説明

カラーフィルタ用着色組成物及びカラーフィルタ

【課題】ジケトピロロピロール顔料を用い、耐熱性に優れる着色組成物を提供すること、並びにこれを用いて高コントラストなカラーフィルタを提供すること。
【解決手段】着色剤[A]と、光重合開始剤[B]と、有機溶剤[C]と、透明樹脂[D]と、透明樹脂前駆体[E]とを含む着色組成物であって、着色剤[A]がジケトピロロピロール系顔料を含み、かつ、透明樹脂前駆体[E]が透明樹脂前駆体[E]の全量を基準として50重量%以上のN−置換マレイミド、好ましくはシクロヘキシルマレイミドを含む着色組成物、および基板上に、前記着色組成物から形成されるフィルタセグメントを具備するカラーフィルタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶表示装置、及びカラー撮像管素子等に用いられるカラーフィルタの製造に使用されるカラーフィルタ用着色組成物、並びに、これを用いて形成されるカラーフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、2枚の偏光板に挟まれた液晶層が、1枚目の偏光板を通過した光の偏光度合いを制御して、2枚目の偏光板を通過する光量をコントロールすることにより表示を行う表示装置であり、ツイストネマチック(TN)型液晶を用いるタイプが主流となっている。液晶表示装置は、2枚の偏光板の間にカラーフィルタを設けることによりカラー表示が可能となり、近年、テレビやパソコンモニタ等に用いられるようになったことから、カラーフィルタに対して高コントラスト化、高明度化の要求が高まっている。
カラーフィルタは、ガラス等の透明な基板の表面に2種以上の異なる色相の微細な帯(ストライプ)状のフィルタセグメントを平行又は交差して配置したもの、あるいは微細なフィルタセグメントを縦横一定の配列で配置したものからなっている。フィルタセグメントは、数ミクロン〜数100ミクロンと微細であり、しかも色相毎に所定の配列で整然と配置されている。
【0003】
一般的に、カラー液晶表示装置では、カラーフィルタの上に液晶を駆動させるための透明電極が蒸着あるいはスパッタリングにより形成され、さらにその上に液晶を一定方向に配向させるための配向膜が形成されている。これらの透明電極及び配向膜の性能を充分に得るには、その形成を一般に200℃以上、好ましくは230℃以上の高温で行う必要がある。このため、現在、カラーフィルタの製造方法としては、耐光性、耐熱性に優れる顔料を着色剤とする顔料分散法と呼ばれる方法が主流となっている。
【0004】
フィルタセグメントは顔料分散体に光重合開始剤やエチレン性不飽和単量体を配合したカラーレジストの塗液を用いて形成されるが、カラーフィルタの高輝度化、高コントラスト化を実現させるためには、まず、フィルタセグメント中に含まれる顔料の微細化処理を行い、この微細化顔料を、樹脂などを含有する顔料担体中へ安定に分散させた分散体を作製する必要がある。しかし、顔料の凝集が強く、これを分散しきれない場合には、顔料の微細化工程を経ることで逆にカラーフィルタの輝度、コントラスト比を低下させてしまう。また、分散体の安定性が低いと経時で顔料粒子の凝集が進行し、着色組成物の粘度上昇、流動性不良を引き起こし、フィルタセグメント形成の際、塗液をガラス基板上にスピンコートする場合などにスピンコート性不良、レベリング不良などにより、膜厚の均一な塗膜を得ることができず好ましくない。
【0005】
このような微細化顔料を用いた分散体の安定化のために、顔料誘導体や樹脂型分散剤を用いた分散処方最適化が行われ、顔料誘導体や樹脂型分散剤あるいはバインダー樹脂の改良も行われてきた。しかし、最近の高品質な微細化顔料の性能を完全に発揮させるには不十分な部分がある。
また、微細化顔料の分散体を作製でき、高コントラストなフィルタセグメントが形成できた場合でも、このフィルタセグメントは、前記のようにカラーフィルタ上への透明電極および配向膜の形成過程で230℃以上の高温にさらされ、顔料の分散系が崩れてコントラスト比が低下するという現象が起きるものがある。
特に微細化ジケトピロロピロール顔料は、>NHとC=Oを対称に含む構造となっているために、水素結合により結晶成長し易い性質を持ち、230℃以上の高温にさらされることでカラーフィルタパターン上に結晶析出し、カラーフィルタ上の異物となってコントラストを低下させてしまうことがある。
【0006】
一方、耐熱性および耐光性に優れ、明度が高く、さらにNMPに対する耐性が良好な赤色カラーフィルタを与える着色組成物の製造方法として、特開2001−220520号公報には、ジケトピロロピロール系顔料、顔料誘導体、水溶性無機塩、および水溶性無機塩を実質的に溶解しない水溶性有機溶剤を含む混合物を混練した後、水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去してなることを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物が開示されている。
しかしながら、上記方法で製造された着色組成物を用いて形成されたカラーフィルタパターンは、230℃以上の高温にさらされることで、顔料の結晶がパターン表面に析出し、コントラストを低下させてしまう。
【特許文献1】特開2001−220520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
カラーフィルタの高コントラスト化要求に伴って、顔料の微細化が進行し、難分散化や耐熱性低下が生じており、より高コントラストな顔料分散体を得ること、カラーフィルタの形成工程でコントラスト比を一定に保つこと(ポストベークや透明電極および配向膜の形成工程で高温にさらされてもコントラスト比が低下しないこと)が難しくなってきている。また、微細化ジケトピロロピロール系顔料は結晶成長が顕著であり、200℃以上の高温にさらされるとカラーフィルタパターン上に結晶析出し、コントラストを低下させる。
本発明の目的は、ジケトピロロピロール顔料を用い、耐熱性に優れる着色組成物を提供すること、並びにこれを用いて高コントラストなカラーフィルタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の着色組成物は、着色剤[A]と、光重合開始剤[B]と、有機溶剤[C]と、透明樹脂[D]と、透明樹脂前駆体[E]とを含む着色組成物であって、着色剤[A]がジケトピロロピロール系顔料を含み、かつ、透明樹脂前駆体[E]が透明樹脂前駆体[E]の全量を基準として50重量%以上のN−置換マレイミドを含むこと特徴とする。
本発明の着色組成物において、N−置換マレイミドはシクロヘキシルマレイミドであることが好ましい。
また、本発明のカラーフィルタは、基板上に、本発明の着色組成物から形成されるフィルタセグメントを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の着色組成物は、着色剤[A]がジケトピロロピロール系顔料を含むが、透明樹脂前駆体[E]が透明樹脂前駆体[E]の全量を基準として50重量%以上のN−置換マレイミドを含んでいるため、耐熱性に優れる。また、この着色組成物を用いることで高コントラストなカラーフィルタを形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
まず、本発明の着色組成物について説明する。
本発明の着色組成物は、着色剤[A]と、光重合開始剤[B]と、有機溶剤[C]と、透明樹脂[D]と、透明樹脂前駆体[E]とを含む着色組成物であって、着色剤[A]がジケトピロロピロール系顔料を含み、かつ、透明樹脂前駆体[E]が透明樹脂前駆体[E]の全量を基準として50重量%以上のN−置換マレイミドを含むこと特徴とする。
【0011】
(着色剤[A])
本発明の着色組成物に用いる着色剤[A]は、ジケトピロロピロール系顔料を含む。ジケトピロロピロール系顔料としては、下記式(I)で表される構造の赤〜橙色の顔料が挙げられる。下記式(I)で表されるジケトピロロピロール系顔料の具体例をカラーインデックスナンバーで示すと、C.I.Pigment Red 254、255、264、272およびC.I.Pigment Orange 71、73、81が挙げられる。
【0012】
式(I)

X, Y:それぞれ独立に、CN、C(CH、CH、Cl、C、またはHを表す
【0013】
着色剤[A]は、ジケトピロロピロール系顔料以外に、赤色、橙色、または黄色の有機顔料、無機顔料、染料等を含むことができるが、発色性、耐熱性の高い有機顔料を用いることが特に好ましい。
以下に、ジケトピロロピロール系顔料と併用することのできる有機顔料の具体例を、カラーインデックス番号で示す。
赤色顔料としては、例えばC.I.Pigment Red 7、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、81:4、146、168、177、178、179、184、185、187、200、202、208、210、224、242、246、270、279等が挙げられる。中でも、高輝度化、高コントラスト化の観点からC.I.Pigment Red 177が好ましい。
【0014】
橙色顔料としては、C.I.Pigment Orange 43が挙げられる。
黄色顔料としては、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、74、77、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214等の黄色顔料が挙げられる。中でも、高輝度化、高コントラスト化の観点からC.I.Pigment Yellow 138、139、150、185が好ましい。
【0015】
ジケトピロロピロール系顔料、および併用される顔料は、高コントラスト化を実現するため、微細化処理することが好ましい。顔料を微細化する手段としては、顔料を機械的に粉砕する方法(磨砕法と呼ぶ)、良溶媒に溶解した顔料を貧溶媒に投入して所望の微細化顔料を析出させる方法(析出法と呼ぶ)、および合成時に所望の微細化顔料を製造する方法(合成析出法と呼ぶ)等がある。使用する顔料の合成法や化学的性質等により、個々の顔料について適当な方法を選択して顔料の微細化を行うことができる。
本発明の着色組成物において、全不揮発成分中の好ましい着色剤[A]の濃度は、充分な色再現性および着色組成物の安定性を得る観点から10〜90重量%であり、より好ましくは15〜80重量%であり、最も好ましくは20〜70重量%である。
全着色剤[A] 中のジケトピロロピロール系顔料の濃度は、フィルタセグメントとした場合の透過率が高くなることから、20重量%以上であることが好ましい。
【0016】
(透明樹脂[D])
本発明の着色組成物に用いる透明樹脂[D]は、400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂である。透明樹脂[D]には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂などがあり、これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。透明樹脂[D]の含有量は、着色剤[A]100重量部に対して、好ましくは30〜700重量部、さらに好ましくは60〜450重量部である。
【0017】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0018】
また、活性エネルギー線硬化性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子に、イソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0019】
(透明樹脂前駆体[E])
本発明の着色組成物に用いる透明樹脂前駆体[E]は、活性エネルギー線照射により硬化して透明樹脂を生成するもので、透明樹脂前駆体[E]の全量を基準(100重量%)として50重量%以上のN−置換マレイミドを含む。
N−置換マレイミドは、ジケトピロロピロール系顔料が高温にさらされた場合に、その結晶成長を抑制する効果を有する。そのため、透明樹脂前駆体[E]に50重量%以上のN−置換マレイミドを含ませることにより、ジケトピロロピロール系顔料を含む着色組成物の耐熱性が向上し、これを用いることにより、高コントラストなカラーフィルタを形成することが可能となる。透明樹脂前駆体[E]中のN−置換マレイミドの含有量は、透明樹脂前駆体[E]の全量を基準として、65重量%以上が好ましく、75重量%以上が特に好ましい。また、透明樹脂前駆体[E]中のN−置換マレイミドの含有量は、カラーフィルタ形成時の生産性を低下させない十分な感度を保持する点から、透明樹脂前駆体[E]の全量を基準として、80重量%以下が好ましい。
【0020】
本発明に用いられるN-置換マレイミドとしては、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2−ビスマレイミドエタン1,6−ビスマレイミドヘキサン、3−マレイミドプロピオン酸、6,7−メチレンジオキシ−4−メチル−3−マレイミドクマリン、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド、N−(1−ピレニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、N−(4−アミノフェニル)マレイミド、N−(4−ニトロフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ブロモメチル−2,3−ジクロロマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオナート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチラート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドヘキサノアート、N−[4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9−マレイミドアクリジン等が挙げられる。耐熱性等の点からシクロヘキシルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2−ビスマレイミドエタンが好ましく、特にシクロヘキシルマレイミドが好ましい。N-置換マレイミドは、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0021】
N-置換マレイミドと併用可能な透明樹脂前駆体[E]としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1, 6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられ、これらを単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0022】
透明樹脂前駆体[E]の含有量は、着色剤[A]100重量部に対して、好ましくは10〜300重量部、さらに好ましくは10〜200重量部である。
また、本発明の着色組成物において、透明樹脂[D]の重量(P)と透明樹脂前駆体[E]の重量(M)との比率(M/P)は、感度が高くなることから、0.10以上であることが好ましく、0.20以上であることがより好ましい。また、M/Pは、パターン形状の直線性が良好となり、タックが生じないことから、1.20以下であることが好ましく、1.00以下であることがより好ましい。
【0023】
(光重合開始剤[B])
本発明の着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化するため、光重合開始剤[B]等が添加される。光重合開始剤は、着色剤[A]100重量部に対して、好ましくは5〜200重量部、より好ましくは10〜150重量部の量で用いることができる。
光重合開始剤[B]としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系光重合開始剤、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤、ボレート系光重合開始剤、カルバゾール系光重合開始剤、イミダゾール系光重合開始剤等が用いられる。
【0024】
(増感剤[F])
光重合開始剤[B]は、単独であるいは2種以上混合して用いるが、増感剤[F]として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル−9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。増感剤[F]は、光重合開始剤[B]100重量部に対して、好ましくは0.1〜60重量部の量で用いることができる。
また、光重合開始剤[B]の重量(I)と透明樹脂前駆体[E]の重量(M)との比率(I/M)は、感度が高くなることから、0.20以上であることが好ましい。また、I/Mは、パターン形状の直線性が良好となり、タックが生じないことから、1.50以下であることが好ましく、1.00以下であることがより好ましい。
【0025】
(有機溶剤[C])
本発明の着色組成物には、顔料を充分に顔料担体中に分散させ、ガラス基板等の透明基板上に乾燥膜厚が0.2〜10μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために有機溶剤[C]を含有させる。有機溶剤[C]としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
【0026】
(着色組成物の製法)
本発明の着色組成物は、ジケトピロロピロール系顔料[A]またはそれを含む2種以上の顔料からなる顔料組成物を、上記光重合開始剤[B]と共に、透明樹脂[D]や透明樹脂前駆体[E]などの顔料担体(以下、単に顔料担体と呼ぶ場合がある)および有機溶剤[C]中に三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散し、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材の形態で調製することができる。また、2種以上の顔料を含む着色組成物は、各顔料を別々に顔料担体および有機溶剤[C]に微細に分散したものを混合して調製することもできる。
着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0027】
顔料を顔料担体および有機溶剤[C]に分散する際には、適宜、樹脂型顔料分散剤、界面活性剤、顔料誘導体等の分散助剤を含有させることができる。分散助剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて顔料を顔料担体および有機溶剤[C]中に分散してなる着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。
分散助剤は、着色組成物中の着色剤[A]100重量部に対して、0.1〜40重量部、好ましくは0.1〜30重量部の量で用いることができる。
【0028】
樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、顔料担体と相溶性のある部位とを有し、顔料に吸着して顔料の顔料担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型顔料分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などの油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0029】
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0030】
顔料誘導体とは、有機顔料に置換基を導入した化合物であり、有機顔料には、一般に顔料とは呼ばれていないナフタレン系、アントラキノン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。顔料誘導体としては、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
【0031】
(その他の成分)
本発明の着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができ、また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。
【0032】
シランカップリング剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等が挙げられる。
シランカップリング剤は、着色組成物中の着色剤[A]100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の量で用いることができる。
【0033】
(カラーフィルタ)
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。
本発明のカラーフィルタは、基板上に、本発明の着色組成物から形成されるフィルタセグメントを具備するカラーフィルタである。カラーフィルタは、赤色、緑色、青色から選ばれるフィルタセグメントを具備するものであり、その中の赤色フィルタセグメントが、本発明の着色組成物を用いて形成される。
本発明のカラーフィルタにおける緑色、青色のフィルタセグメントは、緑色着色組成物、青色着色組成物を用いて形成される。緑色着色組成物および青色着色組成物は、本発明の着色組成物と同様に、着色剤と、光重合開始剤と、有機溶剤と、透明樹脂と、透明樹脂前駆体とを含む組成物である。緑色着色組成物および青色着色組成物を構成する光重合開始剤、有機溶剤、透明樹脂、透明樹脂前駆体としては、本発明の着色組成物と同様のものを用いることができるが、透明樹脂前駆体は、N-置換マレイミドを含有する必要はない。
【0034】
緑色フィルタセグメントを形成するための緑色着色組成物には、緑色顔料として、例えばC.I. Pigment Green 7、10、36、37、58等を用いることができる。緑色着色組成物には、黄色顔料を併用することができる。
緑色着色組成物に添加する黄色顔料としては、例えばC.I. Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199等を用いることができる。なかでも、C.I. Pigment Yellow138、139、150、185が好ましい。
【0035】
青色フィルタセグメントを形成するための青色着色組成物には、青色顔料として、例えばC.I. Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等を用いることができる。青色着色組成物には、C.I. Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料を併用することができる。
【0036】
本発明のカラーフィルタは、フォトリソグラフィー法により、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジストの形態で調整した本発明の着色組成物を用いて基板上に赤色のフィルタセグメントを形成し、さらに溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジストの形態で調整した緑色または青色着色組成物を用いて緑色フィルタセグメントおよび青色フィルタセグメントを形成することにより製造することができる。
基板としては、可視光に対して透過率の高いガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。
【0037】
フォトリソグラフィー法による各色フィルタセグメントの形成は、下記の方法で行う。すなわち、光照射により硬化する溶剤現像型あるいはアルカリ現像型の着色レジストとして調整した各色着色組成物を、基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するか、もしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジストの重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。
【0038】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジストを塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ可溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【実施例】
【0039】
以下に、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における「部」および「%」は、「重量部」および「重量%」をそれぞれ表す。
(塗膜のコントラスト比の測定方法)
塗膜基板の両側に偏光板を重ね、片側から冷陰極蛍光ランプ(Cold Cathode Fluorescent Lamp-CCFL)を光源として光を照射し、反対側から、偏光板が平行時の透過光の輝度(Lp)と直交時の透過光の輝度(Lc)を測定し、その比Lp/Lcをコントラスト比として算出した。透過光の輝度は、色彩輝度計(トプコン社製「BM−5A」)を用い、2°視野の条件で測定した。また、偏光板としては偏光板(日東電工社製「NPF−G1220DUN」)を用いた。なお、測定に際しては、不要光を遮断するために、測定部分に1cm角の孔を開けた黒色のマスクを当てた。
【0040】
(塗膜耐熱性の評価方法)
金属顕微鏡(OLYMPUS社製「MX51」)にて塗膜を500倍に拡大して観察し、塗膜400μm×400μm内に析出した結晶数を測定し、下記の4段階で評価した。
◎:結晶数が0個
○:結晶数が1〜10個
△:結晶数が10〜50個
×:結晶数が50個以上
【0041】
(感度)
形成されたフィルタセグメントのパタ−ンが、フォトマスク寸法から予定された設計画素寸法通りに仕上がる照射露光量を測定し、下記の3段階でレジストの感度を評価した。
○:50mJ/cm未満
△:50mJ/cm以上100mJ/cm未満
×:100mJ/cm以上
【0042】
(パタ−ン形状)
形成されたフィルタセグメントのパタ−ンの形状を、(1)パタ−ンの直線性、(2)パタ−ンの断面形状により評価した。
(1)については、光学顕微鏡により観察して、下記の3段階で評価した。
○:直線性良好
△:部分的に直線性不良
×:直線性不良
(2)については、走査型電子顕微鏡(SEM)により断面形状を観察し、下記の3段階で評価した。
○:順テーパー形状(断面が台形で露光した面が小さい)
△:ノンテーパー形状(断面が四角で露光した面と基板に接着した面の大きさがほぼ 等しい)
×:逆テーパー形状(断面が台形で露光した面が大きい)
【0043】
(アクリル樹脂溶液の製造例)
反応容器にシクロヘキサノン800部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら100℃に加熱し、同温度で、スチレン60.0部、メタクリル酸60.0部、メタクリル酸メチル65.0部、メタクリル酸ブチル65.0部、およびアゾビスブチロニトリル10.0部記の混合物を1時間かけて滴下し、重合を行った。
滴下後さらに100℃にて3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル2.0部をシクロヘキサノン50部で溶解したものを添加し、さらに1時間反応を続け、重量平均分子量が約40,000(GPCによる測定)のアクリル樹脂溶液を得た。
室温まで冷却した後、樹脂溶液の一部をサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、測定結果に基づき、不揮発分が20%となるように得られた樹脂溶液にシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製した。
【0044】
(微細化ジケトピロロピロール顔料1)
下記組成の混練物をトリミックスに投入して、回転数を公転で19rpm、自転で57rpm、処理温度40℃で8時間混練した。
ジケトピロロピロール系顔料(C.I. Pigment Red 254) 450部
(チバ・ジャパン社製「イルガフォーレッドB−CF」) ジケトピロロピロール顔料誘導体(構造は(II)式で示す) 45部
塩化ナトリウム 4500部
ジエチレングリコール 765部
【0045】
式(II)

ここで得られた混練物を70℃の1%硫酸溶液30000部に取り出し、1時間保温撹拌後、濾過、水洗、乾燥、粉砕し、微細化ジケトピロロピロール顔料1を得た。
【0046】
(微細化ジケトピロロピロール顔料2)
ジケトピロロピロール系顔料を(C.I. Pigment Red 255、チバ・ジャパン社製「イルガジン DPP スカーレット EK」)に変更した以外は 、微細化ジケトピロロピロール顔料1と同様にして微細化ジケトピロロピロール顔料2を得た。
(微細化ジケトピロロピロール顔料3)
ジケトピロロピロール系顔料を(C.I. Pigment Red 264、チバ・ジャパン社製「イルガジン DPP ルビン TR」)に変更した以外は 、微細化ジケトピロロピロール顔料1と同様にして微細化ジケトピロロピロール顔料3を得た。
(微細化ジケトピロロピロール顔料4)
ジケトピロロピロール系顔料を(C.I. Pigment Orange 71、チバ・ジャパン社製「クロモフタル DPP オレンジ TR」)に変更した以外は 、微細化ジケトピロロピロール顔料1と同様にして微細化ジケトピロロピロール顔料4を得た。
【0047】
[赤色分散体1の調整]
得られた微細化ジケトピロロピロール系顔料1を用いて、下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で2時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し赤色分散体1を作製した。
微細化ジケトピロロピロール顔料1 11.0部
ジケトピロロピロール系誘導体(II) 1.0部
アクリル樹脂溶液 40.0部
シクロヘキサノン 48.0部
【0048】
[赤色分散体2の調整]
微細化ジケトピロロピロール顔料1を微細化ジケトピロロピロール顔料2に変更した以外は、赤色分散体1と同様にして赤色分散体2を作製した。
[赤色分散体3の調整]
微細化ジケトピロロピロール顔料1を微細化ジケトピロロピロール顔料3に変更した以外は、赤色分散体1と同様にして赤色分散体3を作製した。
[赤色分散体4の調整]
微細化ジケトピロロピロール顔料1を微細化ジケトピロロピロール顔料4に変更した以外は、赤色分散体1と同様にして赤色分散体4を作製した。
【0049】
[黄色顔料分散体の調整]
下記組成の混合物を均一に撹拌した後、直径1mmのジルコニアビーズを用いて、ビーズミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、黄色分散体を作製した。
モノアゾ系顔料(C.I. Pigment Yellow 150) 12.0部
(ランクセス社製「E4GN−GT」)
分散剤(日本ルーブリゾール社「ソルスパーズ20000」) 2.0部
アクリル樹脂溶液 30.0部
シクロヘキサノン 56.0部
【0050】
[実施例1〜31および比較例1〜7](着色組成物の調整)
表1に示す配合組成で、混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、赤色レジスト材を得た。
【0051】
【表1】

【0052】
他の顔料分散体:先に調整した黄色分散体
モノマー:東亞合成社製「アロニックス M-402」)
光重合開始剤:「2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン」
(チバ・ジャパン社製「イルガキュア907」(※1))
溶剤:シクロヘキサノン
【0053】
得られた赤色レジストを、スピンコーターを用いて、回転数を変えて乾燥膜厚が約2μm前後となるように塗布し、3点の塗布基板を作製した。塗布後80℃で30分、熱風オーブンで乾燥したのち、この基板を室温に冷却後、超高圧水銀ランプを用い、紫外線を露光した。塗膜基板それぞれの膜厚およびコントラスト比を測定し、3点のデータから膜厚が2μmにおけるコントラスト比を一次相関法で求めた。さらに、乾燥膜厚が約2μmとなるように塗布基板を作成し、コントラスト比測定用塗膜基板と同様に乾燥、露光工程を行った。この塗膜基板をクリーンオーブンにて230℃で60分間ポストベークし、その後250℃で60分間置き、塗膜耐熱性を評価し、耐熱性試験後のコントラスト比を求めた。
また、乾燥膜厚が2μmとなるように塗布基盤を作成し、この基板を室温に冷却後、超高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して紫外線を露光した。その後、この基板を23℃の炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄し、風乾した。その後、230℃で60分間ポストベークを行い、基板上にストライプ状のフィルタセグメントを形成した。この基板作成過程の照射露光量より感度をもとめた。また、この基板を用いてパターン形状の評価を行った。結果を表2に示す。
【0054】
【表2】

【0055】
実施例1〜3の結果が示すように、N−置換マレイミドのモノマー含有量が増加するほど良好な耐熱性が得られた。また、実施例1〜24の結果が示すように、N−置換マレイミドとしてシクロヘキシルマレイミドを用いた場合に、最も良好な耐熱性が得られた。また、実施例3、25〜31の結果が示すように、M/P、I/M値を好ましい範囲内にすることで、感度、パターン直線性、パターン形状が良好な結果が得られた。N−置換マレイミドの含有量が50重量%未満になる比較例では、良好な耐熱性が得られず、耐熱試験後大きくコントラスト比が低下した。
以上の結果が示すように、透明樹脂前駆体[E]の全量を基準として50重量%以上のN−置換マレイミドを含有することで良好な耐熱性が得られ、高コントラストな着色組成物を作成できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤[A]と、光重合開始剤[B]と、有機溶剤[C]と、透明樹脂[D]と、透明樹脂前駆体[E]とを含む着色組成物であって、着色剤[A]がジケトピロロピロール系顔料を含み、かつ、透明樹脂前駆体[E]が透明樹脂前駆体[E]の全量を基準として50重量%以上のN−置換マレイミドを含むこと特徴とする着色組成物。
【請求項2】
N−置換マレイミドがシクロヘキシルマレイミドであることを特徴とする請求項1に記載の着色組成物。
【請求項3】
透明樹脂[D]の重量(P)と透明樹脂前駆体[E]の重量(M)との比率(M/P)が、0.10〜1.20であることを特徴とする請求項1または2に記載の着色組成物。
【請求項4】
光重合開始剤[B]の重量(I)と透明樹脂前駆体[E]の重量(M)との比率(I/M)が、0.20〜1.50であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項5】
基板上に、請求項1〜4に記載の着色組成物から形成されるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタ。

【公開番号】特開2010−210962(P2010−210962A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57246(P2009−57246)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】