説明

カラーフィルタモジュールおよびそれを備えた装置

【課題】より広い色域およびより優れた色度を提供することができるカラーフィルタモジュールを提供する。
【解決手段】基板と、基板上の透明導電層と、透明導電層の第一の領域上に配置された第一の直径を有する第一の粒子のセットであって、第一の直径によって第一の領域が第一の波長を有する第一の光を放射することが可能になる粒子のセットと、透明導電層の第二の領域上に配置された第二の直径を有する第二の粒子のセットであって、第二の直径によって第二の領域が第二の波長を有する第二の光を放射することが可能になる粒子のセットと、透明導電層の第三の領域上に配置された第三の直径を有する第三の粒子のセットであって、第三の直径によって第三の領域が第三の波長を有する第三の光を放射することが可能になる粒子のセットとを備えるカラーフィルタモジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2008年1月22日に出願された米国仮出願第61/022,800号に関するものであり、これによってその優先権の利益を主張し、これを参照として本明細書にその全体が組み込まれる。本発明は一般に、カラーフィルタモジュールおよび、特にそれを備えたディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイは一般的に、バックライトモジュール、液晶モジュール、薄膜トランジスタ(TFT)アレイ、およびカラーフィルタモジュールを含んでいる。バックライトからの入射光線およびそれに続くカラーフィルタモジュールのカラーピクセルの照度を制御するために、調節可能な電界によって、液晶モジュール内の液晶モジュールの方向を変更してもよい。図1Aは、従来の液晶ディスプレイ(LCD)10の構造を示す概略図である。図1Aについて言及すると、LCD10は下側の偏光子11、上側の偏光子15、酸化インジウムスズ(ITO)電極などの透明な導電性電極12、液晶モジュール13およびカラーフィルタモジュール14を含んでもよい。図1Aの左側部分(これはLCD10の「オン」状態を示す)について言及すると、電界が存在しない場合、バックライトモジュール(図示せず)から放射された矢印の方向で示される光は下側の偏光子11上に入射して偏光する。偏光した入射光線は第一の透明電極12を通過し、液晶モジュール13を通過したようなその伝搬方向に回転する。これによって、カラーフィルタモジュール14を介して光が上側の偏光子15を通過することが可能になる。
【0003】
図1Aの右側部分(これはLCD10の「オフ」状態を示す)について言及すると、透明な導電性電極12を横切って電界が加えられた場合、液晶モジュール13における液晶モジュールの方向が変化して、偏光した入射光線が有意な回転を伴わずに液晶モジュール13を通過することが可能になる。次いで、液晶モジュール13からの光がカラーフィルタモジュール14を通過するが、上側の偏光子15によってブロックされる。
【0004】
カラーフィルタモジュール14は、上側の偏光子15からの光をR、GおよびBの光に分離するための赤(R)、緑(G)および青(B)のフィルタを含んでもよい。図1Bは、図1Aで示されるカラーフィルタ14の構造を示す概略図である。図1Bについて言及すると、カラーフィルタ14は、ITO層141、平坦化のための上塗層142、ブロックマトリックス層143、ガラス基板144および多数のフィルタ145を含んでもよく、これはさらに赤色フィルタ145R、緑色フィルタ145Gおよび青色フィルタ145Bを含んでもよい。カラーフィルタ14は、通常、白色光を放射するバックライト源と共に用いてもよい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、フルカラー技術の開発および対象の画質の向上に伴い、LCDなどのディスプレイ装置には、より広い色域およびより優れた色度を提供することが求められる。LCDのディスプレイの質の、たとえば演色および色の豊かさなどを改善するようなカラーフィルタを備えることが望ましい。さらに、本発明のカラーフィルタと共に用いた時に、白色光とは異なる光を放射し、改善された色度を提供するような光源を含むディスプレイ装置を備えることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例では、基板と、基板上の透明導電層と、透明導電層の第一の領域上に配置された第一の直径を有する第一の粒子のセットであって、第一の直径によって第一の領域が第一の波長を有する第一の光を放射することが可能になる粒子のセットと、透明導電層の第二の領域上に配置された第二の直径を有する第二の粒子のセットであって、第二の直径によって第二の領域が第二の波長を有する第二の光を放射することが可能になる粒子のセットと、透明導電層の第三の領域上に配置された第三の直径を有する第三の粒子のセットであって、第三の直径によって第三の領域が第三の波長を有する第三の光を放射することが可能になる粒子のセットとを備えるカラーフィルタモジュールが提供される。
【0007】
本発明のいくつかの実施例では、光源と、光源からの光を受け取るための第一の基板と、第一の基板を覆う液晶層と、カラー層とを備え、前記カラー層は、第二の基板と、第二の基板上の透明導電層と、透明導電層の第一の領域上に配置された第一の直径を有する第一の粒子のセットであって、第一の直径によって第一の領域が第一の波長を有する第一の光を放射することが可能になる粒子のセットと、透明導電層の第二の領域上に配置された第二の直径を有する第二の粒子のセットであって、第二の直径によって第二の領域が第二の波長を有する第二の光を放射することが可能になる粒子のセットと、透明導電層の第三の領域上に配置された第三の直径を有する第三の粒子のセットであって、第三の直径によって第三の領域が第三の波長を有する第三の光を放射することが可能になる粒子のセットとを有するディスプレイ装置が提供される。
【0008】
本発明の実施例では、発光層と、発光層を覆う薄膜トランジスタ層と、薄膜トランジスタ層を覆う液晶層と、カラー層とを備え、前記カラー層は、基板と、基板上の透明導電層と、透明導電層の第一の領域上に配置された第一の直径を有する第一の粒子のセットであって、第一の直径によって第一の領域が第一の波長を有する第一の光を放射することが可能になる粒子のセットと、透明導電層の第二の領域上に配置された第二の直径を有する第二の粒子のセットであって、第二の直径によって第二の領域が第二の波長を有する第二の光を放射することが可能になる粒子のセットと、透明導電層の第三の領域上に配置された第三の直径を有する第三の粒子のセットであって、第三の直径によって第三の領域が第三の波長を有する第三の光を放射することが可能になる粒子のセットとを有するディスプレイ装置も提供される。
【0009】
前述の一般的な記載および次の詳細な説明の両方は単なる例示および説明であり、特許請求の範囲のような本発明を限定するものではないことを理解すべきである。
【0010】
前述の要旨ならびに次の本発明の詳細な説明は、添付された例示的な図面と共に読んだ時により深く理解される。しかしながら、本発明は、ここに示された正確な配置および手段に制限されないことを理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
ここで、添付の図面に示された本発明の本実施例について詳細に述べる。可能である限り、図面を通して同じ参照符号を用いて同一のまたは同様の部分を言及する。
【0012】
図2Aは、断面図および平面図から示される例示的なカラーフィルタ200の図である。図2Aについて言及すると、カラーフィルタ200は、基板201、透明導電層202およびカラー層203を含んでもよい。基板201は、ガラス基板またはフレキシブル基板を含んでもよい。透明導電層202は、酸化インジウムスズ(ITO)フィルム、酸化インジウム亜鉛(IZO)フィルムおよび金属フィルムの一つを含んでもよい。カラー層203は、ブラックマトリックス材料205によって互いに分離された多数のカラーピクセル204−1、204−2および204−3を含んでもよい。カラーピクセル204−1〜204−3のそれぞれは、ナノメートル(nm)オーダの粒子(以下、「ナノ粒子」)を含んでもよい。カラーピクセル204−1〜204−3内のナノ粒子は、それぞれ特定の色を示す。さらに、カラーピクセル204−1〜204−3内のナノ粒子は、それぞれ発光、すなわち光ルミネセンスによる特定の色の放射を行ってもよい。一例においては、カラーピクセル204−1〜204−3はそれぞれ、赤(R)の発光、緑(G)の発光および青(B)の発光を行ってもよく、それにより、カラーフィルタ200が色の第一のセット、すなわちR、GおよびBの色を提供してもよい。別の例においては、カラーフィルタ200がマゼンタ、シアンおよびイエローなどの色の第二のセットを提供してもよい。
【0013】
ナノスケールの粒子すなわちナノ粒子は、量子閉じ込め効果を見出すかもしれない。量子閉じ込めは、半導体内の電子および空孔が、一次元(1D)の量子井戸におけるポテンシャル井戸、二次元(2D)の量子細線または三次元(3D)の量子ドットによって閉じ込められた状態を意味する。すなわち、ナノクリスタルの一以上の次元が、バルククリスタルがボーア励起半径と呼ばれる励起サイズに近づくように極めて小さく作られた場合に、量子閉じ込めが生じる。LEDなどのバルク(巨視的な)半導体からの発光は、電気的にまたは光を照射されたことのいずれかで半導体が励起することによって電子−空孔の対が生じ、そして再結合した時に発光することに起因する。エネルギーおよびその結果放射される光の波長は、半導体材料の組成に支配される。さらに、放射された光の色は、ナノ粒子のサイズの関数である。
【0014】
一つの例において、カラー層203は、約0.1〜10マイクロメートル(μm)の範囲の厚さであってよい。本実施例におけるカラーピクセル204−1〜204−3は、平面図から示されるような第一のパターンで配置されていてもよく、ここで、第一の色で発光するように設定された第一のカラーピクセル204−1は、第二の色で発光するように設定された第二のカラーピクセル204−2に平行に広がっていてもよく、これは次に第三の色で発光するように設定された第三のカラーピクセル204−3に平行に広がっていてもよい。さらに、ブラックマトリックス材料205(カラーフィルタ200の光の吸収体として機能する)はカラーフィルタ200のコントラストを強調する。一例においては、ブラックマトリックス205は、これらに限られるわけではないが、クロム(Cr)および黒色の樹脂を含んでもよい。
【0015】
図2Bおよび2Cは、図2Aで示されるカラーフィルタ200におけるカラーピクセル204−1〜204−3のパターンを示す概略図である。図2Bについて言及すると、カラーピクセル204−1〜204−3は、第二のパターンの配列で配置されていてもよい。具体的には、第一の色で発光するように設定された多数の第一のカラーピクセル204−1は、縦に配置されていてもよい。同様に、第二の色で発光するように設定された多数の第二のカラーピクセル204−2、および第三の色で発光するように設定された多数の第三のカラーピクセル204−3はそれぞれ縦に配置されていてもよい。
【0016】
図2Cについて言及すると、カラーピクセル204−1〜204−3は、第三のパターンの配列で配置されていてもよい。具体的には、第一の色で発光するように設定された多数の第一のカラーピクセル204−1は、カラー層203と対角線上に交差するように広がっていてもよい。同様に、第二の色で発光するように設定された多数の第二のカラーピクセル204−2、および第三の色で発光するように設定された多数の第三のカラーピクセル204−3は、それぞれカラー層203と対角線上に交差するように広がっていてもよい。
【0017】
図3は、光スペクトルにわたる、化合物のナノ粒子の波長の範囲を示す概略図である。図3について言及すると、本発明で利用可能なナノ粒子は、II−VI族およびIII−V族化合物に由来するものでよく、これらに限られるわけではないが、セレン化カドミウム(CdSe)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、硫化亜鉛(ZnS)、テルル化カドミウム(CdTe)、セレン化白金(PtSe)および硫化鉛(PbS)を含んでもよい。さらに、図3には示していないが、ヒ化インジウム(InAs)およびリン化インジウム(InP)などのIII−V族化合物、ならびにPtSe/Te、CdSe/Te、CdSe/ZnSeおよびCdSe/CdSなどのコア/シェルのII−VI族およびIII−V族化合物も、利用可能なナノ粒子の源として機能することができる。
【0018】
上記のII−VI族およびIII−V族化合物に由来するナノ粒子は、異なるサイズにおいて異なる波長を示してもよい。同一の材料のナノ粒子について、その波長はそれらのサイズが大きくなるのにつれて長くなってもよい。本発明の一実施例においては、図2Aについても言及すると、カラーフィルタ200の第一、第二および第三のカラーピクセル204−1、204−2および204−3のそれぞれが、互いに異なる範囲の波長(それらは互いに可視光線のスペクトルをカバーする)で発光してもよい。可視光線のスペクトルとしては、紫色から、青色、緑色、黄色、橙色を経て赤色に及ぶ約400nm〜700nmの範囲の波長を含む。この範囲の外側は、その波長が250nmよりも短いであろう紫外線、およびその波長が2、500nmよりも長いであろう赤外線である。II−VI族およびIII−V族化合物の中で、化合物CdSeは可視光線のスペクトルを実質的にカバーする範囲の波長を示す。さらに、適切なサイズである場合、PbS粒子は赤色を示し、CdS粒子は青色を示す。
【0019】
本発明の一実施例に基づいて、セレン化カドミウム(CdSe)などの同一のII−VI族またはIII−V族化合物の異なるサイズのナノ粒子を用いて、所望の波長に発光させてもよい。たとえば、第一のカラーピクセル204−1は、第一の平均粒子径を有するCdSe粒子を含んでもよく、第二のカラーピクセル204−2は、第二の平均粒子径を有するCdSe粒子を含んでもよく、第三のカラーピクセル204−3は、第三の平均粒子径を有するCdSe粒子を含んでもよい。一実施例においては、第一の平均粒子径は約7nmであってよく、第二の平均粒子径は約5nmであってよく、そして第三の平均粒子径は約3nmであってよい。別の実施例においては、第一、第二および第三の平均粒子径の範囲はそれぞれ、約6〜8nm、4〜6nmおよび2〜4nmであってよい。
【0020】
第一のカラーピクセル204−1のそれぞれからの第一の色の発光の波長は約600〜640nmの範囲であってよく、これは可視光線のスペクトルの赤色の光をカバーするか、またはそれに対応する。さらに、第二のカラーピクセル204−2のそれぞれからの第二の色の発光の波長は約500〜570nmの範囲であってよく、これは可視光線のスペクトルの緑色の光をカバーするか、またはそれに対応する。さらに、第三のカラーピクセル204−3のそれぞれからの第三の色の発光の波長は約450〜490nmの範囲であってよく、これは可視光線のスペクトルの青色の光をカバーするか、またはそれに対応する。
【0021】
本発明の一実施例に基づいて、カラーピクセル204−1〜204−3における異なるサイズのCdSe粒子は、約300〜400nmの範囲の波長を伴う光源からの光によって励起されてもよい。本発明の別の実施例においては、光源からの光の波長は、約330〜360nmの範囲であってよい。このような波長は、可視光線のスペクトルの青色光または紫色光をカバーするか、またはそれに対応する。換言すれば、光源からの光は、白色光(これはいくつかの波長の組み合わせを含み得る)とは違っていてもよい。
【0022】
本発明の他の実施例に基づいて、第一、第二および第三のカラーピクセルにおける粒子は、所望の色に発光させるために、II−VI族およびIII−V族化合物の少なくとも一つから選択されてもよい。たとえば、第一のカラーピクセル204−1はPbS化合物に由来する粒子を含んでもよく、第二のカラーピクセル204−2はCdSe化合物に由来する粒子を含んでもよく、そして第三のカラーピクセル204−3はZnSe化合物に由来する粒子を含んでもよい。
【0023】
図4A〜図4Cは、本発明の一実施例に基づくカラーフィルタモジュールを形成するための電気溶着のメカニズムを示す概略図である。図4Aについて言及すると、水などの偏光した溶液と第一の平均粒子径を伴う第一の化合物粒子30−1との第一の混合物を、電気溶着(EPD)を実施して供給してもよい。EPDのメカニズムは、カウンター電極23および作用電極構造体20を含んでもよい。さらに図4A−1(これは作用電極構造体20の拡大図である)について言及すると、作用電極構造体20は、透明な基板24、透明な基板24上の透明導電層22および透明導電層22上のパターン化された絶縁層25を含んでもよい。透明導電層22は、EPDのメカニズムのための作用電極として機能する。透明導電層22上に絶縁層を形成し、次いでたとえばレーザ切断処理またはフォトリソグラフィによって絶縁層の部分を除去し、その次の化合物粒子の析出のためにパターン化された絶縁層25内で溝26−1〜26−3を残すことによって、パターン化された絶縁層25を形成してもよい。一実施例においては、パターン化された絶縁層25および溝26−1〜26−3を、それぞれ図2A、図2Bおよび図2Cで示される第一、第二および第三のパターンの一つに類似のパターンで配置してもよい。
【0024】
電源21は、透明な作用電極22およびカウンター電極23の全域に、約一分間電位を加えてもよく、その結果、溝26−1に粒子の第一のフィルム31−1が生じる。ナノ粒子の表面はゼータ電位を有していてもよく、これは電気的に正であり、そしてそれゆえに、作用電極22が負に偏った時に、第一の化合物粒子30−1が作用電極22に近づく。本発明に基づく一実施例においては、第一の化合物粒子30−1は、CdSe粒子と、カウンター電極23および作用電極22の全域に印加することが可能な約5ボルトの直流(dc)電圧とを含んでもよい。
【0025】
次いで図4Bについて言及すると、偏光した溶液と第二の平均粒子径を伴う第二の化合物粒子30−2の第二の混合物を供給してもよい。同様に、透明な作用電極22およびカウンター電極23の全域に電圧を加えることによって、溝26−2に粒子の第二のフィルム31−2を得ることができる。一実施例においては、第二の化合物粒子30−2はCdSe粒子を含んでもよく、第二の平均粒子径は第一の平均粒子径と違っていてもよい。別の例においては、第二の化合物粒子30−2は、第一の化合物粒子30−1と違っていてもよく、たとえばPbS粒子を含んでもよい。本発明のさらに別の実施例においては、次に続く第二の化合物粒子30−2の析出のために、パターン化された絶縁層25を改善してもよい。
【0026】
図4Cについて言及すると、偏光した溶液と第三の平均粒子径を伴う第三の化合物粒子30−3の第三の混合物を供給してもよい。同様に、透明な作用電極22およびカウンター電極23の全域に電圧を加えることによって、溝26−3に粒子の第三のフィルム31−3を得ることができる。一実施例においては、第三の化合物粒子30−3はCdSe粒子を含んでもよく、第三の平均粒子径は第一の平均粒子径と違っていてもよい。別の実施例においては、第三の化合物粒子30−3は第一の化合物粒子30−1と違っていてもよく、たとえばCdS粒子を含んでもよい。一実施例においては、第一のフィルム31−1、第二のフィルム31−2および第三のフィルム31−3のそれぞれは、約100nmの厚さで析出した場合、光の放射を支持することができる。本発明のさらに別の実施例においては、パターン化された絶縁層25または改善されたパターン化された絶縁層を、次に続く第三の化合物粒子30−3の析出のために改善してもよい。
【0027】
図5A〜図5Dは、断面図および平面図から示される、電気溶着を用いてのカラーフィルタの形成方法を示す図である。図5Aについて言及すると、ガラス基板またはフレキシブル基板などの基板34を供給してもよい。たとえば、析出処理とそれに続くレーザ切断処理またはフォトリソグラフィによって、パターン化された導電層32を基板34上に形成してもよい。次いで、その上にパターン化された導電層32が形成された基板34を、図4A〜図4Cに関して記載し図示したのと同様のEPDのメカニズムによって、作用電極として機能するパターン化された導電層32を用いて設置してもよい。
【0028】
次いで、水などの偏光した溶液と第一の平均粒子径を伴う第一の化合物粒子との第一の混合物を、EPDのメカニズムによって供給してもよい。図5Bについて言及すると、パターン化された層32の導電領域の第一のセットに電源35から第一の電圧を加えることによって、カラーピクセル32−1の第一のセットを形成することができる。カラーピクセル32−1の第一のセットは第一の色を発光させることができる。
【0029】
次いで、偏光した溶液と第二の平均粒子径を伴う第二の化合物粒子との第二の混合物を、EPDのメカニズムによって供給してもよい。図5Cについて言及すると、パターン化された層32の導電領域の第二のセットに電源35から第二の電圧を加えることによって、カラーピクセル32−2の第二のセットを形成することができる。カラーピクセル32−2の第二のセットは第二の色を発光させることができる。
【0030】
次いで、偏光した溶液と第三の平均粒子径を伴う第三の化合物粒子との第三の混合物を、EPDのメカニズムによって供給してもよい。図5Dについて言及すると、パターン化された層32の導電領域の第三のセットに電源35から第三の電圧を加えることによって、カラーピクセル32−3の第三のセットを形成することができる。カラーピクセル32−3の第三のセットは第三の色を発光させることができる。
【0031】
図6Aは、本発明の一実施例に基づくディスプレイ装置4を示す断面図である。図6Aについて言及すると、ディスプレイ装置4は、バックライト源41−1、基板41−2、薄膜トランジスタ(TFT)層42、液晶(LC)層43およびカラーフィルタ47を含んでもよい。カラーフィルタ47(これは図2Aに関して記載し図示したカラーフィルタ200と類似のものでもよい)はさらに、基板44、透明導電層45およびカラー層46を含んでもよい。カラー層46(これは異なるサイズの粒子を含んでもよい)を、図4A〜図4Cに関して記載し図示したような電気溶着法によって形成してもよい。バックライト源41−1は、これに限られるわけではないが、本実施例のようなドットマトリックス光源または平面状の光源を含んでもよい。さらに、バックライト源41−1は、白色光とは異なる青色光または紫色光で発光してもよい。さらに、バックライト源41−1は約300〜400nmの範囲の波長を伴う発光をしてもよい。
【0032】
図6Bは、本発明の別の実施例に基づくディスプレイ装置5を示す断面図である。図6Bについて言及すると、ディスプレイ装置5は、フレキシブルバックライトモジュール51、TFT層52、LC層53、フレキシブル基板54、透明導電層55およびカラー層56を含んでもよい。ディスプレイ装置5は、たとえばフレキシブルバックライトモジュール51およびフレキシブル基板54をバックライト源41−1および基板41−2に置き換えること以外は、図6Aに関して記載し図示したようなディスプレイ装置4と類似であってもよい。
【0033】
図6Cは、本発明の一実施例に基づく図6Bで示されるカラー層56を示す概略図である。図6Cについて言及すると、カラー層56は、フレキシブルバックライトモジュール51に由来する光の励起による異なる色の光を発光するために、異なるサイズに分布した所望のパターン状の粒子を有してもよい。
【0034】
本発明の代表的な実施例の説明において、本明細書では本発明を実施する方法および/またはプロセスを工程の特定の順番となるように示している。しかしながら、方法またはプロセスが本明細書に記載した工程の特定の順序に依存しない程度までは、方法またはプロセスは記載された工程の特定の順番に制限されるべきではない。当業者の一人が認識するように、工程にはその他の順序があり得る。したがって、本明細書に記載された工程の特定の順序は、特許請求の範囲を制限するものとみなされるべきではない。さらに、本発明の方法および/またはプロセスに関する特許請求の範囲は、それらの工程を記載された順序で実施することに制限されるべきではなく、当業者であれば、その順序を変更することができ、そしてなお本発明の趣旨および範囲内に留まることを容易に理解することができる。
【0035】
当業者であれば、この発明の幅広い概念から逸脱すること無く、上記の実施例を変更できることを認識できる。したがって、本発明は開示された特定の実施例に制限されることはなく、添付の特許請求の範囲に規定されたような本発明の趣旨および範囲内の変形にまで及ぶことを意図することが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1A】従来の液晶ディスプレイの構造を示す概略図である。
【図1B】図1Aで示されるカラーフィルタの構造を示す概略図である。
【図2A】断面図および平面図から示される例示的なカラーフィルタの図である。
【図2B】図2Aで示されるカラーフィルタにおけるカラーピクセルのパターンを示す概略図である。
【図2C】図2Aで示されるカラーフィルタにおけるカラーピクセルのパターンを示す概略図である。
【図3】光スペクトルにわたる、化合物のナノ粒子の波長の範囲を示す概略図である。
【図4A】本発明の一例に基づくカラーフィルタモジュールを形成するための電気溶着のメカニズムを示す概略図である。
【図4A−1】図4Aの作用電極構造体20の拡大図である
【図4B】本発明の一例に基づくカラーフィルタモジュールを形成するための電気溶着のメカニズムを示す概略図である。
【図4C】本発明の一例に基づくカラーフィルタモジュールを形成するための電気溶着のメカニズムを示す概略図である。
【図5A】断面図および平面図から示される、電気溶着を用いてのカラーフィルタの形成方法を示す図である。
【図5B】断面図および平面図から示される、電気溶着を用いてのカラーフィルタの形成方法を示す図である。
【図5C】断面図および平面図から示される、電気溶着を用いてのカラーフィルタの形成方法を示す図である。
【図5D】断面図および平面図から示される、電気溶着を用いてのカラーフィルタの形成方法を示す図である。
【図6A】本発明の一例に基づくディスプレイ装置を示す断面図である。
【図6B】本発明の別の例に基づくディスプレイ装置を示す断面図である。
【図6C】本発明の一例に基づく図5Bで示されるカラー層を示す概略図である。
【符号の説明】
【0037】
4 ディスプレイ装置
5 ディスプレイ装置
10 液晶ディスプレイ(LCD)
11 偏光子
12 透明な導電性電極
13 液晶モジュール
14 カラーフィルタ
15 偏光子
20 作用電極構造体
21 電源
22 透明な作用電極
23 カウンター電極
24 基板
25 絶縁層
26−1〜26−3 溝
30−1〜30−3 化合物粒子
31−1〜31−3 フィルム
32 導電層
32−1〜32−3 カラーピクセル
34 基板
35 電源
41−1 バックライト源
41−2 基板
42 薄膜トランジスタ層
43 液晶層
44 基板
45 透明導電層
46 カラー層
47 カラーフィルタ
51 フレキシブルバックライトモジュール
52 TFT層
53 LC層
54 フレキシブル基板
55 透明導電層
56 カラー層
141 ITO層
142 上塗層
143 ブロックマトリックス層
144 ガラス基板
145 フィルタ
145B 青色フィルタ
145G 緑色フィルタ
145R 赤色フィルタ
200 カラーフィルタ
201 基板
202 透明導電層
203 カラー層
204−1〜204−3 カラーピクセル
205 ブラックマトリックス材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上の透明導電層と、
前記透明導電層の第一の領域上に配置された第一の直径を有する第一の粒子のセットであって、前記第一の直径によって前記第一の領域が第一の波長を有する第一の光を放射することが可能になる粒子のセットと、
前記透明導電層の第二の領域上に配置された第二の直径を有する第二の粒子のセットであって、前記第二の直径によって前記第二の領域が第二の波長を有する第二の光を放射することが可能になる粒子のセットと、
前記透明導電層の第三の領域上に配置された第三の直径を有する第三の粒子のセットであって、前記第三の直径によって前記第三の領域が第三の波長を有する第三の光を放射することが可能になる粒子のセットと、
を備えることを特徴とするカラーフィルタモジュール。
【請求項2】
前記第一、第二、および第三の粒子がII−VI族化合物またはIII−V族化合物の少なくとも一つから選択されることを特徴とする、請求項1に記載のカラーフィルタモジュール。
【請求項3】
前記第一、第二、および第三の粒子が、セレン化カドミウム(CdSe)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、硫化亜鉛(ZnS)、テルル化カドミウム(CdTe)、セレン化白金(PtSe)、硫化鉛(PbS)、ヒ化インジウム(InAs)、リン化インジウム(InP)、PtSe/Te、CdSe/Te、CdSe/ZnSe、またはCdSe/CdSの少なくとも一つから選択されることを特徴とする、請求項1に記載のカラーフィルタモジュール。
【請求項4】
前記第一、第二、および第三の粒子がセレン化カドミウム(CdSe)から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のカラーフィルタモジュール。
【請求項5】
前記第一の直径が平均して7ナノメートルであり、前記第二の直径が平均して5ナノメートルであり、前記第三の直径が平均して3ナノメートルであることを特徴とする、請求項4に記載のカラーフィルタモジュール。
【請求項6】
前記基板がガラス基板およびフレキシブル基板の一つを含むことを特徴とする、請求項1に記載のカラーフィルタモジュール。
【請求項7】
光源と、
前記光源からの光を受け取るための第一の基板と、
前記第一の基板を覆う液晶層と、
カラー層と、
を備え、
前記カラー層は、第二の基板と、
前記第二の基板上の透明導電層と、
前記透明導電層の第一の領域上に配置された第一の直径を有する第一の粒子のセットであって、前記第一の直径によって前記第一の領域が第一の波長を有する第一の光を放射することが可能になる粒子のセットと、
前記透明導電層の第二の領域上に配置された第二の直径を有する第二の粒子のセットであって、前記第二の直径によって前記第二の領域が第二の波長を有する第二の光を放射することが可能になる粒子のセットと、
前記透明導電層の第三の領域上に配置された第三の直径を有する第三の粒子のセットであって、前記第三の直径によって前記第三の領域が第三の波長を有する第三の光を放射することが可能になる粒子のセットと、
を有することを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項8】
前記第一、第二、および第三の粒子がII−VI族化合物またはIII−V族化合物の少なくとも一つから選択されることを特徴とする、請求項7に記載のディスプレイ装置。
【請求項9】
前記第一、第二、および第三の粒子が、セレン化カドミウム(CdSe)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、硫化亜鉛(ZnS)、テルル化カドミウム(CdTe)、セレン化白金(PtSe)、硫化鉛(PbS)、ヒ化インジウム(InAs)、リン化インジウム(InP)、PtSe/Te、CdSe/Te、CdSe/ZnSe、またはCdSe/CdSの少なくとも一つから選択されることを特徴とする、請求項7に記載のディスプレイ装置。
【請求項10】
前記第一、第二、および第三の粒子がセレン化カドミウム(CdSe)から選択されることを特徴とする、請求項7に記載のディスプレイ装置。
【請求項11】
前記第一の直径が平均して7ナノメートルであり、前記第二の直径が平均して5ナノメートルであり、前記第三の直径が平均して3ナノメートルであることを特徴とする、請求項10に記載のディスプレイ装置。
【請求項12】
前記第一の基板および前記第二の基板がガラス基板およびフレキシブル基板の一つを含むことを特徴とする、請求項7に記載のディスプレイ装置。
【請求項13】
前記光源が300nm〜400nmの範囲の波長を有する光を放射することを特徴とする、請求項7に記載のディスプレイ装置。
【請求項14】
発光層と、
前記発光層を覆う薄膜トランジスタ層と、
前記薄膜トランジスタ層を覆う液晶層と、
カラー層と、
を備え、
前記カラー層は、基板と、
前記基板上の透明導電層と、
前記透明導電層の第一の領域上に配置された第一の直径を有する第一の粒子のセットであって、前記第一の直径によって前記第一の領域が第一の波長を有する第一の光を放射することが可能になる粒子のセットと、
前記透明導電層の第二の領域上に配置された第二の直径を有する第二の粒子のセットであって、前記第二の直径によって前記第二の領域が第二の波長を有する第二の光を放射することが可能になる粒子のセットと、
前記透明導電層の第三の領域上に配置された第三の直径を有する第三の粒子のセットであって、前記第三の直径によって前記第三の領域が第三の波長を有する第三の光を放射することが可能になる粒子のセットと、
を有することを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項15】
前記第一、第二、および第三の粒子がII−VI族化合物またはIII−V族化合物の少なくとも一つから選択されることを特徴とする、請求項14に記載のディスプレイ装置。
【請求項16】
前記第一、第二、および第三の粒子が、セレン化カドミウム(CdSe)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、硫化亜鉛(ZnS)、テルル化カドミウム(CdTe)、セレン化白金(PtSe)、硫化鉛(PbS)、ヒ化インジウム(InAs)、リン化インジウム(InP)、PtSe/Te、CdSe/Te、CdSe/ZnSe、またはCdSe/CdSの少なくとも一つから選択されることを特徴とする、請求項14に記載のディスプレイ装置。
【請求項17】
前記第一、第二、および第三の粒子がセレン化カドミウム(CdSe)から選択されることを特徴とする、請求項14に記載のディスプレイ装置。
【請求項18】
前記第一の直径が平均して7ナノメートルであり、前記第二の直径が平均して5ナノメートルであり、前記第三の直径が平均して3ナノメートルであることを特徴とする、請求項17に記載のディスプレイ装置。
【請求項19】
前記発光層および前記基板がガラス基板およびフレキシブル基板の一つを含むことを特徴とする、請求項14に記載のディスプレイ装置。
【請求項20】
前記発光層が300〜400nmの範囲の波長を有する光を放射することを特徴とする、請求項14に記載のディスプレイ装置。

【図1A】
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【図4A−1】
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【図5A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公開番号】特開2009−175664(P2009−175664A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197803(P2008−197803)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(390023582)財団法人工業技術研究院 (524)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】