説明

カラーフィルター用感光性着色組成物及びカラーフィルター

【課題】高い顔料濃度であっても、保護膜及び支持体との密着性に優れたカラーフィルター基板を提供する。
【解決手段】 少なくとも(A)光重合開始剤、(B)有機系着色剤、(C)アクリル系ポリマー、(E)光重合性モノマー、および(D)溶媒を含有するカラーフィルター用感光性着色組成物において、(E)光重合性モノマーが少なくとも(E−1)下記一般式(1)で表される光重合性モノマーを含有し、かつ(E)光重合性モノマーの含有量が、(C)アクリル系ポリマーと(E)光重合性モノマーの質量の総和に対して50〜75質量%であることを特長とするカラーフィルター用感光性着色組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性着色組成物に関し、特に液晶表示装置や固体撮像素子に用いられるカラーフィルターに好適な感光性着色組成物に関する。また、本発明は、該感光性着色組成物を用いて形成されるカラーフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイは軽量、薄型、低消費電力等の特性を活かし、ノートパソコン、携帯情報端末、デジタルカメラ、デスクトップモニタ等様々な用途で使用されており、高度な色再現範囲を有するカラーフィルターが要求されている。
【0003】
カラーフィルターは、ブラックマトリクス(BM)を形成したガラスやプラスチックシートなどの支持体表面に、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の異なる色相を、ストライプ状あるいはモザイク状等に形成したものからなっている。
【0004】
カラーフィルターを製造する方法は、従来から様々な方法が提案されており、中でもネガティブタイプ(ネガ型)の感光性着色組成物を用いた製造方法が広く知られている。ネガ型の感光性着色組成物は、顔料とアクリル系樹脂、光重合開始剤、反応性ポリマーなどから構成されている。ネガ型の感光性着色組成物の硬化は、紫外線照射により分解あるいは活性化された光重合開始剤が、ラジカルを生成することによって開始され、このラジカルによって活性化されたエチレン性不飽和化合物がラジカル重合を行うことによって進行する。このようなネガ型感光性着色組成物を用いてカラーフィルターを形成する際には、通常基板上にネガ型感光性着色組成物を塗布し、フォトマスクを介して紫外線を照射した後現像し、パターンを得る。このように形成したパターンを加熱焼成して基板に定着させることで画素パターンを形成する。このサイクルを必要色数分繰り返すことで、着色被膜のパターンが得られる。しかし、このサイクルを繰り返すと、BMとRGB画素端部に大きな段差が生じ、その段差に起因する表示むらが発生する。この段差を抑制するため、透明樹脂層(保護膜)を用いて、カラーフィルターの平坦化処理を行う。
【0005】
近年、携帯情報端末やデジタルカメラの小型化及び軽量化に伴い、カラーフィルターは、薄膜化及び高色濃度化が要求されており、着色組成物中の着色剤濃度を高くする必要性がある。しかしながら、着色剤濃度が高くなると感光性着色組成物中の樹脂量が減ることになり、保護膜との密着性に寄与する画素表面の樹脂成分が減少するので、画素と保護膜との密着性が低下し、保護膜が画素との界面で剥がれやすくなる。また高着色剤濃度化した感光性着色組成物を用いてパターンを形成した場合、着色剤が露光工程での紫外線を吸収するので、感光性着色組成物の下層部は露光量不足となってしまう。その結果、現像工程において下層部が現像液に溶解し、オーバーハング状態になり、形状としてアンダーカットが生じ易くなる。画素の下層が完全には硬化しておらず形状もアンダーカットであるため、加熱焼成処理を行っても、高着色剤濃度化した感光性着色組成物は、画素と支持体の密着性が劣るなどの問題がある。
【0006】
さらに、カラーフィルターは、近年、タッチパネルなどにも使用され、耐衝撃性や耐久性が強く求められており、感光性着色組成物とその支持体、感光性着色組成物とその保護膜との密着性の重要性が強く要求されている。
【0007】
感光性着色組成物の耐溶剤性を向上させる方法としては、多官能性単量体が化合物に含まれている例(特許文献1、2参照)が提案されているが、これらの方法では、感光性着色組成物と保護膜との密着性については一切記載されておらず、更に感光性着色組成物に凝集物や相分離が発生するという問題があった。
【0008】
感光性着色組成物とその支持体との密着性を向上させる対策としては、ブロックイソシアネート基を有する化合物が着色組成物中に含まれている例(特許文献3参照)などが提案されているが、これらの方法では、未露光部分の密着性も向上するため、十分に溶解されず、基板上に残渣が残る原因となる。
【0009】
感光性着色組成物と保護膜との密着性を向上させる対策としては、3つ以上のエチレン性不飽和二重結合を有する多官能モノマーのエチレン性不飽和二重結合の質量モル濃度が感光性透明樹脂と非感光性透明樹脂、及び多官能モノマーの合計質量を基準として3.6×10-3mol/g以上感光性着色組成物中に含まれている例(特許文献4参照)、ガラス転移点が100℃以下となるような成分が保護膜中に含まれている例(特許文献5参照)などが提案されている。しがしながら、これらの従来技術では、感光性着色組成物と保護膜との密着性とその他の性能とを両立できているとはいい難く、特に近年求められている画素と保護膜の強い密着性を達成するには至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009‐175288号公報
【特許文献2】特開2010‐85972号公報
【特許文献3】特開2006‐293226号公報
【特許文献4】特開2010‐14779号公報
【特許文献5】特開2006‐126872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的とするところは、高い顔料濃度であっても、保護膜及び支持体との密着性に優れ、アルカリ現像後の未露光部分の残渣を抑制し、透明性に優れたカラーフィルター用感光性着色組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成からなる。
すなわち、少なくとも(A)光重合開始剤、(B)有機系着色剤、(C)アクリル系ポリマー、(D)溶媒、および(E)光重合性モノマーを含有するカラーフィルター用感光性着色組成物において、(E)光重合性モノマーとして、少なくとも(E−1)下記一般式(1)で表される光重合性モノマーを含有し、かつ(E)光重合性モノマーの含有量が、(C)アクリル系ポリマーと(E)光重合性モノマーの質量の総和に対して50〜75質量%であることを特徴とするカラーフィルター用感光性着色組成物である。
【0013】
【化1】

【0014】
(式中、nは1〜5の整数を表し、Rは各々独立に水素原子又はメチル基を表し、Rは水酸基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を表す。)
【発明の効果】
【0015】
本発明のカラーフィルター用感光性着色組成物を用いることにより、保護膜及び支持体との密着性に優れ、アルカリ現像後の未露光部分の残渣を抑制し、透明性に優れたカラーフィルター基板を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の構成要素について説明する。
本発明のカラーフィルター用感光性着色組成物は、少なくとも(A)光重合開始剤、(B)有機系着色剤、(C)アクリル系ポリマー、(D)溶媒、および(E)光重合性モノマーを含有するカラーフィルター用感光性着色組成物において、(E)光重合性モノマーとして、少なくとも(E−1)下記一般式(1)で表される光重合性モノマーを含有し、かつ(E)光重合性モノマーの含有量が、(C)アクリル系ポリマーと(E)光重合性モノマーの質量の総和に対して50〜75質量%であることが重要である。
【0017】
【化2】

【0018】
(式中、nは1〜5の整数を表し、Rは各々独立に水素原子又はメチル基を表し、Rは水酸基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を表す。)
以下、本発明のカラーフィルター用感光性着色組成物の各成分について記述する。
本発明のカラーフィルター用感光性樹脂組成物に用いられる(A)光重合開始剤としては、オキシムエステル系化合物及、α-アミノアセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、オキサントン系化合物、イミダゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、オキシムエステル化合物、カルバゾール系化合物、トリアジン系化合物、リン系化合物あるいはチタネートなど公知のものが使用できる。例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チバ・スペシャルティ・ケミカル(株)“イルガキュア(登録商標)”907である2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、チバ・スペシャルティ・ケミカル(株)“イルガキュア(登録商標)”369である2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、チバ・スペシャルティ・ケミカル(株)“イルガキュア(登録商標)”379である2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノンt−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、チバ・スペシャルティ・ケミカル(株)“イルガキュア(登録商標)”OXE01である1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、4−(p−メトキシフェニル)−2,6−ジ−(トリクロロメチル)−s−トリアジン、チバ・スペシャルティ・ケミカル(株)“イルガキュア(登録商標)”OXE02であるエタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)、(株)ADEKA“アデカ(登録商標)オプトマー”N−1818、N−1919などがあげられる。
【0019】
さらに芳香族、脂肪族の第3級アミンなどの増感補助剤を添加すると、さらに感度を向上させることができ好ましい。また、これらの光重合開始剤は2種類以上併用して用いることもできる。
【0020】
光重合開始剤の感光性着色組成物中における含有量としては、特に限定はないが、該組成物のアクリル系ポリマーと光重合性モノマーの総量に対して、2〜50質量%が好ましく、さらに好ましくは5〜45質量%である
本発明の感光性着色組成物に用いられる(B)有機系着色剤としては、有機顔料、染料等を用いることができるが、耐熱性、透明性の面から有機顔料が好ましい。中でも透明性が高く、耐光性、耐熱性、耐薬品性に優れたものが好ましい。代表的な有機顔料の具体的な例をカラ−インデックス(CI)ナンバ−で示すと、次のようなものが好ましく使用されるが、いずれもこれらに限定されるものではない。
【0021】
赤色顔料の例としては、ピグメントレッド(以下PRと略す)9、48、97、122、123、144、149、166、168、177、179、180、192、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254などが使用される。
【0022】
また、緑色顔料の例としては、ピグメントグリ−ン(以下PGと略す)7、10、36、58などが使用される。また、黄色顔料の例としては、ピグメントイエロ−(以下PYと略す)12、13、17、20、24、83、86、93、95、109、110、117、125、129、137、138、139、147、148、150、153、154、166、168、185などが使用される。
【0023】
また、青色顔料の例としては、ピグメントブルー(以下PBと略す)15:3、15:4、15:6、21、22、60、64などが使用される。また、バイオレット顔料としてはピグメントバイオレット(以下PVと略す)19、23、29、30、37、40、50などが使用される。
【0024】
これらの顔料は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基処理、塩基性処理などの表面処理がされていてもかまわず、耐光性や耐溶剤性を損なわない程度に染料を含むことができる。
【0025】
上記顔料は、例えばカラ−フィルタ−のR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)3色の画素が、CRT(陰極線管)蛍光体の色度特性、バックライトや液晶ディスプレイに用いる液晶特性に合うように、数色組み合わせて調色され使用することもできる。
【0026】
R(レッド)の場合を例にあげると、PR−254とPR−177の組合せ、PR−254とPY−138の組合せ、PR−254とPY−139の組合せ等で色度が調色される。G(グリーン)の場合は、PG−7やPG−36と上記黄色顔料、例えば、PY−17、PY−83の組合せやPY−138の組合せ、PY−139の組合せ、PY−150の組合せ等で色度が調色される。
【0027】
本発明の組成物は塗膜中の顔料割合が高い赤画素や緑画素を形成する場合に特に有効である。B(ブルー)の場合は、PB15:3やPB:15:6と紫色顔料、例えばPV−19やPV−23の組み合わせで調色される。
【0028】
本発明の組成物は塗膜中の顔料割合が高い赤画素を形成する場合に特に有効である。
顔料の感光性着色組成物中における含有量としては、該組成物の全樹脂体積に対して30〜55体積%であることが好ましい。全樹脂体積に対する顔料体積が30体積%以下では、着色力が小さいため好ましくない。全樹脂量体積に対する顔料体積%が55体積%を超えると現像残渣が発生するのに加え、感度不足により着色パターンの形状が悪化する。顔料の比重は比重計又は比重ビンなどを用いて測定し、全樹脂量の比重は1.1として、全樹脂量に対する顔料体積%を求めた。ここで、全樹脂量とは、ポリマー、モノマーあるいはオリゴマーと高分子分散剤の合計とする。
【0029】
本発明の感光性着色組成物は顔料を用い、分散機を用いて溶液中に均一に分散することが好ましい。顔料の分散方法は特に限定はなく、ボールミル、サンドグラインダー、3本ロールミル、高速度衝撃ミル、ビーズミルなど、公知の方法が使用できる。メディアを用いたビーズミルは微細な顔料を分散できるため好ましく用いられ、高精細なパターンを形成するのに好適である。
【0030】
分散機を用いて顔料を分散させる工程としては、顔料と、アクリル系ポリマー、光重合性モノマー、光重合開始剤、有機溶剤、及び重合禁止剤を直接、分散機に投入し感光性着色組成物を得ることもできるが、生産性及び設備面の簡便さの観点から、顔料、有機溶剤、好ましくはアクリル系ポリマー、好ましくはさらに分散剤を含有する顔料分散液としてあらかじめ調整しておくことが好ましい。
【0031】
有機溶剤としては、特に限定されるものではなく、例えばメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエチルエーテルなどの(ポリ)アルキレングリコールエーテル系溶剤、あるいは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、アセト酢酸エチル、メチル‐3‐メトキシプロピオネート、エチル‐3‐エトキシプロピオネート、メトキシブチルアセテート、3‐メチル‐3‐メトキシブチルアセテートなどの脂肪族エステル類、あるいは、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、3‐メチル‐3‐メトキシブタノールなどの脂肪族アルコール類、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類を用いることができ、これらの単独、あるいは2種類以上の混合溶剤も好ましく用いることができる。またこれら以外の溶剤との混合も好ましく用いられる。
【0032】
ただし、本発明の着色組成物をダイコーティング法により基板に塗布する場合には、膜厚の均一性、及び吐出スリット部に顔料凝集物が生じるのを防止する観点から、沸点が比較的高い溶剤を使用するのが好ましい。一方、沸点が高すぎると乾燥性が悪化するので、具体的には、150℃以上220℃以下の範囲に沸点を有する溶剤を用いるのが好ましい。
【0033】
本発明の(C)アクリル系ポリマーとしては、アルカリ可溶性基を必須成分とするが、顔料に対してバインダーとして作用し、カラーフィルターを製造する際に、その現像工程においてアルカリ現像液に可溶するものであれば、特に限定されるものではない。アクリル可溶性基の例としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基などがあげられる。アルカリ可溶性基を有するアクリルポリマーとしては、カルボキシル基を有するアルカリ可溶性アクリルポリマーが好ましく、不飽和カルボン酸の例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸などのモノカルボン酸類、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのジカルボン酸またはその酸無水物、フタル酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)などの多価カルボン酸モノエステル類などがあげられる。特に(メタ)アクリル酸から導かれる構成単位を含んでなるアクリル系ポリマーが好ましく、さらに、構成単位に含まれるカルボン酸に、エチレン性不飽和基とエポキシ基を含有してなる化合物を反応させて得られたアクリル系ポリマーを用いると、露光、現像の際の感度がよくなるので好ましく用いることができる。エチレン性不飽和基としては、アクリル基、メタクリル基が好ましい。
【0034】
これらは単独で用いても良いが、他の共重合可能なエチレン性不飽和化合物と組み合わせて用いても良い。共重合可能なエチレン性不飽和化合物としては、具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸nープロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、アクリル酸イソ−ブチル、メタクリル酸イソ−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ペンチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、トリシクロデカニルメタクリレートなどの脂環式基を側差に有するビニル化合物、アミノエチルアクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、1,3−ブタジエン、イソプレンなどの脂肪族共役ジエン、それぞれ末端にアクリロイル基、あるいはメタクリロイル基を有するポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリシリコーンなどのマクロモノマーなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
また、側鎖にエチレン性不飽和基を付加したアクリル系樹脂を用いると、加工の際の感度がよくなるので好ましく用いることができる。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基のようなものがある。このような側鎖をアクリル系(共)重合体に付加させる方法としては、アクリル系(共)重合体のカルボキシル基や水酸基などを有する場合には、これらにエポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸またはメタクリル酸クロライドを付加反応させる方法が一般的である。
【0036】
主鎖に対して付加することのできる不飽和基を有するエポキシ化合物としては、グリシジル基あるいは脂環式エポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物が挙げられる。特に限定されるわけではないが、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、α−エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、N−(3,5−ジメチル−4−グリシジル)ベンジルアクリルアミド、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートなどがあげられる。特にメタクリル酸及び/またはアクリル酸とメタクリル酸メチル、ベンジルメタクリレート、スチレン、トリシクロデカニルメタクリレートから選ばれた3〜4元共重合体にグリシジルメタクリレートを付加したものは、感度及び現像性が良好であるため好ましく用いられる。
【0037】
本発明におけるバインダー樹脂の平均分子量Mw(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレンによる検量線を用いて換算したもの)は、3千〜20万が好ましく、さらに好ましくは9千〜10万である。3千未満では十分な硬化膜強度が得られず、また、20万を超えると現像性が悪化するため、好ましくない。また、適度なアルカリ現像性を得るためには、酸価は50〜200(mg/KOH/g)であることが好ましく、70〜150(mg/KOH/g)がより好ましい。
【0038】
また顔料の分散を安定化させるために、分散剤として、顔料の中間体、誘導体といった低分子分散剤、高分子分散剤など公知のものが使用できる。顔料誘導体としては、例えば顔料骨格のアルキルアミン変性体やカルボン酸誘導体、スルホン酸誘導体などを挙げることができ、顔料の湿潤や微細顔料の安定化に有効である。これら顔料誘導体の中でも、有機顔料のスルホン酸誘導体は微細顔料の安定化に効果が大きく、好ましく用いられる。高分子分散剤としては、通常、カラーフィルター用に使用されるものであれば、特に限定されず、ポリエステル、ポリアルキルアミン、ポリアリルアミン、ポリイミン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、などのポリマー、またはこれらの共重合体など、種々のものを単独、または混合して用いることができる。
【0039】
かかる方法によって顔料分散液を調整した後、アクリル系ポリマー、光重合性モノマー、光重合開始剤、重合禁止剤、その他添加剤等を混合した希釈ワニスを用意し、顔料分散液と混合することで、感光性着色組成物を得ることができる。
アクリル系ポリマーとしては、上記のものが使用でき、また、顔料分散液にあらかじめ含有されている場合は、同じものであっても異なっていても良い。
【0040】
本発明の感光性着色組成物に用いられる溶媒(D)としては、エステル類、脂肪族アルコール類、ケトン類などが使用できる。
【0041】
具体的なエステル類としては、ベンジルアセテート(沸点214℃)、エチルベンゾエート(沸点213℃)、γ―ブチロラクトン(沸点204℃)、メチルベンゾエート(沸点200℃)、マロン酸ジエチル(沸点199℃)、2−エチルヘキシルアセテート(沸点199℃)、2−ブトキシエチルアセテート(沸点192℃)、3−メトキシ−3−メチル−ブチルアセテート(沸点188℃)、シュウ酸ジエチル(沸点185℃)、アセト酢酸エチル(沸点181℃)、シクロヘキシルアセテート(沸点174℃)、3−メトキシ−ブチルアセテート(沸点173℃)、アセト酢酸メチル(沸点172℃)、エチル−3−エトキシプロピオネート(沸点170℃)、2−エチルブチルアセテート(沸点162℃)、イソペンチルプロピオネート(沸点160℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート(沸点160℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点158℃)、酢酸ペンチル(沸点150℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点146℃)などが挙げられるがこれらに限定されない。これらの溶媒のなかで、酢酸エステル系またはプロピオン酸エステル系の溶媒で、3−メトキシ−3−メチル−ブチルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、3−メトキシ−ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートがとくに好ましい。
【0042】
また、上記以外の溶媒として、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点120℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(沸点133℃)、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル(沸点153℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点188℃)などのプロピレングリコール誘導体などの脂肪族エーテル類、上記以外の脂肪族エステル類、例えば、酢酸エチル(沸点77℃)、酢酸ブチル(沸点126℃)、酢酸イソペンチル(沸点142℃)、あるいは、ブタノール(沸点118℃)、3−メチル−2−ブタノール(沸点112℃)、3―メチル―3―メトキシブタノール(沸点174℃)などの脂肪族アルコール類、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、キシレン(沸点144℃)、エチルベンゼン(沸点136℃)、ソルベントナフサ(石油留分:沸点165〜178℃)などの溶媒を併用することも可能である。
【0043】
さらに基板の大型化に伴いダイコーティング装置による塗布が主流になってきているので、適度の揮発性、乾燥性を実現するため、2成分以上の混合溶媒から構成するのが好ましい。該混合溶媒を構成する全ての溶媒の沸点が150℃以下の場合、膜厚の均一性が得られない、塗布終了部の膜厚が厚くなる、塗液をスリットから吐出する口金部に顔料の凝集物が生じ、塗膜にスジが発生するという多くの問題を生じる。一方、該混合溶媒の沸点が200℃以上の溶媒を多く含む場合、塗膜表面が粘着性となり、スティッキングを生じる。したがって沸点が150℃以上200℃の溶媒を30〜75質量%含有する混合溶媒が望ましい。とくに混合溶媒を構成する溶媒の一成分として、3−メトキシ−3−メチル−ブチルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、3−メトキシ−ブチルアセテートから選ばれるエステル系溶媒を30〜75質量%含有する混合溶媒が好ましい。
【0044】
さらに3−メトキシ−3−メチル−ブチルアセテートを混合溶媒の構成成分として選択すると他のエステル類に比較して、同じ固形分濃度で上記カラーレジスト溶液の粘度を高くできるのでより好ましい。
【0045】
本発明の感光性着色組成物に用いられる(E)光重合性モノマーとしては、(E−1)一般式(1)で表される光重合性モノマーを必須成分とする。
【0046】
【化3】

【0047】
(式中、nは1〜5の整数を表し、R1は各々独立に水素原子又はメチル基を表し、Rは水酸基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を表す。)
(E−1)一般式(1)で表される光重合性モノマーは、保護膜との密着に寄与する密着反応点が画素表面上に増加し、画素と保護膜の密着性が強固になるので好ましい。
【0048】
(E−1)に該当する光重合性モノマーとしては、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、ペンタペンタエリスリトールウンデカ(メタ)アクリレート、ペンタペンタエリスリトールドデカ(メタ)アクリレート等が挙げられ、市販品としては“V♯802”(大阪有機化学工業株式会社)等が挙げられるが、これらには限定されない。
【0049】
(E)光重合性モノマーとして、必須成分である上記光重合性モノマー以外に、(E−2)下記一般式(2)および/または(E−3)下記一般式(3)で表される光重合性モノマーを含有することが好ましい。
【0050】
【化4】

【0051】
(式中、Rは水酸基又は−X−CO−Y−COOHを表し、−X−は−O−、−O(CHCHO−、または−O(CHCHCHO−を表し、−Y−は炭素数1〜8のアルキレン基、ならびにそれぞれ置換されていても良いフェニレン基、シクロヘキシレン基、およびシクロヘキシレン基の一部が不飽和結合である基からなる群から選ばれる基を表す。但し、mは1〜8の整数を表す。)
【0052】
【化5】

【0053】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
(E−2)に該当する光重合性モノマーとしては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートを無水コハク酸、無水1−ドデセニルコハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラメチレン無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水テトラクロロフタル酸、無水テトラブロモフタル酸、無水クロレンディク酸、無水トリメリット酸等の酸無水物を、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、酸化亜鉛等の触媒の存在下、60〜110℃で1〜20時間反応させることにより得ることができる化合物等が挙げられ、市販品としては“M306”(東亞合成株式会社)、“M305”(東亜合成株式会社)、“M510”(東亞合成株式会社)、“PET−30”(日本化薬株式会社)等が挙げられるが、これらには限定されない。
【0054】
(E−3)に該当する光重合性モノマーとしては、市販品として“DA-314”(ナガセケムテックス株式会社)等が挙げられるが、これらには限定されない。
【0055】
さらに上記の光重合性モノマー(E−2)および/または(E−3)の全(E)光重合性モノマー中にしめる含有量が5〜20質量%であることが好ましい。上記モノマーの全(E)光重合性モノマー中にしめる含有量が5〜20質量%である感光性着色組成物は、露光やキュアをすぐに行わなくても凝集物や相分離が発生せず、透明性が高い塗膜を得ることができる。3つのエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーの全(E)光重合性モノマー中にしめる含有量が20質量%を超えると、画素表面の密着反応点が減少し、画素と保護膜の密着性が悪化するため好ましくない。
【0056】
また、本発明における(E)光重合性モノマーは、上記光重合性モノマー以外に、その他の光重合性モノマーを含んでも良く、多官能、単官能の(メタ)アクリル系モノマーあるいはオリゴマーを用いることができる。
【0057】
多官能モノマーとしては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレートカルバメート、変性ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、アジピン酸1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリル酸エステル、無水フタル酸プロピレンオキサイド(メタ)アクリル酸エステル、トリメリット酸ジエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、ロジン変性エポキシジ(メタ)アクリレート、アルキッド変性(メタ)アクリレート、あるいはトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]エーテル、4,4′−ビス[4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]シクロヘキサン、9,9−ビス[4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3−メチル−4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3−クロロ−4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジメタアクリレート、ビスクレゾールフルオレンジアクリレート、ビスクレゾールフルオレンジメタアクリレートなどがあげられる。
【0058】
さらに、トリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサ−3−メルカプトプロピオネート、トリス−[(メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、または特開2006−259716号公報に記載されているビスフルオレン系チオール化合物などの多官能チオール化合物などがあげられる。これらは単独または混合して用いることができる。
【0059】
これらの多官能モノマーやオリゴマーの選択と組み合わせにより、レジストの感度や加工性の特性をコントロールすることが可能である。とくに感度を上げるためには、官能基が3以上、より好ましくは5以上ある化合物の使用が望ましく、とくにジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0060】
光重合性モノマーの含有量は、アクリル系ポリマーと光重合性モノマーの質量の総和に対して50〜75質量%であることが好ましく、さらに好ましくは60〜70質量%である。光重合性モノマーの質量が、アクリル系ポリマーと光重合性モノマーの質量の総和に対して50%より少ない場合には、架橋成分が少ないため感度が低下し、さらに保護膜との密着性が低下するため好ましくない。また、光重合性モノマー質量が、アクリル系ポリマーと光重合性モノマーの質量の総和に対して75質量%より多い場合には、剥離現像が生じたり、現像残渣が発生するので現像溶解性が悪化するため好ましくない。
【0061】
本発明の感光性着色組成物は、その他添加剤を含有していてもよい。例えば、有機溶剤やアクリル系ポリマー以外の高分子化合物、密着改良剤、界面活性剤、重合禁止剤、有機酸、有機アミノ化合物、硬化剤などが挙げられる。
有機溶剤としては、公知のもの、例えば上記顔料分散液に記載のものなど使用でき、顔料分散液に含有されるものと同じものであっても異なっていても良い。
【0062】
密着改良剤としては、塗膜の基板への密着性を向上させる目的で、好ましく添加することができる。例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3‐クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3‐アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられる。密着改良剤の添加量は、好ましくはペースト固形分に対して0.1〜20質量%、さらに好ましくは0.5〜10質量%であるのが良い。添加量がこの範囲より少ないと、感光性着色組成物は支持体または、保護膜との密着改良剤としての効果が小さく、多すぎるとアクリル系ポリマーや光重合性モノマーの凝集がおこるため好ましくない。
【0063】
界面活性剤としては、感光性着色組成物の塗布性、及び着色層の表面の均一性を良好にする目的で、あるいは、顔料の分散性を良好にする目的で添加することができる。かかる界面活性剤の添加量は、顔料に対して、好ましくは0.001〜10質量%、さらに好ましくは0.01〜1質量%であるのがよい。添加量がこの範囲より少ないと、塗布性、着色膜表面の均一性の改良、あるいは顔料分散性の改良の効果が小さく、多すぎると逆に塗布性が不良となったり、顔料の凝集が起こる場合があるため好ましくない。具体的には、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどの陰イオン界面活性剤、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどの陽イオン界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタインなどの両性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ソルビタンモノステアレートなどの非イオン界面活性剤、フッ素系界面活性剤やシリコン系界面活性剤などがあげられる。
【0064】
重合禁止剤としては、ヒドロキノン系、及びカテコール系のものである。より具体的には、ヒドロキノン系のものとしては、ヒドロキノン、tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ヒドロキノン、2,5−ビス(1,1−ジメチルブチル)ヒドロキノンなどが挙げられ、カテコール系のものとしては、カテコール、tert−ブチルカテコールなどが挙げられる。
【0065】
これら重合禁止剤の添加量は、顔料を除く固形分に対して、好ましくは0.1〜0.5質量%である。添加量が0.1質量%より少ない場合は、画素の太りを軽減する効果が小さいため好ましくなく、0.5質量%を超える場合は、極性溶媒浸漬時に感度の低下により膜表面が浸食され、色差が悪化し、シミが発生しやすくなるため好ましくない。これら重合禁止剤は、2種類以上を混合して使用こともできる。なお、ここでいう顔料を除く固形分とは、顔料及び顔料誘導体を除く固形分であって、有機溶剤を除く、アクリル系ポリマー、高分子分散剤、光重合性モノマー、光重合開始剤、その他添加剤などを含む、樹脂分及び低分子化合物の総量である。具体的には、感光性着色組成物を、2000〜40,000倍の重力加速度を持つ遠心分離機に1〜60分間、例えば20,000倍の質量加速度で10分間処理し、顔料成分を沈降させた後、沈降分を除いた溶液を常圧中、もしくは減圧中で、40℃〜200℃で10分〜24時間、例えば150℃で60分間加熱し有機溶媒成分を気化、乾燥させることで測定することができる。
【0066】
上記以外のヒンダードフェノール系や、リン系、イオウ系、アミン系などの重合禁止剤もしくは酸化防止剤は、画素がマスクサイズに対して太り、設計通りの高精細なパターンが形成できない傾向があり、また、分解物や未反応物が塗膜中に残存することに起因すると推定される電気的信頼性の悪化が見られるため好ましくない。
【0067】
高分子化合物としては、アクリル樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリイミド前駆体など種々のものを用いることができる。
【0068】
次に、本発明の感光性着色組成物を用いたカラーフィルターの製造方法の例を説明する。感光性着色組成物を基板上に塗布する方法としては、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ダイコーター、スクリーン印刷法などで基板に塗布する方法、基板を着色組成物中に浸漬する方法、着色組成物を基板に噴霧するなどの種々の方法を用いることができる。
【0069】
また、かかる基板としては、通常、ソーダガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどの透明基板や、シリコン、ガリウム−ひ素などの半導体基板などが用いられるが、特にこれらに限定されない。なお、かかる基板上に本発明の感光性着色組成物を塗布する場合、シランカップリング剤などの密着助剤で基板表面を処理しておくと、着色膜と基板の密着力を向上させることができる。
【0070】
上記により、基板上に本発明の感光性着色組成物を塗布した後、風乾、減圧乾燥、加熱乾燥などにより有機溶剤を除去し、塗膜を形成する。とくに減圧乾燥工程を設けた後、オーブンあるいはホットプレートで追加の加熱乾燥することにより、対流によって生じる塗布欠点が解消され収率が向上する。減圧乾燥は常温〜100℃、5秒〜10分、気圧500〜5Pa、より好ましくは気圧100〜10Paの範囲で行うのが好ましい。加熱乾燥はオーブン、ホットプレートなどを使用し、50〜120℃の範囲で10秒〜30分行うのが好ましい。この後、必要に応じて塗膜上に酸素遮断膜を設けても良い。
【0071】
次に、露光を行う。該感光性着色組成物の塗膜上にマスクを設置し、超高圧水銀灯、ケミカル灯、高圧水銀灯等を用いて、紫外線等により選択的に露光する。露光量は365nmにおける放射照度の時間積分値で表され、特に限定されるわけではないが、好ましくは10mJ/cm〜300mJ/cm、より好ましくは50mJ/cm〜250mJ/cmである。10mJ/cmより小さい場合は透明樹脂層のパターンが硬化不足のために現像時に剥がれてしまうことがあるため好ましくなく、300mJ/cmより大きい場合はタクトタイムが長くなり生産効率が悪いため好ましくない。
【0072】
次に、アルカリ性現像液で現像を行う。アルカリ性現像液に用いるアルカリ性物質としては特に限定はしないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の1級アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の2級アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の3級アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類、コリン等の4級アンモニウム塩、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタ
ノール等のアルコールアミン類、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノナン、モルホリン等の環状アミン類などの有機アルカリ類等が挙げられる。
【0073】
これら現像液のアルカリ性物質の濃度は特に限定されるわけではないが、通常0.01〜50質量%、好ましくは0.05〜5質量%である。また、現像液は作業環境、廃現像液処理の点から、アルカリ水溶液の水系現像液が好ましい。アルカリ水溶液の水系現像液を用いる場合、現像液にエタノール、γーブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の水溶性有機溶剤を適宜加えても良い。現像方式は浸漬法、スプレー法、パドル法等を用いるが特に限定しない。また、現像後適宜純水などによる洗浄工程を加えても良い。
【0074】
ここで、現像液として非イオン系界面活性剤などの界面活性剤を0.01〜1質量%添加したアルカリ性現像液を使用すると、より良好なパターンが得られるため好ましい。
【0075】
得られた着色組成物の塗膜パターンは、その後、加熱処理することによってパターンニングされた着色画素となる。加熱処理は通常、空気中、窒素雰囲気中、あるいは、真空中などで、150〜300℃、好ましくは180〜250℃の温度のもとで、0.25〜5時間、連続的または段階的に行われる。
【0076】
上記方法で任意の色数について逐次着色パターンを形成せしめると、所望のパターン状に設けられた着色層からなる画素を有する液晶表示装置用カラーフィルターが作製できる。ここで着色組成物のパターニング順序は限定されない。また、色数は任意だが、RGBの3色、もしくは樹脂ブラックマトリクスを加えた4色が好ましい。
【0077】
次に、作製したカラーフィルターにプラズマ処理あるいはUVオゾン処理などを行い、熱硬化性または光硬化性のエポキシ、アクリルエポキシ、アクリル、ポリイミド、ケイ素含有ポリイミド、シロキサン、アクリルシロキサン、ポリイミドシロキサン系樹脂組成物を塗布した後、焼成または紫外線により硬化させ、保護膜を形成する。保護膜の厚みは、特に制限はないが、クラック、シワ、割れ等の発生を低減するためには、0.01〜5μm、好ましくは0.03〜4μm、さらに好ましくは0.04〜3μmである。
【0078】
また必要に応じて、ブラックマトリックス、透明電導膜等を形成することができる。これらを形成する位置、形成順序、形成方法などは、特に限定されない。一例として、基板上にブラックマトリックスを形成し、その上に着色層、さらにその上に保護膜、さらにその上に透明導電膜を形成するなどの構成が挙げられる。
【0079】
本発明はさらに、上記本発明のカラーフィルターを具備することを特徴とする液晶表示装置をも提供する。本発明の液晶表示装置は、上記本発明のカラーフィルターと、該カラーフィルターに対向して配置される電極基板と、該カラーフィルター及び該電極基板上にそれぞれ設けられた液晶配向膜と、これらの液晶配向膜間に空間を確保するスペーサーと、該空間内に充填された液晶とを具備する。
【0080】
カラーフィルターを用いて作成した上記液晶表示装置の一例について述べる。上記カラーフィルターと電極基板とを、さらにそれらの基板上に設けられた液晶配向のためのラビング処理を施した液晶配向膜、およびセルギャップ保持のためのスペーサーを介して、対向させて貼りあわせる。なお、電極基板上には、薄膜トランジスタ(TFT)素子や薄膜ダイオード(TFD)素子、および走査線、信号線などを設け、TFT液晶表示装置やTFD液晶表示装置を作成することができる。次に、シール部に設けられた注入口から液晶を注入した後に、注入口を封止する。次に、ICドライバー等を実装することにより液晶表示装置が完成する。
【実施例】
【0081】
以下、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明するが、これによって本発明の範囲は何ら制限されるものではない。
【0082】
(パターン作製方法)
感光性着色組成物を、無アルカリガラス(日本電気硝子(株)製、OA10:50mm×70mm、厚さ0.7mm)基板表面上に、スピンコーター(ミカサ(株)製、1HD2型)を用いて塗布したのち、90℃のイナートオーブン(ダバイエスペック(株)製、PERFECTOVENPV−210)内で10分間加熱乾燥(プリベイク)を行い、膜厚2.00μmの塗膜を形成した。その後、この基板を室温に冷却したのち、露光機(ユニオン光学(株)製、紫外線露光機PEM−6M、コリメーションアングルθ=2°、i線(365nm)照度=40mW/cm)を用い、フォトマスク(HOYA(株)
製、ネガマスク、ストライプ設計線幅50μm)を介して、j線:313nm、i線:365nm、h線:405nm及びg線:436nmの各波長を含む紫外線で所定の露光量で露光した。
【0083】
次に、水酸化テトラメチルアンモニウム(三菱ガス化学(株)、以下TMAHとする。)0.3質量%と“エマルゲン”A−60(花王(株)製、以下A−60とする。)を0.3質量%含む23℃の水溶液を現像液に用い、基板を自動現像装置(ミカサ(株)製、AD−2000)で所定の時間シャワー現像したのち、純水で洗浄し、風乾した。さらに230℃のイナートオーブン(ダバイエスペック(株)製、HIGHTEMPOVENPV−110)内で30分間加熱乾燥(ポストベイク)を行い、基板上に各色カラーフィルターを作製した。
【0084】
(保護膜作製方法)
上記のパターン作製方法で得られた各色カラーフィルターを基板に、UV/オゾン装置(岩崎電気(株)製、OC‐4010‐S)を用いて所定の露光量で洗浄処理を行った後、保護膜材(JSR製「NN901」)をスピンコート法により塗布した後乾燥させ、2.0μm厚の透明保護層を形成した。次に、90℃で10分間加熱乾燥(プリベイク)を行い、紫外線で所定の露光量で露光を行なった。次に、TMAHを0.1質量%と“エマルゲン”A‐60を0.3質量%含む23℃の水溶液を用いてシャワー現像した後、水洗し、パターニングを完了した。現像時間は、それぞれ、未露光の塗布膜を洗い流すのに適正な時間とした。次に、230℃で30分間加熱処理をして保護膜を形成した。
【0085】
(評価方法)
1.密着性
上記の方法で作製した保護膜に、JIS−Z−1522(1994年度)に準拠したセロハンテープを貼り付け、JISS−6050(2002年度)に準拠した消しゴムで貼り付け部分をこすりつけた。保護膜密着性評価はJIS−K−5400(1990年度)に準拠した碁盤目試験方法によるクロスカットピール試験で行った。なお、後述の表には、欠陥面積が全面積の5%未満を10、5%以上20%未満を8、20%以上40%未満を6、40%以上60%未満を4、60%以上80%未満を2、80%以上である場合を0として記述した。
【0086】
2.透明性
感光性着色組成物を、無アルカリガラス(日本電気硝子(株)製、OA10:50mm×70mm、厚さ0.7mm)基板表面上に、スピンコーター(ミカサ(株)製、1HD2型)を用いて塗布したのち、90℃のイナートオーブン(ダバイエスペック(株)製、PERFECTOVENPV−210)内で10分間加熱乾燥(プリベイク)を行い、膜厚2.00μmの塗膜を形成した。この基板を室温に冷却したのち、光学顕微鏡(オリンパス販売(株)製、BH3−MJL)および目視で基板表面を観察し、以下の基準で判定した。
〇:相分離や凝集物などの不良が無い。
△:光学顕微鏡で確認できる相分離や凝集物が有る。
×:目視で確認できる相分離や凝集物が有る。
【0087】
3.現像性
TMAH0.3質量%とA−60を0.3質量%含む23℃の水溶液を現像液に用い、感光性着色組成物を塗布したプリベイク後の基板を自動現像装置(ミカサ(株)製、AD−2000)で所定の時間ディップ現像したのち、純水で洗浄し、風乾して現像溶解性の度合いを調べた。評価の基準は次の通りとした。
○:現像残渣が無い。
△:薄く現像残渣が有る。
×:明らかに現像残渣が有る。
【0088】
(アクリル系ポリマーの合成)
1000ccの4つ口フラスコに3−メトキシ−3−メチル−ブタノール150Gを仕込み、これを90℃に保ち、窒素シール、撹拌を行いながらメタクリル酸メチル30g、スチレン30g、メタクリル酸40Gにn−ドデシルメルカプタン1.1g、2,2’‐アゾビスイソブチロニトリル1.2gを混合して滴下ロートで30分かけて滴下した。この後4時間反応を続けた後、窒素シールをやめ、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1g、ジメチルベンジルアミン0.4gを加えた。グリシジルメタクリレート33Gを30分かけて滴下し、さらに90℃で3時間撹拌することで反応を行った。室温に戻した後、精製水/アセトンの混合溶剤に滴下することで再沈殿させ、濾過、乾燥することにより平均分子量Mw4万、酸価115mg/KOH/gの粉末状のアクリル系樹脂(ポリマーAとする)を得た。
【0089】
実施例1
顔料としてピグメントレッド254、ピグメントレッド177、ピグメントイエロー150の20/72/8(質量比)混合物を13.5質量部、高分子分散剤として“Disper byk”2001(ビックケミージャパン(株)製、46質量%)を11.3質量部、ポリマーAを5.2質量部、有機溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下PGMEAとする)70.0質量部を混合した後、ジルコニアビーズが充填されたミル型分散機を用いて分散し、顔料分散液を得た。
【0090】
次に、この顔料分散液100質量部に対し、光重合性モノマーとして(1)式で表されるトリペンタエリスリトールオクタアクリレートとトリペンタエリスリトールヘプタアクリレートの混合物(大阪有機化学工業(株)製、“ビスコート”♯802、以下V♯802とする)を12.2質量部、光重合開始剤としては2−ジメチルアミノ‐2‐(4‐メチル‐ベンジル)‐1‐(4‐モリフォリン‐4‐イル‐フェニル)‐ブタン‐1‐オン(BASFジャパン(株)製 “IRGACURE”379EG以下IC379EGとする)を1.7質量部、密着改良剤としてビニルトリメトキシシラン(信越化学(株)製 KBM1003、以下KBM1003とする)を1.2質量部、界面活性剤として“メガファック”R−08(大日本化学工業(株)製、以下R−08とする)を0.1質量部、重合禁止剤として2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ヒドロキノン(和光純薬工業(株)製、以下DOHQとする)0.1質量部(全樹脂分に対して0.4質量%)、及び有機溶剤としてPGMEA100質量部を混合して、感光性着色組成物を調製した。保護膜とカラーフィルターの密着性試験結果とプリベイクをした膜の外観評価結果を表1に示す。
【0091】
実施例2
実施例1において、ポリマーAを7.0質量部、光重合性モノマーとして、V♯802を10.4質量部添加した以外は実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
【0092】
実施例3
実施例1において、ポリマーAを8.7質量部、V♯802を8.7質量部添加した以外は実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
【0093】
実施例4
実施例1において、光重合性モノマーとして、V♯802を11.9質量部、(3)式で表される“デナコールアクリレート”DA−314(ナガセケムテックス(株)製 以下DA−314とする)を0.3質量部添加した以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
【0094】
実施例5
実施例1において、光重合性モノマーとして、V♯802を11.6質量部、DA−314を0.6質量部添加した以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
【0095】
実施例6
実施例1において、光重合性モノマーとして、V♯802を11.0質量部、DA−314を1.2質量部添加した以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
【0096】
実施例7
実施例1において、光重合性モノマーとして、V♯802を9.8質量部、DA−314を2.4質量部添加した以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
【0097】
実施例8
実施例1において、光重合性モノマーとして、V♯802を11.0質量部、(2)式で表されるペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(東亜合成(株)製 “アロニックス”M−306、以下M−306とする)を1.2質量部添加した以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
【0098】
実施例9
実施例1において、光重合性モノマーとして、V♯802を8.5質量部、DA−314を3.7質量部添加した以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
【0099】
比較例1
実施例1において、顔料分散液中のポリマーAを10.4質量部、光重合性モノマーとして、V♯802を7.0質量部添加した以外は実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
【0100】
比較例2
実施例1において、光重合性モノマーとして、V♯802を用いず、全てジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(日本化薬(株)製“カヤキュア”DPHA、以下DPHAとする)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
【0101】
比較例3
実施例1において、光重合性モノマーとして、V♯802を用いず、全てM−306を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
【0102】
比較例4
実施例1において、ポリマーAを3.5質量部、光重合性モノマーとして、V♯802を13.9質量部添加した以外は実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
【0103】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、特に液晶表示装置や固体撮像素子に用いられるカラーフィルターにおいて、好適に利用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも(A)光重合開始剤、(B)有機系着色剤、(C)アクリル系ポリマー、(D)溶媒、および(E)光重合性モノマーを含有するカラーフィルター用感光性着色組成物において、(E)光重合性モノマーとして、少なくとも(E−1)下記一般式(1)で表される光重合性モノマーを含有し、かつ(E)光重合性モノマーの含有量が、(C)アクリル系ポリマーと(E)光重合性モノマーの質量の総和に対して50〜75質量%であることを特徴とするカラーフィルター用感光性着色組成物。
【化1】

(式中、nは1〜5の整数を表し、Rは各々独立に水素原子又はメチル基を表し、Rは水酸基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を表す。)
【請求項2】
前記(E)光重合性モノマーとして、さらに(E−2)下記一般式(2)および/または(E−3)下記一般式(3)で表される光重合性モノマーを含有し、かつ光重合性モノマー(E−2)および/または光重合性モノマー(E−3)の全(E)光重合性モノマー中にしめる含有量が5〜20質量%であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルター用感光性着色組成物。
【化2】

(式中、Rは水酸基又は−X−CO−Y−COOHを表し、−X−は−O−、−O(CHCHO−、または−O(CHCHCHO−を表し、−Y−は炭素数1〜8のアルキレン基、ならびにそれぞれ置換されていても良いフェニレン基、シクロヘキシレン基、およびシクロヘキシレン基の一部が不飽和結合である基からなる群から選ばれる基を表す。但し、mは1〜8の整数を表す。)
【化3】

(式中、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
【請求項3】
前記(E)光重合性モノマーの含有量が、(C)アクリル系ポリマーと(E)光重合性モノマーの質量の総和に対して60〜70質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルター用感光性着色組成物。
【請求項4】
前記(B)有機系着色剤が、少なくとも赤色顔料を含有することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のカラーフィルター用感光性着色組成物。
【請求項5】
ブラックマトリックスが形成された透明基板上に請求項1〜4のいずれか1項に記載のカラーフィルター用感光性着色組成物を塗布し、パターン形成したことを特徴とするカラーフィルター基板。
【請求項6】
請求項5に記載のカラーフィルター基板を用いたことを特徴とする液晶表示装置。

【公開番号】特開2012−212030(P2012−212030A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77721(P2011−77721)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】