説明

カラーフィルター保護膜用一液型熱硬化性組成物およびこれを用いたカラーフィルター

【解決手段】本発明のカラーフィルター保護膜用一液型熱硬化性組成物は、(i)下記式(1a)で表される構造単位(1a)、下記式(1b)で表される構造単位(1b)および、下記式(2)で表される構造単位(2)から選択される1種以上の構造単位と、下記式(3)で表される構造単位(3)とを有する硬化性共重合体、および、(ii)有機溶剤を含むことを特徴とする。


【効果】本発明のカラーフィルター保護膜用の一液型熱硬化性組成物は、従来の熱硬化性カラーフィルター用組成物に比べ、長期間保存が可能であり、これを用いて製造されたカラーフィルター用保護膜の平坦性、密着性、透過度、膜強度、耐熱性、UV安定性にも優れている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルター保護膜用一液型熱硬化性組成物に関し、より詳しくは、側鎖にエポキシ環構造を有する1種以上の(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸の共重合体及び有機溶剤を含むカラーフィルター保護膜用の一液型熱硬化性組成物と、これを用いて製造された保護膜を含むカラーフィルター、及びこのカラーフィルターを含む液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶表示装置用カラーフィルターの表面には、平坦性の向上と保護を目的とした保護膜が形成されている。このような表面保護膜は、光学的な透明性と十分な被膜強度を有していなければならず、更に、前記保護膜上に透明電導膜を形成する工程に耐えられる十分な耐熱性を有していなければならない。
【0003】
一方、最近開発された垂直配向型の液晶ディスプレイ用保護膜には、透明性、被膜強度、耐熱性の外にも、エッチングに耐えられる耐酸性が必要となり、レジスト剥離工程に耐えられる耐アルカリ性も求められる。
【0004】
カラーフィルター保護膜の形成材料と形成方法に対しては、従来から広く知られている。即ち、日本国特開平1−134306号(特許文献1)には、グリシジルメタクリレートを主成分とするものが開示されており、日本国特開昭62−163016号(特許文献2)には、ポリイミドを主成分とするものが開示されており、日本国特開昭63−131103号(特許文献3)には、メラミン樹脂とエポキシ樹脂の混合物を主成分とするものが開示されている。
【0005】
また、エポキシ樹脂を用いたカラーフィルター用保護膜の組成物として、接着強度、耐熱性、耐薬品性、耐水性などの信頼性の高い技術が知られている。即ち、日本国特開平08−050289号(特許文献4)には、グリシジルメタクリレートポリマーにフェノール系の硬化剤を用いた硬化性樹脂組成物が開示されている。また、日本国特開平08−201617号には、エポキシ樹脂、硬化剤及び有機溶媒からなる透明フィルム用樹脂組成物が開示されているが、前記硬化剤としてスチレン無水マレイン酸共重合物ポリマーとアミン類との反応物を用いている。
【0006】
一般に、エポキシ樹脂は、硬化剤との反応が速いため、使用に際して主剤と硬化剤とを混合する、いわゆる二液型で用いる場合が多く、一液化が困難なものとして知られている。即ち、二液型は、取り扱いが複雑で、工業的生産の利用に適していない問題点がある。
【0007】
しかしながら、上述した従来の公知技術では、透明性、被膜強度、耐熱性、耐酸性、耐アルカリ性のいずれも満足させ、且つエポキシ樹脂の一液化が可能なものはなかった。これに対し、日本国特開2001−091732号(特許文献5)は、多官能カルボン酸化合物をビニルエーテルなどにより保護することで保存安定性を図る技術を開示しているが、このような保護基化は、製造が複雑で、価格への影響を避けることができない。また、ビニルエーテル化合物は、人体に有害であるため、工業的使用は困難である。
【特許文献1】特開平1−134306号公報
【特許文献2】特開昭62−163016号公報
【特許文献3】特開昭63−131103号公報
【特許文献4】特開平08−050289号公報
【特許文献5】特開2001−091732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、接着強度、透明性、被膜強度、耐熱性、耐酸性、耐アルカリ性が良好で、且つ長期保存が可能なカラーフィルター保護膜用の一液型熱硬化性組成物を提供することであり、具体的には、側鎖にエポキシ環構造を有する(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸の共重合体及び有機溶剤を含むカラーフィルター保護膜用の一液型熱硬化性組成物を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、前記組成物を用いて製造された、平坦性、密着性及び膜強度に優れた保護膜を含むカラーフィルターを提供することである。
本発明のまた他の目的は、前記カラーフィルターを含む液晶ディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のカラーフィルター保護膜用一液型熱硬化性組成物は、(i)下記式(1a)で表される構造単位(1a)、下記式(1b)で表される構造単位(1b)および、下記式(2)で表される構造単位(2)から選択される1種以上の構造単位と、下記式(3)で表される構造単位(3)とを有する硬化性共重合体、および、(ii)有機溶剤を含むことを特徴とする。
【0011】
【化1】

【0012】
【化2】

【0013】
(式(1a)あるいは(1b)中、R1は、それぞれ水素原子またはアルキル基を示し、l及びl'は、20mol%〜85mol%を示し、pは、1〜9の整数を示す。)
【0014】
【化3】

【0015】
(式(2)中、R2は、それぞれ水素原子またはアルキル基を示し、mは、20mol%〜85mol%を示す。)
【0016】
【化4】

【0017】
(式(3)中、R3は、それぞれ水素原子またはアルキル基を示し、nは、5mol%〜45mol%を示す。)
本発明では、前記硬化性共重合体が、下記式(4)で表される構造単位(4)をさらに
含むことを特徴とするカラーフィルター保護膜用一液型熱硬化性組成物が好ましい。
【0018】
【化5】

【0019】
(前記式中、R4は、それぞれ水素原子またはアルキル基を示し、sは、10mol%〜30mol%を示し、R5は、下記式(V)、(VI)、(VII)、(VIII)および(IX)示される化合物の中から選択された1種である);
【0020】
【化6】

【0021】
(式中、tは、4〜12の整数を示し、R6は、水素原子またはアルキル基を示す。)
本発明では、前記硬化性共重合体の全構造単位中において、l+mが、20mol%〜85mol%の範囲であることが好ましい。
【0022】
本発明では、前記硬化性共重合体の重量平均分子量が、3,000〜1,000,000
の範囲であることが好ましい。
本発明では、前記硬化性共重合体が、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートを含む(メタ)アクリレート、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N、N−ジメチルアクリルアミド、N、N−ジエチルアクリルアミド、N、N−ジメチルメタクリルアミド、N、N−ジエチルメタクリルアミドを含むアクリルアミド類、スチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシスチレンを含むスチレン類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアミド及びN−ビニルイミダゾールからなる群から選択された1種以上から導かれる構造単位を更に含むことが好ましい。
【0023】
本発明では、前記有機溶剤が、エチレングリコール、ジエチレングリコールを含むエチレングリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルを含むグリコールエーテル類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを含むグリコールエーテルアセテート類、プロピレングリコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレンモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルを含むプロピレングリコールエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピルレングリコールモノエチルエーテルアセテートを含むプロピレングリコールエーテルアセテート類、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドを含むアミド類、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノンを含むケトン類、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ(solve
nt naphtha)を含む石油類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチルを含むエステル類、及びそれらの混合物からなる群から選択された1種以上であることが好ましい。
【0024】
本発明では、前記組成物が、エポキシ系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリアマイド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコン系樹脂から選択された1種以上を更に含むことが好ましい。
【0025】
本発明では、前記組成物が、酸化防止剤、赤外線安定剤、可塑剤、レベリング剤、カップリング剤、フィラーから選択された1種以上を更に含むことが好ましい。
本発明によると、前記カラーフィルター保護膜用一液型熱硬化性組成物を用いて製造された保護膜を含むカラーフィルターが提供される。
【0026】
本発明では、保護膜の厚さが0.5〜5μmであることが好ましい。
また、本発明によると、前記カラーフィルターを含む液晶表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0027】
本発明のカラーフィルター保護膜用の一液型熱硬化性組成物は、従来の熱硬化性カラーフィルター用組成物に比べ、長期間保存が可能であり、これを用いて製造されたカラーフィルター用保護膜の平坦性、密着性、透過度、膜強度、耐熱性、UV安定性にも優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明をより詳しく説明する。
本発明のカラーフィルター保護膜用の一液型熱硬化性組成物に使用される硬化性共重合体は、下記式(1a)で表される構造単位(1a)、下記式(1b)で表される構造単位(1b)および、下記式(2)で表される構造単位(2)から選択された1種以上の構造単位と、下記式(3)で表される構造単位(3)との間で、熱架橋反応が行われ、熱硬化性を有することとなる。前記構造単位を有する共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体など、任意の形態であることができる。
【0029】
【化7】

【0030】
【化8】

【0031】
(式(1a)あるいは(1b)中、R1は、それぞれ水素原子またはアルキル基を示し、l及びl'は、20mol%〜85mol%を示し、pは、1〜9の整数を示す。)
【0032】
【化9】

【0033】
(式(2)中、R2は、それぞれ水素原子またはアルキル基を示し、mは、20mol%〜85mol%を示す。)
前記l+mは、20mol%〜85mol%の範囲であることが望ましい。
【0034】
【化10】

【0035】
(式(3)中、R3は、それぞれ水素原子またはアルキル基を示し、nは、5mol%〜45mol%を示す。)
前記構造単位(1a)、(1b)、(2)の1種以上および構造単位(3)を含む硬化性共重合体は、下記式(4)で表される構造単位(4)をさらに含むことができる。
【0036】
【化11】

【0037】
(式中、R4は、それぞれ水素原子またはアルキル基(好ましくは、水素またはメチル基)を示し、sは、10mol%〜30mol%を示し、R5は、下記式(V)、(VI)、(VII)、(VIII)および(IX)示される化合物の中から選択された1種である);
【0038】
【化12】

【0039】
(式中、tは、4〜12の整数を示し、R6は、水素原子またはアルキル基(好ましくは、水素またはメチル基)を示す。)
前記硬化性共重合体は、構造単位(4)を含むことによって、透明性と有機溶剤への可
溶性を向上することができる。すなわち、前記硬化性共重合体を製造する重合に際して、構造単位(4)を誘導する化合物(側鎖に式(V)〜(IX)で表される基を有するメタアクリレート)を共重合することによって、硬化性共重合体の透明性と有機溶剤への可溶性を向上することができる。
【0040】
硬化性共重合体中の、構造単位(4)の成分比(構造単位の含有モル比率)sは、接着強度、透明性、被膜強度、耐熱性、耐酸性、耐アルカリ性及び長期保存の可能性を損なわない範囲で、10mol%〜30mol%の範囲であることが望ましい。
【0041】
また、前記硬化性共重合体は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートを含む(メタ)アクリレート、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N、N−ジメチルアクリルアミド、N、N−ジエチルアクリルアミド、N、N−ジメチルメタクリルアミド、N、N−ジエチルメタクリルアミドを含むアクリルアミド類、スチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシスチレンを含むスチレン類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアミド及びN−ビニルイミダゾールからなる群から選択された1種以上から導かれる構造単位を更に含んでいてもよい。
【0042】
一方、前記硬化性共重合体の分子量は、特に制限されないが、重量平均分子量3,00
0〜1,000,000の範囲が望ましい。その理由は、分子量が低すぎると、十分な硬化性が得られず、分子量が高すぎると、溶剤可溶性の低下、あるいは塗布性の低下が生じることがあるからである。
【0043】
本発明のカラーフィルター保護膜用一液型熱硬化性組成物の必須成分である(ii)有機溶剤は、特に制限されないが、前記共重合体を溶解できるものが望ましい。使用可能な有機溶剤は、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのエチレングリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート類、プロピレングリコールなどのプロピレングリコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレンモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルなどのプロピレングリコールエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールエーテルアセテート類、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノンなどのケトン類、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ(solvent naphtha)などの石油類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル
などのエステル類、及びそれらの混合物からなる群から選択された1種以上である。
【0044】
前記硬化性共重合体は、従来公知の方法により、特に制限されることなく合成することができ、本発明のカラーフィルター保護膜用一液型熱硬化性組成物を構成する有機溶剤のような有機溶剤の中で、ラジカル重合開始剤を使用して合成することが望ましい。
【0045】
即ち、前記硬化性共重合体の共重合に使用する有機溶剤には、特に制限されないが、望ましくは、上述した本発明の熱硬化性一液型のカラーフィルター用保護膜組成物の必須成分として使用される有機溶剤と同様の有機溶剤を使用する。一方、重合に使用される有機溶剤の量は、有機溶剤と硬化性共重合体の溶液中の、硬化性共重合体の濃度が5〜50重量%になるよう調節することが望ましい。より望ましくは、10〜30重量%である。前記溶液の中、硬化性共重合体の濃度が5重量%未満の場合には、重合速度が遅くなり、反応せずに残るモノマーが問題となる。また、50重量%を超える場合には、粘度が高すぎて取り扱いが困難であり、反応速度の調節が困難になるなどの問題がある。
【0046】
前記硬化性共重合体の重合に使用する重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤、酸化還元系開始剤などの公知のものを使用することができるが、取り扱いの容易性、反応速度と分子量の調節を容易に行うことができるという側面から、過酸化物系、アゾ系などのラジカル重合開始剤を使用することが望ましい。
【0047】
本発明で使用可能な過酸化物系重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1、1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)3、3、5−トリメチルシクロヘキサン、1、1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1、1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)3、3、5−トリメチルシクロヘキサン、1、1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1、1−ビス(
tert−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、イソブチルパーオキサイド, ラウロイル
パーオキサイド、琥珀酸パーオキサイド、3、5、5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネイト、ジノマルプロピルパーオキシジカーボネイト、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネイト、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネイト、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネイト、ビス−(4−tert―ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネイト、(α,α−ビス−ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼ、パーオキシネオデカン酸クミルエステ
ル、パーオキシネオデカン酸オクチルエステル、パーオキシネオデカン酸ヘキシルエステル、パーオキシネオデカン酸−tert−ブチルエステル、パーオキシピバリン酸−tert−ヘキシルエステル、パーオキシピバリン酸−tert−ブチルエステル、2、5−ジメチル−2、5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1、1、3、3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−ヘキサン酸エチル(ethyl hexanoate)、パーオキ
シ−2−エチルヘキサン−tert−ヘキシルエステル、パーオキシ−2−エチルヘキサン酸 −tert−ブチルエステル、パーオキシ−2−エチルヘキサン酸−tert−ブ
チルエステル、パーオキシ−3−メチルプロピオン酸−tert−ブチルエステル、パーオキシラウリン酸−tert−ブチルエステル、tert−ブチルパーオキシ−3、5、5−トリメチルヘキサノエート、tert−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネイト、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネイト、2、5−ジメチル−2、5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、過酢酸−tert−ブチルエステル、過安息香酸−tert−ヘキシルエステル、過安息香酸−tert−ブチルエステルなどを挙げることができる。また、上述した過酸化物系重合開始剤に還元剤を添加し、酸化−還元開始剤として使用することもできる。
【0048】
本発明で使用可能なアゾ系重合開始剤としては、例えば、1、1−アゾビス(シクロヘ
キサン−1−カボニトリル)、2、2'−アゾビス(2−メチル−ブチロニトリル)、2、2'−アゾビスブチロニトリル、2、2'−アゾビス(2、4−ジメチル−バレロニトリル)、2、2'−アゾビス(2、4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、2、2'−アゾビス(2−アミジノ−プロパン)塩酸塩、2、2'−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダ
ゾリン−2−イル)プロパン]塩酸塩、2、2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−
イル)プロパン]塩酸塩、2、2'−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−
イル)プロパン]、2、2'−アゾビス2−メチル−N−(1、1−ビス(2−ヒドロキシメ
チル)−2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2、2'−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2、2'−アゾビス(2−メチル−プロピオ
ンアミド)2水塩、4、4'−アゾビス(4−シアノ−吉草酸)、2、2'−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2、2'−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチルエステル(ジメチル−2、2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート))(和光純薬工業株式会社製:V−601)、シアノ−2−プロピルアゾホルムアミドなどを挙げることがで
きる。
【0049】
また、上述した過酸化物系重合開始剤、アゾ系重合開始剤の以外に、前記硬化性共重合体の重合段階において、望ましい分子量の範囲を達成するために、連鎖移動剤、連鎖停止剤、重合促進剤などの公知の分子量調節剤を添加することもできる。その例として、メルカプトプロピオン酸、メルカプトプロピオン酸エステル、チオグリコール、チオグリセリン、ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレンダイマーなどを挙げることができる。
【0050】
重合反応物として得られた硬化性共重合体および重合に用いた有機溶剤を含む組成物は、そのまま本発明のカラーフィルター保護膜用一液型熱硬化性組成物として用いることができる。
【0051】
一方、重合後、構成成分の溶解性の補助、レベリング性及び乾燥速度の調整などの目的で、前記重合に使用される有機溶剤の以外に、他の溶剤を添加することも可能である。
また、合成された共重合体は、精製、保存、溶剤変更などを目的として固体に抽出することが可能であり、これを用いてカラーフィルター保護膜用の一液型熱硬化性組成物を構成することも可能である。抽出方法に制限はないが、噴霧乾燥、フィルム乾燥、貧溶媒への滴下、再沈などを挙げることができる。
【0052】
また、本発明のカラーフィルター保護膜用一液型熱硬化性組成物の耐エッチング性、耐アルカリ性などを向上させる、あるいは流動性を調整するために、前記硬化性共重合体の以外に、他の重合体を更に添加することができる。添加するポリマーに特に制限はないが、ビスフェノールA型エポキシ、ビスフェノールF型エポキシ、フェノールノボラック型エポキシ、クレゾールノボラック型エポキシ、置換式エポキシなどのエポキシ系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリアマイド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコン系樹脂などを挙げることができる。添加するポリマーの量は、前記硬化性共重合体100重量部に対して、50重量部以下であることが望ましい。
【0053】
また、本発明のカラーフィルター保護膜用の一液型熱硬化性組成物には、熱硬化反応の触媒として、アミン化合物、リン化合物、ホウ素化合物、アンチモン化合物、カーボン酸化合物、有機スルホン酸化合物などを添加することができる。熱硬化反応触媒の添加量は、保存安定性の観点から、前記硬化性共重合体100重量部に対して、10重量部以下が望ましい。
【0054】
一方、本発明のカラーフィルター保護膜用の一液型熱硬化性組成物には、その他の成分として、酸化防止剤、赤外線安定剤、可塑剤、レベリング剤、カップリング剤、フィラーなど、従来公知のものを必要に応じて配合することができる。
【0055】
一方、カラーフィルター用保護膜の製造のために、本発明のカラーフィルター保護膜用の一液型熱硬化性組成物をスクリーン印刷、カーテンコート、ブレードコート、スピンコート、スプレーコート、ディップコート(dip coating)、フローコート(flow coating)、
ロールコート(roll coating)、スリットコート(slit coating)などの方法により基板上に塗布する。塗布膜の厚さは、乾燥後、0.5〜5μmの範囲、望ましくは0.7〜2.5μ
mの範囲である。膜厚が0.5μm未満で薄すぎると、段差に対して、十分な平坦化の性
能を得ることができず、膜厚が5μmを超えて高すぎると、透過率の低下をもたらすだけではなく、乾燥及び硬化に時間がかかり、生産性が低下することとなる。
【0056】
本発明のカラーフィルター保護膜用の一液型熱硬化性組成物が塗布された基板は、乾燥−熱硬化の工程により溶剤が揮発し、架橋反応により硬化して強固な膜を形成する。乾燥工程と熱硬化工程は、同時に、あるいは個別的に行うことができるが、急激に加熱する場合、発泡や亀裂などが生じることができるため、乾燥工程と熱硬化工程を個別的に行うことが望ましい。
【0057】
乾燥工程に使用される装置には、特に制限されないが、温風乾燥機、遠赤外線乾燥機、ホットプレートなど任意のものを使用することができる。乾燥温度は、50〜150℃の範囲が望ましく、乾燥の時間は乾燥機の用量、風量、温度及び膜厚によって変化するが、1〜10分の範囲が望ましい。
【0058】
熱硬化工程に使用される装置には、特に制限されないが、温風オーブン、遠赤外線オーブン、ホットプレートなど任意のものを使用することができる。熱処理温度は、150〜250℃の範囲が望ましいが、熱処理温度が150℃未満の場合には、硬化反応が充分に進行しない問題点があり、熱処理温度が250℃を超える場合には、高分子化合物の解重合反応や炭化反応が起き、得られた膜の性能が低下する問題点がある。
【0059】
上述した方法により製造された保護膜を含む本発明のカラーフィルターは、液晶表示装置に使用することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明をより詳しく説明するが、下記の実施例は説明の目的のためのもので、本発明を制限するものではない。
【実施例1】
【0060】
還流冷却器と撹拌器とを備えた500mlのフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート297gを投入した後、撹拌しながら反応温度を80℃まで上昇させた。反応温度を80℃に保持し、撹拌しながら前記フラスコの内部に、メタクリル酸56g、メタクリル酸グリシジル78g及びジメチル−2、2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業株式会社製:V−601)6.8gの混合物を1〜1.5時間
滴下することで投入した。前記混合物を滴下した後、反応温度を80℃に保持し、撹拌しながら4〜5時間反応させ、透明な高分子溶液(A)を得た。この溶液をゲル透過クロマトグラフィ(Gel Permission Chromatography:以下、"GPC")法により測定した結果、ポリスチレン換算の重量平均分子量は30,000であった。
【0061】
前記得られた高分子溶液(A)40gに、エポキシ樹脂(JER社EP−152)3.5g、
シランカップリング剤(Chisso社S−510)1.4g、界面活性剤(DIC社F−475)0.12g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート31gを添加し、十分に撹拌し、溶解させた後、濾過して目的とするカラーフィルター保護膜用の一液型熱硬化性組成物(F)を得た。
【0062】
前記製造されたカラーフィルター保護膜用の一液型熱硬化性組成物(F)を、スピンコーターを用いてガラス基板(コーニング社製:1737番、板厚0.7mm)及びRGBパタ
ーンがあるダミー(dummy)カラーフィルターにそれぞれ塗布し、80℃温度の乾燥器中で3分間乾燥した後、さらに230℃の温度で50分間硬化させ、膜厚1.5μmの透
明な保護膜及びカラーフィルターを得た。
【実施例2】
【0063】
還流冷却器と攪拌器とを備えた500mlのフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート290gを投入した後、攪拌しながら反応温度を80℃まで向上させた。反応温度を80℃に保持し、撹拌しながら前記フラスコの内部にメタクリル酸14g、メタクリル酸グリシジル34g、ジシクロペンタニルメタクリレート(日立化成工
業株式会社製:FA−513M)78g及びジメチル−2、2'−アゾビス(2−メチルプ
ロピオネート)(和光純薬工業株式会社製:V−601)6.8gの混合物を1〜1.5時間
滴下することで投入した。前記混合物を滴下した後、反応温度を80℃に保持し、撹拌しながら4〜5時間反応させ、透明な高分子溶液(B)を得た。この溶液をGPC法により測定した結果、ポリスチレン換算の重量平均分子量は32,000であった。
【0064】
高分子溶液(A)の代りに、前記高分子溶液(B)40gを使用したことを除いては、実試例1と同様の方法により行い、目的とするカラーフィルター保護膜用の一液型熱硬化性組成物(G)を得た。
【0065】
前記カラーフィルター保護膜用の一液型熱硬化性組成物(G)を使用して、実施例1と同様の方法により膜厚1.5μmの透明な保護膜及びカラーフィルターを得た。
【実施例3】
【0066】
還流冷却器と撹拌器とを備えた500mlのフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート290gを投入した後、攪拌しながら反応温度を80℃まで上昇させた。反応温度を80℃に保持し、撹拌しながら前記フラスコの内部に、メタクリル酸28g、メタクリル酸グリシジル18g、スチレン60g及びジメチル−2、2'−アゾ
ビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業株式会社製:V−601)6.8gの混合物を1〜1.5時間滴下することで投入した。前記混合物を滴下した後、反応温度を80℃
に保持し、撹拌しながら4〜5時間反応させ、透明な高分子溶液(C)を得た。この溶液をGPC法により測定した結果、ポリスチレン換算の重量平均分子量は23,000であっ
た。
【0067】
高分子溶液(A)の代りに、前記高分子溶液(C)40gを使用したことを除いては、実施
例1と同様の方法により行い、目的とするカラーフィルター保護膜用の一液型熱硬化性組成物(H)を得た。
【0068】
カラーフィルター保護膜用の一液型熱硬化性組成物(F)の代わりに、製造されたカラーフィルター保護膜用の一液型熱硬化性組成物(H)を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法により膜厚1.5μmの透明な保護膜及びカラーフィルターを得た。
【実施例4】
【0069】
還流冷却器と撹拌器とを備えた500mlのフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート290gを投入した後、後半しながら反応温度を80℃まで上昇させた。反応温度を80℃に保持し、撹拌しながら前記フラスコの内部にメタクリル酸28g、メタクリル酸グリシジル18g、シクロヘキサンメタクリレート(Aldrich
社製)58g及びジメチル−2、2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工
業株式会社製:V−601)6.8gの混合物を1〜1.5時間滴下することで投入した。前記混合物を滴下した後、反応温度を80℃に保持し、撹拌しながら4〜5時間反応させ、透明な高分子溶液(D)を得た。この溶液をGPC法により測定した結果、ポリスチレン換算の重量平均分子量は25,000であった。
【0070】
高分子溶液(A)の代りに、前記高分子溶液(D)40gを使用したことを除いては、実施
例1と同様の方法により行い、目的とするカラーフィルター保護膜用の一液型熱硬化性組成物(I)を得た。
【0071】
カラーフィルター保護膜用の一液型熱硬化性組成物(F)の代わりに、前記カラーフィルター保護膜用の一液型熱硬化性組成物(I)を使用したことを除いては、実施例1
と同様の方法により膜厚1.5μmの透明な保護膜及びカラーフィルターを得た。
比較例1
還流冷却器と撹拌器とを備えた500mlのフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート390.0を投入した後、攪拌しながら反応温度を80℃まで上
昇させた。反応温度を80℃に保持し、撹拌しながら前記フラスコの内部に、メタクリル酸グリシジル79g、ジシクロペンタニルメタクリレート(日立化成工業株式会社製:F
A−513M)30g、スチレン12g及びジメチル−2、2'−アゾビス(2−メチルプ
ロピオネート)(和光純薬工業株式会社製:V−601)8.5gの混合物を1〜1.5時間
滴下することで投入した。前記混合物を滴下した後、反応温度を80℃に保持し、撹拌しながら3時間反応させ、透明な高分子溶液(E)を得た。この溶液をGPC法により測定した結果、ポリスチレン換算の重量平均分子量は17,000であった。
【0072】
前記高分子溶液(E)40gに、エポキシ樹脂(JER社EP−152)3.5g、シランカップリング剤(Chisso社S−510)1.4g、 無水トリメリット酸(Trimel
litic Anhydride:Aldrich社)3.1g、界面活性剤(DIC社F−
475)0.12g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート31gを添加し、十分に撹拌し、溶解させた後、濾過して目的とするカラーフィルター保護膜用の一液型熱硬化性組成物 (J)を得た。
【0073】
カラーフィルター保護膜用の一液型熱硬化性組成物 (F)の代わりに、カラーフィルタ
ー保護膜用の一液型熱硬化性組成物 (J)を使用したことを除いては、実施例1と同様の
方法により膜厚1.5μmの透明な保護膜及びカラーフィルターを得た。
<物性評価>
前記実施例1〜4及び比較例1から得られたガラス基板及びカラーフィルターに対して、下記に記載された方法により平坦性、密着性、膜強度、耐熱性、UV安定性を評価し、前記製造例1〜4及び比較製造例1から得られた熱硬化性組成物に対する保管安定性を評価し、その結果を下記の表1に記載した。
1.平坦性の評価
平坦性を評価するために、ダミー(dummy)カラーフィルターの赤色画素と緑色画素との中心部分の高さの差(画素間段差)を求めた。その後、前記実施例1〜4及び比較例1の保護膜が塗布されたカラーフィルターの赤色画素と緑色画素との中心部分の高さの差を求めた。下記式(1)によって、保護膜の塗布前の画素間段差(d1)と保護膜の塗布後の画
素間段差(d2)の比率Rを求め、下記の基準によって本発明により製造された保護膜組成
物の平坦化性を1〜5の5段階で評価した。
【0074】
R=d2/d1 ……(1)
前記式により求められた、R>0.4である時に1、0.4≦R≦0.3である時に2、
0.3<R≦0.2である時に3、0.2<R≦0.1である時に4、R<0.1である時に
5とした。但し、1は平坦化の性能が低いことを示し、5は平坦化の性能が高いことを示す。
2.密着性及び耐化学性の試験
前記実施例1〜4及び比較例1により得られたカラーフィルター保護膜の上に、碁盤目状にクロスカット(cross−cut)を100個入れ、セロハンテープを用いてピーリング(peeling)試験(クロスカット試験)を行った後、碁盤目の剥離状態を目視で評価し、密着性の試験を行った。
【0075】
また、得られたカラーフィルター保護膜を40℃のN−メチル−2−ピロリドン(NM
P)、10%水酸化カリウム水溶液及びEtchant溶液(製品名:CYANTEK C
ORPORATION LCE−12K)に30分間浸漬した後、さらに上述した方法と同様の方法により密着性の試験を行い、碁盤目の剥離状態によって100(浸漬後)/100(浸漬前)である場合に合格、100以下である場合に不合格で表示することによって、各溶液に対する耐化学性を評価した。
3.膜強度の評価
前記実施例1〜4及び比較例1から製造された透明な保護膜をStatdler社で製作した鉛筆6種(1H〜6H)で掻き、基板の損傷程度によって膜の強度を1H〜6Hまで評価した。
4.保管安定性の評価
最初に、前記製造例1〜4及び比較製造例1から得られた熱硬化性組成物の粘度を測定し、これらのそれぞれを10mlのバイアル(vial)に入れ、40℃のインキュベータに保管し、3日ごとに粘度を測定した。12日後、計5回の粘度測定の結果、粘度の増加量が10%を越える区間の番号をそれぞれ0、3、6、9、12の数字で表示した。但し、3以下は、不良と表示した。
5.耐熱性の評価
前記実施例1〜4及び比較例1から製造された透明な保護膜の厚さを測定し、オーブンに入れ、300℃の温度でそれぞれ3時間ずつ放置した後、保護膜の厚さを測定し、膜厚の減少程度を比べる。膜厚の減少が10%以内であれば良好と、10%を超えると不良と表示した。
6.UV安定性の評価
前記実施例1〜4及び比較例1から得られたカラーフィルター保護膜の上に、碁盤目状のクロスカット(cross−cut)を100個入れ、セロハンテープを用いてピーリング(peeling)試験(クロスカット試験)を行った後、碁盤目の剥離状態を目視で評価し、密着性の試験を行った。以後、カラーフィルターの保護膜に一定の強さのUVを持続的に照射しながら、3時間の単位でピーリング(pelling)試験(クロスカット試験)を繰り返し、碁盤目の剥離状態を確認した(剥離分/全体として表記)。
【0076】
【表1】

【0077】
【表2】

【0078】
前記表1からわかるように、本発明のカラーフィルター保護膜用の一液型熱硬化性組成物により製造されたカラーフィルター用保護膜は、平坦性、密着性、透過度、膜強度及び耐熱性に優れていることがわかった。一方、製造された組成物の保管安定性は、従来の熱硬化性カラーフィルター用保護膜組成物に比べ、長期間持続することがわかった。また、前記表2のように、UV安定性においても、従来の熱硬化性カラーフィルター用保護膜組成物に比べ、優れていることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)下記式(1a)で表される構造単位(1a)、下記式(1b)で表される構造単位(1b)および、下記式(2)で表される構造単位(2)から選択される1種以上の構造単位と、
下記式(3)で表される構造単位(3)とを有する硬化性共重合体、および
(ii)有機溶剤
を含むことを特徴とするカラーフィルター保護膜用一液型熱硬化性組成物。
【化1】

【化2】

式(1a)あるいは(1b)中、R1は、それぞれ水素原子またはアルキル基を示し、l
及びl'は、20mol%〜85mol%を示し、pは、1〜9の整数を示す。)
【化3】

(式(2)中、R2は、それぞれ水素原子またはアルキル基を示し、mは、20mol%〜85mol%を示す。)
【化4】

(式(3)中、R3は、それぞれ水素原子またはアルキル基を示し、nは、5mol%〜45mol%を示す。)
【請求項2】
前記硬化性共重合体が、下記式(4)で表される構造単位(4)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルター保護膜用一液型熱硬化性組成物。
【化5】

(前記式中、R4は、それぞれ水素原子またはアルキル基を示し、sは、10mol%〜30mol%を示し、R5は、下記式(V)、(VI)、(VII)、(VIII)および(IX)示される化合物の中から選択された1種である);
【化6】

(式中、tは、4〜12の整数を示し、R6は、水素原子またはアルキル基を示す。)
【請求項3】
前記硬化性共重合体の全構造単位中において、l+mが、20mol%〜85mol%の範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカラーフィルター保護膜用一液型熱硬化性組成物。
【請求項4】
前記硬化性共重合体の重量平均分子量が、3,000〜1,000,000の範囲である
ことを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルター保護膜用一液型熱硬化性組成物。
【請求項5】
前記硬化性共重合体が、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートを含む(メタ)アクリレート、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N、N−ジメチルアクリルアミド、N、N−ジエチルアクリルアミド、N、N−ジメチルメタクリルアミド、N、N−ジエチルメタクリルアミドを含むアクリルアミド類、スチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシスチレンを含むスチレン類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアミド及びN−ビニルイミダゾールからなる群から選択された1種以上から導かれる構造単位を更に含むことを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルター保護膜用一液型熱硬化性組成物。
【請求項6】
前記有機溶剤が、エチレングリコール、ジエチレングリコールを含むエチレングリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルを含むグリコールエーテル類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを含むグリコールエーテルアセテート類、プロピレングリコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレンモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルを含むプロピレングリコールエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピルレングリコールモノエチルエーテルアセテートを含むプロピレングリコールエーテルアセテート類、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドを含むアミド類、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサ
ノンを含むケトン類、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ(solvent naphtha)を含む石油類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチルを含むエステル類、及びそ
れらの混合物からなる群から選択された1種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルター保護膜用一液型熱硬化性組成物。
【請求項7】
前記組成物が、エポキシ系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリアマイド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコン系樹脂から選択された1種以上を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルター保護膜用一液型熱硬化性組成物。
【請求項8】
前記組成物が、酸化防止剤、赤外線安定剤、可塑剤、レベリング剤、カップリング剤、フィラーから選択された1種以上を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルター保護膜用一液型熱硬化性組成物。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載のカラーフィルター保護膜用一液型熱硬化性組成物を用いて製造された保護膜を含むカラーフィルター。
【請求項10】
保護膜の厚さが0.5〜5μmであることを特徴とする請求項9に記載のカラーフィル
ター。
【請求項11】
請求項9または10に記載のカラーフィルターを含む液晶表示装置。

【公開番号】特開2007−79527(P2007−79527A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−368385(P2005−368385)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(500005066)チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド (263)
【Fターム(参考)】