説明

カラーフィルタおよびカラーフィルタを備えた有機EL表示装置

【課題】入射された光を効率的に利用することができるカラーフィルタを提供する。
【解決手段】カラーフィルタ10は、カラーフィルタ用基材11と、カラーフィルタ用基材11の光源側に設けられたブラックマトリクス層12と、ブラックマトリクス層12間に設けられた複数色の着色層13と、を備えている。また、ブラックマトリクス層12の観察側の面12a上に、ブラックマトリクス12層から観察側に向ってカラーフィルタ10の法線方向に延びる隔壁15が設けられている。この隔壁15の屈折率は、カラーフィルタ用基材11の屈折率よりも小さくなっており、またこの隔壁15は、観察側に向かうにつれて先細となるくさび形状を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラーフィルタに係り、とりわけ、入射した光を効率的に利用することができるカラーフィルタに関する。また本発明は、当該カラーフィルタを備えた有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、平面ディスプレイとして液晶表示装置や有機EL表示装置などが実用化されている。これらの表示装置において、光源からの光は、一般に、表示装置の法線方向に平行な方向だけでなく、全ての方向に向うように発光される。また一般に、表示装置は複数の層から構成されており、このため、光源から各層に到達した光の入射角が層の臨界角よりも大きいと、当該光が層により全反射される。全反射された光は、その後、表示装置の側端部などから外方に出射され、この結果、当該光が無駄になる。
【0003】
このような無駄な光を低減するため、例えば特許文献1において、有機EL層の表面に光散乱部が設けられた有機EL表示装置が提案されている。特許文献1に記載の有機EL表示装置においては、有機EL表示装置を構成する所定の層により全反射されて有機EL層に戻ってきた光を散乱部によって散乱反射させることができ、このため、当該光が再び所定の層に入射する際の入射角を臨界角よりも小さくすることができる。
【0004】
また特許文献2に記載の有機EL表示装置においては、有機EL層を観察側から支持するガラス基板に、セルフォックや凸レンズ等の集光性を持たせることが提案されている。特許文献2に記載の有機EL表示装置においては、このようにガラス基板に集光性を持たせることにより、有機EL層からの光がガラス基板の観察側の面において全反射するのが防がれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−119211号公報
【特許文献2】特許第2670572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
表示装置は一般に、光源からの光の色純度を向上させるため、または光源からの光の波長を変換するため、カラーフィルタを備えている。カラーフィルタは一般に複数の層から構成されており、このため、光源からカラーフィルタに入射した光の入射角がカラーフィルタの各層の臨界角よりも大きいと、当該光がカラーフィルタの層により全反射される。しかしながら上述の特許文献1,2またはその他の先行技術文献においては、カラーフィルタの各層における全反射を低減することについて考慮されていない。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、入射した光を効率的に利用することができるカラーフィルタ、および当該カラーフィルタを備えた有機EL表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による観察側の面と光源側の面とを有する第1のカラーフィルタは、カラーフィルタ用基材と、カラーフィルタ用基材の光源側に設けられたブラックマトリクス層と、ブラックマトリクス層間に設けられた複数色の着色層と、を備え、ブラックマトリクス層の観察側の面上に、ブラックマトリクス層から観察側に向ってカラーフィルタの法線方向に延びる隔壁が設けられ、隔壁の屈折率は、カラーフィルタ用基材の屈折率よりも小さくなっており、これによって、光源側から入射する光を隔壁により観察側へ導くことを特徴とする。
【0009】
本発明による第1のカラーフィルタにおいて、好ましくは、前記隔壁は、観察側に向かうにつれて先細となるくさび形状を有している。
【0010】
本発明による第1のカラーフィルタにおいて、好ましくは、前記隔壁は、カラーフィルタの法線方向に沿って5μm以上の高さを有し、当該隔壁において、そのくさび形状の光源側の底角が45度以上となっている。
【0011】
本発明による第1の有機EL表示装置は、上記記載の第1のカラーフィルタと、当該カラーフィルタの光源側に配置されて、陽極と、陰極と、陽極と陰極の間に設けられた有機発光層とを有する有機EL層と、カラーフィルタと有機EL層との間に介在される接着層と、を備え、カラーフィルタの隔壁の屈折率は、カラーフィルタのカラーフィルタ用基材の屈折率よりも小さくなっていることを特徴とする。
【0012】
本発明による第2の有機EL表示装置は、観察側の面と光源側の面とを有するカラーフィルタと、当該カラーフィルタの光源側に配置されて、陽極と、陰極と、陽極と陰極の間に設けられた有機発光層とを有する有機EL層と、カラーフィルタと有機EL層との間に介在される接着層と、を備え、カラーフィルタは、カラーフィルタ用基材と、カラーフィルタ用基材の光源側に設けられたブラックマトリクス層と、ブラックマトリクス層間に設けられた複数色の着色層と、を有し、ブラックマトリクス層の光源側の面上に、ブラックマトリクス層から光源側に向ってカラーフィルタの法線方向に延びる隔壁が設けられ、隔壁の屈折率は、接着層の屈折率よりも小さくなっており、これによって、光源側から入射する光を隔壁により観察側へ導くことを特徴とする。
【0013】
本発明による第1および第2の有機EL表示装置において、好ましくは、カラーフィルタの隔壁は、観察側に向かうにつれて先細となるくさび形状を有している。
【0014】
本発明による第1および第2の有機EL表示装置において、好ましくは、カラーフィルタの隔壁は、カラーフィルタの法線方向に沿って5μm以上の高さを有しており、当該隔壁において、そのくさび形状の光源側の底角が45度以上となっている。
【0015】
本発明による観察側の面と光源側の面とを有する第2のカラーフィルタは、カラーフィルタ用基材と、カラーフィルタ用基材の光源側に設けられたブラックマトリクス層と、ブラックマトリクス層間に設けられた複数色の着色層と、を備え、着色層とカラーフィルタ用基材との間の界面に、着色層から観察側に向って凸となる複数のレンズ部が設けられ、各レンズ部の屈折率は、カラーフィルタ用基材および着色層の屈折率よりも小さくなっていることを特徴とする。
【0016】
本発明による第2のカラーフィルタにおいて、好ましくは、各レンズ部は、カラーフィルタの法線方向に沿って3μm以上の高さを有し、各レンズ部をカラーフィルタの法線方向から見た場合、各レンズ部は半径5μm以上の円形状を有している。
【0017】
本発明による第3の有機EL表示装置は、上記記載の第2のカラーフィルタと、当該カラーフィルタの光源側に配置されて、陽極と、陰極と、陽極と陰極の間に設けられた有機発光層とを有する有機EL層と、カラーフィルタと有機EL層との間に介在される接着層と、を備え、カラーフィルタの各レンズ部の屈折率は、カラーフィルタのカラーフィルタ用基材および着色層の屈折率よりも小さくなっていることを特徴とする。
【0018】
本発明による第3の有機EL表示装置において、好ましくは、前記カラーフィルタの各レンズ部は、カラーフィルタの法線方向に沿って3μm以上の高さを有し、各レンズ部をカラーフィルタの法線方向から見た場合、各レンズ部は半径5μm以上の円形状を有している。
【0019】
本発明による第4の有機EL表示装置は、観察側の面と光源側の面とを有するカラーフィルタと、当該カラーフィルタの光源側に配置されて、陽極と、陰極と、陽極と陰極の間に設けられた有機発光層とを有する有機EL層と、カラーフィルタと有機EL層との間に介在される接着層と、を備え、カラーフィルタは、カラーフィルタ用基材と、カラーフィルタ用基材の光源側に設けられたブラックマトリクス層と、ブラックマトリクス層間に設けられた複数色の着色層と、を有し、接着層とカラーフィルタの着色層との間の界面に、接着層から観察側に向って凸となる複数のレンズ部が設けられ、各レンズ部の屈折率は、接着層およびカラーフィルタの着色層の屈折率よりも小さくなっていることを特徴とする。
【0020】
本発明による第5の有機EL表示装置は、観察側の面と光源側の面とを有するカラーフィルタと、当該カラーフィルタの光源側に配置されて、陽極と、陰極と、陽極と陰極の間に設けられた有機発光層とを有する有機EL層と、カラーフィルタと有機EL層との間に介在される接着層と、を備え、カラーフィルタは、カラーフィルタ用基材と、カラーフィルタ用基材の光源側に設けられたブラックマトリクス層と、ブラックマトリクス層間に設けられた複数色の着色層と、を有し、有機EL層と接着層との間の界面に、有機EL層から観察側に向って凸となる複数のレンズ部が設けられ、各レンズ部の屈折率は、接着層の屈折率よりも小さくなっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1のカラーフィルタによれば、ブラックマトリクス層の観察側の面上に、ブラックマトリクス層から観察側に向ってカラーフィルタの法線方向に延びる隔壁が設けられている。この隔壁の屈折率は、カラーフィルタ用基材の屈折率よりも小さくなっており、このため、光源からの光がカラーフィルタ用基材の観察側の面に到達する際の入射角がより小さくなるよう、当該隔壁が光を全反射すること、または、当該隔壁が光を透過させることができる。このことにより、カラーフィルタ用基材の観察側の面において全反射される光の割合を低減することができ、これによって、カラーフィルタに入射した光の利用効率を向上させることができる。
【0022】
本発明の第2のカラーフィルタによれば、着色層とカラーフィルタ用基材との間の界面に、着色層から観察側に向って凸となる複数のレンズ部が設けられている。各レンズ部の屈折率は、カラーフィルタ用基材および着色層の屈折率よりも小さくなっており、このため、光源からの光がカラーフィルタ用基材の観察側の面に到達する際の入射角がより小さくなるよう、各レンズ部が光を観察側に導くことができる。このことにより、カラーフィルタ用基材の観察側の面において全反射される光の割合を低減することができ、これによって、カラーフィルタに入射した光の利用効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態における有機EL表示装置を示す縦断面図。
【図2】図2(a)は、図1に示す有機EL表示装置のカラーフィルタを矢印IIaから見た図、図2(b)は、図1に示す有機EL表示装置のカラーフィルタを矢印IIbから見た図、図2(c)は、図1に示す有機EL表示装置の有機EL層を矢印IIcから見た図。
【図3】図3(a)(b)(c)(d)は、本発明の第1の実施の形態において、カラーフィルタを形成する工程を示す図。
【図4】図4は、比較例としての有機EL表示装置を示す縦断面図。
【図5】図5(a)(b)(c)は、本発明の第1の実施の形態において、カラーフィルタの隔壁を形成する工程の変形例を示す図。
【図6】図6(a)(b)(c)は、本発明の第1の実施の形態において、カラーフィルタの隔壁の変形例を示す図。
【図7】図7(a)(b)は、本発明の第1の実施の形態におけるカラーフィルタの変形例を示す図。
【図8】図8(a)は、本発明の第2の実施の形態における有機EL表示装置を示す縦断面図、図8(b)は、図8(a)に示す有機EL表示装置のカラーフィルタを矢印VIIbから見た図。
【図9】図9(a)(b)(c)(d)は、本発明の第2の実施の形態において、カラーフィルタを形成する工程を示す図。
【図10】図10(a)は、本発明の第2の実施の形態における有機EL表示装置の変形例を示す図、図10(b)は、本発明の第2の実施の形態における有機EL表示装置のその他の変形例を示す図。
【図11】図11(a)は、本発明の実施例1における有機EL表示装置を示す縦断面図、図11(b)は、図11(a)に示す有機EL表示装置を拡大して示す図、図11(c)は、図11(b)に示す有機EL表示装置のカラーフィルタを矢印XIcから見た図。
【図12】図12(a)は、本発明の実施例2における有機EL表示装置を拡大して示す図、図12(b)は、図12(a)に示す有機EL表示装置のカラーフィルタを矢印XIIbから見た図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
第1の実施の形態
以下、図1乃至図3を参照して、本発明の第1の実施の形態について説明する。まず図1により、本実施の形態における有機EL表示装置40全体について説明する。
【0025】
有機EL表示装置
図1に示すように、有機EL表示装置40は、観察側の面10aと光源側の面10bとを有するカラーフィルタ10と、カラーフィルタ10の光源側に配置された有機EL層44と、カラーフィルタ10と有機EL層44との間に介在される樹脂接着層31(接着層)と、を備えている。このうち有機EL層44は、図1に示すように、陽極41と、陰極43と、陽極41と陰極43の間に設けられた有機発光層42とを有している。また図1に示すように、有機EL層44はガラス基板47によって支持されている。なお本実施の形態における有機EL表示装置40はいわゆるトップエミッション型であり、図1において符号(1)〜(3)で示すように、有機EL層44からの発光がカラーフィルタ10の観察側から取り出される。
【0026】
カラーフィルタ10と有機EL層44との間に介在されている樹脂接着層31に加えて、図1に示すように、カラーフィルタ10の外縁部とガラス基板47の外縁部との間に樹脂接着材30がさらに介在されていてもよい。これによって、カラーフィルタ10とガラス基板47とをより強固に接着することができる。
【0027】
本実施の形態におけるガラス基材47は、有機EL層44を支持するとともに、外気を遮断することができるものであれば特に限定されるものではないが、安定性、耐久性等が良好なことから、ガラスや透明ポリマーであることが好ましい。
【0028】
陽極41としては、効率良く正孔を注入できる材料であれば特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウム、クロム、モリブデン、タングステン、銅、銀または金およびそれらの合金等を使用することが好ましい。
【0029】
一方、陰極43は、電子を注入しやすく、かつ光透過性の良好な材料が用いられており、例えば酸化リチウム、炭酸セシウム等が用いられる。
【0030】
有機発光層42としては、所定の電圧を印加することにより発光する蛍光性有機物質を含有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、キノリノール錯体、オキサゾール錯体、各種レーザー色素、ポリパラフェニレンビニレン等が挙げられる。
【0031】
なお、陽極41から注入された正孔を有機発光層42に効率的に輸送するため、陽極41と有機発光層42との間に正孔輸送層(図示せず)を設けてもよい。正孔輸送層の構成材料として、例えばテトラフェニルベンジジンが挙げられる。さらに、陽極41と正孔輸送層との間に正孔注入層(図示せず)を設けてもよい。また、有機発光層42と陰極43との間に、電子注入層(図示せず)や電子輸送層(図示せず)を設けてもよい。
【0032】
また図1に示すように、ガラス基板47上に設けられた有機EL層44は、水分を遮蔽するバリア膜45により覆われている。このバリア膜45は、複数、例えば20の層を積層して形成されており、バリア膜45の各層の材料としては、珪素、アルミニウム、亜鉛またはスズの酸化物または酸窒化物等が挙げられる。しかしながら、有機EL層44を覆うバリア膜45は必ずしも設けなくてもよい。
【0033】
樹脂接着層31および樹脂接着材30としては、カラーフィルタ10とガラス基板47とを、またはカラーフィルタ10と有機EL層44とを良好に接着させる機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等の一種単独または二種以上の組合せからなる接着機能を有する樹脂等を使用することが好ましい。このような樹脂接着層31および樹脂接着材30の屈折率は、例えば1.6となっている。
【0034】
カラーフィルタ
次に、カラーフィルタ10について図1および図2(a)(b)(c)を参照して詳述する。図1に示すように、カラーフィルタ10は、カラーフィルタ用基材11と、カラーフィルタ用基材11の光源側に設けられたブラックマトリクス層12と、ブラックマトリクス層12間に設けられた複数色の着色層13と、を備えている。
【0035】
また図1に示すように、ブラックマトリクス層12の観察側の面12a上に、ブラックマトリクス12層から観察側に向ってカラーフィルタ10の法線方向に延びる隔壁15が設けられている。この隔壁15の屈折率は、カラーフィルタ用基材11の屈折率よりも小さくなっており、またこの隔壁15は、図1に示すように、観察側に向かうにつれて先細となるくさび形状を有している。このため図1において符号(2)(3)で示すように、有機EL層44(光源)からの光がカラーフィルタ用基材11の観察側の面11aに到達する際の入射角φがより小さくなるよう、隔壁15が光を全反射することができる。このことにより、カラーフィルタ用基材11の観察側の面11aにおいて全反射される光の割合を低減することができる。
【0036】
図2(a)(b)(c)において、図2(a)は、図1に示すカラーフィルタ10を矢印IIaから見た図であり、図2(b)は、図1に示すカラーフィルタ10を矢印IIbから見た図であり、図2(c)は、有機EL層44を矢印IIcから見た図である。図2(a)において、カラーフィルタ10の隔壁15の頂辺部15aが一点鎖線により示されている。また図2(c)に示すように、有機EL層44は、各々が有機EL表示装置40の単位画素に対応する複数の単位有機EL層44aからなり、各単位有機EL層44aには駆動用配線48が接続されている。そして図2(a)(b)に示すように、カラーフィルタ10の各着色層13は、有機EL層44の各単位有機EL層44aにそれぞれ対応するよう形成されている。
【0037】
隔壁15の寸法は、有機EL層44とカラーフィルタ10との間の距離、ブラックマトリクス12または着色層13の寸法などに応じて適宜設定されるが、例えば、カラーフィルタ10の法線方向における隔壁15の高さhは5μm以上となっており、また隔壁15のくさび形状の光源側の底角θ(図1参照)は45度以上となっている。このことにより、カラーフィルタ用基材11の観察側の面11aにおいて全反射される光の割合をより低減することができる。
【0038】
カラーフィルタ用基材
次に、カラーフィルタ10の構成要素について各々詳述する。はじめにカラーフィルタ用基材11について詳述する。
【0039】
カラーフィルタ用基材11の材料は、有機EL層44の発光を外部に取り出すことができ、かつ水分および酸素を効率的に遮断することができる限り特に限定されるものではない。ただし、隔壁15を形成する際の加工性、樹脂接着層31および樹脂接着材30との接着性、および光透過性、安定性や耐久性等を考慮すると、ガラスやポリマー等を使用することが好ましい。本実施の形態においては、カラーフィルタ用基材11の材料としてガラスを用いており、その屈折率は例えば1.5となっている。
【0040】
カラーフィルタ用基材11の屈折率が1.5となっている場合、カラーフィルタ用基材11の観察側の面11a、すなわち空気との界面における臨界角は、空気の屈折率を1と仮定すると、41.8度となる。このため、カラーフィルタ用基材11の観察側の面11aに到達した光の入射角φが41.8度よりも大きい場合、面11aに到達した光が、カラーフィルタ10から出射されることなく面11aにおいて全反射される。
【0041】
ブラックマトリクス層
次にブラックマトリックス層12について詳述する。ブラックマトリクス層12の材料としては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック等の黒色着色剤を含有する樹脂組成物等が挙げられる。この樹脂組成物に用いられる樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂を使用することができる。
【0042】
着色層
次に着色層13について詳述する。着色層13は、有機EL層44からの光を補正し、または色純度を高めるものであり、有機EL層44の所定の単位有機EL層44aに対応して設けられた赤色着色層、青色着色層および緑色着色層のいずれかからなる。赤色着色層、青色着色層および緑色着色層は、各色の顔料や染料等の着色剤を感光性樹脂中に分散または溶解させて形成された層である。
このうち赤色着色層に用いられる着色剤としては、例えば、ペリレン系顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
青色着色層に用いられる着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、インダンスレン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
緑色着色層に用いられる着色剤としては、例えば、ハロゲン多置換フタロシアニン系顔料もしくはハロゲン多置換銅フタロシアニン系顔料等のフタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料等が挙げられる。これらの顔料もしくは染料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
このような赤色着色層、青色着色層および緑色着色層のいずれかからなるカラーフィルタ層11の屈折率は、一般に1.5〜1.7の範囲内となっている。
【0043】
隔壁
次に隔壁15について詳述する。後述するように、隔壁15は、はじめにカラーフィルタ用基材11にくさび形状を有する穴を形成し、次に当該穴に樹脂を充填することにより形成される。ここで、隔壁15を形成する樹脂として、カラーフィルタ用基材11の屈折率よりも小さい屈折率を有する樹脂が用いられており、これによって、隔壁15の屈折率をカラーフィルタ用基材11の屈折率よりも小さくすることができる。
【0044】
隔壁15を形成する材料としては、カラーフィルタ用基材11の屈折率よりも小さい屈折率を有するものであれば特に限定されず、例えば、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)などのフッ素樹脂を用いることができる。フッ素樹脂等から形成される隔壁15の屈折率は、例えば1.2〜1.45の範囲内となっている。
【0045】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、はじめに、カラーフィルタ10および有機EL表示装置40の形成方法について説明し、次に、有機EL層44からの光をカラーフィルタ10により効率的に取り出す作用について説明する。
【0046】
カラーフィルタの形成方法
まず図3(a)(b)(c)(d)を参照して、カラーフィルタ10を形成する方法について説明する。はじめに図3(a)に示すように、カラーフィルタ用基材11を準備する。このカラーフィルタ用基材11は、10cm×10cmの幅を有するガラスからなる。
【0047】
次に図3(b)に示すように、カラーフィルタ用基材11の光源側の面11bに、くさび形状を有する穴21を形成する。穴21を形成する方法が特に限られることはなく、サンドブラスト、エッチング、機械切削などの方法を適宜用いることができる。
【0048】
次に、カラーフィルタ用基材11の穴21に、上述のフッ素樹脂など、カラーフィルタ用基材11の屈折率よりも小さい屈折率を有する材料を充填する。これによって、図3(c)に示すように、カラーフィルタ用基材11内に隔壁15が形成される。
【0049】
次に、図3(d)に示すように、カラーフィルタ用基材11の光源側の面11b上であって、隔壁15に対応する位置にブラックマトリクス層12を形成する。その後、ブラックマトリクス層12間に複数色の着色層13を形成し、これによってカラーフィルタ10が形成される。ブラックマトリクス層12および着色層13を形成する方法が特に限られることはなく、フォトリソグラフィー法、ディスペンサ法、インクジェット法、スピンコーティング法、印刷法などを適宜用いることができる。
【0050】
有機EL表示装置の形成方法
上述のようにしてカラーフィルタ10を製造した後、有機EL層44およびバリア膜45が設けられたガラス基板47を準備する。次に、カラーフィルタ用基材11とガラス基材47との間に樹脂接着層31および樹脂接着材30を充填させ、これによってカラーフィルタ用基材11とガラス基材47とを接着させる。このようにして、図1に示す有機EL表示装置40が得られる。
【0051】
カラーフィルタによる光の取り出し
次に図1を参照して、有機EL層44からの光をカラーフィルタ10により効率的に取り出す作用について説明する。ここでは、カラーフィルタ10の光源側の面10bから入射して観察側の面10aから出射する光の経路のうち3つの経路について説明する。
【0052】
はじめに、図1において符号(1)で示す経路について説明する。この場合、光がカラーフィルタ10の光源側の面10bに、カラーフィルタ10の法線方向に沿って入射している。この光は、着色層13およびカラーフィルタ用基材11を透過してカラーフィルタ10の観察側の面10aから出射する。
【0053】
次に、図1において符号(2)(3)で示す経路について説明する。この場合、光がカラーフィルタ10の光源側の面10bにカラーフィルタ10の法線方向から傾斜して入射している。
【0054】
図1に示すように、これらの光は、はじめにカラーフィルタ10の着色層13に入射し、次にカラーフィルタ用基材11に入射する。その後これらの光は、図1に示すように、隔壁15に到達する。ここで上述のように、隔壁15の屈折率はカラーフィルタ用基材11の屈折率よりも小さくなっており、このため、隔壁15に到達した光が隔壁15により全反射される。隔壁15により全反射された光は、その後、カラーフィルタ用基材11の観察側の面11aに到達する。
【0055】
ここで隔壁15は、上述のように、観察側に向かうにつれて先細となるくさび形状を有しており、このため、隔壁15により全反射された後にカラーフィルタ用基材11の観察側の面11aに到達する光の入射角φは、このような隔壁15が設けられていない場合の入射角に比べて小さくなる。このため、カラーフィルタ用基材11の観察側の面11aに到達する光が面11aで全反射されるのを防ぐことができる。このように、隔壁15で光を全反射させることにより、カラーフィルタ10の光源側の面10bにカラーフィルタ10の法線方向から傾斜して入射した光を、カラーフィルタ10の観察側から適切に取り出すことが可能となる。
【0056】
このように本実施の形態によれば、ブラックマトリクス層12の観察側の面12a上に、ブラックマトリクス12層から観察側に向ってカラーフィルタ10の法線方向に延びる隔壁15が設けられている。この隔壁15の屈折率は、カラーフィルタ用基材11の屈折率よりも小さくなっており、またこの隔壁15は、観察側に向かうにつれて先細となるくさび形状を有している。このため、有機EL層44からの光がカラーフィルタ用基材11の観察側の面11aに到達する際の入射角φがより小さくなるよう、隔壁15が光を全反射することができる。このことにより、カラーフィルタ用基材11の観察側の面11aにおいて全反射される光の割合を低減することができ、これによって、カラーフィルタ10に入射した光の利用効率を向上させることができる。
【0057】
また本実施の形態によれば、隔壁15は、カラーフィルタの法線方向に沿って5μm以上の高さを有しており、また隔壁15において、そのくさび形状の底角θが45度以上となっている。このことにより、カラーフィルタ用基材11の観察側の面11aにおいて全反射される光の割合をより低減することができる。
【0058】
次に、本願発明の効果を比較例と比較して説明する。図4に示す比較例としての有機EL表示装置50は、カラーフィルタ51に隔壁15が形成されていない点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図3に示す本実施の形態における有機EL表示装置40と略同一である。図4に示す比較例において、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0059】
図4に示す比較例において符号(2’)または(3’)で示すように、カラーフィルタ51の光源側の面51bにカラーフィルタ51の法線方向から傾斜して入射した光は、傾斜をほぼ保ったままカラーフィルタ用基材11の観察側の面11aに到達する。この場合、面11aに到達した光の入射角φ’が臨界角よりも大きくなっており、このため、面11aに到達した光が面11aにおいて全反射される。このように比較例においては、カラーフィルタ51の光源側の面51bにカラーフィルタ51の法線方向から傾斜して入射した光が、傾斜をほぼ保ったままカラーフィルタ用基材11の観察側の面11aに到達するため、大きく傾斜してカラーフィルタ51に入射した光をカラーフィルタ51の観察側から取り出すことができない。
【0060】
これに対して本願発明によれば、上述のように、ブラックマトリクス層12の観察側の面12a上に、ブラックマトリクス12層から観察側に向ってカラーフィルタ10の法線方向に延びる隔壁15が設けられている。この隔壁15の屈折率は、カラーフィルタ用基材11の屈折率よりも小さくなっており、またこの隔壁15は、観察側に向かうにつれて先細となるくさび形状を有している。このため、カラーフィルタ10の光源側の面10bに、カラーフィルタ10の法線方向から大きく傾斜して光が入射した場合であっても、当該光が隔壁15によって全反射されることにより、カラーフィルタ用基材11の観察側の面11aに到達する際の光の入射角φを小さくすることができる。このことにより、カラーフィルタ用基材11の観察側の面11aにおいて全反射される光の割合を低減することができ、これによって、カラーフィルタ10に入射した光の利用効率を向上させることができる。
【0061】
なお本実施の形態において、カラーフィルタ10の光源側が、ブラックマトリクス層12および着色層13を保護するためのオーバーコート層(図示せず)により覆われていてもよい。同様に、カラーフィルタ10の光源側が、ブラックマトリクス層12および着色層13から放出される水分が有機EL層44に入り込むのを遮蔽するバリア膜(図示せず)により覆われていてもよい。
【0062】
隔壁の形成方法の変形例
また本実施の形態において、はじめに、カラーフィルタ用基材11にくさび形状を有する穴21が形成され、次に、穴21内にカラーフィルタ用基材11の屈折率よりも小さい屈折率を有する材料が充填され、これによって隔壁15が形成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、その他の方法により隔壁15を形成してもよい。隔壁15、および当該隔壁15を有するカラーフィルタ10を形成する方法の変形例について、図5(a)(b)(c)を参照して説明する。
【0063】
はじめに図5(a)に示すように、ベース基材22を準備する。ベース基材22の材料は、有機EL層44の発光を外部に取り出すことができ、かつ水分および酸素を効率的に遮断することができる限り特に限定されるものではなく、例えばガラスやポリマー等を使用することができる。ベース基材22の屈折率は例えば1.5となっている。
【0064】
次に図5(b)に示すように、ベース基材22上にルーバーフィルム23を設ける。このルーバーフィルム23は、図5(b)に示すように、ルーバーフィルム23のベースとなる透明基材部23aと、透明基材部23a内に設けられ、くさび形状を有する低屈折率樹脂部23bとからなる。このうち透明基材部23aは、光を透過させることができる透明樹脂などから形成されており、その屈折率は例えば1.5となっている。また低屈折率樹脂部23bは、透明基材部23aの屈折率よりも低い屈折率を有する材料から形成されている。例えば低屈折率樹脂部23bは、1.2〜1.45の範囲内の屈折率を有するフッ素樹脂等から形成されている。
【0065】
このように、図5(b)に示す低屈折率樹脂部23bの屈折率は、周囲の透明基材部23aの屈折率よりも低くなっており、このため、図3に示す工程により形成された隔壁15の場合と同様に、透明基材部23a内に入射した光は低屈折率樹脂部23bにより全反射される。すなわち図5(b)に示す本変形例において、ベース基材22とルーバーフィルム23の透明基材部23aとの組合せが図3(c)に示すカラーフィルタ用基材11に相当し、ルーバーフィルム23の低屈折率樹脂部23bが図3(c)に示す隔壁15に相当している。このようにして、ルーバーフィルム23を用いることにより、隔壁15が設けられたカラーフィルタ用基材11を形成することができる。
【0066】
その後、図5(c)に示すように、ルーバーフィルム23の低屈折率樹脂部23bに対応する位置にブラックマトリクス層12を形成する。その後、ブラックマトリクス層12間に複数色の着色層13を形成し、これによってカラーフィルタ10が形成される。このように本変形例によれば、ルーバーフィルム23を用いることにより、隔壁15を有するカラーフィルタ10を容易に形成することができる。
【0067】
隔壁の変形例
また本実施の形態において、カラーフィルタ用基材11の屈折率よりも小さい屈折率を有する隔壁が、観察側に向かうにつれて先細となるくさび形状を有する隔壁15からなる例を示した。しかしながら、隔壁の形状がくさび形状に限られることはなく、隔壁は、レンズ形状、ピラミッド形状、メサ形状、三角錐、多角錐など様々な形状を有していてもよい。
【0068】
例えば図6(a)に示すように、カラーフィルタ10が、台形状の断面を含む隔壁16を有していてもよい。この場合、隔壁16は、図1乃至図3に示す隔壁15の場合と同様に、観察側に向かうにつれて先細となるとともに、その台形状の断面における光源側の底角θが45度以上となっている。
【0069】
また図6(b)に示すように、カラーフィルタ10が、光源側に向かうにつれて先細となるくさび形状からなる隔壁17を有していてもよい。この場合、図6(b)において符号(4)(5)で示すように、カラーフィルタ10の光源側の面10bにカラーフィルタ10の法線方向から傾斜して入射した光は、はじめに隔壁17の側面17cから隔壁17内に入射する。ここで隔壁17の屈折率はカラーフィルタ用基材11の屈折率よりも小さくなっており、このため、隔壁17内に入射した光は観察側に向って屈折する。その後、この光は図6(b)に示すように、隔壁17の観察側の面17aからカラーフィルタ用基材11へ出射する。このとき、カラーフィルタ用基材11の屈折率が隔壁17の屈折率よりも大きいため、光はその入射角が小さくなるよう屈折する(図6(b)参照)。このように、光が隔壁17を透過することにより、カラーフィルタ用基材11の観察側の面11aに到達する際の光の入射角をより小さくすることができる。
【0070】
また図6(c)に示すように、カラーフィルタ10が、矩形状の断面を含む隔壁18を有していてもよい。この場合の光の経路(4)(5)は、図6(b)に示す光の経路(4)(5)と略同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0071】
カラーフィルタの変形例
また本実施の形態によるカラーフィルタ10において、ブラックマトリクス層12の観察側の面12a上に、ブラックマトリクス12層から観察側に向ってカラーフィルタの法線方向に延びる隔壁15が設けられている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図7(a)に示すように、カラーフィルタ10は、ブラックマトリクス層12の光源側の面12b上に、ブラックマトリクス層12から光源側に向ってカラーフィルタ10の法線方向に延びる隔壁26を有していてもよい。
【0072】
図7(a)に示す有機EL表示装置40において、カラーフィルタ10の隔壁26の屈折率は、樹脂接着層31の屈折率よりも小さくなっており、またこの隔壁26は、観察側に向かうにつれて先細となるくさび形状を有している。このため図7(a)において符号(6)(7)で示すように、有機EL層44からの光がカラーフィルタ用基材11の観察側の面11aに到達する際の入射角φがより小さくなるよう、隔壁26が光を全反射することができる。このことにより、カラーフィルタ用基材11の観察側の面11aにおいて全反射される光の割合を低減することができる。
【0073】
また図7(b)に示すように、カラーフィルタ10は、ブラックマトリクス層12の光源側の面12b上に、光源側に向かうにつれて先細となるくさび形状を含む隔壁27を有していてもよい。図7(b)に示す有機EL表示装置40においても、カラーフィルタ10の隔壁27の屈折率は、樹脂接着層31の屈折率よりも小さくなっている。このため、有機EL層44からの光がカラーフィルタ用基材11の観察側の面11aに到達する際の入射角φがより小さくなるよう、隔壁27により光を観察側に導くことができる。
【0074】
第2の実施の形態
次に図8および図9を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。ここで図8(a)は、本発明の第2の実施の形態における有機EL表示装置を示す縦断面図であり、図8(b)は、図8(a)に示す有機EL表示装置のカラーフィルタを矢印VIIbから見た図である。図9(a)(b)(c)(d)は、本発明の第2の実施の形態において、カラーフィルタを形成する工程を示す図である。
【0075】
図8および図9に示す第2の実施の形態は、着色層とカラーフィルタ用基材との間の界面に、着色層から観察側に向って凸となる複数のレンズ部が設けられている点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と略同一である。図8および図9に示す第2の実施の形態において、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0076】
有機EL表示装置
図8(a)に示すように、有機EL表示装置70は、観察側の面60aと光源側の面60bとを有するカラーフィルタ60と、カラーフィルタ60の光源側に配置された有機EL層44と、カラーフィルタ60と有機EL層44との間に介在される樹脂接着層31(接着層)と、を備えている。このうち有機EL層44は、図8(a)に示すように、陽極41と、陰極43と、陽極41と陰極43の間に設けられた有機発光層42とを有している。また図8(a)に示すように、有機EL層44はガラス基板47によって支持されている。なお本実施の形態における有機EL表示装置70はいわゆるトップエミッション型であり、図8(a)において符号(1)または(8)で示すように、有機EL層44からの発光がカラーフィルタ60の観察側から取り出される。
【0077】
カラーフィルタ
次にカラーフィルタ60について図8(a)(b)を参照して詳述する。図8(a)に示すように、カラーフィルタ60は、カラーフィルタ用基材11と、カラーフィルタ用基材11の光源側に設けられたブラックマトリクス層12と、ブラックマトリクス層12間に設けられた複数色の着色層13と、を備えている。
【0078】
また図8(a)に示すように、着色層13とカラーフィルタ用基材11との間の界面に、着色層13から観察側に向って凸となる凸レンズ形状を有する複数のレンズ部61が設けられている。ここで、各レンズ部61の屈折率は、カラーフィルタ用基材11および着色層13の屈折率よりも小さくなっている。このため図8(a)において符号(8)で示すように、有機EL層44からの光がカラーフィルタ用基材11の観察側の面11aに到達する際の入射角φがより小さくなるよう、レンズ部61が光を導くことができる。このことにより、カラーフィルタ用基材11の観察側の面11aにおいて全反射される光の割合を低減することができる。
【0079】
図8(b)は、図8(a)に示すカラーフィルタ60を矢印VIIbから見た図である。図8(b)に示すように、各レンズ部61をカラーフィルタ60の法線方向から見た場合、各レンズ部61は円形状を有している。レンズ部61の寸法は、有機EL層44とカラーフィルタ60との間の距離、ブラックマトリクス12または着色層13の寸法などに応じて適宜設定されるが、例えば、カラーフィルタ60の法線方向から見た場合の各レンズ部61の円形状の半径rは5μm以上となっており、またカラーフィルタ60の法線方向における各レンズ部61の高さhは3μm以上となっている。
【0080】
レンズ部61を形成する材料としては、カラーフィルタ用基材11および着色層13の屈折率よりも小さい屈折率を有するものであれば特に限定されず、例えば、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)などのフッ素樹脂を用いることができる。フッ素樹脂等から形成されるレンズ部61の屈折率は、例えば1.2〜1.45の範囲内となっている。
【0081】
なお本実施の形態においては、図8(b)に示すように、各着色層13に4個のレンズ部61が設けられている。しかしながら、各着色層13に設けられるレンズ部61の個数が4個に限られることはなく、有機EL層44とカラーフィルタ10との間の距離、ブラックマトリクス12または着色層13の寸法などに応じて任意の数のレンズ部61を各着色層13に設けることができる。
【0082】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、はじめに、カラーフィルタ60および有機EL表示装置70の形成方法について説明し、次に、有機EL層44からの光をカラーフィルタ60により効率的に取り出す作用について説明する。
【0083】
カラーフィルタの形成方法
まず図9(a)(b)(c)(d)を参照して、カラーフィルタ60を形成する方法について説明する。はじめに図9(a)に示すように、カラーフィルタ用基材11を準備する。このカラーフィルタ用基材11は、10cm×10cmの幅を有するガラスからなる。
【0084】
次に図9(b)に示すように、カラーフィルタ用基材11の光源側の面11bに、楕円形状を有する穴62を形成する。穴62を形成する方法が特に限られることはなく、サンドブラスト、エッチング、機械切削などの方法を適宜用いることができる。
【0085】
次に、カラーフィルタ用基材11の穴61に、上述のフッ素樹脂など、カラーフィルタ用基材11および着色層13の屈折率よりも小さい屈折率を有する材料を充填する。これによって、図9(c)に示すように、カラーフィルタ用基材11内にレンズ部61が形成される。
【0086】
次に、図9(d)に示すように、カラーフィルタ用基材11の光源側の面11b上であって、レンズ部61が設けられていない位置にブラックマトリクス層12を形成する。その後、ブラックマトリクス層12間に複数色の着色層13を形成し、これによってカラーフィルタ60が形成される。ブラックマトリクス層12および着色層13を形成する方法が特に限られることはなく、フォトリソグラフィー法、ディスペンサ法、インクジェット法、スピンコーティング法、印刷法などを適宜用いることができる。
【0087】
有機EL表示装置の形成方法
上述のようにしてカラーフィルタ60を製造した後、有機EL層44およびバリア膜45が設けられたガラス基板47を準備する。次に、カラーフィルタ用基材11とガラス基材47との間に樹脂接着層31および樹脂接着材30を充填させ、これによってカラーフィルタ用基材11とガラス基材47とを接着させる。このようにして、図8(a)に示す有機EL表示装置70が得られる。
【0088】
カラーフィルタによる光の取り出し
次に図8(a)を参照して、有機EL層44からの光をカラーフィルタ60により効率的に取り出す作用について説明する。ここでは、カラーフィルタ60の光源側の面60bから入射して観察側の面60aから出射する光の経路のうち2つの経路について説明する。
【0089】
はじめに、図8(a)において符号(1)で示す経路について説明する。この場合、光がカラーフィルタ10の光源側の面60bに、カラーフィルタ60の法線方向に沿って入射している。この光は、着色層13、レンズ部61およびカラーフィルタ用基材11を透過してカラーフィルタ60の観察側の面60aから出射する。
【0090】
次に、図8(a)において符号(8)で示す経路について説明する。この場合、光がカラーフィルタ60の光源側の面60bにカラーフィルタ60の法線方向から傾斜して入射している。
【0091】
図8(a)に示すように、この光は、はじめにカラーフィルタ60の着色層13に入射し、次に、複数のレンズ部61のうちの1つのレンズ部(以下、一のレンズ部61a)に入射する。ここで上述のように、一のレンズ部61aの屈折率は着色層13の屈折率よりも小さくなっており、このため図8(a)に示すように、一のレンズ部61aに入射した光はカラーフィルタ60の側方に向って屈折する。
【0092】
その後、一のレンズ部61aから出射してカラーフィルタ用基材11に入射した光は、図8(a)に示すように、一のレンズ部61aに隣接するその他のレンズ部61bに到達する。ここで上述のように、レンズ部61bの屈折率はカラーフィルタ用基材11の屈折率よりも小さくなっており、このため図8(a)に示すように、レンズ部61bに到達した光がレンズ部61bにより全反射される。レンズ部61bにより全反射された光は、その後、カラーフィルタ用基材11の観察側の面11aに到達する。
【0093】
ここでレンズ部61bは、上述のように、着色層13から観察側に向って凸となる凸レンズ形状を有しており、このため、レンズ部61bにより全反射された後にカラーフィルタ用基材11の観察側の面11aに到達する光の入射角φは、このようなレンズ部61bが設けられていない場合の入射角に比べて小さくなる。このため、カラーフィルタ用基材11の観察側の面11aに到達する光が面11aで全反射されるのを防ぐことができる。このように、レンズ部61bで光を全反射させることにより、カラーフィルタ60の光源側の面60bにカラーフィルタ10の法線方向から傾斜して入射した光を、カラーフィルタ60の観察側から適切に取り出すことが可能となる。
【0094】
また上述のように、カラーフィルタ60の光源側の面60bにカラーフィルタ60の法線方向から傾斜して入射した光は、はじめに一のレンズ部61aによってカラーフィルタ60の側方に向って屈折させられ、次に一のレンズ部61aに隣接するその他のレンズ部61bによって全反射される。このように、予めレンズ部61aによってカラーフィルタ60の側方に向って屈折させた光をレンズ部61bによって全反射することにより、カラーフィルタ用基材11の観察側の面11aに到達する光の入射角φをより小さくすることができる。
【0095】
このように本実施の形態によれば、着色層13とカラーフィルタ用基材11との間の界面に、着色層13から観察側に向って凸となる凸レンズ形状を有する複数のレンズ部61が設けられている。また各レンズ部61の屈折率は、カラーフィルタ用基材11および着色層13の屈折率よりも小さくなっている。このため、有機EL層44からの光がカラーフィルタ用基材11の観察側の面11aに到達する際の入射角φがより小さくなるよう、レンズ部61が光を導くことができる。このことにより、カラーフィルタ用基材11の観察側の面11aにおいて全反射される光の割合を低減することができ、これによって、カラーフィルタ60に入射した光の利用効率を向上させることができる。
【0096】
なお本実施の形態において、カラーフィルタ60の光源側が、ブラックマトリクス層12および着色層13を保護するためのオーバーコート層(図示せず)により覆われていてもよい。同様に、カラーフィルタ60の光源側が、ブラックマトリクス層12および着色層13から放出される水分が有機EL層44に入り込むのを遮蔽するバリア膜(図示せず)により覆われていてもよい。
【0097】
また本実施の形態において、はじめに、カラーフィルタ用基材11に楕円形状を有する穴62が形成され、次に、穴62内にカラーフィルタ用基材11および着色層13の屈折率よりも小さい屈折率を有する材料が充填され、これによってレンズ部61が形成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図5(a)(b)(c)に示す第1の実施の形態の変形例の場合と同様に、複数のレンズ部を含むルーバーフィルム(図示せず)を用いることにより、複数のレンズ部61を有するカラーフィルタ60を形成してもよい。
【0098】
有機EL表示装置の変形例
また本実施の形態による有機EL表示装置70において、カラーフィルタ60の着色層13とカラーフィルタ用基材11との間の界面に、着色層13から観察側に向って凸となる凸レンズ形状を有する複数のレンズ部61が設けられている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図10(a)に示すように、樹脂接着層31とカラーフィルタ60の着色層13との間の界面に、接着層31から観察側に向って凸となる複数のレンズ部65が設けられていてもよい。
【0099】
図10(a)に示す有機EL表示装置70において、各レンズ部65の屈折率は、樹脂接着層31およびカラーフィルタ60の着色層13の屈折率よりも小さくなっている。このため、有機EL層44からの光がカラーフィルタ用基材11の観察側の面11aに到達する際の入射角φがより小さくなるよう、レンズ部65が光を導くことができる。このことにより、カラーフィルタ用基材11の観察側の面11aにおいて全反射される光の割合を低減することができ、これによって、カラーフィルタ60に入射した光の利用効率を向上させることができる。
【0100】
有機EL表示装置のその他の変形例
また図10(b)に示すように、有機EL層44またはバリア膜45と樹脂接着層31との間の界面に、有機EL層44から観察側に向って凸となる複数のレンズ部66が設けられていてもよい。図10(b)に示す有機EL表示装置70において、各レンズ部66の屈折率は、樹脂接着層31の屈折率よりも小さくなっている。このため、有機EL層44からの光がカラーフィルタ用基材11の光源側の面11bに到達する際の入射角がより小さくなるよう、レンズ部66が光を導くことができる。このことにより、カラーフィルタ用基材11の観察側の面11aにおいて全反射される光の割合を低減することができ、これによって、有機EL層44から発光された光の利用効率を向上させることができる。
【0101】
なお上記各実施の形態において、カラーフィルタ10,60が有機EL表示装置40,70に組み込まれる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、本実施の形態におけるカラーフィルタ10,60を、液晶表示装置またはその他の表示装置において用いてもよい。これによって、光利用効率の高い表示装置を提供することができる。
【実施例】
【0102】
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
【0103】
実施例1
実施例1に係るカラーフィルタ10を図11(a)に示す。図11(a)に示すように、実施例1に係るカラーフィルタ10は、図1乃至図3に示す本発明の第1の実施の形態におけるカラーフィルタ10に対応するものである。なお、本実施例におけるカラーフィルタの光取り出し効率のシミュレーション(後述)は、単位画素に対応する領域内(図11(a)において点線Uで示す領域内)に対して行った。図11(b)は、図11(a)に示す単位領域内のカラーフィルタ10を拡大して示す図であり、図11(c)は、図11(b)に示すカラーフィルタを矢印XIcから見た図である。
【0104】
本実施例において、カラーフィルタ10の法線方向におけるカラーフィルタ用基材11の厚さt、着色層13の厚さt、樹脂接着層31の厚さt、およびバリア膜45の厚さtは、それぞれ700μm、1.5μm、10μmおよび10μmとなっていた。
また、カラーフィルタ10の法線方向から見た場合の単位画素の寸法s,s、および隔壁15の幅s,sは、それぞれ100μm,300μm、および10μm,10μmとなっていた。
また、図1乃至図3に示す本発明の第1の実施の形態におけるカラーフィルタ10の場合と同様に、カラーフィルタ10の法線方向における隔壁15の高さhは5μm以上となっており、また隔壁15のくさび形状の光源側の底角θは45度以上となっていた。
また、カラーフィルタ用基材11、隔壁15、着色層13、および樹脂接着層31の屈折率は、それぞれ1.5、1.4、1.6、および1.6となっていた。このように、隔壁15の屈折率は、カラーフィルタ用基材11の屈折率よりも小さくなっていた。
【0105】
(評価項目)
実施例1に係るカラーフィルタ10について、光の取り出し効率を、光学シミュレーションソフトを用いて算出した。シミュレーションソフトとしては、Optical Research Associates社製のLightToolsを用いた。なお光の取り出し効率とは、光源から発光された光のエネルギーと、カラーフィルタ10の観察側の面10aから取り出された光のエネルギーとの比である。シミュレーションにおいては、図11(b)に示すように、光源として、完全拡散面を持つランバーシアン配光の光線を発光するシミュレーション用光源81を用いた。また図11(b)に示すように、カラーフィルタ10の観察側にシミュレーション用光検出器80を設け、これによってカラーフィルタ10の観察側の面10aから取り出された光のエネルギーを検出した。なおシミュレーション用光検出器80においては、図11(a)に示す領域U内の着色層13を透過した後の光のみを検出しており、その他の着色層を透過した光はシミュレーション用光検出器80によって検出されない。
【0106】
(評価結果)
カラーフィルタ10における光の取り出し効率は、図4に示す比較例のカラーフィルタ51(すなわち、隔壁15が設けられていないカラーフィルタ)における光の取り出し効率の1.2倍となっていた。このように、隔壁15を設けることによりカラーフィルタ10における光の取り出し効率が向上することが確認された。
【0107】
(実施例2)
実施例2に係るカラーフィルタ68を図12(a)(b)に示す。図12(a)(b)に示すカラーフィルタ68は、単位画素に対応する着色層13に設けられるレンズ部61の個数が異なる点を除いて、図8および図9に示す本発明の第2の実施の形態におけるカラーフィルタ60と略同一である。
【0108】
本実施例において、カラーフィルタ68の法線方向におけるカラーフィルタ用基材11の厚さt、着色層13の厚さt、樹脂接着層31の厚さt、およびバリア膜45の厚さtは、それぞれ700μm、1.5μm、10μmおよび10μmとなっていた。
また、カラーフィルタ68の法線方向から見た場合の単位画素の寸法s,s、およびブラックマトリクス層12の幅s,sは、それぞれ100μm,300μm、および10μm,10μmとなっていた。
また、図8および図9に示す本発明の第2の実施の形態におけるカラーフィルタ60の場合と同様に、カラーフィルタ68の法線方向から見た場合の各レンズ部61の円形状の半径rは5μm以上となっており、またカラーフィルタ68の法線方向における各レンズ部61の高さhは3μm以上となっていた。
また、カラーフィルタ用基材11、レンズ部61、着色層13、および樹脂接着層31の屈折率は、それぞれ1.5、1.4、1.6、および1.6となっていた。このように、レンズ部61の屈折率は、着色層13およびカラーフィルタ用基材11の屈折率よりも小さくなっていた。
【0109】
(評価結果)
実施例1の場合と同様にして、カラーフィルタ68における光の取り出し効率をシミュレーションにより算出した。その結果、カラーフィルタ68における光の取り出し効率は、図4に示す比較例のカラーフィルタ51(すなわち、レンズ部61が設けられていないカラーフィルタ)における光の取り出し効率の1.5倍となっていた。このように、レンズ部61を設けることによりカラーフィルタ68における光の取り出し効率が向上することが確認された。
【符号の説明】
【0110】
10 カラーフィルタ
10a 観察側の面
10b 光源側の面
11 カラーフィルタ用基材
11a 観察側の面
11b 光源側の面
12 ブラックマトリクス層
12a 観察側の面
12b 光源側の面
13 着色層
15 隔壁
15a 隔壁の頂辺部
16 隔壁
17 隔壁
17a 観察側の面
17c 側面
18 隔壁
18a 観察側の面
18c 側面
21 穴
22 ベース基材
23 ルーバーフィルム
23a 透明基材部
23b 低屈折率樹脂部
26 隔壁
27 隔壁
30 樹脂接着材
31 樹脂接着層
40 有機EL表示装置
41 陽極
42 有機発光層
43 陰極
44 有機EL層
44a 単位有機EL層
45 バリア膜
47 ガラス基板
48 駆動用配線
50 有機EL表示装置
51 カラーフィルタ
60 カラーフィルタ
60a 観察側の面
60b 光源側の面
61 レンズ部
61a 一のレンズ部
61b 一のレンズ部に隣接するその他のレンズ部
62 穴
65 レンズ部
66 レンズ部
68 カラーフィルタ
68a 観察側の面
68b 光源側の面
70 有機EL表示装置
80 シミュレーション用光検出器
81 シミュレーション用光源
U 単位画素に対応する領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察側の面と光源側の面とを有するカラーフィルタにおいて、
カラーフィルタ用基材と、
カラーフィルタ用基材の光源側に設けられたブラックマトリクス層と、
ブラックマトリクス層間に設けられた複数色の着色層と、を備え、
ブラックマトリクス層の観察側の面上に、ブラックマトリクス層から観察側に向ってカラーフィルタの法線方向に延びる隔壁が設けられ、
隔壁の屈折率は、カラーフィルタ用基材の屈折率よりも小さくなっており、これによって、光源側から入射する光を隔壁により観察側へ導くことを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項2】
前記隔壁は、観察側に向かうにつれて先細となるくさび形状を有することを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項3】
前記隔壁は、カラーフィルタの法線方向に沿って5μm以上の高さを有し、
当該隔壁において、そのくさび形状の光源側の底角が45度以上となっていることを特徴とする請求項2に記載のカラーフィルタ。
【請求項4】
請求項1に記載のカラーフィルタと、
当該カラーフィルタの光源側に配置されて、陽極と、陰極と、陽極と陰極の間に設けられた有機発光層とを有する有機EL層と、
カラーフィルタと有機EL層との間に介在される接着層と、を備え、
カラーフィルタの隔壁の屈折率は、カラーフィルタのカラーフィルタ用基材の屈折率よりも小さくなっていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項5】
観察側の面と光源側の面とを有するカラーフィルタと、
当該カラーフィルタの光源側に配置されて、陽極と、陰極と、陽極と陰極の間に設けられた有機発光層とを有する有機EL層と、
カラーフィルタと有機EL層との間に介在される接着層と、を備え、
カラーフィルタは、カラーフィルタ用基材と、カラーフィルタ用基材の光源側に設けられたブラックマトリクス層と、ブラックマトリクス層間に設けられた複数色の着色層と、を有し、
ブラックマトリクス層の光源側の面上に、ブラックマトリクス層から光源側に向ってカラーフィルタの法線方向に延びる隔壁が設けられ、
隔壁の屈折率は、接着層の屈折率よりも小さくなっており、これによって、光源側から入射する光を隔壁により観察側へ導くことを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項6】
カラーフィルタの隔壁は、観察側に向かうにつれて先細となるくさび形状を有することを特徴とする請求項4または5に記載の有機EL表示装置。
【請求項7】
カラーフィルタの隔壁は、カラーフィルタの法線方向に沿って5μm以上の高さを有し、
当該隔壁において、そのくさび形状の光源側の底角が45度以上となっていることを特徴とする請求項6に記載の有機EL表示装置。
【請求項8】
観察側の面と光源側の面とを有するカラーフィルタにおいて、
カラーフィルタ用基材と、
カラーフィルタ用基材の光源側に設けられたブラックマトリクス層と、
ブラックマトリクス層間に設けられた複数色の着色層と、を備え、
着色層とカラーフィルタ用基材との間の界面に、着色層から観察側に向って凸となる複数のレンズ部が設けられ、
各レンズ部の屈折率は、カラーフィルタ用基材および着色層の屈折率よりも小さくなっていることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項9】
各レンズ部は、カラーフィルタの法線方向に沿って3μm以上の高さを有し、
各レンズ部をカラーフィルタの法線方向から見た場合、各レンズ部は半径5μm以上の円形状を有することを特徴とする請求項8に記載のカラーフィルタ。
【請求項10】
請求項8に記載のカラーフィルタと、
当該カラーフィルタの光源側に配置されて、陽極と、陰極と、陽極と陰極の間に設けられた有機発光層とを有する有機EL層と、
カラーフィルタと有機EL層との間に介在される接着層と、を備え、
カラーフィルタの各レンズ部の屈折率は、カラーフィルタのカラーフィルタ用基材および着色層の屈折率よりも小さくなっていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項11】
前記カラーフィルタの各レンズ部は、カラーフィルタの法線方向に沿って3μm以上の高さを有し、
各レンズ部をカラーフィルタの法線方向から見た場合、各レンズ部は半径5μm以上の円形状を有することを特徴とする請求項10に記載の有機EL表示装置。
【請求項12】
観察側の面と光源側の面とを有するカラーフィルタと、
当該カラーフィルタの光源側に配置されて、陽極と、陰極と、陽極と陰極の間に設けられた有機発光層とを有する有機EL層と、
カラーフィルタと有機EL層との間に介在される接着層と、を備え、
カラーフィルタは、カラーフィルタ用基材と、カラーフィルタ用基材の光源側に設けられたブラックマトリクス層と、ブラックマトリクス層間に設けられた複数色の着色層と、を有し、
接着層とカラーフィルタの着色層との間の界面に、接着層から観察側に向って凸となる複数のレンズ部が設けられ、
各レンズ部の屈折率は、接着層およびカラーフィルタの着色層の屈折率よりも小さくなっていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項13】
観察側の面と光源側の面とを有するカラーフィルタと、
当該カラーフィルタの光源側に配置されて、陽極と、陰極と、陽極と陰極の間に設けられた有機発光層とを有する有機EL層と、
カラーフィルタと有機EL層との間に介在される接着層と、を備え、
カラーフィルタは、カラーフィルタ用基材と、カラーフィルタ用基材の光源側に設けられたブラックマトリクス層と、ブラックマトリクス層間に設けられた複数色の着色層と、を有し、
有機EL層と接着層との間の界面に、有機EL層から観察側に向って凸となる複数のレンズ部が設けられ、
各レンズ部の屈折率は、接着層の屈折率よりも小さくなっていることを特徴とする有機EL表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−128437(P2011−128437A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287925(P2009−287925)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】