説明

カラーマネージメントモジュール、カラーマネージメント装置、集積回路、表示装置

【課題】入力動画像信号を3次元LUT(Look Up Table)によるカラーマネージメント処理する色信号処理システムにおいて、設定されたカラーマネージメントのプロファイルによる弊害や違和感を低減し、表示画像シーンの色彩状態への最適化の実現を図ること。
【解決手段】入力された画像信号の色情報を多次元ルックアップテーブルにより変換する色変換部と、前記色変換部で変換された画像信号と、前記入力された画像信号を任意の比率で合成し、合成画像信号を出力する内挿部と、前記色変換部における多次元ルックアップテーブルのデータを変更するルックアップテーブル書き換え部とを備えることを特徴とするカラーマネージメントモジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力画像信号の色変換、色補正及び色域変換等のカラーマネージメント処理を行う、カラーマネージメントモジュール、カラーマネージメント装置、集積回路、表示装置であって、特に多次元ルックアップテーブルにより、入力画像信号の特徴に応じてリアルタイムにカラーマネージメント処理を行うものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラープリンター装置やカラーコピー機、ディスプレイ装置などにおいて、色信号を異なる色空間に変換したり、異なる色域に変換したり、特定の色に対して個別に色相彩度明度等を調整するといった、自由度の高い各種のカラーマネージメント処理を正確かつ詳細に行う場合、3次元ルックアップテーブル(Look Up Table、以下LUT)によるカラーマネージメント処理が行われている。
【0003】
このような多次元LUTにおいて、メディアや信号ソース、色変換処理モード等に応じて、各々に最適化させるため多数のLUTを備えておくことは、非常に大きなメモリ容量を必要とするため、簡易的なLUTやマトリックス計算を併用することなどにより、これらの各種モードに応じた色変換処理を実現する技術が開発されている。特に、動画像に対してカラーマネージメント処理をする場合には、上記のように色変換処理モードや信号ソースに応じて複数のLUTをもつことは、3次元LUTの大きなメモリ容量のデータを書き換えるには、ある程度の書き換え処理時間を必要とするため、そのリアルタイム性が要求されるがゆえの制限を有している。
【0004】
例えば、特許文献1にはその具体例が示されている。入力映像信号に施されているγ補正を逆補正する逆補正回路と、この入力映像信号の色再現特性または基準白色に応じて、逆補正手段で逆補正された映像信号を線形処理によって色変換するカラーマトリックス回路と、この線形処理による色変換量に対する修正データが格納される3次元ルックアップテーブルを有し、この入力映像信号と逆補正回路で逆補正された映像信号とのうち少なくともいずれか一方が供給されて、その供給された映像信号に対応する修正データを出力する修正データ出力部と、修正データ出力部から出力された修正データをカラーマトリックス回路で色変換された後の映像信号に加算する加算器を備え、入力信号と表示デバイスの特性に応じて、スタティックに設定された、逆γ特性(逆補正)、マトリックス係数、修正データ、γ特性により、動画像に対してリアルタイムでの非線形色変換処理を行うようにしたものである。
【0005】
特許文献2には、入力画像信号を第1の画像信号変換手段において所定の式を用いて色相、明度、彩度の各変数に変換し、2次元LUT格納手段に保持されている予め作成された色相、明度、彩度のうちの2つの変数を組み合わせた2次元LUTを用いて、色補正手段が入力画像信号から変換された色相、明度、彩度の変数を色補正し、第2の画像信号変換手段により色補正後の色相、明度、彩度に対して第2の所定の式を用いて、出力画像を生成するようにしているものであり、演算処理速度を落とすことなくリアルタイム処理にも適するようにしたものである。
【特許文献1】特開2006―325035号公報(第1図)
【特許文献2】特開2007−19970号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示した色変換装置は、3次元LUTを有しているものの、逆γ特性、マトリックス係数、修正データ、γ特性等のカラーマネージメント処理のパラメータは、入力信号と表示デバイスの特性に対してスタティック(固定的)に設定されるもので、入力信号ソースが切換わった場合や、画像表示モードの変更等の場合に設定が変更されることはあっても、その動画像の表示中にカラーマネージメント処理パラメータを可変することはできないものである。
【0007】
また、特許文献2に示した色変換装置および色変換方法の場合は、リアルタイム処理は可能であるが、使用するルックアップテーブルが2次元であり、またルックアップテーブルの更新が適切に行われないため高精度な色変換処理を行うことが出来ないものである。
【0008】
本発明の目的は、入力画像信号に対して、より高精度なカラーマネージメント(色変換、色補正、色域変換等)処理を、応答性を高めて制御することを可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のカラーマネージメントモジュールは、入力された画像信号の色情報を多次元ルックアップテーブルにより変換する色変換部と、前記色変換部で変換された画像信号と、前記入力された画像信号を任意の比率で合成し、合成画像信号を出力する内挿部と、前記色変換部における多次元ルックアップテーブルのデータを変更するルックアップテーブル書き換え部とを備えることを特徴とするものである。
【0010】
これにより、より高精度なカラーマネージメント処理を応答性を高めて行うことが可能となる。
【0011】
また本発明は、入力された画像信号の色情報を多次元ルックアップテーブルにより変換する色変換部と、入力された画像信号をマトリックス演算により、線形処理する近似計算部と、前記色変換部で変換された画像信号と、前記近似計算部で線形処理された画像信号を任意の比率で合成し、合成画像信号を出力する内挿部と、前記色変換部における多次元ルックアップテーブルのデータを変更するルックアップテーブル書き換え部とを備えることを特徴とするものであってもよい。
【0012】
これにより、ルックアップテーブル書き換え部が、色変換部のデータを変更中においても、近似計算部で色変換部の処理を近似した処理を代替できるので、データ書き換え時にもより高精度なカラーマネージメント処理を実現することが可能となる。
【0013】
上記発明において、入力される画像信号から画像特徴を検出する画像特徴検出部と、前記画像特徴に基づいて前記内挿部又は前記ルックアップテーブル書き換え部、近似計算部の少なくとも一つを制御する画像適応連動制御部とを備えることを特徴とするものであってもよい。
【0014】
これにより、入力画像信号に適応した色変換処理を行うことが可能となる。
【0015】
上記発明において、前記画像適応連動制御部は、前記内挿部を制御する際に、前記画像特徴に基づいて前記合成画像信号の合成比率の時定数を制御することを特徴とするものであってもよい。
【0016】
これにより、内挿方法を入力画像信号に好適な方法を用いることができ、より高精度で応答性の高いカラーマネージメント処理を行うことが可能となる。
【0017】
上記発明において、前記画像特徴検出部は、前記入力された画像信号の所定の色の出現頻度を画像特徴として検出する色頻度検出部を備えることを特徴とするものであってもよい。
【0018】
これにより入力画像信号の色情報に基づいたより高精度な色変換処理を行うことが可能となる。
【0019】
上記発明において、前記画像特徴検出部は、前記入力された画像信号から複数の画像間の画像変化の大きさを動きベクトルにより画像特徴として検出するベクトル検出部を備えることを特徴とするものであってもよい。
【0020】
これにより、入力画像信号の画像変化に適応した色変換処理をおこなうことが可能となる。
【0021】
上記の発明において、前記画像特徴検出部は、前記入力された画像信号から該画像信号の色域の範囲を画像特徴として検出する色域検出部を備えることを特徴とするものであってもよい。
【0022】
これにより入力画像信号の色域を検出し、入力画像信号の色域と出力信号に求められる色域とに応じた色変換処理をおこなうことが可能となる。
【0023】
上記発明において、前記画像特徴検出部は、前記入力された画像信号から画像内に人物の顔が含まれることを画像特徴として検出する顔認識部を備えることを特徴とするものであってもよい。
【0024】
これにより、人物の画像に適した色変換処理を行うことが可能となる。
【0025】
上記発明において、前記ルックアップテーブル書き換え部は、前記色変換部の多次元ルックアップテーブルの一部のみを書き換えることを特徴とするものであってもよい。
【0026】
この場合は、ルックアップテーブルの書き換えに要する時間を比較的短時間で行うことが可能となる。
【0027】
上記の発明はカラーマネージメントモジュール以外にも、当該モジュールを組み込んだカラーマネージメント装置、当該モジュールを実装した集積回路、また出力信号を表示する表示部を加えた表示装置としても実現可能である。
【発明の効果】
【0028】
本発明により、入力画像信号に対して、より高精度なカラーマネージメント(色変換、色補正、色域変換等)処理を、応答性を高めて制御することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係るカラーマネージメントモジュールについて、図面を参照しながら説明する。なお、モジュールとは、ある機能を実現するために集められた要素のまとまりであり、本発明においては目的とするカラーマネージメント処理を実現するための構成要素の集合を意味する。実際には、電子回路や集積回路において、本発明の構成を実現した機能回路部分や、回路ブロック等に該当する。ソフトウェアにおいては、当該機能を実現するプログラムブロック(ライブラリ等)としに該当するものである。
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態によるカラーマネージメントモジュールの構成を示すブロック図である。図1のカラーマネージメントモジュールは、色変換部11、内挿部12、画像特徴検出部13、画像適応連動制御部14、ルックアップテーブル書き換え部15を備えており、入力画像信号としてRGB形式の映像入力信号が入力し、出力信号としてカラーマネージメント処理されたRGB画像出力信号が出力されるようになっている。
【0030】
ここでルックアップテーブル(LUT)とは、入力値に対して出力値を算出するために利用される参照又は変換のために用いられる対応表で、定義域での入力値に対して算出値が得られるものである。カラーマネージメントモジュールは、この算出値を利用して最終的な出力値を決定する。
【0031】
また、入力画像信号とは、ここではTVやビデオ等の自然画の動画像だけなく、CGによる動画像や、静止画の映像信号も含むものとして考える。
【0032】
色変換部11の動作について図2、3、4を用いて説明する。色変換部11は入力された画像信号の色情報を変換、補正等するものである。本実施の形態では、色変換部11で3次元LUTを用いて色変換処理を行う場合を例に説明する。ただ、本発明は、3次元LUTに限らず他の多次元LUTを用いた色変換処理でも同様に適用可能である。より高次のLUTを用いた色変換処理を行えば、一般的にはより高精度な色変換処理を行うことも可能である。
【0033】
3次元LUTを用いた色変換部11ではRGBの入力画像信号に対して、図2に示すように所定の3次元色空間を規定し、この色空間の各軸を所定の間隔で等分した単位立方体の各格子点上に変換後の値(プロファイルデータ)がRGB各々設定されるようになっている。
【0034】
例えば、RGBの入力画像信号が、複数ビットからなるデジタルデータで示される場合、入力画像信号の上位bitから、各軸をX等分したXの3乗個のうちのどの単位立方体かを選択し、入力画像信号の下位bitから3次元内挿(後述)により変換後の値を算出するように動作をするものである。
【0035】
図2の1単位立方体のR信号の一例を拡大したものが図3である。図3に示すようにR000〜R111の8個の格子点データと、入力画像信号の下位bitのlsbR、lsbG、lsbBとから、順に1次元内挿、2次元内挿、3次元内挿と内挿演算を行い最終的にRabcdの値を変換後の値として算出する動作を行う。
【0036】
具体的には、下位bitが8bitの場合の1次の内挿演算は、
Ra=((R001−R000)×lsbR)/256+R000
Rb=((R011−R010)×lsbR)/256+R010
Rc=((R101−R100)×lsbR)/256+R100
Rd=((R111−R110)×lsbR)/256+R110
の4つの計算を行う。
【0037】
次に2次の内挿演算は、1次の内挿演算結果を利用して、
Rab=((Rb−Ra)×lsbG)/256+Ra
Rcd=((Rd−Rc)×lsbG)/256+Rc
の計算を行う。
【0038】
最後に、3次内挿演算として、
Rabcd=((Rcd―Rab)×lsbB)/256+Rab
を計算して、Rabcdを算出する。
【0039】
図4に上述の内容の演算を行う色変換部11の基本構成の一例を示す。この例では、入力信号として14bitのRGB画像信号が入力され、リミッタや正規化処理、Bitの分割処理等の前段処理が施され、16bitデータとなったものが、上位5bit、下位11bitに分割される。上位5bitをRGBそれぞれの色毎に読み出し制御回路が取り込み、該当する3次元LUTの読み出しアドレスを決定し、その読み出しアドレスに対応するデータ(プロファイルデータ)が読み込まれる。
【0040】
一方下位11bit(lsbR、lsbG、lsbB)は3次元内挿処理に入力され、lsbRは1次内挿の内挿係数として、lsbGは2次内挿の内挿係数、lsbBは3次内挿の内挿係数として、RGB各々のLUTから読み出された各格子点データとの間で、上述のような内挿処理が施されて変換処理が行われる。
【0041】
なお、上記の説明では色変換部11に3次元LUTを利用した場合を用いて説明したが、より多次元LUTを利用して本発明を実現することも可能である。この場合には、より高精度な色変換を行うことが可能となる。
【0042】
また、上記の説明では色変換部にLUTを利用する場合を用いて説明したが、LUTから算出される色変換処理が数式等で実現される場合は、LUTに代えて数式による演算でおこなうことも可能である。この場合には、後述するLUTの書き換えと比較して、数式の変更で色変換処理の内容を変更できるので、より応答性の高いカラーマネージメントモジュールを実現することが可能となる。
【0043】
一方、LUTを用いる利点は数式等で表現することが困難な色変換処理を行う場合には、複雑な色変換処理であってもプロファイルデータで表現することができれば、色変換処理の内容を概して特定できることができる利点がある。
【0044】
また、図2において、LUTのプロフィルデータの空間を等分に分割することで説明したが、本発明の色変換部11の多次元LUTにおいては、不等分割であってもよい。この場合は、一つのLUTで色変換処理を比較的高精度に行う部分と、低精度に行う部分を設けることができる。つまり、一つのLUTにおいて複数の色変換精度を備えたLUTとして実現することも可能である。これにより、色変換処理をより高精度に設定することが可能となる。
【0045】
内挿部12は、入力画像信号のRGB信号と、色変換部11の3次元LUTにより変換処理が施されたR‘G‘B‘出力信号との間で、内挿制御信号によりRGB信号毎に夫々補間処理を行って重み付け処理を行うものである。また、内挿部12は、色変換部11をバイパスした入力画像信号のRGB信号と、3次元LUT処理が施されたR‘G‘B‘信号との同期を取るため、必要に応じてRGB信号に対して3次元LUT処理に要する時間と同一の遅延を施す処理を必要に応じて行う。
【0046】
内挿部12は、後述する画像適応連動制御部14からの制御信号に基づいてその内挿を行う。入力画像信号RGBと色変換部11からのR‘G‘B‘信号の重ね合わせは図5に示すように様々な方法を用いてよい。図5(a)は、RGBとR‘G‘B‘の両信号を時刻tにおいて、内挿比率を完全に切り替える方法である。これは、切り替え前と後で単純に内挿比率(合成比率)を切り替えることができる方法の一つである。図5(b)は、時間経過とともに線形連続的に内挿比率(内挿係数、合成比率)を変化させる方法である。この場合には、切替を連続的に変化させることができるため、滑らかな内挿(合成)を行うことが可能である。図5(c)は時間の経過とともに多段階的に内挿比率を更新する方法である。この場合には、一定時間間隔毎に内挿比率が変化することとなる。この方法は、入力信号が動画等である場合において、フレーム毎に内挿比率を変化させることができるため、比較的滑らかな内挿を行うことが可能となる。図5(d)は時間とともに非線形連続的に内挿比率を変える方法である。この場合には、内挿比率をより特徴的に制御することとなるため、個々の画像信号により好適な内挿を行うことが可能となる。つまり内挿部12は、複数の内挿方法をサポートし、それらを切り替えて最適な内挿方法を用いることも可能である。これらいずれの内挿方法を用いるかは画像適応連動制御部14により制御されるものである。
【0047】
画像特徴検出部13は、入力画像信号から当該画像の特徴を抽出するものである。画像の特徴とは種々の観点で抽出することが可能である。図6にその一例を示す。入力画像信号に含まれる特定の色や全ての色の出現頻度を特徴として抽出する色頻度検出部61、入力される画像信号の色域を特定する色域検出部62、入力される画像信号に人物の顔を描写されている場合にはそれを検出し画面内での位置等を抽出する顔認識部63、入力される信号が動画信号である場合は、連続するまたは複数のフレーム(画像)間での変化の大きさを動きベクトル等で検出するベクトル検出部64、また入力信号から輝度信号のみを抽出する輝度検出部65等が一例としてある。
【0048】
色頻度検出部61について図7を用いて説明する。色頻度検出部61では、入力されるRGB色信号を色相、彩度、明度(Hue、Staturation、Value)のHSV色空間に変換したのち、それぞれの色の出現頻度を検出・算出するものである。また、外部から注目すべき色(注目色)として特定の色を指定する、又は、あらかじめ所定の注目すべき色を登録等しておくことで、HSV色空間上で指定される注目色として、出現頻度を検出・算出するものであってもよい。ここでは、回路構成等が比較的小さく高精度で指定し易いことから、HSV色空間上で検出する構成としているが、これに限るものではなく、その他の色信号や色空間で頻度検出してもよい。
【0049】
まず、色空間変換部71は入力されたRGB色信号の色空間を、HSV色空間のHSVの各信号成分に変換する。この色空間変換は例えば下記の演算式によって変換が行われる。
【0050】
明度信号 V = MAX(R,G,B)
色相信号 H = {MID(R,G,B)−MIN(R,G,B)}
/{MAX(R,G,B)−MIN(R,G,B)}
彩度信号 S = {MAX(R,G,B)−MIN(R,G,B)}
/MAX(R,G,B)
ここで、MAX(R,G,B)はRGBの各信号のうちの最大値、MID(R,G,B)はRGBの各信号のうちの中間値、MIN(R,G,B)はRGBの各信号のうちの最小値を表す。
【0051】
こうして求められたHSV信号は、明度比較部72、色相比較部73、彩度比較部74に入力され、HSVの各パラメータ値により外部から任意に設定される複数の注目色の色空間指定の範囲内か否かを判別し、色判定部75によりそれぞれの色又は指定注目色に該当か否かを判定する。こうして検出したそれぞれの色又は注目色は頻度計数部76で1画面分の度数が各々算出される。
【0052】
色域検出部62は、入力される画像信号の色域を検出するものである。例えば入力画像信号がBT709に準拠する信号であるか、YCrCbの拡張規格でありBT709よりも色域の広いxvYCC規格形式に準拠する信号であるか等の入力信号の色域又は規格等を識別するものである。この検出により、画像適応連動制御部14は好適な色変換処理を行うことが可能となる(後述)。
【0053】
顔認識部63は、画像に被写体として撮影されている人物の顔を認識し、当該画像内での位置を算出するものである。画像特徴として顔認識を用いることで、人物の顔に適した色変換処理、例えば、肌色を中心とした色域について高精度な色変換処理等を行うことが可能となる。
【0054】
ベクトル検出部64は、動画等における連続する各画面(フレーム画面、シーン)間での変化の大きさ等を検出するものである。さらに、各画面上での変化を統計処理等によって特徴を抽出するものであってもよい。各画面間での変化の大きさを検出することで、動画のシーン変化の判定を行うことなどが可能となる。
【0055】
輝度検出部65は、入力画像信号の輝度やその平均値、最小値、最大値等、画面全体での輝度レベル等の特徴、またはこれらの時間軸上での変化や統計処理によって得られた特徴等を検出するものである。輝度信号は画像を構成する信号において大きな影響を及ぼす要素のひとつであることから、この特徴をとらえることで画面全体の特徴を検出するのに役立つものである。
【0056】
以上より、画像特徴検出部13は、入力された画像信号を様々な観点で分析等することで画像の特徴を抽出し、後段の画像適応連動制御部へ結果を出力するものである。
【0057】
画像適応連動制御部14は、画像特徴検出部13から得られる画像の特徴と予め設定等されている又は外部から入力されるユーザが希望する好みの表示色パターン、出力デバイスのデバイス特性、出力デバイスが設置されている周囲の環境等といった当該カラーマネージメントモジュールの変換特性に影響を及ぼす外部からの要因等である複数の制御情報の入力(図示せず)により、好適な色変換処理及び内挿方法を選択する。この選択に従って、LUT書き換え部15は色変換部11の多次元LUTデータを変更する。内挿部12は、画像適応連動制御部14により制御された内挿方法により入力される2つの画像信号を合成する。
【0058】
LUT書き換え制御部15は、色変換部11の3次元LUTの任意の一部分または全部のLUTデータを書き換えるものである。色変換部11の3次元LUTは、図2のように色空間の各軸をX等分したとすると、各色あたりの格子点は(X+1)の3乗個のデータをもつこととなる。これがRGBそれぞれにあるため(X+1)の3乗の3倍個のデータを有することとなる。モジュール構成にもよるが、例えば各色につき、立方体の8頂点分の8個の空間単位にRAMのメモリ空間を配置させることが考えられる。LUT書込み制御部15はこの合計24個のメモリ空間の中から、指定された任意の注目色部分等に相当する格子点データのアドレス検索を演算し、メモリ制御を行いRAMへの書込みを制御するものである。
【0059】
以上のように構成されたカラーマネージメントモジュールにおいて、画像適応連動制御部14の適応制御を中心にその全体動作を説明する。
【0060】
(画像適応連動制御の動作例1)
画像特徴検出部13の色域検出部62は、入力画像信号の色域又は信号規格を検出する。画像適応連動制御部14は、色域検出部62が検出した入力画像信号のもつ色域と当該モジュールの出力側に接続される出力デバイス(図示せず)、例えばディスプレイデバイスの表示色域とに基づいて、LUT書き換え部15を制御し、色変換部11の3次元LUTのプロファイルデータを書き換える。
【0061】
色変換部11の3次元LUTのデータ書き換えにより、YCrCb信号の拡張規格であるxvYCC規格形式の入力画像信号を、当該カラーマネージメントモジュールの出力側に接続されるディスプレイデバイスの表示色域に対応するような色変換処理の例を用いて説明する。ディスプレイデバイスがBT709には対応しているが、BT709よりも広い色域を持つxvYCC規格に対応していない場合、xvYCC規格の入力信号が入力されたディスプレイデバイスは、そのままでは、xvYCC全体の色域をサポートしていないため、入力信号の一部の範囲の色域しか表示できないこととなる。そのため、色変換部11では、xvYCC信号の色域をBT709の色域の範囲に変換する色変換処理を行う。
【0062】
別の例として、ディスプレイデバイスがBT709より広い表示色域をもっているデバイスの場合、図4の前段処理において、後段の処理(3次元LUT処理等)が持つプロファイルに適合するようにレベル変換等の処理を行う。こうすることで、入力画像信号は、拡張部分であるxvYCCの1以上もしくは負の領域値を持つ信号であっても、ディスプレイデバイスの持つ色域に対応させたプロファイルによりカラーマネージメント処理をすることが可能となりBT709以外の色域を持つディスプレイデバイスが接続された場合でも、適切な画像(静止画、映像)を表示することができる。
【0063】
(画像適応連動制御の動作例2)
別の例として、ディスプレイデバイスがBT709より広い表示色域をもっているデバイスの場合、BT709色域に対応したsRGB規格形式の画像信号が入力されると、ディスプレイデバイスの表示色域を最大限使用せず厳密にBT709色域を再現する方法も考えられるが、ディスプレイデバイスの表示色域を最大限有効に利用して仮想的にsRGBより広い色域を表現する色変換処理を採ることもできる。例えば、ディスプレイデバイスの表示色域の能力にも依るが、DCI(Digital Cinema Initiatives)色域に近づけることもできる。そしてこの色変換処理では、このような色変換処理(色域変換)とともにカラーマネージメントの目的に応じた全体の色調の調整、特定の色相の色の強調や抑圧、特定の記憶色の色相、彩度、明度の調整といった、画質調整としての種々の色調整も合わせて行うことが必要となる。
【0064】
色変換処理が単純に色域変換だけを行う処理内容であるとすると、入力画像信号とディスプレイデバイスの表示色域との兼ね合いを強調しすぎ、色変換処理による弊害も発生してしまうことがある。例えば、上記のsRGB規格形式の入力画像信号を、BT709より広い表示色域をもっているデバイスに表示する場合に、仮想的にDCI色域に近づける色変換処理の例では、表示デバイスの色域のRやGをBT709より広く広げた色域を用いることで、赤はBT709より彩度の高い濃い赤が再現できるようになる。しかしこの場合、全体としての色バランスを考えると、本来の肌色が赤くなり過ぎてしまう等の現象がある。
【0065】
このような現象は、肌色に限らずその他の色でも同様に生じる可能性がある。特に、桜のピンク、人肌の肌色、草木の緑、青空の青などの記憶色と称される色では、人々が当該対象物に連想する色が実際の色とは異なると違和感が大きいなどの特徴があるため、これらの減少は顕著になる可能性がある。また、ディスプレイデバイスの色域特性との兼ね合いや、設定されるプロファイルがそのカラーマネージメント処理の目的のもとに偏りを持っている場合などにおいて、このような同様の現象が発生してしまうことがある。ここで特に注意すべき点は、この現象はプロファイルだけに要因するものではなく、入力信号形式や表示デバイスの色域特性、更にはカラーマネージメントモジュール以外の映像信号処理の設定なども関連し要因しているもので、映像ディスプレイ装置全体のトータルシステムとして弊害や違和感が発生し得るものであるということである。
【0066】
そのため、上記のような例では予め設定された色変換処理だけでは十分な最適化ができず、その色変換処理本来の処理目的を優先させると、逆に一方で別の減少をもたらすような場合も発生することとなる。そこで、本発明では表示映像の状態に最適化させて、上記のような現象の発生を低減するようにしたり、より効果的となるように、適宜色変換処理の一部分を変更するものである。
【0067】
そこで、上記の例の場合の動作を説明する。まず、色変換部11には、sRGB規格形式の入力画像信号を仮想的にDCI色域に近づける3次元LUTがあらかじめ設定されているものとする。カラーマネージメントモジュールにsRGB(BT709)形式の画像信号が入力されると、画像特徴検出部13は入力された画像信号の特徴を検出する。具体的には、色域検出部62で当該入力画像信号がBT709形式であることを検出する。
【0068】
画像適応連動制御部14は、色変換部11にすでにBT709の色域をDCIの色域に変換する3次元LUTが設定されているため、LUT書き換え部15を制御してLUTデータの変更を行う必要はない。
【0069】
また、画像特徴検出部13の色頻度検出部は、入力画像信号の肌色の出現頻度を検出する。画像適応連動制御部14は、肌色の出現頻度が一定の比率以上になった場合、あるいは一定の比率以下になった場合等に色変換部11の3次元LUTのデータを更新すべきと判断する。この判断によりLUT書き換え部15に色変換部11の3次元LUTデータの変更を指示し、LUT書き換え部15はその指示に従って色変換部11の処理内容(3次元LUTデータ)を変更する。この場合の変更されるLUTデータは、BT709からDCIへ色域変換するとともに、肌色の赤みを抑制することを目的とするものである。
【0070】
画像適応連動制御部14は、LUT書き換え部15へ3次元LUTデータの変更を指示するとともに、内挿部12へ色変換部11からの画像信号と入力画像信号の合成比率を変化させる(弱める)制御を行う。このLUTデータの変更には一定時間の処理時間を要するため、データ変更中に色変換部11から出力される画像信号の影響を抑制するため等に行うものである。
【0071】
LUT書き換え部15によるデータ変更が完了すれば、画像適応連動制御部15は内挿部12を制御し、再度色変換部11からの画像信号を出力信号とする。このときには、色変換部11では、入力画像に好適(この場合は、肌色を含む画像に好適)な色変換処理を行う3次元LUTが設定されているので肌色が赤みがかる現象が改善される。
【0072】
上記のような動作により、本カラーマネージメントモジュールは入力画像の画像信号に応じて高精度で応答性の高い色変換制御をおこなうことが可能となる。
【0073】
なお、上記の例において、色頻度検出61で肌色の検出を検知するものとしたが、顔認識部63による人物の顔を検出することで、同様のLUTデータ書き換え制御を画像適応連動制御部14は行ってもよい。さらに、これら複数の特徴検出の結果を用いて制御をおこなってもよい。この場合にもより高精度な色変換処理を行うことが可能となる。
【0074】
(画像適応連動制御の動作例3)
画像特徴検出部13のベクトル検出部64で、動きベクトル算出により複数の画像(フレーム)間で変化が一定以上であることを検出した場合の画像適応連動制御部14の動作例を説明する。
【0075】
ベクトル検出部64が一定以上の画像間の変化の大きさ(シーン変化)を検出すると、画像適応連動制御部14は、合わせて色頻度検出部61からシーン変化後の画像の色情報を取得する。画像適応連動制御部14は、色頻度検出部61から取得した色情報によりシーン変化後に好適な色変換処理の内容を判断する。例えば、全般的に暗いシーンから明るいシーンへ変化した場合等には、それに応じた色変換処理を行うものである。
【0076】
画像適応連動制御部14は、シーン変化後の色情報にもとづいて好適な3次元LUTデータを選択し、色変換部11のデータ更新をLUT書き換え部15を介して制御する。この際、上記の例と同様に内挿部12へも合成比率の制御をおこなうことで、データ変更中又はデータ更新後、色変換部11からの出力信号の影響度を制御する。
【0077】
合成比率の制御は、色変換部11のデータ更新の内容によって適した方法をとることも可能である。例えば、シーン変化で前後の相関関係が低い場合(3次元LUTのデータを大きく変更する場合等)は、図5(a)に示すように時刻tを挟んで、その合成比率を大きく変化させることがよい場合もある。一方、色頻度検出部61で特定の色(例えば、肌色)の出現頻度が時間とともに低減する場合等は、図5(b)又は(c)のように段階的に合成比率をかえることで、肌色が赤みがかる現象を抑える処理をシーン変化とともに適応させることができる。
【0078】
また、別の例として、色変換部11による3次元LUTの処理を適応制御する例を説明する。例えば、画像特徴検出部13のベクトル検出部64により、映像シーンが大きく変化したことを検出した場合には、内挿手段12に対する内挿制御で、例えば図8に示すようにシーン変化後に内挿係数を制御して、色変換部11による処理の影響度を一時的に弱める(色変換部11からの信号割合を減らす)。これにより、色変換部11の3次元LUTによる色補正が偏りを持っているような場合に、その偏りが大きく影響するような画像にシーン変化する場合などにおいて、処理の効果が見栄えとして大きく影響しすぎるようになることを軽減して、シーン変化時の違和感を軽減することができる。
【0079】
より詳細には、画像特徴検出部13の色頻度検出部61において検出したRGBの各々の色成分の信号レベルや出現頻度により実際に現在設定している3次元LUT変換のプロファイルデータにおける影響度合いを判定する。実際にプロファイルが、特定の色成分に対して強く偏りをもったプロファイルが設定されている場合などにおいては、このような方法で、処理効果での影響度合いが判定できるので、影響が大きいシーンに変化した場合には、図8の色変換部11による3次元LUT処理の影響を弱める度合いを強く(より大きく弱める)し、逆に影響が少ない画像シーンへの変化ならば、図8の弱める度合いは少なく(あまり弱めない)するようにすればよい。
【0080】
次に、画像適応連動制御部14に入力される制御情報に応じて、制御状態を変える例について説明する。一例として制御情報として本発明のカラーマネージメントモジュールの出力側に接続されるディスプレイデバイス周辺の照度情報をセンサー等(図示せず)で検出するようにしておき、照度に応じて内挿部12の内挿係数の制御内容を適応制御させることもできる。例えば、照度が低く暗くなった場合には、色変換部11による3次元LUT処理において色を暗く沈んだ方向に制御しているプロファイルであった場合においては、内挿係数を下げ3次元LUT効果を弱める。これにより、入力映像をより高精度にカラーマネージメント処理することでディスプレイデバイスでの視認性を高め、色の違いを認識しやすくすることができる。
【0081】
逆に照度が高い場合には、明るい条件下でも効果が出るように、内挿係数を上げて3次元LUT処理効果をより強調させる。
【0082】
なお、照度情報以外にも、他の光の情報にもとづいて内挿係数の制御内容を適応制御させることもできる。例えば、ディスプレイデバイスが設置されている周辺の光の色(例えば、照明色)をセンサー等で検出し、ディスプレイデバイスで表示された色が照明色によって影響をうけることをも考慮して制御するものである。これにより、よりユーザが実際に視覚する状態を考慮したカラーマネージメント処理をすることが可能となる。また、他にも光の色温度を用いて同様にカラーマネージメント処理をすることも可能である。
【0083】
尚、以上説明してきた内挿制御は、色変換部11の3次元LUT処理の処理結果と処理なしの信号との間で重み付け補間を行うものであるから、処理効果の強度調整としても使用できる。本カラーマネージメントモジュールを利用したTVなどにおいて、使用者が任意に内挿係数を調整できるようにすることで、3次元LUT処理の簡易的な強度調整機能として使用することもできる。
【0084】
以上説明したように、3次元LUT処理とこれをバイパスした系との内挿部12に対する内挿係数を適応制御させる構成とすることにより、リアルタイムに色変換処理(3次元LUT処理)の処理効果の調整と色画質調整をリンクしてシームレスに制御することができる。
【0085】
なお、本実施の形態においては、色変換部11、内挿部12等の間の画像信号をRGB形式の信号として説明したが、本発明はこれに限定するものではない。例えば、すべての段階で色相、彩度、明度(HSV)の色空間で処理を行うのであれば、HSVの色空間信号で処理をすることも可能である。
(第2の実施の形態)
図9は、本発明の第2の実施の形態によるカラーマネージメントモジュールの構成を示すブロック図である。図9に示すカラーマネージメントモジュールと図1に示すカラーマネージメントモジュールとで異なる点は、本実施の形態において近似計算部16が追加されている点と、画像適応連動制御部14の内部動作が変更されている点である。その他の点は図1に示すカラーマネージメントモジュールと同様であるので、同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0086】
近似計算部16は、入力画像信号をマトリックス演算により色変換処理を行うものである。近似計算部16での色変換処理はマトリックスによる線形変換であるので、内挿部12に色変換部11での3次元LUTによる色変換処理と、近似計算部16でのマトリックス処理の両変換による画像信号を入力することが可能となる。
【0087】
画像適応連動制御部14による連動制御動作を、図10を用いて説明する。例えば、画像表示中において、外部より入力される制御情報の照度データが、大きく変化をした場合、照度に適した色変換の処理を行うため、色変換部11の3次元LUTデータを書き換えることが望ましい。しかしながら、第1の実施の形態でも説明したようにLUTデータは、比較的大きなデータ量となるため、動作中のLUTデータの書き換えは出力信号の中断、遅延、欠落、若しくは出力される画像信号の乱れ等を生じさせる可能性がある。
【0088】
そこで、図10に示すように、色変換部11の出力信号の影響度が100の状態(内挿係数kが100)から、内挿係数kを制御し0とする。逆に近似計算部16により色変換処理を施された画像信号は、(100−k)の内挿係数であるので100となる。この状態で、LUT書き換え部15により3次元LUTデータを書き換える。書き換えが終了すると、逆の動作で色変換部11の出力信号のウェイトを100となるように戻す。こうすることで、画像表示を停止することなく3次元LUTデータの書き換えができるとともに、書き換え中の画像信号にも近似計算部16による色変換処理を施すことができる。そのため、LUTデータの更新と色変換処理の両者を同時に行うことが可能となる。このとき近似計算部16では、予め色変換部11の代替処理となるような近似処理内容を設定しておくのである。
【0089】
なお、図10の例では内挿係数kを100から0への制御と、0から100への制御をほぼ同等の制御方式としたが、特にこれに限定するものではない。例えば、内挿係数kの0から100への変化率を、100から0への変化率より緩やかにしたり、画像特徴検出部13で検出した特徴の種類により内挿係数の変化率を変えてもよい。さらに、必ずしも内挿比率を一方(0又は100)に設定する必要はなく、中間の値、例えば内挿係数を100から50の範囲で変化させることも可能である。
【0090】
尚、LUT書き換え部15は、全ての3次元LUTデータ(格子点データ)を書き換えるだけではなく、任意の一部分のみを書き換えるものでもよい。この場合は、3次元LUTデータの一部のみのデータ書き換えで対応できるので、データ書き換え時間が比較的短くなり、より高速に色変換処理を変更することが可能となる。なお、3次元LUTデータの一部とは、固定であってもよいし、必要に応じてその部分を変えてもよい。必要に応じてLUTデータの書き換え部分を変更する場合は、画像適応連動制御部14からの制御により、最適な書き換え部分(変更の必要な部分)を特定し、LUT書き換え部がデータを書き換えることとなる。
【0091】
また、第1又は第2の実施の形態では、色変換部11で3次元LUTによる処理を示したが、これは3次元LUTに限定されるものではなく、他のLUT変換でも同様に実現可能である。例えば、入力信号を一度HSV系の色空間に変換し、そこで、任意の2変数、例えば、色相と彩度、色相と照度、彩度と照度のいずれかの2次元のLUT変換を用いることも可能である。
【0092】
また、第1又は第2の実施の形態では、入力信号、及び出力信号の形式としてRGB信号を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。RGB信号以外の、色信号でも本発明は実現可能である。
【0093】
第1又は第2の実施の形態においては、カラーマネージメントモジュールとして説明したが、本発明は当該モジュール以外での実現方法も可能である。例えば、図1又は図8等に示した各処理部を機能単位の電子回路で具現化し、ハードウェアとしての集積回路又は装置として実現することも可能である。
【0094】
同様に、図1又は図8に示した各処理手段をソフトウェアの機能単位(例えば、処理関数)とすることで、CPU又はDSPとメモリ等を用いたハードウェア上で動作するソフトウェアプログラムとしても実現することが可能である。
【0095】
さらに、第1又は第2の実施の形態の出力側に液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ、LEDディスプレイ等の表示デバイスを備え、表示装置としても実現することが可能である。この場合には、接続する表示デバイスの特性に応じたカラーマネージメント処理をおこなうことで、より適切な表示を行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明に係る色補正処理装置およびその処理方法は、TV等の動画像を表示する映像ディスプレイ装置における、色補正処理を行う多次元LUTによるカラーマネージメント装置であって、特に入力画像信号の画像的特徴等に応じて、リアルタイムに適応的に色補正処理制御を行う多次元カラーマネージメント処理に適用して有用である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の第1実施形態によるカラーマネージメントモジュールの構成を示すブロック図
【図2】3次元LUT変換手段の色空間と格子点を説明する概念図
【図3】3次元LUT変換手段における3次元内挿演算を説明する概念図
【図4】3次元LUT変換手段の構成を示すブロック図
【図5】内挿部での内挿方法を示す図
【図6】画像特徴検出部の構成を示す図
【図7】HSV色補正手段の構成を示すブロック図
【図8】映像シーンが大きく変化した場合の内挿制御方法の一例を示す図
【図9】本発明の第2実施形態によるカラーマネージメントモジュールの構成を示すブロック図
【図10】LUT書き換え時における内挿制御方法の一例を説明する図
【符号の説明】
【0098】
11 色変換部
12 内挿部
13 画像特徴検出部
14 画像適応連動制御部
15 LUT書き換え部
16 近似計算部
61 色頻度検出部
62 色域検出部
63 顔認識部
64 ベクトル検出部
65 輝度検出部
71 色空間変換部
72 明度比較部
73 色相比較部
74 彩度比較部
75 色判定部
76 頻度係数部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像信号の色情報を多次元ルックアップテーブルにより変換する色変換部と、前記色変換部で変換された画像信号と、前記入力された画像信号を任意の比率で合成し、合成画像信号を出力する内挿部と、
前記色変換部における多次元ルックアップテーブルのデータを変更するルックアップテーブル書き換え部とを備えることを特徴とするカラーマネージメントモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のカラーマネージメントモジュールにおいて、
前記入力される画像信号から画像特徴を検出する画像特徴検出部と、
前記画像特徴に基づいて前記内挿部又は前記ルックアップテーブル書き換え部の少なくとも一つを制御する画像適応連動制御部とを備えることを特徴とするカラーマネージメントモジュール。
【請求項3】
入力された画像信号の色情報を多次元ルックアップテーブルにより変換する色変換部と、
入力された画像信号をマトリックス演算により、線形処理する近似計算部と、
前記色変換部で変換された画像信号と、前記近似計算部で線形処理された画像信号を任意の比率で合成し、合成画像信号を出力する内挿部と、
前記色変換部における多次元ルックアップテーブルのデータを変更するルックアップテーブル書き換え部とを備えることを特徴とするカラーマネージメントモジュール。
【請求項4】
請求項3に記載のカラーマネージメントモジュールにおいて、
前記入力される画像信号から画像特徴を検出する画像特徴検出部と、
前記画像特徴に基づいて前記内挿部、前記ルックアップテーブル書き換え部又は近似計算部の少なくとも一つを制御する画像適応連動制御部とを備えることを特徴とするカラーマネージメントモジュール。
【請求項5】
請求項2又は4のいずれかに記載のカラーマネージメントモジュールにおいて、
前記画像適応連動制御部は、前記内挿部を制御する際に、前記画像特徴に基づいて前記合成画像信号の合成比率の時定数を制御することを特徴とするカラーマネージメントモジュール。
【請求項6】
請求項2又は4のいずれかに記載のカラーマネージメントモジュールにおいて、
前記画像特徴検出部は、前記入力された画像信号の所定の色の出現頻度を画像特徴として検出する色頻度検出部を備えることを特徴とするカラーマネージメントモジュール。
【請求項7】
請求項2又は4のいずれかに記載のカラーマネージメントモジュールにおいて、
前記画像特徴検出部は、前記入力された画像信号から複数の画像間の画像変化の大きさを動きベクトルにより画像特徴として検出するベクトル検出部を備えることを特徴とするカラーマネージメントモジュール。
【請求項8】
請求項2又は4のいずれかに記載のカラーマネージメントモジュールにおいて、
前記画像特徴検出部は、前記入力された画像信号から該画像信号の色域の範囲を画像特徴として検出する色域検出部を備えることを特徴とするカラーマネージメントモジュール。
【請求項9】
請求項2又は4のいずれかに記載のカラーマネージメントモジュールにおいて、
前記画像特徴検出部は、前記入力された画像信号から画像内に人物の顔が含まれることを画像特徴として検出する顔認識部を備えることを特徴とするカラーマネージメントモジュール。
【請求項10】
請求項2又は4のいずれかに記載のカラーマネージメントモジュールにおいて、
前記ルックアップテーブル書き換え部は、前記色変換部の多次元ルックアップテーブルの一部のみを書き換えることを特徴とするカラーマネージメントモジュール。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載のカラーマネージメントモジュールを組み込んだカラーマネージメント装置。
【請求項12】
請求項1乃至10のいずれかに記載のカラーマネージメントモジュールを組み込んだ集積回路。
【請求項13】
請求項1乃至10のいずれかに記載のカラーマネージメントモジュールと、該カラーマネージメントモジュールからの出力信号を入力し画像を出力する表示部を備えた表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−118881(P2010−118881A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−290538(P2008−290538)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】