説明

カラーフィルタ及びそれを用いてなる有機EL表示装置

【課題】カラーフィルタの製造工程を削減して、飛躍的に生産性を向上し得るカラーフィルタ及びそれを用いてなる有機EL表示装置を提供すること。
【解決手段】3色発光層を有する有機EL表示装置用カラーフィルタであって、赤色、緑色及び青色から選ばれる1色(A)からなる着色層と、黄色、マゼンタ及びシアンから選ばれる1色(B)からなる着色層とが形成されており、且つ色(A)と色(B)とが互いに補色関係にあることを特徴とするカラーフィルタ及びそれを用いてなる有機EL表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3色発光層を有する有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)表示装置に用いられるカラーフィルタ及びそれを用いてなる有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、従来の液晶表示装置に加えて、有機EL表示装置が開発され、携帯電話等の携帯情報端末機器、カーオーディオ、テレビ用モニターやパーソナル・コンピュータへの用途展開が進んでいる。
しかし、有機EL表示装置においては観察者側から入射した外光が有機EL表示装置の内部で反射し、その反射光が再び観察者側に出射することにより表示が視認しにくくなるという問題があった。
この問題を解決するため有機EL装置におけるガラス基板等の外側に、円偏光板を配置する技術が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。この円偏光板に入射した外光は、円偏光板により吸収されて、有機EL装置の表示の見易さを確保している。
また、上記の外光反射を改善するため、3色発光層に対応する赤・緑・青の三色の着色層を有するカラーフィルタを配置する技術が提案されている。そして、カラーフィルタの改良も種々なされている(例えば、特許文献5〜6参照)。
【0003】
この3色発光層のそれぞれの発光層に対応するように赤・緑・青の三色の着色層を有するカラーフィルタを有機EL表示装置に配置すると、外光反射が低減されるばかりでなく、表示される色純度が上がる効果をも奏することができる。
しかしながら、三色の着色層を有するカラーフィルタを製造するためには、三色の色毎に着色層を設ける必要があるため、工程が煩雑となり、生産性が低かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−76865号公報
【特許文献2】特開2002−311239号公報
【特許文献3】特開2006−18187号公報
【特許文献4】特開2006−228675号公報
【特許文献5】特開2007−280718号公報
【特許文献6】特開2007−213824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような状況下で、カラーフィルタの製造工程を削減して、飛躍的に生産性を向上し得るカラーフィルタ及びそれを用いてなる有機EL表示装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、カラーフィルタの3色の着色層を2色化することに成功し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、
[1]3色発光層を有する有機EL表示装置用カラーフィルタであって、赤色、緑色及び青色から選ばれる1色(A)からなる着色層と、黄色、マゼンタ及びシアンから選ばれる1色(B)からなる着色層とが形成されており、且つ色(A)と色(B)とが互いに補色関係にあることを特徴とするカラーフィルタ、
[2]カラーフィルタの緑色に対応する部分に緑色着色層が形成され、赤色及び青色に対応する部分にマゼンタ着色層が形成されていることを特徴とする上記[1]に記載のカラーフィルタ、
[3]マゼンタ着色層を形成するマゼンタ着色組成物が、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントバイオレッド19及びC.I.ピグメントバイオレッド23から選ばれる少なくとも1種の顔料を含むことを特徴とする上記[1]又は[2]に記載のカラーフィルタ、
[4]カラーフィルタの青色に対応する部分に青色着色層が形成され、赤色及び緑色に対応する部分に黄色着色層が形成されていることを特徴とする上記[1]に記載のカラーフィルタ、
[5]色(B)からなる着色層を構成する画素数が、色(A)からなる着色層を構成する画素数の2倍であることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載のカラーフィルタ、及び
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載のカラーフィルタを用いてなる有機EL表示装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カラーフィルタの製造工程を削減して、飛躍的に生産性を向上し得ることとなった。また、本発明の有機EL表示装置は円偏光板を用いる必要がないため、安価に有機EL表示装置を提供し得ることとなった。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタの一例を示す概略平面図である。
【図2】本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタを搭載した有機EL表示装置の第1の態様を示す概略断面図である。
【図3】本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタを搭載した有機EL表示装置の第2の態様を示す概略断面図である。
【図4】本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタを搭載した有機EL表示装置の第3の態様を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.有機EL表示装置用カラーフィルタ
本発明のカラーフィルタは、3色発光層を有する有機EL表示装置用カラーフィルタであって、赤色、緑色及び青色から選ばれる1色(A)からなる着色層と、黄色、マゼンタ及びシアンから選ばれる1色(B)からなる着色層とが形成されており、且つ色(A)と色(B)とが互いに補色関係にあることを特徴とする。ここで、補色関係とは、2つの色の組み合わせが色相環(color circle)で正反対に位置する関係にあることをいう。
【0010】
以下、本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタを、図を参照して説明する。図1は、本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタの一例を示す概略平面図である。
図1において、本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタ10は、赤色、緑色及び青色から選ばれる1色(A)からなる着色層13aを構成する画素と、色(A)と補色関係にある色(B)からなる着色層13bを構成する画素とが、1:2の画素数の比率で、3色発光層にそれぞれ対応して配列している。
着色層13a及び13bの個々の画素は遮光部12により着色層のパターン毎に区分されている。この遮光部12は画素毎に発光する区域を区画するとともに、発光する区域どうしの境界における外光の反射を防止し、画像のコントラストを高めるために設けられるものである。この遮光部12の存在によっても表示の視認性は向上する。図1においては、遮光部12は上下方向に連続しているが、横方向に連続しても良く、また着色層13a及び13bの個々の着色層のパターン毎に不連続に形成されていても良い。遮光部12のパターンは、通常、線状であり、マトリクス状、ストライプ状等が挙げられる。
【0011】
図2は、本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタを搭載した有機EL表示装置の第1態様を示す概略断面図である。図2に例示するように、本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタ10は、例えば、透明基板11と、透明基板11上に形成され、開口部を備える遮光部12と、上記開口部に形成された色(A)からなる着色層13aと色(B)からなる着色層13bからなる着色層13とを有するものである。本発明においては、色(B)からなる着色層13bを構成する画素数が色(A)からなる着色層を構成する画素数の2倍であることが好ましい。
【0012】
具体的には、(1)カラーフィルタの緑色に対応する部分に緑色着色層13aが形成され、赤色及び青色に対応する部分にマゼンタ着色層13bが形成されている場合や(2)カラーフィルタの青色に対応する部分に青色着色層13aが形成され、赤色及び緑色に対応する部分に黄色着色層13bが形成されている場合が挙げられる。緑色とマゼンタとは補色関係にあり、青色と黄色とは補色関係にある。
ここで、上記マゼンタ着色層13bは、可視光の500nm〜580nmの範囲(人に強く視認される)を効率よく吸収することが可能であり、従って、カラーフィルタの赤色及び青色に対応する部分にマゼンタ着色層13bを設けると、外光反射成分を効率的に吸収させることが可能となる。それにより、外光反射を低減できる。また、カラーフィルタの赤色及び青色に対応する部分に形成されるマゼンタ着色層13bを1工程で作製することができるため、また円偏光板を用いる必要がないため、安価に有機EL表示装置を提供することもできる。青色着色層13a及び黄色着色層13bを用いる場合も同様の効果を奏する。
着色層13の膜厚としては、1.0〜3.0μm程度である。
【0013】
(1)マゼンタ色材
本発明の好ましい態様によれば、マゼンタ色材は、以下のバイオレット顔料単色、又は以下の赤色顔料、青色顔料、染料等を混合して用いることもできる。バイオレット顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38等が挙げられる。赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド264等が挙げられる。青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60等が挙げられる。
【0014】
(2)マゼンタ着色組成物
本発明の好ましい態様によれば、カラーフィルタの着色層を形成するためのマゼンタ着色組成物は、上記の顔料を溶剤に分散させた分散体である。本発明に係るマゼンタ着色層を形成するマゼンタ着色組成物は、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントバイオレッド19及びC.I.ピグメントバイオレッド23から選ばれる少なくとも1種の顔料を含むことが好ましい。
本発明において、顔料の分散方法は、特に限定されず、公知の分散機を用いて分散させることができる。分散処理を行うための分散機としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントコンディショナー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミルが挙げられる。分散処理において用いるビーズの径は、好ましくは0.03〜2.00mmであり、より好ましくは0.10〜1.00mmである。
【0015】
本発明においては、顔料を分散させる際に、ジルコニアビーズ等を適宜加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)等を用いて、数時間分散を行うことが好ましい。例えば、ビーズ径が比較的大きめな2mmジルコニアビーズで1時間分散後、さらにビーズ径が比較的小さめな0.1mmジルコニアビーズで2時間分散することが挙げられる。また、分散後、5.0μmのメンブランフィルタで濾過することが好ましい。これにより、顔料の分散性をより向上することができ、透過率をより向上させることができる。
【0016】
(a)その他の成分
本発明の好ましい態様によれば、マゼンタ着色組成物は、上記の顔料以外にも、必要に応じて、溶剤、分散剤、モノマー、オリゴマー、ポリマー、重合開始剤、重合禁止剤等を適宜含むものである。
【0017】
(i)溶剤
上記の溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α−もしくはβ−テルピネオール等のテルペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、及び3−メトキシブチルアセテート等の酢酸エステル類等が挙げられる。本発明においては、市販の溶剤を用いることもでき、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダイセル化学工業株式会社製)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(ダイセル化学工業株式会社製)、及び3−メトキシブチルアセテート(ダイセル化学工業株式会社製)が好ましい。好ましい態様では、溶剤の含有量は、赤色着色組成物の合計質量に対して10〜90質量%である。溶剤の含有量が上記範囲程度であれば、マゼンタ着色組成物の粘度を所望の範囲に調整し、顔料分散性や顔料分散経時安定性を向上させることができる。また、顔料濃度を一定範囲内にすることができるため、マゼンタ着色組成物を調製後、目標とする色度座標を達成することができる。
【0018】
(ii)分散剤
上記の分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できるが、これらの中でも高分子界面活性剤(高分子分散剤)を用いることが好ましい。高分子界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、及び3級アミン変性ポリウレタン類などが挙げられる。本発明においては、市販の分散剤を用いることもでき、例えば、ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、20000、24000、26000、及び28000等の各種ソルスパース分散剤(ゼネカ株式会社製)、並びにDisperbyk 111(ビックケミー・ジャパン株式会社製)が好ましい。好ましい態様では、分散剤の含有量は、赤色顔料等のマゼンタ顔料の合計質量に対して10〜80質量%である。
【0019】
(iii)モノマー及びオリゴマー
上記のモノマー及びオリゴマーとしては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−デシルアクリレート、n−デシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロシプロピルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリオキシエチル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリアクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジアクリレート、ジアリルフマレート、1,10−デカンジオールジメチルアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、及び上記のアクリレート基をメタクリレート基に置換したもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、テトラヒドロフルフリールアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、3−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、フェノール−エチレンオキサイド変性アクリレート、フェノール−プロピレンオキサイド変性アクリレート、ビスフェノールA−エチレンオキサイド変性ジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のアクリレートモノマー、及びこれらのアクリレート基をメタクリレート基に置換したもの、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニル−2−ピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の2量体、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、及びこれらの有機酸の酸無水物、並びにポリウレタン構造を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステル構造を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたポリエステルアクリレートオリゴマー、エポキシ基を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたエポキシアクリレートオリゴマー、ポリウレタン構造を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたウレタンメタクリレートオリゴマー、ポリエステル構造を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたポリエステルメタクリレートオリゴマー、エポキシ基を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたエポキシメタクリレートオリゴマー等が挙げられる。
本発明においては、市販のモノマーを用いることもでき、例えば、SR399(サートマー社製)、アロニックスM−400(東亞合成株式会社製)、及びアロニックスM−450(東亞合成株式会社製)が好ましい。好ましい態様では、モノマー及び/又はオリゴマーの含有量は、マゼンタ顔料の合計質量に対して5〜80質量%である。
【0020】
(iv)ポリマー
上記のポリマーとしては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレンビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、エチレンメタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、アクリレート基を有するエポキシアクリレート樹脂、メタクリレート基を有するポリウレタンメタクリレート、メタクリレート基を有するポリエステルメタクリレート、メタクリレート基を有するエポキシメタクリレート樹脂等が挙げられる。
本発明においては、市販のポリマーを用いることもでき、例えば、アロニックスM−5600(東亞合成株式会社製)、アロニックスM−6200(東亞合成株式会社製)、アロニックスM−7100(東亞合成株式会社製)、及びアロニックスM−9050(東亞合成株式会社製)が好ましい。好ましい態様では、ポリマーの含有量は、マゼンタ顔料の合計質量に対して5〜80質量%である。
【0021】
(v)重合開始剤
上記の重合開始剤としては、熱重合開始剤及び光重合開始剤等を用いることができ、例えば、ベンジル(ビベンゾイルとも言う)、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3'−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、及び1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。本発明においては、市販の重合開始剤を用いることもでき、例えば、イルガキュア184、イルガキュア369、イルガキュア651、イルガキュア907(いずれも、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、ダロキュアー(メルク社製)、アデカ1717(旭電化工業株式会社製)等のケトン系化合物、及び2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール(黒金化成株式会社製)等のビイミダゾール系化合物が好ましい。好ましい態様では、重合開始剤の含有量は、マゼンタ顔料の合計質量に対して1〜40質量%である。
【0022】
(3)黄色着色組成物
本発明の好ましい態様によれば、黄色着色組成物についても、上記マゼンタ着色組成物と同様の方法で調製することができる。本発明の好ましい態様によれば、黄色顔料は、顔料の透過スペクトルの立ち上がり波長が480nm付近にあることが好ましい。黄色着色組成物に用いる黄色顔料としては、 C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー60、C.I.ピグメントイエロー61、C.I.ピグメントイエロー65、C.I.ピグメントイエロー71、C.I.ピグメントイエロー73、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー81、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー98、C.I.ピグメントイエロー100、C.I.ピグメントイエロー101、C.I.ピグメントイエロー104、C.I.ピグメントイエロー106、C.I.ピグメントイエロー108、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー113、C.I.ピグメントイエロー114、C.I.ピグメントイエロー116、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー119、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー126、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー152、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー175;等が挙げられる
黄色着色組成物は、上記マゼンタ着色組成物と同様に、必要に応じて、上述の溶剤、分散剤、モノマー、オリゴマー、ポリマー、重合開始剤、重合禁止剤等を適宜含むものである。
【0023】
(4)緑色着色組成物及び青色着色組成物
本発明の好ましい態様によれば、緑色着色組成物及び青色着色組成物についても、上記マゼンタ着色組成物と同様の方法で調製することができる。緑色着色組成物に用いる緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン1、C.I.ピグメントグリーン4、及びC.I.ピグメントグリーン58等が挙げられる。緑色着色組成物には、これらの緑色顔料の少なくとも一種にさらに黄色顔料を混合して用いることができる。また、青色着色組成物に用いる青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:5、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー1、及びC.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー60等が挙げられる。青色着色組成物には、これらの青色顔料の少なくとも一種にさらに紫色顔料を混合して用いることができる。
緑色着色組成物及び青色着色組成は、上記マゼンタ着色組成物と同様に、必要に応じて、上述の溶剤、分散剤、モノマー、オリゴマー、ポリマー、重合開始剤、重合禁止剤等を適宜含むものである。
【0024】
本発明のカラーフィルタの製造方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、以下に示される好ましい態様に従い行うことができる。まず、上記の着色組成物を基材上に塗布し、減圧乾燥後、プリベークして、溶剤を除去する。組成物の塗布には、従来公知の方法を用いることでき、例えばスピンコート法、印刷法、インクジェット法、バーコート法、スプレー法、ダイコート法、ビードコート法、及びスリット&スピンコート法等が挙げられる。続いて、紫外線を露光して、組成物を硬化させる。さらに、焼成することで着色層のパターンを基材上に形成させることができる。
【0025】
(5)透明基板
本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタに用いられる透明基板11としては、一般的なカラーフィルタに用いられるものと同様とすることができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
透明基板11の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルタの用途に応じて、例えば100μm〜1mm程度のものを使用することができる。
【0026】
(6)遮光部
本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタには遮光部12が形成されていても良く、遮光部12の形成材料としては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック等の黒色着色剤を含有する樹脂組成物等が挙げられる。この樹脂組成物に用いられる樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂を使用することができる。また、樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等も例示することができる。
【0027】
また、遮光部12の形成材料としては、例えば、クロム等の金属又は酸化クロム等の金属酸化物を挙げることができる。このような遮光部12は、例えば、CrOx膜(xは任意の数)及びCr膜が2層積層されたものであっても良く、また、より反射率を低減させたCrOx膜(xは任意の数)、CrNy膜(yは任意の数)及びCr膜が3層積層されたものであっても良い。
【0028】
遮光部12の形成方法としては、上記感光性樹脂を含む樹脂組成物を用いる場合には、フォトリソグラフィー法を挙げることができ、上記の他の樹脂を含む樹脂組成物を用いる場合には、インクジェット法、印刷法等を挙げることができる。この際、上記樹脂組成物を塗布して塗膜を形成した後に、この塗膜を乾燥しても良い。塗膜の乾燥方法としては、例えば、ホットプレートを用いた加熱乾燥が挙げられる。加熱乾燥条件としては、60℃〜150℃で1分間〜10分間加熱することが好ましい。さらに、フォトリソグラフィー法により現像した後に、加熱処理を行っても良い。加熱処理条件としては、150℃〜300℃で20分間〜60分間加熱するのが一般的である。
【0029】
また、上記金属又は金属酸化物を用いる場合、遮光部の形成方法としては、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等により薄膜を形成し、フォトリソグラフィー法を利用してパターニングする方法を挙げることができる。また、無電界メッキ法等を用いることもできる。
【0030】
遮光部の膜厚としては、上記樹脂組成物を用いた場合は0.5〜2μm程度であり、金属又は金属酸化物を用いた場合は0.2〜0.4μm程度である。
【0031】
(7)オーバーコート層
また、本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタ10は、上記着色層13を覆うように形成されたオーバーコート層14をさらに有しても良い。
オーバーコート層14の形成材料としては、透明樹脂を用いることができる。この透明樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系の反応性ビニル基を有する光硬化型樹脂、熱硬化型樹脂が挙げられる。また、透明樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等を挙げることができる。
オーバーコート層14の膜厚としては、1.0〜2.5μm程度である。
【0032】
オーバーコート層14の形成方法としては、上述の透明樹脂を含有するオーバーコート層形成用塗工液を、スピンコート、ロールコート、キャストコート等の方法で塗布して成膜し、光硬化型樹脂の場合は紫外線照射後に必要に応じて熱硬化させ、熱硬化型樹脂の場合は成膜後そのまま熱硬化させる方法を挙げることができる。また、上述の透明樹脂がフィルム状に成形されている場合は、直接、あるいは、粘着剤を介して貼着することによりオーバーコート層を形成することができる。
【0033】
B.有機EL表示装置
次に、本発明の有機EL表示装置について説明する。本発明の有機EL表示装置は、3色発光層を含む有機EL素子を有し、上記3色発光層からの光を発光光源とするものである。より具体的には、本発明の有機EL表示装置は、3色発光層を含む有機EL層、並びに上記有機EL層を挟持する透明電極層及び背面電極層を含む有機EL素子と、赤色、緑色及び青色から選ばれる1色(A)からなる着色層と、黄色、マゼンタ及びシアンから選ばれる1色(B)からなる着色層、具体的には、カラーフィルタの緑色に対応する部分に緑色着色層のパターンが形成され、赤色及び青色に対応する部分にマゼンタ着色層のパターンが形成されているカラーフィルタ、又はカラーフィルタの青色に対応する部分に青色着色層のパターンが形成され、赤色及び緑色に対応する部分に黄色着色層のパターンが形成されているカラーフィルタを有する。上記3色発光層からの3色光を発光光源とする有機EL表示装置である。
有機EL表示装置において、カラーフィルタの色(A)が緑色で色(B)がマゼンタの場合、有機EL表示装置の緑色発光層が緑色着色層に対応し、赤色、及び青色発光層がマゼンタ着色層に対応するように着色層13a及び13bが配列される。また、有機EL表示装置用カラーフィルタの色(A)が青色で色(B)が黄色の場合、有機EL表示装置の青色発光層が青色着色層に対応し、赤色、及び緑色発光層が黄色着色層に対応するように着色層13a及び13bが配列される。これらのように着色層13a及び13bが配列されることにより、ある特定の波長の光のみを通過させ、「色」として見せるというカラーフィルタの機能が好適に発揮される。
この有機EL表示装置は、必要に応じ、シール剤により封止される。
【0034】
1.第1態様
このような有機EL表示装置の具体例としては、既にカラーフィルタ10の部分を説明した図2に例示するものを挙げることができる。図2に例示した有機EL素子側基板20を説明する。図2に示すように、基板21の上に背面電極層22が配置され、背面電極層22の上に有機EL層23が配置され、有機EL層23の上に透明電極層24が配設されている。1組の有機EL層23及び背面電極層22の各々は絶縁層26により区画されて有機EL素子側基板20を形成する。この有機EL素子側基板20の配置の具体例としては、例えば、ストライプ状に形成された透明電極層24と、透明電極層24上に、透明電極層24のストライプパターンと交差するようにストライプ状に形成された有機EL層23と、有機EL層23上に、有機EL層23のストライプパターンと同じようにストライプ状に形成された背面電極層22と、遮光部12上であってストライプ状の透明電極層24及び背面電極層22の開口部に、遮光部12のマトリクスパターンと同じようにマトリクス状に形成された絶縁層26とを有する場合が挙げられる。この絶縁層26のパターンのエッジは、遮光部12のパターンのエッジよりも内側に配置されていることが好ましい。
【0035】
図2に示す有機EL表示装置30は、カラーフィルタ10のオーバーコート層14と透明電極層24とが対面し、カラーフィルタ10の着色層13及び有機EL素子側基板20の有機EL層23が対向するように配置された態様である。この態様においては、カラーフィルタ10と有機EL素子側基板20とが離隔しており、製造方法として、例えば不活性ガス中において上記有機EL素子側基板20及び有機EL表示装置用カラーフィルタ10の周縁部をシール剤27により封止する方法を挙げることができる。有機EL素子側基板20の形成方法としては、有機EL表示装置の製造に一般的に用いられる方法を使用することができる。
【0036】
2.第2態様
次に、本発明の有機EL表示装置の第2態様について説明する。図3は、本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタを搭載した有機EL表示装置の第2態様を示す概略断面図である。
本態様の有機EL表示装置は、透明基板11、透明基板11上に形成され、開口部を備える遮光部12及び上記開口部に形成された本発明に係る着色層13を有する有機EL表示装置用カラーフィルタ10と、有機EL表示装置用カラーフィルタ10上に直接形成された有機EL素子25とを有する態様である。ここで、有機EL表示装置用カラーフィルタ10上に直接形成されたとは、有機EL表示装置用カラーフィルタ10を支持体として形成されているものをいうものである。従って、有機EL表示装置用カラーフィルタ10が支持体として用いられるのであれば、有機EL表示装置用カラーフィルタ10と、有機EL素子25との間に他の部材を有するものであっても良い。有機EL素子25は、上記の第1態様と同様に、3色発光層を含む有機EL層23を有し、上記有機EL表示装置30は、背面電極層22及び有機EL層23の開口部に形成された絶縁層26ならびに透明電極層24から構成される有機EL素子側基板20を有するものである。
【0037】
本発明の有機EL表示装置30は、必要に応じて、有機EL表示装置用カラーフィルタ10の表面(本態様においては、オーバーコート層14)と、有機EL素子25の透明電極層24との間に形成されるアンカー層を有するものであっても良い。このアンカー層は、有機EL表示装置用カラーフィルタ10と、透明電極層24との密着性を向上するために設けられるものである。
【0038】
また、本発明の有機EL表示装置30は、必要に応じて、有機EL表示装置用カラーフィルタ10と透明電極層24との間にバリア層が形成されていても良い。オーバーコート層14が形成されている場合、バリア層はオーバーコート層14と透明電極層24との間に形成される。このバリア層は、有機EL層23へ水蒸気や酸素が到達するのを遮断するために設けられるものである。本態様においては、上記アンカー層に替えてバリア層が形成されていても良く、上記アンカー層及びバリア層の両方が形成されていても良い。
【0039】
本態様の有機EL素子25の形成方法としては、有機EL素子25を密着性良く積層することができる方法であれば良く、一般的な有機EL表示装置の製造方法を用いることができる。具体的には、有機EL表示装置用カラーフィルタ10を準備し、スパッタ法により、有機EL表示装置用カラーフィルタ10のオーバーコート層14上に、透明電極層24を形成した後、パターン状に絶縁層26を形成する。その後、絶縁層26をマスクとして用い、真空蒸着法により3色発光層を含む有機EL層23、背面電極層22をこの順で形成し、有機EL表示装置30を製造する方法が例示される。
【0040】
3.第3態様
次に、本発明の有機EL表示装置の第3態様について説明する。図4は、本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタを搭載した有機EL表示装置の第3態様を示す概略断面図である。
図4に示すように、本態様の有機EL表示装置30は、基板21、基板21上に形成された有機EL素子25及び絶縁層26を有する有機EL素子側基板20と、有機EL素子側基板20上に直接形成された着色層13とを有する態様である。ここで、有機EL素子側基板20上に直接形成されたとは、有機EL素子側基板20を支持体として形成されているものをいうものである。従って、有機EL素子側基板20が支持体として用いられるのであれば、有機EL素子側基板20と着色層13との間に他の部材を有するものであっても良い。
本態様を更に具体的に説明する。本態様の有機EL表示装置30は、基板21、基板21上に形成された有機EL素子25及び絶縁層26を有する有機EL素子側基板20と、有機EL素子側基板20上に所望により形成された、オーバーコート層14と、オーバーコート層14上に直接形成され、開口部を備える遮光部12と、上記開口部に形成された、色(A)からなる着色層(例えば、緑色着色層)13a及び色(B)からなる着色層(例えば、マゼンタ着色層)13bを含む着色層13とを有するものである。また、有機EL素子25は、3色発光層を含む有機EL層23を有するものである。
【0041】
本態様の有機EL表示装置30においても、必要に応じて、有機EL素子側基板20表面に平坦性の改良を目的としたオーバーコート層14や、有機EL素子25が水蒸気や酸素と接することを抑制することを目的としたバリア層や、透明電極層24と他部材との密着性向上を目的として透明電極層24上に形成されるアンカー層を有するものであっても良い。
【0042】
本態様の有機EL表示装置30の製造方法は、例えば以下の方法により製造される。まず、一般的に用いられる方法により形成された有機EL素子側基板20上に、オーバーコート層14を形成する。次いで、遮光部形成用塗工液を塗布し、遮光部形成用層を形成した後、パターン状に露光し、開口部を備える遮光部12を形成する。次いで、色(A)からなる着色層(例えば、緑色着色層)13a及び色(B)からなる着色層(例えば、マゼンタ着色層)13bを含む着色層13を遮光部12と同様の形成方法により形成し有機EL表示装置30を製造する。
【0043】
以下、本発明の有機EL表示装置30の各構成について詳細に説明する。
(1)有機EL素子側基板
本発明に用いられる有機EL素子側基板20は、基板21と、有機EL素子25とを少なくとも有するものであり、通常、絶縁層を有するものである。
【0044】
(a)有機EL素子
本発明における有機EL素子25は、3色発光層を含むものである。より具体的には、通常、3色発光層を含む有機EL層23と、上記有機EL層を挟持するように配置される背面電極層22及び透明電極層24とを含むものである。
【0045】
(i)有機EL層
本発明に用いられる有機EL層23は、少なくとも3色発光層を有するものであるが、通常、複数層の有機層から構成されるものであり、正孔注入層や電子注入層といった電荷注入層や、発光層に正孔を輸送する正孔輸送層、発光層に電子を輸送する電子輸送層といった電荷輸送層を有するものとすることができる。
【0046】
a)3色発光層
本発明に用いられる3色発光層としては、具体的には、上記有機EL層に電圧が加えられた際に、少なくとも青色光(430nm〜470nm)、緑色光(470nm〜600nm)、及び赤色光(600nm〜700nm)の波長域の発光スペクトルを各々有するものであれば良い。
【0047】
上記3色発光層の形成方法としては、例えば蒸着法、印刷法、インクジェット法、又はスピンコート法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法、及び自己組織化法(交互吸着法、自己組織化単分子膜法)等を挙げることができる。特に、蒸着法、スピンコート法、及びインクジェット法を用いることが好ましい。
【0048】
b)正孔注入層
本発明においては、3色発光層と陽極(透明電極層もしくは背面電極層)との間に正孔注入層が形成されていても良い。正孔注入層を設けることにより、3色発光層への正孔の注入が安定化し、発光効率を高めることができるからである。
正孔注入層の膜厚は、通常5nm〜1μm程度である。
【0049】
本発明に用いられる正孔注入層の形成材料としては、一般的に有機EL素子の正孔注入層に使用されている材料を用いることができる。また、正孔注入層の形成材料は、正孔の注入性もしくは電子の障壁性のいずれかを有するものであれば良い。
【0050】
具体的に、正孔注入層の形成材料としては、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、ポリシラン系、アニリン系共重合体、及びチオフェンオリゴマー等の導電性高分子オリゴマー等を例示することができる。さらに、正孔注入層の形成材料としては、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、及びスチリルアミン化合物等を例示することができる。
【0051】
c)電子注入層
本発明においては、3色発光層と陰極(透明電極層もしくは背面電極層)との間に電子注入層が形成されていても良い。電子注入層を設けることにより、3色発光層への電子の注入が安定化し、発光効率を高めることができるからである。
電子注入層の膜厚は、通常5nm〜1μm程度である。
【0052】
本発明に用いられる電子注入層の形成材料としては、例えばニトロ置換フルオレン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体のオキサジアゾール環の酸素原子をイオウ原子に置換したチアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有したキノキサリン誘導体、トリス(8−キノリノール)アルミニウム等の8−キノリノール誘導体の金属錯体、フタロシアニン、金属フタロシアニン、並びにジスチリルピラジン誘導体等を例示することができる。
【0053】
(ii)背面電極層
本発明における背面電極層22は、有機EL層23と、基板21との間に配置されたものである。背面電極層22は、上記3色発光層を発光させるための他方の電極をなすものであり、透明電極層24と反対の電荷をもつ電極である。
【0054】
本発明に用いられる背面電極層22の形成材料としては、例えば仕事関数が4eV以下程度と小さい金属、合金、及びそれらの混合物等が挙げられる。具体的には、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、及び希土類金属等を例示することができる。より好ましくは、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、及びリチウム/アルミニウム混合物を挙げることができる。
【0055】
上記背面電極層22は、シート抵抗が数Ω/cm以下であることが好ましい。また、背面電極層22の膜厚は、通常10nm〜1μm程度である。
上記背面電極層22の形成方法としては、例えば蒸着法もしくはスパッタリング法等によって薄膜を形成した後に、フォトリソグラフィー法によりパターニングする方法が好ましく用いられる。
【0056】
(iii)透明電極層
本発明における透明電極層24は、背面電極層22との間に挟まれた有機EL層23に電圧をかけ、上記3色発光層で発光を起こさせるために設けられるものである。また、上記3色発光層で発生した光を、有機EL表示装置用カラーフィルタ10側に透過させるものである。従って、有機EL層23と、有機EL表示装置用カラーフィルタ10との間に配置されるものである。
【0057】
本発明に用いられる透明電極層24の形成材料としては、例えば透明性及び導電性を有する金属酸化物等が挙げられる。このような金属酸化物としては、例えば酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、及び酸化第二錫等が挙げられる。
【0058】
また、透明電極層24の膜厚は、通常100nm〜300nm程度である。
上記透明電極層24の形成方法としては、例えば蒸着法もしくはスパッタリング法等によって薄膜を形成した後に、フォトリソグラフィー法によりパターニングする方法が好ましく用いられる。
【0059】
(b)基板
本発明に用いられる基板21としては、有機EL素子25等を支持することができるものであれば良く、有機EL表示装置30に一般的に用いられるものを使用することができる。
なお、本発明においては、有機EL表示装置用カラーフィルタ10側から光が取り出されるものであるため、基板21としては、透明であっても、不透明であっても良い。
【0060】
(c)絶縁層
本発明における絶縁層26は、背面電極層22と透明電極層24とが直接接触することを防ぐために形成されるものである。
本発明に用いられる絶縁層26の形成材料としては、例えば感光性ポリイミド樹脂、アクリル系樹脂等の光硬化型樹脂、及び熱硬化型樹脂、並びに無機材料などを用いることができる。
また、絶縁層26のパターンは、通常、線状であり、例えばマトリクス状又はストライプ状等の開口部を有するパターンが例示される。
絶縁層26の形成方法としては、上記材料を塗布して、フォトリソグラフィー法によりパターニングする方法が挙げられる。また、印刷法等を用いることもできる。
【0061】
(2)シール剤
本発明に必要に応じ用いられるシール剤27は、有機EL表示装置用カラーフィルタ10及び有機EL素子側基板20の周縁部に形成され、有機EL素子25を封止するものである。
このようなシール剤27の構成材料としては、有機EL素子25を、大気中の水分等と接触することを抑制することができるものであれば良く、有機EL表示装置30に一般的に用いられるものを使用することができる。
【0062】
(3)アンカー層
本発明に所望により用いられるアンカー層の形成材料としては、例えば酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化酸化ケイ素等が挙げられる。
また、アンカー層の形成方法としては、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法、電子ビーム(EB)蒸着法や抵抗加熱法などの真空蒸着法、レーザーアブレーション法、化学気相成長(CVD)法等が挙げられる。これらの中でも、生産性の観点から、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法が好ましく用いられる。
上記アンカー層の膜厚は、通常2nm〜200nm程度であり、好ましくは5nm〜50nm程度である。
【0063】
(4)バリア層
本発明に所望により形成されるバリア層の形成材料は、水蒸気や酸素に対してバリア性を発現することができれば特に限定されるものではなく、例えば透明無機膜、透明樹脂膜、あるいは有機−無機ハイブリッド膜等が用いられる。中でも、バリア性が高い点から、透明無機膜が好ましい。
上記透明無機膜の形成材料としては、例えば酸化アルミニウム、酸化ケイ素、及び酸化マグネシウム等の酸化物;窒化ケイ素等の窒化物;窒化酸化ケイ素等の窒化酸化物;などが用いられる。特に、ピンホールや突起が生じにくくガスバリア性が高いことから、窒化酸化ケイ素が好適である。
【0064】
また、バリア層は、単層であっても良く、多層であっても良い。例えば、バリア層が複数の窒化酸化ケイ素膜が積層された多層である場合は、バリア性をさらに高めることができる。また、バリア層が多層である場合は、各層にそれぞれ異なる材料を用いても良い。
バリア層の膜厚としては、用いる透明基板やバリア層の形成材料の種類、あるいはバリア層が単層であるか多層であるかによって異なるものであり一概に規定できないが、通常、バリア層全体で5nm〜5μm程度である。バリア層の厚みが薄すぎるとバリア性が不十分となる可能性があり、またバリア層の厚みが厚すぎると薄膜の膜応力によるクラック等の現象が生じ易いからである。
【0065】
上記バリア層が透明無機膜である場合、この透明無機膜の形成方法としては、真空状態で形成できる膜の形成方法であれば特に限定されるものではなく、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法、電子ビーム(EB)蒸着法や抵抗加熱法等の真空蒸着法、原子層エピタキシ(ALE)法、レーザーアブレーション法、化学気相成長(CVD)法等が挙げられる。これらの中でも、生産性の観点から、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法が好ましく用いられる。
【実施例】
【0066】
本発明を実施例により、更に詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、色特性、外光反射、輝度及び工程削減効果は下記の方法に従って評価した。
【0067】
<色特性>
目視により、評価基準に基づき評価した。
◎:非常に良好であった。
○:良好であった。
×:問題があった。
【0068】
<外光反射>
目視により、以下の評価基準に基づき評価した。
○:問題なかった。
×:反射光が気になり、問題があった。
【0069】
<輝度>
トプコン社製輝度計のBM−8を用いて測定し、以下の評価基準に基づき評価した。以下の値はカラーフィルタなし、円偏光板なしの素子(比較例2)の輝度を100%としたときの輝度の割合とする。
◎: 70%より大きい。
○: 50%より大きく、70%以下である。
△: 50%以下である。
【0070】
<工程削減効果>
◎ :カラーフィルタ作製工程、円偏光板貼り付け工程共にない。
○:円偏光板の貼り付け工程がある。カラーフィルタ作製工程はない。
○:カラーフィルタ作製工程がある。なお、カラーフィルタの着色層製造工程が3工程から2工程になり、1工程削減できた。円偏光板の貼り付け工程はない。
×:カラーフィルタ作製工程がある。なお、カラーフィルタの着色層製造工程が3工程であり、工程削減できていない。
【0071】
実施例1
0.7mmのガラス基板(旭硝子株式会社製 AN材)上にカーボンブラック含有ポリメチルメタクリレート樹脂からなる遮光部(厚さ1.0μm)を図1に示すようにフォトリソグラフィー法により形成し、緑色着色層を構成する画素(厚さ2.0μm)とマゼンタ着色層を構成する画素(厚さ2.0μm)とを1:2の画素数の比率で図1に示すように配列し、更に図2に示すようにポリメチルメタクリレートからなる光硬化型樹脂をスピンコート法により塗布してオーバーコート層(厚さ1.5μm)を形成してカラーフィルタを作製した。このカラーフィルタを用い、緑色着色層が有機EL表示装置の緑色発光層に対応し、マゼンタ着色層が赤色発光層及び青色発光層に対応するように、円偏光板を用いず有機EL表示装置を構成した。
なお、各着色層の配合組成を第1表に示す。
【0072】
実施例2
実施例1における緑色着色層を青色着色層に、マゼンタ着色層を黄色着色層に変更した以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。このカラーフィルタを用い、青色着色層が有機EL表示装置の青色発光層に対応し、黄色着色層が赤色発光層及び緑色発光層に対応するように、円偏光板を用いず有機EL表示装置を構成した。
なお、各着色層の配合組成を第1表に示す。
【0073】
比較例1
実施例1におけるマゼンタ着色層を赤色着色層及び青色着色層に変更した以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。赤色着色層を構成する画素数と青色着色層を構成する画素数は同数とした。このカラーフィルタを用い、円偏光板を用いず有機EL表示装置を構成した。
比較例2
カラーフィルタと円偏光板のいずれも用いず有機EL表示装置を構成した。
比較例3
カラーフィルタを用いず、円偏光板を用いて有機EL表示装置を構成した。
なお、円偏光板としては、直線偏光板及びフィルム基板(1/4波長板)からなる特許文献1記載のものを用いた。
【0074】
実施例1〜2及び比較例1〜3の機EL表示装置の色特性、外光反射、輝度及び工程削減効果を上記評価基準に基づき評価した。結果を第2表に示す。
【0075】
【表1】

【0076】
(注)
1) 緑色顔料: Fastogen Green 2YK,MY(DIC株式会社製)
2) マゼンタ顔料: Hostaperm Red EB transp,Pigment Red 122(Clariant社製)
3) 青色顔料: C.I.ピグメントブルー15:6(商品名:Chromofine Blue5201A、大日精化工業株式会社製)
4) 黄色顔料: パリオトールイエローD1819(BASF社製)
5) 赤色顔料: クロモフタルレッドA2B(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
6) 分散剤: Disperbyk 111(ビックケミー・ジャパン株式会社製)
7) モノマー: ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(商品名:SR399、サートマー社製)
8) ポリマー: 下記共重合樹脂溶液(固形分50%)
9) 重合開始剤: 2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名:イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
10) 溶剤: 3−メトキシブチルアセテート(ダイセル化学工業株式会社製)

共重合樹脂溶液(固形分50%)の組成
・メチルメタクリレート(MMA)(株式会社クラレ製): 63質量部
・アクリル酸(AA)(株式会社日本触媒製): 12質量部
・2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)(株式会社日本触媒製): 6質量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)(純正化学株式会社製): 88質量部
・2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名:ABN−R、株式会社日本ファインケム社製): 7質量部
・グリシジルメタクリレート(GMA)(日油株式会社製): 7質量部
・トリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製): 0.4質量部
・ハイドロキノン(精工化学株式会社製): 0.2質量部
【0077】
【表2】

【0078】
第2表から明らかなように、2色の着色層からなるカラーフィルタを用いることにより製造工程の削減が可能となった。また、外光反射を低減でき、色特性や輝度も良好な有機EL表示装置を提供することができた。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明のカラーフィルタは、携帯電話等の携帯情報端末機器、カーオーディオ、テレビ用モニターやパーソナル・コンピュータ用の有機EL表示装置に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0080】
10 カラーフィルタ
11 遮光部
13 着色層
13a 色(A)からなる着色層、緑色着色層、青色着色層
13b 色(B)からなる着色層、マゼンタ着色層、黄色着色層
14 オーバーコート層
20 有機EL素子側基板
21 基板
22 背面電極層
23 有機EL層
24 透明電極層
25 有機EL素子
26 絶縁層
27 シール剤
30 有機EL表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3色発光層を有する有機EL表示装置用カラーフィルタであって、赤色、緑色及び青色から選ばれる1色(A)からなる着色層と、黄色、マゼンタ及びシアンから選ばれる1色(B)からなる着色層とが形成されており、且つ色(A)と色(B)とが互いに補色関係にあることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項2】
カラーフィルタの緑色に対応する部分に緑色着色層が形成され、赤色及び青色に対応する部分にマゼンタ着色層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項3】
マゼンタ着色層を形成するマゼンタ着色組成物が、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントバイオレッド19及びC.I.ピグメントバイオレッド23から選ばれる少なくとも1種の顔料を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のカラーフィルタ、
【請求項4】
カラーフィルタの青色に対応する部分に青色着色層が形成され、赤色及び緑色に対応する部分に黄色着色層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項5】
色(B)からなる着色層を構成する画素数が、色(A)からなる着色層を構成する画素数の2倍であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカラーフィルタ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のカラーフィルタを用いてなる有機EL表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−210924(P2010−210924A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56751(P2009−56751)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】