定回路602を備え、同期信号タイミング信号103をカラーバースト判定回路114へ入力している。
【0047】
カラーバースト判定回路114には、同期信号タイミング信号103を入力後、第一カウンタ出力信号112もしくは第二カウンタ出力信号113のどちらが先に入力されたかを判定し、すなわち映像信号101としてコンポジット信号を入力している場合、連続する水平走査内のカラーバースト信号に対して、一水平走査毎に、第一カウンタ107と第二カウンタ108から入力されるカウント値に基づいて、第一カウンタ107と第二カウンタ108のどちらから先にカウントアップ動作が行われるか検出し、その判定情報(判定信号)601をカラー方式判定回路902へ出力する機能が付加されている。
【0048】
またNTSCであれば、毎回、判定情報601が同一のカウンタからのものとなり、PALであれば、一水平走査毎にカウンタ出力は交互に変わることから、カラー方式判定回路602は、カラーバースト判定回路114より入力される判定情報601を二水平走査以上に渡り確認し、判定情報601が、毎回、同一のカウンタからのものであれば、NTSCのコンポジット信号と判定し、判定情報601が、一水平走査毎に交互に変われば、PALのコンポジット信号と判定し、PALであるかNTSCであるかのカラー判定出力信号603を出力し、さらにPALのコンポジット信号と判定した場合、一水平走査毎のカラーバースト信号の位相切替タイミングを検出する。
【0049】
このように、一水平走査毎に、第一カウンタ出力信号112もしくは第二カウンタ出力信号113のどちらが先に入力されたかを判定し、この判定情報に基づいて、入力された映像信号101がコンポジット信号であった場合に、その信号がPALであるかNTSCであるかの判定を行うことができる。さらに入力された映像信号101がPALのコンポジット信号である場合は、一水平走査毎にカウンタ出力は交互に変わるため、一水平走査毎のカラーバースト信号の位相切替タイミングまでを同時に検出することができる。
[他の実施の形態]
上記実施の形態1〜3において、上述したように、第一カウンタ107と第二カウンタ108は、正弦波(カラーバースト信号)の立上りエッジ203と立下りエッジ204によりカウントアップ動作をしているが、このようなカウントアップ動作として、他の方法が考えられる。
【0050】
(A)まず、図7に示す方法が考えられる。図7のカラーバースト信号において、ペデスタルレベルより上側の立上りエッジ701を第一のタイミングとし、ペデスタルレベルよりも下側の立下りエッジ702を第二のタイミングとする。
【0051】
本方式を用いれば、カラーバースト信号の単一キャリアとしての正弦波特性を確認する形でカウントアップ動作が行われるため、外乱ノイズ、クランプキズ等の影響を受けることなくより安定的にカラーバースト検出を行うことができる。
【0052】
この方式では、ペデスタルレベルよりも上側の立上りエッジを第一のタイミング、ペデスタルレベルよりも下側の立下りエッジを第二のタイミングとしたが、この逆の設定であっても問題はない。
【0053】
(B)図7に破線で示す、ペデスタルレベルよりも上側の立上りエッジのしきい値703を超えることによりカウントアップ動作を行い、ペデスタルレベルよりも下側の立下りエッジのしきい値704より下まわることによりカウントアップ動作を行う。
【0054】
またしきい値703,704は、ペデスタルレベルからの距離は可変とする。このように、ペデスタルレベルよりも上側の立上りエッジのしきい値703と、ペデスタルレベルよりも下側の立下りエッジのしきい値704をペデスタルレベルからの距離として可変することにより、ペデスタルレベル近傍のノイズ成分によるカウントアップの誤作動を防止することができる。例えば、図8に示すように映像信号処理の過程でY/C分離や、バースト除去が行われた輝度信号には、図8の801に示すようなクランプ傷やカラーバースト信号を抜き取って挿げ替えDCを挿入した場合の傷が残っている場合がある。この場合、クランプ傷やDC挿げ替え時にできたスパイクノイズでカウントアップの誤作動が行われる可能性があるが、本来カラーバースト信号とクロマ信号が除去された信号は、コンポーネント信号として判定する必要がある。そこで、カラーバースト検出装置の前段で、フィルタリング処理を行い、カウントアップの誤作動となる要因のスパイクノイズを除去しておく方法もあるが、カウントアップを進めるための取り込みしきい値703,704をペデスタルレベルからの変数として扱うことにより、ペデスタル近傍のノイズによるカウントアップ動作の誤作動を防止することができる。
【0055】
また上記実施の形態1〜3において、カラーバースト判定回路114において、カラーバースト信号の検出を垂直帰線消去期間内でのみ、入力されている映像信号101がコンポジット信号かコンポーネント信号かの判定を行い、有効画面期間内では判定を行わないようにすれば、カラーバースト判定回路114から出力される判定出力信号115の切り替えノイズが有効画面に映らないようにすることができる。
【0056】
また上記実施の形態1〜3において、本発明のカラーバースト自動検出装置にSECAMのコンポジット信号が入力された場合は、水平同期信号のバックポーチに重畳されたクロマサブキャリアをPALのカラーバースト信号と誤判別する可能性が考えられるが、SECAM信号には垂直帰線消去期間に色判別信号が重畳されており、これを別途検出することによりPALのコンポジット信号が入力されていると誤判別することを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明にかかるカラーバースト自動検出装置は、入力される映像信号がコンポジット信号であるか、コンポーネント信号であるかを判断するシステムとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態1におけるカラーバースト自動検出装置の回路図である。
【図2】同カラーバースト自動検出装置の水平帰線消去期間におけるコンポジット信号の特性図である。
【図3】同カラーバースト自動検出装置の切替制御回路の構成図である。
【図4】同カラーバースト自動検出装置のコンポジット信号内のカラーバーストに外乱ノイズが重畳された特性図である。
【図5】本発明の実施の形態2におけるカラーバースト自動検出装置の回路図である。
【図6】本発明の実施の形態3におけるカラーバースト自動検出装置の回路図である。
【図7】他の実施の形態におけるカラーバースト自動検出装置のカラーバースト信号におけるカウントアップ動作を行うタイミングを示す図である。
【図8】同カラーバースト自動検出装置のクランプ傷が残ったコンポーネント輝度信号の特性図である。
【図9】従来のカラーバースト自動検出装置の回路図である。
【符号の説明】
【0059】
101 入力映像信号
102 同期分離回路
103 同期信号タイミング信号
104 基準クロック信号
105 バーストゲートパルス発生器
106 バーストゲートタイミングパルス信号
107 第一カウンタ
108 第二カウンタ
109 切替制御回路
110 カウント更新パルス信号
111 カウンタ制御信号
112 第一カウンタ出力信号
113 第二カウンタ出力信号
114 カラーバースト判定回路
115 判定出力信号
201 同期信号
202 カラーバースト信号
203 正弦波の立上りエッジ
204 正弦波の立下りエッジ
401 通常にカウントするべき立上りエッジ
402 外乱ノイズで作られた立上りエッジ
403 外乱ノイズで作られた立下りエッジ
404 正規の立下りエッジ
501 バンドパスフィルタ
502 リミッタアンプ
601 判定信号
602 カラー方式判定回路
603 カラー判定出力信号
701 ペデスタルレベルより上側の立上りエッジ
702 ペデスタルレベルより下側の立下りエッジ
703 ペデスタルレベルより上側のカウントアップを進めるための取り込みしきい値
704 ペデスタルレベルより下側のカウントアップを進めるための取り込みしきい値
801 クランプ傷とカラーバースト信号を抜き取ってDC挿げ替えを行ったときの傷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される映像信号から同期信号タイミング信号を取り出す同期分離回路と、
前記同期分離回路により取り出された同期信号タイミング信号と、基準クロック信号を用いて、カラーバースト信号の期間をゲートするタイミングパルス信号を生成するバーストゲートパルス発生器と、
前記映像信号と前記バーストゲートパルス発生器において生成されたタイミングパルス信号を入力し、前記映像信号内の第一タイミングで、前記バーストゲートパルス期間内に存在するカラーバースト信号のカウントアップを行う第一カウンタと、
前記映像信号と前記バーストゲートパルス発生器において生成されたタイミングパルス信号を入力し、前記第一タイミングとは異なる前記映像信号内の第二タイミングで、前記バーストゲートパルス期間内に存在するカラーバースト信号のカウントアップを行う第二カウンタと、
前記第一カウンタと第二カウンタの動作タイミングを制御する切替制御回路と、
前記第一カウンタと第二カウンタの出力であるカウント値を入力として、前記映像信号に重畳されているカラーバースト信号の有無を判定し、前記入力されている映像信号がコンポジット信号かコンポーネント信号かの判定を行うカラーバースト判定回路
を備えることを特徴とするカラーバースト自動検出装置。
【請求項2】
前記切替制御回路は、前記第一カウンタと前記第二カウンタが同時に動作することなく交互に動作する場合のみ第一カウンタおよび第二カウンタがカウントアップ動作を行えるように切替制御を行うこと
を特徴とする請求項1に記載のカラーバースト自動検出装置。
【請求項3】
前記カラーバースト判定回路は、前記第一カウンタと前記第二カウンタのカウント値が任意のカウント値以上の場合のみ、カラーバースト信号が前記入力される映像信号に重畳されていると判断すること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のカラーバースト自動検出装置。
【請求項4】
前記入力される映像信号の帯域制限を行うバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタにより帯域制限された映像信号を増幅して、前記第一カウンタおよび第二カウンタへ出力するアンプ
を備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のカラーバースト自動検出装置。
【請求項5】
前記カラーバースト判定回路に、連続する水平走査内のカラーバースト信号に対して、一水平走査毎に、前記第一カウンタと前記第二カウンタから入力されるカウント値に基づいて、前記第一カウンタと第二カウンタのどちらから先にカウントアップ動作が行われるか検出し、その判定情報を出力する機能を付加し、
前記カラーバースト判定回路より入力される最初の判定情報を二水平走査以上に渡り確認し、前記判定情報が、毎回、同一のカウンタからのものであれば、NTSCのコンポジット信号と判定し、前記判定情報が、一水平走査毎に交互に変われば、PALのコンポジット信号と判定し、さらにPALのコンポジット信号と判定した場合、一水平走査毎のカラーバースト信号の位相切替タイミングを検出するカラー方式判定回路を備えること
を特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のカラーバースト自動検出装置。
【請求項6】
前記第一カウンタは、カウントアップ動作させる第一タイミングとしてカラーバースト信号の立上りエッジを使用し、
前記第二カウンタは、カウントアップ動作させる第二タイミングとしてカラーバースト信号の立下りエッジを使用すること
を特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のカラーバースト自動検出装置。
【請求項7】
前記第一カウンタは、カウントアップ動作させる第のタイミングとしてカラーバースト信号の立下りエッジを使用し、
前記第二カウンタは、カウントアップ動作させる第二タイミングとしてカラーバースト信号の立上りエッジを使用すること
を特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のカラーバースト自動検出装置。
【請求項8】
前記第一カウンタは、カウントアップ動作にペデスタルレベルよりも上側のカラーバースト信号を構成する正弦波の立上りエッジを使用し、
前記第二カウンタは、カウントアップ動作にペデスタルレベルよりも下側のカラーバースト信号を構成する正弦波の立下りエッジを使用すること
を特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のカラーバースト自動検出装置。
【請求項9】
前記第一カウンタは、カウントアップ動作にペデスタルレベルよりも上側のカラーバースト信号を構成する正弦波の立下りエッジを使用し、
前記第二カウンタは、カウントアップ動作にペデスタルレベルよりも下側のカラーバースト信号を構成する正弦波の立上りエッジを使用すること
を特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のカラーバースト自動検出装置。
【請求項10】
前記第一カウンタおよび第二カウンタは、前記カラーバースト信号の立上りおよび立下りエッジを用いてカウントアップ動作を行うとき、カウント動作を進行するエッジタイミングをペデスタルレベルからの距離を変数として決定すること
を特徴とする請求項8または請求項9に記載のカラーバースト自動検出装置。
【請求項11】
前記カラーバースト判定回路は、カラーバースト信号の検出を垂直帰線消去期間内でのみ、入力されている映像信号がコンポジット信号かコンポーネント信号かの判定を行い、有効画面期間内では判定を行わないこと
を特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のカラーバースト自動検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−74319(P2007−74319A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−258612(P2005−258612)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】